部屋を出て甲板につくと、ちょうど船が動き出して、波止場が遠ざかっていくのが見えた。

船は少しずつスピードをあげてお台場の海を進んでいく。
右手を見ても左手を見ても、東京のビル群の明かりが夜空を飾っていて、東京タワーやニジガクの校舎も見える。
前方には青く照らされたレインボーブリッジが。

「わぁっ!」

手すりに捕まって身を乗り出して景色を眺めるエマ。
落ちちゃわないかしら……?と少し危なっかしく思う。

「夜景も綺麗だし涼しくていいねぇ……遥ちゃんに送ってあげよう」

彼方は彼方で夜景を背に自撮りを撮っている。
こっそり近づいて……彼方のカメラにフレームイン。

「おぉっ……エマちゃん、エマちゃん!」

すると、私の意図に気付いた彼方がエマを呼び寄せて、

「なに〜?――あっ!」

エマも画角に収まりに小走りで駆け寄ってくる。
三人で肩を寄せ合って、可愛く撮れるように、そして夜景もきちんと入るように角度を試行錯誤して……。

――パシャリ。

「うん、いい感じだよ。あとで送るね〜?」