【ss】ラブライロンパ!Ô
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ラブライブ×ダンガンロンパ パロss
μ's、Aqours、虹、その他
話の展開上、キャラ死亡、残酷な描写、不快な表現等があります。苦手な方はブラウザバック推奨。
どこかで見たネタや二番煎じのトリックがあるかも知れません。
トリックの内容にはあまり期待しないで下さい。
地の文あり。
章ごとに更新。
規制回避の為、3〜5分毎の投稿。
かなりの長編のためダレると思いますが、自己満足で気長にやっていきます。 >>129
ごめん。抜けてた
>>124と>>127の間です↓ 「……璃奈ちゃんボード『どきどき』」
どうやら、ビックリさせちゃったみたい。
歩夢「璃奈ちゃんボード……?」
「璃奈ちゃんボードはね、感情をみんなに伝えるためのアイテムなんだって。種類が沢山あるんだよ」
代わりに答えたのは、赤みの強い橙色の髪をしたもう一人の子。
「私は高海千歌だよ! よろしくね!」
左側頭部に三つ編みを作り、先端を黄色いリボンで留めている。右側にはクローバー型の髪留めが付いていた。
千歌「あなたたちは?」
侑「私は高咲侑。侑でいいよ。よろしくね」
歩夢「上原歩夢です」 ダンガンロンパシリーズのお決まり
シリーズごとにでぶ、マッチョ、根暗、オタクが出てくる
ラブライブ声優が登場する
ヤンデレが多い
矢澤が盛られている 千歌「他にも、腕時計型の麻酔銃とか、キック力を増強させる靴とかも作っちゃったんだってっ」
それって……まあ、あまり深く考えない方が良さそう。
璃奈「既存のものに改良を加えさせてもらっただけ。私がゼロから作ったわけじゃない」
璃奈「でも、今は人工AIを搭載したパワードスーツを開発中」っ璃奈ちゃんボード『やったるでー』
あまり表に名前の上がらない分野だけど、璃奈ちゃんがいれば安泰なのかな? 将来、日本全国に璃奈ちゃんの名前が轟く日もそう遠くはないだろう。
璃奈「……あの、」キュ
璃奈ちゃんの小さな手が私の裾を掴む。
璃奈「私、ゲームとかアニメも好き、だから……よかったら、仲良くして欲しい」ジッ
侑「! うん、こちらこそよろしくね」ニコ
案外、人懐っこい子なのかも。 侑「あ、ところで千歌ちゃんはどんな超高校級なの?」
千歌「……」
璃奈「千歌さん……?」
歩夢「どうしたの?」
千歌「────チカは超高校級のみかん大使なのだ!」バーン
侑「……へ?」
歩夢「みかん?」
千歌「そう! 我の使命は世に寿太郎みかんの素晴らしさを広めること!」
璃奈「限定的……」
歩夢「我って」
千歌「なぁんて」エヘヘ
侑「……もうっ、急に善子ちゃんみたいなこと言うから驚いちゃったよー!」
千歌「あはは……実はね、私も侑ちゃんと同じ。思い出せないんだ」 【超高校級の??? 高海千歌】
侑「────え、千歌ちゃんも……私と、同じ?」
千歌「うん。多分」
他にもいたんだ……私と同じ人が。
歩夢「自分が得意なこととか、好きなことはない? そこから、自分の超高校級の才能を連想できないかな」
歩夢はそう言いながら、私と千歌ちゃんを交互に見る。
侑「それがね、これと言ってパッと思いつくものがないんだよねー」
千歌「うんうん。特に部活もやってなかったし」
千歌「あ、でもしいてあげるなら“超高校級の若女将”とか?」
歩夢「若女将?」
千歌「チカの家ね、「十千万」って名前の旅館をやってるんだ」 侑「実家が旅館なんだ! いいなぁ、千歌ちゃんみたいな可愛い子にお出迎えされたら絶対嬉しいもん。本当に若女将だったりして」
千歌「か、かわいっ/// !? そ、そんなことないよっ」ワタシナンテフツウダシ…
侑「ん? 誰が見たって千歌ちゃんは可愛いよ!」
璃奈「千歌さんは可愛い」ウン
千歌「り、璃奈ちゃんまで……もう」
そう言って、恥ずかしそうに赤くなった頬を掻く千歌ちゃん。
うん、やっぱり可愛い。
千歌「あ、でも超高校級の若女将がいる旅館ならもっと有名じゃないとおかしいかな」アハハ 歩夢「え……そ、そんなことないと思うよ?」
千歌「あー、目逸らしたー」ブー
侑(……超高校級の才能かぁ。私って何が出来たんだろう)
エマさんみたいに抽選で選ばれたわけでもないだろうし、千歌ちゃんみたいに実家がお店を経営しているわけでもない。
侑(何も分からないって、ちょっぴり怖いな) ・・・
これで15人、ホールにいる全員に声をかけ終わったことになる。
私を含めると、16人もの超高校級が一つの空間に集められているのは何とも贅沢な光景である。
しずく「それにしても、いつまでこうしていればいいんでしょうか?」
善子「そうね。ここには時を刻む魔道具もないみたいだし」フッ
せつ菜「時を刻む魔道具!? なんですかそれは!?」
璃奈「……時計の事だと思う」っ璃奈ちゃんボード『察しろ』
善子「いちいち発言を拾うな!!」
善子ちゃんは早速、いじられキャラとしての地位を確立してるけど。 ・・・
穂乃果「じゃあ、海未ちゃんとことりちゃんは同じ教室で目を覚ましたんだね」
ことり「うん。海未ちゃんが側にいたから心強かったけど……怖かったよ、すごく」
海未「これが虹ヶ咲学園なりの歓迎なのかはともかく、決して褒められた行為ではないですね」
海未「廊下で目覚めた人もいるみたいですし」
絵里「やっぱり変よ。どうして私たちがこんな扱いを受けなきゃいけないの? 放任主義にしても限度があるわ」
絵里「それに、ここにいる全員が意識を失って目覚めるまでの経緯を覚えてないのよ!? どう考えたっておかしいじゃない!」
エマ「え、絵里ちゃん、落ち着いてっ」
絵里「異常なのはそれだけじゃないわ。あなたたち、ここまで外の景色を見た?」
絵里「窓には全て黒いシャッターが降りてるし、外に通じる扉には鍵がかかってる。完全に閉じ込められているのよ!」
絵里さんが取り乱すのも無理はない。
ここまで無理に明るく振る舞ってはきたけど、みんなの心の奥底には拭いきれない不安がずっと取り付いているはずだ。 ダイヤ「加えて、私たちの荷物……携帯や腕時計なども見当たりませんわ。きっと回収されてしまったのでしょう」
侑「でも待って、希さんはタロットカード、璃奈ちゃんはスケッチブックを持ってるよね?」
希「ああ。これ、ポケットに入ってたんよ」
璃奈「起きたら、机の上に置いてあった」っ璃奈ちゃんボード
せつ菜「私のメガネはどうなんでしょうか」
海未「外部との連絡手段になりそうな物のみ、取り上げられたのでしょう」
真姫「身に付けていても問題ない、必要最低限の物だけ残されたってことね」
歩夢「────あ!」
侑「どうしたの、歩夢?」
歩夢「なんで、今まで気にも留めなかったんだろう。時計だよ、時計がないっ」 ダイヤ「加えて、私たちの荷物……携帯や腕時計なども見当たりませんわ。きっと回収されてしまったのでしょう」
侑「でも待って、希さんはタロットカード、璃奈ちゃんはスケッチブックを持ってるよね?」
希「ああ。これ、ポケットに入ってたんよ」
璃奈「起きたら、机の上に置いてあった」っ璃奈ちゃんボード
せつ菜「私のメガネはどうなんでしょうか」
海未「外部との連絡手段になりそうな物のみ、取り上げられたのでしょうね」
真姫「身に付けていても問題ない、必要最低限の物だけ残されたってことね」
歩夢「────あ!」
侑「どうしたの、歩夢?」
歩夢「なんで、今まで気にも留めなかったんだろう。時計だよ、時計がないっ」 善子「それ、さっき私が言ったわよ」
歩夢「違うの、私がここに来た時にはあったんだ。なのに、あそこにあった時計が取り外されてるの」
そう言って、歩夢は壁の一点を指す。
しずく「時計? ですが、何故わざわざ外すようなことを……?」
梨子「本当ね。おかげで今が昼か夜かも分からないし、時計がないと尚更不安だし不便よ」
侑「そういえば、教室にもなかったような」
意図的に外された時計に、シャッターで閉ざされた窓。固く閉められた扉。その真意は一体……?
真姫「────ねえ、無駄話は終わった?」
絵里「……なんですって?」ピクッ 真姫「ここで喚き散らすぐらいなら、とっとと行動に移したらどうなの。話し合ったって時間の無駄じゃない」クルクル
絵里「あなた、西木野さんって言ったかしら。“超高校級の医学生”……ね。ふーん、流石エリート様はこの程度じゃ動じないってわけ」
真姫「は? 急になに? 意味わかんない」
絵里「っ、このっ!」グッ
真姫ちゃんの言葉に、絵里ちゃんが過敏に反応する。
千歌「うわわ!?」
希「二人とも喧嘩腰やん」ケラケラ
梨子「笑ってないで止めてください!」
侑「ちょ、ちょっと、二人ともやめてよっ!」
今は仲間同士で争ってる場合じゃない。
歩夢たちと協力して、何とか二人を引き剥がす。 幸運、日本舞踊家、ピアニスト、占い師は原作にもいるやんね
なお幸運以外は死んでるやんね ・・・
歩夢「こんな状況だし、気が立つのも無理はないけど……」
真姫「……」ツーン
絵里「……」イライラ
侑(うーん、熱りが冷めるまでこの二人は近づけないようにしないと)
ダイヤ「はあ、こんな調子では先が思いやられますわね」
呆れた顔でため息をつき、ダイヤさんが輪の中心に立つ。
ダイヤ「そこの二人は放って置いて、話を続けましょう」
ダイヤ「まず、超高校級であるわたくしたちが揃いも揃って意識を失った件について。これは、決して単なる自然現象などではありませんわ」
海未「ええ。明らかに、“人為的かつ作為的な介入”があると見て間違いないでしょう」
海未「ともすれば、“集団での記憶障害”も視野に入れるべきかと」 侑(────集団での記憶障害)ゾッ
海未ちゃんの話を聞くと、改めて事の重大さが浮き彫りになっていくようで身が震えた。
侑「ねえ、一旦話を整理してみようよ」
そう切り出すと、多数の視線が私に浴びせられる。う、なんかプレッシャーが……。
侑「えー、こほん。まず届いた入学通知書に記載されていた集合場所はここ、エントランスホール。でも、向かう途中で私たちは急に意識を失って倒れた」
侑「目が覚めたら教室の中、または廊下……そこまではみんな同じだよね?」
私の言葉に半分の人が頷く。
歩夢「そうだ、私はここで……」
善子「私なんて敷地内に足を踏み入れてすぐだったわ」
千歌「ええと、私はどこだったっけ」ウーン
せつ菜「私はお手洗いです!」
真姫「言わなくていいわよ……」 歩夢「倒れた場所、目覚めた場所はみんなバラバラなんだね」
希「外傷もとくに見当たらないし、頭をガツンとやられたわけではない、と」
しずく「起きたら、おっきなたんこぶが出来てても嫌ですしね」
善子「いや、そんな原始的な方法で全員が気絶させられてたら逆に怖いわよ」
璃奈「それなら、どうやって気絶させたんだろう」
せつ菜「超自然現象的なナニカが起きたに違いありません!」
エマ「ちょうしぜんげんしょう?」
歩夢「私は誰かに声をかけられて……あれ、それでどうなったんだっけ……?」ウーン ダイヤ「何にせよ、ここまで手の込んだことをする連中のこと。綿密に練られた計画によって犯行が行われた可能性もありますわね」
ことり「で、でも、まだ犯罪と決まったわけじゃないと思うよ?」
穂乃果「そうだよ。みんな悪い方向に考え過ぎだよ!」
希「認めたくない気持ちは分かるけど、最悪な事態も想定しておいたほうがええよ」
梨子「怖いこと言わないでくださいよ……」
善子「これは大規模な国際組織的犯罪集団の仕業に違いないわね。才能ある若者を拉致し、再教育を行わせるという……」
璃奈「漫画の見過ぎ」
善子「なによぉ!」ウガー
しずく「でも、あながち否定はできないかも知れませよ」 侑「……どうかな。そんな大層な目的があるとは思えないけど」
ダイヤ「……その根拠は?」
ダイヤさんの鋭い視線が向けられる。
侑「歩夢も言ってたけど……みんなの話を聞く限り、倒れた場所、目覚めた場所はバラバラ。順番も関係なく手当たり次第って感じみたいだし」
善子「全員を気絶させるなら、集合時間にエントランスホールに集まった私たちを一網打尽にすればいい話よね。それをやらなかったのは何故かしら?」
歩夢「やらなかったんじゃなくて、出来なかったとか? 急いでたのかも」
歩夢の言葉に私も頷く。
侑「うん。それにもしかしたら、犯人は意外といい加減な性格なのかも知れないね」
侑「とにかく、私たちをこの学園内に閉じ込めるのが目的だったんだと思う」 侑「じゃなきゃ、わざわざ拉致した後に放置なんてしないよ。こんな事を企てた人が何を思っているかは分からないけど……」
海未「……」
海未「学園から外に出さなければ、過程はさほど重要ではないということですか。たしかに、考えられなくはないですね」
海未「とは言え、現状の判断材料ではいくら話し合ったところで堂々巡りするばかり」
海未「話し合いにはここらで折り合いをつけ、足を使って探索に出向くべきでしょう」
真姫「だから言ったじゃない。ここで話し合ってても意味ないって」
絵里「だったらあなたが────」
真姫ちゃんの言葉に、絵里さんが噛みつこうとしたその時、 ピーン ポーン パーン ポーン
妙に間延びした、気の抜けるようなチャイム音がどこからともなく流れだした。
『新入生の皆様 時間となりましタ ただいまよリ 入学式を執り行いたいト思いマス 至急 第1オーディオホールにお集まりくだサイ』
侑「────っ、なに、この声」
『繰り返しマス 新入生の皆様 時間となりましタ────……』
突然の事態に唖然と立ち尽くす私たちを嘲笑うように、可愛らしい少女の声が響く。片言で、冷たい、機械の音声。
真姫「……なによバカバカしい。結局、ただの悪趣味なオリエンテーションだったんじゃない」
絵里「どこ行くのよ」
真姫「放送聞いてなかったの? オーディオホールに決まってるでしょ」スタスタ
絵里「あ、待ちなさいっ」
せつ菜「お、競走ですね。負けませんよ!!」ダッ
真姫ちゃんはそう言うと、一人エントランスホールから出て行ってしまった。その背中を絵里さんとせつ菜ちゃんが追う。 ダイヤ「〜っ! 団体行動ができないんですかあの人たちは! 大体、場所は分かっていますのっ!?」プルプル
梨子「ま、まぁまあ……落ち着いてください。私たちも行きましょう」
希「ここに来る道中にフロアマップがあったから、迷うことはないと思うよ」
エマ「この学校すっごく大きいんだよね。わたしだったら地図があっても迷っちゃうよ」
海未「敷地面積だけで言えば、東京ドームより広いですからね。確かパンフレットによると、“東西でそれぞれ棟が分かれている”ようですが」
穂乃果「そうなんだ。じゃあ、穂乃果たちがいるここはどっちなの?」
海未「先程マップを見た限りでは、私たちは“東棟”にいるようです」
ことり「先生や先輩の人たちはいないのかなぁ」
歩夢「ここまで見てきた感じでも、教室の数は相当だろうし……きっとどこかにいる筈だよ」 海未「……」
穂乃果「どうしたの、海未ちゃん?」
ことり「難しい顔してる」
海未「あ、いえ……何でもありません。ただ、一般の高校の生徒総数と比べてみても、この学園は余りにも広過ぎると思いまして」
侑「超高校級なんて、多くても毎年数十人しかスカウトできてないって聞くし、絶対持て余しちゃうよね」
歩夢「政府公認の学校だから、役人を迎え入れての説明会とか、それこそ超高校級の才能を生かすための専用の教室が沢山あるんじゃないかな?」
私たちそれぞれに合わせて作られた教室か……なんだか鼻が高いな。本当に各自の教室があれば、私と千歌ちゃんの才能も分かるだろうし。
ダイヤ「お喋りはそのぐらいにして、皆さん行きますわよ!」
ダイヤさんの号令で、みんな次々とホールを後にする。
歩夢「侑ちゃん、私たちも行こ? 置いてかれちゃうよ」 侑「うん。でも、なんでオーディオホールなんだろう。こういうのって体育館とか講堂でやるもんじゃない?」
歩夢「入学する生徒数だけを見たら、オーディオホールで十分なんじゃないかな」
侑「なら、今年はここにいる私たち16人で全員?」
歩夢「そうなるのかなぁ」
千歌「────全員じゃないよ」
侑「え、千歌ちゃん……?」
全員じゃない。千歌ちゃんはそう断言した。
千歌「超高校級だったら、“曜ちゃん”も絶対ここにいるはずだもん」
侑「あの、千歌ちゃん。よーちゃんて?」
歩夢「知り合い?」
私たちの問いに、千歌ちゃんは嬉しそうに顔を綻ばせながらも話してくれた。 ・・・
侑「渡辺曜さん。千歌ちゃんの幼馴染なんだね」
千歌「うん、チカの自慢の幼馴染だよ」
千歌ちゃん曰く、彼女は高飛び込みの選手として、幼少の頃からその才覚を遺憾なく発揮していたという。
それは超高校級という枠組みを超えて、“全日本級の強化選手”として大いに期待されているとも。
歩夢「そんなにすごい子なら、間違いなくスカウトされてるよ」
千歌「うん! 昔から勉強もスポーツも何でもできる私の憧れなんだ」
千歌「曜ちゃんはね、私に……あれ、えっと、あ、────ごめん。なんでもないっ」アハハ
侑「……? そっか。でも放送を聞いてたなら、きっとオーディオホールに行けば会えるよ」
千歌「……そうだね」ニコ
千歌「…………」 ーーーーーーーー
照明でどこまでも白く照らされた廊下。それはあまりに無機質で、冷たく、殺風景。
そんな世界に、私たちの足音だけが不規則に響く。
天井は大きな天窓で覆われ、本来なら眩い日差しが廊下を温かく照らしていたことだろう。
侑(今はどこもかしこもシャッターが下りていて、自然の光が一筋も入らない。あるのは人工の明かりだけ……)
侑(これじゃ気が滅入っちゃうな)
『繰り返しマス 新入生の皆様────……』
一抹の不安を胸に抱えつつも、定期的に繰り返される放送の声を追うように私たちはフロアマップを頼りに廊下を進んでいった。 ーーーーーーーー
−第1オーディオホール−
侑「あれ、みんなどうしたの?」
階段状に机が並ぶ講義室。先に着いていたみんなは散らばって席に座っていた。その視線は前方の一点に向けられている。
真姫「どうしたもこうもないわ。なによ、アレ……」クルクル
髪を弄りながら、怪訝そうに呟く真姫ちゃん。
つられて目を向けると、
侑「わあ、なにあれ可愛いじゃん」
誰もいない壇上の壁に設置された大型スクリーンには、可愛らしい「猫型のキャラクター」が映っていた。
歩夢「頭がモニターで、尻尾の先はアダプタになってるんだね。なんだか未来的で可愛いかも」
千歌「何かのアニメのキャラクターかな?」
侑「虹ヶ咲学園のマスコットキャラとか?」 そのキャラクターは広い画面の中を自由に動き回る。
猫と電子機器をモチーフにした二足歩行の生き物? で、頭部のモニターには馴染みの深い顔文字を映していた。
歩夢「なんか、“璃奈ちゃんボード”みたいだね」
千歌「私もそれ思った! 璃奈ちゃんに似てるよねっ」
そう言われれば、確かに……どことなく璃奈ちゃんを想起させるようなデザインに見えなくもない。
璃奈「……」
肝心の璃奈ちゃんは無表情。相変わらず、その表情からは感情が読み取れない。
『新入生の皆様 こんにちハ 席にお座りいただキ 暫くお待ちくだサイ』
侑「あ、この声……」
ついさっきまで流れていた機械音声だ。
校内放送をしていたのはこの子だったのか。 一旦ここまで。なんかスマホ版とpc版がごっちゃになってるというよく分からないことになってるぽい。
取り敢えず、明日で導入は終わります。 他の作品を参考ってことはAqours虹で書いてた人とは別の作者さんか
楽しみ ダンロンって色んな奴がいてそれぞれが動くから面白いのに選出キャラに偏りがあるように思うなぁ
真面目だったり大人っぽい子が多すぎる
あと絵里はヒステリックって言われてるけど馬鹿じゃないし不安で騒ぐポジションは にこやかすみで良かった感 まだ人殺しの話出てないし予定通り進まなくてイライラしてるだけでしょエリマキあたりは
物騒になってきたらことりとか千歌とか騒ぐんじゃないの >>168
は?
スクールアイドルだけでももう28人なんだが? ダイヤ「お座り、なんて失礼な応対ですわね。それでは犬の躾じゃありませんか」
善子「そこに噛み付くなんて、まさに躾のなってないいn「善子さん?」……はい」
エマ「日本語って難しいね」フフ
・・・
穂乃果「おーい、侑ちゃん! 隣おいでよ〜」
穂乃果「って、隣はもういるんだけど」エヘヘ
こっちに手を振る穂乃果ちゃん。彼女の両隣は海未さんとことりちゃんだ。
私と歩夢は海未さんの隣に並んで座った。 千歌「私はこっちに座るよ。よろしくね、梨子ちゃん、しずくちゃん!」ニコ
梨子「え、ええ。こちらこそ」
しずく「はい。よろしくお願いします。えっと……高海千歌さん」
千歌「もー、千歌でいいよ。同じ新入生なんだから」
千歌ちゃんて人懐っこいし、妹みたいなところがあるから、仲良くなるのも早いだろうな。
・・・
それから五分ほど経った頃だろうか。
穂乃果「ねえねえ! あなたのお名前は?」
唐突に、穂乃果ちゃんが手を挙げ、そんなことを言い出した。
海未「……穂乃果、映像に話しかけても返事は戻ってきませんよ」 穂乃果「えー、そうかなぁ。ただの映像って感じしないけど」
ことり「ほ、穂乃果ちゃんっ、こっち見てるよ?」
『……』
穂乃果「ほ?」
『わたシは53M.C-Aだヨ アランちゃんテ 呼んでネ』
璃奈「っ、!?」ビクッ
エマ「わ、すごいね。お返事したよ!」
穂乃果「ほら! 通じた!」
歩夢「えっ、会話できるの?」
千歌「ごーさんえむ、どっとしーえー?」 アラン『うン アランちゃんだヨ』っ(・ω・)
絵里「アラン? 何故アランなのかしら」
アラン『アランのAハ アランのAだからなんだヨ』っ(・-・)
絵里「そ、そう……」
真姫「大方、設計者か誰かが自分の頭文字を取って名付けたんでしょ」
善子「さすれば、あなたは53番目の刺客と言うことかしら?」フッ
しずく「残りの52体はどこに行ったんですか?」
希「いーや、これは暗号や。ウチの勘がそう告げとる」
ダイヤ「普通に考えれば、システムの識別番号か何かでしょうけど……って、今それは関係ないでしょう!」バンッ
千歌「お、ノリツッコミ!」 アラン『机を叩いたラ だめだヨ』っ٩(`^´)۶
ダイヤ「すみません」コホン
ことり「あ、そこは素直に謝るんだ」
みんなが好き勝手に発言する中、53M.C-A=通称アランちゃんはゴロゴロと喉を鳴らす。
まるで本物の猫のような仕草。
アラン『みんナ もうちょっとだけ待っててネ』っ(・ω・)
セリフに合わせてその都度切り替わる顔文字は、とても可愛らしく、機械的な口調を感じさせない柔らかさを視覚的に与えてくれる。
幼い少女の声を模した機械音声は、誰かモデルとなった人物がいるのだろうか。
侑「すごい技術だよね。ちゃんと受け答えが出来てるし」
穂乃果「きっとあれだよ、デズニーシーのお喋りできるカメさん!」
アラン『そんナ子供騙しの仕掛けじゃないヨ アランちゃんハ “人工知能搭載ノ最新鋭超高性能自立式プログラム”なんダ』っ(-^-) せつ菜「じ、人工知能っ、最新鋭!! 超高性能自立式!!?」キラキラ
エマ「なんだかすごそうだよ〜」
アラン『うン アランちゃんハすごいんだヨ みんなモ 困った時ハ アランちゃんノ名前を呼ぶんだヨ』っ(^O^)
アラン『……絶対だヨ?』
侑「? 人工知能ってあれだよね、AIってやつ」
海未「人工知能……えーあい、ですか。誰かが裏で声を当てているわけではないのですね」
ことり「海未ちゃん、昔からそっち方面には明るくなかったもんね」
穂乃果「穂乃果もよく分からないから大丈夫だよ!」
海未「複雑な心境です……」ムゥ ・・・
絵里「要するに、この53M.C-Aってプログラムが進行してくれるんでしょ。ならさっさと始めて欲しいのだけれど」
アラン『絢瀬絵里さんハ せっかちさんなんだネ それとモ デレのなイ ツン(デレ)さン?』っ(>v<)
絵里「な!?」
希「ユーモアあるやん」クク
真姫「でも、流石に全員揃ったんじゃない? これ以上待っても誰も来やしないわよ」
真姫「入学式の進行がアナタの役目なんでしょ。なら、その責務をきちんと果たして欲しいわね」クルクル
アラン『……うン そうだネ 役者も揃ったみたいだシ』
アラン『始めようカ 入学式』
侑(っ、────はじまるんだ) 画像が貼れないけど、アランちゃんはアニメ6話に出てきたアバターのイメージ。 >>183
殺されそうになったのを返り討ちにしてクロになる桑田ポジだな >>184
違うぞ、大神さくらだぞ
仲間のために命を散らす
仲間思いの水ゴリラ いやそういう意味じゃなくて栞子も入れてスクールアイドルは28人いるってことじゃないの どうせ紹介されてない人達は過去の殺し合いで既に死亡してることになるんだろうけどショックだわ.... 侑ちゃんいるからならそもそもアニガサキ時空にμ'sとAqoursが同年代で存在しないんだよなあ /)
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/ i f ,.r='"-‐'つ____こまけぇこたぁいいんだよ!!
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/ ノ il゙フ::::::⌒(__人__)⌒::::: \
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/ iトヾヽ_/ィ"\ `ー'´ / >>190
これは思った
アニメ好きなのは分かるけどスクスタ時空があるんだからそっちで統一しとけばいいのに 本家やったことないモグリか?
んなもん設定に多少説得力つければいいんだよダンガンロンパなんだから まぁある程度設定改変できるのがパロディの良さみたいなところあるからね
あと全員は普通に無理やろ…
推しを出して欲しい気持ちも分かるけど ダンガンロンパSSに推しが出てきてそんなに嬉しいか?
このSSは楽しみだけど複雑なところもある ゴクリと、どこかで喉を鳴らす音がはっきりと聞こえる。
いや、これは私自身の喉の音。
侑(なんだろう……すごく緊張してる)
期待、不安、焦燥、様々な感情が顔を出しては消えていく。ドクドクと強く脈打つ心臓の鼓動が妙にうるさく、私は胸を押さえた。
穂乃果「やっとだー!!」
善子「ククっ、ついにこの時が来たわね……」
エマ「楽しみだよー」
アラン『新入生の皆様 お待たせいたしましタ 只今よリ────』
菜々「皆さん、アランさんが話しています。お静かに」キリッ
希「お、マジメちゃんモード」
絵里「すごい切り替えの早さね」
侑(ふぅ、落ち着け、私)
何はともあれ、ついに始まるのだ 千歌「これで全員……?」
梨子「あぁ、なんか緊張してきちゃった」ソワソワ
ダイヤ「まあ、ここまで手の込んだ事をするぐらいですから、よほど高尚な式辞を用意しているのでしょう。お手並み拝見ですわ」
璃奈「……璃奈ちゃんボード『わくわく』」
この個性豊かな仲間たちと過ごす
しずく「一体どんな素敵なショーを披露してくれるんでしょうか。楽しみです!」キラキラ
真姫「ただの入学式でしょ」ハァ
ことり「ふふ。でも期待せずにはいられないよね」
海未「な、何が起こるんですか?」
「 」希望に満ち溢れた
歩夢「これから一緒に頑張ろうね、侑ちゃん」
「 」学園生活が────!! 千歌「え、なに!?」
穂乃果「停電!?」
せつ菜「緊急事態発生ですか!!?」
しずく「こ、これも演出なのでは……?」
梨子「え、な、なんなのっ?」
真姫「ちょっと! この手誰よ?!」
ダイヤ「皆さん、無闇に動いては危険ですわっ! ここは大人しく座って指示を待ちなさい!!」
絵里「指示って誰のよ!? ブレーカーが落ちたとしたら、このプログラムだって何も出来ないでしょ!」
歩夢「ゆ、侑ちゃん」オロオロ
侑「歩夢! 大丈夫、私は隣にいるよっ」ギュッ
何が起こったのか分からないけど、突然、世界が真っ暗になった。照明が落ちたんだ。
すぐ隣の歩夢の顔さえほとんど見えないほど、一瞬でオーディオホールは暗闇に包まれた。 善子「言っとくけど、私のせいじゃないわよ!? ……たぶん」
ことり「こ、こわいよぉ、穂乃果ちゃん、海未ちゃんっ」
海未「大丈夫ですよ、ことり。恐らくこれは一時的なものでしょう」ナデナデ
海未「仮に本当に停電だったとして、学校側が何の対策もしていない訳がありません。直ぐに予備電源などが作動するはずです」
穂乃果「そうだよ、ことりちゃん。みんなもいるんだし怖くないよ!」
侑(……本当に停電なの? )
不慮の事故による停電の可能性はあり得ない話じゃない。むしろ、そう考えるのが正常な思考だ。
侑(これがまた虹ヶ咲学園側が故意に起こした事態なら、そんな心配しなくてもいいんだけど) 穂乃果「おーい、アランちゃーん!」
海未「穂乃果? 何をしているのですか?」
穂乃果「もちろん、アランちゃんに助けてもらうんだよ! ほら、困ったときは名前を呼んでねって言ってたじゃん」
ことり「で、でもきっと電源落ちちゃってるよっ?」
歩夢「とりあえず、ここから出た方がいいんじゃ」
侑「でも下手に動くなってダイヤさんが」
暗くてよく見えないけど、目を光らせているのは分かる。
ダイヤ「もうしばらく待てば、きっと電源も復旧しますわ。だから皆さん余計なことはしないように」
善子「……その根拠はどこから来るのよ。固いのは名前だけじゃないのね」ボソ ダイヤ「誰ですか!? 今、無礼なことを言ったのは!」ダンッ!
善子「ひぃ!?」
絵里「ああ、もう! 次から次に何なのっ。一体全体私たちをどうしたいわけ?!」
穂乃果「電気、付けー!!」
海未「耳元で大声を出さないでくださいっ」
あちこちから聞こえてくる喧騒が、場の混乱を余計に助長させる。
侑「みんな、落ち着いて! こういう時こそ冷静にならなきゃっ」
せつ菜「はい。むやみやたらに動くのは危険ですが、停電の範囲は調べておいた方がいいと思います!」
璃奈「うん。この部屋だけかも知れないし、私も賛成」 梨子「でもこの暗闇でどう移動するの?」
希「壁伝いに手探りで行けば、ドアの前までは楽勝やん」
ダイヤ「……おほん。先程は取り乱してしまい、申し訳ありませんでした。では、ドアに一番近い位置にいる人にお願いしましょう」
「それなら任せて」
後方から声がかかる。
侑(誰の声だろう……?)
ダイヤ「では、彼女に任せて、他の人はその場に待機。不安なのは分かりますが、なるべく声は抑えて大人しくしていること」
ダイヤさん主導のもと、数秒後にはなんとか落ち着きを取り戻すけど、暗闇から漏れるみんなの不安げな息遣いが現状を物語っていた。 ・・・
「────だめ。開かないわ」ガタガタ
千歌「そんな……」
真姫「嘘でしょ?」
暫くして、無慈悲な宣告が暗闇から響く。
絵里「そんなわけないわ。私が確かめる」
エマ「気を付けてね。段差あるよ」
絵里「ええ、問題なっぃべぇ!」ズテンッ!
侑「え、絵里さん!?」
歩夢「大丈夫ですか!?」
絵里「いたた……っ、何かに躓いたみたい。人の足みたいな」
善子「ぁ、だ、段差よ! 段差に躓いたのねっ?! 全く、ドジなんだからっ」アセアセ ダイヤ「怪我には気を付けてください。何なら、私が向かいますので」
海未「しかし、鍵が掛かるような構造ではなかったはずですが」ハテ
穂乃果「うーん、呼んでもだめかぁ」
ことり「流石の穂乃果ちゃんでも、停電は直せないんじゃないかなぁ」
穂乃果「名前呼んでも効果なしー?」
エマ「でも、穂乃果ちゃんの気持ちもわかるよ」
エマ「きっとアランちゃんは、名前を呼んで欲しいんだよ」
しずく「あえて停電を起こすことで、超高校級であるわたしたちの対応力を見ているというのも考えられますよ」
せつ菜「確かに。アランさんが言っていた、名前を呼んでねという発言にも意味があるかもしれませんね」 穂乃果「だよね! みんなも呼んでみようよ!」
千歌「さんせーい!」
真姫「なんでそうなるのよ……」ハァ
梨子「えぇ、大丈夫なの?」
侑「絵里さんがドアを見てくれるから、それからでもいいんじゃ」
せつ菜「アランさーん!!」
本当に呼んじゃった。またダイヤさんにどやされちゃう。
しずく「アランさーん」
千歌「あーらーんちゃーん!」
せつ菜ちゃんにつられるように、何人かが名前を呼ぶ。 歩夢「な、なんか変なことになっちゃったね」
侑「呼ぶだけならまあ、いいんじゃないかな。アランちゃーん! ……なんて」ハハ
歩夢「あ、アランちゃん! ……て、何やってるんだろう私///」
────パッ
侑、歩夢「っ!?」
ダイヤ「ほら見なさい。やっぱり動かなくて正解でしたわ!」
せつ菜「うおおおお!! どうやら私が正しかったようですね!!」
絵里「え、付いたの!?」
真姫「一々騒がないで。学園側が対応しただけでしょ」
真姫ちゃんの言うとおり、電源が復旧するのは時間の問題だったのかも。 だけど、
穂乃果「え、な、なにあれ!?」
善子「ちょっと待って……もしかしてバグったとか?」
千歌「アラン、ちゃん……?」
真っ白な背景の、スクリーンの中央にはアランちゃんが佇んでいる。しかし、何より異様だったのはその顔。
頭部のモニターは正中線を境に白と黒で分かれ、二分割された右側の黒い面には、鋭く引き裂いたかのように赤く裂けた目があった。
侑「しずくちゃんの言葉を借りるなら、これも演出ってことになるけど……」
海未「何なのですか、あれは。流石に悪趣味が過ぎます!」
善子「まるで悪魔ね」 希「体の造形と表情のミスマッチ具合もまた不気味やん」っシュ
希「……悪魔の正位置」ゾッ
しずく「なるほど。プログラムにも様々な表現方法が取り入れらているのですね。勉強になります」
ダイヤ「感心してる場合ではないでしょうに」ハァ
千歌「チカたち、何か怒られるようなことしちゃったとか……」
せつ菜「ああいう表情もあるって、 私たちに見せてくれているんじゃないですか?」
アラン?『……アーあ あ、あ、ア────新入生の皆様 改めましテ ようこソ 虹ヶ咲学園ヘ!』
侑「あれ、なんかキャラ変わってない……?」
歩夢「うーん、声質は同じだし特に変わってないんじゃない?」
歩夢「そもそも私たち、まだアランちゃんのキャラを掴めてないと思うけど」 千歌「ねえ……アランちゃんでいいんだよね?」
アラン『……うン? あア うんうン その名前で呼んでくれてオッケーだヨ 高海千歌さン』
不気味なモノクロフェイスのまま、そのAIは答える。
つぶらな左の丸い目に比べ、右の赤く裂けた目は唯々私たちの恐怖を煽った。
絵里「ねえ、随分とその、パンチの効いた面になっているのだけど……それはなに?」
アラン『なにって何サ? これがわたシの顔なんだヨ 文句があるなラ 自分の顔鏡で見てこイ!』
絵里「……は?」ポカーン
エマ「く、口が悪いよ」
梨子「これが本性……?」
ダイヤ「何であれ、開発者の性根の悪さが見て取れますわね」 真姫「で、入学式の進行は?」クルクル
アラン『はァー うるさいなァ そんなこと言われなくてモ ちゃんとやってあげるかラ 安心しなヨ』
アラン『えー てすてス では只今よリ 記念すべき入学式を執り行いたいと思いまス!』
穂乃果「あ、ちゃんと始まるみたいだね」
ことり「あの顔のままだとちょっと怖いよぉ」
アラン『ご存じの通リ 皆様ハ 希望に満ちた若き超高校級でス そんな皆様にハ これからのさらなる躍進と貢献を期待しテ』
アラン『素晴らしキ 学園生活をプレゼントしたいと思いまス!』
海未「言っていることはまともですね」
侑「う、うん……」
だからなおさら、不気味なんだ。 アラン『したがっテ 皆様にハ この“虹ヶ咲学園内だけ”で共同生活を送ってもらいまス!』
アラン『みんなデ 仲良く楽しい学園生活ヲ 送ろうネ!』
────えっ?
アラン『あ ちなみニ 期限は特に決めてないかラ 一生ここにいることになるかもネ』
アラン『まァ それもまた一興だヨ』ウケケ
侑「っ、ま、待ってよ。そんなの聞いてないよ!?」
アラン『いま言ったからネ』
海未「それは、寮生活を強要させるということですか?」
アラン『うン まあそんな感じであってるヨ わたシ 物分かりのいい子は好きだナ』 俺も1人だけ喋ってないやつおるやろ…とか思ってたらみんな喋ってたわ 絵里「ふ、ふざけるのも大概にしなさいよ!!」
ダイヤ「ええ。それに、強要ではなく強制させるといった方が正しいですわ……っ」
希「玄関が封鎖されていたのも、窓にシャッターが下りていたのも、始めからウチらをここに閉じ込めることが目的だったってことやん」
アラン『そうだネ 賢い子も好きだヨ』
一生ここで過ごす? そんなバカげた話があるの……?
エマ「ねえ、どういうことなの……? わたし、あの子のいってること、わかんないよ」フルフル
璃奈「エマさん、落ち着いて。みんなも……同じだから」
アラン『ん? あア 心配しなくてもいいヨ 食事にお風呂 ふかふかのベッドから娯楽施設まデ 必要なものは何でも揃っているからネ!』
アラン『何不自由なく暮らせるんだかラ 感謝してほしいくらいだヨ』 歩夢「でも、そんなこと国が黙っているわけないっ。きっと助けが来るはずだよ!」
穂乃果「そ、そうだよ。警察だって動くにきまってる! あ、アランちゃんなんかすぐ捕まっちゃうんだから!!」
アラン『うーン もっと考えてしゃべりなヨ ついでに言っておくト 外部との連絡手段はないからネ ここハ 外の世界とは完全に遮断されているんダ』
善子「隔離された閉鎖空間ということ……? そんなバカな」ゾク
ダイヤ「っ、そんなの、黒澤家が黙っているはずありませんわ!!」
真姫「人選を間違えたわね。超高校級の私たちを誘拐、監禁だなんて無謀にも程があるわ」
アラン『ウケケ 誰も助けには来ないヨ 国モ 家族モ 誰もネ‥‥‥』
アラン『みんナの世界ハ もうここしかないんだかラ 時には運命を素直に受け入れることモ 大切だヨ』 千歌「……うそだよ。私信じないもん!」
しずく「これ以上は演出などでは済まされませんよ。やりすぎです……!」
せつ菜「今ならまだ、壮大なサプライズドッキリということで許してあげないこともないですよ!!」ビシッ
アラン『別に疑うのは構わないヨ それっテ すごく大事なことだシ でもサ 自分たちの目で見てきたよネ それでモ まだ信じられないノ?』
梨子「困るわよ……そんなの。ここで一生なんて正気じゃない」
アラン『なんデ?』
侑「えっ?」
アラン『みんなハ 自ら望んデ ここに来たんだヨ それなのニ いやいやと我儘ばかリ』
アラン『怒りたいのハ 悲しいのハ わたシの方なのニ』 絵里「こんなことになるのが分かっていたら、来なかったわよ!」
希「ねえ、何がしたいん? ウチらをここに閉じ込めて、何をさせるつもりなん?」
侑(ただ私たちを閉じ込めて生活させるだけなんて、犯人側には何のメリットもないはず。別の目的があるんだ、きっと)
ダイヤ「わたくしたちが衰弱し、弱っていく過程を楽しみたい愉快犯の可能性もありますわ」
アラン『そんなことしないっテ ここにハ ちゃんと衣食住揃っているんだかラ 疑い深いなァ もウ!』
アラン『ここに一生監禁すル それっテ もう立派な理由にならなイ?』
ダイヤ「っ!?」
希「……」
善子「なら力づくで脱出するだけよっ」
アラン『無理だヨ この学園ハ わたシの管理下に置かれているからネ』 あるキャラの言動に違和感があるんだけど何かの伏線かもしれないから黙っておこう 侑(出られない……? 本当に、ここから一生)ブルッ
歩夢「侑ちゃん、本当に出られないのかな?」ボソ
歩夢「この学園てすごく広いんだから、探せば抜け道くらい見つかるんじゃないかな」
これだけ広大な学園だ。全ての窓や扉を封鎖するなんてこと……いや、それはいくらなんでも楽観視が過ぎるか。
歩夢の言葉に、ゆっくりと首を横に振った。
侑「多分、それは期待できないと思う。ここまで壮大な計画を実行に移す連中だよ。そんなミスを冒すなんて考えられない」ボソボソ
侑「でも、後で確認する価値はあるよ」
アラン『あ でもネ たったひとつだケ ここから生きて帰れる方法があるヨ』
私の言葉に後に、アランちゃんはそんなことを言い出した。 穂乃果「ほんと!?」
千歌「な、なぁんだ。ちゃんとあるんじゃんっ」
善子「なによ、あるならもったいぶらずに早く言いなさい!」
エマ「よかったぁ、ちゃんとお家に帰してくれるんだね」
絵里「安心するのはまだ早いわ。どんな滅茶苦茶な内容が飛び出してくるのか分からないもの」
アラン『もー そんな警戒しないデ 簡単だヨ とっても単純デ 刺激的なメソッドだからサ』
侑「それは、なに……?」ゴク 侑「っさ!?」
アラン『人が人を殺すことだけド?』ウケケ
それが、さも当たり前のことだとでも言うように。
目の前の悪魔は、醜悪にその表情を歪めた。
アラン『やり方は自由だヨ オマエラの好きな方法デ 好きにヤっちゃってネ!』
アラン『誰かを殺した者だけガ ここから胸を張って出られル それがルールだヨ』
アラン『簡単で分かり易イ 自然の摂理に則っタ 実に合理的なルールだよネ!』
侑「……っ」
その可愛らしい少女の電子音声から放たれた、あまりに荒唐無稽で不釣り合いなセリフ。
ズンっと、何か得体のしれない物が重くのしかかる。そんな気がした。
強烈な吐き気。喉の奥から迫り上がってくるのは、恐怖と不安の入り混じったナニカ。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています