東京都の小池百合子知事が率いて都議選に大勝した地域政党「都民ファーストの会」は377の政策を公約に掲げている。待機児童、受動喫煙への対策などを重点政策に位置付けており、小池氏が目指す都政の将来像が見えてくる。一方、職員からは都民が第1党になり、議会構成が激変することに期待と不安の声が上がる。

 ■議会改革

 「古い都議会にNO」をスローガンに掲げる都民は全公約の完成に先立ち、議会改革の項目を公約の第1弾として発表した。

 選挙後100日以内に、政務活動費の飲食への使用禁止と議員公用車廃止を提言。「口利きにより水面下で政策が決まる議会を変える」と、知事の反問権導入、非公開で開かれる各委員会理事会の内容公開などを盛り込んだ議会改革条例を制定するとしている。

 都議会では今年、議員報酬の2割削減、政務活動費の減額などの議会改革を実施したばかり。単独では過半数に達していない都民は他会派との合意形成に向け、早速、調整力が問われることになりそうだ。

 ■待機児童対策

 小池氏が知事就任時から「喫緊の課題」と位置付けるのは待機児童対策。平成28年度補正予算で126億円を計上し、保育所の整備費の補助などを充実させた。29年度予算では過去最大の1381億円を計上したが、今年6月上旬までの集計では都内の待機児童数は前年同期比で約120人増の約8590人に上る。

 都民は、区市町村や民間への財政支援、都営公園の敷地などを利用した保育施設の整備などを提唱。「待機児童という言葉をなくす」を目標に、31年度末までに保育サービスの定員7万人増を掲げる。

 待機児童解消は党派を超えた目標であり、対策は加速していくことになる。

 ■東京五輪

 2020年東京五輪・パラリンピックの経費膨張を問題視した小池氏が就任後間もなく着手した経費見直しは、会場整備費の削減などを経て、今年5月には国などとの間で費用分担の大枠合意に至った。今後は仮設施設の設計を進め、会場ごとのセキュリティー、観客らの輸送計画などを練り上げていくことになる。

 都民は公約で「不透明な経費をガラス張りにし、無駄遣いを防ぐ」とし、東京五輪経費透明化条例の制定を提唱。工費の積算を厳しく審査する都契約適正化委員会を設置するとした。

 大会が開催される平成32年に向け、観光振興にも力を入れ、訪都外国人旅行者を28年比で約2倍の2500万人に増やすとした。

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