千歌「浦の星農業高校へようこそ!」
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浦の星農業高校 空き教室
ルビィ「すみません、お待たせしましたっ……」タッ
千歌「ううん、私こそ急に呼び出しちゃってごめんね……っあ!?ダイヤちゃんには何も言ってないよね!?」
ルビィ「はい、お姉ちゃんには花丸ちゃんと勉強して帰るって言ってあります」
千歌「そっかぁ……良かった〜っ……」
千歌「……それでね、ちょっとルビィちゃんに聞きたいことがあって……」
ルビィ「聞きたいこと……ですか……?」キョトン
千歌「……ルビィちゃん、スクールアイドル興味ある?」
ルビィ「……!」
ルビィ「……ぇっ、……ぁ、る、ルビィは……その……」
千歌「私、ダイヤちゃんと賭けをすることになったの」 千歌「私がダイヤちゃんと賭けに勝ったら、ルビィちゃんはスクールアイドル出来るんだよ」
千歌「私は絶対負けない。約束する」
千歌「だからその前に、ルビィちゃんの、本音を聞きたいなと思って」
千歌「……ルビィちゃんは、スクールアイドルやりたい?」
ルビィ「………………ルビィは……」
ルビィ「……ルビィ、アイドルやりたいです……っ、千歌先輩と、お姉ちゃんと一緒に……!」
千歌「……うん」クスッ
千歌「わかった。それだけ聞きたかったの。明日の放課後、緑化教室でする予定だから、ルビィちゃんも応援に来て欲しいな」
ルビィ「……はいっ」
千歌「あとこれ!」
千歌「ルビィちゃんとお話出来て嬉しかったから、今日のお礼!みかんどら焼き!」
ルビィ「……あ、ありがとうございますっ……」
千歌「うんっ、じゃあ帰ろっか!」
ルビィ「はいっ……!」 ------
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放課後
浦の星農業高校 緑化棟 緑化教室
千歌「………………」
ダイヤ「………………」
果南「い、一体何で呼び出されたの……?」
曜「何?どうしたの?喧嘩しちゃったの?」
梨子「……実は、ダイヤちゃんとルビィちゃんを加入させるために賭けをすることになって……」
果南「賭け!?千歌がダイヤとの賭けを受けたの!?」
梨子「はい……私に任せてって……」
果南「千歌……」
果南「(千歌にとって、スクールアイドルはそんなに本気でやらないといけないものなの……?)」
果南「(そんなに、この学校を楽しくしたいの?)」
果南「(……どうせあと三年で廃校になっちゃうこの学校を、思い出として、残そうとしてるの?)」 >>328 付け忘れがありました
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翌日 放課後
浦の星農業高校 緑化棟 緑化教室
千歌「………………」
ダイヤ「………………」
果南「い、一体何で呼び出されたの……?」
曜「何?どうしたの?喧嘩しちゃったの?」
梨子「……実は、ダイヤちゃんとルビィちゃんを加入させるために賭けをすることになって……」
果南「賭け!?千歌がダイヤとの賭けを受けたの!?」
梨子「はい……私に任せてって……」
果南「千歌……」
果南「(千歌にとって、スクールアイドルはそんなに本気でやらないといけないものなの……?)」
果南「(そんなに、この学校を楽しくしたいの?)」
果南「(……どうせあと三年で廃校になっちゃうこの学校を、思い出として、残そうとしてるの?)」 超ミスりました。全然違った
正しくは >>328 ではなく >>324 の付け足しです ダイヤ「勝負は一回のみです。分かりましたね」
千歌「……分かった。何をするの?」
ダイヤ「ダウトです」
千歌「ダウト……」グッ
曜「千歌ちゃん、大丈夫かな……」
果南「どうだろう……千歌は嘘が下手だからな……」
梨子「千歌ちゃん……」
千歌「……わかった。それでいいよ」
ダイヤ「それでは始めましょう」
ダイヤ「…………善子さん、カードの配布をお願いします」
梨子「えっ?よっちゃん……?」キョロキョロ
善子「げっ……」
善子「……どうして分かったのよ」
ダイヤ「気になっていた様子だったので。もしかしてと思いまして」
善子「……あー……あー、まあ?気になっていたけど……はぁ……仕方ないわね……」
善子「……私のカード、大事に使いなさいよ」スッ…
ダイヤ「ありがとうございますわ」 善子「……ったく、……千歌、本気なの……?」コソッ
千歌「…………本気だよ」
善子「…………そう……」
千歌「……私ね、本気で浦の星を楽しい学校にしたいって思ってる」
千歌「楽しいっていうのは私だけじゃなくて、ダイヤちゃんに善子ちゃん。果南ちゃんによーちゃん、ルビィちゃんに花丸ちゃん、鞠莉先輩……」
千歌「それから……梨子ちゃん」
千歌「私は、この学校で良かったって思って欲しい。この学校が無くならなきゃいいのにって、皆に思ってもらいたい」
千歌「……その為にも、まずは第一歩、みたいな」ニッ
善子「!」
善子「あんた、本当、どこまでもバカね」
千歌「っえへへ、ありがとう」
善子「ふんっ……」フイ
善子「…………まあ、精々頑張りなさいよね。私も……期待してるんだから」ポソ
善子「──配り終わりました。始めてください」 --
緑化教室前
ルビィ「………………」
花丸「ルビィちゃん、入らないの?」
ルビィ「……ルビィは……いい……」ギュッ
花丸「でも塀の後ろに隠れてたら千歌先輩とダイヤ先輩の賭けが見られないずら」
ルビィ「……そうだけど……ルビィが行くと、千歌先輩も、お姉ちゃんも……集中出来なくなっちゃうと思うから……」
「──わっ!」
るびまる「「わっ!?!?」」ビクッ
鞠莉「おおおっと、こらこら。しーっ……ね?」
花丸「鞠莉先輩が脅かすからですっ……」 鞠莉「ごめんごめん。そんなところで何してるんだろーって思ってね」
花丸「実は、千歌先輩とダイヤ先輩が賭けをしてるんです」
鞠莉「え?何で????」
花丸「とにかくっ、鞠莉先輩も隠れてください」グイッ
鞠莉「お、おおっと……意外と強引ね……それで?」
ルビィ「千歌先輩が、ルビィの為に賭けに勝ってくるから応援して欲しいって……」
鞠莉「な、何でルビィの為にダイヤと千歌っちが賭けしてるの……??」
花丸「色々ありまして」
鞠莉「うん、そうね。私の知らないところで私の知らない何かが繰り広げられていることは分かるわ」 ルビィ「……二人とも、ルビィの為って……思ってるから……」
鞠莉「だから、応援しに行かないの?」
ルビィ「…………」
鞠莉「私はね、別にそれでも良いんじゃないのかなって思うわよ」
るびまる「「……え?」」
鞠莉「ルビィはルビィなりに色々気を遣って、そうやって隠れているんでしょう?でも、隠れてるだけでしっかりこの場に来てるじゃない」
鞠莉「応援してないように見えるかもしれないけど、この場に居る誰よりも一番ルビィが応援していると思う。だから別に後ろめたい気持ちになる必要は無いのよ」
ルビィ「……鞠莉先輩……」
鞠莉「信じましょう、千歌っちを」
ルビィ「…………はい」コクリ --
ダイヤ「7」スッ…
千歌「……っ……」ペロッ
千歌「……8、」スッ…
ようかなよし「「!」」ハッ
善子「(……このバカ……)」
果南「(……自分じゃ気が付いてないかもしれないけど……千歌、嘘つく時に唇舐める癖あるんだよ……)」
曜「(ああああああっ……どうなっちゃうのぉ……)」オロオロ
ダイヤ「……千歌さん、喉が渇いてますの?」
千歌「……え?な、なんで?」
ダイヤ「唇が乾燥していたようでしたから。……お水でも飲んで来ます?」
千歌「あ、あはは〜……そうしようかな?ちょっと冷水機でお水飲んで──」ガタッ
ダイヤ「ダウト」
ようかなよしりこ「「「「!!!」」」」 ダイヤ「千歌さん、先程のカードは8ではありませんでしたね」
千歌「……どうして?」
ダイヤ「唇を舐める癖……千歌さんが嘘をつく時、毎回そうしているのです」
千歌「……なるほどね。それじゃあ、カードを確認して」
善子「ちょっ!?あんた少しは嘘ついたことくらい隠しなさいよ!?」ギョッ
ダイヤ「……ええ、そうさせて貰いますわ」スッ…
ダイヤ「──っえ……?」
善子「う、嘘でしょ……」
果南「こんなことってある……?」
曜「ど、どうして……どうして本当に8のカードなの!?」 千歌「昨日からずっと考えてたんだ。どんなゲー厶が来てもいいように、戦い方は考えようって」
千歌「まず私の弱点を考えてみたの。私は嘘が下手。賭け事に関して、嘘が下手だと絶対に勝てない」
千歌「だから昨日は、”嘘をつく”練習をしたの」
-
果南『千歌、今嘘ついたでしょ』
千歌『え”っ……何で分かったのー?』
果南『千歌、嘘つく時絶対唇舐めるからね』
-
千歌「昔果南ちゃんが私に千歌は嘘が下手だねって言った時のこと思い出してね」
千歌「去年一年間一緒に過ごしてきたダイヤちゃんでも分かるんじゃないかと思って仕掛けてみたんだ」 梨子「………………」ゴクリ…
梨子「(千歌ちゃん……本気なんだ……)」
ダイヤ「……っ……分かりました……ここに置かれたカードは私が貰います」
ダイヤ「ですが勝負は手札のカードが無くなるまで。まだ負けではないですわ」
果南「(ダイヤの手元には積まれたカードが沢山ある……奇跡が起きない限り、勝ち目は無さそうだけど……)」チラッ…
千歌「………………」
果南「(今まで素直で純粋な千歌の嘘を見抜けなかったことなんて無かった。……なのに今は──)」
果南「(千歌が何を考えてるのか分からない……千歌が、怖い……)」 曜「(……千歌ちゃん……カッコイイ!)」キラキラ
ダイヤ「次こそ……っ……」
ダイヤ「9……」
千歌「……んーっと、……あった。10」パサッ
ダイヤ「……J」パサッ
千歌「……Q」
ダイヤ「K……!」
千歌「──ダウト」
千歌「ダイヤちゃん、今の嘘だよね」
梨子「えっ……!?」
善子「は、はぁ!?何してんのよこいつ!?何処に嘘ついた要素があったのよ!」 果南「!」ハッ
果南「(目だ。千歌、ずっとダイヤの目を見てた。……嘘をついてたら、直ぐに揺らぐのが分かるんだ)」
ダイヤ「…………っ……」
千歌「ダイヤちゃん、カード、確認してもいい?」
ダイヤ「……っ、……」グッ
曜「ダイヤ先輩……?」
ダイヤ「……黒澤家に相応しいのは、常に勝利のみ……」
ダイヤ「…………ルビィ、すみません……私は黒澤家の長女失格です……」パラッ…
梨子「カードは、……A……」
ダイヤ「……千歌さん。貴女の勝ちですわ」
千歌「……で、でもまだダイヤちゃんの手札は残って……」
ダイヤ「……いいんです。時には相手の戦意に敬意を示すことも大切ですから」
ダイヤ「……約束通り、ルビィをスクールアイドルにしてあげてください」
ダイヤ「ルビィを、よろしくお願いします」 曜「!やったぁ!これでルビィちゃんもスクールアイドルになるんだね!」パアァッ
千歌「……ダイヤちゃんもだよ」
ダイヤ「……えっ……?」
千歌「約束通り、ダイヤちゃんもスクールアイドルになるんだよ!今から誤魔化したって無駄だぞ〜!」
ダイヤ「えっ!?わ、私はそもそもスクールアイドルなんて──」
千歌「捕まえた〜っ!」ギューッ
ダイヤ「ちょ、ちょっと!離しなさいな!」
千歌「やだ!ぜ〜ったい離さないぞ〜!」ギュムッ
ダイヤ「千歌さん!ちょっともう!」
千歌「(……私ね、ダイヤちゃんとルビィちゃんがスクールアイドル一緒にやってくれることもすっごく嬉しいけど……)」
千歌「(何より……ダイヤちゃんを騙して、引っ掛けた私の戦意に敬意を示すって言って、降参してくれたダイヤちゃんの優しさに触れられたことが一番嬉しいんだ)」
千歌「(賭け事じゃ私は勝てない。ダイヤちゃんは、……きっと私に態と負けてくれたのかなって、そう思うんだ)」 やっと課題から開放されたので少しずつペースを上げて更新していきます ---
ワイワイ
鞠莉「あら、千歌っちが勝ったみたいね」
花丸「良かったなぁ、ルビィちゃん!千歌先輩が勝ったって!」
ルビィ「……っえ?」
ルビィ「(お、お姉ちゃんが……負けたの……?)」
ルビィ「…………」ソローリ
千歌「ダイヤちゃーん!」ギューッ!
ダイヤ「ちょっと!もういい加減離れなさいな!果南先輩も何か言ってやってください!」
果南「まあ千歌楽しそうだし良いんじゃない?」
ルビィ「……ほんとに……お姉ちゃんが負けちゃったんだ……」ポソッ 善子「ちょっと。さっきからそんなところで何してるの?」
ルビィ「わ、あぁっ!?」ビクッ
花丸「あ!善子先輩っ、何でオラ達が居ることに気が付いたんですか?」
善子「私からは丸見えなのよね……鞠莉先輩の輪っか」🫵
鞠莉「わっか? ……ああ、髪の毛?」
善子「千歌とダイヤが賭けをしてる間もぴょこぴょこ動いてるから何かと思いましたよ」
鞠莉「Sorry。私のせいでバレちゃったみたい」テヘペロ
花丸「Sorry、じゃないんですよ……」
ダイヤ「る、ルビィ……どうしてここに……」
ルビィ「……ごめんなさい……気になって、見に来ちゃってた……」
ダイヤ「……謝るのは私の方ですわ、……ごめんなさい。ルビィ……」
ルビィ「ど、どうしてお姉ちゃんが謝るの……?」
ダイヤ「黒澤家の長女として、……情けないことをしてしまいました……」
ダイヤ「私も、……千歌さんが本気でやろうとしているところを見て、段々、私もやってみたいという気持ちが出てきて…」
ダイヤ「……すみません、ルビィ……」
ルビィ「お姉ちゃん……」 鞠莉「……ダイヤは勝負に負けたことを謝ってるんじゃなくて、ルビィの姉としてかっこ悪いことをしてしまったことに謝っているのよ」
果南「ルビィちゃん、どうする?ダイヤにお仕置しちゃう?」
ルビィ「……お姉ちゃん……あのね、ルビィ……」
ルビィ「ルビィ、お姉ちゃんとアイドル出来たらいいなって……ずっと思ってたの……」
ルビィ「お姉ちゃんとやりたくて、曜ちゃんにも、ルビィが入るの待ってって……」グスッ
ルビィ「ルビィ、お姉ちゃんとやりたい……っ……お姉ちゃんと、千歌先輩と、皆でやりたい……」ポロッ…
ルビィ「千歌先輩が勝ったって聞いた時……少しだけほっとしちゃったの。これでお姉ちゃんとスクールアイドル出来るんだって……」
ルビィ「だから……ルビィもごめんなさい……お姉ちゃんを応援しないといけなかったのに……」ポロポロ…
千歌「……ルビィちゃん……」 ダイヤ「……ルビィ」ギュッ
ルビィ「ごめんなさい……ごめんなさいお姉ちゃん……」ギュウゥ……
ダイヤ「……一緒にスクールアイドル、頑張りましょうね」
ルビィ「……っうん……!」
鞠莉「……一件落着ってことね。良かったじゃない」
千歌「そうですね……これで五人!私と果南ちゃんとよーちゃんと、ルビィちゃんとダイヤちゃん!五人になったよ〜!」ワーイワーイ! 善子「……スクールアイドル、ね……」ポソッ
花丸「善子先輩、興味あるんですか……?」
善子「ぅぐ……き、聞こえてたの?」
花丸「……はい。オラも、……少しだけ」
善子「……ああ、そういえば花丸も誘われてたって言ってたわね」
善子「……やるの?スクールアイドル」
花丸「まだ考えてる途中ですけど……ルビィちゃんも居るならやってみようかなって、……でもオラ、運動苦手で……」
善子「やってみたらいいじゃない。貴女、きっとアイドルとか似合うんじゃない」クスッ
花丸「!」カアァッ
花丸「……は、はい……まだ考えてる途中なので……」ポフッ
善子「な、何で顔隠すのよ?」
花丸「内緒です」 果南「あれ、梨子ちゃんはまだメンバーじゃないの?」
梨子「はい、一応、考えてるところで……」
曜「梨子先輩も一緒にやりましょ〜よ〜っ!!」グイグイ
梨子「うーん……どうしようかな……」
果南「やりたいかやりたくないかで言ったらどっちなの?」
梨子「それは、まあ……」
梨子「…………やりたい、ですけど……」
果南「ふ、ふーん……」ニヘラ
ようりこ「「(嬉しそう……)」」 千歌「あ!鞠莉先輩、あの──」
鞠莉「あ、ごめん。私、今から同好会行かないといけないから」
鞠莉「また明日」フリフリ
千歌「ぁ……、はい……」ショモ…
鞠莉「(私の知らないところで色々な事が起きてるわね〜)」スタスタ…
鞠莉「(……というか、スクールアイドルって……何の話かしら……)」 ヨハネが原作以上にイケメン化してて捗りますね。よしりこもよしまるも楽しみ ------
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翌日 緑化棟 実技試験練習場
授業:造園技術
白津「今日から造園技能検定の、実技試験の練習を行います」
毎年浦の星農業高校緑化科の二年生が受けることになっている造園技能士試験3級。
この試験は学科試験と実技試験に分けられ、両方の試験に合格する必要があります。学科試験は、正誤法による問題と4肢択一式問題があわせて出題されています。
実技試験は実際に課題を作成する作業試験と樹木の枝を見て樹木名を判定する要素試験に分けられ、共に合格しなければなりません。
学科と実技の両方の試験に合格すると、「技能士」の称号が与えられます。1級は厚生労働大臣の、2・3級は都道府県知事名の合格証書が交付されます。
合格率は70%程度。 技能検定試験の中でも難易度は低めで、造園を学ぶ学生ではほとんどが合格しているとの情報もあります。 とはいえ、学科試験と実技試験の両方に合格する必要がありますから、暗記すれば合格できる試験ではないということも心得ておく必要があります。
実技試験は図面通りに竹垣製作、縁石・敷石敷設、植栽、整地・清掃を行います。
https://imgur.com/a/ii4Y6vf
https://imgur.com/a/1W6ZKwR 白津「それでは今から一緒にやりながら説明していくので、まずはこの剣スコップを使って土を掘り返して、土を柔らかくしていきましょう」
千歌「えっ……全部掘り返すんですか?」
白津「はい。土を柔らかくすると作業がしやすくなるんでね。早速始めてください」
梨子「……ふ、ふんっ……!」ガツンッッ
梨子「い、いったぃ……土相当硬いわよこれ……」
ダイヤ「わ、私も負けませんわ!」ガツンッッ
ダイヤ「痛い!!土硬すぎですの!!」
白津「一年間手を付けてない土ですからね。硬くもなります」 千歌「ふんっ!……ふんっ!」ガッ ガッ!
梨子「千歌ちゃんすごい……」
千歌「こういうのは腰を落として、剣スコを地面に刺す感じでやったら上手くいくよ〜!」
千歌「あとはね、こう斜めに剣スコを立てて……こう!」ガッ!
千歌「ここを思いっ切り踏み込むと地面に刺さるから、剣スコをこうやって倒すと……」ボコッ
千歌「こうやって土が掘れるの!簡単だからやってみて!」
梨子「わ、分かった……えいっ!」ガッ!
梨子「ふ、ふんっ……!」ボコッ
梨子「で、出来た……、出来たよ千歌ちゃん!」パアァッ
千歌「うん!梨子ちゃん上手上手!」
ダイヤ「ふんっ……!ふんっ……!」ガッ ガッ!
千歌「あ!ダイヤちゃんも上手になった!すごいね〜!」 数十分後
白津「──よし、大体の人が土を掘り返せたようなのでこのこうがい板を使って整地していきましょう」
千歌「うぅ……私こういう作業苦手……」サッサッ…
梨子「確かに難しいよね……」サッサッ…
千歌「難しいんじゃなくて面倒臭いんだよ〜」
千歌「……って、そんなこと言って、梨子ちゃん上手じゃん!」サッサッ…
ダイヤ「…………」サッ…サッ…
千歌「あー!!梨子ちゃん見て!ダイヤちゃん、ジョレン使ってる!ズルい!」
ダイヤ「ズルではありませんわ。借りたんですの」
千歌「ひとりだけ!?ズルすぎるよ!」ムキーッ
山崎「梨子も終わらなさそうやな。はい」スッ…
梨子「あ、ありがとうございます」
千歌「梨子ちゃんまで!?私は!?」
山崎「千歌はこういうの一瞬で終わるやろ」
千歌「終わるけど!終わるけど〜っ!!!」 白津「今度は一人一本、丸太の柱を持って広いところに出てください。ノコは腰に付けてると思うので、そっちを使うようにしてください」
梨子「千歌ちゃん、ダイヤちゃん行こう」
ダイヤ「わかりましたわ」
千歌「よっと、よーっし!切るぞ〜!」 めっちゃ面白い
先輩善子とか文学少女マルが絶頂してしまう 白津「よし、全員居るな」
白津「最初、大体3センチくらいの厚さで柱の天端を切り揃えます」
梨子「な、何で切り揃えるの?」
ダイヤ「柱が真っ直ぐ切れているのかも審査の基準となるんですわ。手を付けていない柱は真っ直ぐ切られているのが当たり前。切らないとズルになってしまうでしょう?」
梨子「な、なるほどね……」ギコギコ…
千歌「あー!みて!斜めになっちゃった!!」
梨子「ど、どんまい……」 白津「次にこの柱を図面に書いてある900ミリ……90センチのところに印を付けますが、これよりも少し長めに切ります。巻尺は道具箱に入ったものを腰につけていると思うので、それを使いましょう」
白津「道具箱の中に赤鉛筆も入っていたと思うのでそれで印をつけてください」
梨子「80……90……よし、ここね」スッスッ…
千歌「梨子ちゃんえんぴつ貸して〜」
梨子「ええ?千歌ちゃんの道具箱にも赤鉛筆入ってたでしょ?」
千歌「芯が潰れてたんだよ〜…これじゃ何にも書けないもん……」
梨子「あ、ほんとだ……これは酷いわね……ダイヤちゃんも見て、これ酷──」チラッ
サッ…サッ…
ダイヤ「………………」サッ…サッ…
千歌「剪定バサミでえんぴつ削ってる……」
梨子「これがもし本番の試験だったら時間切れになるやつね……」 千歌「……はい、梨子ちゃんありがとう。私達は印もつけたし早く切っちゃお」
梨子「そうね、他の人はもう切り終わってるし、急ぎましょ」
千歌「うおおおおおっ!!私が一番になるぞ〜!!!」ベコンベコン
ダイヤ「情けないですわね!ノコが踊ってますの!」ベコンベコン
千歌「えっちょっとなにこれ」ベコンベコン
ダイヤ「ああもう上手く切れないですの!」ベコンベコン
梨子「ふ、二人とも一旦落ち着こっか……」ギコギコ…
白津「おー、切り終わったかー」
千歌「や、やば!急ご!」ギコギコ! ギコギコ! 白津「次は自分のところに戻って図面通りに柱を設置していきます」
白津「図面を見ながら長さを測定したところにピンポールを二本立てて、ダブルスコップで土を掘ります」ザッカ ザッカ
白津「大体掘ったらですね、柱を入れて、90センチピッタリ合うように土の量を調節しながら柱を設置してください」
白津「この時、先程立てたピンポールを抜いて掘った穴へ橋になるように置くと線に合っているのか確認することが出来ます」
千歌「よくわかんないね〜」
ダイヤ「やってみるしかなさそうですわね」 梨子「……あれ……深く掘り過ぎちゃったみたい……」
山崎「土を足せばいいんだよ」サッサッ…
山崎「それからつき棒で突いたら良い感じに高さが出るから、そんな感じで調節していったらいい」
梨子「ありがとうございますっ、……なるほど、つき棒で……」
ダイヤ「………………」トントンッ トントンッ…
ダイヤ「どうです!?高さはバッチリですの!」
山崎「ああ。じゃあその調子で真っ直ぐ据えてみろ」
ダイヤ「勿論ですわ!私にかかればこのくらい余裕ですの!」トントン! トントン!
梨子「ダイヤちゃん凄いやる気ですね……」
山崎「ダイヤは割とこういう実技の授業好きだからな。座学もしっかり話を聞いてたりはするけど、何だかんだイキイキしてるのは実習の時だし」
千歌「山崎せんせー!梨子ちゃーん!ダイヤちゃーん!見てー!」 千歌「ピサの斜塔」バーンッッ
With 斜めに据えられた柱
山崎「落ちたな」
ダイヤ「技能試験不合格ですわね」
梨子「先生(審査員)の前でそれは……」
千歌「先生これ据えてる途中から動かなくなっちゃったんですけどどうしたらいいんです?」
山崎「木槌で叩いたらええやん」コンコンッ… ごめんなさい!おサボりします
明日には全員集めたいです 気長に待つから好きなときに書いてくれたら良いわ
保守は任せてくれ >>374 ありがとうございます
嬉しくて涙が止まらないです 優しい人が多くて心があったまりました
本当にありがとうございます 千歌「おおおすごい!さっきまでビクともしなかった柱が動いた!!」
山崎「本当は据え付ける時に調節しないといけないんだけどな。ほら、水平器で測ってみろ」
千歌「うおおおおおすげー!!!水平だ!!!梨子ちゃん梨子ちゃん見て〜!!」
ダイヤ「うるさいですわよ」
梨子「う、うん、……すごいねー」
山崎「梨子、ウザイ時はウザイって言っていいんだぞ」
ダイヤ「大体貴女、天端切り揃えた時物凄く斜めってたではないですか」
千歌「ありゃほんとだ……めっちゃずれてる……」
梨子「千歌ちゃんはまず真っ直ぐ切れるようにしないとダメね……」
千歌「し、仕方ないじゃん?すっごい急いでたんだし!」
白津「二本立て終わったか〜」
ダイヤ「先生が異次元レベルで進めていきますわね……」
梨子「着いて行くのに精一杯で作業に集中出来ないわ……」
ダイヤ「とにかく急ぎましょう」 ---
一時間後
キーンコーンカーンコーン
千歌「ああ!やばいチャイム鳴っちゃったよ!」
梨子「次国語でしょ?間に合うかしら……」
白津「道具箱と使った工具はシャッターの部屋に片付けて行ってください。それでは授業終わりまーす」
ダイヤ「あと10分で着替えて教室に戻らないといけないのに片付けまで……」
梨子「これ間に合わないわね……」
千歌「ふたりともダブルスコップと剣スコ貸して。私が片付けてくる」
ダイヤ「ありがとうございます。なら千歌さんの道具箱は私が持っていきますわ」
千歌「あ、つき棒も持てそう」プルプル…
ダイヤ「流石に死にますわよ。私と梨子さんで持っていくので早く行ってくださいな」
千歌「はぁい……お願いしま〜す」プルプル…
梨子「…………あれ本当に大丈夫なの……?」
ダイヤ「…………さぁ?」
ガッシャーンッッ
山崎「おい、何の音だー」
千歌「ぎゃー!!!全部落とした!!!全部落としたー!!!!」
ダイりこ「「…………はぁ……」」 ----
緑化科 教室前
キーンコーンカーンコーン…
国語教師「…………誰も、居ない……」
国語教師「というか、鍵も閉まってる……」
国語教師「前の時間が実習なのかな……帰ってきてないみたい……」
国語教師「…………」キョロキョロ
国語教師「ちょっとだけ、ちょっとだけ……」タプタプッ
国語教師「………今流行りのスクールアイドル………」
国語教師「私も、……もう少し遅く生まれてたら出来たのかな……アイドル……」
千歌「何見てるんですか?」ヒョコ
国語教師「ああ、高海さんこんにちは。これは今流行りのスクールアイド──って高海さん!?!?」ビクッ 千歌「小泉先生、何か見てたから気になっちゃって!」ニシシ
小泉「そ、そう……あ、前の時間、実習だったの?」
千歌「はい、片付けもしてないのにチャイム鳴っちゃって……皆まだ着替えると思います」
小泉「そうだったんだ、お疲れ様だね。……それにしても……高海さん速いね……」
千歌「私は今日お昼が食堂なので……見てください!手作りチキン買ったんです!」バーンッ
小泉「わ、良い匂い……私もお腹空いてきちゃうなぁ……」
千歌「あの!さっき先生が見てたのって、スクールアイドルの動画ですよね!」
千歌「先生、スクールアイドル好きなんですか!?」キラキラ
小泉「す、好きっていうか……まあ……好き、なのかなぁ……」ムムム… 千歌「私、文化祭でスクールアイドルする予定なんです!」
小泉「高海さんが……?」
千歌「はい!もし成功したら先生も感想聞かせてくださいね!」
小泉「高海さん……」
千歌「……あ、ごめんなさい。教室の鍵取ってくるの忘れちゃいました……ちょっと職員室行ってきます!」タッ
小泉「ああ、廊下は走っちゃダメだよ〜っ!」
小泉「…………高海さんが、スクールアイドル、かぁ……」 ----
昼休み
緑化科 教室前
善子「…………」チラッ…
善子「………………」キョロキョロ
梨子「何してるの?」
善子「ぎゃっ!?」ビクッ
善子「な、なんだ……梨子か……」
梨子「お、驚かせちゃってごめんね?……一体何してたの?」
善子「ねぇ、千歌居ない?」
梨子「千歌ちゃん?千歌ちゃんならチキン三つ目とアイス買いに食堂に行ったよ」
善子「どんだけチキン食べてんのよ……」
千歌「あー!善子ちゃんじゃん!どうしたの?」
善子「…………ふん……」スタスタ 善子「千歌」スッ…
千歌「……なにこれ?黒い羽根?」
千歌「あー!分かった!これカラスの羽でしょ?拾ったらダメだよー、バイ菌だらけだから──」
善子「カラスの羽じゃなくて買ったのよ!!!!!!」
千歌「買ったの?羽を?なんで?」
善子「うっさい!!」
善子「これは契約よ。堕天使ヨハネとしての私を、スクールアイドルへ加入──」
千歌「よはね?あー!あったね!そんな設定!」
善子「設定言うな!」 善子「……と、とにかく……後輩も出来て、先輩とも知り合って……私の中の堕天使を制御しないといけない場面ばかりだったの……」
善子「だからこそ……こうして堕天使ヨハネとしての私を、解放したい……っ!堕天使ヨハネとして、千歌と一緒にステージに立ちたいの!」
千歌「ええっと……つまり……それは……」ムム…
千歌「一緒にスクールアイドルやってくれるってこと!?」ハッ
善子「そう言ってるでしょ!察し悪いわね!!」
千歌「そうは言ってなかったよね」
善子「ほんとウザイわねあんた」 ダイヤ「こんな廊下のど真ん中で何をしているのかと思えば……」
千歌「ダイヤちゃんダイヤちゃん!善子ちゃんスクールアイドルやってくれるって!」
ダイヤ「えっ、本当ですの?」
善子「………………」
-
花丸「……オラ一人で入ります〜って言うのは中々……千歌先輩もオラを誘ったこと忘れちゃってるんじゃないかなって……」
善子「……じゃあ、私が入ったら入って来れる?」
花丸「えっ?」
善子「明日の昼休み、私がチャンスを作るから、花丸はそれに乗っかってきなさいよ」
-
善子「……まあ、色々考えてね……」 「ほら頑張って花丸ちゃん!」
「う、うんっ……頑張ってマルちゃん!」
「お、オラには無理ずらぁっ……」
千歌「この声……もしかして!」パアァッ
花丸「わわっ、曜ちゃん押さないでぇ……」ピェェ…
梨子「あら、花丸ちゃん!」
花丸「こ、こんにちは……」ペコ
曜「千歌ちゃん!捕獲して来ました!」ビシッ
千歌「よーちゃん!よくやった!」ビシッ
ダイヤ「なんとまぁこんな強引に……」呆
ルビィ「ご、ごめんなさい……ルビィもどうしてもマルちゃんにスクールアイドルして欲しくて……」 花丸「お、オラは別に……アイドルなんて向いてなくって……」
善子「やってみたらいいじゃない」
花丸「……えっ……?」
千歌「そうだよ!善子ちゃんの言う通り!」
千歌「一番大切なのは自分に向いてるかとか、出来るかどうかじゃない」
千歌「やりたいかどうかなんだよ!」
梨子「千歌ちゃん……」
千歌「うおおおお今良いこと言った!良いこと言ったよね!」
曜「よっ!出ました名言!!」
善子「台無しね」 花丸「……でも、オラは……」
善子「……良いんじゃない。やってみて、やっぱり自分には向いてないって思ったらまた考える。やってないことを向いてないって諦めるよりはずっと良いと思うけど?」
花丸「……善子先輩……」
善子「それに花丸、こんなに可愛いんだしね」フッ…
花丸「な、なあぁっ!?」カアァッ
花丸「こ、これが沼津に住んでる人の輝きっ……眩しい……オラには眩しいよぉ……」顔隠し
善子「い、意味分かんないんだけど……」
千歌「それでそれでっ、花丸ちゃん!スクールアイドルやってくれるの!?」
花丸「………………」ゴクリ…
花丸「オラにも……出来ますか……?」
千歌「私だって自分はアイドルなんか向いてないって思うよ。でも、やっぱり大切なのはやってみたいって気持ち!」
千歌「花丸ちゃんが少しでもやってみたいって思うなら、私は心から歓迎するよ!」スッ…
花丸「…………やってみたいって気持ち……」チラッ
善子「…………ん、」ニコ
花丸「……それなら……よろしくお願いします」ギュッ
千歌「えへへ、ようこそ花丸ちゃん!」ギュッ 曜「…………梨子せんぱぁぁい……」ウルウル…
ルビィ「……まだ入る気にならないですか……?」ウルウル
梨子「ぅ”っ……」💘
梨子「……ち、違うのよ……?別に入る気にならないというか……そういうのじゃなくって……」
梨子「……まだ、勇気が出ないの。……やっぱり私も何処かスクールアイドル…アイドルに対して引け目を感じてる」
梨子「……私なんかがアイドルしていいのかなって、ずっと考えてたら……気が付いたらもうあと私と鞠莉先輩だけになってて……」
梨子「中々、言い出すタイミングも無くて……」 ダイヤ「……梨子さんはやりたいんですの?」
梨子「それは……勿論……」
ダイヤ「だったらそれでいいではないですか。考えるのは後にして、今は前進あるのみ」
ダイヤ「そう思いませんか?」フッ…
梨子「ダイヤちゃん……」
梨子「……後で千歌ちゃんに話してみるね」
梨子「ありがとう、ダイヤちゃん。曜ちゃんもルビィちゃんもありがとう」
曜「いえ!早く一緒にスクールアイドルしたいので!」ニパ
キーンコーンカーンコーン
ルビィ「あぁっ!掃除始まっちゃう!曜ちゃんマルちゃん、早く戻ろうっ……!」アワアワ
花丸「も、もうそんな時間ずら!?」アワアワ
曜「急げ急げ〜!」タッ
ルビィ「怒られちゃうよぉ〜っ」タッ
花丸「先輩方、失礼します」ペコ
花丸「待ってよルビィちゃん曜ちゃ〜ん!」タッ >>367
ベコンベコンめっちゃわかる
なかなか刃が入っていかないのよね -----
五、六時間目
緑化棟 製図教室
授業:造園計画
千歌「………………」ムムム…
梨子「あ、あの……千歌ちゃん……」
千歌「ちょっと待って……あと少し……あと少しだから……」スススッ…
千歌「こうだ!絶対真っ直ぐ線引けたでしょこれ!」パッ
ダイヤ「有り得ないくらい斜めですわよ」
千歌「ちくしょおおおおおおっ!!!!」ダンッ
白津「こら高海。製図台叩きませんよ」
千歌「は、はぁい……」
白津「ドラフターの製図台は30万円以上しますからね。壊さないでください」
千歌「わ、わかってまぁす……」
千歌「……もう……本当ムカつくなぁこれ……」ムムム…
緑化科、二年生は資格取得が多く、七月と八月には国家資格である造園技能検定、九月頃にはトレース技能検定を取得する予定となっている。
造園計画はそのふたつの中のトレース技能検定の取得を目指して、授業の中で製図台を使用し、トレース技能検定3級の課題を練習している。
梨子「ち、千歌ちゃん、あのね……」
千歌「あと少しで完成するから……ちょっとだけ待ってて」ニッ
千歌「……この丸いところが一番難しいんだよねぇ……」スススッ…
梨子「…………」ガタッ
千歌「えー!梨子ちゃんもう終わったの!?」
梨子「うん。実は前回終わってて……」 千歌「は、速いなぁ……流石美術部……」
梨子「それ関係ある……?」
ダイヤ「トレース検定の三大原則は「正しく」「速く」「美しく」ですからね。速いのは良いことですわ」
千歌「ダイヤちゃんまだ一枚目でしょ〜?そろそろ終わらせないと怒られちゃうよ〜」
ダイヤ「い、良いんですの!気になるところばかりで……」
梨子「……んー……綺麗だと思うけど……」
ダイヤ「本当ですの!?」パアァッ
梨子「え、う、うん?綺麗だよ?」
ダイヤ「……な、なら一旦これで提出しましょうかね……」ガタッ
千歌「あ!!待って!私も!!私ももうすぐで終わるから!」
白津「高海」
千歌「はいごめんなさいちょっと黙ります」 梨子「……先生、終わりました」サッ
ダイヤ「私もですわ」サッ
白津「はい、お疲れ様です」スッ…
白津「……うん、二人ともよく書けてますね。桜内はここの部分が少しはみ出ているのでこれを気を付けて書きましょう」
白津「黒澤はこの円の部分ですね。少し歪んでしまっているので綺麗に書けるようにしましょうね」
千歌「せんせー!私も出来ました!」
白津「どれどれ……」ジィィ…
梨子「ち、千歌ちゃん上手い……」
ダイヤ「……ええ、悔しいですけど上手いですわ……」
白津「高海は割とこういうの得意ですからね。よく書けました」
千歌「えへへ、ありがとうございます!」 白津「それじゃあ桜内と高海は三枚目、黒澤は二枚目を書きましょう」ピラッ…
ちかダイりこ「「はーい」」
千歌「いやぁ、なんか細かい作業だから頭痛くなるけど楽しいよねトレースって」
ダイヤ「そうですわね。何より集中力も鍛えられますし」
梨子「……ねぇ、千歌ちゃん。ちょっと話があるんだけど……」
千歌「ああ、そう言えば言ってたね!どうしたの?」
梨子「……耳貸して」
千歌「んー?」ススッ…
梨子「わ、私も……スクールアイドル、やってみたいなって……」ボソッ
千歌「え!!!!!!やってくれるの!!!」クソデカ声
白津「高海」
千歌「す、すみませぇん……」 千歌「……それで、本当にしてくれるの?」コソッ…
梨子「……うん。折角誘ってくれたんだし……皆もやるって言ってたから、私もやりたくなっちゃった」
千歌「り、梨子ちゃぁん……」ウルウル
千歌「梨子ちゃんだーいすき!!!!」ギューッ!
梨子「わっ、ちょっと危ないわよ!」グラッ
ダイヤ「ちょ、大丈夫ですの!?倒れますわよ!」
千歌「だって、だって嬉しいんだもん!!!」
白津「高海。桜内。黒澤」
ちかダイりこ「「「はい。すみませんでした」」」 -------
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放課後
千歌「ダイヤちゃん梨子ちゃん帰ろ〜!」
梨子「ごめん、私今日部活があって……」
千歌「そっかぁ……梨子ちゃん美術部入ったばっかだもんね……忙しいかぁ……」ショモ
ダイヤ「私も部活ですわ」
千歌「えっ、華道部も?……そっかぁ……」
梨子「千歌ちゃん先帰っていいわよ」
千歌「うーーん…………ぁ、私畜産棟に遊びに行ってくる!なんか久々に動物触りたくなっちゃって!」
千歌「もし時間が合えば一緒に帰ろ!」
ダイヤ「また善子さんと鞠莉先輩の邪魔をしに行くだけでしょ?全く……」ハァ…
千歌「ま、まあ間違っては無いけど……」 梨子「鞠莉先輩勧誘しに行くの?」
千歌「うん!よく考えたら鞠莉先輩にまだ言ってなかったから言いに行こうと思って!」
千歌「せっかく皆やりたいって言ってくれたんだもん、……絶対成功させたい」
梨子「……そっか」
千歌「っていうことで、鞠莉先輩を誘ってきます!二人とも、部活頑張ってね!」ニッ
千歌「じゃーねー!」ブンブン
梨子「い、行っちゃった……」
ダイヤ「騒がしい人ですね……」
梨子「……千歌ちゃん、そんなにスクールアイドルが好きなのかな……?」
ダイヤ「……あの人はスクールアイドルが好き、と言うよりはこの学校が好きなんでしょうね」
梨子「学校が?」 ダイヤ「ええ。浦の星は人が少ない田舎町にありますけど……こんなに自然が豊かで、人も優しくて、様々なことを経験させてくれる……そんな学校は中々ありませんの」
ダイヤ「……千歌さんは、そんな浦の星が大好きなんです。無くなっても仕方ない、なんて言い方していますけど、この学校で誰よりも廃校になって欲しくないと願っています」
ダイヤ「……だからこそ、せめて思い出だけでも残したいのでしょう」
梨子「……そっか」
梨子「千歌ちゃん、とっても良い子ね」
ダイヤ「……ええ、本当に」フッ… ----
畜産棟
鞠莉「──スクール、アイドル……」
千歌「はい、鞠莉先輩も興味無いかなって。善子ちゃん達もメンバーになってくれるって言ってたし、……鞠莉先輩も……」
鞠莉「Sorry。そういうの興味無いの。それじゃあ、私は同好会の仕事があるから」
鞠莉「……じゃあね、千歌っち」
千歌「……はい……」
鞠莉「……………………」スタスタ…
鞠莉「……………………」スタスタスクスタ… 鞠莉「(うわあああなんで断っちゃったんだろおおおおっ……)」頭抱え
鞠莉「(そりゃ…まあ最初は私だけ誘われなくって……ダイヤと千歌っちが賭けをした時に初めて知ったくらいだし……ちょっと寂しかったけど……)」グスン…
鞠莉「(あそこで強がるんじゃなかった〜っ!)」
鞠莉「(私も皆とアイドルした〜い!曲作ったり振り付け作ったり衣装作ったりして青春した〜い!)」
鞠莉「(こんな泥まみれの実習服より可愛い衣装が着たい〜!!!!)」
千歌「あっ、鞠莉先輩っ」タッ
鞠莉「なぁに、千歌っち。何度も言うけど私はスクールアイドルなんて──」キリッ
千歌「いえ!実習服にカナブン付いてました!」ヒョイッ
鞠莉「あ、あー……カナブン……カナブンね……」
鞠莉「(……ホントに嫌〜っ!!!!!!!)」 ----
校舎 自動販売機前ベンチ
千歌「だあああっ……ダメだぁ……」ドサッ
善子「そこ汚いわよ」
千歌「善子ちゃんからも何とか言ってよ〜……鞠莉先輩、あの調子じゃ絶対入ってくれないよ」
善子「……さぁ、あの人のことだし強がってるだけじゃないの?」
千歌「そんな訳無いじゃん。絶対入らないよあれ……」
善子「ふぅん……」グイッ
千歌「よしこちゃ〜ん……そのジュースおいし?」
善子「普通。特別美味しくもないし不味くもない」
千歌「ふーん……ねー、どうしたら鞠莉先輩入ってくれると思う?」
善子「全員で押しかけたらいいんじゃない?」
千歌「全員で?」 ごめんなさい頑張ろうと思ってたけど眠過ぎるので今日は一旦寝ます。起きたら頑張ります 善子「さっきも言ったでしょ。あの人、ただ強がってるだけなのよ。全員で押しかけたら尻尾出すでしょ」
千歌「善子ちゃんかしこーい!」
善子「あんたがアホなだけよ」
千歌「それより善子ちゃん、今日は同好会行かなくてもいいの?」
善子「……ま、偶にはサボってもいいでしょ」
千歌「行けないんだー!怒られるよ」
善子「週に二回しかない部活をほぼ毎回サボってるあんたに言われたくないわよ」
千歌「だってこの時期書道教室すっごい暑いんだよ?書道教室は冷房無いし、汗が半紙に垂れてびちょびちょになるし」
善子「うわ……嫌ねそれ」
千歌「でしょ〜?でもそろそろ作品仕上げないといけないんだけどね」
善子「……それで、スクールアイドルはどんな感じなの?」
千歌「えっ?いや、鞠莉先輩を勧誘しないと──」
善子「そうじゃなくて。スクールアイドルって自分で曲とか作ったりするんでしょ?何か進んでるの?」
千歌「えっ」 善子「まさか……あんた……」
千歌「い、いやいやいや違う違う違う」ブンブンブン
千歌「な、何にも考えてなかったなんてないないないないない!!!!」ブンブンブン
善子「考えてなかったのね。期待して損した」
千歌「ごめん〜っ!!善子ちゃんやっぱり辞めるとか言わないでぇ〜っ!!」ギューッ!
善子「言ってないでしょ!離れなさいよ!」グイグイ
曜「あっ!千歌ちゃーん!善子先輩〜!」ブンブン
善子「あ、曜じゃない」
ルビィ「せ、先輩っ……こんにちは……」ペコリ
千歌「よーちゃん!ルビィちゃんもこんにちは!」ニコ ルビィ「……あ、あの……千歌先輩」クイクイ
千歌「んー?どうしたの?」コテリ
ルビィ「これ……」スッ…
善子「何それ?ノート?」
曜「衣装デザインですよ!スクールアイドルやるって決まった時から二人で考えてみたんです!」
千歌「おおー!可愛い!」パアァッ
曜「これが千歌ちゃんの衣装で〜、これが善子先輩のです!」
善子「えっ、全員分考えたの!?」
ルビィ「は、はい……どうですか……?」
善子「うん……良いじゃない、とっても可愛いわ」
ルビィ「!」パアァッ
ルビィ「え、えへへ……」フニャリ
千歌「ルビィちゃん……か、可愛い〜っ……」キュウゥ… ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています