0041名無しで叶える物語(SIM)
2021/05/01(土) 18:52:10.59ID:kCcmYMdd一つは小さくぽつんと海の上に浮かび、もう一つは大きくて、ラクダの背中みたいに二つの曲線を描いている。
「わぁ〜っ、あれが八丈島だよね……!」
窓に張り付いて楽しそうに言うエマちゃん。
「そう。隣の小さいのが八丈小島っていう無人島。で、あれが八丈本島よ」
へえ、あっちは無人島なんだ。
「ねえ、そろそろ出ない?わたし待ちきれなくって!」
窓越しの景色にしびれを切らしたエマちゃんが提案する。
私も果林ちゃんもノータイムで賛成。
潮風でセットした髪が乱れないようにキャップを被って、スーツケースに手をかける。
「二人とも、忘れ物はない?」
「わたしは大丈夫!」
「私も大丈夫だよ〜、果林ちゃんも大丈夫?」
「ええ、いつでもいいわよ」
「じゃあ行こっ!」
ドアに手をかけて飛び出したのはエマちゃん。
嬉しそうな後ろ姿にこっちまで嬉しくなっちゃうよ。
果林ちゃんもそんな感じだね。