姑息な安倍官邸と小池知事 築地併用に特区活用の仰天案
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/207775
 混迷極める築地市場移転問題に関して小池百合子都知事が19日に会見。豊洲市場へ移転しつつ、築地市場も5年後をメドに再整備する方針を示したが、その裏で安倍首相と小池知事の“二人三脚”によるプランが急浮上している。築地・豊洲の「両市場併用案」を実現するため、「国家戦略特区制度」を利用するという仰天案だ。

 小池知事が今後打ち出すとみられている併用案は、市場を豊洲に移転させた後、築地跡地は売却せずに民間に貸し付けて活用する構想だ。一部の市場機能や商業施設を複合させ、食文化の発信地として築地ブランドを維持する。

 都の「市場問題プロジェクトチーム(PT)」も、民間の活力を利用し、市場の安定的な経営と成長力の向上を目指すべき――といった趣旨の報告書を作成。事実上の「築地民営化」を目指すべきとの提言である。しかし、そこに避けては通れない障壁がある。1971年に施行された「卸売市場法」だ。
 市場法では、20万人以上の人口を有する自治体に設置される「中央卸売市場」について、民間参入を禁じている。そのため、併用案を可能とするには法の規制緩和が必要で、ここに特区制度を活用するというのだ。

■支持率と特区制度のイメージ回復が狙い?

 だが、加計問題で国民不信が高まった特区制度が果たして利用できるのか。

「安倍政権にとっては渡りに船のような話でしょうね。支持率が急落する中、世論の関心が高い市場移転問題を特区制度を利用して解決できるとなれば、支持率回復が期待できる上、特区の有用性も国民に再アピールできますから。『築地活用のため』『食の安全を守るため』との大義名分も立つ。一方、小池知事にすれば、この問題で安倍官邸に恩を売っておいて損はない。五輪会場問題などで国から主導権を取り戻すため、貸しをつくっておこうと考えても決して不思議ではありません」(都政担当記者)

 何だかウマイ話のようだが、問題は政治家の思惑先行で、市場で働く業者や消費者の目線に乏しいことだ。東京中央市場労組の中澤誠執行委員長はこう言う。

「両市場併用案は、市場の分断を招く恐れもあり、まだまだ問題山積です。市場の将来は、私たちにとって生活に関わること。もちろん、漁業従事者や飲食店、小売店で働く人たちの生活もかかっています。政治的な思惑で特区制度を利用するなど、あってはなりません。加計疑惑といい、移転問題を巡る思惑といい、特区制度は行政の不始末を処理するために存在しているようにしか見えません」

 いつも市場関係者と消費者は置き去りだ。