http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170628/soc1706280021-n1.html

 【北京=西見由章】獄中でノーベル平和賞を受賞した中国の民主活動家、劉暁波氏(61)が、末期がんと診断された後に北京での治療を希望したものの、中国当局に拒絶されたことがわかった。国内の活動家の間では当局側が劉氏の病状を意図的に放置したとして「政治的謀殺」を疑う声も上がっている。

 遼寧省の刑務所で服役していた劉氏は5月に末期の肝臓がんと診断され、同省の病院に移送された。関係者によると劉氏は、高度ながん治療を受けられ自宅もある北京での治療を希望していたという。ただ中国共産党は今年秋に5年に1度の党大会を控えており、劉氏の首都移送は影響が大きいと判断したもようだ。

 「手術はできなくなった。放射線治療も、化学療法もできない」。劉氏の妻、劉霞氏がむせび泣きながら深刻な病状を友人に訴えるビデオ通話の動画が27日、インターネット上で拡散した。北京在住の人権活動家、胡佳氏は「(劉氏の)健康状態も良好だと発表されていた。末期がんと聞いて信じられなかった」と沈痛な口調で語った。服役経験がある女性人権活動家の倪玉蘭氏は「中国では受刑者が病気になっても有効な治療を受けられず病状が悪化するのが常だ」と話した。

 中国外務省の陸慷報道官は27日の記者会見で、米国務省などが劉氏の釈放を求めていることについて「いかなる国も中国の内政にあれこれ口出しする権利はない」と応じた。
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