https://mainichi.jp/articles/20170624/ddm/005/070/059000c




[PR]

 東京都議選が告示され、9日間の選挙戦が始まった。

 小池百合子知事が代表を務める地域政党「都民ファーストの会」が自民党を上回って第1党となり、公明党なども含む小池氏の支持勢力が過半数に達するかが焦点だ。

 地方選とはいえ、1000万人を超す首都の有権者の民意は過去にも国政選挙の先行指標となってきた。

 前々回2009年に大勝した旧民主党は衆院選で政権を獲得した。前回13年は自民党が参院選の勝利につなげ、長期政権の足場を固めた。

 今回は「加計学園」問題などで内閣支持率が下がる中、安倍政権への評価も投票判断の要素となろう。来年末までにある次期衆院選をにらんだ与野党の舌戦となっている。

 問われているのは「小池都政」の評価だ。築地市場の豊洲移転は、築地の再開発とセットで進める方針が示された。20年東京五輪・パラリンピックの運営に対する関心も高い。

 生活に直結する身近な政策も吟味したい。各党の公約を読んで気になるのは、「超高齢化」対策の優先順位が必ずしも高くないことだ。

 25年には都内に住む75歳以上の後期高齢者が200万人に達することが予想され、「介護難民」を生まない具体的な対策に近隣県と連携して取り組むことが急務となっている。

 子育て支援の拡充も急がれる。昨年4月現在の都内の待機児童数は8000人を超え、全国の3割以上を占める。保育施設を増やしても需要増に追いつかないいたちごっこを終わらせなければならない。

 少子高齢化という全国共通の問題だからこそ、首都・東京が先頭に立って解決に取り組むべきだ。

 過去の都政で都議会はチェック機能を十分に果たしてこなかった。豊洲移転問題のずさんな経過は、13年半に及んだ石原慎太郎都政と切り離して論じられない。

 都議選で各党は行政改革や都議会改革をうたっている。都政の透明化につながることを期待したい。

 さまざまな観点がある中で、地域の代表にふさわしい候補者をどう選ぶか。都議会では政務活動費の使途や下品なヤジなども問題になった。

 最大の選択基準は人物だということも、たび重なる国会議員の不祥事から確認しておきたい。