【SS】歩夢 「開花宣言❁嶺上開花」
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「…ポン!」 「チー…!」
──勝負の世界に魅せられた、少女がいた。
これは、“麻雀”の世界で長く語り継がれることとなった、伝説の女子高生雀士の物語である。 【作中での麻雀関連の表記について】
萬子(マンズ)一二三四五六七八九
索子(ソーズ)123456789
筒子(ピンズ)❶❷❸❹❺❻❼❽❾
字牌(字牌)東南西北白發中
※手牌は基本的に萬子→索子→筒子→字牌→自摸牌の順
例a
一二三九九12233❶❷❸ ツモ:1
平和・自摸・純全帯幺・三色同順・一盃口
【倍満】4000-8000
例b
南二局 0本場 ドラ:❹
高咲侑(西家)配牌
三223467789❶南西中 ツモ:6
侑 (混一色も清一色も狙える手…風牌の種もあるし、欲張っていこう)打:❶
【ルールについて】
特筆してない限り、対局ルールは25000点貸し、30000点返しのウマなし、アリアリとなります。
半荘戦。赤ドラは無しです。 【プロローグ】
歩夢 「侑ちゃーん、そろそろ行かないと授業間に合わないよ?」
玄関扉の前で、インターフォンを鳴らしながら名前を呼ぶ。だが侑は一向に出てくる様子がない。
扉を揺らして気付いてもらおうとドアノブに手をかけると、そのまま開いてしまった。思わず体がよろける。
歩夢 「不用心だなぁ、もう」
歩夢 「お邪魔しまーす。侑ちゃん、起きてる?」
侑はパソコンの前にいた。前のめりになりながら、真剣な表情でマウスを鳴らす。よっぽど集中しているようだ。 侑 「ぬぁーー!!! ダメかぁ!!」
歩夢 「うわぁ!?」
侑 「あれっ、歩夢。いつの間に?」
歩夢 「ずっと呼んでたよ。ピンポンだって鳴らしてたんだから」
侑 「本当に? っていうか今何時…………ヴェァッ!?」
歩夢 「ほら急いで、授業始まっちゃうよ!」
侑 「もっと早く言ってよ〜!」
洗面所へと駆け出す侑。歩夢はやれやれとため息をつき、ふとパソコンの画面に目をやる。
歩夢 「これって……麻雀?」
ーーーーーー
ーーーー
ーー 侑 「本当に凄かったんだから! せつ菜ちゃんの対局!」
登校に使うバスの中。他の乗客などお構い無しの大声で、興奮を隠しきれない侑。
歩夢 「せつ菜ちゃん……プロの人?」
侑 「ううん。でもプロ並に強いと思うよ! 私たちと同い年で、しかも同じ学校!」
歩夢 「ってことは部活かぁ。麻雀部なんてうちの学校にあったんだね」
侑 「部じゃなくて同好会だけどね。もうカッコよくてさぁ。牌(ハイ)をツモるとき、炎が腕にぶわぁぁぁって!」
歩夢 「なにそれ…」
侑 「無いはずの炎が見えるってこと! それくらい熱いんだよ、せつ菜ちゃんの麻雀は!」 歩夢 「それで侑ちゃんも、麻雀を始めようと?」
侑 「早くせつ菜さんと打ちたくて、一晩かけて覚えたんだ!」
歩夢 「す、すごい熱量…」
侑 「せつ菜ちゃんぐらい強くなれるのは、まだまだ先だと思うけどね。昨晩の配信でも圧勝だったもんなぁ!」
侑 「ねぇ、歩夢もやろうよ麻雀!」
歩夢 「……私、麻雀はちょっと」
侑 「えー! 私が何かやろうって言ったら、いつもすぐに『うん』って言ってくれてたじゃん!」
歩夢 「えっと…ほら! 難しそうだし」 侑 「私もそんなイメージだったけど、そんなことないよ。今日同好会に行くつもりだから、一緒に来て見ててよ」
歩夢 「えぇっ!? 私も?」
侑 「うん、一人で行くのは心細いしさ。歩夢が一緒なら安心だし」
歩夢 「……ずるいなぁ、もう」
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ーー 【第1話】『可愛くて、強い』
〜放課後 麻雀同好会 部室〜
侑 「こんにちはー!!!!」
かすみ 「うぁぁっ!!?」
部室の扉を勢いよく開け、侑は今日一番の大声で挨拶をする。中にいた一人の少女が、手に持っていた布巾を驚きのあまり落とす。
歩夢 「ご、ごめんください。侑ちゃん、急に大きな声出したらビックリしちゃうよ」
侑 「ごめんごめん…つい」
かすみ 「えっと、何の用ですか? そのリボンの色、2年生ですよね」
侑 「うん。私、せつ菜ちゃんと麻雀が打ちたくて」
かすみ 「せつ菜先輩と…ですか」 少女の眉がピクっと動く。拾い上げた布巾で全自動卓に並べられた牌を拭きながら、言葉を続ける。
かすみ 「残念ですけど、せつ菜先輩とは打てませんよ」
侑 「えぇっ、どうして?」
かすみ 「せつ菜先輩は大会とか配信とか、そういう公式の場でしか基本的に麻雀を打たないんです」
かすみ 「かすみん含め同好会の部員ですら、せつ菜先輩と対局したことは一回も無いんです」
歩夢 「そうなんだ…。残念だったね、侑ちゃん」
侑 「…どうすれば、打たせてもらえるかな?」
かすみ 「さぁ…。これはかすみんの想像ですけど、相当な雀力(じゃんりょく)があることを証明出来れば、もしかしたら?」 侑 「本当!? どうしたらいい? 私、なんでもやるよ!」
歩夢 「ちょ、ちょっと侑ちゃん! 本気?」
侑 「もちろん! だってほとんどラフプレーで打たないのに、あんなに強いんだよ? ますます興味が湧いてきちゃった!」
かすみ 「乗り気ですね、先輩。分かりました、せつ菜先輩には、かすみんから話しておきます」
侑 「ありがとう! えっと…かすみん、ちゃん?」
かすみ 「おっと、かすみんってば挨拶がまだでしたね。高等部一年、中須かすみです」 侑 「二年の高咲侑です、よろしくね」
歩夢 「えっと、同じクラスの上原歩夢です」
かすみ 「侑先輩と歩夢先輩ですね。それじゃあ、早速やりましょうか!」
歩夢 「えっ、やるって何を?」
かすみ 「何って、麻雀に決まってるじゃないですか! 今回は三麻※でやりましょう」
※三麻(サンマ)・・・麻雀は基本4人で遊ぶゲームだが、三人で打つ三麻というルールもある。
かすみ 「先輩方の雀力を確認するために、まずは同好会の部員と戦ってもらいます」 侑 「部員は何人いるの?」
かすみ 「かすみんと部長のせつ菜先輩、あと三人います。せつ菜先輩以外の四人を倒せば、せつ菜先輩ももしかしたら対局してくれるかもですね」
侑 「本当に!? よーし、頑張るぞー!」
かすみ 「さぁさぁ、おふたりとも、好きな場所に座ってください!」
歩夢 「ちょ、ちょっと待って!」
かすみ 「ほぇ?」
侑 「ごめんね。歩夢、ルールをまだ知らないんだ」
かすみ 「そうなんですか? 仕方ないですねぇ、じゃあかすみんがルールを教えながら打ってあげますよ〜!」 歩夢 「いや、別に私は麻雀をやりたい訳じゃ」
かすみ 「そんなこと言わずに〜! ほらほら、かすみんの後ろに来てください!」
歩夢 「えぇ〜……」
かすみ 「という訳で、今回はアプリを使って対局しましょう。残りの二人はコンピューターでいいですか?」
侑 「もちろん。よろしくね、かすみちゃん」
歩夢 「私抜きで話が進んでいく…」 《対局開始》
東家:かすみ 南家:COM 西家:侑 北家:COM
東一局、かすみの親。ドラは❻
かすみ 配牌(ハイパイ)
三九347❶❶❷❺東東南中 ツモ:❼
かすみ (ムフフ…いきなり東の対子(トイツ)。これが鳴ければダブ東で二飜(ハン))
かすみ (同好会メンバーとしての威厳を見せるには十分な配牌ですね)
かすみ 「いいですか、歩夢先輩。麻雀は四つの面子(メンツ)と、一つの雀頭(じゃんとう)を集めるゲームです」 かすみ 「面子とは主にこんな感じです」
〇順子(シュンツ)・・・同じ種類の数牌を、連続する三つの数字で揃える
例)七八九、456、❶❷❸・・・〇
四❺六、❽❾❶・・・×
〇刻子(コーツ)・・・同じ牌を三つ集める
例)七七七、❷❷❷、東東東・・・〇
❸3❸・・・×
かすみ 「この面子を四つ集めて、あとは雀頭を揃えます。雀頭は同じ牌ふたつペアのことです」
かすみ 「つまり…」
侑 「……えいっ!」 打:9
かすみ 「それです! ロン!」 侑→かすみ ロン
34578❶❶❺❻❼東東東 ロン:9
ダブ東・ドラ1 / 7700
かすみ : 32700(+7700)
COMa : 25000
侑 : 17300(-7700)
COMb : 25000
かすみ 「今のかすみんの手は」
面子・・・345、❺❻❼、東東東
雀頭・・・❶❶
残り・・・78
かすみ 「でした。つまり、あと面子がひとつ出来上がれば“アガり”というわけです」 歩夢 「じゃあ今のは、6か9が来ればよかったんだね」
かすみ 「その通りです! 揃えばなんでもいい訳じゃなくて、役が必要だったりするんですけど…」
かすみ 「まぁそれは、やっていくうちに自然と覚えますよ!」
侑 (あっ、説明めんどくさくなったな)
かすみ 「親はアガると次も親になれます! 誰かにアガられると、右隣の人が親になります。これが二週したらゲーム終了です」
歩夢 「うん、大体わかったよ」 ……数十分後。
東三局一本場、侑の親。ドラは❽
かすみ : 35600
COMa : 22400
侑 : 20300
COMb : 21700
10巡目──。
侑 「リーチ!」 打:二
かすみ 「来ましたね先輩。……おっ」
かすみ 手牌
三四五六345❷❸❹❺❻❼ ツモ:❷ かすみ (手替わりを待って正解でしたね。345の三色。しかも三面待ちですよ〜)
かすみ 「リーチですっ!」 打:六
歩夢 「あっ、それは…」
かすみ 「えっ?」
侑 「来た! ロン!」
かすみ→侑 ロン
四五234❷❸❹❺❻❼❽❽ ロン:六
リーチ・一発・タンヤオ・ピンフ・ドラ2
侑 「裏ドラは…おっと、二つも乗ったよ!」
裏裏 / 倍満 24000は24300
かすみ 「ぎょええぇぇぇ!!!」 かすみ : 11300(-24300)
COMa : 22400
侑 : 44600(+24300)
COMb : 21700
侑 「七→二って切ってるんだから、三 六は超危険牌だよ、かすみちゃん」
かすみ 「わ、分かってます! 教えるのに夢中で、ちょっと見てなかっただけですから!」
侑 「じゃあ私が教えるよ。勝負に支障が出たらまずいからさ」
かすみ 「いいんです! かすみんの方が麻雀強いんですから、かすみんが教えてあげるんです!」
侑 「そ、そっか……。頼もしいね…」 …………更に数十分後。
《対局終了》
かすみ : -3600(トビ)
COMa : 15300
侑 : 73200(勝)
COMb : 15100
かすみ 「か、かすみん……が……トビ……」
プシューという音と共に、かすみの頭から煙が出ている…ように見えた。ふたりには。
侑 「そ、そんなに落ち込まないで! 次はほら、教えながらじゃなくて、ちゃんと一対一で…!」
かすみ 「いいんです……負けは負けですから……」 侑 (律儀なんだなぁ…かすみちゃん)
歩夢 「でもありがとう! かすみちゃんのお陰で、何となくルールも分かったよ!」
かすみ 「本当ですか!? と、当然です。同好会歴では、かすみんの方が先輩ですから!」
歩夢 「そ、そうだね! ありがとう、かすみちゃん」
心の中でグッジョブと歩夢にサインを送る侑。どうやらかすみの機嫌は良くなったようだ。
かすみ 「これだけの実力があれば、しず子にも勝てると思いますよ」
侑 「しず子? 他の部員の子?」
かすみ 「はい。かすみんと同じ学年です。いつもは演劇部で活動してますけど、水曜日なら稽古が休みみたいです」 歩夢 「水曜日だと…明後日だね」
侑 「ありがとう。じゃあ明後日、しず子ちゃんのいる教室に行ってみよ!」
かすみ 「じゃあ水曜日、かすみんはここで待ってますね。歩夢先輩、明後日までにルールを覚えてくださいね」
歩夢 「わ、私も!?」
かすみ 「そうですよ。だってかすみんとしず子、侑先輩だけだと一人足りないじゃないですか」
侑 「たしかに。二対二の方が、真剣勝負感出るもんね。じゃあ歩夢、帰って特訓だ!」
侑は歩夢の腕を掴み、部室から駆け出す。 歩夢 「ちょ、ちょっと待ってよ〜!」
侑 「二日しかないんだもん。ルールは勿論、私ももっと強くならなきゃ!」
歩夢 「待って……! 侑ちゃん、止まって!」
侑 「歩夢……?」
廊下の途中で止まり、歩夢の腕を放す。歩夢の息はあがっていた。夢中になると周りを振り回してしまうのは自分の悪い癖だ、と侑は軽く「ごめん」と歩夢に言う。
歩夢 「……私、麻雀は…」
侑 「…嫌、なの?」
歩夢 「だって……だって……」 歩夢は両手で頭を抱え込んでしまう。侑はその手を、優しく包み込む。
侑 「…お願い。私どうしても、せつ菜ちゃんと麻雀が打ちたいんだ」
歩夢 「侑ちゃん…」
侑 「少しだけ、私の夢に付き合ってよ。ワガママ言ってるのは分かってる。でも、お願い」
侑の真剣な眼差しを目の前にして、歩夢は思う。侑はこうなったら、多分誰が止めても聞かない。それほど自分の気持ちに正直なのを、誰よりも知っているのは歩夢自身だった。
だから── 歩夢 「……うん、分かった。頑張るね、私」
そう答えるしか、なかった。
再び強く、今度は手を繋がれて帰路につく。
侑ちゃんの為に、今は私が出来るサポートをしよう。そう決心して、歩夢は侑の手を強く握り返すのであった。
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ーー 【次回予告】
かすみ 「ねぇ、しず子。>>〇〇で侑先輩が」
侑 『七→二って切ってるんだから、三 六は超危険牌だよ、かすみちゃん』
かすみ 「って言ってたんだけど、これってどういう意味?」
しずく 「分かってなかったんだ、かすみさん…」
かすみ 「いいから、教えてよ〜!」
しずく 「これは“間4軒”っていう、リーチ読みの基本だよ」
かすみ 「アイダヨンケン……?」 >>34
ミスです
訂正)
かすみ 「ねぇ、しず子。>>25 で侑先輩が」 しずく 「例えば…」
捨牌(ステハイ)に
❶ ❻がある→❷ ❺が危険
4 9がある→5 8が危険
しずく 「という風に、間に挟まれた4つの数字の両端が危険になりやすいっていうメカニズムのこと」
かすみ 「どうしてそれが危険になるの?」
しずく 「そうだね、侑先輩の手牌を見てみようか」
6巡目 侑 手牌
二四五七1234❸❹❺❻❽ ツモ:❼
しずく 「これだと、何が要らない?」 かすみ 「うーん…頭待ちになった時に1234が使いやすいから、七が一番要らない?」
しずく 「そうだね。じゃあ侑先輩がリーチした時」
10巡目 侑 手牌
二四五234❷❸❹❺❻❼❽ ツモ:❽
かすみ 「234の三色もあるけど…。ドラも2つあって打点は十分だから、二を捨てて両面待ち!」
しずく 「ここは人によって別れるけど、侑先輩も同じ判断をしたね」
かすみ 「あー! 七→二の順で捨てられてる!」 しずく 「そう。カンチャン待ちから両面待ちに変えようとすると、必然とこうなるんだよ」
かすみ 「これが…間4軒!」
しずく 「次からは気をつけるんだよ、かすみちゃん」
かすみ 「もっと早く教えてよ〜! うぇ〜ん…」
しずく 「はいはい、ごめんね。よしよし」
次回 『あなたを演じた、その先に』
しずく 「さぁ、次回は私が登場ですよ! みなさん、楽しみにしててくださいね」 基本毎日1話ずつ更新していきます
連投規制のため、投下が遅くなってしまい申し訳ありません。次回から対局場面がより濃くなりますので、お楽しみに。それでは! 咲ちょっと読んでたけど麻雀のルールは一つもわからなかったんだよな
ちょっとトランプみたい >>43
大まかなルールくらいならやってみると簡単だよ。今は無料アプリとかもあるし 【第2話】『あなたを演じた、その先に』
〜かすみとの対局から、二日後〜
侑 「しず子ちゃ〜ん! いるー!?」
しずく 「ブフゥッ!?」
国際交流学科、一年生の教室。突然の上級生の訪問に、一年の生徒たちは驚きを隠せない。そんな反応をものともせず、侑は探し人の名前を呼び続ける。
あまりに大きすぎる侑の声に、何やら本を読んでいた少女が、口に含んだばかりのお茶を盛大に吹き出した。
歩夢 「だから侑ちゃん、そんな大声出したらみんなびっくりするって!」 侑 「ごめんごめん。あっ、もしかして、君がしず子ちゃん?」
しずく 「…あなた方ですね。かすみさんの言っていた先輩方って」
侑 「そうだよ。今日しず子ちゃんの予定が空いてるって聞いたから、対局したくって」
しずく 「…分かりました。あと、私の名前は桜坂“しずく”です」
歩夢 「しずく? しず子ちゃんじゃなくて?」
しずく 「そっ…それは、かすみさんが勝手に呼んでる名前といいますか。みなさんの前でその名前で呼ばれるのは、少し恥ずかしくて…」 侑 「そうだったんだ、ごめんね。かすみちゃんがしず子しず子って言うからてっきりそれが本名かと」
しずく 「いえ。紹介したのに、ちゃんとした名前を教えないかすみさんが悪いんです。後でみっちりお説教ですね」
しずくは少しご立腹な様子だったが、対局の約束を取り交わし、放課後に麻雀同好会の部室へ足を運ぶことになったのであった。
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ーー 〜放課後 麻雀同好会 部室〜
かすみ 「うぇぇ〜ん……ごめんなさいぃ〜」
侑 「えぇ…」
同好会の部室に入るや否や、かすみの泣き声が聞こえてきた。しずくの前に正座させられ、何やら怒られている様子だ。さしずめ、あだ名の件だろう。
かすみ 「侑先輩っ! 聞いてください、しず子がいじめるんですぅ〜!」
しずく 「いじめとは何ですか、人聞きの悪い! 元はと言えば、かすみさんが私の名前をちゃんと先輩に伝えないのが悪いんでしょう!?」
かすみ 「いへへ…! ほっへひっふぁらないふぇ〜」
(訳:いてて…! ほっぺ引っ張らないでぇ〜) かすみ 「もうしず子! かすみんの可愛ぃほっぺが真っ赤っかになったらどうするの!?」
しずく 「それも可愛くていいんじゃない? アンパン〇ンみたいで」
かすみ 「全然可愛くない!」
しずく 「やれやれ…。あっ、ごめんなさい先輩。対局ですよね、すぐに準備しますから」
そう言ってしずくは、全自動卓に並べてあった牌から東南西北の牌を一枚ずつ取って、手のひらの中で混ぜる。場決め※だ。
※場決め・・・対局前、座る場所を決めること。東南西北の牌を伏せて置き、そこから一枚引いて、書かれていた場所の席に座るのが一般的な決め方である。 しずく 「先輩方からどうぞ、引いてください」
侑 「ありがと。えっと…北だから北家だね」
そう言って侑は卓の奥側…同好会の出入口の扉から一番遠い席に腰掛ける。
他の三人も場決めを終え、いざ対局開始というその時──。同好会の扉が、静かに開かれた。
かすみ 「あれっ、珍しいですね、せつ菜先輩」
侑 「えっ、せつ菜ちゃん!?」
入ってきたのは、優木せつ菜本人だった。憧れの人物を前に、侑の瞳はキラキラと輝く。一瞬、せつ菜は侑と目を合わせたかと思うと、すぐにかすみに視線を移し替え、話しかける。 せつ菜 「かすみさん、この二人がこの間話していた方達ですか?」
かすみ 「そうです! 侑先輩と、歩夢先輩です」
せつ菜 「…はじめまして。部長の優木せつ菜です」
歩夢 「は、はじめまして」
侑 「はじめまして! あのっ、私せつ菜ちゃんの対局を見て大ファンになって、それで麻雀を始めて!!」
せつ菜 「…! ありがとうございます」
侑 「あのっ、サインとか!」
せつ菜 「もちろんいいですよ。ですがそれより、今は対局が先です」
侑 「あっ…そうだった。ごめんね三人とも、興奮しちゃって」 しずく 「いえ、お気になさらず。…そうだ、ルールについてなんですが、今回は二対二というシステム上、点数はお互いのペアの合計点数で勝敗を決めましょう」
歩夢 「つまり私と侑ちゃんペア、しずくちゃんとかすみちゃんペアの対決ってこと?」
しずく 「はい。これなら仲間内でわざと振り込んだりするメリットもほぼ無くなりますから、公平かと思いまして」
侑 「確かにそうだね。でもまぁ私たち、まだわざと振り込んだりできる技量はないけど」
しずく 「それはかす……こちらも同じですよ。さ、始めましょうか」
かすみ 「あれっ、今さりげなく、かすみん馬鹿にされませんでした?」
せつ菜 「今回私は見学させていただきますね。もちろん、口を挟んだりはしませんので」
侑 「はいっ! よろしくお願いします!」 《対局開始》
東家:かすみ 南家:しずく 西家:歩夢 北家:侑
東一局、かすみの親。ドラは❸
7巡目──。
しずく 「リーチです!」 打:三
侑 (ぐっ、早い! まだ二向聴(リャンシャンテン)…ここは降りるしか)
※向聴・・・あと何牌でテンパイになるか、という単位。二向聴の場合、あと二つ欲しい牌が来ればテンパイという意味である。
歩夢 「……カン!」 [中中中中] しずく (リーチが入ったのにカンですか。役牌なので気持ちはわかりますが、いかにも初心者の動きですね)
歩夢 「…ツモ! 嶺上開花(リンシャンカイホウ)」
※嶺上開花・・・カンをした時にツモる牌(嶺上ツモ)がアガり牌だった時に成立する役。
歩夢 「60符3飜は、2000-3900」
歩夢 ツモ
二三四七八九❶❶❺❻ [中中中中] ツモ:❼
自摸・嶺上開花・中 / 2000-3900 しずく (やられた…運が良いですね)
せつ菜 (……なんでしょう、この違和感)
かすみ : 20100(-4900)
しずく : 23000(-2000)計 43100
歩夢 : 33900(+8900)
侑 : 23000(-2000)計56900
東二局、しずくの親。ドラは發
11巡目──。
侑 手牌
四五六56❹❺❻❼❽❽發發 ツモ:發
侑 (よし、ドラの發が暗刻。高目の4が出れば三色で跳満。ここはダマで十分)打:❼ しずく 「……お返しです。カン!」 [中中中中]
しずく 「ツモ、嶺上開花!!」
しずく ツモ
一二三七八九1179 [中中中中] ツモ:8
自摸・嶺上開花・中・チャンタ / 4000オール
侑 「くぅ〜! やられたぁ!!」
せつ菜 (…お二人はまだ気付かないでしょね。しずくさんの強さの秘密。それが分からなければ、勝機はありませんよ)
かすみ : 16100(-4000)
しずく : 35000(+12000)計 51100
歩夢 : 29900(-4000)
侑 : 19000(-4000)計 48900 東二局一本場、しずくの親。ドラは北
侑 配牌
二二二六七12238❷❹東
侑 (形はいいけど、役がつきそうにない。せめて、この東が重なれば…)
4巡目──。
侑 手牌
二二二六七1238❷❹❻東 ツモ:東
侑 (きた! 後はこれさえ鳴ければ!)打:8 歩夢 「……。」 打:東
侑 (絶好のタイミング!!)
侑 「ポン!」 [東東東]
数巡後──。
かすみ (う〜、イマイチですね)打:八
侑 「ロン!」
かすみ→侑 ロン
二二二六七123❻❻ [東東東] ロン:八
東のみ / 1000は1300
かすみ : 14800(-1300)
しずく : 35000 計 49800
歩夢 : 29900
侑 : 20300(+1300)計 50200 東3局、歩夢の親。ドラは3
1巡目──。
侑 手牌
一一三四六2234東北北白 ツモ:❺
侑 (東は先に切っておこう。あわよくば、歩夢が東を鳴いてダブ東だし)打:東
しずく 「ポンです」 [東東東]
侑 (あっちゃー! ごめん、歩夢!) 数巡後──。
一巡目から早くも場風の牌を手に入れたしずくは、鳴きを多用して侑からアガり牌を討ち取る。
侑→しずく ロン
七八❶❶ [❺❻❼] [243] [東東東] ロン:九
東・ドラ1 / 2000
侑 「くぅ、やり返された!」
侑 (……やり返された? こんな感覚、そういえばさっきも…)
かすみ : 14800
しずく : 37000(+2000)計 51800
歩夢 : 29900
侑 : 18300(-2000)計 48200 東4局、侑の親。ドラは❾
侑 配牌
二三八九69❷❸❺南北白發 ツモ:7
侑 (この形なら、ピンフを目指していこう。親だし、まずは連チャンで点を稼ぐ!)打:北
手牌は順調に進んでいき、9巡目──。
侑の手牌
一二三六七八九67❷❸❺❺ ツモ:❶
侑 (よし…テンパイ!)
侑 「リーチ!」 打:九 親のリーチに、他家※はベタオリ。
※他家(ターチャ)・・・自分以外の三人のこと
3巡後──。
侑 「ツモ!!」
侑 ツモ
一二三六七八67❶❷❸❺❺ ツモ:5
リーチ・ピンフ・自摸 / 1300オール
侑 (でも…私がリーチをしてピンフをアガったということは、次局おそらく…)
かすみ : 13500(-1300)
しずく : 35700(-1300)計 49200
歩夢 : 28600(-1300)
侑 : 22200 (+3900)計 50800 東4局一本場、侑の親。ドラは二
僅か5巡目──。
しずく 「リーチ!」 打:一
侑 (やっぱり来た! しずくちゃんの先制リーチ。ここまでは私の読み通り。そしてアガりの形はおそらく)
2巡後──。
しずく 「ツモ!」 しずく ツモ
二三四七八九345❺❻❽❽ ツモ:❼
リーチ・ピンフ・自摸・ドラ1 / 1400-2700
侑 (ピンフ…! やっぱりそうだ!)
かすみ : 12100(-1400)
しずく : 41200(+5500)計 53300
歩夢 : 27200(-1400)
侑 : 19500(-2700)計 46700
侑は、東一局からの全員のアガり形を思い出す。そしてそこから、しずくの強さの秘密、“アガりの法則”を見つけ出す。
歩夢の嶺上開花 → しずくも嶺上開花 + チャンタ
侑の東のみ → しずくも東 + ドラ1
侑のリーピン → しずくもリーピン + ドラ1 侑 (やっぱり…)
侑 「ねぇ、しずくちゃん。しずくちゃんはさっきから、他の人がアガった役に、何か一つ足した形でアガってるよね?」
せつ菜 (ほう…)
しずく 「ふふっ、凄いですね先輩。東場が終わるまでに気付いたのは、先輩が二人目ですよ」
侑 「わざとそうしてるの? もしかして、私たちを試すために?」
しずく 「試すなんて、とんでもない!」
点棒をしまい終えたしずくは、全自動卓に牌を落としながら、自分の身の上を語り出した。
しずく 「…これは、与えられた“能力”なんです」
ーーーーーー
ーーーー
ーー
つづく 【次回予告】
かすみ 「ねぇしず子。>>63 で侑先輩が」
侑 (東は先に切っておこう。)
かすみ 「って言ってたけど、なんで役になる可能性のある東を先に切ったの?」
しずく 「じゃあ例をあげながら説明しようか」
東三局、かすみは西家
持っている字牌(東東南白中)
しずく 「今回は、数牌は省略するね。かすみさん、もし字牌を切るとしたら、この中からどれを切る?」 かすみ 「東は対子で、あと一枚で役になるから、絶対切らない。白 中は役になるけど、南は持ってても意味が無いから、南を切るかなぁ」
しずく 「そうだね。大体字牌を切る順番はこうなるね」
重なってる字牌 → 役になる字牌 → 役ナシの字牌
かすみ 「これはかすみんでも分かります!」
しずく 「でも、こうならない時もあるんだ。例えば、相手に鳴かれたくない時」
かすみ 「相手の字牌が重なる前に、切っちゃうってこと?」 しずく 「そういうこと。だから侑先輩はあの時、さっさと東を切ったんだね」
かすみ 「結果的にしず子に鳴かれてましたけど」
しずく 「こればっかりは仕方ないね。プロの対局なんかをみると、安牌の温存や、鳴き対策で字牌をギリギリまで抱える傾向にあるよ」
かすみ 「人それぞれの打ち方があるってことですね」
しずく 「私はかすみさんの素直な打ち方、好きだよ。討ち取りやす…………」
かすみ 「今なんて言おうとしました!?」
次回『演じる、故の縛り』 あけましておめでとうございます
今日も夜から投下しますので、よろしくお願いします 【第3話】『演じる、故の縛り』
侑 「能力?」
しずく 「私が演劇部に所属していることは、ご存知ですか?」
侑 「うん。かすみちゃんから聞いてるよ」
しずく 「役者を志す私にとって、周りの人は全てがお手本であり、そして超えるべき存在なんです」
しずく 「よく観察して、癖とか、動きとか、喋り方を真似て、その人物になりきる。それは役者としての技術を磨くためのものでした」
しずく 「ですが……その生活は役者の技術だけでなく、麻雀の能力も開花させました」
侑 「それが…」 しずく 「はい。『前回相手のアガった役に、何かを足した手役でアガる』という能力です」
歩夢 「そんなことが、本当に?」
しずく 「信じられないかもしれませんが、事実です。…さて、能力も見破られたことですし」
しずくが卓のボタンを押し、牌が上がってくる。
しずく 「続けましょう。南入※です」
※南入(ナンニュウ)・・・南一局に突入すること
侑 「ここからが本番…ってことだね」 南一局、かすみの親。ドラは❷
侑 配牌
一三八八267❶❾東東北白
侑 (能力は見破ったものの、肝心の打開策が思いつかない…)
侑 (アガった手より高くアガられる以上、下手に高い手でアガるのは、むしろ愚策と言える!)
6巡目──。
侑 手牌
一二三八八2367❶❽❾北
侑 (分からない…どうすれば…!) 歩夢 「リーチ!!」 打:八
侑 「…っ、歩夢!」
しずく (侑先輩、悩まれてますね。ですが、悩む必要なんて先輩方にはありませんよ。なぜなら)
しずく 打:❷
歩夢 「えっ…ろ、ロン!」
しずく → 歩夢 ロン
五六七23477❸❹❻❼❽ ロン:❷
リーチ・一発・タンヤオ・ピンフ・ドラ1 / 8000
侑 (やった…!) 歩夢 (…おかしい。しずくちゃんほどの実力者が、リーチに即でドラを切ってくるなんて…)
歩夢 (何か…何かある…!)
かすみ : 12100
しずく : 33200(-8000)計 45300
歩夢 : 35200(+8000)
侑 : 19500 計 54700
南二局、しずくの親。ドラは❺
7巡目──。
侑 手牌
一二三222❶❶❹❹❺❺❼ ツモ:❸ 侑 (❸ ❻待ちのテンパイ! しかもドラドラ!)
侑 「リーチ!」 打:❼
……しかし次巡。
しずく 「リーチです」 打:9
侑 「っ!?」
侑 (何してるんだ私…! さっきアガられたのはリーチ一発タンピンドラ1! てことはこの巡目…!)
侑 ツモ:7
侑 (……ぐぅっ、通ってない牌!)打:7
しずく 「ふふっ、ロン!!」 しずく→侑 ロン
二三四六七八3356❹❺❻ ロン:7
リーチ・一発・タンヤオ・ピンフ・ドラ1
しずく 「裏ドラは……一つ。18000です」
かすみ : 12100
しずく : 52200(+19000)計 64300
歩夢 : 35200
侑 : 500(-19000) 計 35700
侑 「18000…! 親の…跳満……」
侑 (やられた…! わざと歩夢ちゃんのリーチに振り込んだのは、この為!)
侑 (まんまとしてやられた! 点棒が1000点を切った。これじゃあリーチもできない…!) 南2局一本場、しずくの親。ドラは北
侑 配牌
一四八九22❼東南西西發中
侑 (酷い…バラバラだ。前局放銃したから、流れが明らかに途絶えてる)
侑 (ごめん、歩夢……。私のせいで……)
歩夢 「……。」 打:❺
侑 (…歩夢? なに、その眼は)
侑 (まるで、まだ諦めてない…そんな眼) 9巡目 歩夢ツモ番
歩夢 手牌
五五七九345❼❽❾西北 ツモ:2
止まった流れを、再び動かしたのは歩夢だった。ここまで温存してきた西を、切り出す。
歩夢 (…侑ちゃん、お願い!)打:西
侑 「…っ! ポン!」 [西西西]
侑 手牌
四五六八九122❼❾東[西西西]
侑 打:東 さらに次巡──。
歩夢 (これでっ!)打:七
侑 「チー!」
侑 手牌
四五六22❼❾[七八九][西西西]
かすみ 「えいっ…!」 打:❽
侑 「ロン!!」
かすみ → 侑 ロン
四五六22❼❾[七八九][西西西]ロン:❽
西のみ / 1000は1300 侑 (リーチ棒を取り戻した…! でも…)
かすみ : 10800(-1300)
しずく : 52200 計 63000
歩夢 : 35200
侑 : 1800(+1300) 計 37000
侑 (状況は絶望的。それは変わらない)
南三局、歩夢の親。ドラは❹
侑 (後は歩夢と私の親。逆転は可能だけど、マンガンを誰かにツモられればトビ…!)
侑 (どうすれば…どうすれば…!) 歩夢 「………………。」
侑 「……歩夢?」
侑 (何かに気付いて欲しいという眼。私にはわかる。ずっと一緒だったから)
侑 (考えろ、私! 何を伝えたがってる!? 歩夢ちゃんは私に……何を!!)
侑は思考を巡らせる。
しずくの能力は、『前回相手のアガった役に、何かを足した手役でアガる』。
今さっき、自分がアガった役は? 西のみだ。
──つまり次しずくは、西に何か一つ役を足したものでアガってくる。 侑 (……西のみ?)
侑 (今しずくちゃんは、南場の北家。西を集めても役にならないから、アガることは出来ない!)
侑 (確証はない。でも多分……恐らく……)
“この局に限り、しずくは一切アガることが出来なくなっている。”
侑 (そうか…そうだ! そうだよ! ありがとう歩夢。まだ諦めるには早い!)
しずく 「……気付きましたか」
かすみ 「えぇっ、何に? なんか、かすみんだけ置いてけぼりになってませんか?」 12巡目──。
侑 手牌
❶❷❷❷❸❹❹❺❻發發發中 ツモ:❺
侑 「リーチッ!!」打:中
侑 (普段ならこんな重い手、間に合わない!)
侑 (しずくちゃんがアガれない今だからこそできた、この渾身の一手!)
しずく 「…お見事です、侑先輩!」 打:❻
侑 「……!! ロンッ!!!」 しずく → 侑 ロン
❶❷❷❷❸❹❹❺❺❻發發發 ロン:❻
リーチ・發・混一色・一盃口・ドラ2 / 16000
かすみ : 10800
しずく : 36200(-16000)計 47000
歩夢 : 35200
侑 : 17800(+16000) 計 53000
オーラス、侑の親。ドラは❸
……しずくは能力で、先程侑にアガられた手役をコピーしようとする。
しずく 配牌
五八九37❶❷❸❹❹❻發發 しずく (……あまりに、手が重すぎますね)
しずく (手を作らなくてはいけない私に対して、先輩方は一飜でもアガればいい)
侑 「…ポン!」
侑「チー…!」
6巡目 侑 手牌
三四567❽❽[六七八][333]
しずく (……スピードの差は、明白ですね) 数巡後──。
侑 「ツモっ!!」
侑 ツモ
三四567❽❽[333][六七八]ツモ:二
タンヤオのみ 500オール
《対局終了》
かすみ : 10300(-500)
しずく : 35700(-500)計 46000
歩夢 : 34700(-500)
侑 : 19300(+1500) 計 54000(勝)
侑 「〜〜〜〜〜っ!!!!」 歩夢 「はぁ…………」
侑 「勝ったぁぁぁぁぁ!!!!」
パチ…………パチ……
侑 「…? せつ菜ちゃん」
ゆっくりと拍手をしながらせつ菜が歩み寄ってくる。
せつ菜 「見事な連携でした。おふたりにしか出来ない、素晴らしい麻雀です」
侑 「…! ありがとう!」 せつ菜 「ふたりとも、もしよろしければ、麻雀同好会に入りませんか?」
侑 「いいの!? 入る入る!」
歩夢 「えぇっ!? ちょ、ちょっと!」
かすみ 「やりました! 一気に部員が二人も増えましたよ〜」
歩夢 「私、まだ入るとは一言も…」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています