スクールアイドル大河劇場 海未衛門物語
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↓のSSに出てきた4つ目の脚本の世界観で色々書いていきます
一回深夜にスレ立てたのですが、落ちてしまったので立て直しました
よろしければ少しお付き合いください…
果林「さ…寒いわ…」ガタガタ
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1606971078/ 前回までのあらすじ…
師走のある日、音ノ木の郷を治める侍・園田海未衛門(通称・三田九郎)は隣国の秋葉から逃れてきた恋人たちと出会うのでした…
なんと秋葉では、領主の西木野真姫之丞が失恋による傷心により恋愛禁止令を出していたのでした…
その境遇を憐れんだ海未衛門は音ノ木の郷に恋人たちを匿います…
しかし、それを快く思わぬ西木野真姫之丞は、音ノ木の郷に大軍勢を差し向けるのでした…
圧倒的劣勢ながらも何とか善戦する音ノ木の侍衆でしたが、一向に勢いを失わぬ西木野軍に徐々に追い込まれていきます…
その状況を打開するため、海未衛門は西木野真姫之丞の居城、輝夜城へと向かい、待ち受ける西木野軍の精鋭たちを単身で蹴散らし、一騎討ちで真姫之丞を破り、秋葉の恋愛禁止令を撤回させたのです…
しかしこの戦いでの無理がたたり、海未衛門は師走の25日の夜、幼馴染の高坂穂乃介に郷を託して往生するのでした… 三田九郎様が斃れられた…
突然知らされたそんな知らせに、今まで戦の勝利と宴で沸いていた郷の人々は大騒ぎでした…
宴は一転、海未衛門の通夜へと様変わりしました…
郷の皆は近所の寺へ坊主を呼びに行ったり、喪服の準備やら祭壇の準備やらで園田の屋形から出払っています…
今、屋形にいるのは穂乃介と海未衛門だけでした…
海未「…」
穂乃果「…」
穂乃果「…海未衛門」
海未「…」
穂乃果「まるで寝てるみたいだな…」
海未「…」
穂乃果「なぁ、海未衛門」ユサユサ
海未「…」
穂乃果「…」
穂乃果「もう、起きてくれないんだよな…」
穂乃果「うぅ…」
穂乃果「…」チラ
海未「<●><●>」カッ
穂乃果「うわぁ!?」ガタッ
穂乃介は思わず仰け反りました…
なんと、布団に寝かされている海未衛門の、もう二度と開くはずのなかった目が開いているのです…! 穂乃果「目…!!」ワタワタ
穂乃果「目が開いてっ…!!」オロオロ
海未「…」ムクリ
穂乃果「お…起きた!!?」
穂乃果「えっ…!?」
混乱する穂乃介をよそに、海未衛門は布団から起き上がります…
海未「…?」キョロキョロ
海未「…」ピタリ
穂乃果「…?」
海未「…」
そして少し辺りを見回し、穂乃介の姿を認めると…
海未「穂乃介…?」
過去のものになってしまったはずの声で、幼馴染の名を呼んだのです…
穂乃果「!!」 穂乃果「海未衛門…?」
穂乃果「生きてる…?」
海未「…はい」
穂乃果「本物…なのか…?」
海未「はい」
落ち着きを取り戻しかけていた穂乃介の感情が、再び大きく揺さぶられます…
穂乃果「あ…うぅ…」ポロポロ
穂乃果「海未衛門っっ!!」ガシッ
海未「わっ…!」
穂乃果「海未衛門…!」ポロポロ
穂乃果「海未衛門が…生きてるっ…!!」ポロポロ
海未「はい、私はここにいますよ」ギュ…
何故死んでしまったはずの海未衛門は蘇ったのか…
それは海未衛門が蘇る前、黄泉の国にいた時の話でした… 海未「…?」
海未衛門が目を覚ますと、そこは見覚えの無い場所の道の上でした…
しかし、ここが何処なのか海未衛門には何故かはっきりと理解出来ました…
海未「あぁ、私は死んでしまったのですね…」
海未「という事は、ここが黄泉の国という事でしょうか」
立ち止まっていても仕方がないので、とりあえず海未衛門は道を真っ直ぐ前に進むのでした…
海未「しかし…」
海未「黄泉の国というのは、こんなにも荒廃した場所だったのですね…」
黄泉の国の赤い地面は荒れ放題で、あちこちから煙が上がっています…
まるで合戦の後のような有様でした…
海未「む…あれは!」
しばらく歩いて、海未衛門は十字路の真ん中に何やら集団がたむろしているのに出くわしました…
集団の真ん中には柱が立てられ、おとぎ話の青鬼のような見た目をした者が括り付けられていました…
周囲の牛鬼やら赤鬼のような見た目の者たちは、その青鬼に罵声を浴びせています…
海未「何をしているのですか!!」
海未「そのような事はやめなさい!!」
正義感の強い海未衛門は、物怖じひとつせずに集団に分け行って呼びかけます… 牛鬼「あァ!?何だァてめえは!?」
海未「このような真似はやめなさいと言っているのです!」
海未「この縛りつけられている人が何か悪い事をしたのですか!?」
牛鬼「あぁ、そうだよ」
たむろしている鬼たち曰く、この縛られている青鬼が何やら大ポカをしでかし、そのせいで地獄から悪人たちが脱走して黄泉の国で破壊の限りを尽くしているという事でした…
この鬼たちは黄泉の国を管理する獄卒のようなもので、後始末をする前にまず大ポカをしでかした青鬼を石打ちにして責任を取らせようとしていたのです…
海未「なるほど…」
海未「ですが、まずはこの状況をなんとかすべきではないでしょうか…?」
牛鬼「う…」
赤鬼「そう言われるとその通りだ…」
赤鬼「しかし、俺たちにものっぴきなんねえ事情があってな…」
なんと、この獄卒たちは今人手不足なのでした…
獄卒は労働環境が非常に悪く、それを疑問視した一部の連中が仕事に出なくなってしまったのです…
現代風に言う所の、ストライキというやつです…
なので、人手不足故にこの獄卒たちも壊された地獄の檻や関所を修復するのに手一杯で、逃げ出した悪人たちをなんとかするのに人員を割けない状態なのでした…
海未「状況は分かりました」
海未「では、私がその悪人どもをなんとかして参りましょう」
黄泉の国の有様を聞いて、海未衛門は迷わず援助を申し出たのでした… 「なるほど、話は聞かせてもらったよ」
海未「!」
突然背後からよく知った声が聞こえ、弾かれるように海未衛門は振り向きます…
海未「希御前!?」
海未「あなたも死んでしまったのですか!?」
希「ウチは意識を黄泉の国に飛ばしてるだけやよ」
希「黄泉の国が何だか大変なことになっているみたいだから様子を見にきたけど、これは予想以上やねぇ」
この希御前というのは神出鬼没の占い師で、海未衛門や穂乃介とも旧知の仲でした…
希「よし、ウチも海未衛門ちゃんに協力しよう」
海未衛門と希御前の、黄泉の国での戦いが幕を開けました… 海未「…」
希「…」
悪人「ヒャッハーー!!」ドガシャーン!
悪人「オラァ!」ボコスカ
亡者「あひぃー!!」
悪人「ハハハァ!!あの世は俺たちのもんだぜぇ!!」
海未「これは…想像以上ですね…」
希「骨が折れそうやね…」
獄卒達の言っていた通り、黄泉の国はとんでもないことになっていました…
海未「待ちなさいそこの狼藉者ども!!」
海未「この園田海未衛門が相手です!かかってきなさい!!」
高らかに名乗りを上げ、海未衛門は悪人たちに向かって切り込みます…
海未「はっ!!」ブン
悪人たち「ぬわーーっっ!!(斬首)」
一度死んだ海未衛門でしたが、その天下無双の武勇には衰えひとつありませんでした…
獄卒から借りた刀と槍は錆びていましたが、そんなものはお構いなしに悪人たちをなます斬りにしていきます…
希「それっ」バキィィ
悪人たち「ひぎゃぁーーー!!!(絶命)」
黄泉の国という割と超常的な場所ゆえ、希御前は現世にいる時よりも凄い事が出来るのです…
上玉の女だと喜び勇んで希御前に近づいたが最後、悪人たちは地面から噴き出す炎に灼かれたり、地割れに呑み込まれたりして次々に絶命していくのです…
獄卒たち「す、すげえぞあの亡者2人…!」
海未衛門と希御前の異次元の強さに、修復作業に取り組む獄卒たちも驚きを隠せませんでした… 戦う海未衛門と希御前の周りには、いつしか大勢の味方が加わっていました…
海未衛門たちとは別のところで悪人たちと戦っていた亡者たちが加勢に入ったのです…
海未「あれは私のご先祖様!!」
海未「穂乃介の先祖もいます!!」
海未「加勢していただき感謝いたします…!」
圧倒的に劣勢で始まった海未衛門たちの戦いは、ついに悪人たちを追い詰め、地獄へと一気に押し返せるほど優勢になったのです…
しかし… 希「…!!」ビク
海未「どうかしましたか、希御前…?」
希「何や…?」
希「霊気の流れが…すごく嫌な感じに…!」
希御前が「嫌な感じ」を覚えてすぐ、それは起こりました…
園田家の先祖「あ…悪人どもが…!?」
高坂家の先祖「一点に引き寄せられている…!?」
なんと悪人たちが一点に集まり、融合し始めたのです…
融合した大勢の悪人たちは、小さな山ほどはあろうかというほどの1体の巨大な肉塊のような怪物へと姿を変えたのです…
海未「な…何ですあれは…!?」
希「そんな…!!」
怪物は長い腕を振り回し、まるで机の上のゴミでも払うかのように海未衛門達の味方を吹き飛ばします…
「うわぁぁーー!!」
海未「あぁ!!」
海未「くぅ…!」
あのような化け物を倒す術など、今の海未衛門にはありませんでした…
口惜しさに歯噛みし、暴れる怪物をただただ見ているほかに海未衛門に出来ることなどありませんでした… 海未「何か…」
海未「何か手は無いでしょうか…!」
希「あるよ」スッ
希御前が懐から何やら矢のような物を取り出します…
希「これは破邪の矢」
希「気を高めて射てば、どんな怪異だって一矢で仕留める事ができる」
希「でも、充分に気を高めるには時間がかかるんよ」
希「気を高めてる途中に攻撃を受けたらおしまい…」
希「この状況で使うのは危ないかもしれんね…」
園田家の先祖「では気を充分高めるまで我々があの化け物の気を引こう」
園田家の先祖「我が子孫よ、任せたぞ」
海未「はい!」
先祖が怪物に向かって突撃するのを見て、海未衛門は破邪の矢を先祖から借りた弓につがえます…
海未「すぅ…はぁ…」ギリリ…
そして弓を引き、呼吸を整えるのでした… 園田家の先祖や高坂家の先祖、その他にも大勢の味方が怪物の気を引いているうちに海未衛門は気を高め、ついに破邪の矢を撃てるようになりました…
希「海未衛門ちゃん!あそこを狙うんや!!」
怪物の体の一点を、天からの光が照らします…
希御前は祈りの力で、怪物の急所を指し示したのです…
怪物「ウォォォォ…!!」ブン
海未「なっ!?」
しかし、怪物は海未衛門に気づき、最後の抵抗とばかりにその腕を振るってきたのです…
海未「しかし、奴の急所はガラ空きです!」
海未「はっ!!」ビシュ!
素早く狙いを定め、海未衛門は破邪の矢を怪物の急所へと放ちます… 放たれた破邪の矢はまばゆい光の軌跡を後に残しながら、見事に怪物の急所を貫きました…
怪物「グゥアァァァァ…!!」
希「やった!!」
怪物「ウォォォォ…」ズズゥン…
怪物はひとつ大きく身悶えして断末魔の叫びをあげるとそのまま地面に倒れ伏し、塵と消えたのでした…
希「海未衛門ちゃんは…!」
希「海未衛門ちゃん!!」
土煙が晴れ、海未衛門の姿が見えました…
海未「ふぅ…」
海未「やりました!」
海未「やりましたよ希御前!」
怪物が倒れた衝撃で尻もちをついていましたが、海未衛門は無事でした…
希「よかった…」ホッ
海未「間一髪でしたよ」
黄泉の国を震撼させた大騒動はこれにて一件落着…
黄泉の国に静かな日常が帰ってきたのでした…
獄卒たち「本当に助かった…いくらお礼を言っても足りねえぐらいだ…」
獄卒たちも海未衛門の武勇を大いに称え、戻ってきた平穏を喜びました… 希「おっと、ウチはそろそろ帰らなくちゃやね」
海未「そうですか…」
海未「寂しくなりますね…」
海未「…あっ、そうです」
海未「穂乃介に伝言を頼めますでしょうか?」
海未「まずは、「鍛錬を怠るな」と」
希「海未衛門ちゃん」
海未「それから、「つまみ食いのような行儀の悪いことはするな」と」
海未「…あと、「お饅頭は毎日多めに供えて欲しい」と」
海未「もしお饅頭を供え忘れたら承知しないともお伝えください」
希「…海未衛門ちゃん」
海未「あぁ、どうしたんです希御前?」
希「海未衛門ちゃんも帰るんよ?」
海未「…はい?」
希「海未衛門ちゃんは今死ぬべきで無い、というお告げが出とるんよ」
希「だから、海未衛門ちゃんも帰るんよ」スゥ…
海未「えっ?」
海未「あっ、体が何だか透けて…」スゥ
海未「い…意識が…」スゥ…
こうして海未衛門は黄泉の国を後にし、現世へと帰ってきたのでした… 海未「…」パチ
海未(…ここは?)
「…わ…!?」
「目が……て…!」
海未「…」ムクリ
海未(見た感じ私の屋形のようですね…)
「……きた…!?」
「え………?」
海未(さっきから何か聞こえますが、この声は…?)
海未(何だかすごく聞き覚えがあるような…)キョロキョロ
穂乃果「…?」
海未(穂乃介!穂乃介ではありませんか!)
海未「…」
海未「穂乃介…?」
穂乃果「!!」 凛「おーい!穂乃介ー!」
凛「穂乃介ーー!」
凛は園田の屋形に食客として居着いている牢人で、その素早い剣捌きから「星空の凛」と呼ばれていました…
そんな凛は、海未衛門の通夜のため近所の寺から坊主を呼んできたのでした…
穂乃果「凛っ!!」バッ
そんな凛の元に、穂乃介が突然泣き笑いしながら現れました…
凛「うわぁ!いきなりどうしたにゃあ!?」
穂乃果「海未衛門が生きてて…!」ポロポロ
穂乃果「動いててぇ…!!」ポロポロ
凛「…」
凛「可哀想に…」
凛「海未衛門が死んだのがよっぽど堪えたんだね…」
穂乃果「本当に生きてるんだってぇぇ!!」グスグス
凛「そんなわけねえにゃ!」
凛「現実見るにゃ!!」
凛「海未衛門は死ん…」
海未「騒がしいですよ…」
凛「う、うわぁ!?海未衛門!?」
凛「ほんとだ!生きてる!!」
凛「うぅ…海未衛門ー!!」バッ
海未「わっ…!?」
こうして、海未衛門は黄泉の国の大騒動を解決して現世へと蘇ったのでした…
希「海未衛門ちゃん、ちゃんと帰れたみたいやね」
海未衛門物語・黄泉の国大合戦の巻 完 これも座長劇場なのかな?それとも完全なスピンオフ? ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています