都議選を通して大きな論点の一つになったのが「二元代表制」の議論です。東京都の小池百合子知事が自ら率いる地方政党の代表になった6月ごろからこの二元代表制という言葉がニュースに頻繁に登場するようになりました。ともに民意を受けた知事と議会が地方政治をになっていくこの制度ですが、知事と議会は対立し、議会はチェック機能を発揮すればよいという単純な制度ではなさそうです。

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 政治学が専門で岡山大学名誉教授の小畑隆資氏は、ひとくちに二元代表制といっても、3つの類型があると指摘します。二元代表制とは、どのような制度設計になっていて、議会にはどのような役割が期待されるのか。小畑氏に寄稿してもらいました。

都議選にみる二元代表制への理解

 東京都議選(7月2日投開票)は、戦後はじめて、都知事が率いる地域政党が最大会派を目指して選挙戦に臨んだという点で、大きな関心を集めました。小池百合子都知事は地域政党「都民ファーストの会」代表として、「古い都議会を新しく」と訴えて、議会改革を真正面から掲げて圧倒的な勝利を収めました。首長と議会の「二元代表制」のあり方をめぐって論戦が交わされたことは、都議会のみならず、今後の地方議会のあり方を考える上での重要な出発点になるものと思われます。ここでは、都議選での議論を出発点として、あらためて「二元代表制」の意義と今後の地方政治のあるべき方向性を考えます。

 今回の都議選で「二元代表制」の議論はもっぱら、議会の首長に対するチェック機能という点で論じられていたように思われます。都知事に率いられた地域政党や都議会会派は、結局、都知事の「イエスマン集団」あるいは「チルドレン」でしかなく、首長と議会は本来「車の両輪」であるべきなのに一輪車になってしまう。それは、「一元代表制」であり首長独裁だ、というのが主として自民党からする批判の焦点でした。

 それに対する、都知事の反論は、自民党が最大会派であるこれまでの都議会で、議会の首長に対するチェック機能があったのか、豊洲市場や五輪費用の問題を見れば、これまでの都議会こそ「一元的」ではないかというものでした。

 ここでは、首長と議会の関係は二元代表制こそあるべき姿で、そのもっとも重要な議会の役割は「議会のチェック機能」にあるという点は、お互いの共通了解となっていることは確認できると思います。また、二元代表制とは、首長と議会はそれぞれ別の選挙で選出され、「首長=執行機関」、「議会=議決機関」という、選出及び役割において「二元」的であるという共通する理解があったことも間違いありません。

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7/9(日) 16:30配信 THEPAGES
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