自民党の額賀派(55人、平成研究会)を率いる額賀福志郎元財務相が存在感アピールに苦慮している。8日には所属議員約30人を引き連れ、
派閥創設者の竹下登元首相の故郷・島根県を訪問し、竹下氏の墓参りをした。竹下氏が旗揚げした「経世会」時代の初心に立ち返り、結束を強める狙いだが、
派内では会長交代論がささやかれる。内閣改造・党役員人事も控える中で求心力を高められるかは見通せない。

「竹下元首相に薫陶を受けたが、十分に恩返しをできないままでいることを自戒する。今後は国家、国民のために前進していく。そう誓った」

島根県雲南市掛合町で墓参を終えた額賀氏は8日、参加議員を前にこう決意を述べた。人材育成など今後の抱負も語り、額賀派会長の続投を宣言した。
その直前まで降っていた雨がタイミングよくやんだことに触れ、「目標を立てれば晴れ間も見えてくるという暗示ではないか」と自賛した。

この日の墓参は派閥創設30周年の節目として額賀氏が企画した。竹下氏の生家や銅像も視察し、「竹下ブランド」にあやかって自身の存在感を示そうという思惑がちらつく。

だが、額賀氏を取り巻く景色に“晴れ間”は見えない。むしろ厳しい状況に立たされている。かつて党内最大派閥として3人の首相を送り出した名門だが、
平成10?12年の小渕恵三元首相を最後に途切れている。麻生、山東両派などが合流し発足した新派閥(59人)に抜かれ、額賀派は第3派閥に転落した。

「ポスト安倍」をにらんだ他派閥の動きが活発化する中で、来年秋の党総裁候補擁立の戦略も明確になっていない。額賀氏は8日、記者団に「それなりの目標は持つが、
いま言うことがプラスになるかどうかよく考えなければ…」と具体的な方向性を示さなかった。

安倍晋三首相が8月初旬に断行する内閣改造・党役員人事は額賀氏の求心力に直結する。所属議員のポストをしっかり確保できなければ、派内の不満が高まり会長交代論が強まるのは必至だ。


派内には存在感の希薄な額賀氏をよそに、竹下元首相の弟の竹下亘国対委員長に会長をバトンタッチする「竹下派」復活論がある。亘氏は墓参後、「兄は『お前ら何やっているんだ』という思いを持っているのではないか」と周囲にこぼした。
ただ、「欲がない」と評される亘氏は会長就任の意思を明言せず、交代の動きは具体化していない。

一方、茂木敏充政調会長は派閥会長、党総裁ともに意欲があるとされる。これまで要職を歴任し、内閣改造では外相への起用が有力だ。存在感は高まりそうだが、派内では「竹下派」復活を望む声が強い。

竹下氏が派閥会長を継いで茂木氏は「ポスト安倍」候補?。額賀派幹部はこんなシナリオを描くが、「まずは現会長が勢力拡大に貪欲にならなければ総裁選でも戦えない」(中堅衆院議員)との不満が充満している。

産経新聞
https://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/sankei-plt1707090031.html