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自民党が、東京都議選(7月2日投開票)で反転攻勢を仕掛ける。これまで、「国政と都政は別」として距離を置いていた安倍晋三首相も応援に動員し、組織力をフル回転させる“ドブ板作戦”に切り替えたのだ。報道各社の世論調査で、小池百合子都知事率いる地域政党「都民ファーストの会」(小池新党)と競り合う構図のなか、与党の地力を見せられるのか。

「売り言葉に買い言葉。私の姿勢が問題だった。(先の通常国会では)政策論争ができなかった。反省しなければいけない」「(自民党に)厳しい風が吹いている」「新しい議会か、古い議会か、そんな議論は間違っている。改革を進める議会か、改革を止める議会かだ」

 安倍首相は26日夜、文京区の小学校体育館で、こう呼びかけた。

民進党の蓮舫代表は「逃げている首相の姿勢を絶対に許してはいけない」と訴えた。共産党の志位和夫委員長も「首相は一度も街頭で都民に訴えていない。恥ずかしくて皆さんの前に顔を出せない」と批判した。

 自民党は今回の都議選に「挙党態勢で挑む」としてきたが、安倍首相が表舞台に立たないことに不満も出ていた。首相周辺には「小池氏との過度の対立は避けたい」との声もあった。安倍首相を都議選に関与させ、勝敗の責任を問われる事態は避けたいとの思惑が見え隠れする。

 だが、過去の都議選で勝敗を制してきたのは浮動票を取り込んだ陣営だ。実際、13年都議選では、安倍首相は終盤3日間で10カ所以上で街頭に出た。浮動票の取り込みには知名度のある政治家の応援が効果的とされ、小池氏による“絨毯爆撃”のような街頭演説もその一環だ。

 26日の「箱入り演説」をきっかけに、安倍自民党は劣勢を挽回できるのか。

 政治ジャーナリストの角谷浩一氏は「安倍首相は『一国の総理』として堂々と粛々と反転攻勢に出た方がいい。先の日曜日に街頭に立たなかったのは、みんな『あれっ?』と思ったはずだ。国民は首相がしっかりしている姿を見たいと思っている。党総裁は表に出るべきだ」と語った。

 「森友・加計学園」問題も影響もあり、ヤジが多い街頭ではなく「箱入り演説」での参戦となったが、安倍首相が「(国会では)印象操作のような質問がある」と述べると、会場にいた女性から「印象操作じゃないでしょ!」との声が飛んだ。逆風は相当のようだ。

 「古い都議会」と自民党批判を強める小池氏は、都議選でタッグを組む公明党と小池新党の候補者の応援にかけずり回り、この日だけで14カ所も街頭に立った。板橋区の東武東上線成増駅前での演説には主婦層を中心に400人ほどの聴衆が集まり、小池節に耳を傾けていた。

 他の野党も、安倍首相への攻勢を強めている。