【SSコンペ】メイ「ったく…部室の掃除も楽じゃな…ん?なんだこの変な封筒」恋「懐かしいですね…お母様の秘密のメッセージです」
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ラブライブ!SSコンペを開催します!
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↑へのエントリー作品です
スパスタ1期放送〜2期放送の間で大筋だけ考えてお蔵入りした話です
コンペのお題が「秘密」と聞いた時にこの話のことを思い出し、せっかくだからエントリーを口実にちゃんと書いてみようかなと思いました
謎解き要素あり
2期最終回あたりの時期に1期の時点のエピソードを回想している設定で書いていくつもりです
長めの話になると思います
エントリー期間内に書ききれることを目標に書いていきます
あと、私独自の解釈も入ってくるのでこの子はこんなキャラじゃないといった意見もあるかもしれません
※スレタイにメイがいますが本編ほぼ出番なしです >>120に誤りがあったものを修正
こちらが正式版です
〜〜〜〜〜〜〜〜
『O.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜〜
☆始まりの章☆
HANAより後世へ
私は刻もう
「至上宝物(ブリリアントトレジャー)」
それへの導きをここに記そう
さあ、謎のはじまりだ
まずは私の名前を記した
ここからは楽章を正しく辿ろう
私ははじまりの地平を見た
そこにある古き月の序列を重んじた
言葉の定めは以下の通り
「楽章が始まったら頭を取るが良い」
「異人の頭は異人のままだ」
「やや右にずれたな、少し左に直せ」
「そうだな、異人の頭も直せ」
そうして真実のありかを見つけた
やや具体性に欠けたか、
導きの詳細をここから語ろう
〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜
『1.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜〜
〜第一楽章〜
知らない、こんな疼きは…
惰性で生きるだけの私が壊れていく
大いなる闇の一部へと矮小な自我は
Miglation(移行)していく
パワーが、力が私の中に満ちていくのを感じる
夢のようだ、真の私が今始まったのだ
O vos omnes,迷える者は土に還り給え
HANA
〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜
『2.txt』の中身
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〜第二楽章〜
望まれぬ文など飾りに過ぎない
すべては陳腐、にもかかわらず
まだ人の子らは言の葉を紡ぐ
終わらないつぶやきに意味などない
ただ空しい空白を埋めるだけだ
論じたところで答えは見えない
悠久を回るのはウロボロスの問いかけ
欲深さでサタンを火炙りにしてしまえ
HANA
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜
『3.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜〜
HANA
〜第三楽章〜
厄災が睦まじい交わり終わらせる、
さあ、まじまじと決意を尖らせる
Lest in peaceする私のシャドウ
さあ、目覚めて進むは裁きの邪道
天秤に掛け足そう戦陣へのエンジン
さあ、駆け出そうまっさらの更に前
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
作者より
見直して気づいたのですが、この文の一箇所にルール通りに読むとおかしくなる箇所がありました
そこは「取った頭を指示よりも一つ左にずらす」ことで正しくなります 〜〜〜〜〜〜〜〜
『4.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜〜
〜第4楽章〜
C・ウィルソンは弥漫の生より死を尊んだ
情欲からの死を人は求めていると尊んだ
プロメテウスは凶鳥に身を貪られた
いかなる罪かは知らぬが貪られた
メデューサは首を刎ねられた
ペルセウスの叡智によって刎ねられた
HANA
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜
『5.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜〜
〜第5楽章〜
HYAKUNはIKKENに如かず?
Ah、くだらない
たかだかSEKAIのすべてなど
恐れ多くもPerfectな私には
こんなにも手にとるようにわかる
おお、沈黙は金、私は貝になる
HANA
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜
『6.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜〜
〜第6楽章〜
水…水が無い
パンが無い…渇きと飢えが
地面に倒れる私のそばを皆が通り過ぎる
楽園が崩れ去る
嘘だ終わりたくない!
せめて水を、水をください、ああ
HANA
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜
『7.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜
〜第7楽章〜
乗り越えろ忘却を、さつきまで
抱いていたものを失つてはならない
どんなことがあつたとしても
恐れずに記憶に向き合うのだ
よしんば傷つくことになつたとしても
いつの日か癒える、恐れるな
HANA
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 ちなみに
三番目のに気づいてあらためて全体を見直したところもう1箇所ミスがありました
ここについては最後の答えに及ぼす影響はないと思われるので特に訂正とかはしません
解答編では物語外で補足いれつつLiella!はなぜか正しい文に辿り着きますがご了承ください >>128
「そうだな、異人の頭も直せ」
↓
「だが、異人の頭はそのままだ」
直してませんでした ちょっと考えてみてるけど難しいね。
何ヵ所か違和感ある箇所あるけど、謎に関わるところなのか誤植なのかの判断が難しい 【解答パート】
恋「これで準備はできました」
恋(準備、と言ってもこれまでの文章を全て印刷してホワイトボードへ貼ったくらいですが)
かのん「んー、解こうとは言ったもののどうしたものか」
千砂都「こういうのはひらめきが肝心なんだけど」
すみれ「ま、私にかかればこんなのは朝飯前ったら朝飯前よ」
恋「心強いです!すみれさん」
可可「すみれ、無理をしても恥をさらすだけデス」 可可「では遠慮なく解答ドウゾ、すみれ」
すみれ「まっかせない!」
すみれ「そうね、まずは…」
すみれ「まずは……」
かのん「うん!まずは…?」
すみれ「……えーっと」
すみれ「……ごめんなさい」
可可「そんなことだと思いマシタ」 解いてくれている人もいるようで嬉しいです
解答パートに入るまでにもう少し時間を置くことも考えたのですが、この先にある本当にやりたいことをSSコンペ期間内にやるためにはこのタイミングで解答始めないと間に合いそうにないため解答を進めていきます すみれ「そ、そうよ!最初の文!こういうのは最初の文にヒントが書いてあるものよ!」
恋「では、最初…ゼロ番の文ですね」
すみれ「そうそう、最初の方から順にいきましょう
〜〜〜〜〜〜〜〜
☆始まりの章☆
HANAより後世へ
私は刻もう
「至上宝物(ブリリアントトレジャー)」
それへの導きをここに記そう
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
千砂都「うーん、ここは…」
千砂都「……なんかある?」 すみれ「ま、何かあったらまたここを考えるということにしましょう」
恋「次にいきますか」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
さあ、謎のはじまりだ
まずは私の名前を記した
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
かのん「私の名前……」
可可「"はな"…デスか?」 可可「たしかに『HANAより後世へ』と書いてマスガ、何といいマスか違和感がありマス」
恋「普通ならばここは相手の名前だけですからね」
恋「『後世へ』のみ書いて最後に『HANAより』と書くのが通例」
恋「それは当時のお母様も知っていたはず。現に他の文書は…」
千砂都「ん?あれ?」
すみれ「待って!…もしかしたら」 千砂都「うん、すみれちゃんも気づいた?」
恋「ああ、はい……わたくしも理解しました」
かのん「そっか、まずは私の名前を書く…」
かのん「花さんはまずは自分の名前を書いて始めようとした」
すみれ「1楽章から7楽章までで名前から始まるのが一つだけあったわ」 〜〜〜〜〜〜〜〜
HANA
〜第三楽章〜
厄災が睦まじい交わり終わらせる、
さあ、まじまじと決意を尖らせる
Lest in peaceする私のシャドウ
さあ、目覚めて進むは裁きの邪道
天秤に掛け足そう戦陣へのエンジン
さあ、駆け出そうまっさらの更に前
〜〜〜〜〜〜〜〜〜 千砂都「花さんはまずはこの文を書いたんだ」
すみれ「これが本当の"1番目"だったわけね!」
かのん「でも楽章の順じゃなくていいの?」
恋「これは根拠のない擁護ですが、だからお母様は文章に統一間を出さなかったのだと思います」
恋「そもそもが別々の組曲なら楽章の番号など意味がないので」 千砂都「0番目のファイル名が Oになってたのもヒントだったんじゃないかな?…ファイル名は順番を表す数字とは限らないっていう」
かのん「恋ちゃんのお母さんは、ただ間違えたわけじゃなかったんだ」
すみれ「ファイルの作成日時と保存日時をいじったのはそこで順番に並べる設定で見られたら謎とか関係なく本来の順になるから、とかかしらね」
すみれ「よっしゃ!次よ」
ここからは楽章を正しく辿ろう
かのん「『ここからは楽章を"正しく"辿ろう』ってのは…まあそうことか」 恋「楽章の番号と本来の順は違うということですね」
千砂都「で、そこから…」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
私ははじまりの地平を見た
そこにある古き月の序列を重んじた
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
かのん「はじまりの地平…」
千砂都「古き月の序列…」
恋「ん?もしかしてですが…」
かのん「恋ちゃんわかったの!?」 恋「はい、わたくしには身近な言葉ですから」
すみれ「ああ…なるほどね。かくいう私も家が神社だし結構すぐわかったわよ」
かのん「んー、なんか二人だけずるい」
恋「そうですね…では一つクイズといきましょうか」
すみれ「あら?恋もなかなか洒落たこと考えるじゃない」
恋「まず、『はじまりの地平』とはそれぞれの1行目のことです」
かのん「それはまあ…なんとなくわかったけど…」 恋「ですからそれぞれの1行目を抜き出してみましょう」
恋「そうですね…3楽章が1番目ということなのでこう並べましょう」
3(1番目)→ とうに睦まじい交わりなど捨てた
1 →知らない、こんな疼きは…
2→ 望まれぬ文など飾りに過ぎない
4→ C・ウィルソンは弥漫の生より死を尊んだ
5→ HYAKUNはIKKENに如かず?
6→ 水…水が無い
7→ 乗り越えろ忘却を、さつきまで
恋「これらにはすべて"あるもの"が隠れています」
恋「そして、それらはある順序で並べることができます」
恋「さあ、わかりますか?」 かのん「"あるもの"って…ん?古き月の序列?」
かのん「あ…ああああ!!」
恋「気づいたようですね」
かのん「えーっと、確か順番は…」
千砂都「ふふっ、かのんちゃんは反応がいいね」
かのん「うん!私にもわかったよ!」
恋「では、解答をどうぞ」 かのん「昔の月の呼び方だね!睦月とか如月とか」
かのん「つまり、順番は…」
睦月→ 3.とうに『睦』まじい交わりなど捨てた
如月→5. HYAKUNはIKKENに『如』かず?
弥生→4. C・ウィルソンは『弥』漫の『生』より死を尊んだ
卯月→1.知らない、こんな『疼き』は…
皐月→7.忘却に負けるな、『さつき』まで
水無月→6. なんで、水が無い
文月→ 2.『文』章など飾りに過ぎない
かのん「3、5、4、1、7、6、2、だね!」
すみれ「さっきが皐月とか苦しいけどね」
恋「そこは同じ文のなかで『失つて』などの"っ"を"つ"にしている箇所がヒントということでお願いします」 あんまり気にしてなかったけど葉月って母親の姓なんだろうか
そうなると恋ちゃんパパは娘婿? 卯と皐で検索かけても見つからなかったのはそういうことか。第7楽章の「っ」が「つ」なのは意味があってスッキリした かのん「で、その後だね」
言葉の定めは以下の通り
「楽章が始まったら頭を取るが良い」
「異人の頭は異人のままだ」
「やや右にずれたな、少し左に直せ」
「だが、異人の頭はそのままだ」
そうして真実のありかを見つけた
恋「セリフが連続していますね」
すみれ「ま、ここらへんは楽勝よ」
恋「すみれさん、わかるのですか?」 可可「どーせ、いつもの根拠のない自信デスよ」
すみれ「あら?根拠がないのはどっちかしら?」
すみれ「『楽章が始まったら頭を取れ』って書いてあるじゃない?」
可可「だから何だと…」
すみれ「ふふ…こういう時に頭を取れってのはね、お決まりのフレーズなの」
すみれ「ずばり、頭文字よ!」
すみれ「楽章が始まったら、だから本来の最初の文…まあ、元々は3番目なんだけど…そこから頭文字を取っていけということじゃないかしら!?」 すみれ「ということで片っ端から頭文字を抜き出していきましょう!」
3.txt(1番目)
→ 厄さLさ天さ
5.txt(2番目)
→ HAた恐こお
4.txt(3番目)
→ C情プいメペ
1.txt(4番目)
→ 知惰大Mパ夢O
7.txt(5番目)
→ 乗抱ど恐よい
6.txt(6番目)
→ 水パ地楽嘘せ
2.txt(7番目)
→ 望すま終た論悠欲
すみれ「どうよ!」 かのん「どうよって言われても…」
千砂都「これは何と反応したものか」
恋「荒唐無稽な文字の羅列になってしまいました」
すみれ「ぬうううう…」
かのん「本当に最初の音だけを拾うとか?」
かのん「えっと、や、さ、え、さ、て、さ」
かのん「…これは無いね」
千砂都「逆から読むとかでも無さそう」
恋「色々試してみましょう」 〜1時間経過〜
すみれ「あー!もう、なんなのよったらなんなのよ!」
恋「わざわざ、セリフで強調していますし、頭の字を使うというのは合っていると思うのですが…」
すみれ「ま、まだよ!」
すみれ「そうよ!こういう時こそ基本に立ち返らないと」
「異人の頭は異人のままだ」
「やや右にずれたな、少し左に直せ」
「だが、異人の頭はそのままだ」
すみれ「この指示の意味を考えましょう」 かのん「……あ、そういえば一つ気になることが」
千砂都「お、かのんちゃんに秘策ありかな?」
かのん「うーん…だけどこれは合ってるのかな?」
すみれ「言ってみなさい、かのん」
かのん「えっと、さっきすみれちゃんが最初の文字を抜き出したよね?」
かのん「で、私は最初の音だけを読んだんだけど…その時に思ったんだよね」
3.txt(1番目)
→ 厄さLさ天さ
かのん「途中の"L"はどう読んだらいいのかな?って」 かのん「だってもともとはLestなんだし」
かのん「まあ、"れ"にしたところで大差ないし、それ以前に最初の音を読むのが違うのかもしれないし…」
千砂都「それだよ!さすが、かのんちゃん!」
かのん「え?」
すみれ「なるほど、"異人の頭は異人のままだ"は最初の文字がアルファベットのものはアルファベットのまま扱えってことかもね」
かのん「あ、あれ?」
恋「現時点では何をするときにそのままにするかはわかりませんが、覚えておきましょう」 千砂都「お手柄だよかのんちゃん!」
かのん「はは…いやー!やっぱり私って持ってるのかなー」
すみれ「じゃあ、後の二つ」
「やや右にずれたな、少し左に直せ」
「だが、異人の頭はそのままだ」
すみれ「これについても考えましょう」
千砂都「右にずれたから左に、ねえ…」
恋「異人の頭…多分アルファベットですね。それはそのままにする」
かのん「異人の頭がさっきので合ってるかはわからないよ」 すみれ「合ってるということにして、間違ってるようならまたそこから考えればいいでしょ」
千砂都「私は合ってると思うけどな」
恋「左…さっきかのんさんが最初の音だけを拾ってたのをずらすとかでしょうか?」
恋「なんというか、五十音表でずらしていくとか…」
すみれ「やってみましょう」
千砂都「だいたいの五十音表は縦に"あいうえお"でその左に"かきくけこ"だよね」
千砂都「えっと……ら、た、あれ?」 すみれ「こうなるとアルファベットが問題なのよね」
恋「それにワ行はガ行とかに飛ばすとして、パ行はどうするのでしょうか」
かのん「横にあいうえおの五十音表かも」
かのん「だから…い、……ん〜」
恋「今度はアの段がすべて行き場を無くしました」
すみれ「うーん、さすがの私も手詰まりかしら…」 恋(それからさまざまなアイディアを試しましたが、どれもうまく行かず…)
千砂都「何も、何も出てこない」
かのん「これ…曲作ってる時になるやつだ…r
すみれ「ああ、もう少しで何か出そうなのに!」
すみれ「ていうか、クゥクゥ!あんた頭いいんだからなんかないの?」
可可「………」
かのん「…クゥクゥちゃん?」
可可「…へ?」 すみれ「へ?じゃないわよ!ぼーっとしてんじゃないの!」
すみれ「こういう時こそ5人で協力しないとなのに気ぃ抜かないでよ…」
すみれ「せっかくこの私が全身全霊をかけて」
可可「…今日のすみれはなんか偉そうデス」
すみれ「へ?」
可可「すみれはうるさいデス!ククだって…」
可可「いえ、すみまセン。黙っていたのはククの落ち度デス」 かのん「えっと、クゥクゥちゃん?」
すみれ「クゥクゥ、あんた…なんかおかしいわよ?」
可可「そうデスかね…」
可可「ククはいつもどおりだと思いマスが?」
すみれ「何かと突っかかってくるのはいつものことだけど、なんていうか」
可可「……」
すみれ「ごめん、私の勘違いかもしれないんだけど」 可可「…なんデスか」
すみれ「クゥクゥ、あんた…随分と長い間しゃべってないわよね」
可可「……」
すみれ「もしかして、その…」
すみれ「話に、ついて来れてない…とか?」
可可「……」
可可「…………」コクリ
可可「みんなの話……ククあまりわ゛から゛ないデス」 かのん「クゥクゥちゃん…その」
可可「みんな…ごめんなさいデス…クク…バンガりました、なんとかしようって….でも…」
可可「でも、わから゛ない゛んデス…」
すみれ「ごめん、あんた普段日本語それなりにできるからてっきり」
可可「いつもの話くらいならできマス!ククは日本に来たかったノデ、お母さんに教えてもらいマシタ!」
可可「でも、これは、こういうのは…違いマス」 すみれ「いやその…わからなかったら、きくとか…」
可可「わからないククへの説明などで立ち止まるくらいなら、みなさんにはククなど気にせずに先に進んでほしいデス」
可可「ククは自らの力でみなさんに追いつくので」
可可「だって、ククは…ククは…」
可可「みな゛さん…の足、引っ張るのイヤな゛ん゛デス…」
可可「だけど、そう思ってマシタのに、悔しい気持ちどんどん大きくなって…さっきレンレンに偉そうにしマシタのに…」 かのん「落ち着こう!一旦落ち着こう!」
可可「對゛不゛起…沒能゛幫上任゛何力量、對゛不起ィ…!」
すみれ「私が悪かったわ!だから…」
可可「反゛正我什゛麼゛都做゛不了ァ…!」
ダッ!
恋「可可さん!」
恋(勢いよく部室を飛びだしてしまった可可さん)
恋(すかさず止めようとしたすみれさんでしたが)
ガシャーーーン
すみれ「きゃあああっ」 これはギャグパートなのか、謎解きのヒントなのか…中国語版の五十音表的なのがあるのかな 恋(勢い余ってテーブルに激突、テーブルの上にあったパソコンはもちろん、わたくしたちのノートや筆記具まで床に散乱してしまっていて…)
すみれ「ちょっと…待ちなさいよ!」
恋「…すみません」
すみれ「なんで恋が謝ってるのよ」
恋「手を取ってくれた人を後悔させない、そう大見得を切っておきながら…可可さんの異変に気づけなかった」
すみれ「それは私たち4人同じでしょ…なんなら下手に突っついた私のミス」
すみれ「ここは私に任せてよ。意地でもクゥクゥ連れ戻すからさ」 恋「ですが…」
すみれ「ああ!もう、面倒くさいったらありゃしない!」
すみれ「あのね、巻き込んだ人後悔させないとか、恋は言ってたけど」
すみれ「そこを恋が全部やる必要ないんじゃない?適材適所よ」
恋「適材適所?」
すみれ「そっ!できるやつができることやりゃいいの」
すみれ「恋と手を繋いだ私がクゥクゥを連れ戻す、それもまた間接的に恋の手柄ってことでいいでしょ」 すみれ「っか、クゥクゥもクゥクゥよ!馬鹿じゃないの?できないから置いて行っていいとか、自分で追いつくとか…」
すみれ「…いや、馬鹿だったのは私ね」
すみれ「なる早であのバカ捕まえてくるから、恋は散らばったもの片付けて可可が帰ってきた時に笑顔で出迎える練習でもしときなさい!」
すみれ「じゃあ、行ってくる!」 恋(そんなこんなですみれさんが飛び出して、残された3人で片付けを始めたものの)
恋「行かなくてよかったのでしょうか…」
かのん「恋ちゃん、悪い癖出てるよ」
恋「悪い癖…ですか!」
千砂都「ここで見せるのは責任感じゃなくて余裕だよ」
かのん「私も心配だけどさ、ここは可可ちゃんとすみれちゃんを信じて待つところかなって」
かのん「私たちの目があったら二人とも意地張っちゃうだろうし、当人どうしで話させないと解決しないよ」
恋「そういうものなのですか?」 千砂都「それに部室をこのままにしとくわけにもいかないしね」
かのん「私たちが今動かすべきは手だと思いまーす」
恋「はい…」
恋「パソコンは…これ、壊れてませんよね?」
かのん「うーん、一回電源入れてみる?」
恋「はい、えっと…ここを押して…」
恋(みなさんの筆記具を拾い集めるかのんさんと千砂都さんを横目にパソコンを起動させます)
恋「えっと、パスワードは……」 恋(やはりまだ、パソコンの操作には慣れません…パスワードを入力するのにもみなさんの何倍もかかります)
恋「えーっと、どこでしょう…」
かのん「!!……ちぃちゃん!恋ちゃん!これ見て!」
千砂都「なになにー?って…これ…」
すみれ
恋「それは、可可さんのノートですか?」
かのん「つい中身が見えちゃって」
恋(可可さんがとっていたノート、そこに書かれていたのは) 恋(わたくしが印刷してホワイトボードに貼った、本来ならば写す必要などない文の全文写し…さらに)
『読み方が大切?』
『昔の月の名前?←あとで調べる!』
『アルファベットはそのまま?』
『そのままでないかも、ダメなら戻す』
恋(他にもいくつもいくつも)
かのん「これ、さっきまで私たちが話してたことだよね」
恋「そう…ですね」
恋(すべてを聴き取ることはできなかったのでしょう。ですがそれでもわたくしたちがしたやり取りのほぼ全てが綴られていました)
恋(わたくしたちの話に何としてもついて行こうとする可可さんの執念がそこにありました) 恋「…え?」
かのん「どうしたの?」
恋「あの、ここなんですが…」
恋(その執念の成果ともいえる、ある箇所…)
恋(そして、ノートパソコンの操作に不慣れなわたくしがさきほど凝視していたあるもの…)
恋「これと組み合わせてみたら…」
恋「ずらす、というのはもしかしたら…」
恋(ずっと閉ざされていた扉が、やっと)
かのん「え…あ…そうか…」 恋「こうすれば、読めます…よね?」
かのん「うん…そうだ…そうだよ!」
恋「伝えましょう!可可さんと、すみれさんに!」
かのん「うん!善は急げだね!!」
千砂都「すみれちゃんに今どこにいるか聞いてみる」
千砂都「あ!すみれちゃん!…うん、見つかったんだ!さすが!」 千砂都「でさ…ちょっと今からそっち行きたんだけどいい?是非とも可可ちゃんに伝えたいことがあって」
千砂都「うん!じゃあそこで待ってて」
かのん「ちぃちゃん!」
千砂都「うん!バッチリ捕まえたって」
恋「では、行きましょう!まずは、可可さんに感謝と賞賛を伝えないと」
かのん「うん!もちろん、"これ"と"これ"を持っていってね!」 〜かのんたちの教室〜
千砂都「いた!!いたよ!!かのんちゃん!恋ちゃん!」
かのん「お待たせっ!」
恋「よかったです。本当に」
可可「ごめんなさい、レンレン」
恋「わたくしの方こそすみません…」
可可「……」
恋「……」
すみれ「そこ!妙な罪悪感で黙らない!」 千砂都「それにしてもよく一人で可可ちゃん捕まえられたね」
すみれ「こんなの楽勝よ。可可の行きそうなところなんてお見通しなんだから」
すみれ「それで見つけたらあとは…その…私のショウビズ力でちょちょいのちょいよ」
恋「ショウビズ力ですか?」
可可「たしかに、あのようなものを見せられたら止まらざるを得ないデス」
可可「本当に見事なド…」
すみれ「黙っててって言ったわよね?」
すみれ「…ってそんなことより!可可に伝えたいことって何?」 可可「話題をそらしマシたか…よほどあのドゲザが」
すみれ「なんなのかしらったら!なんなのかしら!!」
かのん「なるほど、(土下座を)できるやつが…」
千砂都「できること(土下座)をやったんだねぇ…」
恋「これが適材適所…勉強になります!」
すみれ「伏線回収みたいにするな!」
かのん「そうだね、すみれちゃんの見事な土下座の話は後でゆっくり聞くことにして話を進めないと」
すみれ「もう…好きにしなさい…」 恋「では、わたくしから」
恋「可可さん、ありがとうございます。可可さんがいてくれなかったら…この暗号は解けなかったかもしれない」
恋「これのおかげで最後のピースが埋まりました」
可可「それは、ククのノート?」
かのん「ごめん!その…はずみで中を見ちゃって」
かのん「あと、ついでになんだけど中をみんなに見せちゃってもいい?」
可可「それは構わないデスが…書いたあったのなんて皆さんが話していたことほぼそのままデスよ」 恋「はい、可可さんはそのまま書いてくれていました」
恋「わたくしたちがあの文をどう読んだかを聞いたそのままにです」
恋「…このように」
すみれ「なによ…これ…」
すみれ「クゥクゥ、あんたこんなことしてたの?」 恋(可可さんのノート、そこにあったのは…)
恋(わたくしがホワイトボードに貼った暗号の全文の写し…そして)
恋(その読み方を示すアルファベットが上下に所せましと書かれていた、いえ…おそらくこれは)
恋「海外の方々が日本で読み方の分からない言葉を見た時、その読み方をどうメモするか…」
恋「もちろん、ひらがなを使う人もいるでしよう…」
恋「ですが、"ひらがなで読み方を記す"という行動は幼少期からの繰り返しでひらがなと音がダイレクトに結びついているからできることなんです」 恋「可可さんだってひらがなの読み方はわかる、でも目まぐるしく変わっていく状況の中で即座に読み方をメモするには"音からひらがなへの変換"などという余計な手間は省きたかったのでしょう」
恋「だから、可可さんは別のものを使ったんです」
恋「アルファベットで日本語の読み方をストレートに記録できる…あるものを」
すみれ「そっか、ローマ字」
恋「はい」
恋「ピンインでしたっけ?中国語では読み方をアルファベットのようなもので表記するとききますし、可可さんにとって読み方をアルファベットで表すというのは馴染み深い方法なのでしょう」 すみれ「とはいえ…」
恋(すみれさんが可可さんのノートに書かれたローマ字の列を睨みながら顔をしかめる)
すみれ「頭を取るとかあったでしょ?ローマ字に直して最初の文字を見たところで読めなくない?」
すみれ「左にずらすにしてもアルファベット順でずらしなんかしたらそれこそよくわかんない文字列になるわよ」
恋「そこで、これの出番です」
恋「部室から持ってきたノートパソコン、これがあれば全てが解決するでしょう」
すみれ「どういうこと?」 恋「お母様はパソコンで文章を書いた、ならば…」
恋「その間、お母様の見える範囲にはずっとあったんです」
恋「パソコンのキーボードが」
恋「とりあえずですね…一つやっていきましょう」
恋「わかりやすいのはこれですかね」
1.txt(4番目)
→ 知惰大Mパ夢O
かのん「一番最初に見た文から『楽章が始まったら頭を取るが良い』をしたやつだね」 千砂都「漢字になってるのは最初の音だけにすると」
しだおMぱゆO
すみれ「これをローマ字の最初のアルファベットだけにするのよね」
SDOMPYO
すみれ「これでいいのかしら?」
恋「ここで部室から持ってきたノートパソコンの出番です」 恋「キーボードに照らし合わせてそれぞれを一つずつ左にずらしていくと」
SDOMPYO
↓
ASINIOTI
千砂都「ただし、ここで最後の指示…『いや、異人の頭はそのままだ』を忘れちゃいけない」
千砂都「もともとアルファベットだった4文字目のMと最後の Oはそのままにしないとだね」 千砂都「だから、正解は…」
ASIMOTO
かのん「これなら読めるよね」
可可「あしもと、デスか」
すみれ「なるほどね。意味不明だった右とか左とかもキーボードって考えたらむしろそのままの指示だったわけか」
恋「思い返せばヒントはありました」
恋「まずは名前から始めると書いた名前が"花"でも"はな"でも"ハナ"でもなく"HANA"」
恋「あの暗号ははじめからローマ字だったのです」 千砂都「だから、正解は…」
ASIMOTO
かのん「これなら読めるよね」
可可「あしもと、デスか」
すみれ「なるほどね。意味不明だった右とか左とかもキーボードって考えたらむしろそのままの指示だったわけか」
恋「思い返せばヒントはありました」
恋「まずは名前から始めると書いた名前が"花"でも"はな"でも"ハナ"でもなく"HANA"」
恋「あの暗号ははじめからローマ字だったのです」 千砂都「それに異人の頭とはいえ、頭だったら見た目はそう変わらないはず」
千砂都「アルファベットという同じ見た目で揃える方が文にはあってるか」
すみれ「可可…」
すみれ「すごいじゃない!アンタがやったのよ!私も他の誰も見つけられなかった」
すみれ「よかった!本当に、本当によかった!」
可可「な、なぜククよりもすみれが喜ぶデスか!?」
すみれ「ごめん私…クゥクゥのことちゃんと見れてなくて…」 すみれ「ごめんね…ごめえええん!」
可可「喜んだかと思えばいきなり謝らないでくだサイ!」
すみれ「あんたはちゃんと戦ってた。自分にできることを最大限やってた」
すみれ「今日だけじゃない、周りよりもできないことがあろうといつか追いつくって必死に追いかけて、あきらめなかった」
すみれ「忘れてたわ。クゥクゥ、あんたは頭がいい以上にあきらめが悪いやつだった」
すみれ「それを何もやってないとか、頭がいいんだからとか…」 可可「いえ、何もできていなかったのは事実デス。最後の最後で偶然たまたまうまく行っただけで」
かのん「それは違うとおもうよ」
可可「かのん…」
かのん「偶然なんかじゃないよ。全文書き写して、私たちの話から読み方をかかさずメモするなんて普通はやらない」
かのん「可可ちゃんがどれほど必死にくらいつこうとしたか、恋ちゃんの力になろうとしたかこのノートをみれば誰だってわかる」
かのん「その結果がこれ。可可ちゃんが諦めなかったから掴み取った成果だよ」
恋「はい、恐るべき執念と言えます」 可可「そこに意地になって余計に迷惑かけてしまうこともありマスがね」
すみれ「そうね、でもそれがクゥクゥのやり方なんでしょ?」
すみれ「私もなんで聞かなかったのかなんて聞いちゃったけどさ、そういうのは聞く努力も一人でやる努力も放棄してるとか…結果的に失敗したとかそういう奴にかける言葉よ」
すみれ「絶対に自力でやり抜く、頼らずに成功しますってやって本当にやり遂げたやつには何も言えないわ」
すみれ「好きにしなさいな。その代わりちゃんとやり遂げろ、本当にやばくなったらその時には意地はるなってだけ」 可可「はい、心得マス」
すみれ「だから…だからね…」
すみれ「ありがとおおおう…ごめえええええん!!!」
可可「あの!?そこからなんで泣くデス!?」
すみれ「だって…可可が…私が!ちゃんとやっててたのにわからなくて!!」
可可「日本語おかしくなってマスよ!」 ………
………………
すみれ「………」
かのん「落ちついた?」
すみれ「」コクン
かのん「そ…そっか」
可可「ま…まあ、ククが話してなかったという指摘はククのことちゃんと気にしてないと出ないと思いマスので」
可可「………ありがとデス…すみれ」 千砂都「まったく、可可ちゃんは恐ろしいよね。結果が出るかどうかなんてお構いなしにここまでやるなんて」
千砂都「って、転科ならまだしも退学まで持ち出した私が言うのはおかしいか」
可可「そこまで褒めてもらえるとなんだがムズムズしマス」
かのん「褒めてるのかな、これ」
可可「……ククはレンレンの役に立てたと、そう胸をはってもよいデスか?」
恋「はい、今日一番の功労者です」 可可「よかったデス…ククはちゃんとできることをできてたのデスね」
すみれ「とはいえ!!癇癪起こさずにいてくれたらもっとよかったけどね」
かのん「復活はやっ!」
千砂都「ジェットコースターみたいだね」
可可「む、ククはかんしゃくなど起こしてマセン!」
すみれ「さすがにそれは無理があるわね〜」 可可「だいたい元々はすみれが!」
可可「……というより、さっきの号泣はどこに消えたのデスか?」
すみれ「あれは気の迷いですけど〜?私が可可ごときのために泣くわけないでしょ」
千砂都「はいはい喧嘩しないの!」
恋「えっと、とりあえず残りのを解いてしまいますか」 恋(解き方さえわかればあとは簡単)
恋(やっとお母様の残した本当の言葉が見えました)
すみれ「これが…答え…」
千砂都「やっと…解けた」
可可「できマシた…」
かのん「あとは、この通りに最後の仕上げをするだけか」 恋「ですがその前に…」
かのん「うん、あれを確認しておこう」
可可「今さら見るまでもないデスがね」
恋「あ、あとその気になっていることが…」
恋「実は…」 …………
………………
恋「ということがありまして」
恋「その時は特に疑問に思わなかったのですが…」
千砂都「あー、うん…それはちょっとひっかかるよね」
恋「やはり」
千砂都「うん、だってさ…恋ちゃんが今まさにやってるでしょ?」 恋「知らなかったとは思えないんです」
恋「それに…知っていたらおかしいですし」
千砂都「聞いてみる価値はあるかもね」
かのん「んー、私もさ恋ちゃんの話きいてずっと気になってることあるんだよね」
…………
………………… 恋「……あれ?なんででしょう」
かのん「だよね!別々にしないよね」
かのん「よかったぁ!ようやく言えたよ」
恋「ならばもしかしたらこれも…」
すみれ「何かあるの?」
可可「聞きますよ」
…………
…………………… すみれ「なるほどねー」
恋「違和感というほどのものでもないのですが」
可可「それ単体ではおかしくないデスが、ついつい行動に出てしまったのデスね」
すみれ「総合したらクロってことかしら?」
恋「それを含めて確かめに行きましょう」
すみれ「あ、だったら…いいアイディアが」
すみれ「あのね…」 〜結ヶ丘女子高等学校某所〜
恋(お母様の残した暗号を見つけて始まった試練…いくつかの手順を経て浮かびあった文章は)
『TAKARA HARIJI CHOUNO ASIMOTO BUSITU NOHEYA BANIRETE』
恋(『宝は理事長の足元、部室の部屋番いれて』でした)
恋(何年もかけてわたくしたちに託された言葉の結末がどうなるのか、確かめに行くことにしましょう)
恋(おそらくは…いえ、やめておきましょう)
恋(最後の最後まで何が真実かはわからないですからね)
(注釈)
出題にミスがあったため
3.txtの3行目がL、2.txtの8行目がTになります
『TALARA HARIJI CHOUNO ASIMOTO BUSITU NOHEYA BANIRETT』になるはずなのですが、花さんの霊的な何が奇跡的にそこの変換を上手いことやってくれたことにしてください 〜翌日朝・理事長室〜
コンコンコン
理事長「はい、どうぞ」
恋「失礼します」
理事長「…恋ちゃんたちか」
理事長「で、なんの用?って聞くまでもないか」
恋「はい、わかりました。お母様からのメッセージが」 恋「昨日の時点では奇怪な文章だったのですが、どうやら中身は暗号だったらしく…」
理事長「それを解いたってわけね…で、花はなんて残したんだい?」
恋「『宝は理事長の足元、部室の部屋番いれて』…それがお母様からのメッセージでした」
理事長「理事長のあしもとって…ここ?」
かのん「そうらしいんですよね」
千砂都「何か心当たりあります」
理事長「いや、私の足元には確かにあるよ…こんな感じに」
理事長「ものをしまっておけるスペースが」 理事長「とはいえ、ここは私たちが通ってたころからあるし、私もなんだかんだでここは開けてないんだよね」
すみれ「そうなの?」
理事長「そうよ。せっかくだから開けてみる?」
可可「是非ともデス」
ガチャ
理事長「よし、開いたわよ」 理事長「ああ!でもすっきりしたわ。昨日じゃただの変な文章だったっていうじゃない」
理事長「やっぱり最後まで見てみないとわからないものね」
恋「…やはりそうでしたか」
恋「おばさま、芝居はやめてください」
理事長「いやいや芝居って」
恋「…おばさまはなぜ、最後の文を見たからわたくしたちが暗号に気づいたと思ったのですか?」 恋(そう…昨日わたくしはたしかにこのフロッピーの中身にお母様の奇怪な文章があったこと、そして最後の文だけはみ 見られなかったことを報告した)
恋(そして、今日になってあれが暗号と気づいたとも言った)
恋(その間を繋ぐ事実を意図的に伏せたままに)
恋「"昨日の時点では最後の文書を見ていない"と"今日になって暗号だと気づいた"、この両者を聞いたところで最後の文に暗号だと示唆するものがあったなんて断定できません」
恋「だって、暗号と示唆するものがすでに読んだ箇所にあったのかもしれないですから」
理事長「先ほどのはまるで、最後の文を読めば暗号と気づくと知っていたかのような話ぶりでしたよ」 理事長「たまたまよ。たまたま最後のファイルにこれは暗号ですって書いてあったのかなって思ったの」
理事長「もちろん最後のファイルなんか見たことないわよ?あくまでも推測」
恋「そうですか、ですが…最後のファイルにおばさまがこの中を知っていたという証拠があるんです」
理事長「何よ、それ…」
恋「一緒に見てみますか、最後のファイルを…千砂都さん」
千砂都「了解!」 恋(取り出したのはパソコンとフロッピーとドライブ、もちろんすでにフロッピーの中身を見られるようにしています)
恋「おばさま…この中から"最後のファイル"を開いてもらえますか?」
恋(千砂都さんがフロッピーのアイコンをクリックし、中のファイルが開かれる)
『0.txt』
『7.txt』
『6.txt』
『5.txt』
『4.txt』
『3.txt』
『2.txt』
『1.txt』 理事長「なによ…」
恋(おばさまの操作する矢印はまっすぐに一番上に向かい、ファイルを開いた)
恋(表示されたのは今日ようやく見ることになった最後にしてはじまりの文章)
恋「それが最後のファイル…ですか?」
理事長「なによ?何かおかしいの?」
恋「まっさきにそのファイルを開こうとした…それが何よりの証拠です」
恋「最後のファイルなら普通は『7.txt』か並び順で『1.txt』だと思いますよ」 理事長「いやいや、昨日恋ちゃんが話してくれたでしょ?その時にファイル名聞いた気がするわよ」
恋「そうですね。昨日わたくしはおばさまに見た中身を伝えました」
恋「ただし、最後のファイルの名前だけは伝えようがなかった。見ていないのだから当然です」
恋「わたくしが伝えられるファイル名は『1』から『7』まで、そして後一つ残っているならば…『8』と考えるはず」
理事長「あら、そう断定するのはなぜ?あれから時間も空いたし逆方向に『0』かもって…」
理事長「それにこんなの消去法でしょ?私、こういうのは早い方なのよ」
恋「ゼロ…ですか?」
理事長「まあ、これゼロじゃないわよね…O(オー)でしょ?」
恋「かかりましたね…おばさま」 恋「よく見てください」
理事長「なによ…あれ?これってまさか…あなたたち変えて……はっ!!」
恋(すみれさんの提案した罠におばさまは見事にかかってしまった)
恋(ごくごく単純で、少し手間がかかる程度の簡単な罠に)
恋「はい、それはオーではありません…ゼロです」
恋「あのファイル名がまさかこのように使えるとは思いませんでした」
恋「あのファイル名ゆえにこの仕掛けの成功率は上がっていたようなものですから」 恋「先ほどのは一般論ですが…ここからはおばさまの頭の中を想定してお話しします」
恋「おそらくおばさまの思い浮かべていた画面は2通り」
恋「一つはわたくしたちが目にした『1.txt』〜『7.txt』が並びその後に『O.txt』がある画面」
恋「もう一つはその逆、『O.txt』が一番上でその下に『7.txt』〜『1.txt』の順に並ぶ画面」
恋「今の画面の『ゼロ』が『オー』に置き換わった画面と言ってもよいでしょう」
恋「ですよね、すみれさん」 すみれ「そう、ファイル名の昇順と降順の表示ってやつよ」
すみれ「作成日時も保存日時も無い同然なんだし、サイズなんかで並び替えてどうするんだって話だし…まあ他に色々あるにしろこの2通りよね」
すみれ「だから最上に『ゼロ』がある画面を『オー』が降順で上に来てるだけと思ってしまったってところかしら?」
恋「おばさまがどうファイルを選ぶか、どのファイルを選ぶかなんてどうでもよかったんです」
恋「目的はおばさまに存在しないはずのオーを読ませること、ただ一点でした」
恋「ファイル名の変更まで一緒に言及してくださるのは予想外でしたが」
恋「………わたくしたちがファイル名を変えたことを指摘する…それは中身を知っていたと白状するも同然ですし、観念してください」 理事長「こうやってゼロが1番上にくるようにしたのは…」
すみれ「私よ、ちなみにこのファイルは正確には恋のお母さんの作ったファイルじゃないわ」
すみれ「データとは言え恋のお母さんの書いたものだもの、ちゃんと元のはそのまま保管してある」
すみれ「ファイルをコピーして、同じように作成日時と保存日時をいじってデータサイズをこういう順になるように調整して、サイズ順に並べ替えたってわけ」
すみれ「調べてみたら日時変えるのは思ったより簡単だし、もとのサイズはゼロが一番大きかったし、他のファイルはほぼ横並びだったからわずかな調整で済んでよかったわ」
理事長「その様子だと気づいてカマをかけたってところ?」
恋「はい、この暗号は少なくともお母様ひとりが考えたものではない」 理事長「いつ気づいたのかしら?」
恋「もしかしてと思ったのはここに来る直前です」
恋「ですが、根拠となる出来事があったのは昨日ですね」
恋「おばさまは3つミスをしていました」
理事長「あら?なにかしら」
恋「一つ目はわたくしがここでフロッピーを見つけた時」
恋「学校にかかわるフロッピーディスクをまるでわたくしが気づくように机の上に置いていました」
理事長「それがおかしかったの?私こう見えても結構いい加減なんだけど?使ったときにそのまま置いてたかもよ」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています