歩夢「侑ちゃんってばお小遣いちょっとしかもらってなかったのに私のためにリンゴ飴を買ってくれたの。本当はお金が足りてなかったんだけど、お店の人がまけてくれね。」

歩夢「『これあげるから泣かないで!!』って私に全部くれたの。」

歩夢「侑ちゃんは食べないの?って聞いたら『お腹いっぱいだから私はいい!!』って言って」

歩夢「でもその後すごい大きなお腹の音が鳴ってね、侑ちゃんってば私のために我慢してて」

歩夢「だから、大きすぎて食べられないから一緒に食べよ?って言ったの」

歩夢「そしたら『仕方ないな〜』っていいながら私と一緒に食べてくれたの。」

歩夢「それから毎年夏祭りに来てはここのリンゴ飴を二人で分けて食べるようにしてるの、なんとなくね。」

歩夢「いつもだったら大体侑ちゃんが食べちゃうからすぐに無くなっちゃうんだけど」

そう言いながらりんご飴を一口かじる上原さん。
口を離して自分が齧ったところを見ながら小さな声で呟く。

歩夢「今年のリンゴ飴はちょっと大きく感じるよ、侑ちゃん」

そんな上原さんに何も言えない俺は、黙ってりんご飴を一口齧った。