「反アベノミクス派」登場で、自民党内の政治闘争が過熱中! 「骨太方針」からあの文言が消えた…
7/2(日) 8:01配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20170702-00052129-gendaibiz-bus_all

消えた「消費増税」の文言
 6月9日、政府は経済財政運営の基本策となる「骨太方針」を閣議決定した。注目すべきポイントとしては、過去の骨太方針に再三盛り込まれていた「消費増税」への言及が消えていることだ。
 これに肝を冷やしているのは、もちろん財務省をはじめとした増税論者たちである。2度延期されている再増税が、政府内で議論すら行われなくなるかもしれないからだ。政府がこのような方針を示したことには、どのような意味があるのか。

 '16年の「骨太方針」では、「成長と分配の好循環」の実現に向け、「経済再生なくして財政健全化なし」を基本とし、消費税率の10%への引上げを'19年10月まで2年半延期するとともに、'20年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)黒字化の達成を目標とする、と記されていた。
 しかし、先頃公表された'17年の「骨太方針」では、「経済再生なくして財政健全化なし」という基本目標から先の文言が異なり、「600兆円経済の実現と'20年度の財政健全化目標の達成の双方の実現を目指す」と明記されている。消費増税についての言及はばっさりとカットされているのだ。
 しかも、'17年版では、財政健全化におけるプライマリーバランス黒字化の重要性が低くなった。「財政健全化」という言葉は、'16年では12回使われていたのに対して、今年は6回にとどまっている。政府の方針と財務省の思惑との乖離が明確になってきているのだ。
 こうした一連の動きに、消費増税を「省是」としている財務省は神経を尖らせている。表立っては動けないが、いろいろと手を回しているようだ。その一例が、以前本コラムでも取り上げた(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52057)自民党内の「反アベノミクス」勉強会の発足支援である。

政治闘争のはじまりか
 財務省OBである野田毅氏が代表発起人を務めるこの勉強会には、石破茂氏も参加。6月15日に開かれた2回目の会合のあと、石破氏は「原油安と円安に頼る経済政策であってはならない」とアベノミクスを牽制した。
 ただ石破氏のアベノミクス批判がどこまで当たっているかはよく考えるべきだ。アベノミクスの根幹は「第一の矢」である金融政策によって失業率を下げることにある。たしかに円高の是正効果はひとつの結果としてあるが、それに頼っているわけではない。
 ちなみに、あえて名前は挙げないが、勉強会第1回の講師は「消費増税しないと国債が暴落する」と言っていたエコノミストで、第2回の講師は「金融緩和するとハイパーインフレになる」と主張していた人物である。いまのところ、彼らがアベノミクス前に予想した未来は訪れていない。
 一方安倍政権は、ノーベル賞学者であるスティグリッツ氏やシムズ氏の意見を参考にし、必要なのは財政健全化よりもむしろ財政出動である、としている。彼らは、政府の財政状況を見るとき、実質の「子会社」といえる日銀を含めた「統合政府」のバランスシートで見るべきで、そうすれば特に財政上の問題はないことがわかると主張している。
 ここのところ、政権と「反安倍」の政治闘争が過熱してきている。「骨太方針」で消費増税の文言が消えたのは、本格的な政治闘争が幕を切った合図なのかもしれない。