ツイートは、世耕氏について「原理研究会(旧統一教会)出身だそうですね」などの内容で2018年2月と2019年7月に投稿された。提訴後、安倍晋三元首相の銃殺事件を機に世界平和統一家庭連合(旧統一教会)と自民党の関係が広く報じられるようになり、訴訟にも注目が集まっていた。

和解条項で地裁は「公人の政治的姿勢、言動等に関しては、国民の自由な論評、批判が十分に保障されなければならない」と指摘。その上で「その上で「(世耕氏側が)事前の削除要請・交渉もなく、訴訟を提起するという方法をとったことについて、公人に対する言論を萎縮させるおそれがあるものと被告に受け止められ、反訴が提起されるに至ったことは、裁判所ならびに原告および被告にとって遺憾」と表明した。

(中略)

●「公人による言論封殺は許されない」

反訴状などによると、世耕氏側は原理研への所属を否定し「『統一教会は反社会的な団体であるとの印象を抱くものが少なくない』ことから、社会的評価を低下させるもの」と主張。損害賠償150万円のほか、記事の削除や謝罪文掲載を求めていた。

一方、中野教授側は事実を摘示したものではなく論評だと主張。「そもそも"自民党の有力な支持母体"だから社会的評価を下げず、もし評価を下げたとしても真実性・真実相当性がはたらく」として反論、批判した者を黙らせる目的の「スラップ訴訟」だとしていた。

今回、裁判所が公人による安易な提訴に苦言を呈した格好となったことについて、中野教授は「弱い者を解放する反スラップ訴訟法がない日本で、裁判所が配慮してくれた」と安堵の表情で語った。