【SSコンペ】メイ「ったく…部室の掃除も楽じゃな…ん?なんだこの変な封筒」恋「懐かしいですね…お母様の秘密のメッセージです」
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ラブライブ!SSコンペを開催します!
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1685782999/
↑へのエントリー作品です
スパスタ1期放送〜2期放送の間で大筋だけ考えてお蔵入りした話です
コンペのお題が「秘密」と聞いた時にこの話のことを思い出し、せっかくだからエントリーを口実にちゃんと書いてみようかなと思いました
謎解き要素あり
2期最終回あたりの時期に1期の時点のエピソードを回想している設定で書いていくつもりです
長めの話になると思います
エントリー期間内に書ききれることを目標に書いていきます
あと、私独自の解釈も入ってくるのでこの子はこんなキャラじゃないといった意見もあるかもしれません
※スレタイにメイがいますが本編ほぼ出番なしです メイ「秘密のメッセージ…ってこれが?」
恋「あ、実はその中に」
メイ「んー、これ…フロッピーってやつか?」
恋「知っているのですか!メイさん!」
メイ「実物見るのは初めてだけど…この中に入ってるってことかよ」
千砂都「おやおや、なんだか懐かしいものが出てきたね」
メイ「千砂都先輩!?」 千砂都「お疲れ様。様子見にきたよ」
千砂都「なんかゲーム?とかやってサボってないかな〜って、部長として心配でさ」
メイ「私ら信用ねーんだな…」
メイ「なあ、恋先輩からもなんか」
恋「ご心配ありがとうございます。千砂都さん」
千砂都「ありゃー、感謝されちゃったか」
メイ「そうだ……こういう人だったな」 千砂都「ん?その封筒もしかして」
恋「はい、あの時のフロッピーです」
千砂都「大変だったよね。主に恋ちゃんが」
恋「あの時はご迷惑をおかけしました」
千砂都「ふふ、ご迷惑を…か」
恋「はい、ご迷惑です」
メイ「えっと」
千砂都「気になる?」 メイ「まあ…その、さっきから恋先輩と千砂都先輩の間に流れてる妙な雰囲気ももだけど」
メイ「…スクールアイドルの大先輩でこの学校の創立者の秘密のメッセージだろ?気にならないわけないというか」
メイ「ってか今時フロッピー…いや、恋先輩のお母様って神宮時代の卒業生だからその時のか」
メイ「なんだろう。くっ、見てみたいなぁ」
恋「そんなに大したものではないですよ」
メイ「いやいや謙遜はいいよ!恋先輩のお母様はスクールアイドルの黎明期を支えた功労者だろ」 メイ「どんな些細なものでも私には宝物だよ!」
恋「そうですか…とはいえフロッピーディスクですし」
恋「見せることは難しいので、わたくしが代わりにその中身について話す…ということでよろしいですか?」
メイ「うん、聞きたいっ!」
恋「では、コホン…」
恋「時は去年のラブライブ東京予選の終了後、年も明けたばかりの冬のある日にさかのぼります」 〜1年前・早朝・スクールアイドル部部室〜
恋「ふぅ…思ったより早く来られました」
恋「さて、取り掛かりましょう」
恋(なぜ、わたくしがこんな早くに部室にいるか…その前に)
恋(わたくしがこうしてスクールアイドルになるまでに犯してしまった数々の過ちについては、皆さん既にご存知かとは思います)
恋(ご存知ではない方はアニメ1期を見てくださいね)
恋(わたくしがお母様のノートをちゃんと見つけていれば、あのようなすれ違いは起こらなかったでしょう) 恋(そんなわたくしも紆余曲折を経てスクールアイドルとなり、Liella!としてラブライブに挑んだのですが…結果は東京予選敗退)
恋(夢がなかばに潰えたあの日にわたくしはある決意をしました)
恋(あのような思いをしないためにわたくしができることは全てやろう)
恋(あの時のノートのような取りこぼしなどせずに、結ヶ丘の全てを以て今度こそ優勝を成し遂げよう…と)
恋「そのために今のわたくしができること、それは…」
恋「この学校でスクールアイドルをしていたお母様たちの記録と想いを見つけて、繋いでいくことです!」 恋「見たところ、この部室にはかのんさんたちが手をつけていない箇所がまだあります」
恋「そういった箇所にこそ、何か重大な秘密があるのではないでしょうか?」
恋「では、いざ参ります」 〜1時間後〜
恋(む、うー…)
恋(何も…目ぼしいものがないです)
恋「もっと、過去の楽譜ですとか…ライブの記録ですとか…そういったものがあるかと…」
かのん「あー、うん、私たちも初めの頃そう思ったよ」
恋「……!?」 かのん「でも、そういうのは恋ちゃんのお母さんが理事長に預けてたんだよね」
かのん「あのノートの入ってた箱くらいじゃないかな、ここにある大事なものって」
恋「か、かのん…さん!?いつから?」
かのん「あ、なんとなく部室に寄ろうかなって、それで…近づいたら恋ちゃんが中でガサゴソしてたから…その…」 千砂都「恋ちゃん、探し物なら手伝うよ」
すみれ「私にかかれば何だろうとあっと言う間に見つかるったら見つかるわよ」
可可「すみれは深海でエサでも探せデス、グソクムシなので」
かのん「みんなを呼んじゃった」
恋「う…」
恋「見られていたのですか」 恋(あまりの恥ずかしさに後ずさった、それがいけませんでした)
ドンッ…
恋(わたくしの背後には、先ほど物色していた段ボールがありました)
恋(ぶつかったせいでそれらが崩れ…)
ドサアアアアア!
恋「ああっ!」
かのん「恋ちゃん!」 恋「わたくしは大丈夫です!ただ、段ボールが…崩れ…え?」
かのん「え?これ…」
恋(崩れた段ボールのうちひとつの裏に何かが貼り付けてありました)
千砂都「これ…封筒?」
可可「デスね」
すみれ「普通に積んだり下ろしたりしてたら気づかないわよこんなの」
恋「これは…!大発見です!!」
かのん「恋ちゃん?」 恋「恐らくお母様たちの知られざる活動記録が!」
千砂都「そう、なのかな…」
恋「このように隠されていたということは、いずれこの部屋を使うであろうスクールアイドルに直接渡したい特別なものに違いありません!」
すみれ「あー…理事長経由にしたくなかったのは間違いなさそうよね」
可可「隠したまま忘れてシマッタということかもしれマセンが」 恋「中を見てみましょう!さて…何が…」
恋「………?」
かのん「どうかした?何が入ってたの?」
恋「これは…」
恋(封筒の中に入っていたものを取り出して、もう一度よく見てみます)
恋(正方形の、おそらくプラスチック製の、平べったいなにか…一辺は多分10センチもない…) すみれ「それ、フロッピーディスク…?」
かのん「初めて見たかも…」
恋「ふろっぴぃ…でぃすく?」
可可「ほう、これが」
千砂都「まさか本物を見ることになるとはね」
恋「あの、これは何なのですか?」 かのん「うーん、私たちもそんなに詳しいわけじゃないんだけど、フロッピーディスクってのは…」
〜間〜
恋「なるほど、つまりこれはデータを持ち運ぶためのものであり、パソコンで読み書きが可能だと」
かのん「うん…そうなんだけど…」
恋「では、さっそく見てみましょう!」
恋「……」
恋「………?」 すみれ「えーっとね、フロッピーなんだけど…」
恋「すみません、その…」
恋「以前、"しーでぃーあーる"ですとか"ゆーえすびーめもり"の中を見たときは、どこかに入れたり挿したりしたと思うのですが…」
千砂都「あー、そうだったね」
恋「ふろっぴーでぃすくは…どこにも入りそうにないです…」
可可「無いデスからね…フロッピーディスクドライブが」 恋「無い、まさか…」
恋「このパソコンは不良品、なのですか?」
恋「そうだ!パソコン室に行けば!」ダッ!
千砂都「ストップ!ストップ!ストーーップ!」
恋「止めないでください!!!わたくしはやらねばならないのです!!」
すみれ「落ちつけえええ!」
かのん「無いから!パソコン室のもフロッピーのドライブ無いから」 ……
……………
恋「…取り乱しました」
恋(4人ががりで止められ、ようやくわたくしも冷静になってきました)
恋「それにしても…なぜですか!?なぜ無いのですか!?」
千砂都「えーっとね」 千砂都「さっきの説明では言ってなかったけど…」
千砂都「もう使われてないんだよ。フロッピーって」
かのん「お父さんが昔使ってたみたいな話は聞くんだけどね」
恋「ふろっぴーは…もう、いらないということですか?」
千砂都「そういうことだね」
恋「なんでですか!?」 千砂都「それより便利なものが出てきたからかな?」
恋「名前だってかわいいのに!」
かのん「そこ関係ある?」
可可「あー、たしかそんな名前のカエルがいマスね」
可可「けろけろ…」
すみれ「それ以上はやめなさい!」 千砂都「時代に適応できないものは消えていく、悲しいことだけどね」
千砂都「保存容量の不足、衝撃や磁力によるデータ消失の可能性…」
千砂都「なによりCDみたいにまるくないし」
千砂都「フロッピーは負けちゃったんだよCDの持つ"まるのパワー"にね」
恋「そんな…そんな…」
すみれ「フロッピーディスクの中にもまるいディスクが入ってるのは言わない方がいいかしら」 かのん「そんなに落ち込まないでよ。私たちもなんとか中を見られないか方法探すから」
恋「はい…ありがとうございます」
恋(それから外付けのどらいぶ?というものがもしかしたらあるかもしれないと手分けして部室を探しました)
恋(ですがそのようなものは見つからず) 〜放課後〜
恋「はあ…」
恋(授業はあまり集中できませんでした)
恋(この手の知識が皆無なわたくしはまったくもってなにが何やらわからない)
恋(ふろっぴー…その役目をろくに果たすこともできずに時代に置いていかれてしまった存在」
恋「まるで…わたくしのよう」
恋「いえ、一時代を支えたようですし、わたくしと一緒にするのは失礼ですね」 音楽科モブ「あの…葉月さん?」
恋「は、はい!なんでしょう!」
音楽科モブ「えっとさ…今日ずっと元気なかったけど、何かあったの?」
恋「え…」
恋(わたくしとしたことが、みなさんに心配をかけてしまうとは)
恋「…すみません、生徒会長ともあろうものがこんなことではいけませんね」
恋「心配ありませんよ。お気遣いありがとうございます」 音楽科モブ「それなら、まあ…いいけど」
音楽科モブ「はいこれ、申請書ってこれでいいんだよね」
恋「これは…部活動の設立申請書?」
恋「…流しそうめん、同好会…?」
音楽科モブ「あ、うん…音楽とは関係ないのはわかってるんだけど」
音楽科モブ「私のおねえちゃんがさ、別の学校で流しそうめんの同好会やってて…それで思いついたんだよね」 音楽科モブ「うちの学校さ…今は音楽科も普通科も仲良くやってるけど、途中までは揉めたりもしてたじゃん」
恋「そうですね…すみません」
音楽科モブ「あ、そうじゃなくて!選挙とか文化祭のこと蒸し返したいわけじゃなくて!」
音楽科モブ「むしろ葉月さんはあの後でLiella!入って音楽科と普通科の橋渡ししてくれてるし」
音楽科モブ「私も普通科の子と部活して、一緒にもやもやを水に流して、仲良くするきっかけにしたいな…って」 音楽科モブ「ほら、流しそうめんだけに?」
恋「…ふふっ」
音楽科モブ「笑わないでよ」
恋「失礼しました…」
音楽科「…できるかな?流しそうめん同好会」
恋「最終決定は理事長がしますが、わたくしとしてもあなたの要望が通るように尽力します」 恋「できるとよいですね。流しそうめん同好会」
音楽科モブ「うん!よろしくね。葉月さん」
音楽科モブ「じゃあ、帰るかな!」
恋「はい、お気をつけて」
音楽科モブ「あ、そうそう」
恋「??」
音楽科モブ「私たちになんかできることあったら言ってね。葉月さんは私たちの生徒会長なんだから!」
恋「…!!!」
恋「はい、ありがとうございます」 恋(思いもよらないところで、元気付けられてしまいましたね)
恋「さて、色々と気がかりはありますが、まずはこの申請書です」
恋「どれどれ…」
【設立理由】みんなでそうめん流して仲良くなりたいから!
【活動計画】あまり決めずに流れで活動していきたい…流しそうめんだけに!
恋「…さっきの良い話はどこに?」
恋(生徒会での許可は…まあ、実質一人なのでわたくしの匙加減ですよね。許可でよいでしょう…問題は)
恋(……理事長、ですよね) 〜理事長室〜
コンコンコン
理事長「どうぞー」
恋「失礼します」ガチャ
理事長「恋さん、何かしら?」
恋「部活動の設立申請がありましたので、持ってきました」
理事長「あら、そうなの」 理事長「見せてちょうだい、えっと……流しそうめん…同好会?」
理事長「そうね…一応、生徒会長の意見を聞こうかしら?」
恋「アイディアは突飛ですが、設立理由も行動計画もユニークでおもしろいとおもいます」
理事長「読んだのよねこれ」
恋「はい、その上で本人に聞き取りをして設立に足るものと思いました」
理事長「それで許可ね」 理事長「いつもの恋さんならこれを出されて許可はしないと思うんだけど」
恋「それは…」
恋(たしかに、いつものわたくしならば不備のある申請書をそのまま通すなどしない)
恋(これは職務の怠慢と言われてもしょうがない事態です)
理事長「なにか、理由があるのかしら?生徒会長としてのチェックを疎かにするくらい気になることが」
恋「気になること…」 理事長「…ひとまず申請書は預かっておきます」
理事長「まっ、実のところ設立段階でなんかあっても活動がちゃんとしてればいいし…許可する方向で進めるわよ」
恋「お願いします…」
恋(申請書を渡して帰る、何度もしてきた動作です)
恋(ですが、今回は少し違っていました)
恋(わたくしの視界に"それ"が入ってきたから) 理事長「どうかした?」
恋(わたくしを今これでもかと悩ませている、1辺10センチにも満たない前時代の遺物…)
恋「それ…ふろっぴー、ですか?」
理事長「ああ、これ?神宮音楽学校時代の記録よ。古いやつはフロッピーのも多くてね、中のデータを確認し、必要ならば順次ストレージへの移行を…」
恋「中を、中を見られるのですかっ!?」 理事長「な、なにいきなり…そうね。まあ、ギリギリまだ現役で使える外付けドライブを引っ張ってきてだけど」
恋「見られるのですねっ!!」
理事長「そうだけど。何かしら?いったい」
〜間〜
恋「……ということなのです」
理事長「ふーん、なるほどなるほど」 理事長「面白そうじゃない。あの子の残したかもしれないフロッピー…ねぇ」
理事長「おかしな話だけど、あの子だったらやりそうね…ふふっ」
恋(おばさまは椅子の背もたれに体重を預けて何やら昔を思い出しているようでした)
理事長「いいわ。こんなオンボロでよかったらいくらでも使ってちょうだい」
恋「ありがとうごさいます」 恋「では、さっそくかのんさんたちを集めて…」
理事長「待ちなさい!ここに居座るつもり?」
恋「え?」
恋(おばさまが机から何やら四角いもの、恐らくふろっぴーの中を見るための機械を取り出しました)
理事長「これ、部室に持ってっていいわよ。パソコンあるでしょ?それなら使えるだろうから部室でちゃっちゃと解いてきなさい」
恋(おばさまが腕をめいっぱい伸ばして差し出したその機械…机越しに受け取ったそれは思ったより軽いものでした) 理事長「何かわかったら教えてちょうだい」
恋「は、はい!ありがとうございます」
理事長「それから、あまり入れ込んで遅くならないように。時間がかかりそうなら切り上げて明日にしなさい」
恋「わかりました!」
恋(これでついに中を見ることができます…)
恋(お母様たちが残したかもしれないフロッピー、いったい何が入っているのでしょう) 〜部室〜
恋「…みなさん、準備はよろしいですか?」
恋(おばさまから借りた機械をパソコンに接続、これでフロッピーの中身が見られるようになるようです)
かのん「ついにわかるんだね」
すみれ「いざ見るってなるとドキドキするわ」
千砂都「中は、なんだろうね」
可可「レンレン、いきましょう…」
恋「ええ、いざ!」 恋(おばさまから預かった機械に、フロッピーを差し込みます!)
カシャカシャ…ヒューン
恋「動きました!」
千砂都「さてと、中身は…これは、テキストファイルだね」
恋「テキスト…文章ですか?」
千砂都「フロッピーって中のデータが消えちゃうこともあるらしいから心配だったんだけど、大丈夫そうだね」 可可「開いてみマスカ?」
すみれ「開くしかないでしょ…ま、ウィルスチェックくらいはするとして」
恋「えっと、それはどのくらいかかるのでしょう」
すみれ「たかだかフロッピー1枚の中身だし、一瞬で終わるわよ」
千砂都「ではチェック、チェックと」
恋(なにやら千砂都さんがカチャカチャと操作して、本当に一瞬でウィルスチェックは終了しました) 千砂都「まずは、順番通り『1.txt』ってのから見ようか」
すみれ「おー、出た出…へ?」
千砂都「あ、……えっとこれは?」
かのん「これは、なんとも…」
可可「ククはよくわかりませんが」
恋「あ、ああ…」 〜〜〜〜〜〜〜〜
『1.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜〜
〜第一楽章〜
知らない、こんな疼きは…
惰性で生きるだけの私が壊れていく
大いなる闇の一部へと矮小な自我は
Miglationしていく
パワーが、力が私の中に満ちていくのを感じる
夢のようだ、真の私が今始まったのだ
O vos omnes,迷える者は土に還り給え
HANA
〜〜〜〜〜〜〜〜〜 かのん「………」
千砂都「………」
すみれ「………」
可可「ククにはよくわからないデスね」
恋「………」
可可「みなさんどうしマシタ?」 恋「い…」
可可「レンレン?」
恋「いやあああああああああああ!」
恋(ま、まさか…これは…?)
千砂都「…盛大にやらかしてるね」
恋「見ないで!見ないでください!」 かのん「恋ちゃん的にもこれはアウトなんだね」
かのん「と言われても、もう見ちゃったし」
すみれ「受け入れなさい、恋」
恋「そ、そうです!これがお母様の書いたものと断定するのは…」
可可「思いっきり"はなより"と書いてありマスが?」
恋「ああああああああああ!」 かのん「えっと…他に花さんがいたとか…」
千砂都「そうだよ!別に恋ちゃんのお母さんだって決まったわけじゃない!」
すみれ「そうよね、花って別に珍しくもないわ…多分」
恋「………」
かのん「でしょ?」
千砂都「まあ、まだ一個目だし、他のも見てみようよ」 〜〜〜〜〜〜〜〜
『2.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜〜
〜第二楽章〜
望まれぬ文など飾りに過ぎない
すべては陳腐、にもかかわらず
まだ人の子らは言の葉を紡ぐ
終わらないつぶやきに意味などない
ただ空しい空白を埋めるだけだ
論じたところで答えは見えない
悠久を回るのはウロボロスの問いかけ
欲深さでサタンを火炙りにしてしまえ
HANA
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 かのん「…おっふ」
恋「…う、うう…」
千砂都「覚悟していても、これは」
恋「…次を、よろしくお願いします」
千砂都「了解」 〜〜〜〜〜〜〜〜
『3.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜〜
HANA
〜第三楽章〜
厄災が睦まじい交わり終わらせる
さあ、まじまじと決意を尖らせる
Lest in peaceする私のシャドウ
さあ、目覚めて進むは裁きの邪道
天秤に掛け足そう戦陣へのエンジン
さあ、駆け出そうまっさらの更に前
〜〜〜〜〜〜〜〜〜 すみれ「これは何かの歌詞なのかしら?」
可可「レンレン!しっかりしてクダサイ!」
恋「あわわ…あわわわ…」
すみれ「ちんたらやってる余裕は無さそうね、次いきましょ!」 〜〜〜〜〜〜〜〜
『4.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜〜
〜第4楽章〜
C・ウィルソンは弥漫の生より死を尊んだ
情欲からの死を人は求めていると尊んだ
プロメテウスは凶鳥に身を貪られた
いかなる罪かは知らぬが貪られた
メデューサは首を刎ねられた
ペルセウスの叡智によって刎ねられた
HANA
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 かのん「はは、過激だね…」
恋「……」
千砂都「恋ちゃん?」
恋「おかあさま…おかあさま…おか…あさま?」
すみれ「ねえ、ファイルっていくつあるの?」
千砂都「あ!そうか…えっと、8つかな」
千砂都「5つ目いくよ!」 〜〜〜〜〜〜〜〜
『5.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜〜
〜第5楽章〜
HYAKUNはIKKENに如かず?
Ah、くだらない
たかだかSEKAIのすべてなど
恐れ多くもPerfectな私には
こんなにも手にとるようにわかる
おお、沈黙は金、私は貝になる
HANA
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 可可「かのん!…レ、レンレンがっ!」
恋「オカ、オカカカカカカカカ、オカ…アア」
かのん「恋ちゃん!しっかり!」
かのん「次っ!次だよ!」 〜〜〜〜〜〜〜〜
『6.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜〜
〜第6楽章〜
水…水が無い
パンが無い…渇きと飢えが
地面に倒れる私のそばを皆が通り過ぎる
楽園が崩れ去る
嘘だ終わりたくない!
せめて水を、水をください、ああ
HANA
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 恋「…うー、あうあー」
すみれ「恋!しっかりしなさい!恋!」
千砂都「もう、やめた方が…」
かのん「……ううん、続けよう」
千砂都「かのんちゃん!?」
かのん「見てよ、恋ちゃんは諦めてない」
恋「……ん!はーく、はーく!」 すみれ「早く、早く?」
可可「これは催促していマス…?」
かのん「そうだよね、うん」ダキシメッ
かのん「よしよし、私たちも一緒に戦うよ」
かのん「さあ、次だよ」
恋「ちー!はーくぅ!」 かのん「さあ、恋ちゃん!いくよ」
恋「おー!かの!」
かのん「ふふっ…ママって呼んでもいいんだよ?」
恋「んー……かの!」
かのん「ママでいいんだよー」
恋「かの!」 かのん「マ、マ」
恋「か、の!」
すみれ「何?あれ」
可可「ククたちは何を見せられてマスか」
千砂都「7番目のファイル、開くよ」 〜〜〜〜〜〜〜〜
『7.txt』の中身
〜〜〜〜〜〜〜〜
〜第7楽章〜
乗り越えろ忘却を、さつきまで
抱いていたものを失つてはならない
どんなことがあつたとしても
恐れずに記憶に向き合うのだ
よしんば傷つくことになつたとしても
いつの日か癒える、恐れるな
HANA
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 恋「………!」
恋「…お母…様…」
かのん「恋ちゃん!」
恋「……はっ!わたくしは何を!」
かのん「戻ったかー、残念」
千砂都「じゃあ、次のを…」
『O.txt』
千砂都「ん?あれ?」 すみれ「いいから、ちゃっちゃと開きましょう」
恋「その必要はありません」
恋「……ここで終わりにしましょう」
かのん「え、でもこれは恋ちゃんのお母さんの残した…」
恋「いいんです。もうわたくしは満足しましたから」
恋「それに、これ以上触れるとわたくしの精神が持ちそうにありません」
恋「持ち直しているこのタイミングでやめるのが一番収まりが良いのではないかと」 すみれ「そ…そうね。恋がそういうなら」
可可「ヤバい代物というのはなんとなくわかりました…」
恋「…皆さん、ありがとうございます」
恋「これを書いたのは…十中八九、お母様でしょう」
恋「それは皆さんも薄々わかっていると思います」
恋(皆さん顔を見合わせて、それから絞り出すように話しはじめました) かのん「…そりゃ、スクールアイドル部の部室にこういう形で残っていたわけだし…」
千砂都「恋ちゃんのお母さんたち以外に神宮音楽学校でスクールアイドルをしてた人はいないっぽいし…」
すみれ「花という名前でこのスクールアイドル部の部室を使ってたのは一人だけよね…」
可可「部室の鍵はずっとレンレンの家にあったので、第三者が入ったわけでもないデス…」
恋「はい、しかもフロッピーが使われていたのはかなり昔」
恋「となると…その時期にこの部室を使っていたというところからも絞られます」
恋「………これはまぎれもなく、お母様の黒歴史です」 恋「これらの文章は他愛もない落書きのようなもの…こうしてみなさんと共に見るような価値はおそらく無い」
かのん「………」
恋「なので、ここまでにします」
千砂都「よく考えたら、ちゃんとした資料は学園長にあずけてるんだからここに残ってるわけないよね」
恋「付き合わせてしまい、すみませんでした」 千砂都「さてと、じゃあこれにて今日は解散だね」
恋「わたくしは理事長への報告も兼ねてふろっぴーどらいぶを返しに行きますので」
かのん「ねえ…でもさっき恋ちゃんは」
かのん「本当の恋ちゃんの気持ちは」
かのん「…ううん、またね恋ちゃん」
恋「ええ、また」 〜廊下〜
恋(結果はどうであれ、お母様の痕跡を見つけられた…それだけでも良かったです)
恋(あとは理事長にふろっぴーどらいぶを返して報告するだけ)
恋「それで終わりです」
恋(この小さなふろっぴーに入っていたのは、娘のわたくしから見ても落書きです)
恋(あと、1つファイルはありましたが恐らく同じ)
恋(このフロッピーに価値なんてない)
恋(そう…わかっているのに) 0じゃなくてO.txtなのと、
第三楽章だけHANAが最初に来てるのが気になる。深読みしすぎ? 理事長「その様子だと、何かわかったってわけでもないか」
恋「……え?」
恋「おばさま、どうしてここに」
理事長「私だっていつも理事長室にいるわけじゃないっての」
恋「それは…そうですが」
理事長「さっきは勢いこんで出ていったのに、また随分と気落ちしてるわね」 恋「そうですね…」
理事長「フロッピーの中身は見れた?」
恋「ええ、ですが…中にあったものを考えるとここまでする価値はあったのか」
理事長「ま、とりあえず報告はしてもらいましょうか」
理事長「立ち話もなんだし理事長室行きましょう」 〜理事長室〜
理事長「さてと、では洗いざらい話してもらうわよ」
恋「…あの、報告といいましても特に話すようなことも」
理事長「いーじゃん、いーじゃん、こういうのは形式的にでもやっとくもんよ」
恋「形式的にでも、ですか…では…」
恋(先程、部室で見たフロッピーの中身…あの奇怪な文章についておばさまに報告しました)
恋(そして、おばさまの反応は…) 理事長「ちょっ!あはは、あの子がまたそんなもの書いてたなんて…ぷっ、くく…だめ、耐えきれない…ひひっ!」バン!バン!
恋「…おもしろがるだろうとは思いましたが、机をばんばん叩きながら爆笑されるのは想定外でした」
理事長「でも、全部見たわけじゃないんでしょ?もしかしたら最後の一つはまともかもしれないじゃない?」
恋「そんなことは…」
理事長「見るのがこわい?」
恋「…わたくしは、母の残したものであればなんであれ価値があるとそう思っていました」
理事長「今は違うと」 恋「お母様の遺志を無駄にしない、わたくしはそれを指針にしてきました」
恋「今だって、お母様はわたくしにとって大事な存在です」
恋「ただ…それはわたくしにとってそうだというだけ」
恋「周りの方々にもその価値観を要求し、わたくしの目的のために周りの方々の時間や労力を要求する正当性は無いのでないかと」
恋「…そう思ったのです」
理事長「そう…それが恋ちゃんが花の残したフロッピーの中に見たものなのね」 理事長「…ちょうどいい機会だし、私から言わせてもらうわ」
理事長「…恋ちゃん、もう花のこと追うのはやめなさい」
恋「……え?」
恋(一瞬、すべてが止まりました)
恋(だって、おばさまがそんなことを言うはずがないんですから)
恋(わたくしにとってお母様がどれほど大切か、それをおばさまは理解してくれている、はずなんですから) 恋「…なぜ………」
恋「なぜ…そんなことを、言うのですか」
恋「知っていますよね、わたくしにとってお母様の意志を受け継ぐことは…」
理事長「必ず成し遂げる義務、でしょ?何度もきいたから知ってるわよ」
恋「ならば、どうしてそんなことを…」 恋「もしかして、今日みなさんを付き合わせてしまったからですか?」
恋「生徒会長としての職務がおろそかになってしまったからですか?」
恋「わたくしがお母様を追いかけることで今日のように迷惑がかかるというなら、以後はそのようなことがないように気をつけます!」
理事長「やっぱり、わかってないね」
理事長「それだよ、お母さんを追うのをやめたらって言った理由は」
理事長「…私も含めてみんな恋ちゃんを気遣って言わないようにしてた」
理事長「でもね、これは誰かが言わないといけないから…だったら私が言う」 理事長「恋ちゃんはさ、何をしたいの?」
理事長「この学校で…Liella!で何をしたいの?」
恋「ですから、結ヶ丘をお母様の願いに恥じぬような学校にしたい、Liella!をお母様の後を継ぐにふさわしいグループにしたいというのがわたくしの!」
理事長「そうだね、恋ちゃんはいつもそう言ってる」
理事長「それは立派だと思うよ。亡くなったあの子の想いを未来に繋げたい、うん、すごい立派だ」
理事長「だけどさ、それはこの学校とLiella!を恋ちゃんの思うようにしたいってことだよね」 恋「学校と、Liella!を…」
理事長「そうだよ。学校もLiella!も恋ちゃん一人のものではないのに恋ちゃんの理想に合わせたい、恋ちゃんはそう言ってる」
理事長「それを成し遂げたいなら、絶対に叶えたいなら、胸を張ってそのためにかける迷惑や生まれる犠牲に向かい合わないとなんだ」
理事長「少なくとも花はそれをやった」
恋「それは…」 理事長「周りを巻き込みたくない、迷惑に思われたくない、そんな中途半端な気持ちで何ができるの」
理事長「中途半端な気持ちならさっさと捨たほうがいい」
理事長「学校とLiella!のためにも、恋ちゃん自身のためにもね」
恋「…そんな」
………
………………… 恋(何も言えませんでした)
恋(わたくしはやはり間違っていたのでしょうか)
恋(お母様の意志を継ぎたい、皆さんに迷惑をかけたくない)
恋(どちらも捨てられないわたくしは…間違っていたの
でしょうか)
ドンッ!
千砂都「きゃっ!」
恋「へ?」
千砂都「あいたたた」 恋(考え事に没頭するあまり、前が見えていませんでした)
恋(いえ、それよりも)
恋「千砂都さんが、なぜここに?」
千砂都「なんでって…ここ私のバイト先の近くだよ」
恋「はい…?」
千砂都「そこの屋台、忘れたわけじゃないでしょ」
恋「あ」 千砂都「なーんか恋ちゃんがふらふらしてたから気になって出てきたんだけどね」
千砂都「恋ちゃん、私のこと見えてなくて私がどうしていいかテンパってるところに…ドンッ!」
恋「申し訳ありません…」
千砂都「多分さっきのアレのことだよね?話きこうか」
恋「千砂都さん」
千砂都「ま、私が力になれるかわかんないけどさ」
恋「…千砂都さんはやさしいですね」 千砂都「そ、そっかな」
恋「千砂都さんだけではありません。4人ともわたくしのわがままに時間を割いて、徒労に終わっても文句一つ言わずにいてくれた」
千砂都「…」
千砂都「徒労…か」
恋「はい」
千砂都「恋ちゃんは私たちが優しいから…恋ちゃんに迷惑をかけられても怒らなかったって、本気でそう思ってるの?」 恋「あの?千砂都…さん?」
千砂都「私たちはやりたいことをやっただけだよ?それは伝わってたと思うし、優しさとか言うのは違うと思うんだよね」
恋「そうだとしても、わたくしのわがままであんなことに付き合わせて、本来ならばもっと有意義に使えたはずの時間を」
千砂都「……」
恋「あの後、おばさまに言われたんです。私がお母様の意志を継いでいこうとするなら…自分の理想に周りを付き合わせ迷惑をかけることだってある」
恋「だから、それによってかける迷惑や生まれる犠牲と向き合う覚悟が必要なんだと」 恋「その覚悟がないなら、中途半端な気持ちなど捨てた方がいいと言われてしまいました」
千砂都「あー、なるほどね…うん、ようやく状況が把握できてきたよ」
千砂都「で、理想だか迷惑だか犠牲だかに私たちを巻き込む覚悟とやらが持てない恋ちゃんは…中途半端な気持ちを捨てちゃうの?」
恋「それができれば…きっと楽なんでしょう」
千砂都「……自分の理想のために周りに迷惑をかける覚悟かぁ」
千砂都「あのさ…私がなんで今普通科にいるか忘れたわけじゃないよね?」
恋「はい、忘れるわけがありません」 恋「はい、忘れるわけがありません」
千砂都「私はさ…恋ちゃんのその悩みにはまったくもってピンとこないんだ」
千砂都「だって、何をするにしても誰にも迷惑かからない選択肢なんてないよね」
千砂都「いきなり転科とか退学とかしたらそりゃ迷惑かかるよ?でも、あのままどっちつかずで音楽科にいたらかのんちゃんの力になれなくて迷惑がかかる」
千砂都「結局誰かの迷惑になるなら、私は一番大切な人を助けるために迷惑をかけたいんだ」 千砂都「恋ちゃんだってさ、全く同じじゃないにしろそうでしょ?私にとってのかのんちゃんが恋ちゃんのお母さん」
千砂都「だからさ…恋ちゃんだってやりたいことのために周りに迷惑とかかけちゃってもいいと思うんだ」
恋「そうですか…」
千砂都「ってことでさ…これからも何かあったら遠慮なく言ってよ」
恋「はい、ありが…」
恋(千砂都さんが差し出した手を取…) 千砂都「恋ちゃんだってさ、全く同じじゃないにしろそうでしょ?私にとってのかのんちゃんが恋ちゃんのお母さん」
千砂都「だからさ…恋ちゃんだってやりたいことのために周りに迷惑とかかけちゃってもいいと思うんだ」
恋「そうですか…」
千砂都「ってことでさ…これからも何かあったら遠慮なく言ってよ」
恋「はい、ありが…」
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