防衛装備庁が海上自衛隊最新鋭のP1哨戒機をニュージーランド(NZ)に輸出する計画で
敗色濃厚となっていることが8日、分かった。

NZが米海軍のP8哨戒機の導入を内定したと分析しているためだ。
平成26年の防衛装備移転三原則の閣議決定で輸出に道を開いたが、
海自潜水艦のそうりゅう型の輸出などに失敗し、NZへのP1輸出に失敗すれば3回連続で受注を逃すことになる。

P1はP3C哨戒機の後継機で、川崎重工業が製造した。海自は平成25年に配備を始め、潜水艦などの警戒監視を担っている。

 装備庁はNZ政府の要請を受け、昨秋、P1の性能情報を提供した。NZ政府はP1とP8を比較し、
今年6月にどちらを導入するか決めるとみられていたが、6月になり決定を先送りする方針に転じる一方、
P8の導入を事実上内定したとの見方が強まった。

先送りの理由は、米国が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)から離脱し、
地球温暖化対策の枠組みであるパリ協定からも離脱を表明したことが挙げられる。

NZは貿易自由化に積極的で気候変動への対応も重視し、それに反する米トランプ政権の姿勢を受け、反米感情がくすぶる。

 そうした中でNZ政府がP8の導入を決めれば国民の批判を招き、9月のNZ総選挙にも影響しかねないため
総選挙以降に決定を先送りしたとされ、P1を導入するのであれば先送りはなかったとの受け止めが日本政府内で広がっている。

http://www.sankei.com/politics/news/170709/plt1707090012-n1.html