千歌「浦の星農業高校へようこそ!」
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善子「さっきも言ったでしょ。あの人、ただ強がってるだけなのよ。全員で押しかけたら尻尾出すでしょ」
千歌「善子ちゃんかしこーい!」
善子「あんたがアホなだけよ」
千歌「それより善子ちゃん、今日は同好会行かなくてもいいの?」
善子「……ま、偶にはサボってもいいでしょ」
千歌「行けないんだー!怒られるよ」
善子「週に二回しかない部活をほぼ毎回サボってるあんたに言われたくないわよ」
千歌「だってこの時期書道教室すっごい暑いんだよ?書道教室は冷房無いし、汗が半紙に垂れてびちょびちょになるし」
善子「うわ……嫌ねそれ」
千歌「でしょ〜?でもそろそろ作品仕上げないといけないんだけどね」
善子「……それで、スクールアイドルはどんな感じなの?」
千歌「えっ?いや、鞠莉先輩を勧誘しないと──」
善子「そうじゃなくて。スクールアイドルって自分で曲とか作ったりするんでしょ?何か進んでるの?」
千歌「えっ」 善子「まさか……あんた……」
千歌「い、いやいやいや違う違う違う」ブンブンブン
千歌「な、何にも考えてなかったなんてないないないないない!!!!」ブンブンブン
善子「考えてなかったのね。期待して損した」
千歌「ごめん〜っ!!善子ちゃんやっぱり辞めるとか言わないでぇ〜っ!!」ギューッ!
善子「言ってないでしょ!離れなさいよ!」グイグイ
曜「あっ!千歌ちゃーん!善子先輩〜!」ブンブン
善子「あ、曜じゃない」
ルビィ「せ、先輩っ……こんにちは……」ペコリ
千歌「よーちゃん!ルビィちゃんもこんにちは!」ニコ ルビィ「……あ、あの……千歌先輩」クイクイ
千歌「んー?どうしたの?」コテリ
ルビィ「これ……」スッ…
善子「何それ?ノート?」
曜「衣装デザインですよ!スクールアイドルやるって決まった時から二人で考えてみたんです!」
千歌「おおー!可愛い!」パアァッ
曜「これが千歌ちゃんの衣装で〜、これが善子先輩のです!」
善子「えっ、全員分考えたの!?」
ルビィ「は、はい……どうですか……?」
善子「うん……良いじゃない、とっても可愛いわ」
ルビィ「!」パアァッ
ルビィ「え、えへへ……」フニャリ
千歌「ルビィちゃん……か、可愛い〜っ……」キュウゥ… 善子「……二人とも、ジュース買いに来たの?」
曜「あ、はいそうです!休憩に〜と思って自販機に来たんですけど、千歌ちゃんと善子先輩がいたので話しかけちゃいました!」
善子「……どれがいい?奢るわよ」
ルビィ「えっ……でも……」
善子「良いの。さ、選んで」
曜「私これがいいです!オレンジジュース!」
善子「はいはい、オレンジね。ルビィは何がいい?」ポチッ
ルビィ「ルビィは、えっと……」アワアワ
ルビィ「ぃ……いちごみるくが良いです……」
善子「いちごみるくね」ポチッ
善子「はい、どうぞ」スッ…
曜「善子先輩ありがとうございます!」
ルビィ「あ、ありがとうございます……」ペコリ
千歌「えー!ずるい!善子ちゃん私にもジュース買って!」
善子「嫌」
千歌「なんでだよー!!!」 善子「あんたは自分で買えばいいでしょ」
千歌「今日もうお金無いんだって!買って!」
善子「チキン食べ過ぎなのよ。今日三個食べたって聞いたけど」
千歌「だ、だって食堂のチキン、すっごい美味しいじゃん?ほら、ケンタッキーのクリスピーみたいな味するし」
曜「わかる!」
千歌「美味しいよね〜!」
曜「ね〜!」
ルビィ「る、ルビィは大学芋が好きです……」
善子「私はピリ辛チキンが……って何この学食トーク」 千歌「ああ。そういえば花丸ちゃん知らない?今から皆で鞠莉先輩のところに押しかけようと思ってるんだけど、花丸ちゃんにだけ会えなくて……」
ルビィ「マルちゃんならコンビニにお菓子買いに行ってます」
千歌「な、なんで?」
曜「ルビィちゃんと私で衣装デザイン考えてる時、ずっと見守っててくれてたんですけどどうしてもお腹空いたから〜って買いに行っちゃって!」
ルビィ「それでルビィ達も喉乾いたから飲み物買いに……と思ったんですけど……っあ!マルちゃんにジュース買っていかないと!」
善子「あの子何飲むの?」
曜「お茶とか飲んでますね。緑茶」
善子「んー、あの子抹茶ラテとか飲むかしら」
ルビィ「あっ、それマルちゃんが気になってたやつです」
善子「あ、そうなの?じゃあこれ買うから渡してあげて」ポチッ
曜「わー!善子先輩やっさしー!」
千歌「ねぇ!ねぇ優しい善子先輩!チカにも!」
善子「嫌」
千歌「なんでだよおおおおっ!」 なんかめちゃくちゃ回線悪くてIDが安定しません…ごめんなさい 花丸「あ、ルビィちゃん曜ちゃん。こんなところに居たずら」
善子「あら、噂をすれば」
花丸「よ、善子先輩もこんにちは……っ」ペコッ
千歌「ちょちょちょちょ、私も居るよーっ!」
花丸「あっ、す、すみません……こんにちは」
千歌「善子ちゃんたらしてるね〜……」
善子「たらしてないわよ……っあ、丁度良いからあげるわ」
花丸「抹茶ラテ、ですか……?」
善子「それ、気になってたんでしょ?」
花丸「〜っ!」カアァッ
花丸「は、はいぃ……」プシューッ
曜「花丸ちゃん顔隠しちゃった」
ルビィ「善子先輩苦手なのかな……?」コソッ
千歌「いや逆だよ逆。絶対好きだよあれ」コソッ
善子「そこ。聞こえてるわよ」 花丸「それで……こんなところで先輩達は何をしているんですか?」
千歌「あ、そうだ。あのね、鞠莉先輩を勧誘しに行こうと思ってるんだけど上手くいかなくて……だからもう全員で押しかけようと思って」
ルビィ「偶然千歌先輩と善子先輩に会ったからルビィ達も行こうってなって」
曜「あと居場所が分からないのが花丸ちゃんだけだったんだけど、丁度来てくれたから助かったよ〜!」
千歌「それじゃあ今から美術部と華道部に行って、梨子ちゃんとダイヤちゃんを捕まえに行こう!」ガタッ
善子「あんた背中砂だらけよ」
曜「汚いベンチで寝転がってるから〜」パッパッ
千歌「さぁ!早速行こう!」ギュッ
ルビィ「え、えぇ……?」
千歌「れっつごー!!」タッ
ルビィ「わあぁぁっ……引っ張らないでくださぁぁいっ……」ウユウユ
善子「ちょっとあんた活動場所知ってるの!?」
千歌「全くわかんない!!!」
善子「ダメね、あいつ……」
曜「あ、あはは……」
花丸「変わった人ずら……」 ----
畜産棟 裏口
ダイヤ「…………これはどういう状況ですの?」
千歌「ダイヤちゃん、しっ!聞こえちゃうでしょ!」
善子「あんたが一番うるさいけどね」
梨子「こんな所で隠れてたら私達が変な人みたいじゃない……」コソコソッ
花丸「こんなことしてる時点で手遅れずら……」
ルビィ「あっ、いました……!あれ、鞠莉先輩じゃ……!」🫵
鞠莉「──、──……」トボトボ…
曜「何か言ってますね……なんて言ってるんだろう……」
ダイヤ「それに元気が無いですわよ」
梨子「鞠莉先輩にしては珍しい……」 果南「そんなとこで何してるの?」ヒョコ
千歌「あのね果南ちゃん、今から鞠莉先輩を勧誘しに……って果南ちゃん!?」ビクッ
善子「こらあんたうるさいわよ!」バッ
果南「畜産棟の階段で皆してへばりついてるから何かと思ったら……そういうこと?」
梨子「か、果南先輩はどうしてここが分かったんです……?」
果南「そりゃ太鼓部の活動場所から丸見えだからね。挙動不審な千歌達」
花丸「ま、まさかの丸見え……」
曜「そういえば皆果南ちゃんのこと忘れてたね……」
果南「えっ…………」ガーン…
果南「そっか……私、別にスクールアイドルやらなくても……」ズーン…
梨子「ち、違うんです違うんです!」アワアワ
ダイヤ「あ!鞠莉先輩が近付いてきましたわよ!皆さん隠れて!」サッ… 鞠莉「…………はぁ、」
鞠莉「……どうして素直になれないのかしら……」
果南「あれ……なんかいつもと様子違うくない?」
善子「強がって千歌からの勧誘断ったんですよあの人」
花丸「何だかこどもみたいずら……」
鞠莉「……私は別に、アイドルなんて……」
曜「なんか、ドラマ観てるみたい……」
千歌「アイドル、なんて……、」ゴクリ 鞠莉「うわあああああああぁぁんっ!!やっぱり私もアイドルしたああぁい!!」
鞠莉「スクールアイドル!?文化祭のステージ発表!?何それすっごい楽しそうじゃない!!このっっ!!!」バシーンッ
ルビィ「何か床に叩きつけましたね……」
善子「自分の実習服の帽子じゃない?」
鞠莉「千歌っちったらどうして最初に私を誘ってくれなかったの!?言ってくれれば絶対最初に入ったのに!!」
鞠莉以外の八人「…………………………」
▼絶対最初は断るだろ。という顔 鞠莉「もううんざりよ……泥だらけの実習服を着て、動物園みたいな臭いがする畜産棟で毎日毎日……同じことの繰り返しで……」
鞠莉「もうこんな毎日は嫌!絶対抜け出してやる!」バッ
🐴「…………」バーンッ!
鞠莉「行くわよ偽スターブライト!!こんな生活から抜け出すのよ!!」スタッ
鞠莉「Let's Go!!!!!」タッ!
梨子「ぽ、ポニーに乗ってどっか行っちゃったけど!?」
果南「何!?偽スターブライトって」
善子「言ってる場合!?」
千歌「と、とにかく追いかけよう!」タッ ----
果南「園芸の方は居なかったよ。そっちは?」
花丸「食品科の畑にも居なかったです……」ゼェゼェ
果南「何処行っちゃったんだろう……」
曜「果南ちゃーん!花丸ちゃーん!」タッ
果南「曜とルビィちゃん。デザイン科の畑はどうだった?」
ルビィ「何も無かったです……足跡とかも無くて……」
果南「じゃあ畜産棟か緑化棟かな。ちょっと行ってみよっか」 -
千歌「ポニー居ないねぇ」
梨子「あれだけ大きかったら直ぐに分かりそうだけど……」
ダイヤ「居ないですわね……」
千歌「うん、何処に……って、ああああああああああああっ!?!?」
梨子「う、うるさいわよ千歌ちゃん!」ビクッ
ダイヤ「一体何なんですの!?」ビクッ
千歌「み、見てあれ!!さっきのポニーじゃない!?」🫵
🐴「………………」ムシャムシャ… 梨子「あ、本当だ。雑草食べてる……じゃなくてポニーに乗ってた鞠莉先輩は何処に行ったのよ!?」
ダイヤ「そんなの鞠莉先輩とポニーにしか分かるわけないでしょう!?一旦善子さんを呼んでポニーを畜産棟に戻してもらいましょう」
千歌「そ、それもそうだね……おーい!善子ちゃーん!!津島善子ちゃーん!!!」
梨子「なんでフルネーム!?」
千歌「動物科の津島善子ちゃーん!!!!」
ダイヤ「迷子のアナウンスですか!!」
善子「ちょっとあんまり大声で善子善子言わないでくれる?」
千歌「ヨハネちゃーん!堕天使ヨハネちゃーん!」
善子「今すぐ辞めなさい」
善子「ほら、こっち来なさい」ドウドウ
🐴「………………ブルルッ」プイッ
千歌「……なんで善子ちゃんはこう、……好かれないんだろうね?」
善子「黙って」 🐴「……ブルルッ」
梨子「わ、わぁっ!?」
🐴「………………」スリスリ…
ダイヤ「梨子さん……」
善子「なんか懐かれてるわね……」
梨子「こ、怖い怖い!誰か助けてよぉ!」アワアワ
千歌「……梨子ちゃん……ちょっと失礼」ヒョイッ
梨子「ひゃ!?ちょ、ちょっと何してるの!?」
善子「…………ポニーに乗ったわね」
ダイヤ「………………ええ、乗りましたね」
千歌「いけー!畜産棟に帰るのだ〜!」ビシッ
🐴「……っ!」タッ!
梨子「きゃあぁっ!?!降ろして!降ろして〜!!!」 ---
畜産棟
梨子「……何か言うことは?」ゴゴゴゴゴ…
千歌「すみませんでした」土下座
果南「梨子ちゃんが怪我しないで良かったよ。多分鞠莉は振り落とされたんだろうけど、梨子ちゃんは軽いみたいだから振り落とされなくて良かったね」
ダイヤ「その言い方だと鞠莉先輩が重いみたいな……」
千歌「あのおっぱいだもん。重そうだよね」
果南「千歌」
千歌「はい。すみませんでした」土下座
花丸「それより鞠莉先輩を探さないとですよ……」
曜「このままじゃ下校時間になっちゃいます……」
善子「それもそうね。早くあのバカ探しに行きましょ」
千歌「じゃあ次はサツマイモ圃場の方に行ってみよう。それで居なかったら水田の方も探しに行ってみよう」
ルビィ「わ、わかりまし──」
ポタリッ
ルビィ「ぅわあぁっ!?」ビクッ
花丸「ルビィちゃん!?どうしたずら!?」
ルビィ「あぁっ……雨、降ってきましたっ……」
梨子「本当に時間が無さそうね……」
善子「ったく、何処で何してるのよあの人!さっさと探しに行きましょ!」タッ ----
鞠莉「…………」トボトボ…
鞠莉「(偽スターブライトに振り落とされたわ……)」ボロッ
鞠莉「(……というか、なんで私こんなことしてたんだろう……)」
ポタリッ……
鞠莉「……ぁ……」
鞠莉「……雨……」
鞠莉「………………っと、」ポフリッ…
鞠莉「……地面湿ってるわ……背中が濡れる……」ゴロッ 鞠莉「………………」
鞠莉「(どうして内浦の農業高校なんかに来ちゃったんだろう。……なんて、よく考える)」
鞠莉「(私は別に自然が好きって訳でも無いし、動物だって……正直、相棒のスターブライト以外興味無い)」
鞠莉「(そんな私が、どうして農業高校なんかに居るのかなって……)」
鞠莉「(……私ね、千歌っちが羨ましかったの)」
鞠莉「(毎日楽しそうで、毎日笑ってて……そんな千歌っちが、羨ましかった)」
鞠莉「(私も、その中に入りたかったの)」ポロッ… ----
梨子「雨が強くなってきた……そろそろ何処かで雨宿りしないと皆揃って風邪引いちゃうわよ!」タッタッ
ルビィ「ぅわあぁっ!!」ツルッ
果南「おっ、とと……大丈夫?」ガシッ
ルビィ「は、はひ……」
善子「階段で転んだら怪我じゃ済まないことだってあるし気を付けてよね?」
ルビィ「す、すみません……」
ダイヤ「それにしても鞠莉先輩、何処にも居ないなんてどうなってますの……!?」
花丸「本当にまだ学校に居るずら……?」ゼェゼェ
曜「あ!千歌ちゃん、あそこに寝転がってるのって!」
千歌「本当だっ……見つけた……!」タッタッ 千歌「鞠莉先輩っ!」
鞠莉「……へっ?」クルッ
千歌「はぁっ……はぁ……やっと見つけた……」
鞠莉「千歌っち……それに皆も……どうしたの?」
千歌「やっぱり一緒にやりましょう。スクールアイドル!」
鞠莉「だから、……さっきも言ったはずよ。興味無いって……」グッ…
千歌「……そりゃ、こんな田舎だし……何にしろ、農業高校生っていう地味な私達だけど……でも、思い出は刻まれる。私達が輝いた成果が、三学年全員揃う最後の文化祭で!」
果南「まったく。いい加減入ります〜って折れたらどうなの?」
ダイヤ「果南先輩の言う通りですわ。せっかく三学年全員が揃う最後の文化祭なんです。思い出作りしたいとか思わないんですの?」 ルビィ「ま、鞠莉先輩の衣装も……考えてあるんです。入ってくれると、思って……」
鞠莉「……衣装……」
花丸「デザイン科の曜ちゃんとルビィちゃんの二人で考えてくれてるんです。それに、衣装だけじゃなくて、オラは9人居た方がしっくりすると思います」
曜「目の前のことに何でも全速全身で突き進む、それが千歌ちゃんなんです!鞠莉先輩も、私達と追い風に乗っていきましょうよ!」
梨子「何としてでも、生徒全員に楽しかったって心の底から言って貰えるような学校にしたいんです。千歌ちゃんは」
善子「って、皆言うけど……どうしますか、鞠莉先輩」
鞠莉「………………」
鞠莉「…………っふ、そんなこと言われて断ったら私が悪者じゃないの」
鞠莉「絶対後悔させないで。それだけ約束」
千歌「!」パアァッ
千歌「はい!」
こうして三学年全員が揃う最後の文化祭は、この学科も学年もバラバラな9人でステージ発表を行うこととなった。
奇跡としか言いようがないこの出会いを歓迎するかのように、晴れ間が見えて、虹が出た。 -------
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初練習当日
浦の星農業高校 体育館裏
千歌「ということで!やっと九人揃ったので練習を始めたいと思います!」
曜「やったー!九人だー!」
果南「よし、皆体操服に着替えてるね。それじゃあまだ曲も衣装も出来てないから、簡単なステップからやってみようか」
鞠莉「果南はダンスとかやってたの?」
果南「経験はないけど……昨日スクールアイドルの動画見てみて、練習方法を考えてみたんだ」
鞠莉「おお……わざわざノートにもまとめてるのね……凄いじゃない」
果南「ま、やるからには本気でやらないとね」
ルビィ「そ、それで言うならお姉ちゃんも昨日ステップを練習していたような……」
ダイヤ「ち、違いますわ!あれはたまたま……」
梨子「たまたま……?」
ダイヤ「ううぅ……練習ですの練習!私だってやるからには自分が満足するレベルでやりたいんです!!」 腕が何か分からない毒虫に刺されてしまい、腕に力が入らない状態なので一旦おサボりします。すみません 花丸「……あの、」スッ…
果南「どうしたの?」
花丸「……オラ、ダンスとか全く出来なくて……」
花丸「お遊戯会のダンスも、中学校の時の体育祭のダンスも、オラだけいつも踊れなくて背が低いのに後ろに回されてて……」
梨子「今年のダンスはどうだったの?あれ、ちょっと難しくなかった?」
ダイヤ「そうですね、去年より遥かに難易度が高かった気がします」
千歌「私もあのステップ全然出来なかったし!果南ちゃんは踊れてたけど」
果南「あのくらいならね」 花丸「今年の体育祭のダンスも全然……放課後までダンスリーダーの先輩に教えられてました……」ズーン
善子「それで、結局踊れたの?」
花丸「…………いえ……」
善子「致命的みたいね」
ルビィ「る、ルビィも運動が苦手で……ダンスって結構体力使うし、着いて行けるか分からなくて……」
梨子「そ、それなら私もあんまり体力無くて……」
果南「ルビィちゃんはまあ、そんな感じするけど……梨子ちゃんもそうなの?」
千歌「いや?梨子ちゃんこの学校来てからだいぶ体力ついたよ」
曜「はいはい!果南ちゃん果南ちゃん!私は体力凄いあるよ!」ムンッ
果南「それは知ってるから……」 鞠莉「それで、どうするの?体力無い、運動出来ない、ダンスも苦手……スクールアイドルするならまずこれ何とかしないと」
ダイヤ「そうですわね……どうしたものか……」
果南「じゃあ今からランニングに行こっか!」
りこまるびぃ「「「えっ」」」
善子「ら、ランニングって……まさかこの学校の中を?」
果南「うん!この学校は広いし、坂道とかも沢山あるからきっと直ぐに体力つくよ!」ムンッ
曜「いいね!私も頑張るぞー!」エイエイオー!
善子「ちょ、ちょっと千歌、この脳筋達何とかしなさいよ!」
千歌「あ、あはは……こうなった果南ちゃんとよーちゃんは誰にも止められないのだ……」苦笑
果南「よーし!それじゃ皆、ついてこーい!」タッ
曜「行くぞー!」タッ
ダイヤ「あぁっ!本当に行ってしまいましたわ!」
ルビィ「どどどどどうするんですか!?」
鞠莉「どうするも何も……追いかけるしかなさそうね」タッ
花丸「ま、待ってぇっ……オラ、靴紐ちゃんと結べてないずらぁっ……」アワアワ
善子「もう……」キュキュッ
善子「これで良し。ほら、行くわよ」タッ
花丸「は、はいっ……」タッ
千歌「折角アイドル出来ると思ったのにこれじゃ持久走と一緒だよー!」タッ ----
果南「はーい、休憩〜!」
ルビィ「もうダメしんじゃうぅ……」グデッ
梨子「ほんとにダメ……足が震えるわ……」ガクガク
花丸「オラもう限界ずらぁ……」プルプル
果南「三人ともよく頑張ったね!ちゃんと着いてこれて偉いよ!」
梨子「一周だけかと思ったのに、……結局学校の中三週もして、……何キロくらい走ったのかな……」ゼェゼェ
曜「学校の中が大体……2キロ近くあるのかな?」
果南「うん、多分そのくらいはあると思う」コクリ
ルビィ「じゃあ、ルビィ達は6キロも……休憩なしで……」
花丸「お、恐ろしいずら……」 千歌「だあああっ……疲れたぁ……」ドサッ
ダイヤ「……汚れますわよ」
千歌「いいのいいの。実習服と同じで、洗っちゃえば問題ないよ!」
ダイヤ「貴女の実習服、もう洗っても落ちない泥だらけじゃないですか……」
花丸「…………ダイヤ先輩と千歌先輩って、全然タイプが違うのに一年生の時から仲良しだったんですか……?」
千歌「そうだよ〜っ、去年は基本ダイヤちゃんと一緒だったかな」
曜「何がきっかけで仲良くなったの?」
千歌「んー、なんだったっけ……」
ダイヤ「覚えていないのです?……こほん。この人とは浦の星の受験二日目……つまり、面接が同じだったんです」
ダイヤ「その時に──」 ---
受験生A「わたしの夢はこの学校に入って、農業を学び、大好きなお米のことを更に詳しく知って、米マイスターになることです!」
千歌「こめ、まいすたー……」ボソ
ダイヤ「(隣の人、何か呟いてますわ……)」チラッ
千歌「ぷっ……あっはっはっはっは!」
千歌「なにそれなにそれ!あ、もしかして今のはお米のコメとマイをかけた……」
ダイヤ「説明しなくていいですから」
試験監督A「………………」
試験監督B「………………」
受験生A「………………」
ちかダイ「「………………あっ」」 ---
ダイヤ「──ということがありまして」
果南「よく受かったね」
千歌「でも米マイスターの子、うちのクラスに居ないもんね?あの子どうしたのかな」
善子「あんた達みたいなアホが居る学校に入りたくなかったんでしょうね」 鞠莉「スポーツドリンク買ってきたけど誰かいる?一応九本あるんだけど」
果南「素直に皆に買ってきたって言えば良くない……?」
善子「いや、まあ鞠莉先輩ってこういう人なんで……」
ダイヤ「あ、いくらでしたか?ルビィの分も払いますわ」
鞠莉「あ、大丈夫。私の家お金あるから」
果南「いや、それはどうなの?」
善子「…………いや、まあ……鞠莉先輩ってこういう人なんで……」
果南「うん……なんか、変わってるよね……」
千歌「皆人のこと言えないけどね〜」ケラケラ
善子「あんたもね」 ダイヤ「……そういえば、曜さんはどうしたんです?」
千歌「え?よーちゃんならそこに……ってあれ、居ない……」
花丸「曜ちゃん……そういえば、千歌先輩とダイヤ先輩の受験の時の話を聞いたときにはもう居ませんでした」
果南「曜から聞いたのに居なくなるってどういう……」
鞠莉「あ、曜ならさっき物凄い速さで走って行ったわよ」
善子「なんで???」
曜「先輩方っ、ヨーソロー!」ビシッ
善子「うわビックリした」
ダイヤ「何処に行っていたんですの?」
曜「走り足りなかったんで、もう一周走ってきました!」
果南「まあそんなことだろうと思ったけど……」 鞠莉「そういえば梨子とルビィも居なくない?」
千歌「あ、言われてみれば確かに……」
花丸「あ、二人はあそこに……」👉
梨子「ルビィちゃん……ここ、風が気持ちいわね……」
ルビィ「はい……」
果南「黄昏ちゃってるよ」
ダイヤ「あそこは景色が良いですからね……」 善子「どうします?今日はもう解散とか……」
果南「……いや。まだやるよ」
果南「休憩おしまい、次はステップをやるから全員集まってー!」
鞠莉「…………果南って意外と……」
善子「……スパルタ気質……」
千歌「……だよねぇ……」
果南「早速始めるよー!」 ----
果南「はーい、今日はこれでおしまい!皆お疲れ様!」
千歌「だあああっ……きつい……」グデッ
ダイヤ「千歌さん、果南先輩から集中攻撃受けてましたわね……」
千歌「私、ダンスとか好きなんだけど、実際そんなに上手くないんだよ……リズムがズレちゃうというか……」
千歌「スクールアイドルってこんなに厳しい世界なんだ……誘っちゃってごめんね皆……」スンスン…
梨子「絶対後悔させないって言ってくれた人の台詞とは思えないけど……」 花丸「オラ、今日自力で帰れないずらぁ……」プルプル
ルビィ「る、ルビィも……」プルプル
善子「ふたりとも平気?……って、汗凄いじゃない。熱中症にならないようちゃんと水分摂っておきなさいよ」パタパタ
るびまる「「はぁい……」」
曜「あ、飲み物無くなっちゃった……私、なんか買ってきますけど、先輩方何か要りますか!」
果南「うーん、取り敢えず全員分のスポーツドリンクもう一回買ってこれる?」
曜「はぁい。このクーラーボックス借りますねー!」
善子「あ、曜。お金は鞠莉先輩から貰いなさい」
曜「えっ、いいんです?」
善子「九人分の飲み物なんて高いでしょ。あの人なら払ってくれるから」
鞠莉「なんで決めつけるのよ。良いけど」
鞠莉「……あ、折角だし一緒に買いに行きましょうか」
曜「いいんですか!?」パアァッ
鞠莉「ええ。ひとりじゃ重いでしょ。手伝うわ」
曜「わーい!ありがとうございます!」 クセのないG’s時空という感じで良き
ここがアルカディアか ダイヤ「……と言っても、全員で揃えてみたらかなり酷かったですわね……」
ルビィ「バラバラ、というか……なんというか……」
花丸「ひとりひとり見たらそんなに違和感無いけど、全員で合わせてみたらどうしてもバラけて見えるずら……」
果南「これをステージの上で披露するんだよね、……今のままじゃ笑いモノにされちゃえよ」
梨子「どうにかしないと、ですよね……」
曜「どうしたらいいんだろう……」
善子「うわビックリした速いわね」
曜「えへへ、鞠莉先輩とふたりでどっちが早く買って帰れるか競走してきたんです!」
梨子「その鞠莉先輩は何処行ったの?」
曜「転んじゃったとこまでは見ました!」
千歌「いや助けてあげなよそれ」 果南「あ。そういえば、学校近くの神社のお祭り、ステージ発表募集してたなぁ……」
鞠莉「そこで一旦ステージの要領掴んでみる?」ヌッ
果南「うわビックリした」
善子「なんで曜といい鞠莉先輩といい、こう、突然出てくるんですか」
千歌「それいい!だってお祭りってことは沢山の人が見てくれるってことだよね。浦の星も注目されるし、興味持ってくれる人がいるかも!」
果南「じゃあ取り敢えず八月のお祭りに向けてやってみようか。千歌は作詞、鞠莉は作曲、衣装は時間が掛かるから作らない方向で考えようか」
ちかまり「「えっ?」」
果南「え?何か問題あった?」
千歌「い、いやー……私が作詞なんだっていう……」
鞠莉「なんで私が作曲??」
果南「出来そうだったから。ほら、千歌が前、鞠莉は金持ちだからピアノとか弾けそうって」
鞠莉「ピアノなんて全然弾けないわよ。精々オルガンかヴァイオリンくらいかしら」
善子「金持ちヤッバ」 果南「じゃあ他に居る?作詞出来そうな人と何か音楽が出来る人」
ルビィ「マルちゃんは?」
花丸「えっ、オラ?」
ルビィ「うん、マルちゃん、いつも本読んでるから何か書けないかなって……」
花丸「書けなくは無いけど……オラが書くとすれば作詞じゃなくて作詩になってしまいそうずら」
果南「そっちの詩じゃないもんねぇ……」
曜「梨子先輩は作詞とか出来ないんですか!?」キラキラ
梨子「む、無理無理……そういうの全くやった事ないし……」 ダイヤ「まあ出来る出来ない関係無く、やはり一曲目は言い出しっぺである千歌さんが作詞すべきだと思いますわ」
千歌「私かああぁ……」ガクッ
果南「嫌なら無理強いはしないよ?」
千歌「……んん……嫌とかじゃないけど……」
千歌「作詞ってほら、自分の気持ちをそのまま歌にするようなものでしょ?だから恥ずかしくて……」
梨子「……ん?でも待って、千歌ちゃんこの間私とダイヤちゃんに歌詞見せてくれ──」
千歌「わー!!!言わないでー!!!」
鞠莉「そうなの?」
ダイヤ「ええ。千歌さんらしい真っ直ぐ素直な曲でしたわ。ええっと、タイトルは確か……」
千歌「ちょ!!!言わないでってば!?!?」 果南「へぇ〜?なになに、千歌、歌詞書いてたの?」ニヤニヤ
善子「千歌が歌詞ねぇ」ニヤニヤ
千歌「うっざいなぁもう!善子ちゃんだって真っ黒なノートに変なこと書いてたの知ってるからね!?」
善子「いつ見たのよそれ!!」
千歌「廊下に落ちてたやつチカが善子ちゃんの教室まで届けたよ!!!!」
善子「凄い助かるけど!!!!中見んじゃないわよ!!!」
曜「千歌ちゃん歌詞書けるなんて凄いじゃん!どうしてそんなに嫌なの?」
千歌「は、恥ずかしいんだよ〜……」
鞠莉「じゃあ取り敢えず千歌っちにはお祭り用にまた別の歌詞を書いてもらって、……結局作曲は私なの?」
果南「鞠莉がしてくれた方が助かるかも、音楽経験者居ないもんね。出来そう?」
鞠莉「出来なくはないけど……んん、じゃあ頑張ってみる」 ルビィ「あ、あの……さっき衣装は作らないって言ってたのにこんなこと言うのはちょっと違うかもしれないんですけど……」
ダイヤ「どうしたんですの?」
ルビィ「……はっぴ、作ってみたいなって……折角のお祭りだし……お揃いの……」
曜「わ!いいねそれ!デザイン科コンビの腕の見せどころだ〜!」
ルビィ「ど、どうかな……?」
花丸「うん。オラもお祭りと言ったらはっぴだと思ってたし、ルビィちゃんと曜ちゃんの負担にならないなら全然作っていいと思うよ」
梨子「私も賛成。でも無理はしないようにしないとダメよ?」
ルビィ「は、はいっ……果南先輩、良いですか……?」ウルッ
果南「うっ!」💘
果南「……い、良いよ……でも梨子ちゃんの言う通り無理しちゃダメだからね」瀕死
曜「なんで震えてるの?寒いの?」
花丸「曜ちゃん……察してあげるずら。果南先輩は可愛い女の子に目が無いずら」
果南「語弊があるんじゃないかな?その言い方」
キーンコーンカーンコーン
ダイヤ「あっ、門が閉まりますわよ!」
果南「あ、本当だもうそんな時間……早く着替えて出ちゃおう!お疲れ様でした!」 キタワァ━━━━━━(n'∀')η━━━━━━ !!!! --------
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七月
緑化棟 調整室
ビリビリッ……
千歌「…………」ソッ…
千歌「せんせー!これも腐ってるー!!」
山崎「あーあ。梅雨明けは毎回ブドウが腐るな」
梨子「うわっ……先生、これ……」スッ…
山崎「うわぁ……もうぐちょぐちょやな……中でブドウが割れたんやろうね」
ダイヤ「先生……これしか残りませんでしたわ……」
山崎「もうダメやな……今年はあんまり出来なさそう……」
千歌「せんせー!これ病気!」
山崎「切って」 ---
梨子「……全部で11パック……」
山崎「少ないっちゃ少ないけど……まあ仕方ないやろ」
千歌「せんせー!この余ったやつ食べてもいいですか?」
山崎「そこに置いてあるの全部病気になってたり割れてたりするけど、……食えそうなやつがあれば食っていいぞ」
千歌「やったー!梨子ちゃんダイヤちゃん食べよ〜!」ヒョイ パクッ
梨子「えっ!?だ、大丈夫なのそれ!?」
千歌「うん!美味しいよ!梨子ちゃんも食べて食べて!はい、あーん!」
梨子「あ、あむ……」パクッ…モグモグ…
千歌「美味しい?」
梨子「うん、美味し──」ガリッ…
梨子「ぅえっ……ちょ、種あるの先に教えて欲しかったな……」
千歌「わー!ごめん!ペってして?」
梨子「ええ……」 ダイヤ「このブドウはジベレリン処理してませんから、種があるままなんですの」モグモグ
ダイヤ「……あ、それと皮は食べない方がいいので気をつけてくださいね」
梨子「千歌ちゃんもダイヤちゃんも、どうしてそんなに大切なことを先に言わないの……というか、千歌ちゃん種とか皮取ってる?食べちゃってない?」
千歌「んー?」ボリッ ゴリッ
梨子「ストップストップストップ!!食べてる!食べてるわよ!!」アワアワ
千歌「こんなのお腹に入っちゃったら全部一緒だよ〜」
ダイヤ「ちょっと引きますわ……」 千歌「あ、それよりね、この間話したお祭りの話なんだけど、歌詞書けたの!お昼休み見て欲しいなって!」
梨子「も、もう書けたの!?まだ数日しか経ってないのに……」
千歌「うん!なんかね、最初はちょっと嫌だったんだけどなんか筆が進む〜といいますか?」
ダイヤ「まあそれは良いことですわね」
山崎「あ、もうこんな時間や。緑化教室に戻って感想書いたやつから帰っていいぞー」
千歌「よっしゃー!お昼だお昼!早く戻ろ!」タッ
梨子「ま、待って待って!早いわよ千歌ちゃん!」タッ
ダイヤ「お待ちなさい二人とも!調整バサミは片付けたんですの!?」 ---
緑化棟 更衣室
千歌「じゃーん!これが出来た歌詞です!」バーン!
ダイヤ「えっと……『サンシャインぴっかぴか音頭』」
ダイりこ「「……………………」」
千歌「やっぱりお祭りと言ったらこういう感じじゃない?私ったら才能あると思うんだよね〜!」
梨子「……これは……酷いわね……」
ダイヤ「なんですかお祭りなのにすいすいって……」
梨子「千歌ちゃん、これ眠い時に書いたでしょ?」
千歌「ひどーい!!私は真面目に書いたのに!!」 梨子「あ、でも私この歌詞好きかも。
『しらなかった かった 場所だけど
ほらきれいな大空が おしえてくれるのは
おいしい空気 いいな いいな』ってとこ」
千歌「あー、そこはね、梨子ちゃんに歌って欲しくて!」
梨子「え?私……?」
千歌「うん!梨子ちゃん、空気が美味しいとか言うじゃん?だから書いてみたの!」
梨子「そう、だったんだ……」 ごめんなさいめちゃくちゃ遅筆なので更新が送れているのですが気長に待っていただけると嬉しいです 楽しんですから無理はせず、しかしエタらず書いてほしい ダイヤ「貴女、歌って欲しい人のパートのことまで考えていたのです?」
千歌「うん!だからね、歌って欲しい人の名前を書いて、それで鞠莉先輩に提出しようと思って!」
千歌「私の歌詞はダメダメでも、きっと鞠莉先輩ならいいもの作り上げてくれるって、そう信じてるんだ!」
千歌「私のサンシャインぴっかぴか音頭が何処までお祭りっぽくなるのかは鞠莉先輩次第なんだけどね」ニシシ
梨子「………………」
梨子「(千歌ちゃんって、やっぱり何も考えてないみたいで、何処か皆よりも多くのことを見て、感じて……沢山考えているように見える)」
梨子「(私と、千歌ちゃんが……少し離れて見えちゃうのは、その所為なのかな……)」
梨子「(少しだけ、千歌ちゃんが羨ましく感じるの)」 -------
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放課後
浦の星農業高校 体育館裏
果南「今日は歌の練習をするよ!」
花丸「果南先輩、部活は無いんですか?」
果南「毎日あるよ!でも大丈夫!皆との練習に集中したくて休み貰ったんだ」
曜「そんなこと言って、梨子先輩と会いたいだけじゃない──」
果南「ふんっ」スパーンッッ!
曜「い、痛い!どうしてぶつの!?」
果南「う、うるさい……なんでもいいでしょ。……ええと、こほん」
果南「そこに全員並んで。……えっと、……千歌、こっち来て」
千歌「え?なんでチカ?」
果南「いいからいいから」 千歌「……ん、なぁに?何するの?」
果南「私と千歌の位置と、並んでもらった皆からは大体10メートルくらいあるんだけど」
果南「今から一人ずつこの距離で皆にしっかり歌詞が聞き取れるようなハッキリした大きな声で校歌を歌ってもらうよ」
「「「「「「「「え??」」」」」」」」
果南「本番マイクがあっても、やっぱり練習で出来ないと意味無いからね。歌に自信が無い子は取り敢えず音程とかは気にせず大きな声で歌う意識を付けて欲しいんだ」
ルビィ「そ、そんなぁっ……」ガーン
善子「歌苦手?」
ルビィ「う、歌は……あんまり自信は無いですけど……でも、大きい声出すのが苦手で……」
花丸「ルビィちゃんは昔から声が小さかったですし、ちょっとだけ厳しいかもしれないです」
善子「……なるほどね。千歌、シャキッとしなさい。一年生にカッコイイとこ見せなさいよ」
千歌「いやチカもこういうの苦手なんだけど!」 ダイヤ「でも千歌さんは測量競技大会の時誰よりも大きな声でFFJの歌、歌ってましたわよね」
千歌「何でそういうこと言っちゃうかなぁ!?!?」💢
鞠莉「あら、千歌っちFFJの歌、歌えるの?」
ダイヤ「農業高校生なのですし、歌えなくちゃいけないですわよね……」
果南「え。私聞いたことすらないんだけど……」
善子「去年生徒総会で流れてましたよ……」
果南「と、とにかく千歌!一回やってみよっか!」
千歌「も、もうっ!こうなったらやけくそだぁ!」ムンッ 千歌「♪──!♪──っ!」ハキハキ
梨子「す、すごい……意外と声出るわね、千歌ちゃん」
ダイヤ「……千歌さんの歌っている時の声、なんだか可愛らしいですわよね」コソッ
善子「ああわかる。なんか小さい子供か歌ってるみたいで可愛いのよね」コソッ
梨子「え、二人とも、今何て──」
ダイよし「「──!」」ハッ
ダイヤ「な、なんでもないですの!今すぐ忘れてください!」アワアワ
善子「そ、そうよ!それと絶対千歌には言わないでよ!?わかった!?」ユサユサ
梨子「わ、わかったっ……わかったからぁ!」アワアワ 鞠莉「どう?合格点あげられそう?」
果南「うーん……」ムムム…
果南「千歌、ストップ」
千歌「合格っ!?」パアァッ
果南「ううん、もう一回」
千歌「ゑ」
果南「まだまだ声出せる。お腹から出さないでどうするの。歌詞も間違え過ぎ。ちゃんと覚えないと本番恥ずかしい思いするのは千歌だよ」
果南「それにリズムもズレてる。音程もあやふや。よくそんなんでリーダーやりますって言えたね」ズバズバ
千歌「ひ、ひいぃ……」
花丸「か、完全にスパルタずら……」
ルビィ「る、ルビィお家帰りたい……」
曜「果南ちゃんって一度スイッチ入ったらああなっちゃうから……」 千歌「や、やってやるよおおぉ!!!」
梨子「な、なんか燃え始めちゃった……」
曜「ち、千歌ちゃんも一度スイッチ入ったらああなっちゃうんで……」
千歌「♪──!♪──っ!!!」
果南「もう一回!」
千歌「♪────っ!!!♪────っ!!!」
果南「もう一回!!」
千歌「────っ!!!!────っ!!!!!」
果南「まだまだぁ!腹から声出せ千歌ァ!」 ちかなん「「…………」」ゼェハァ ゼェハァ……
ちかなん「「…………」」🤝 ギュッ
梨子「いや意味わかんないから!」
果南「よく頑張った千歌」
千歌「果南ちゃん……これでチカは合格……?」
果南「…………皆が歌い終わったら最後もう一回歌って」
千歌「なんでだよおおぉっ!合格するパターンだろこれぇ!!」床ダンッ 果南「それじゃあ……次、梨子ちゃん行ってみよっか」
梨子「えっ、わ、私ですか……?」
善子「が、頑張って梨子……」
ダイヤ「絶対生きて帰ってくるんですのよ……」
鞠莉「果南をなんだと思ってるのよ?」
果南「はい、いつでもいいよ」
梨子「(正直校歌なんて歌う機会なくてあんまり覚えられてないのよね……少し不安だけど……やるしかない、のよね!)」グッ
梨子「♪──っ……──っ……」メイ*> _ <リ💦
果南「梨子ちゃん、合格」スンッ
千歌「いや贔屓でしょ!絶対果南ちゃんが個人的に梨子ちゃんが大好きだから合格させたんでしょそれ!!」
果南「だって、梨子ちゃんかわいいもん!!!」
千歌「こどもか!!!!」 鞠莉「まあ、ね?贔屓は良くないわよね」
果南「贔屓じゃないもんん!!梨子ちゃんかわいいもん!!」ジタバタ
鞠莉「あ、そう」スンッ
善子「諦めないでくださいよ……」
ダイヤ「面倒臭い人とは関わりたくないという鞠莉先輩の性格が現れましたね……」
花丸「果南先輩、贔屓はダメずら」
果南「鞠莉もマルも贔屓するから!今回は許して!」
善子「もっとダメなやつじゃない!」 ルビィ「あ、あの……ルビィ、ちょっと果南先輩に相談が……」
曜「ああそうそう!私とルビィちゃんではっぴ作ることになったじゃん?その布買いに行きたくて!」
梨子「良いじゃない。親睦も兼ねて皆で行ってみますか……?」
梨子以外「「「「「「「「…………」」」」」」」」ジーッ
梨子「え、ええっ!?ご、ごめんなさいっ……変なこと言っちゃいましたか……?」アワアワ
ダイヤ「ふふ、寧ろ逆ですわ」
花丸「お、オラも皆で何処か行きたいなって思ってました!」
善子「ええ、私も思ってた。ちゃんと私達が集まってゆっくりお茶したのとか農販会の打ち上げくらいだったしね」
千歌「うんうん!私ももう一回やりたいなーって思ってた!」
果南「梨子ちゃん……っ、私は嬉しいよ……」ウルウル
鞠莉「どんだけ好きなのよ」
鞠莉「……あ、それならウチに来る?広いし、お菓子も用意するし」
曜「えー!鞠莉先輩のお家に行けるんですか!?」
ルビィ「で、でも鞠莉先輩のお家ってあそこの淡島ホテル、ですよね……?」
梨子「ホテル!?家が!?」
鞠莉「?……そんなに驚くことなの?」 善子「これだから金持ちは……」
果南「そうだね……お金が全てじゃないんだよ……」
果南「うん、でも良い提案だったね!流石梨子ちゃん!!」👏👏
果南「じゃあ今週の土曜日皆で沼津に行って、布を選んで買って、その後淡島まで行って鞠莉の家でお茶しよう!」
果南「あっ。淡島ってことは……梨子ちゃん、ウチ来る!?わかめの味噌汁作ってあげるよ!」
梨子「え、えええっ!?」アワアワ
善子「ちゃっかりナンパしないで貰えます……?」 千歌「そうだそうだ!梨子ちゃんは私のモノだぞ〜!」
ダイヤ「何を言っているんです!?梨子さんは私が!」
花丸「あ、じゃあオラも」
鞠莉「なら私も〜」
ルビィ「る、ルビィも……」
曜「私も私も〜!梨子先輩は私のモノだ〜っ!」
梨子「ええええぇっ!?!?どういう状況!?」
果南「なんでさ!皆今まで梨子ちゃんの可愛さに気付いてなかったくせに!」
千歌「梨子ちゃんの可愛さを果南ちゃんに教えたのは私です〜っ!」
果南「こいつぅ!!」 鞠莉「あ、土曜日泊まっていく?それなら日曜日も続けて練習出来るしいいんじゃない?」
果南「えっ、梨子ちゃんとホテルに泊まるなんてそんな……」ポッ
善子「うわ最低ねこの人」
花丸「でもそれ良いと思います。オラは賛成」
ルビィ「ルビィもその!……み、皆でお泊まりとか……してみたかったから……」
ルビィ「……でもお父さんとお母さん、許してくれるかなぁ……」
曜「ルビィちゃん家厳しいもんね……」
ダイヤ「……はぁ、それなら私から行っておきますわ」
ダイヤ「私が一緒ならあまり言われないはずでしょうし」
ルビィ「お姉ちゃん……っ!」パアァッ
千歌「じゃあ土曜日にお買い物して、その後に鞠莉先輩家に泊まるってことで!決定!!」
梨子「そ、そんないきなりぃ……っ!」アワアワ
善子「もしかして都合悪い?」
梨子「そ、そうじゃないけど……突然こんな大人数で押しかけちゃって、……迷惑じゃないですか?」
鞠莉「全然平気よ。賑やかなのは楽しいから」 曜「……賑やかなのは、楽しい……」
-
鞠莉『……大人数なんて、そんなに好きじゃないんだけど……』
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曜「……っふふ」
果南「どうかした?」
曜「ううん、何でもない」
千歌「あ!じゃあじゃあ、土曜日の予定決めちゃお!あ、皆LINEやってます?交換してグループ作るんで、そこで話し合いましょー!」 --------
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土曜日
沼津某所 待ち合わせ場所
ミーンミンミンミンミン… ミーンミンミンミンミン……
千歌「おでかけおでかけうれしいな〜♪」
千歌「助けたカメに〜連れられて〜♪」
善子「絶対違うでしょその歌詞」
千歌「分かんないよ!?おでかけしたはずだったのに、いつの間にか助けたカメに連れ去られることだってあるかもしれないじゃん!!」
善子「意味分かんないわよ」
梨子「しかもその曲おでかけ、じゃなくておべんとうの歌だし」
千歌「え?そうなの?じゃあこういうこと?」
千歌「おべんとおべんとうれしいな〜♪助けたカメに〜連れられて〜♪」
善子「何で毎回カメに連れ去られるのよ」 千歌「皆来ないね」
梨子「ええ。それにしても暑いわね……」
千歌「もう七月だからね〜。夏本番!って感じだよ〜……」
善子「そうね……」
梨子「……よっちゃん、もしかして元気ない……?」
善子「ぅぐ、……そ、そんなこと……」メソラシ
千歌「ダメだよ!何かあったらすぐ言わないと!私達そういう仲だし!」
善子「そ、そういう仲ではなくない?相談とか全くしないし……」
梨子「何かあったの……?」
善子「んー……悩んでも仕方ないことなんだけど……」
善子「……動物科の二年生って、毎年一人一羽、ヒヨコを飼育するのよ」
千歌「え!いいなぁ!」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています