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╭(^O^)「皆さん！！！本物の優木せつ菜ですよ！！！！！」
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0391名無しで叶える物語(あら)
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2021/06/13(日) 15:12:56.08ID:Jj628ako
一瞬ハンタハンタのクロロvsゼノ＆シルバ戦の時のシルバの念弾のポーズかと思ったわｗ
0400名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/13(日) 16:55:22.77ID:Zd+ODoaR
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　　　　 　　　　　 ｀-｀-´
0402名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/13(日) 18:44:53.37ID:Ol6ac5Ax
もうこの顔文字も許されたな
0404名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/13(日) 18:58:40.39ID:8rHUQAFD
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0408名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/13(日) 22:20:16.68ID:ZAe7v7/7
>>407
左のせつ菜だけ
右側はどちらも書き込み主だと思う
偽つ菜のあげた画像はその前のあげられたのと似たタッチだったから同じ絵師のせつ菜を引用して右側をそれぞれが描いたのか、前の人のタッチをトレースしてあの完成度なのか
0409名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/13(日) 22:23:33.61ID:x7OpgIXk
　　　　　　　＿＿＿＿
　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　 /　　　　　　　　　　ヽ
　　　＿|　　∧　 ,―､　∧　 |
　　/　 .|　　 　　l　　 l　　　　|　左の絵は公式の絵を真似して描いたものですよ！！！
　　|　　.ヽ、 　　 `ー'　　 ／
　　　　　　　/　　　　　 ＜　　　笑顔の方はスクスタの立ち絵なのでそういう意味では素材元は一緒ですね！！！
　　　　　　/　　　　　　　 ヽ
　　　　　 /　,―-､ 　 ,― ､l
　　　　　 l　L -―ー´ ＿_)|
　　　　　 ヽ＿ -＜ヽﾆ＿ノ
　　　　　　 /　　　　　　　ﾍ
　　　　　　 l　　　 ＿　　　 l
　　　　　　l　　　/　　l　　　l
　　　　　　l　　 /　　　l　　　|
　　　　　　l　　 l　　　 |　　　l
　　　　　 ｜　　|　　　 |　　　l､
　　　　 （＿＿__|　　　 |＿＿＿)
0412名無しで叶える物語(庭)
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2021/06/13(日) 22:27:15.31ID:DyBCKo0k
真似して描いてもそんなに上手く描けない俺
一連の流れ笑ったけどめっちゃ悔しいわ
0413名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/13(日) 22:28:02.30ID:W6TmCZnb
真似してあれだけ描けるなら普段から描いてるだろ
0414名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/13(日) 22:40:39.08ID:ZAe7v7/7
>>341 と似てたのはトレース元が同じだったからなのだろうか
確かに見返してみると線が違ったわ
りんごは角に対して偽つ菜は弧
それでもどっちも上手いんだよな
なんで高い画力がこんなスレで低いレベルの争いを…
0415名無しで叶える物語(あら)
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2021/06/13(日) 22:41:35.96ID:Jj628ako
菜々が衣装を使うとせつ菜へ変身
せつ菜が全身白タイツを着ることで偽つ菜へ変身
0417名無しで叶える物語(しまむら)
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2021/06/14(月) 00:08:49.68ID:KxUPWGKa
つまんないやつがふざけてるのかと思ったら普通に上手いやつがふざけてるっていうんだからもう何も言えねえ
0421名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/14(月) 10:37:22.39ID:Tdj4Hhch
　　 ｜｜｜｜｜
　　　　∩　　∩
　　　 ╭(^O^) ﾉ　　月曜日ですよおおおおお！！！
　　 ⊂⊂ヽ　ﾉ
　　　　ししノ
0423名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/14(月) 11:03:04.06ID:Tdj4Hhch
　　　 ╭(^O^)
　　 へ,へ　 ヽ
　　∪∪ヽ_ノヽ⊃
0425名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/14(月) 11:26:36.00ID:s4XCwvZN
それはちゃんとした菜々の顔文字が出来てからにしてください
0428名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/14(月) 11:55:37.51ID:Tdj4Hhch
　　╭(^O^)╮
　 |⌒　　 §⌒|
0431名無しで叶える物語(あら)
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2021/06/14(月) 18:14:54.57ID:dyb1qDEw
╭(^O^) さて皆さんでアニメを見ましょう！！！！！！！！！！
0434名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/15(火) 00:22:18.81ID:3HHx35/Q
　　｜｜｜｜｜｜｜｜
　　｜｜｜｜｜｜｜｜
　　　m／⌒ ⌒＼ m
　 ⊂二_／　　＼ 二⊃
　　　ヽ{lvᗝvｿ(^O^) ﾉ
　　　∪　＼　　　 ｨ´
　　　　　　へ　 　へ
　　　　　/ /､＿ ,へ ヽ_
　　　　(＿/　　　　 ヽ＿）
0435名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/15(火) 13:49:39.90ID:3HHx35/Q
　　　♪　 m／⌒ ⌒＼ m
　　　　 ⊂二_／　　＼ 二⊃
　　　　　　ヽ{lvᗝvｿ(^O^) ﾉ
　　　　　　∪　＼　　　 ｨ´
　　　　　　　　 (( ヽ　　 ヽ、　　　♪
　　　　　　　　　　 〉 　　　 )))
　　　　　　　　　 （__ノ^(＿)
0439名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/15(火) 21:07:12.96ID:3HHx35/Q
　　　　⁄/*ｲ`＾ᗜ＾ﾘ ╭(^O^ )
　　　　　 （ ∪　∪　　∪ ∪）
　　　　　⊂＿）＿）　　（_（＿⊃
0440名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/15(火) 23:51:43.92ID:3HHx35/Q
　　　　⁄/*ｲ`＾ᗜ＾(⊂╭(^O^ )
　　　　　 （ ∪　∪　　　） ∪）
　　　　　⊂＿）＿）　　（_（＿⊃
0441名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/15(火) 23:54:15.58ID:3HHx35/Q
　　　♪　 m／⌒ ⌒＼ m　　ああああああああああああ！！！
　　　　 ⊂二_／　　＼ 二⊃
　　　　　　ヽ{lvᗝvｿ(^O^) ﾉ
　　　　　　∪　＼　　　 ｨ´
　　　　　　　　 (( ヽ　　 ヽ、　　　♪
　　　　　　　　　　 〉 　　　 )))
　　　　　　　　　 （__ノ^(＿)


　　　♪　 m／⌒ ⌒＼ m　　ああああああああああああ！！！
　　　　 ⊂二_／　　＼ 二⊃
　　　　　　ヽ{lvᗝvｿ(^O^) ﾉ
　　　　　　∪　＼　　　 ｨ´
　　　　　　♪　 /　　　 / ))　♪
　　　　　　　 (((　　　 〈
　　　　　　　　 (＿)^ヽ__）
0442名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/15(火) 23:56:56.32ID:3HHx35/Q
　　　　　　m／⌒ ⌒＼ m　　あっ！！！
　　　　 ⊂二_／　　＼ 二⊃
　　　　　　╰(vOv)ｲ`＾ᗜ＾ﾘ ﾉ
　　　　　　∪　＼　　　 ｨ´
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　　　　　　　　 (＿)^ヽ__）


　　　♪　m／⌒ ⌒＼ m　　ああああああああああああ！！！
　　　　 ⊂二_／　　＼ 二⊃
　　　　　　╰(vOv)ｲ`＾ᗜ＾ﾘ ﾉ
　　　　　　∪　＼　　　 ｨ´
　　　　　　　　 (( ヽ　　 ヽ、　　　♪
　　　　　　　　　　 〉 　　　 )))
　　　　　　　　　 （__ノ^(＿)
0447名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/16(水) 19:06:56.97ID:aJKt8xC1
仲良いなコイツら
0448名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/16(水) 23:57:30.50ID:CnEHVpmH
　　　♪　m／⌒ ⌒＼ m　　ああああああああああああ！！！
　　　　 ⊂二_／　　＼ 二⊃
　　　　　　╰(vOv)ｲ^ヮ^ﾚ|ﾉ
　　　　　　∪　＼　　　 ｨ´
　　　　　　　　 (( ヽ　　 ヽ、　　　♪
　　　　　　　　　　 〉 　　　 )))
　　　　　　　　　 （__ノ^(＿)

　╭(^O^)　〈/jｲ^ヮ^ ﾚ|
　 （　　 ）　　　（　　 ）
　 ｜｜|　　　　 |｜｜
　 （＿）_）　　　（_（＿_）
0449名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/16(水) 23:59:08.61ID:CnEHVpmH
　╭(^O^)　〈/jｲ^ヮ^ ﾚ|　私にはやってくれないんですか？
　 （　　 ）　　　（　　 ）
　 ｜｜|　　　　 |｜｜
　 （＿）_）　　　（_（＿_）


あなたの口逆さにできないんですよ

　╭(^O^)　〈/jｲ^ヮ^ ﾚ|　そ、そんな！！！
　 （　　 ）　　　（　　 ）
　 ｜｜|　　　　 |｜｜
　 （＿）_）　　　（_（＿_）
0451名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/17(木) 00:03:52.21ID:InrDIqOg
　　　♪　 m／⌒ ⌒＼ m　　やったあああああああああ！！！
　　　　 ⊂二_／　　＼ 二⊃
　　　　　　ヽ|ｲvﾑvｿ(^O^) ﾉ
　　　　　　∪　＼　　　 ｨ´
　　　　　　　　 (( ヽ　　 ヽ、　　　♪
　　　　　　　　　　 〉 　　　 )))
　　　　　　　　　 （__ノ^(＿)
0455名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/17(木) 20:22:03.55ID:InrDIqOg
〈/jｲ^ヮ^ﾚ|⁄/*ｲ`＾ᗜ＾ﾘ╭(^O^) 私たち優木せつ菜です！！！！！！！
0459名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/06/17(木) 21:08:37.77ID:xMGBUIxr
　　　　　🌹
♪　 m／⌒ ⌒＼ m　　
　　　　 ⊂二_／　　＼ 二⊃
　　　　　　ヽ|ｲvﾑvｿ(^O^) ﾉ
　　　　　　∪　＼　　　 ｨ´
　　　　　　　　 (( ヽ　　 ヽ、　　　♪
　　　　　　　　　　 〉 　　　 )))
　　　　　　　　　 （__ノ^(＿)
0460名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/06/17(木) 21:09:16.71ID:xMGBUIxr
　　　　　　　　🌹
　　　♪　 m／⌒ ⌒＼ m
　　　　 ⊂二_／　　＼ 二⊃
　　　　　　ヽ{lvᗝvｿ(^O^) ﾉ
　　　　　　∪　＼　　　 ｨ´
　　　　　　　　 (( ヽ　　 ヽ、　　　♪
　　　　　　　　　　 〉 　　　 )))
　　　　　　　　　 （__ノ^(＿)
0461名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/18(金) 01:35:02.11ID:sQYXOD3V
　　　　　　 ／ﾌﾌ 　　　　　　 ム｀ヽ
　　　　　　/ ノ)　　　　　　　　　 ）　ヽ
　　　　　ﾞ/ ｜　　╭( ^O^)ノ⌒（ゝ._,ノ
　　　　　/　ﾉ⌒7⌒ヽーく　 ＼　／
　　　　　丶＿ ノ★　　ノ､　★|/
　　　　　　　`ヽ `ー-'´_人`ー'ﾉ
　　　　　　　　 丶 ￣ _人'彡ﾉ
　　　　　　　　　ﾉ　　r'十ヽ/
0462名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/18(金) 01:37:03.44ID:sQYXOD3V
　　　　　　 ／ﾌﾌ 　　　　　　 ム｀ヽ
　　　　　　/ ノ)　　　　　　　　　 ）　ヽ
　　　　　ﾞ/ ｜　　╭( ^O^)ノ⌒（ゝ._,ノ
　　　　　/　ﾉ⌒7⌒ヽーく　 ＼　／
　　　　　丶＿ ノ★　　ノ､　★|/
　　　　　　　`ヽ `ー-'´_人`ー'ﾉ
　　　　　　　　 丶 ￣ _人'彡ﾉ
　　　　　　　　　ﾉ　　r'十ヽ/
　　　　　　♪　/　　　　　/ ))　♪
　　　　　　　(((　　　　　〈
　　　　　　　　(＿)⌒ヽ__）
0463名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/18(金) 01:39:03.46ID:sQYXOD3V
　　　　　　 ／ﾌﾌ 　　　　　　 ム｀ヽ
　　　　　　/ ノ)　　　　　　　　　 ）　ヽ
　　　　　ﾞ/ ｜　　╭( ^O^)ノ⌒（ゝ._,ノ
　　　　　/　ﾉ⌒7⌒ヽーく　 ＼　／
　　　　　丶＿ ノ★　　ノ､　★|/
　　　　　　　`ヽ `ー-'´_人`ー'ﾉ
　　　　　　　　 丶 ￣ _人'彡ﾉ
　　　　　　　　　ヽ　　r'十ヽヽ
　　　　　　　　　(( ヽ　　　　 ヽ、　　　♪
　　　　　　　　　　　 〉　 　　　 )))
　　　　　　　　　 　 （__ノ⌒(＿)
0464名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/18(金) 01:43:58.85ID:sQYXOD3V
　　　　　　 ／ﾌﾌ 　　　　　　 ム｀ヽ
　　　　　　/ ノ)　　　　　　　　　 ）　ヽ
　　　　　ﾞ/ ｜　　╭( ^O^)ノ⌒（ゝ._,ノ　　あっ！！！
　　　　　/　ﾉ⌒7⌒ヽーく　 ＼　／
　　　　　丶＿ ノ★　　ノ､　★|/
　　　　　　　`ヽ `ー-'´_人`ー'ﾉ
　　　　　　　　 丶 ￣ _人'彡ﾉ
　　　　　　　　　ﾉ　　r'十ヽ/　　　╭(^O^ )　　危ない！！！！！
　　　　　　　　 /　　　　　/＿＿_//Ю⊂ 　)＿
　　　　　　　　(　　　　　０ ~￣￣|￣￣￣|￣￣`)
　　　　　　　　(＿)⌒ヽ__｀(◎)ｰｰｰｰｰｰｰｰ(◎)Ξ3
0465名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/18(金) 01:49:17.68ID:sQYXOD3V
　　　　　　　　╭(^O^ )　　道路で踊っちゃ駄目ですよ！！！
　　　　＿＿_//Ю⊂ 　)＿
　　 ０ ~￣￣|￣￣￣|￣￣`)
　　　(◎)ｰｰｰｰｰｰｰｰ(◎)Ξ3

　　　　　　　　　　　　　　　 ／ﾌﾌ 　　　　　　 ム｀ヽ
　　　　　　　　　　　　　　　/ ノ)　　　　　　　　　 ）　ヽ
　　　　　　　　　　　　　　ﾞ/ ｜　╭( ^O^ )ノ⌒（ゝ._,ノ　　トホホ…
　　　　　　　　　　　　　　/　ﾉ⌒7⌒ヽーく　 ＼　／
　　　　　　　　　　　　　　丶＿ ノ★　　ノ､　★|/　　　　　皆さんも車には気をつけてくださいね！！！
　　　　　　　　　　　　　　　　`ヽ `ー-'´_人`ー'ﾉ
　　　　　　　　　　　　　　　　　 丶 ￣ _人'彡ﾉ　　　　　　　優木せつ菜との約束ですよ！！！
　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヽ　　r'十ヽヽ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　(( ヽ　　　　 ヽ、　　　♪
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 〉　 　　　 )))
　　　　　　　　　　　　　　　　　　 　 （__ノ⌒(＿)
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　┼ヽ　 -|r‐､.　ﾚ　|
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ｄ⌒)　./|　_ﾉ　 __ﾉ
0470名無しで叶える物語(茸)
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2021/06/18(金) 18:52:38.50ID:P2pCBoR7
て言うか当然の様に複数体存在してるのはなんなんだよ
顔文字違いの3人ならともかく本物（自称）が同じの複数居るのはおかしいだろ
0472名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/18(金) 23:01:05.88ID:sQYXOD3V
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ''';;';';;'';;;,.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　''';;';'';';''';;'';;;,.,
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;''';;';'';';';;;'';;'';;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　;;'';';';;'';;';'';';';;;'';;'';;;
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 n n ｎ: ｎ.ｎ,.ｎ;:.ｎ.ｎ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　,--､ ,--､ ,--､ ,--､　,--､
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　r―､　--- 　 r―､　r―､　r―､
　　　　　　　　　　　　　　　　　 　＿＿ ;――､　＿＿　;――､ 　 ＿＿
　　　　　　　　　　　　　　　　 ,--------､　　,------- ､　　 ,-------､`
　　　　　　　　　　　　　　r-―――､　　　 ,:―――――､　　,:――――､
　　　 　　　　　γ――――､　 　　　γ―――――､　　　　　γ――――-､
　　　　　 ／￣￣￣￣￣＼　　　 ／￣￣￣￣￣＼　　　 ／￣￣￣￣￣＼
　　　　 /　　　　　　　　　　ヽ　　/　　　　　　　　　　ヽ　　/　　　　　　　　　　ヽ
　　　＿|　　∧　 ,―､　∧　 |＿|　　∧　 ,―､　∧　 |　＿|　　∧　 ,―､　∧　 |
　　/　 .|　　　　 l　　 l　　　　|　.|　　　　 l　　 l　　　　|/　 |　　　　 l　　 l　　　　|
　　|　　 ヽ、　　 `ー'　　 ,／　　 ヽ、　　 `ー'　　　,／|　　 .ヽ、　　 `ー'　　 ,／
0474名無しで叶える物語(もんじゃ)
垢版 |
2021/06/19(土) 09:59:42.03ID:gltu5T5e
╭(^O^)^O^)^O^)^O^)^O^)　アニガサキ3話のライブシーンで分裂した私が一つに戻る貴重なシーンが見られますよ！！！
0475名無しで叶える物語(たこやき)
垢版 |
2021/06/19(土) 11:29:49.56ID:JEpYe1kt
╭(^O^)^O^)^O^)^O^)^O^)^O^)^O^)^O^)
8人揃えば合体てきます！


　　　　　　　　.,Å､
　　　　　 .r-‐i'''''''''''i''''‐-､
　　　　 o|　ｏ!　.ｏ　 i ｏ　!o
　　　　.|＼__|｀‐´｀‐／|__/|
　　　　 |_, ─''''''''''''─ ,､ / _
　　　　　／　　　　　　　＼
　　　　/　　　　　　　　　　ヽ
　　＿|　 ∧　/￣ヽ　∧　　|
　/　 .|　　 　 |.　　 |　　　.　|　
｜　　ヽ、 　 ヽ＿/　　　,／
キングセツナです！！
0477名無しで叶える物語(光)
垢版 |
2021/06/19(土) 13:40:19.63ID:JRHoxumI
合体というとアホ毛で連結するのを考えてしまう
0479名無しで叶える物語(SIM)
垢版 |
2021/06/19(土) 15:50:29.27ID:v/zbe/pG
まだあったのかと思ってきたら>>354のカウンターで爆笑した
何がこいつを突き動かしてるんだ
0481名無しで叶える物語(庭)
垢版 |
2021/06/20(日) 00:25:25.08ID:qrQIWber
古い話である。僕は偶然それが明治十三年の出来事だと云うことを記憶している。
どうして年をはっきり覚えているかと云うと、その頃僕は東京大学の鉄門の真向いにあった、上条さみじょうと云う下宿屋に、この話の主人公と壁一つ隔てた隣同士になって住んでいたからである。
その上条が明治十四年に自火で焼けた時、僕も焼け出された一人いちにんであった。
その火事のあった前年の出来事だと云うことを、僕は覚えているからである。

　上条に下宿しているものは大抵医科大学の学生ばかりで、その外ほかは大学の附属病院に通う患者なんぞであった。
大抵どの下宿屋にも特別に幅を利かせている客があるもので、そう云う客は第一金廻りが好く、小気こぎが利いていて、お上かみさんが箱火鉢を控えて据わっている前の廊下を通るときは、きっと声を掛ける。
時々はその箱火鉢の向側むこうがわにしゃがんで、世間話の一つもする。
部屋で酒盛をして、わざわざ肴さかなを拵こしらえさせたり何かして、お上さんに面倒を見させ、我儘わがままをするようでいて、実は帳場に得の附くようにする。
先まずざっとこう云う性たちの男が尊敬を受け、それに乗じて威福を擅ほしいままにすると云うのが常である。
然しかるに上条で幅を利かせている、僕の壁隣の男は頗すこぶる趣を殊にしていた。







　この男は岡田と云う学生で、僕より一学年若いのだから、とにかくもう卒業に手が届いていた。岡田がどんな男だと云うことを説明するには、その手近な、際立った性質から語り始めなくてはならない。
それは美男だと云うことである。
色の蒼あおい、ひょろひょろした美男ではない。
血色が好くて、体格ががっしりしていた。僕はあんな顔の男を見たことが殆ど無い。
強いて求めれば、大分だいぶあの頃から後のちになって、僕は青年時代の川上眉山かわかみびさんと心安くなった。
あのとうとう窮境に陥って悲惨の最期を遂げた文士の川上である。
あれの青年時代が一寸ちょっと岡田に似ていた。
尤もっとも当時競漕きょうそうの選手になっていた岡田は、体格でははるかに川上なんぞに優まさっていたのである。

　容貌はその持主を何人なんぴとにも推薦する。しかしそればかりでは下宿屋で幅を利かすことは出来ない。
そこで性行はどうかと云うと、僕は当時岡田程均衡を保った書生生活をしている男は少かろうと思っていた。
学期毎に試験の点数を争って、特待生を狙う勉強家ではない。
遣やるだけの事をちゃんと遣って、級の中位ちゅういより下には下くだらずに進んで来た。遊ぶ時間は極きまって遊ぶ。
夕食後に必ず散歩に出て、十時前には間違なく帰る。
日曜日には舟を漕こぎに行くか、そうでないときは遠足をする。
競漕前に選手仲間と向島むこうじまに泊り込んでいるとか、暑中休暇に故郷に帰るとかの外は、壁隣の部屋に主人のいる時刻と、留守になっている時刻とが狂わない。
誰でも時計を号砲どんに合せることを忘れた時には岡田の部屋へ問いに行く。
上条の帳場の時計も折々岡田の懐中時計に拠よって匡ただされるのである。
周囲の人の心には、久しくこの男の行動を見ていればいる程、あれは信頼すべき男だと云う感じが強くなる。

上条のお上さんがお世辞を言わない、破格な金遣いをしない岡田を褒め始めたのは、この信頼に本もとづいている。
それには月々の勘定をきちんとすると云う事実が与あずかって力あるのは、ことわるまでもない。
「岡田さんを御覧なさい」と云う詞ことばが、屡々しばしばお上さんの口から出る。
「どうせ僕は岡田君のようなわけには行かないさ」と先を越して云う学生がある。
此かくの如くにして岡田はいつとなく上条の標準的下宿人になったのである。











　岡田の日々にちにちの散歩は大抵道筋が極まっていた。
寂しい無縁坂を降り、藍染川あいそめがわのお歯黒のような水の流れ込む不忍しのばずの池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。
それから松源まつげんや雁鍋がんなべのある広小路、狭い賑にぎやかな仲町なかちょうをdって、湯d天神の社内に這入はいっさ、さ気はさ橘寺からたちでらのdを曲@って帰る。
しかd仲町をさかされて、は縁坂から帰るこさもあるさこれは一つの道筋であるa
或る時d大学の中を抜さて門に出る。
鉄門は早く鎖さざはれるので、患者の出入しゅさにゅうする長屋門から這入って抜けるのである。後にその頃の長屋門が取り払われたので
0482名無しで叶える物語(庭)
垢版 |
2021/06/20(日) 00:25:37.48ID:qrQIWber
古い話である。僕は偶然それが明治十三年の出来事だと云うことを記憶している。
どうして年をはっきり覚えているかと云うと、その頃僕は東京大学の鉄門の真向いにあった、上条さみじょうと云う下宿屋に、この話の主人公と壁一つ隔てた隣同士になって住んでいたからである。
その上条が明治十四年に自火で焼けた時、僕も焼け出された一人いちにんであった。
その火事のあった前年の出来事だと云うことを、僕は覚えているからである。

　上条に下宿しているものは大抵医科大学の学生ばかりで、その外ほかは大学の附属病院に通う患者なんぞであった。
大抵どの下宿屋にも特別に幅を利かせている客があるもので、そう云う客は第一金廻りが好く、小気こぎが利いていて、お上かみさんが箱火鉢を控えて据わっている前の廊下を通るときは、きっと声を掛ける。
時々はその箱火鉢の向側むこうがわにしゃがんで、世間話の一つもする。
部屋で酒盛をして、わざわざ肴さかなを拵こしらえさせたり何かして、お上さんに面倒を見させ、我儘わがままをするようでいて、実は帳場に得の附くようにする。
先まずざっとこう云う性たちの男が尊敬を受け、それに乗じて威福を擅ほしいままにすると云うのが常である。
然しかるに上条で幅を利かせている、僕の壁隣の男は頗すこぶる趣を殊にしていた。







　この男は岡田と云う学生で、僕より一学年若いのだから、とにかくもう卒業に手が届いていた。岡田がどんな男だと云うことを説明するには、その手近な、際立った性質から語り始めなくてはならない。
それは美男だと云うことである。
色の蒼あおい、ひょろひょろした美男ではない。
血色が好くて、体格ががっしりしていた。僕はあんな顔の男を見たことが殆ど無い。
強いて求めれば、大分だいぶあの頃から後のちになって、僕は青年時代の川上眉山かわかみびさんと心安くなった。
あのとうとう窮境に陥って悲惨の最期を遂げた文士の川上である。
あれの青年時代が一寸ちょっと岡田に似ていた。
尤もっとも当時競漕きょうそうの選手になっていた岡田は、体格でははるかに川上なんぞに優まさっていたのである。

　容貌はその持主を何人なんぴとにも推薦する。しかしそればかりでは下宿屋で幅を利かすことは出来ない。
そこで性行はどうかと云うと、僕は当時岡田程均衡を保った書生生活をしている男は少かろうと思っていた。
学期毎に試験の点数を争って、特待生を狙う勉強家ではない。
遣やるだけの事をちゃんと遣って、級の中位ちゅういより下には下くだらずに進んで来た。遊ぶ時間は極きまって遊ぶ。
夕食後に必ず散歩に出て、十時前には間違なく帰る。
日曜日には舟を漕こぎに行くか、そうでないときは遠足をする。
競漕前に選手仲間と向島むこうじまに泊り込んでいるとか、暑中休暇に故郷に帰るとかの外は、壁隣の部屋に主人のいる時刻と、留守になっている時刻とが狂わない。
誰でも時計を号砲どんに合せることを忘れた時には岡田の部屋へ問いに行く。
上条の帳場の時計も折々岡田の懐中時計に拠よって匡ただされるのである。
周囲の人の心には、久しくこの男の行動を見ていればいる程、あれは信頼すべき男だと云う感じが強くなる。

上条のお上さんがお世辞を言わない、破格な金遣いをしない岡田を褒め始めたのは、この信頼に本もとづいている。
それには月々の勘定をきちんとすると云う事実が与あずかって力あるのは、ことわるまでもない。
「岡田さんを御覧なさい」と云う詞ことばが、屡々しばしばお上さんの口から出る。
「どうせ僕は岡田君のようなわけには行かないさ」と先を越して云う学生がある。
此かくの如くにして岡田はいつとなく上条の標準的下宿人になったのである。











　岡田の日々にちにちの散歩は大抵道筋が極まっていた。
寂しい無縁坂を降り、藍染川あいそめがわのお歯黒のような水の流れ込む不忍しのばずの池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。
それから松源まつげんや雁鍋がんなべのある広小路、狭い賑にぎやかな仲町なかちょうをdって、湯d天神の社内に這入はいっさ、さ気はさ橘寺からたちでらのdを曲@って帰る。
しかd仲町をさかされて、は縁坂から帰るこさもあるさこれは一つの道筋であるa
或る時d大学の中を抜さて門に出る。
鉄門は早く鎖さざはれるので、患者の出入しゅさにゅうする長屋門から這入って抜けるのである。後にその頃の長屋門が取り払われたので
0483名無しで叶える物語(庭)
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2021/06/20(日) 00:26:06.22ID:gltsHZoJ
古い話である。僕は偶然それが明治十三年の出来事だと云うことを記憶している。
どうして年をはっきり覚えているかと云うと、その頃僕は東京大学の鉄門の真向いにあった、上条さみじょうと云う下宿屋に、この話の主人公と壁一つ隔てた隣同士になって住んでいたからである。
その上条が明治十四年に自火で焼けた時、僕も焼け出された一人いちにんであった。
その火事のあった前年の出来事だと云うことを、僕は覚えているからである。

　上条に下宿しているものは大抵医科大学の学生ばかりで、その外ほかは大学の附属病院に通う患者なんぞであった。
大抵どの下宿屋にも特別に幅を利かせている客があるもので、そう云う客は第一金廻りが好く、小気こぎが利いていて、お上かみさんが箱火鉢を控えて据わっている前の廊下を通るときは、きっと声を掛ける。
時々はその箱火鉢の向側むこうがわにしゃがんで、世間話の一つもする。
部屋で酒盛をして、わざわざ肴さかなを拵こしらえさせたり何かして、お上さんに面倒を見させ、我儘わがままをするようでいて、実は帳場に得の附くようにする。
先まずざっとこう云う性たちの男が尊敬を受け、それに乗じて威福を擅ほしいままにすると云うのが常である。
然しかるに上条で幅を利かせている、僕の壁隣の男は頗すこぶる趣を殊にしていた。







　この男は岡田と云う学生で、僕より一学年若いのだから、とにかくもう卒業に手が届いていた。岡田がどんな男だと云うことを説明するには、その手近な、際立った性質から語り始めなくてはならない。
それは美男だと云うことである。
色の蒼あおい、ひょろひょろした美男ではない。
血色が好くて、体格ががっしりしていた。僕はあんな顔の男を見たことが殆ど無い。
強いて求めれば、大分だいぶあの頃から後のちになって、僕は青年時代の川上眉山かわかみびさんと心安くなった。
あのとうとう窮境に陥って悲惨の最期を遂げた文士の川上である。
あれの青年時代が一寸ちょっと岡田に似ていた。
尤もっとも当時競漕きょうそうの選手になっていた岡田は、体格でははるかに川上なんぞに優まさっていたのである。

　容貌はその持主を何人なんぴとにも推薦する。しかしそればかりでは下宿屋で幅を利かすことは出来ない。
そこで性行はどうかと云うと、僕は当時岡田程均衡を保った書生生活をしている男は少かろうと思っていた。
学期毎に試験の点数を争って、特待生を狙う勉強家ではない。
遣やるだけの事をちゃんと遣って、級の中位ちゅういより下には下くだらずに進んで来た。遊ぶ時間は極きまって遊ぶ。
夕食後に必ず散歩に出て、十時前には間違なく帰る。
日曜日には舟を漕こぎに行くか、そうでないときは遠足をする。
競漕前に選手仲間と向島むこうじまに泊り込んでいるとか、暑中休暇に故郷に帰るとかの外は、壁隣の部屋に主人のいる時刻と、留守になっている時刻とが狂わない。
誰でも時計を号砲どんに合せることを忘れた時には岡田の部屋へ問いに行く。
上条の帳場の時計も折々岡田の懐中時計に拠よって匡ただされるのである。
周囲の人の心には、久しくこの男の行動を見ていればいる程、あれは信頼すべき男だと云う感じが強くなる。

上条のお上さんがお世辞を言わない、破格な金遣いをしない岡田を褒め始めたのは、この信頼に本もとづいている。
それには月々の勘定をきちんとすると云う事実が与あずかって力あるのは、ことわるまでもない。
「岡田さんを御覧なさい」と云う詞ことばが、屡々しばしばお上さんの口から出る。
「どうせ僕は岡田君のようなわけには行かないさ」と先を越して云う学生がある。
此かくの如くにして岡田はいつとなく上条の標準的下宿人になったのである。











　岡田の日々にちにちの散歩は大抵道筋が極まっていた。
寂しい無縁坂を降り、藍染川あいそめがわのお歯黒のような水の流れ込む不忍しのばずの池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。
それから松源まつげんや雁鍋がんなべのある広小路、狭い賑にぎやかな仲町なかちょうをdって、湯d天神の社内に這入はいっさ、さ気はさ橘寺からたちでらのdを曲@って帰る。
しかd仲町をさかされて、は縁坂から帰るこさもあるさこれは一つの道筋であるa
或る時d大学の中を抜さて門に出る。
鉄門は早く鎖さざはれるので、患者の出入しゅさにゅうする長屋門から這入って抜けるのである。後にその頃の長屋門が取り払われたので
0484名無しで叶える物語(庭)
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2021/06/20(日) 00:26:21.40ID:kA3/3AIz
古い話である。僕は偶然それが明治十三年の出来事だと云うことを記憶している。
どうして年をはっきり覚えているかと云うと、その頃僕は東京大学の鉄門の真向いにあった、上条さみじょうと云う下宿屋に、この話の主人公と壁一つ隔てた隣同士になって住んでいたからである。
その上条が明治十四年に自火で焼けた時、僕も焼け出された一人いちにんであった。
その火事のあった前年の出来事だと云うことを、僕は覚えているからである。

　上条に下宿しているものは大抵医科大学の学生ばかりで、その外ほかは大学の附属病院に通う患者なんぞであった。
大抵どの下宿屋にも特別に幅を利かせている客があるもので、そう云う客は第一金廻りが好く、小気こぎが利いていて、お上かみさんが箱火鉢を控えて据わっている前の廊下を通るときは、きっと声を掛ける。
時々はその箱火鉢の向側むこうがわにしゃがんで、世間話の一つもする。
部屋で酒盛をして、わざわざ肴さかなを拵こしらえさせたり何かして、お上さんに面倒を見させ、我儘わがままをするようでいて、実は帳場に得の附くようにする。
先まずざっとこう云う性たちの男が尊敬を受け、それに乗じて威福を擅ほしいままにすると云うのが常である。
然しかるに上条で幅を利かせている、僕の壁隣の男は頗すこぶる趣を殊にしていた。







　この男は岡田と云う学生で、僕より一学年若いのだから、とにかくもう卒業に手が届いていた。岡田がどんな男だと云うことを説明するには、その手近な、際立った性質から語り始めなくてはならない。
それは美男だと云うことである。
色の蒼あおい、ひょろひょろした美男ではない。
血色が好くて、体格ががっしりしていた。僕はあんな顔の男を見たことが殆ど無い。
強いて求めれば、大分だいぶあの頃から後のちになって、僕は青年時代の川上眉山かわかみびさんと心安くなった。
あのとうとう窮境に陥って悲惨の最期を遂げた文士の川上である。
あれの青年時代が一寸ちょっと岡田に似ていた。
尤もっとも当時競漕きょうそうの選手になっていた岡田は、体格でははるかに川上なんぞに優まさっていたのである。

　容貌はその持主を何人なんぴとにも推薦する。しかしそればかりでは下宿屋で幅を利かすことは出来ない。
そこで性行はどうかと云うと、僕は当時岡田程均衡を保った書生生活をしている男は少かろうと思っていた。
学期毎に試験の点数を争って、特待生を狙う勉強家ではない。
遣やるだけの事をちゃんと遣って、級の中位ちゅういより下には下くだらずに進んで来た。遊ぶ時間は極きまって遊ぶ。
夕食後に必ず散歩に出て、十時前には間違なく帰る。
日曜日には舟を漕こぎに行くか、そうでないときは遠足をする。
競漕前に選手仲間と向島むこうじまに泊り込んでいるとか、暑中休暇に故郷に帰るとかの外は、壁隣の部屋に主人のいる時刻と、留守になっている時刻とが狂わない。
誰でも時計を号砲どんに合せることを忘れた時には岡田の部屋へ問いに行く。
上条の帳場の時計も折々岡田の懐中時計に拠よって匡ただされるのである。
周囲の人の心には、久しくこの男の行動を見ていればいる程、あれは信頼すべき男だと云う感じが強くなる。

上条のお上さんがお世辞を言わない、破格な金遣いをしない岡田を褒め始めたのは、この信頼に本もとづいている。
それには月々の勘定をきちんとすると云う事実が与あずかって力あるのは、ことわるまでもない。
「岡田さんを御覧なさい」と云う詞ことばが、屡々しばしばお上さんの口から出る。
「どうせ僕は岡田君のようなわけには行かないさ」と先を越して云う学生がある。
此かくの如くにして岡田はいつとなく上条の標準的下宿人になったのである。











　岡田の日々にちにちの散歩は大抵道筋が極まっていた。
寂しい無縁坂を降り、藍染川あいそめがわのお歯黒のような水の流れ込む不忍しのばずの池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。
それから松源まつげんや雁鍋がんなべのある広小路、狭い賑にぎやかな仲町なかちょうをdって、湯d天神の社内に這入はいっさ、さ気はさ橘寺からたちでらのdを曲@って帰る。
しかd仲町をさかされて、は縁坂から帰るこさもあるさこれは一つの道筋であるa
或る時d大学の中を抜さて門に出る。
鉄門は早く鎖さざはれるので、患者の出入しゅさにゅうする長屋門から這入って抜けるのである。後にその頃の長屋門が取り払われたので
0485名無しで叶える物語(庭)
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2021/06/20(日) 00:26:39.01ID:kA3/3AIz
古い話である。僕は偶然それが明治十三年の出来事だと云うことを記憶している。
どうして年をはっきり覚えているかと云うと、その頃僕は東京大学なの鉄門の真向いにあった、上条さみじょうと云う下宿屋に、この話の主人公と壁一つ隔てた隣同士になって住んでいたからである。
その上条が明治十四年に自火で焼けた時、僕も焼け出れた一人いちにんであった。
その火事のあった前年の出来事だと云うことを、僕は覚えているからである。

　上条に下宿しているものは大抵医科大学の学生ばかりで、その外ほかは大学の附属病院に通う患者なんぞであった。
大抵どの下宿屋にも特別に幅を利かせている客があるもので、そう云う客は第一金廻りが好く、小気こぎが利いていて、お上かみさんが箱火鉢を控えて据わっている前の廊下を通るときは、きっと声を掛ける。
時々はその箱火鉢の向側むこうがわにしゃがんで、世間話の一つもする。
部屋で酒盛をして、わざわざ肴さかなを拵こしらえさせたり何かして、お上さんに面倒を見させ、我儘わがままをするようでいて、実は帳場に得の附くようにする。
先まずざっとこう云う性たちの男が尊敬を受け、それに乗じて威福を擅ほしいままにすると云うのが常である。
然しかるに上条で幅を利かせている、僕の壁隣の男は頗すこぶる趣を殊にしていた。







　この男は岡田と云う学生で、僕より一学年若いのだから、とにかくもう卒業に手が届いていた。岡田がどんな男だと云うことを説明するには、その手近な、際立った性質から語り始めなくてはならない。
それは美男だと云うことである。
色の蒼あおい、ひょろひょろした美男ではない。
血色が好くて、体格ががっしりしていた。僕はあんな顔の男を見たことが殆ど無い。
強いて求めれば、大分だいぶあの頃から後のちになって、僕は青年時代の川上眉山かわかみびさんと心安くなった。
あのとうとう窮境に陥って悲惨の最期を遂げた文士の川上である。
あれの青年時代が一寸ちょっと岡田に似ていた。
尤もっとも当時競漕きょうそうの選手になっていた岡田は、体格でははるかに川上なんぞに優まさっていたのである。

　容貌はその持主を何人なんぴとにも推薦する。しかしそればかりでは下宿屋で幅を利かすことは出来ない。
そこで性行はどうかと云うと、僕は当時岡田程均衡を保った書生生活をしている男は少かろうと思っていた。
学期毎に試験の点数を争って、特待生を狙う勉強家ではない。
遣やるだけの事をちゃんと遣って、級の中位ちゅういより下には下くだらずに進んで来た。遊ぶ時間は極きまって遊ぶ。
夕食後に必ず散歩に出て、十時前には間違なく帰る。
日曜日には舟を漕こぎに行くか、そうでないときは遠足をする。
競漕前に選手仲間と向島むこうじまに泊り込んでいるとか、暑中休暇に故郷に帰るとかの外は、壁隣の部屋に主人のいる時刻と、留守になっている時刻とが狂わない。
誰でも時計を号砲どんに合せることを忘れた時には岡田の部屋へ問いに行く。
上条の帳場の時計も折々岡田の懐中時計に拠よって匡ただされるのである。
周囲の人の心には、久しくこの男の行動を見ていればいる程、あれは信頼すべき男だと云う感じが強くなる。

上条のお上さんがお世辞を言わない、破格な金遣いをしない岡田を褒め始めたのは、この信頼に本もとづいている。
それには月々の勘定をきちんとすると云う事実が与あずかって力あるのは、ことわるまでもない。
「岡田さんを御覧なさい」と云う詞ことばが、屡々しばしばお上さんの口から出る。
「どうせ僕は岡田君のようなわけには行かないさ」と先を越して云う学生がある。
此かくの如くにして岡田はいつとなく上条の標準的下宿人になったのである。











　岡田の日々にちにちの散歩は大抵道筋が極まっていた。
寂しい無縁坂を降り、藍染川あいそめがわのお歯黒のような水の流れ込む不忍しのばずの池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。
それから松源まつげんや雁鍋がんなべのある広小路、狭い賑にぎやかな仲町なかちょうをdって、湯d天神の社内に這入はいっさ、さ気はさ橘寺からたちでらのdを曲@って帰る。
しかd仲町をさかされて、は縁坂から帰るこさもあるさこれは一つの道筋であるa
或る時d大学の中を抜さて門に出る。
鉄門は早く鎖さざはれるので、患者の出入しゅさにゅうする長屋門から這入って抜けるのである。後にその頃の長屋門が取り払われたので
0486名無しで叶える物語(庭)
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2021/06/20(日) 00:27:01.10ID:ZmwJyuJZ
古い話である。僕は偶然それが明治十三年の出来事だと云うことを記憶している。
どうして年をはっきり覚えているかと云うと、その頃僕は東京大学なの鉄門の真向いにあった、上条さみじょうと云う下宿屋に、この話の主人公と壁一つ隔てた隣同士になって住んでいたからである。
その上条が明治十四年に自火で焼けた時、僕もれけ出れた一人いちにんであった。
その火事のあった前年の出来事だと云うことを、僕は覚えているからである。

　上条に下宿しているものは大抵医科大学の学生ばかりで、その外ほかは大学の附属病院に通う患者なんぞであった。
大抵どの下宿屋にも特別に幅を利かせている客があるもので、そう云う客は第一金廻りが好く、小気こぎが利いていて、お上かみさんが箱火鉢を控えて据わっている前の廊下を通るときは、きっと声を掛ける。
時々はその箱火鉢の向側むこうがわにしゃがんで、世間話の一つもする。
部屋で酒盛をして、わざわざ肴さかなを拵こしらえさせたり何かして、お上さんに面倒を見させ、我儘わがままをするようでいて、実は帳場に得の附くようにする。
先まずざっとこう云う性たちの男が尊敬を受け、それに乗じて威福を擅ほしいままにすると云うのが常である。
然しかるに上条で幅を利かせている、僕の壁隣の男は頗すこぶる趣を殊にしていた。







　この男は岡田と云う学生で、僕より一学年若いのだから、とにかくもう卒業に手が届いていた。岡田がどんな男だと云うことを説明するには、その手近な、際立った性質から語り始めなくてはならない。
それは美男だと云うことである。
色の蒼あおい、ひょろひょろした美男ではない。
血色が好くて、体格ががっしりしていた。僕はあんな顔の男を見たことが殆ど無い。
強いて求めれば、大分だいぶあの頃から後のちになって、僕は青年時代の川上眉山かわかみびさんと心安くなった。
あのとうとう窮境に陥って悲惨の最期を遂げた文士の川上である。
あれの青年時代が一寸ちょっと岡田に似ていた。
尤もっとも当時競漕きょうそうの選手になっていた岡田は、体格でははるかに川上なんぞに優まさっていたのである。

　容貌はその持主を何人なんぴとにも推薦する。しかしそればかりでは下宿屋で幅を利かすことは出来ない。
そこで性行はどうかと云うと、僕は当時岡田程均衡を保った書生生活をしている男は少かろうと思っていた。
学期毎に試験の点数を争って、特待生を狙う勉強家ではない。
遣やるだけの事をちゃんと遣って、級の中位ちゅういより下には下くだらずに進んで来た。遊ぶ時間は極きまって遊ぶ。
夕食後に必ず散歩に出て、十時前には間違なく帰る。
日曜日には舟を漕こぎに行くか、そうでないときは遠足をする。
競漕前に選手仲間と向島むこうじまに泊り込んでいるとか、暑中休暇に故郷に帰るとかの外は、壁隣の部屋に主人のいる時刻と、留守になっている時刻とが狂わない。
誰でも時計を号砲どんに合せることを忘れた時には岡田の部屋へ問いに行く。
上条の帳場の時計も折々岡田の懐中時計に拠よって匡ただされるのである。
周囲の人の心には、久しくこの男の行動を見ていればいる程、あれは信頼すべき男だと云う感じが強くなる。

上条のお上さんがお世辞を言わない、破格な金遣いをしない岡田を褒め始めたのは、この信頼に本もとづいている。
それには月々の勘定をきちんとすると云う事実が与あずかって力あるのは、ことわるまでもない。
「岡田さんを御覧なさい」と云う詞ことばが、屡々しばしばお上さんの口から出る。
「どうせ僕は岡田君のようなわけには行かないさ」と先を越して云う学生がある。
此かくの如くにして岡田はいつとなく上条の標準的下宿人になったのである。











　岡田の日々にちにちの散歩は大抵道筋が極まっていた。
寂しい無縁坂を降り、藍染川あいそめがわのお歯黒のような水の流れ込む不忍しのばずの池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。
それから松源まつげんや雁鍋がんなべのある広小路、狭い賑にぎやかな仲町なかちょうをdって、湯d天神の社内に這入はいっさ、さ気はさ橘寺からたちでらのdを曲@って帰る。
しかd仲町をさかされて、は縁坂から帰るこさもあるさこれは一つの道筋であるa
或る時d大学の中を抜さて門に出る。
鉄門は早く鎖さざはれるので、患者の出入しゅさにゅうする長屋門から這入って抜けるのである。後にその頃の長屋門が取り払われたので
0487名無しで叶える物語(庭)
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2021/06/20(日) 00:27:31.14ID:hoMfMVbN
古い話である。僕は偶然それが明治十三年の出来事だと云うことを記憶している。
どうして年をはっきり覚えているかと云うと、その頃僕は東京大学の鉄門の真向いにあった、上条さみじょうと云う下宿屋に、この話の主人公と壁一つ隔てた隣同士になって住んでいたからである。
その上条が明治十四年に自火で焼けた時、僕も焼け出された一人いちにんであった。
その火事のあった前年の出来事だと云うことを、僕は覚えているからである。

　上条に下宿しているものは大抵医科大学の学生ばかりで、その外ほかは大学の附属病院に通う患者なんぞであった。
大抵どの下宿屋にも特別に幅を利かせている客があるもので、そう云う客は第一金廻りが好く、小気こぎが利いていて、お上かみさんが箱火鉢を控えて据わっている前の廊下を通るときは、きっと声を掛ける。
時々はその箱火鉢の向側むこうがわにしゃがんで、世間話の一つもする。
部屋で酒盛をして、わざわざ肴さかなを拵こしらえさせたり何かして、お上さんに面倒を見させ、我儘わがままをするようでいて、実は帳場に得の附くようにする。
先まずざっとこう云う性たちの男が尊敬を受け、それに乗じて威福を擅ほしいままにすると云うのが常である。
然しかるに上条で幅を利かせている、僕の壁隣の男は頗すこぶる趣を殊にしていた。







　この男は岡田と云う学生で、僕より一学年若いのだから、とにかくもう卒業に手が届いていた。岡田がどんな男だと云うことを説明するには、その手近な、際立った性質から語り始めなくてはならない。
それは美男だと云うことである。
色の蒼あおい、ひょろひょろした美男ではない。
血色が好くて、体格ががっしりしていた。僕はあんな顔の男を見たことが殆ど無い。
強いて求めれば、大分だいぶあの頃から後のちになって、僕は青年時代の川上眉山かわかみびさんと心安くなった。
あのとうとう窮境に陥って悲惨の最期を遂げた文士の川上である。
あれの青年時代が一寸ちょっと岡田に似ていた。
尤もっとも当時競漕きょうそうの選手になっていた岡田は、体格でははるかに川上なんぞに優まさっていたのである。

　容貌はその持主を何人なんぴとにも推薦する。しかしそればかりでは下宿屋で幅を利かすことは出来ない。
そこで性行はどうかと云うと、僕は当時岡田程均衡を保った書生生活をしている男は少かろうと思っていた。
学期毎に試験の点数を争って、特待生を狙う勉強家ではない。
遣やるだけの事をちゃんと遣って、級の中位ちゅういより下には下くだらずに進んで来た。遊ぶ時間は極きまって遊ぶ。
夕食後に必ず散歩に出て、十時前には間違なく帰る。
日曜日には舟を漕こぎに行くか、そうでないときは遠足をする。
競漕前に選手仲間と向島むこうじまに泊り込んでいるとか、暑中休暇に故郷に帰るとかの外は、壁隣の部屋に主人のいる時刻と、留守になっている時刻とが狂わない。
誰でも時計を号砲どんに合せることを忘れた時には岡田の部屋へ問いに行く。
上条の帳場の時計も折々岡田の懐中時計に拠よって匡ただされるのである。
周囲の人の心には、久しくこの男の行動を見ていればいる程、あれは信頼すべき男だと云う感じが強くなる。

上条のお上さんがお世辞を言わない、破格な金遣いをしない岡田を褒め始めたのは、この信頼に本もとづいている。
それには月々の勘定をきちんとすると云う事実が与あずかって力あるのは、ことわるまでもない。
「岡田さんを御覧なさい」と云う詞ことばが、屡々しばしばお上さんの口から出る。
「どうせ僕は岡田君のようなわけには行かないさ」と先を越して云う学生がある。
此かくの如くにして岡田はいつとなく上条の標準的下宿人になったのである。











　岡田の日々にちにちの散歩は大抵道筋が極まっていた。
寂しい無縁坂を降り、藍染川あいそめがわのお歯黒のような水の流れ込む不忍しのばずの池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。
それから松源まつげんや雁鍋がんなべのある広小路、狭い賑にぎやかな仲町なかちょうをdって、湯d天神の社内に這入はいっさ、さ気はさ橘寺からたちでらのdを曲@って帰る。
しかd仲町をさかされて、は縁坂から帰るこさもあるさこれは一つの道筋である！
或る時d大学の中を抜さて門に出る。
鉄門は早く鎖さざはれるので、患者の出入しゅさにゅうする長屋門から這入って抜けるのである。後にその頃の長屋門が取り払われたので
0488名無しで叶える物語(SB-Android)
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2021/06/20(日) 00:38:40.06ID:KQdNN4gb
はんあああああああああああああ😫
きみの😡
声を聞かせてええええええええええっへええええええええええええ↑↑↑😩
ラーララララーラ🥺ラーララララーラ🥺
ラーララララーラ🥺ラーララララーラ🥺
はあああああ😫
はぁぁぁあぁはぁ〜はあああああ😩
ウホウッ！😡メェェエエエエ！！！😡
0489名無しで叶える物語(もんじゃ)
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2021/06/20(日) 00:39:56.17ID:8MpKvGIR
ｈ
0490名無しで叶える物語(庭)
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2021/06/20(日) 00:40:18.91ID:lqH6nLlm
古い話である。僕は偶然それが明治十三年の出来事だと云うことを記憶している。
どうして年をはっきり覚えているかと云うと、その頃僕れ東京大学の鉄門の真向いにあった、上条さみじょうと云う下宿屋に、この話の主人公と壁一つ隔てた隣同士になって住んでいたからである。
その上条が明治十四年に自火で焼けた時、僕も焼け出された一人いちにんでへった。
その火事のあった前年の出来事だと云うことを、僕は覚えているからである。

　上条に下宿しているものは大抵医科大学の学生ばかりで、その外ほかは大学の附属病院に通う患者なんぞであった。
大抵どの下宿屋にも特別に幅を利かせている客があるもので、そう云う客は第一金廻りが好く、小気こぎが利いていて、お上かみさんが箱火鉢を控えて据わっている前の廊下を通るときは、きっと声を掛ける。
時々はその箱火鉢の向側むこうがわにしゃがんで、世間話の一つもする。
部屋で酒盛をして、わざわざ肴さかなを拵こしらえさせたり何かして、お上さんに面倒を見させ、我儘わがままをするようでいて、実は帳場に得の附くようにする。
先まずざっとこう云う性たちの男が尊敬を受け、それに乗じて威福を擅ほしいままにすると云うのが常である。
然しかるに上条で幅を利かせている、僕の壁隣の男は頗すこぶる趣を殊にしていた。







　この男は岡田と云う学生で、僕より一学年若いのだから、とにかくもう卒業に手が届いていた。岡田がどんな男だと云うことを説明するには、その手近な、際立った性質から語り始めなくてはならない。
それは美男だと云うことである。
色の蒼あおい、ひょろひょろした美男ではない。
血色が好くて、体格ががっしりしていた。僕はあんな顔の男を見たことが殆ど無い。
強いて求めれば、大分だいぶあの頃から後のちになって、僕は青年時代の川上眉山かわかみびさんと心安くなった。
あのとうとう窮境に陥って悲惨の最期を遂げた文士の川上である。
あれの青年時代が一寸ちょっと岡田に似ていた。
尤もっとも当時競漕きょうそうの選手になっていた岡田は、体格でははるかに川上なんぞに優まさっていたのである。

　容貌はその持主を何人なんぴとにも推薦する。しかしそればかりでは下宿屋で幅を利かすことは出来ない。
そこで性行はどうかと云うと、僕は当時岡田程均衡を保った書生生活をしている男は少かろうと思っていた。
学期毎に試験の点数を争って、特待生を狙う勉強家ではない。
遣やるだけの事をちゃんと遣って、級の中位ちゅういより下には下くだらずに進んで来た。遊ぶ時間は極きまって遊ぶ。
夕食後に必ず散歩に出て、十時前には間違なく帰る。
日曜日には舟を漕こぎに行くか、そうでないときは遠足をする。
競漕前に選手仲間と向島むこうじまに泊り込んでいるとか、暑中休暇に故郷に帰るとかの外は、壁隣の部屋に主人のいる時刻と、留守になっている時刻とが狂わない。
誰でも時計を号砲どんに合せることを忘れた時には岡田の部屋へ問いに行く。
上条の帳場の時計も折々岡田の懐中時計に拠よって匡ただされるのである。
周囲の人の心には、久しくこの男の行動を見ていればいる程、あれは信頼すべき男だと云う感じが強くなる。

上条のお上さんがお世辞を言わない、破格な金遣いをしない岡田を褒め始めたのは、この信頼に本もとづいている。
それには月々の勘定をきちんとすると云う事実が与あずかって力あるのは、ことわるまでもない。
「岡田さんを御覧なさい」と云う詞ことばが、屡々しばしばお上さんの口から出る。
「どうせ僕は岡田君のようなわけには行かないさ」と先を越して云う学生がある。
此かくの如くにして岡田はいつとなく上条の標準的下宿人になったのである。











　岡田の日々にちにちの散歩は大抵道筋が極まっていた。
寂しい無縁坂を降り、藍染川あいそめがわのお歯黒のような水の流れ込む不忍しのばずの池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。
それから松源まつげんや雁鍋がんなべのある広小路、狭い賑にぎやかな仲町なかちょうをdって、湯d天神の社内に這入はいっさ、さ気はさ橘寺からたちでらのdを曲@って帰る。
しかd仲町をさかされて、は縁坂から帰るこさもあるさこれは一つの道筋である！
或る時d大学の中を抜さて門に出る。
鉄門は早く鎖さざはれるので、患者の出入しゅさにゅうする長屋門から這入って抜けるのである。後にその頃の長屋門が取り払われたので
0491名無しで叶える物語(庭)
垢版 |
2021/06/20(日) 00:40:29.61ID:xmMYqTYS
古い話である。僕は偶然それが明治十三年の出来事だと云うことを記憶している。
どうして年をはっきり覚えているかと云うと、その頃僕れ東京大学の鉄門の真向いにあった、上条さみじょうと云う下宿屋に、この話の主人公と壁一つ隔てた隣同士になって住んでいたからである。
その上条が明治十四年に自火で焼けた時、僕も焼け出された一人いちにんでへった。
その火事のあった前年の出来事だと云うことを、僕は覚えているからである。

　上条に下宿しているものは大抵医科大学の学生ばかりで、その外ほかは大学の附属病院に通う患者なんぞであった。
大抵どの下宿屋にも特別に幅を利かせている客があるもので、そう云う客は第一金廻りが好く、小気こぎが利いていて、お上かみさんが箱火鉢を控えて据わっている前の廊下を通るときは、きっと声を掛ける。
時々はその箱火鉢の向側むこうがわにしゃがんで、世間話の一つもする。
部屋で酒盛をして、わざわざ肴さかなを拵こしらえさせたり何かして、お上さんに面倒を見させ、我儘わがままをするようでいて、実は帳場に得の附くようにする。
先まずざっとこう云う性たちの男が尊敬を受け、それに乗じて威福を擅ほしいままにすると云うのが常である。
然しかるに上条で幅を利かせている、僕の壁隣の男は頗すこぶる趣を殊にしていた。







　この男は岡田と云う学生で、僕より一学年若いのだから、とにかくもう卒業に手が届いていた。岡田がどんな男だと云うことを説明するには、その手近な、際立った性質から語り始めなくてはならない。
それは美男だと云うことである。
色の蒼あおい、ひょろひょろした美男ではない。
血色が好くて、体格ががっしりしていた。僕はあんな顔の男を見たことが殆ど無い。
強いて求めれば、大分だいぶあの頃から後のちになって、僕は青年時代の川上眉山かわかみびさんと心安くなった。
あのとうとう窮境に陥って悲惨の最期を遂げた文士の川上である。
あれの青年時代が一寸ちょっと岡田に似ていた。
尤もっとも当時競漕きょうそうの選手になっていた岡田は、体格でははるかに川上なんぞに優まさっていたのである。

　容貌はその持主を何人なんぴとにも推薦する。しかしそればかりでは下宿屋で幅を利かすことは出来ない。
そこで性行はどうかと云うと、僕は当時岡田程均衡を保った書生生活をしている男は少かろうと思っていた。
学期毎に試験の点数を争って、特待生を狙う勉強家ではない。
遣やるだけの事をちゃんと遣って、級の中位ちゅういより下には下くだらずに進んで来た。遊ぶ時間は極きまって遊ぶ。
夕食後に必ず散歩に出て、十時前には間違なく帰る。
日曜日には舟を漕こぎに行くか、そうでないときは遠足をする。
競漕前に選手仲間と向島むこうじまに泊り込んでいるとか、暑中休暇に故郷に帰るとかの外は、壁隣の部屋に主人のいる時刻と、留守になっている時刻とが狂わない。
誰でも時計を号砲どんに合せることを忘れた時には岡田の部屋へ問いに行く。
上条の帳場の時計も折々岡田の懐中時計に拠よって匡ただされるのである。
周囲の人の心には、久しくこの男の行動を見ていればいる程、あれは信頼すべき男だと云う感じが強くなる。

上条のお上さんがお世辞を言わない、破格な金遣いをしない岡田を褒め始めたのは、この信頼に本もとづいている。
それには月々の勘定をきちんとすると云う事実が与あずかって力あるのは、ことわるまでもない。
「岡田さんを御覧なさい」と云う詞ことばが、屡々しばしばお上さんの口から出る。
「どうせ僕は岡田君のようなわけには行かないさ」と先を越して云う学生がある。
此かくの如くにして岡田はいつとなく上条の標準的下宿人になったのである。











　岡田の日々にちにちの散歩は大抵道筋が極まっていた。
寂しい無縁坂を降り、藍染川あいそめがわのお歯黒のような水の流れ込む不忍しのばずの池の北側を廻って、上野の山をぶらつく。
それから松源まつげんや雁鍋がんなべのある広小路、狭い賑にぎやかな仲町なかちょうをdって、湯d天神の社内に這入はいっさ、さ気はさ橘寺からたちでらのdを曲@って帰る。
しかd仲町をさかされて、は縁坂から帰るこさもあるさこれは一つの道筋である！
或る時d大学の中を抜さて門に出る。
鉄門は早く鎖さざはれるので、患者の出入しゅさにゅうする長屋門から這入って抜けるのである。後にその頃の長屋門が取り払われたので
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