安倍晋三内閣の支持率が急落し、30%未満の“危険水域”に近づいた。「森友・加計学園問題」や「稲田朋美防衛相の失言」「豊田真由子衆院議員の暴言・暴行」などが大きく影響したようだ。安倍首相は局面転換のため、来月初旬にも内閣改造・自民党役員人事を断行する。麻生太郎副総理兼財務相と、菅義偉官房長官は留任方針というが、「麻生、菅両氏とも留任では清新さがない。少なくとも菅氏を代えないと、国民の理解は得られないのではないか」という関係者もいる。

 安倍首相は9日(日本時間同日午後)、スウェーデンの首都ストックホルムで記者懇談に応じ、注目の内閣改造について、次のように語った。

 「来月早々に自民党役員人事と内閣改造を断行し、人心を一新する考えだ」「安倍政権が経済最優先で結果を出したのは継続性と安定感だ。『骨格』をころころ変えるべきではない」

 自民党は東京都議選で歴史的惨敗を喫したが、その原因は、安倍首相と「お友達」による「おごり」「ゆるみ」とも受け取られる言動が炸裂(さくれつ)したためだ。

 読売新聞と朝日新聞が10日報じた世論調査でも、内閣支持率は前回から5〜13ポイントも下落して30%に突入した。永田町では、内閣支持率について「30%台で黄信号、20%台は危険水域、20%割れで退陣」といわれるが、崖っぷちに立たされたといえる。

 世論の逆風を見極めたのか、都議選後、自民党内からも安倍首相への批判・不満の声が公然と上がっている。「安倍一強」と言われた状況に亀裂が見え始めている。

 苦境を打開するため、安倍首相は8月初旬にも内閣改造・党人事に踏み切る。小泉進次郎衆院議員の抜擢などが注目される。安倍首相は麻生、菅両氏を留任させる方針だが、「森友・加計問題」では菅氏の対応も批判されており、国民の支持を得るのは簡単ではない。

 安倍首相は九州北部の豪雨被害を受け、最後の訪問国であるエストニア行きを取りやめ、11日午後に帰国することを明らかにした。内閣改造で、国民の信頼を取り戻せるのか。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「『骨格』を維持した内閣改造では、新鮮・刷新されたイメージでの船出にはならない」といい、続けた。

 「安倍首相は『森友・加計問題』で疑惑を持たれた。そんな任命権者が閣僚を交代させるのは、問題のすり替えと受け取られかねない。麻生、菅両氏の留任は、安倍政権の『おごり』『ゆるみ』を維持するイメージにもつながる。新たに任命させる閣僚も『安倍支持』という踏み絵を踏まさせれ、次の選挙で厳しい戦いが迫られる可能性がある。安倍首相は『森友・加計問題』について国民の納得が得られるよう、自ら丁寧に説明する以外、信頼回復の道はない」

夕刊フジ2017年7月11日17時12分
https://news.infoseek.co.jp/article/11fujizak20170711009/?ptadid=