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勝手に【ラブライブ 第4期】を作ってみた〜ダイジェスト〜

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0002名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:04:26.28ID:KAvcyO7O
第1話(14−1)
『なってしまった!』

廊下を楽し気にスキップする花陽。

「♪なんと私が!生徒会長に!穂乃果ちゃんの薦めで…」

だが…突然立ち止まり…膝から崩れ落ちる。
そして「いや無理、無理、無理、無理…無理です!無理です!花陽には無理です!」と叫んだ。



部室。

「大丈夫ですよ!穂乃果でさえ、務まったのですから」
「う…海未ちゃん、それはひどいなぁ…穂乃果だってそれなりに頑張ったよ」
「うん、頑張った!偉い、偉い!」
「だよね?だよね?」

「いや、穂乃果ちゃんと私とじゃあ…行動力とかカリスマ性とか…全然違うから…」

「そんなことないよ、花陽ちゃんは花陽ちゃんの良さがあるもん。花陽ちゃんなら大丈夫だよ」
「ことりちゃん…」
「真姫、凛…しっかりサポートを頼みますよ」
「まっかせるにゃ〜」
「まぁ…仕方ないわね」

「うぅ…みんな…」

こうして無理やり立候補させられた花陽は、無投票で新生徒会長に選任されたのであった。
0003名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:08:08.65ID:KAvcyO7O
(14−2)

穂乃果の部屋。

「ところで穂乃果…あなた、進路は本当に…」
「うん!まさか『家事手伝い』って訳にもいかないしね」
「わかっていますか?そうであれば…相当、勉強をしないと…」
「わかってるよ…だから…海未ちゃん、ことりちゃん…高坂穂乃果を、何卒よろしくお願いします」
「なるほど…覚悟は決めたのですね?それなら容赦はしませんよ」
「や、やっぱ…やめようかな…」
「ふふふ…頑張ろうね、穂乃果ちゃん!ファイトだよ!」
「それ、私のセリフ…」



花陽の部屋。

「穂乃果ちゃんが受験?」
「うん…そうみたい」
「今からじゃ遅くないかにゃ?」
「そうね…でも穂乃果はやればできる人だから…」
「真姫ちゃん、上から目線にゃ」
「私たちだって、卒業後の進路は今から考えておかないと…」
「現実はつらいにゃ…」
0004名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:10:39.32ID:KAvcyO7O
第2話(15−1)
『エントリー』

「…というわけで…私たちは今回のラブライブに出ないことなりました」

「えぇ!?」
穂乃果の説明に、部室内の1年生、2年生がどよめく。

「ごめんね!ラブライブに出たいのはやまやまなんだけど…元生徒会長が赤点取って『活動停止!』なんて言われても、みんなに悪いし…」
「それは受験以前の問題ですが…」
海未が眉を顰めた。

「引退ってこと?そんなに大事な事、軽く言わないでよ」
真姫が不満げに口を挟む。
「そうにゃ!そうにゃ!」

「引退とは言ってないよ!ただ…ステージに立つのは厳しいかな…って」

「えっ…あっ…うん…仕方ないよね…お勉強、大事だもん」
花陽は事前に聴かされていたようだ。
それほど動揺した様子は見せなかった。
0005名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:12:32.23ID:KAvcyO7O
(15−2)

「でも、それじゃあ、花陽先輩に負担が掛かりすぎだよ!」
雪穂は高坂先輩に…ではなく、姉に対して意見した。

「そう思うならさ、みんなで花陽ちゃんを助けてあげればいいんじゃないかな?」

「!!」

「えへへ…私が言うのもなんだけどさ、みんな花陽ちゃんに頼りすぎてない?もっと自分たちで色々作っていかないと…ね?」
「雪穂の心配はもっとも話です。確かに生徒会長も押し付けてしまった上に、部長を兼任する花陽への負担は大きく…申し訳なく思っています…ですから…」
「うん、私たちも出来る限りのバックアップはするよ♡」
「大丈夫!みんななら出来る!!ファイトだよ!!」

「まったく、無責任なんだからぁ」
屈託のない表情でそう言い放つ姉を見て、妹がそう呟くと部室は笑いに包まれた。
0006名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:17:36.62ID:KAvcyO7O
第3話(16−1)
『挑戦者、現る』

朝の神田明神。

「久しぶりね!」
練習に精を出す一同の前に、UTXの制服を着たひとりの少女が現れた。

「織音(おりお)!?」
反応したのは和香。

「ラブライブ…エントリーするんでしょ?」

「…そのつもりだけど…」

「当然よね…私を裏切って、音ノ木坂に言ったんだから」

「…」

「違うとでも?…まぁ、いいわ…あなたと戦えることを…楽しみにしてるから」

「…」

「あっ…元μ'sのみなさんですか…すみません、練習のお邪魔をしまして…私はこれで失礼します」
和香が『おりお』と呼んだ少女は、穂乃果たちに頭を下げ、その場を立ち去って行った。



「彼女は?」

「UTXの1年生です」

「それは見たらわかるけど」
「ラブライブに出場って…」
「ライバル…にゃ?」

「まぁ…そんなところです…」

「それより気になったのは…裏切り者って?」

「…いや…それは…」

「?」

「すみません…個人的なことなので…さぁ練習、続けましょう!」

「…」
0007名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:19:43.08ID:KAvcyO7O
(16−2)

「私ね…織音…天野織音と『一緒にUTXに進もう』って約束してたんだ」

「えっ?」

「『うわぁA-RISEってカッコいいね!あんな感じで一緒にステージに立てたらいいね!』…なんて言ってて…」

「ソウダッタンダ…」

「でも…μ'sを見たら…あ、私…こっちの方が好きかも…って…。なんて言えばいいんだろう…先輩たちから『熱さ』を感じたっていうか…感動しちゃったっていうか…」

「わかるなぁ…A-RISEが一部の隙もない完成された恰好良さ…だとしたら、μ’sは私たちと等身大っていうか『そうそう!』ってなるところが、魅力だもんね!」
亜里沙が少し興奮気味に言った。
「ソレデ…和香ハ 音ノ木坂ヲ選ンダ?」

「まぁね…それ以来、あいつは私のことを『裏切り者』って呼ぶの」

「辛いね…それは…」

「だけど…最初はスクールアイドル研究部に入る気はなかったじゃない」

「…なんて言えばいいのかな…新入生歓迎会の時のステージを見た瞬間…『場違いかも』って」

「だよね!」
「レジェンド感が半端なかったよね」
桃子と奈美が頷く。
0008名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:21:32.31ID:KAvcyO7O
(16−3)

「私の知ってるμ'sに、私はいない…か」

「何それ?」

「亜里沙の名言」

「?」

「入学前、同じことで悩んだんだよ。私たちが先輩たちと一緒に…μ’sのメンバーになっていいのかどうか…って」

「へぇ…亜里沙たちも…」

「結局、絵里さんたちが卒業してμ'sは終わっちゃったから、取り越し苦労になっちゃったんだけどさ」
「うんうん」
亜里沙が大きく首を縦に振った。

「…それだけじゃないんだけどね…ずっと一緒にいたら自分がダメになるかも…って」
和香はう〜ん…と大きく伸びをしながら、言葉を吐き出した。

「友達に依存しちゃう…ってこと?」

「大人だねぇ…」
「ナカナカ深イネ…」
「私と雪穂も一緒にいたらダメになる?」
「どうかなぁ…なるかもしれないし、ならないかも知れないし…」
「まさか、和香にそんな過去があるなんて…」

「いつかわかってくれると思ってるんだけど…」

「そうだね…」
0010名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:23:20.33ID:KAvcyO7O
第4話(17−1)
『どうするの?』

「…で…私たちはどうするの?」
「どうするにゃ?」
「何が?」
「ラブライブよ」
「あ…うん…」

3年生の事実上の引退宣言。
それを聴かされ、真姫と凛は迷っていた。
花陽への質問は、そのまま自分への問い掛けでもあった。

「…う〜ん…そうだね…」
彼女のその返事で『答え』は何となくわかる。
そして、それは自分たちの考えと同じだと感じた。

「そうね…私はあなたの結論に従うわ」
「凛もにゃ」

「ずるいなぁ…2人とも…花陽はまだ何も言ってないよ」

「言わなくてもわかるにゃ」
「長い付き合いだもの」

「…そっか…そうだね…」
0011名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:26:07.02ID:KAvcyO7O
(17−2)

「えっと…念の為確認なんだけど…ラブライブのエントリーに反対する人っているかなぁ」
部長は1年生に問い掛けた。
誰も手を挙げなかったのを確認すると「うん、そっか…」と一人頷いた。

「どういう意味ですか?」

「この間、にこちゃんと奈美のお姉さんのこと、みんなも聴いたでしょ?『スクールアイドルが好き!』『アイドル活動が好き!』って気持ちは同じでも…その先の目標が異なっていた為に、バラバラになっちゃった…って話」
「ラブライブに出る!って言うと、どうしても勝ち負けに拘(こだわ)る必要があるでしょ?でもそれでいいのかな…ってことよ」
「凛たちは、何にも考えずに突っ走ってきちゃったけど…みんなはどう思ってるのかにゃ?って」

「ラブライブ…優勝…目指す?」
「愚問ですよ、真姫先輩!」
「私たち、全員、そのつもりです!!」

「ふふふ…わかったわ。そういうことなら容赦しないわよ」
「おぉ!真姫ちゃんに海未ちゃんが乗り移ったにゃ!」

「あ、いや…お手柔らかに…」

「あはは…」
花陽と凛は、ビビる1年生を見て笑った。
0012名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:31:59.61ID:KAvcyO7O
第5話(18−1)

『ν's(ニューズ)』

「色々考えたんだけど…ラブライブのエントリーは…1年生の6人だけにします」
花陽は苦悩の末、部員に告げた。
もちろん、凛も真姫も納得済みである。

3年生が受験勉強で事実上の引退。
自分たちも生徒会の仕事がある以上、並行してステージに立つ…というのは困難を極めた。

いや、去年の穂乃果たちはどうだった?
そんなことを言い訳にしなかったではないか。

それはわかってる。
でも…勢いが違う。
何も考えずに突っ走ってきたあの時とは、状況が違う。



正直μ'sという看板効果は大きい。

「…でも1年生にとって、不利だと思うんだ」

μ'sは解散したとはいえ、自分たちが出れば、どうしてもオリジナルメンバーの顔がチラつく。
花陽はデメリットが大きいと考えた。

「1年生はμ'sじゃないから…」
0013名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:35:37.33ID:KAvcyO7O
(18−2)

「わかりました!頑張ります!!」
大きく頷いた1年生たち。

予想はしていた。
最近の2年生の雰囲気を、それとなくみんなが感じていたからだ。

「望むところです!」
「私たちの歴史は、自分たちで作ります」
先輩の提案に依存はなかった。



「それで名前なんだけど…『ν's(ニューズ)』なんてどうかな?」
花陽が提案した。



「ν's?」



「ギリシャ語で…μの次はνなんだよ。新しい音ノ木坂のスクールアイドルって意味も込めて…」



「We are『ν's』!!」
1年生の6人は、新しく付けられた名前を大きな声で叫んだ。
0014名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:38:00.60ID:KAvcyO7O
第6話(19−1)
『Reach the top‼』


ラブライブの一次予選と文化祭に向けて、ν'sが動き出した。

これまで通り『作詞は海未』『作曲は真姫』『衣装はことり』という製作体制は変わらないが、新たに『ダンス兼トレーニングコーチとして凛』が…『総合プロデューサーとして花陽』が就任。

「私は?私は?」

「あなたは勉強に集中してください」
…ということで、穂乃果は役どころから外された。

そして、それぞれの役割に助手として桃子、和香、奈美、亜里沙&デルフィナが付き、雪穂は統括リーダーを任された。

初めは、慣れない作業に四苦八苦し、先輩との距離感に戸惑っていた1年生も、徐々に冗談を言えるほどに打ち解けていく。
そして、作業を進めていくうちに、彼女たちの秘められた潜在能力が開花する。
0015名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:40:27.25ID:KAvcyO7O
(19−2)

「桃子の描く世界観は、実にロマンチックで素敵ですね」
「海未先輩と同じです。伊達に妄想が趣味じゃないですから」
「なっ…私は妄想などしていません!」
「花陽先輩から聴きましたよ…鏡の前で『ラブア…』」

「花陽!!」

「ぴゃあ!」



「アナタ、ピアノが弾けるの?」
「小学校までは習ってたので…」
「続ければよかったのに…」
「そうなんですけど…真姫先輩と一緒です!親の言いなりになるのが嫌で…」
「ベ、別に…私はそういうつもりじゃ…」
「…このまま黙ってたら、きっとそのまま実家を継ぐんだろうな…と思ったら…反発したくなっちゃって」
「まぁ…わからなくもないわね…あっ…今のフレーズ、もう一回弾いてみて?…あら、なかなかいいじゃない…」
「あ、ありがとうございます…」
0016名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:43:58.61ID:KAvcyO7O
(19−3)

「ことり先輩、よろしくお願いします」
「うん、奈美ちゃん、よろしくね♡」
「…とはいえ…私はデザインとか、まったくやったことがないんですけど…」
「え〜…そうかなぁ…この間ポスター一緒に描いた時、すごくセンスあるなぁ…って思ったよ」
「イラストとか描くのは嫌いじゃないですけど…」
「うんうん、それならあとは…みんなを想い浮かべながら『雪穂ちゃんだったら、こういうのが似合うな』とか『亜里沙ちゃんだったら…和香ちゃんだったら…』とか描いていけば、きっといいものが出来るんじゃないかな」
「そういうものですか?」
「デザインはね…気持ちなんだよ」
「…いい言葉ですね…『デザインは気持ち』かぁ…」



「バレエのレッスンは亜里沙ちゃんに、任せるね!」
「はい!身体の柔らかさなら、お姉ちゃんにも負けませんから」
「よろしくにゃ」
「では、まず凛先輩から柔軟を…」
「えぇっと…凛はいいから、デルちゃんに…」
「ダメデス!凛先輩モ 一緒ニ ヤリマショウ」
「にゃ〜〜〜…」
0017名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:45:23.56ID:KAvcyO7O
(19−4)

「今までずっと言おうと思ってたんですけど…花陽先輩…ありがとうございます」

「?」

「先輩がお姉ちゃんたちを救ってくれたので、そのお礼を…」

「私が?穂乃果たちを?」

「はい!先輩がファーストライブに来てくれたおかげで、お姉ちゃんたちは救われたんです。先輩が来てくれなかったら…高坂穂乃果は闇の中で生きていたと思います。あぁ、見えて…脆いところがあるんで」

「そんなことないと思うよ。穂乃果ちゃんなら、私なんていなくてもきっと…」

「先輩はお姉ちゃんを買いかぶりすぎですよ!周りの人がサポートしてくれてるから、何とかなってるのであって…」

「相変わらず、雪穂ちゃんは穂乃果ちゃんに厳しいねぇ…」

「先輩がお姉ちゃんに対して、甘すぎるんです。この前だって、無責任に生徒会長を押し付けたりして…」

「それは…私も少しは頼られるようになった…ってことで…」

「先輩は優しすぎですよ…」

「そうかな?」

「無理…しないでくださいね…」

「うん…ありがとう…」
0018名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:47:40.15ID:KAvcyO7O
(19−5)

「あと…どうしても聴いておきたいことが…もうひとつ、ふたつ」

「今日はグイグイ来るねぇ」

「二人きりになることなんて、滅多にないですから」

「ほうほう…それで?」

「花陽先輩は…凛先輩のこと、どう思ってますか?」

「ごほっ!」

「和香は…幼馴染と一緒にいたら、自分がダメになるかも…って違う道を選んだと言ってました。それを聴いた時…一理あるな…って思って…」

「あっ…そういう意味?」

「えっ?」

「いや…」

「先輩は考えたことありませんか?」

「うん、あるよ」

「本当ですか?」

「毎日、そう思ってる」

「ま、毎日?」

「小さい頃、散々、凛ちゃんに助けてもらったから…自分の事は自分でなんとかしなきゃって…それでも結局、甘えちゃって…あぁダメだな…って落ち込むんだけど」

「どっちかというと、凛先輩が花陽先輩に頼ってる気が…」

「そうかな?」

「お姉ちゃんだって…いつまで海未さんとことりさんに甘えるつもりなのか…」

「どうなんだろうね…穂乃果ちゃんは卒業して、別々の道に進んでも…きっと今の関係が続くんじゃないかな…」

「海未さんとことりさんは、いい迷惑ですね」
0019名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:51:30.75ID:KAvcyO7O
(19−6)

「雪穂ちゃんは大人だなぁ…」

「だらしない姉を持つと、自然とこうなるんです」

「ふふふ…あんまり、お姉ちゃんの悪口を言っちゃだめだよ…」

「花陽先輩がお姉ちゃんだったら、私の性格はここまで捻くれてないと思います」

「いやいや…それは…」

「結構本気で言ってるんですよ…」

「そんなに穂乃果ちゃんのことが嫌いなの?」

「そっちじゃなくて…」

「ん?」

「…」

「雪穂ちゃん?」

「あの…花陽先輩…」

「はい」

「いえ…先輩のす…す…き…あ、いや…やっぱり、何でもありません…」

「そこまで言って止(や)めちゃうの?」

「じゃあ…思いきって…先輩の好きな…」

「好きな?」



「先輩の好きな…食べ物は何ですか!?」

「ご、ご飯…」



「で、ですよね…知ってました!」

「そ、そう?」

「そこで今度、美味しいご飯の炊き方を教えてください」

「ううん…それは良いけど…」

「ありがとうございます」

「大丈夫?具合悪い?お熱測ろうか?」

「いえ…大丈夫です」

「??」
0020名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:53:06.35ID:KAvcyO7O
第7話(20−1)
『いらっしゃい!拍手喝采!文化祭!』

諸事情で昨年は行われなかった文化祭。
今年は1年ぶりの開催となった。

スクールアイドル研究部は、屋上でミニライブを行い…学年別に3曲を披露。
最後は12人全員でパフォーマンスを行い、ステージを締め括った。

「貴方たち、ラブライブにエントリーしなかったって本当?」
穂乃果たちが控室していた教室。
そこへ不意に訪れたのは…綺羅ツバサだった。

騒然となる一同。

「あ、あの…お茶を…」
「よかったら穂むらの饅頭も…」

あたふたとする穂乃果と花陽に「ふふふ…相変わらずね」とツバサは笑った。
0021名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:56:29.31ID:KAvcyO7O
(20−2)

「観たわよ、さっきのステージ」

「ありがとうございます」

「全然、衰えてないじゃない」

「いやいや、そんな…」

「本当に出ないの?」

「私たちの時代は終わったので…」
冗談めかしく言う穂乃果。

「そう…残念ね…」
ツバサは肩を落とす。

「まぁ…はい…色々と事情がありまして…」

「…こっちの世界に来る気は…その調子だと無さそうね…」

「あはは…すみません」

「謝ることじゃないわ…でも、気が変わったらいつでも声掛けてね!少しは役に立つと思うわ」

「ありがとうございます」

「それから…」

「はい?」

「私たちの後輩も…虎視眈々と『リベンジ』を狙ってるわ」

「…」

「もちろん、立場としたら、後輩たちを応援しない訳にはいかないけど…スクールアイドルのレベルを上げる為には、あなたたちにも頑張ってもらわないとね。期待してるわよ」
綺羅ツバサはそう言って、去っていった。
0022名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 11:59:12.05ID:KAvcyO7O
(20−3)

ラブライブの一次予選はビデオ審査だ。
出場チームが撮影したデータを大会本部に送ると、専用サイトに映像がアップされる。
それを基に視聴者は推しのチームに投票を行う…というシステムである。

東京都からは上位4校が、地方予選に進出できる。
ν's は『スポーツの秋』ということで『応援系ファイトソング』を作った。
衣装も曲に合わせて『ラクロス』や『テニス』『ホッケー』などのウェアをモチーフにしたものである。
さすがに剣道着やみかんの着ぐるみはない。

花陽監修のもと、撮影/編集が行われ、データは無事、大会本部に送付された。
0023名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 12:01:14.12ID:KAvcyO7O
第8話(21−1)
『火花』

1カ月後。

「おめでとう!無事、一次予選通過だよ!!」
花陽が興奮気味に、その結果を発表した。

「やった〜!」
「ばんざ〜い!!」

歓喜に咽(むせ)ぶ部員一同。
デルフィナがサンバを踊り出す。

「ですが…戦いはここからが本番です!!UTXのチームも、当然の如く、通過しています」

得票数は僅差だった。
通過順位は1位。
UTXが2位。
気を抜くことは許されない。

コメント欄を見ると『楽曲』『パフォーマンス』は勿論のこと『映像の美しさ』…『演出力』の評価も高かった。

「しかし!!…二次予選は生のステージ…一発勝負です!誤魔化しは効きません」
部長の言葉に1年生は、ごくりと喉を鳴らした。
0024名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 12:03:22.22ID:KAvcyO7O
(21−2)

「おめでとう」
ν'sの朝練に姿を現したのは織音だった。

「さすが昨年のチャンピオンって言ったところね。でも…それは元μ'sのメンバーのバックアップが凄いだけであって、アナタたちの力ではないわ」

「そうかもね」
彼女の挑発を、和香はあっさりと受け流した。

「へぇ…随分殊勝じゃない」

「言いたいことはそれだけ?だったら、練習の邪魔だから、帰ってくれない」

「!?」

「織音の言う通り、私たちはまだまだ力が足りないわ。だから、一生懸命練習するしかないの。くだらない戯言に付き合ってるヒマはないってこと」

「なるほど…いい心掛けだわ。精々、私をガッカリさせるようなステージは見せないでね」

「そうね」

「じゃあ、また…」
織音は片手をあげて去っていった。



「はぁ…怖かった…」
「喧嘩ニナルカト思ッタヨ」

「まぁ、こういう相手がいないと張り合いがないからね」
そう言いつつ、和香の目は寂しそうに彼女の後ろ姿を追っていた。
0025名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 12:05:27.26ID:KAvcyO7O
第9話(22−1)
『インパクト』

二次予選は一発勝負。
関東の各県を勝ち上がった計20チームが、一発勝負の生ステージに挑む。
その上位3チームのみが、全国大会…決勝進出…というシステム。
各チームのレベルは昨年度より上がっており、大混戦が予想されている。

「事前の情報を見ますと…UTXが優勝候補の筆頭であることは変わりありませんが…他のチームも侮れないですね」

「うん。特に去年の出場チームで、メンバーの入れ替わりがない神奈川のここも、割と評判高いし…群馬の…ダンスパフォ―マンスに特化した『歌わないスクールアイドル』のここも、もしかしたら…って言われているんだよ…」
「歌わないスクールアイドルって凄いね」
「映像見たけど、まったく歌ってない訳じゃないんだよねぇ…ラップが9で…歌が1くらいかな?」
「でも、まあ…私たちがイメージするアイドルとは程遠いわね」
「まぁね…他のチームと同じことしてても目立たないから…」
「インパクトが大事ってこと?」



「インパクト…」



上級生は、昨年の忌まわしい過去を思い出し、ぶんぶんぶん…と頭を振った。



「え、えっと…私たちは奇を衒(てら)わず、王道アイドル路線で直球勝負します!!」
花陽の決意に、誰一人異論はなかった。
0026名無しで叶える物語(しうまい)
垢版 |
2022/02/08(火) 12:08:21.83ID:KAvcyO7O
>>9
ごめんなさいね。
少なからず続編希望のレスを頂いたもので…調子に乗ってみました。

ちなみに…かつてはハーメルンでも書いてたんですけどね…。
0027名無しで叶える物語(しうまい)
垢版 |
2022/02/08(火) 20:30:15.35ID:lJHE2G+L
第4期来たか!
νガンダム以外でν使ってるの初めて見たかもしれん
あと花雪の可能性仄めかしてるのすき
0028名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 21:12:30.87ID:KAvcyO7O
>>27
スレ建てられました!

νとVって紛らわしいですね。
本編では、案の定『ブイズ?』と呼ばれたりします。

♪ぱなぁ〜ゆきぃ〜…
0029名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/08(火) 21:18:20.67ID:KAvcyO7O
(22−2)

発表の順番を決める抽選会。

音ノ木坂からは代表して雪穂がステージに上がる。
出場チームが座る観客席の空気が、ピリッと引き締まった。
メンバーは変わったとはいえ、昨年の優勝校チーム。
当然、注目度も高い。

箱に手を突っ込み引き抜いた番号は…



「1番」



「みんな、ごめん…私は『持ってない』なぁ…」
雪穂はメンバーに謝罪した。

20チームが出演するステージの一番最初。
観客のエンジンもあったまっていないし…何より後半に出場するチームの方が印象に残りやすい。
そういう意味では最悪の数字。


「はい、はい…いちいちそんなことで落ち込まないの」
「『1番になる』って言う神様のお告げにゃ」
「あなたも希の影響をだいぶ受けてるわね」
「伊達に毎朝掃除を続けてないにゃ」
「うん、真姫ちゃんと凛ちゃんの言う通りだよ!ポジティブに行こう」

「わかりました!」

「先行逃ゲ切リ ダネ!」
「そうだね!一発目からぶちかまして…」
「インパクトを残すわよ!」



「えっ…インパクト…」
そのキーワードを聴いて頭を抱え込む花陽たち…。


「相当トラウマみたいだね」
「ね」
事情を知っている雪穂と亜里沙は、苦笑いしながら呟いた。
0031名無しで叶える物語(しうまい)
垢版 |
2022/02/09(水) 06:51:11.48ID:ZTzYLZmE
>>30
原作があればこそ…です。
0034名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/09(水) 22:56:32.67ID:ZTzYLZmE
>>32
理事長に怒られたくないですから。
0035名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/09(水) 22:57:55.27ID:ZTzYLZmE
>>33
尺の都合でw
0036名無しで叶える物語(しうまい)
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2022/02/09(水) 23:09:58.40ID:ZTzYLZmE
第10話(23−1)
『一心不乱に』

二次予選の当日。
天気は快晴。
昨年の大雪を思えば、嘘のように穏やかな朝を迎えた。

準備万端。
メンバーの体調もすこぶる良い。
あとは本番で自分たちの力を出し切るだけ。

「楽しもう!結果はあとからついてくる!!」

会場入りを前に円陣を組むメンバー。


そこにUTXのチームが現れた。
『HOT SPICE(ホットスパイス)』と言う5人組だ。
その中のひとりに…天野織音…がいた。

「おはようございます…ν'sの皆さん」
彼女が近寄り、声を掛ける。

「おはようございます」

「確か…あなたたちがトップバッターだったわよね?しっかり頼むわよ。初めがコケると、連鎖反応でみんな失敗したりするから」

「そうね…頑張るわ」
代表して和香が答えた。

「じゃあ…またあとで…」



「まったく…嫌味しか言えないのかしら」
奈美が呆れるようにして、肩をすぼめる。
「そう言うなって…あれは織音なりの激励だよ」
「ダトシタラ 素直ジャ ナイネ」
デルフィナは、そう言って苦笑した。
0039名無しで叶える物語(しうまい)
垢版 |
2022/02/10(木) 21:44:45.07ID:smzYy/vY
(23−2)

ν'sのパフォーマンスは終わった。

ノーミスの完璧なステージ。
舞台袖で見守った花陽たちの目に、うっすらと涙が浮かぶ。

あとは…結果を待つのみ。



そして…いよいよ…



「第3位…UTX…『HOT SPICE(ホットスパイス)』」
司会者の声に、会場が』どぉ』っと、どよめく。
優勝候補がまさかの3位通過となった。




「第2位…横浜湾岸高校…『Seagull girls(シーガルガールズ)』」
準優勝は前評判通り、神奈川代表のチームが入った。
順位はともかくとして…誰もが納得の通過だった。



「そして1位通過は…群…」



歓声と悲鳴…。



この瞬間、音ノ木坂の連覇は消えた。
0043名無しで叶える物語(しうまい)
垢版 |
2022/02/11(金) 22:30:12.16ID:rRrOO8wz
(23−3)

泣いて…泣いて…泣いて…泣き疲れたのだろう。
桃子とデルフィナは、自宅に戻ったあと、制服を着替えることもなく、ベッドで抱き合いながら寝ていた。



「最高だったよ!結果は残念だったけど…私の中の順位は奈美たちのステージが1番だったよ!」
家に帰った奈美は、姉の言葉にまた泣いた。
「あのステージに立てただけでも、凄いことじゃない。私は、あそこまでさえいけなかったんだから…」

うん…と彼女は千代の胸の中で、小さく頷いた。



「おめでとう」
和香はスマホの向こうにいる相手に、賛辞を送った。

「ふん…あんまり嬉しくないね…」

「3位だから?贅沢言うなよ…」

「違うよ…お前たちが通過しなかったからさ」

「!!」

「当たり前だろ?…アンタたちはここで落ちるようなチームじゃないって…それは私たちが一番わかってるから…あんな異質なチームに負けるようなチームじゃないから!」

「織音…」

「正直、納得いかないよ…いや、私が怒っても意味ないけどさ…お前が一番悔しいのにな…」

「…変な気遣いはいらないよ…」

「気遣い?…確かに…」

彼女はそう言うと、一度大きく息を吸い込んで
「ふざけんじゃねーぞ!こんなとこで落ちやがって!私を裏切って音ノ木坂に行ったんだ!根性見せろよなぁ!這い上がってこいよ!来年も待ってるからなぁ!」
と一気に捲し立てた。

「おぉ!言われなくてもそのつもりだ!…その前に…全国大会…優勝しろよ!リベンジしてこいよ!!」
和香もスマホに向かって、叫び返した。
0047名無しで叶える物語(光)
垢版 |
2022/02/12(土) 22:46:10.14ID:DhCE752e
(23−4)

「ほら、花陽…あなたがいつまでもグズグズしてちゃダメじゃない…」

「だっでぇ…花陽のぜいでぇ…花陽がぁ…もっど上手にぃ 指導じでればぁ…うぅ…うぅ…」

「かよちんが悪いわけじゃないよ!投票者の見る目がなかっただけにゃ!」

「うぅ…うぅ…」

「花陽ちゃん…一旦、落ち着こう…」
「はい…悔しい気持ちはわかります。私だって信じられない気持ちでいっぱいです。…ですが…今、ここで泣いていても結果はかわりません」
「アナタは精一杯やったわ。1年生だって、花陽がせいだなんて思ってる娘はいないわよ…」
「そうにゃ!そうにゃ!」

「でぼ…でぼ…」

「あ、花陽ちゃん!お腹空いてるようね!あそこにGOHAN-YAさんがあるよ!みんなで食べに行こう!」

「ご…ごはん…」

「はい、そうしましょう」

「いや…今の花陽は…それくらいで…気持ちは収まりません!」

「まぁまぁ…」
「行くにゃ」

「レッツ…ゴー!!」
花陽はことりと海未に小脇を抱えられ、引きづられながら店へと入って行った。



「おかわりです!」



「今、何杯目?」
「5杯目…かにゃ」
「さっきの話はなんだったのでしょうか?」
「花陽ちゃんはこうでなくっちゃ♡」



「むふ♡おいひぃ♡」
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