曜「新選組だーー!!」
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火曜水曜が久々に休みなのでそこで更新できればと思ってます μ'sメンバーの残り二人が誰に配役されるか気になる >>362
絵里は榎本だと思ってたんだけどな
希が勝なのは同意 千歌「……え、ちょっと、よくわからないよ、もう一回……」
曜「だからっ……、聖良さんが脱走した……」
千歌「脱走……?」
曜「しっかり、書き置きまで残してたよ……」
曜は握りしめていた手紙を千歌に渡す
千歌「……新選組を抜け、真の尊皇攘夷のために江戸へ行く……」
絵里「尊王攘夷への思い、そこまで強かったのね」
理亞「なんで……、姉様……、そんな……」
ダイヤ「千歌さんっ、何かの間違いですわ、聖良さんは!新選組のことを一番に……!」
鞠莉「そうよ、新選組を抜けるなんてそんなことは……」
善子「でも、現にいなくなってるじゃない……」
果南「聖良が新選組のことを一番考えてたのは間違いないよ、それは、間違いない……」
千歌「新選組のことを、一番に……」
曜「……」 梨子「曜ちゃん、どうするの……、聖良さん……」
絵里「法度のことはわかるけど、例外はあるべきじゃないかしら」
ダイヤ「千歌さん!曜さん!」
千歌「う、うん……、今回は……」
曜「脱走は、切腹だよ」
理亞「え……」
曜「新選組、総長山南敬助は脱走したとみなす、捕まえて、切腹させる」
千歌「曜ちゃん……」
理亞「そんな……」
曜の言葉に理亞がふらつきルビィが理亞を支える
ルビィ「理亞ちゃん、しっかりっ!」 絵里「そう……、そうなのね……」
曜「誰であろうと例外なんてない、わかってるよね、千歌ちゃん」
千歌「……う、うん……」
ダイヤ「そんな……」
花丸「聖良さんを、追うの?」
千歌「……花丸ちゃん、江戸に向かったとしたら、どこまでに追えば間に合うかな」
花丸「え、それは、大津ずらね……、大津を過ぎたらもう……」
千歌「梨子ちゃん、聖良さんを追って、大津までに必ず」
梨子「え、わ、私……」
絵里「なんで梨子に?追うなら監察方を……」
千歌「聖良さんはかなりの手練れだよ、抵抗されて捕まえられるのは梨子ちゃんくらい、梨子ちゃん、お願い」
梨子「……う、うん」
梨子は千歌の言葉を聞いて慌てて飛び出していく
善子「……大津なんて、追いつけないんじゃ……」
ダイヤ「……おそらく、それを見越してでしょう、梨子さんに行かせたのも……」
善子「……なるほどね」
鞠莉「どっちにしても、お別れなのね……」
曜「……」 千歌が梨子に聖良を追わせてからしばらくして曜は大きな寺へと一人向かう
曜「……」
聖良「西本願寺、いいところに目をつけましたね」
曜「……やっぱりここなんだ、聖良さん」
聖良「流石曜さんですね」
曜「新選組の次の屯所として選んでた場所、なんでか、ここにいる気がしたよ」
聖良「……そうですか、私への追手は?」
曜「梨子ちゃんが大津まで向かってる」
聖良「千歌さんの指示ですね、本当に、優しすぎるあの人は……」 曜「聖良さん、どうしてこんなことを」
聖良「新選組はおそらく今後行き場を失います、幕府はより力を失い、最悪は……」
曜「滅ぶ」
聖良「ええ、そうです」
曜「でもだからって、なんで……」
聖良「私は新選組が好きです、最高と言える武士の集団ができたと思ってます」
聖良「これで幹部の私が切腹となれば新選組はより強く最強になれる、法度が完全なものになる」
曜「……そのために、そのために犠牲になんて!」
聖良「わかっているでしょう、最近はまともに剣も振れていない、そんな私の最後の仕事です」 曜「千歌ちゃんや、理亞ちゃんがどれだけ悲しむか……」
聖良「……悪いことをしました、でも私もわがままを言うと」
聖良「新選組の最後を見たくないんです、今の最高の状態のまま」
聖良はそこまで言うと刀を抜く
曜「聖良さん……?」
聖良「武士として、最後にあなたと戦いたい」
曜「……いいよ、武士でもない私なんかでいいなら」
曜も刀を抜き立ち合う
聖良「千歌さんと曜さんは武士です、私は二人と出会えて良かった」 *****
***
*
新選組の屯所では捜索から梨子が戻ってくる
梨子「聖良さんは、見つからなかったよ」
千歌「……そっか、うん、ありがとうね」
理亞「……良かった」
報告を受けた全員が安堵の表情を浮かべる
鞠莉「逃げられたら仕方ないわね、今度会うことがあったら……、え?」
ダイヤ「どうしました、鞠莉さ……、な……」
曜「……脱走者、山南敬助、連れ帰ったよ」
曜は血だらけの聖良を引き連れて屯所へと戻ってきた
理亞「姉様、なんで……なんで……」
曜「抵抗したから斬り合った、息はあるから切腹させる」
絵里「……残酷なことを……」 果南「……曜」
千歌「曜ちゃん……」
曜「……」
千歌「……」
千歌「……ご苦労様、これからすぐに切腹を」
ダイヤ「千歌さん………、なぜですの、もう……」
善子「もうこのままいても死ぬだけよ、私が介錯するから、さっさと」
聖良「介錯は、……梨子さんに……」
梨子「……え?」
千歌「……梨子ちゃん、お願いできるかな」
梨子「っ、う、うん……」
理亞「姉様、嫌だっ!そんなのっ、なんでっ、なんで!!」
理亞は聖良に泣きながらしがみつく
聖良「ごめんなさい、理亞……、でもわかってください……」
理亞「姉様……っ」 *****
***
*
聖良は死装束へと着替えてよろよろと座敷に座る
聖良「はあはあ……」
梨子「……聖良さん……」
聖良「……最強のあなたに最後に斬られるのは本望です」
梨子「私は、最強なんかじゃ……」
聖良「ええ、甘えがまだある、だから……、私を斬って最強になってください……」
梨子「……っ」
千歌と曜、絵里も切腹を見届けるために同席している
聖良「……千歌さん」
千歌「……」
聖良「ありがとう」 *****
***
*
梨子「……っ、く……」
梨子は泣きながら一礼し、部屋を出る
絵里「……仲間内でこんなことを続けて、何か意味があるの?」
曜「……これで新選組の法度に例外はないとわかってもらえる」
絵里「……」
曜「隊士の気も引き締まるよ」
絵里「……曜のやり方には私は同意出来ないわ、これじゃ本当の鬼よ」
曜「鬼の副長……、名誉なことだよ」
千歌「絵里さん」
絵里「……」
千歌「これは強い新選組にするために必要なことです」
絵里「……そう」
絵里は立ち上がると部屋を後にする 千歌「……」
曜「……」
千歌「…っ、聖良さんっ、……うわああああああああんっ」
曜「千歌ちゃんっ、ごめんっ、ごめんねっ、……聖良さんっ……ごめんなさい……っ」
千歌「嫌だっ、嫌だよぉ……っ」
千歌と曜は声を上げて泣き崩れた ダイヤ「……」
鞠莉「……」
ダイヤ「鞠莉さん」
鞠莉「なに……?」
ダイヤ「私はこの先、何があっても最後まであの二人と共に行くつもりですわ」
鞠莉「あら、ダイヤはとっくにそのつもりだと思ってたけど」
ダイヤ「どこかで迷いはありました、穂乃果さんの件もありましたし」
鞠莉「私はそういうの気にしてないんだよねー」
ダイヤ「鞠莉さんは、まあ、最初からそうでしたわね」
鞠莉「私は梨子やダイヤ、善子ほどの腕はないけど、何か役に立てればそれでいいかなって」
ダイヤ「最後まで、鞠莉さんは千歌さんや曜さんの傍にいるのでしょうね」
鞠莉「んー、そうしたいけどー……、最後まで一緒にいるのはダイヤの方がいいと思うな」
ダイヤ「私ですか……?」
鞠莉「あの二人は色々と危なっかしいから、ダイヤがいた方がいいんじゃない?」
ダイヤ「最後まで、いれたらいいのですが……」
鞠莉「ダメよ?」
ダイヤ「え?」
鞠莉「ダイヤは私より先に死んじゃ、ダメだからね?」
山南敬助の切腹の噂がすぐに隊内、隊外に広まり、新選組はより恐れられた 新選組が揺れる中、各地でも大きな動きが起きる
しずく「ようやく、ここまで来ましたか」
愛「まったく、頭の固い人たちを排除するのに時間かかっちゃったよ」
しずく「でも、これで長州の実権は愛さんが握ったも同じですね」
愛「愛さんの趣味じゃないんだけどねー……」
しずく「それで、これからどうするんですか、おそらく幕府はまた……」
愛「愛さんちょっと派手にやり過ぎたからなー」
しずく「おそらく次は本格的に戦に……」
璃奈「大丈夫、勝てるよ」
しずく「璃奈さんっ?」
愛「あ、忘れてた、これからりなりーには奇兵隊の指導を任せたから」
しずく「上の人たちが絶対怒りますよ……」
愛「その辺はさ、しずくに任せたよ」 しずく「まずはそれなりの地位を与えないと……、それより勝てるというのは……」
璃奈「軍備の強化、とりあえず最新式の銃と軍艦が欲しい」
愛「だってさ」
しずく「そ、そんな簡単に言われても、長州にそれを用意するのは……」
愛「まあだよねー、そこで愛さん思いついたんだけど、やっぱりこれしかないかなって」
しずく「これ?」
愛「薩摩と同盟、ってどうめい?」
しずく「……そ、それは洒落なのですが、本気なのですか……?」
愛「本気だよ、もうこれしかない」
しずく「薩摩がそんなことをするわけないです、それに私は……絶対に嫌です」
愛「……ってわけだから、苦労するよ、ゆうゆ」
しずく「ゆうゆ……?」 その頃長崎では
侑「はろー!はろー!」
ミア「……歩夢、この人なの?」
歩夢「う、うん、是非って」
侑「あー、ないす、とう、みーちゅうー」
ミア「……」
侑「あれ?万次郎さんに習ったけど間違ってるかな」
ミア「いいよ日本語で、ボクは話せるから」
侑「あ、そうなの!?」
歩夢「改めて紹介するね、トーマス・グラバーさん」
ミア「よろしく」
侑「土佐の坂本龍馬です!よろしくね!」 ミア「なんか軽いな……、それで、なんでボクに会いに?」
侑「えっと、とりあえずね、イギリスの武器を大量に欲しいんだけど」
ミア「なっ!?」
歩夢「ゆ、侑ちゃん、完全に危ない人だよ、それじゃ……」
ミア「ボクは一応ただの商人で」
侑「あ、話は聞いてるから、そこは隠さなくて大丈夫だよ?」
ミア「歩夢……」
歩夢「侑ちゃんがどうしてもって……」
ミア「それで、武器を買ってどうするのさ……」
侑「んー、とりあえずうちの亀山社中で買受けて、あ、私が作ったカンパニーなんだけどね?」
ミア「それで?戦争でもする気かい?」
侑「それを長州に売ろうかなって」
ミア「……長州?キミが薩摩に厄介になってるんじゃ……」
歩夢「私は、えーっと、聞かなかったことにしようかな……」 侑「このままだと長州が幕府にやられちゃうからね」
ミア「つまり、武器の仲介販売業……」
侑「名義は薩摩藩でね」
歩夢「果林さんにバレたら怒られるかなー……」
ミア「まあボクとしても武器を買ってくれるのはありがたいよ、これから本格的な戦になると思って準備は……」
侑「ん?んー……、んー……」
ミア「?」
歩夢「あ、そうだ、侑ちゃんにもう一人紹介したい人がいて呼んでるんだけど」
侑「誰?」
歩夢「同郷の人だし、知ってるんじゃないかな?」
侑「同郷?」
ランジュ「ねえ!もう入っていいかしら?」
侑「あなたは……!!……誰?」 ランジュ「えっ!?嘘でしょ!?ランジュのこと知らないの!?」
侑「ご、ごめんなさい……」
ランジュ「こっちは武市のところに行く時に一度会ってるわよ!?」
侑「え、じゃあ土佐勤王党の人……?」
ランジュ「こっちは自由に動くあなたを見て、脱藩までしたのに!どういうこと!?」
歩夢「ま、まあまあ……、えーっと、こちら土佐の中岡さん」
ランジュ「中岡慎太郎よ、よろしくね、龍馬!」
侑「は、はあ……」
歩夢「話が合うんじゃないかなって、ランジュちゃんの目的も……」
ランジュ「薩摩と長州の同盟!ランジュの渾身の策よ!」
侑「え!?ランジュちゃんも同じことを!?」
ランジュ「え?」
ミア「ねえ、ボクの家で盛り上がるのはやめて欲しいんだけど……」 そして、京の都から少し離れた場所で
果林「本当に信用できるの?」
彼方「んー、会って損はないと思うなー」
果林「そうかしら、場合によっては敵に回すところが増えるんじゃない?」
姫乃「誰であろうと果林さんの敵なら斬ります」
果林「だめよ、まだ斬っちゃ」
彼方「大丈夫、斬れないと思うよー?」
姫乃「え?」
果林達は人里離れた場所に立つ屋敷へと入る
果林「……話に聞いてたけどすごいところにいるわね」
彼方「あれ?いないなー……」
姫乃「……庭に誰かいますね」
庭の方を見ると動物達を手懐けて遊んでいる人物の姿が目に入る
果林「……あれが異端の公家……」
彼方「そう、怪人、岩倉具視」
エマ「あ、彼方ちゃん、いらっしゃい」
彼方達に気付いたエマは動物達の元を離れて近付いてくる 姫乃「……殺気がまったくない……」
果林「警戒も何もしてないわね……」
エマ「警戒?だって、友達になりきたんだよね?警戒なんてしないよー」
彼方「紹介するよ、エマちゃん、こちらが噂の薩摩の西郷どんだよ」
エマ「あなたが西郷さんだねー、噂と違って可愛いねー」
姫乃「果林さんを馬鹿に……ひっ……」
姫乃が刀に手をかけるもエマと目が合い手が止まる
エマ「偉い偉い、ちゃんと物事が理解できる狼さんだねー」
果林「いいから、本題に入りましょう?それで、私に会う理由は何?」
エマ「簡単だよ、一緒にこの国を作り直さないかな」
果林「国を……」
エマ「うん、私たちともう一つ強い藩が加われば、新しい国を作れるよ」
果林「……」
彼方「そろそろ薩摩も動くべきだよ、果林ちゃん」
果林「……そうね、話を聞いても損はしないわね」 時間かかりましたが四部完です
近藤勇:高海千歌
土方歳三:渡辺曜
沖田総司:桜内梨子
山南敬助:鹿角聖良
永倉新八:黒澤ダイヤ
井上源三郎:松浦果南
藤堂平助:鹿角理亞
原田左之助:小原鞠莉
斎藤一:津島善子
島田魁:黒澤ルビィ
山崎丞:国木田花丸
伊東甲子太郎:絢瀬絵里
鈴木三樹三郎:絢瀬亜里沙
服部武雄:高坂雪穂
芹沢鴨:高坂穂乃果
新見錦:南ことり
平山五郎:園田海未
佐々木只三郎:小泉花陽
松本良順:平安名すみれ
坂本龍馬:高咲侑
中岡慎太郎:鐘嵐珠
トーマス・グラバー:ミア・テイラー
桂小五郎:桜坂しずく
高杉晋作:宮下愛
久坂玄瑞:優木せつ菜
吉田稔麿:三船栞子
大村益次郎:天王寺璃奈
小松帯刀:上原歩夢
西郷隆盛:朝香果林
大久保利通:近江彼方
中村半次郎:綾小路姫乃
宮部鼎蔵:紫藤美咲
岩倉具視:エマ・ヴェルデ
松平容保:矢澤にこ
一橋慶喜:西木野真姫 新選組が西本願寺へと屯所を移し、隊士の数も更に増えていった
千歌「ありがとう約束通り来てくれて!」
すみれ「ま、まあついでよ、ついで」
千歌「これが新選組の屯所だよ!」
すみれ「……すごいわね、この人数は……」
千歌「でしょ!?すごいでしょ!」
千歌とすみれが話をしているのを陰で花丸とルビィが覗いている
ルビィ「あの人、誰かな?」
花丸「知らないずらか!?医学所の松本良順先生ずら、日本一の医者ずら!」
ルビィ「そんなすごい人がなんでここに……?」
花丸「やっぱり千歌ちゃんはすごいずら……」 すみれ「それに予想以上の病人と怪我人ね……」
千歌「う、うん……」
すみれ「新選組には医者はいないの?」
千歌「えーっと、一応知識があるのが花丸ちゃんで……」
すみれ「花丸?」
花丸「は、はいっ!」
花丸が二人の元へと飛び出す
ルビィ「え!?あれ、花丸ちゃんいつの間に……」
すみれ「あんた医者なの?」
花丸「え、いや、家が医者というか……」
すみれ「まあどうせ漢方医ね、それじゃ仕方ないわね」
花丸「色々試したけど、病人がちっとも減らないずら……」
すみれ「……とりあえず、病人は部屋を分ける!これじゃ病気が広がる一方!!」
すみれ「それと病人の部屋もだけど、もっと清潔に!お風呂!お風呂入りなさいよ!それから……!」
千歌「ま、待って!え、えっと、曜ちゃーん……!」 *****
***
*
曜「なるほど、わかったよ、すぐに屯所内の部屋を分ける、それから浴室もちゃんと確保するね」
すみれ「私が言った通りにすれば多少はマシになるわね、それから……」
千歌「ま、まだあるの?」
すみれ「これだけ広いんだし、豚とか鳥を飼う気ない?」
千歌「え?」
すみれ「栄養がつくわ、欧米人は牛とかも食べるらしいわよ、だから身体が大きいの」
千歌「そうなの!?」
曜「なるほどね、ここで飼って食糧にすればいいんだ、残飯あるから餌はあるし、いいね」
ルビィ「あ、あのー……ここ一応お寺じゃ……」
すみれ「いいわよ、気にしなくて」
曜「うん、気にしなくていいね」
ルビィ「えー……」
曜「それじゃ、すぐに手配しよっかな」
すみれ「ええ、あとは一通り病人を診てあげるわ」
千歌「あ、あの、それじゃ……」
すみれ「ええ、真っ先に診てあげるわよ」 *****
***
*
すみれは診察を終えると千歌と曜と共に部屋を出る
すみれ「……労咳ね、かなり悪いわ」
千歌「そんな……」
曜「……」
すみれ「栄養をつけて、清潔にして……、なんとか持ち堪えればいいけど……」
千歌「……嫌だよ、もう誰も死んでほしくないのに……」
すみれ「私の弟子を今後も定期的に来させるから」
曜「ありがとう、色々と」
すみれ「危なかしくて、見捨てられないわよ、これじゃ……」
曜「だね……」 絵里「構え……、かかれっ!!」
「おおおおおっ!!」
屯所内で絵里の掛け声に合わせて隊士たちが一斉に動き出す
絵里「まだ乱れてるわ、もっと合わせて」
ダイヤ「これは、なんの訓練なのですか?」
絵里「曜が洋式軍隊のような訓練方法を新選組も取り入れたいって」
ダイヤ「……隊士全員が同じ動きをするのですね」
絵里「ええ、本当は銃の訓練もしたいらしいけど、そんなに集められないし、大砲で我慢してもらっているわ」
ダイヤ「あー……、それであの大砲ですか、最近は鞠莉さんの玩具になってますが」
絵里「完全に戦に向けて準備しているわよ、曜は」
ダイヤ「遅かれ早かれ、今の状況であればそうなるのでは?特に長州と」
絵里「そうね、でもこんな異国の軍隊の真似をしなくても……」
ダイヤ「曜さんはその辺りにこだわりはありませんわ、より効率よくですから」
絵里「局長と副長が言うから、私も出来るだけ期待には応えるつもりだけどね」
ダイヤ「このやり方、新選組としては向上しますが、手練れという人物は今後出てこないかもしれませんわね……」
絵里「……上のやり方に不満?」
ダイヤ「……そうではありませんが、聖良さんの件から曜さんの考えがわからなくなってきましたわ」
絵里「……そうかもね」 京の街で羽織を来て堂々と隊士を引き連れて果南と鞠莉、そして雪穂が歩いている
果南「久々の見回りは気持ちいいねー」
鞠莉「でもいいのかしら、幹部揃って見回りなんて」
雪穂「あの、私は一人でも……」
果南「いいからいいから、まだ雪穂は町に慣れてないでしょ」
鞠莉「それもそうねー」
雪穂「あれ、このあたりは新選組の範囲外では……」
果南「そうだっけ?」
鞠莉「そんなのあるの?」
雪穂「えー……」
雪穂(あ、あれ、もしかして私がこの中だとしっかりしないといけないのかな……)
凛「あー!新選組にゃ!」
鞠莉「何あれ?」
果南「さあ?」
雪穂「あれは……、見廻組ですね」 果南達の向かいから京都見廻組がぞろぞろと歩いてくる
凛「この辺りの警護は新選組じゃなくて京都見廻組の担当!」
果南「え?そんなのあったっけ?」
鞠莉「私は知らないから、ないんじゃない?」
雪穂「だ、だからさっき言ったはずじゃ……」
果南「んー、でも町ってみんなのものじゃない?」
鞠莉「流石、果南いいこと言うわね!」
凛「すっごい無視されてるにゃ……」
花陽「あのー……」
果南「あれ?確か、見廻組の」
花陽「佐々木です、ご無沙汰してます」
鞠莉「じゃあ、本当にこの人たち見廻組なのね」
凛「なんだと思ってたの!?」
花陽「えっと、こちらは見廻組に入った、今井信郎さんです、まだ正式じゃないんですけど」
凛「よろしくにゃ」 雪穂「ど、どうも」
果南「それで、本当にこの辺りってそっちの担当なんだっけ?」
花陽「え、ええ、そのはず……」
凛「かよちん!自信持つにゃ!」
雪穂「ほ、ほら、皆さん、間違えているのはこちらですから、行きましょう……!」
鞠莉「わかったってば」
果南「そうだね、ちょっと手練れ二人と喧嘩はやめておこっか」
花陽「……そちらは三人もいるのですから、不利はこちらですよ」
果南は隊士たちを連れて来た道を戻る
雪穂「あの二人、強いですね」
果南「だね、雪穂と同じくらいには出来るかもね」
雪穂「わ、私はそんな……」
鞠莉(んー、雪穂は自信がついたら梨子や善子並みに強くなりそうだけど、それはまだまだ先かしらね) 新選組屯所内で隊士の訓練を理亞が眺めている
ルビィ「理亞ちゃん、訓練しないの?」
理亞「……やる気出ない」
ルビィ「……」
理亞「姉様のこと、切り替えようとしても、……どうしても駄目」
ルビィ「理亞ちゃん……」
理亞「私はこの先、何を目指すべきか、道が見えない」
ルビィ「な、ならルビィと一緒に探そうよ、ルビィもこれからのこととか、わかんないけど……」
ルビィ「それでも必死に毎日頑張って……、みんなと一緒にいれるように……えっと……」
理亞「ルビィに励まされているようじゃ、私もまだまだね」
花丸「そうずら、ルビィちゃんはいい加減副長助勤になるずら」
ルビィ「花丸ちゃん!?いつの間に……」
理亞「この前もずっと旗を持ってただけでしょ」
ルビィ「だ、大事な仕事だもん!新選組はここだー!ってみんなに知らせるために……」
花丸「……確かに、遠くでもルビィちゃんが旗を振ってたらみんな気付くかも」
理亞「それじゃ、戦場で迷ったら旗持ち担当のルビィのところに行けばいいわけね」
ルビィ「旗持ち担当……ルビィも戦うよ!」
花丸「それじゃ旗を持つ人いないから困るずら」
ルビィ「そんなぁ……」 ルビィ達の様子を遠くで善子が眺めている
善子「……」
曜「善子ちゃん、何してるの?お腹痛いの?」
善子「くっくっく、我が妖刀が暴れ出すのを必死に止めているのです」
曜「……はあ」
善子「はあって!」
曜「妖刀はいいけど、あんまり斬りすぎちゃ駄目だよ」
善子「別に、不要なものは斬ってるだけよ」
曜「……まあ善子ちゃんは上手くやってくれるからいいけどさ」
善子「ねえ、梨子は」
曜「ん?部屋で休んでるけど?」
善子「……労咳なの?あの子」 曜「違うよ、そんなんじゃない」
善子「噂になってる、沖田は労咳で長くないって」
曜「誰がそんな噂を……」
善子「言いふらしてるのは谷」
曜「あー……」
善子「梨子がいなくなったら自分が一番隊任せられるとか本気で思ってそうよ」
曜「困るなー、仕方なく入れてるだけなのに……」
善子「それで、本当に労咳じゃないのね」
曜「違う」
善子「そう、それならいいわ」
善子は刀を手に取って歩き出そうとする
曜「善子ちゃん」
善子「……私は新選組、悪くないと思ってる、この私にふさわしい場所よ」
善子「でも、そこに不要なものは、私はいらない、新選組の邪魔をするのは特に」
曜「……そこまで善子ちゃんが新選組のこと好きとは思わなかったなー」
善子「式神の場所を守るのは使役する私の役目なのよ」
善子は刀を手に大袈裟な構えをとる
曜「はあ……、その妖刀、しっかり抑えといてよ?」
善子「出来る限りはそうするつもりよ、安心して」
善子はそのまま屯所の外へと去っていく
翌日、七番隊組長の谷三十郎が何者かに斬られて発見された 凜はやはり今井か
となると勝海舟と蝦夷勢も決まったようなもんか 新選組が内部で揺れる中、情勢は少しずつ動こうとしていた
ランジュ「それでね、ランジュとしては薩長が組んで幕府を討つのがいいと思うの」
侑「薩長が組むのはいいんだけど、後半はなー……」
ランジュ「もう!じゃあ他に何か方法があるのっていうの!?」
侑「それは……、考え中」
ランジュ「煮え切らないわね、いいわ、私は私で動くから!」
ランジュは席を立つとさっと部屋を出ていく
侑「参ったなー……」 愛「なんかすごい怒ってる人とすれ違ったんだけど、ゆうゆ怒らせちゃった?」
ランジュと入れ替わりで愛が部屋に入ってくる
侑「私が怒らせたわけでは……、あれ、でも私なのかな」
愛「やっぱり難航しそう?」
侑「……うん、でもこれしかないよ」
愛「そだね、薩長が手を結ぶ、これしか長州としては道がないんだよねー」
侑「ただなー、どうもすれ違うんだよね、しずくちゃんと果林さん」
愛「そこは上手くやってよ、得意だよね?」
侑「いや、そうは言っても……」 二人が話していると突然バタバタと足音を立ててある人物が部屋に慌てて入ってくる
かすみ「侑さーん!用意できましたー!」
侑「本当!?でかしたよ、かすみちゃん!」
愛「えーっと、誰?」
侑「あ、えっとね、仕事を手伝ってもらってる……」
かすみ「紀州藩の陸奥ですよー、侑さんの右腕と言っても過言とは言えない敏腕の」
侑「まあ、それは置いておいて……」
愛「それで用意って……、まさか」
侑「うん、頼まれてた最新式の銃、それに軍艦、用意したよ」
愛「嘘っ!?りなりーの無茶をまさか……」
侑「いやー、大変だったんだけどね」
かすみ「かすみんの交渉術でミア子を説得すること、三日!」
侑「まさか、三日間ずっと……」
かすみ「うんと言うまで付き纏ってました!」
侑「ミアちゃんに後で怒られそうだな、私……」 愛「とにかく、それが用意出来たなら、勝てるっ……、愛さん、最後の大暴れだ!」
侑「最後ってそんな……え?」
愛「愛さん、本当は新しい世の中っていうのも見たかったんだけどさ、ほら、他の子達だと不安じゃん?」
かすみ「え?え?」
愛「でも、まあ、愛さんの役目は引き継ぐことかな、だからさ、ゆうゆ、任せたよ」
侑「愛ちゃん……そんな、嘘でしょ……」
愛「多分、そんなに長くはないかな」
侑「……」
愛「このまま幕府と本格的にやり合って、薩摩と長州だけに任せちゃ駄目だよ、きっとおかしな方向に行っちゃうから」
愛「それは愛さんの面白い世の中とは違うからさ、だから、ゆうゆに託す、きっと導いてくれる」 侑「……無理だよ、私はそんな大それたことは……」
愛「大丈夫、出来るよ、一番いいと思った道がきっと正解だから」
侑「……」
愛「かすかす」
かすみ「え!?かすか、……かすみんですか!?」
愛「ゆうゆを守り切ってね、絶対に」
かすみ「……も、もちろんです!かすみんは侑さんに人生賭けたんですから!」
侑「重いなー……」
愛「さてと、愛さんの本気を幕府の見せてやろうかな!」
侑「……かすみちゃん、私たちも今以上に頑張ろう」
かすみ「了解です!しず子は私が説得して来ますっ!」
侑「なら、私は歩夢と一緒に果林さんを堕としてくるよ」 京にあるとある宿にて
ダイヤ「また長州ですか」
ダイヤが隊士に捕縛されている浪人を見て呟く
理亞「最近になってまた増えてる……」
ダイヤ「やはり、あの噂は……」
理亞「噂?」
ダイヤと理亞が話していると二階の方で叫び声が聞こえる
ダイヤ「……まるで鬼に出会ったような声ですわね」
梨子「もう……、そんな言い方」
梨子が仕事を終えて二階から降りてくる
理亞「二階はもう片付いたの?」
梨子「うん、大した数じゃないし」
ダイヤ(妙な噂もありますが、梨子さんは問題ないみたいですわね) 理亞「それよりさっきの噂って」」
ダイヤ「ああ、それは……」
花丸「長州と薩摩が手を組むという噂ずら」
花丸が床から顔を覗かせる
理亞「ひいい!?どこから出てくるのよ!?」
花丸「他に隠れてないか探索ずら」
梨子「そ、それより、本当なの、長州と薩摩が……」
花丸「あくまで噂なんだけど……、この前も長州の桂と、薩摩の西郷が会合しようとしたけど失敗したとかで」
理亞「でも噂でしょ?」
ダイヤ「単なる噂で私たちがここまで動きますか?」
理亞「それは……確かに」
梨子「少なくとも曜ちゃん達は可能性があると思ってるってこと?」
ダイヤ「ですわね」
花丸「おかげで監察は池田屋以来の大忙しずら」 *****
***
*
絵里「ここまで監察を動かす必要あるのかしら」
曜「まだ疑ってる?」
絵里「長州と薩摩の動きが曜の言う通り可能性は高いと思うわ」
曜「絶対あるよ、というか長州としてはそれ以外手がないよ」
絵里「ええ、でもその会合が京で行われるかどうかは……」
曜「それは千歌ちゃんの意見を採用したんだけどね」
絵里「え?」
千歌「んー、だって、長州と薩摩って仲悪いし、もし手を組むなら対等?じゃないと認めないよね?」
絵里「それは……そうね」
千歌「そしたら、お互いの藩で会合はしないんじゃないかな?私なら相手の場所に行ったら負けだと思うし」
千歌「かと言って、あまりに関係ないような場所とか地味な場所でやるのもあれだし……」
千歌「ならいっそ京でやる方が雰囲気あるし、いいかなって」 曜「私は結構良い線だと思ったんだけど、どう?」
絵里「……確かに言われてみれば京でやる他にないわね」
曜「でしょ?でも、その理屈だと薩摩藩邸では行えない」
絵里「それはそうね、それなら……」
千歌「桂さんと西郷さん、お互いの仲良い人の家とか?」
曜「……心当たりは?」
絵里「あるとすれば……、そうね……、……小松帯刀」
千歌「じゃあ、そこだ!」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています