いわゆる「加計学園」問題に絡み、文部科学省の前川喜平前次官に、8000万円近い退職金(5610万円説もある)が支払われていたことが報じられた。
『あきれた公務員の貴族生活』(ベスト新書)の著作もあるジャーナリストの若林亜紀氏が、前川氏の経歴をたどりながら、
霞が関の高級官僚の年収と生活、出世のコツなどを分析する。(夕刊フジ)

 前川氏は、麻布中学・高校から東大法学部を経て、1979年に文部省に入省した。入省当時の官僚の給料は安い。

 人事院によると、国家公務員大卒キャリアの初任給は当時9万7500円だった。今年度は手当てを含め21万円8216円という。
30代半ばまでは金融や商社の方が高い。官舎の家賃が月1万円程度なので暮らしていけるが、若いうちは横浜など郊外が多い。

 出世コースに前川氏が乗ったのは、入省直後、実妹が中曽根康弘元首相の長男、弘文元外相と結婚したからに違いない。

 前川氏は31歳の若さで宮城県教育委員会の課長に出向する。宮城県人事委員会によれば県庁には課長が903人いて、
平均48歳、平均月給は50万円前後という。その後、外務省にも出向し、34歳でパリの日本大使館勤務(一等書記官)となる。

特筆すべきは、外交官の待遇だ。基本給以外に、現地海外手当てが出る。パリならば、基本給が月46万円程度、在勤手当が月54万円、住居手当が25万円、
奥様手当が11万円、子女教育手当が1人7万2000円まで。まるで貴族のような暮らしができる。

 帰国した前川氏は94年、39歳で、中曽根元首相の懐刀である与謝野馨文相の秘書官に抜擢される。年収は約1000万円。
この年代の官僚は、新宿・大久保や渋谷など都心にある官舎に住む。民間なら家賃月50万円以上の立地のマンションに3万円弱で住める。駐車場料金は月956円だ。

 以後、前川氏は教育財政局財務企画室長、初等中等教育局財務課長などを歴任していく。本省課長のモデル年収は1219万円。そして、2013年、58歳で初等中等教育局長に着任する。
民間で言えば取締役であり、年収は約1765万円となる。

 文科官僚のトップである事務次官(年収2318万円)には16年6月に上りつめるが、翌年1月、組織的天下り斡旋(あっせん)問題の責任を取って退任し、
翌月、懲戒処分を受けた。

 前川氏は最近、次官在職中に、新宿・歌舞伎町の「出会い系バー」(連れ出しバー)に通っていたことを認めた。「貧困女性の調査」と主張しているが、
教育行政のトップとして理解されるのか。前川氏に多額の退職金が支払われたことにも、国民の疑問が浮上しそうだ。

http://www.sankei.com/politics/news/170627/plt1706270016-n1.html
http://www.sankei.com/politics/news/170627/plt1706270016-n2.html