しばらくして、窓には二つの島が映るように。
一つは小さくぽつんと海の上に浮かび、もう一つは大きくて、ラクダの背中みたいに二つの曲線を描いている。

「わぁ〜っ、あれが八丈島だよね……!」

窓に張り付いて楽しそうに言うエマちゃん。

「そう。隣の小さいのが八丈小島っていう無人島。で、あれが八丈本島よ」

へえ、あっちは無人島なんだ。

「ねえ、そろそろ出ない?わたし待ちきれなくって!」

窓越しの景色にしびれを切らしたエマちゃんが提案する。
私も果林ちゃんもノータイムで賛成。
潮風でセットした髪が乱れないようにキャップを被って、スーツケースに手をかける。

「二人とも、忘れ物はない?」

「わたしは大丈夫!」

「私も大丈夫だよ〜、果林ちゃんも大丈夫?」

「ええ、いつでもいいわよ」

「じゃあ行こっ!」

ドアに手をかけて飛び出したのはエマちゃん。
嬉しそうな後ろ姿にこっちまで嬉しくなっちゃうよ。
果林ちゃんもそんな感じだね。