スクールアイドル大河劇場 海未衛門物語
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↓のSSに出てきた4つ目の脚本の世界観で色々書いていきます
一回深夜にスレ立てたのですが、落ちてしまったので立て直しました
よろしければ少しお付き合いください…
果林「さ…寒いわ…」ガタガタ
https://fate.5ch.net/test/read.cgi/lovelive/1606971078/ 前回までのあらすじ…
師走のある日、音ノ木の郷を治める侍・園田海未衛門(通称・三田九郎)は隣国の秋葉から逃れてきた恋人たちと出会うのでした…
なんと秋葉では、領主の西木野真姫之丞が失恋による傷心により恋愛禁止令を出していたのでした…
その境遇を憐れんだ海未衛門は音ノ木の郷に恋人たちを匿います…
しかし、それを快く思わぬ西木野真姫之丞は、音ノ木の郷に大軍勢を差し向けるのでした…
圧倒的劣勢ながらも何とか善戦する音ノ木の侍衆でしたが、一向に勢いを失わぬ西木野軍に徐々に追い込まれていきます…
その状況を打開するため、海未衛門は西木野真姫之丞の居城、輝夜城へと向かい、待ち受ける西木野軍の精鋭たちを単身で蹴散らし、一騎討ちで真姫之丞を破り、秋葉の恋愛禁止令を撤回させたのです…
しかしこの戦いでの無理がたたり、海未衛門は師走の25日の夜、幼馴染の高坂穂乃介に郷を託して往生するのでした… 三田九郎様が斃れられた…
突然知らされたそんな知らせに、今まで戦の勝利と宴で沸いていた郷の人々は大騒ぎでした…
宴は一転、海未衛門の通夜へと様変わりしました…
郷の皆は近所の寺へ坊主を呼びに行ったり、喪服の準備やら祭壇の準備やらで園田の屋形から出払っています…
今、屋形にいるのは穂乃介と海未衛門だけでした…
海未「…」
穂乃果「…」
穂乃果「…海未衛門」
海未「…」
穂乃果「まるで寝てるみたいだな…」
海未「…」
穂乃果「なぁ、海未衛門」ユサユサ
海未「…」
穂乃果「…」
穂乃果「もう、起きてくれないんだよな…」
穂乃果「うぅ…」
穂乃果「…」チラ
海未「<●><●>」カッ
穂乃果「うわぁ!?」ガタッ
穂乃介は思わず仰け反りました…
なんと、布団に寝かされている海未衛門の、もう二度と開くはずのなかった目が開いているのです…! 穂乃果「目…!!」ワタワタ
穂乃果「目が開いてっ…!!」オロオロ
海未「…」ムクリ
穂乃果「お…起きた!!?」
穂乃果「えっ…!?」
混乱する穂乃介をよそに、海未衛門は布団から起き上がります…
海未「…?」キョロキョロ
海未「…」ピタリ
穂乃果「…?」
海未「…」
そして少し辺りを見回し、穂乃介の姿を認めると…
海未「穂乃介…?」
過去のものになってしまったはずの声で、幼馴染の名を呼んだのです…
穂乃果「!!」 穂乃果「海未衛門…?」
穂乃果「生きてる…?」
海未「…はい」
穂乃果「本物…なのか…?」
海未「はい」
落ち着きを取り戻しかけていた穂乃介の感情が、再び大きく揺さぶられます…
穂乃果「あ…うぅ…」ポロポロ
穂乃果「海未衛門っっ!!」ガシッ
海未「わっ…!」
穂乃果「海未衛門…!」ポロポロ
穂乃果「海未衛門が…生きてるっ…!!」ポロポロ
海未「はい、私はここにいますよ」ギュ…
何故死んでしまったはずの海未衛門は蘇ったのか…
それは海未衛門が蘇る前、黄泉の国にいた時の話でした… 海未「…?」
海未衛門が目を覚ますと、そこは見覚えの無い場所の道の上でした…
しかし、ここが何処なのか海未衛門には何故かはっきりと理解出来ました…
海未「あぁ、私は死んでしまったのですね…」
海未「という事は、ここが黄泉の国という事でしょうか」
立ち止まっていても仕方がないので、とりあえず海未衛門は道を真っ直ぐ前に進むのでした…
海未「しかし…」
海未「黄泉の国というのは、こんなにも荒廃した場所だったのですね…」
黄泉の国の赤い地面は荒れ放題で、あちこちから煙が上がっています…
まるで合戦の後のような有様でした…
海未「む…あれは!」
しばらく歩いて、海未衛門は十字路の真ん中に何やら集団がたむろしているのに出くわしました…
集団の真ん中には柱が立てられ、おとぎ話の青鬼のような見た目をした者が括り付けられていました…
周囲の牛鬼やら赤鬼のような見た目の者たちは、その青鬼に罵声を浴びせています…
海未「何をしているのですか!!」
海未「そのような事はやめなさい!!」
正義感の強い海未衛門は、物怖じひとつせずに集団に分け行って呼びかけます… 牛鬼「あァ!?何だァてめえは!?」
海未「このような真似はやめなさいと言っているのです!」
海未「この縛りつけられている人が何か悪い事をしたのですか!?」
牛鬼「あぁ、そうだよ」
たむろしている鬼たち曰く、この縛られている青鬼が何やら大ポカをしでかし、そのせいで地獄から悪人たちが脱走して黄泉の国で破壊の限りを尽くしているという事でした…
この鬼たちは黄泉の国を管理する獄卒のようなもので、後始末をする前にまず大ポカをしでかした青鬼を石打ちにして責任を取らせようとしていたのです…
海未「なるほど…」
海未「ですが、まずはこの状況をなんとかすべきではないでしょうか…?」
牛鬼「う…」
赤鬼「そう言われるとその通りだ…」
赤鬼「しかし、俺たちにものっぴきなんねえ事情があってな…」
なんと、この獄卒たちは今人手不足なのでした…
獄卒は労働環境が非常に悪く、それを疑問視した一部の連中が仕事に出なくなってしまったのです…
現代風に言う所の、ストライキというやつです…
なので、人手不足故にこの獄卒たちも壊された地獄の檻や関所を修復するのに手一杯で、逃げ出した悪人たちをなんとかするのに人員を割けない状態なのでした…
海未「状況は分かりました」
海未「では、私がその悪人どもをなんとかして参りましょう」
黄泉の国の有様を聞いて、海未衛門は迷わず援助を申し出たのでした… 「なるほど、話は聞かせてもらったよ」
海未「!」
突然背後からよく知った声が聞こえ、弾かれるように海未衛門は振り向きます…
海未「希御前!?」
海未「あなたも死んでしまったのですか!?」
希「ウチは意識を黄泉の国に飛ばしてるだけやよ」
希「黄泉の国が何だか大変なことになっているみたいだから様子を見にきたけど、これは予想以上やねぇ」
この希御前というのは神出鬼没の占い師で、海未衛門や穂乃介とも旧知の仲でした…
希「よし、ウチも海未衛門ちゃんに協力しよう」
海未衛門と希御前の、黄泉の国での戦いが幕を開けました… 海未「…」
希「…」
悪人「ヒャッハーー!!」ドガシャーン!
悪人「オラァ!」ボコスカ
亡者「あひぃー!!」
悪人「ハハハァ!!あの世は俺たちのもんだぜぇ!!」
海未「これは…想像以上ですね…」
希「骨が折れそうやね…」
獄卒達の言っていた通り、黄泉の国はとんでもないことになっていました…
海未「待ちなさいそこの狼藉者ども!!」
海未「この園田海未衛門が相手です!かかってきなさい!!」
高らかに名乗りを上げ、海未衛門は悪人たちに向かって切り込みます…
海未「はっ!!」ブン
悪人たち「ぬわーーっっ!!(斬首)」
一度死んだ海未衛門でしたが、その天下無双の武勇には衰えひとつありませんでした…
獄卒から借りた刀と槍は錆びていましたが、そんなものはお構いなしに悪人たちをなます斬りにしていきます…
希「それっ」バキィィ
悪人たち「ひぎゃぁーーー!!!(絶命)」
黄泉の国という割と超常的な場所ゆえ、希御前は現世にいる時よりも凄い事が出来るのです…
上玉の女だと喜び勇んで希御前に近づいたが最後、悪人たちは地面から噴き出す炎に灼かれたり、地割れに呑み込まれたりして次々に絶命していくのです…
獄卒たち「す、すげえぞあの亡者2人…!」
海未衛門と希御前の異次元の強さに、修復作業に取り組む獄卒たちも驚きを隠せませんでした… 戦う海未衛門と希御前の周りには、いつしか大勢の味方が加わっていました…
海未衛門たちとは別のところで悪人たちと戦っていた亡者たちが加勢に入ったのです…
海未「あれは私のご先祖様!!」
海未「穂乃介の先祖もいます!!」
海未「加勢していただき感謝いたします…!」
圧倒的に劣勢で始まった海未衛門たちの戦いは、ついに悪人たちを追い詰め、地獄へと一気に押し返せるほど優勢になったのです…
しかし… 希「…!!」ビク
海未「どうかしましたか、希御前…?」
希「何や…?」
希「霊気の流れが…すごく嫌な感じに…!」
希御前が「嫌な感じ」を覚えてすぐ、それは起こりました…
園田家の先祖「あ…悪人どもが…!?」
高坂家の先祖「一点に引き寄せられている…!?」
なんと悪人たちが一点に集まり、融合し始めたのです…
融合した大勢の悪人たちは、小さな山ほどはあろうかというほどの1体の巨大な肉塊のような怪物へと姿を変えたのです…
海未「な…何ですあれは…!?」
希「そんな…!!」
怪物は長い腕を振り回し、まるで机の上のゴミでも払うかのように海未衛門達の味方を吹き飛ばします…
「うわぁぁーー!!」
海未「あぁ!!」
海未「くぅ…!」
あのような化け物を倒す術など、今の海未衛門にはありませんでした…
口惜しさに歯噛みし、暴れる怪物をただただ見ているほかに海未衛門に出来ることなどありませんでした… 海未「何か…」
海未「何か手は無いでしょうか…!」
希「あるよ」スッ
希御前が懐から何やら矢のような物を取り出します…
希「これは破邪の矢」
希「気を高めて射てば、どんな怪異だって一矢で仕留める事ができる」
希「でも、充分に気を高めるには時間がかかるんよ」
希「気を高めてる途中に攻撃を受けたらおしまい…」
希「この状況で使うのは危ないかもしれんね…」
園田家の先祖「では気を充分高めるまで我々があの化け物の気を引こう」
園田家の先祖「我が子孫よ、任せたぞ」
海未「はい!」
先祖が怪物に向かって突撃するのを見て、海未衛門は破邪の矢を先祖から借りた弓につがえます…
海未「すぅ…はぁ…」ギリリ…
そして弓を引き、呼吸を整えるのでした… 園田家の先祖や高坂家の先祖、その他にも大勢の味方が怪物の気を引いているうちに海未衛門は気を高め、ついに破邪の矢を撃てるようになりました…
希「海未衛門ちゃん!あそこを狙うんや!!」
怪物の体の一点を、天からの光が照らします…
希御前は祈りの力で、怪物の急所を指し示したのです…
怪物「ウォォォォ…!!」ブン
海未「なっ!?」
しかし、怪物は海未衛門に気づき、最後の抵抗とばかりにその腕を振るってきたのです…
海未「しかし、奴の急所はガラ空きです!」
海未「はっ!!」ビシュ!
素早く狙いを定め、海未衛門は破邪の矢を怪物の急所へと放ちます… 放たれた破邪の矢はまばゆい光の軌跡を後に残しながら、見事に怪物の急所を貫きました…
怪物「グゥアァァァァ…!!」
希「やった!!」
怪物「ウォォォォ…」ズズゥン…
怪物はひとつ大きく身悶えして断末魔の叫びをあげるとそのまま地面に倒れ伏し、塵と消えたのでした…
希「海未衛門ちゃんは…!」
希「海未衛門ちゃん!!」
土煙が晴れ、海未衛門の姿が見えました…
海未「ふぅ…」
海未「やりました!」
海未「やりましたよ希御前!」
怪物が倒れた衝撃で尻もちをついていましたが、海未衛門は無事でした…
希「よかった…」ホッ
海未「間一髪でしたよ」
黄泉の国を震撼させた大騒動はこれにて一件落着…
黄泉の国に静かな日常が帰ってきたのでした…
獄卒たち「本当に助かった…いくらお礼を言っても足りねえぐらいだ…」
獄卒たちも海未衛門の武勇を大いに称え、戻ってきた平穏を喜びました… 希「おっと、ウチはそろそろ帰らなくちゃやね」
海未「そうですか…」
海未「寂しくなりますね…」
海未「…あっ、そうです」
海未「穂乃介に伝言を頼めますでしょうか?」
海未「まずは、「鍛錬を怠るな」と」
希「海未衛門ちゃん」
海未「それから、「つまみ食いのような行儀の悪いことはするな」と」
海未「…あと、「お饅頭は毎日多めに供えて欲しい」と」
海未「もしお饅頭を供え忘れたら承知しないともお伝えください」
希「…海未衛門ちゃん」
海未「あぁ、どうしたんです希御前?」
希「海未衛門ちゃんも帰るんよ?」
海未「…はい?」
希「海未衛門ちゃんは今死ぬべきで無い、というお告げが出とるんよ」
希「だから、海未衛門ちゃんも帰るんよ」スゥ…
海未「えっ?」
海未「あっ、体が何だか透けて…」スゥ
海未「い…意識が…」スゥ…
こうして海未衛門は黄泉の国を後にし、現世へと帰ってきたのでした… 海未「…」パチ
海未(…ここは?)
「…わ…!?」
「目が……て…!」
海未「…」ムクリ
海未(見た感じ私の屋形のようですね…)
「……きた…!?」
「え………?」
海未(さっきから何か聞こえますが、この声は…?)
海未(何だかすごく聞き覚えがあるような…)キョロキョロ
穂乃果「…?」
海未(穂乃介!穂乃介ではありませんか!)
海未「…」
海未「穂乃介…?」
穂乃果「!!」 凛「おーい!穂乃介ー!」
凛「穂乃介ーー!」
凛は園田の屋形に食客として居着いている牢人で、その素早い剣捌きから「星空の凛」と呼ばれていました…
そんな凛は、海未衛門の通夜のため近所の寺から坊主を呼んできたのでした…
穂乃果「凛っ!!」バッ
そんな凛の元に、穂乃介が突然泣き笑いしながら現れました…
凛「うわぁ!いきなりどうしたにゃあ!?」
穂乃果「海未衛門が生きてて…!」ポロポロ
穂乃果「動いててぇ…!!」ポロポロ
凛「…」
凛「可哀想に…」
凛「海未衛門が死んだのがよっぽど堪えたんだね…」
穂乃果「本当に生きてるんだってぇぇ!!」グスグス
凛「そんなわけねえにゃ!」
凛「現実見るにゃ!!」
凛「海未衛門は死ん…」
海未「騒がしいですよ…」
凛「う、うわぁ!?海未衛門!?」
凛「ほんとだ!生きてる!!」
凛「うぅ…海未衛門ー!!」バッ
海未「わっ…!?」
こうして、海未衛門は黄泉の国の大騒動を解決して現世へと蘇ったのでした…
希「海未衛門ちゃん、ちゃんと帰れたみたいやね」
海未衛門物語・黄泉の国大合戦の巻 完 これも座長劇場なのかな?それとも完全なスピンオフ? 音ノ木の郷の隣、神田にはことり姫という大層美しい武家の娘がいました…
このことり姫ですが、何と近くの有力な武家の当主との縁談が入り、近いうちに見合いをする事となったのです…
いわゆる政略結婚というやつです…
ことり「もう怒りました!」
ことり「ことりは家出します!」
ことり姫は結構なお転婆でした…
顔も素性も知らぬ武家の当主と、気の進まぬ縁談を勝手に親に入れられてしまったことり姫は、見合いの前日に抗議の意味も込めて秋葉の街へと家出を決行したのでした…
家出がバレて屋敷が大騒ぎになり、捜索隊が出された頃には、ことり姫はすでに秋葉の街で自由を満喫しているところでした…
そして、ことり姫が家出を決行したその頃、音ノ木の郷では… 海未「はぁ…」
海未「素性の分からない相手との縁談なんて、気が進みません…」
海未衛門も、素性の知らぬ相手との見合いを前日に控えていました…
今から海未衛門は穂乃介と凛を引き連れて、見合いの席で着る新しい衣装を受け取りに秋葉の街へと向かうところでした…
そのついでに、せっかくだからパーッと秋葉で遊んで帰ろうというのが今回の三人の旅の趣旨でした…
穂乃果「いや〜、秋葉の街楽しみだなぁ!」
凛「ワックワクするにゃあ!」
穂乃果「秋葉に着いたらどうする?まず南蛮菓子でも食べようか!?」
海未「こら二人とも!遊びは用事のついでです!」
海未「はぁ…」
翌日に控えた見合いのことを考えると、海未衛門は少々気分が重くなります…
凛「まぁまぁ海未衛門、今はお見合いのことは置いといてパーッとやろうよ!」
穂乃果「そうだよそうだよ!!」
海未「しかし…!」
海未「……確かに、二人の言う通りですね」フフ
海未「見合いの事はその時に考えましょう」
穂乃果「よーし!こうしちゃいられない!!」
穂乃果「秋葉まで全速前進だ!」ダッ
凛「にゃー!!」ダッ
海未「あっ!こら待ちなさい!!」ダッ
こうして、海未衛門・穂乃介・凛の三人の、買い出しとは名ばかりの秋葉遊びが騒々しく始まったのでした… 「そこ行く三人のお侍さま…」
秋葉へと向かう道中、道端のお堂の近くで海未衛門たち一行は急に呼び止められます…
海未「はい…?」
海未「…って、希御前ではありませんか!」
希「奇遇やねぇ」フフフ…
海未衛門たちを呼び止めたのは神出鬼没の占い師、希御前でした…
希御前はお堂に机を広げ、「占」と書かれた幟を掲げていました…
希御前はたまにこうして道端や街中で占いをしていることがあるのでした…
希「せっかくだし、みんなの運勢を占ってあげよう」
穂乃果「おおっ!」
希「むむむ…」
希御前は札を取り出し、占いを始めました…
希「海未衛門ちゃんの運勢は…」
希「人助けをすると吉…やね」
希「それから、この先良い出会いが待ち受けているという暗示も出とるね…」
希「まぁ、海未衛門ちゃんはいつも通りにしてれば大丈夫やろねぇ」
海未「なるほど…」
海未衛門「……」
出会いと聞いて、海未衛門の脳裏に一瞬見合いの事がよぎります…
希「…?」
穂乃介「なぁ、私はどうなのさ?」
凛「凛は!?」
希「えっ?あー…」
希「う〜ん…二人はこれから、ちょっと大人になれるという暗示が出とるね」
希「でも、あんまり背伸びをしすぎると痛い目に遭うとも出とるから、背伸びするのはほどほどにしとくんよ?」
凛「ちょっと…」ワクワク
穂乃果「大人になれる…?」ドキドキ
占いの結果を聞いた穂乃介と凛は、何だか浮き足立っていました…
対して海未衛門は、見合いのこともあって気が重いのか少々沈んで見えました… 希「…」
何やら思い詰めた様子の海未衛門に、希御前は励ましの言葉をかけます…
希「海未衛門ちゃんは何か心配事があるみたいだけど、きっと大丈夫やよ」
海未「…」
希「ウチが占った海未衛門ちゃんの未来には、悪いものは見えなかったからね」
海未「希御前…」
海未「貴女にそう言われると、何だか本当に大丈夫に思えてきますね」フフ…
海未「ありがとうございます、貴女の占いのおかげで少し気が楽になりました」
希「ふふっ、そんな褒めても何も出ぇへんよ?」
希「それより、みんな用事は大丈夫なん?」
海未「あぁ!そうでした!」
海未「ほら穂乃介、凛!急ぎますよ!」タタタ…
穂乃果「あっ!待ってよ海未衛門!」タタタ…
凛「希御前さま、ありがとにゃ!」タタタ…
希「ふふ…元気やなぁ…」
希「…頑張るんよ、海未衛門ちゃん」
秋葉へと道を急ぐ三人の後ろ姿を見ながら、希御前は優しく微笑んでいました… そんなこんなで、希御前の占い以外に大した事も起こる事なく海未衛門たちは秋葉の街にたどり着きました…
穂乃果「いよぉーし!!遊ぶぞぉ〜!!」ダッ
凛「よっしゃよっしゃわっしょぉい!!」ダッ
海未「あっ、こらっ!!」
海未「もう…」
秋葉に着くや否や、穂乃介と凛は「海未衛門の一張羅を買いに行く」という目的を放り出して街の大路を駆けて行きました…
海未「仕方がありません、一人で店まで行きましょう」
海未「あの二人を捕まえるのはその後です」
海未「はぁ…全く…」
一人取り残された海未衛門は、とぼとぼと当初の目的地である呉服屋へと向かうのでした… 呉服屋への道すがら、海未衛門は裏路地から何やら言い争うような声がするのを耳にします…
海未「…?」
海未「何でしょう…?」
何だか少々気になった海未衛門は、しばし立ち止まって聞き耳を立ててみました…
「いやっ!離してください!!」
「へへへ…お前みたいな上玉の女に離せと言われて、離す馬鹿がいるかよ…!」
「うへへ…良いケツしてるなぁ…」
「や…やめて…!」
海未「!!」
海未(女人に狼藉を働くとはなんと破廉恥な!捨て置けません!!)ダッ
海未衛門は不埒な事は決して許さぬ正義の士でありました…
海未衛門は咄嗟に裏路地に飛び込みます…
海未「待ちなさいそこの狼藉者!!」
海未「その方を離しなさい!!」
ことり「!!」
ならず者その参「ぶっ飛ばしてやらぁ!!」ダッ
何も考えず自信満々に拳を振り上げて向かってきたならず者の一人を、海未衛門は思い切り地面に投げ飛ばします…
海未「せいっ!!」ブンッ
ならず者その参「ぐわぁ!?」ドテーン!
ならず者その壱「てめぇよくも!!」バッ
ババッ
さらに向かってくるならず者二人の攻撃を掠ることもなく、海未衛門は的確な一撃でならず者どもを地面に転がします…
荒事には慣れているならず者どもとはいえ、普段から並々ならぬ鍛錬を欠かすことなく続け、大規模な合戦も経験している侍の海未衛門には全く手も足も出ませんでした…
ならず者たち「ひぃ!命ばかりはお助けを〜!(敗走)」ピュー
海未「…」
ことり「…」
裏路地には、海未衛門と町娘のような格好をした少女の二人だけが残されました… 海未「大丈夫ですか?お怪我はありませんか?」
ことり「あ…貴方は…?」
海未「私は…」
海未(私は今日お忍びで来ているので、普通に名乗ってはまずいですね…)
海未「私は…羅武亜郎(らぶあろう)と申します」
海未衛門は、とっさにその場で思いついた偽名を名乗ります…
海未「貴女は…?」
ことり「私は、こと…」
海未「?」
ことり「…美奈燐(みなりん)と申します」
海未「美奈燐…良い名前ですね」
海未「こんなところに長居は不要です、大路の方に行きましょうか…」
海未衛門はそう促しましたが、何故かこの美奈燐という少女は動こうとしません…
ことり「…」フルフル
海未「…?」
海未(震えている…?)
海未(どうやらさっきの件で少し腰を抜かしてしまっているみたいですね…)
海未「…」
海未「分かりました」
海未「貴女が落ち着くまで、私がそばに居ます」
そう言って美奈燐の隣に腰掛けると、海未衛門は懐から何か差し出しました…
スッ
ことり「…?」
海未「お饅頭ですよ」
海未「甘いものでも食べれば、気も紛れるでしょう」
海未衛門は饅頭を美奈燐に手渡すと、もう一つ饅頭を懐から取り出して食べ始めました… 海未「それで、私の幼馴染ときたら目を泳がせながら片言で「食べてません」の一点張りで…!」
海未「口の周りには食べかすをいっぱいつけた状態でですよ!?」
海未「その情けない姿がもう悲しくて口惜しくて…!」
ことり「ンフッwwピィッwww」プルプル
路地裏の片隅で海未衛門と美奈燐はたわいもない話に花を咲かせていました…
ちなみに、海未衛門が今話しているのは頂き物の南蛮菓子を穂乃介が残らず盗み食いしてしまった時の話です…
2人は今しがた知り合ったばかりだというのに、まるで古くからの友人のように和やかに時を過ごしていました…
海未「…そういえば、美奈燐はどうしてこんな所に?」
ことり「う〜ん…」
海未「あっ、別に言いにくければ言わなくても…」
ことり「う、ううん!そんな言いにくいことってわけじゃ…」
ことり「羅武亜郎さまなら…言っても…」ボソッ
海未「…?」
海未衛門の問いに美奈燐は少々答えるのをためらいそうになりましたが、「この人なら話しても大丈夫そうだし、もしかしたら何かいい答えが得られるかも」と思い立ち、意を決して自分の身の上話を話すことにしました…
彼女自身、実は色々と悩んでいたのです… ことり「私、お見合いを明日に控えてて…」
ことり「でも相手の名前も聞かされてなくて、どんな人なのかも教えてもらえなくて…」
ことり「そんなよくわからない人とお見合いなんて嫌だって思ってお屋敷から逃げてきて…」
ことり「それで秋葉に来て街を歩いていたら、急にさっきの人たちに声をかけられて連れ去られそうになって…」
ことり「それでここまで逃げてきたんだ」
なんと、この美奈燐という娘こそ、冒頭で家から出奔したことり姫だったのです…
ことり姫は、自前で作った町娘風の服装に着替えて秋葉の街で勝ち取った自由を謳歌していたのでした…
海未「そうだったんですね…」
海未「…っ」
海未「ふふっ…」
ことり「!?」
海未「ああ、すみません」
海未「不思議な事もあるものだと思いまして…」
海未衛門は急に吹き出してしまった事を詫びると、自分も見合いを明日に控えてる事を話しました…
海未「実は私も見合いを明日に控えてるんですよ」
海未「相手がどんな人なのかも分からないというのも一緒です」
ことり「!」
ことり「じゃあ、羅武亜郎さまもお見合いが嫌でお逃げに…?」
海未「いいえ」
海未「私は、呉服屋に注文していた服を取りに来たんです」
海未「服なんてわざわざ買わなくてもと言ったんですが、家の者に押し切られてしまって…」
海未衛門は割とお洒落には無頓着な部類でした…
今着ている小袖と袴も、丈夫ながらも見た目は地味な実用性重視のものでした… ことり「…羅武亜郎さまは、嫌じゃないんですか?」
海未「…確かに、気は進みませんね」
海未「でも、逃げようとは思いません」
海未「…」
海未「貴女は、見合いから逃げてどうしたいのです?」
ことり「!」
ことり「そ…それは……」
海未衛門の問いに、ことり姫は答えられませんでした…
彼女は、「お見合いは嫌だ」という思いだけで、結局自分はどうしたいのか決めてないまま飛び出していたのでした…
ことり「…」
海未「…貴女は見合いが嫌で破談にしたいのでしょう?」
海未「ならば逃げるのではなく、正面から向き合ってその旨を伝えればいいと思います」
海未「親御さんに言ってダメなら、お相手の方に言えばいいんですよ」フフ…
ことり「…!」
海未衛門の助言に、ことり姫はどうやら得心がいったようでした… ことり「確かに、羅武亜郎さまの言う通りですね…」
ことり「羅武亜郎さまのおかげで、どうすればいいか分かった気がします!」
ことり「ありがとうございますっ♡」
海未「う…///」
海未「そ、それなら…良かったです…///」
愛嬌たっぷりのことり姫に、海未衛門は冷静なように見えて正直タジタジでした…
武芸一筋で生きてきた海未衛門は、こういった「姫」という類の人種に馴染みが無かったのです…
海未「…」
ことり「…」
ことり「…羅武亜郎さまは、買い物帰りなのですか?」
ことり「でも、衣装を買った帰りにしては荷物が少ないような…」
海未「いえ、これから買いに行く途中……」
少しの間流れた沈黙を何とかしようとことり姫が振った話題で、海未衛門は大事な事を思い出しました…
海未「ああっ!!?」
海未「服を買いにきていたのをすっかり忘れていました!!」
海未「早く行かなくては!」ダッ
ことり「待って!私もついていきます!」ダッ
ことり「私、着付けとか着合わせにはじしんがあるんですよ♡」
海未「しかし、これは私の都合ですので貴女を巻き込むのは…」
ことり「羅武亜郎さま…」
ことり「お願いっ…!」キラキラ…
海未「!!!?」ズドーン
海未(なっ…!?)
海未(こ…断れない!)
この時は自覚していませんでしたが、海未衛門はことり姫のような人種にはどうも弱いのでした…
海未「わ…分かりました…」
ことり「わぁい♡やったぁ♡」
ついてくるということり姫の申し出を結局断る事ができず、二人で呉服屋へと向かうのでした… 呉服屋に着いた海未衛門は早速店主から注文していた衣装を受け取って帰ろうとしたのですが、店主に「ちゃんと仕上がってるか見たいので試しに着てみて欲しい」と言われ、試着する事となりました…
ことり(羅武亜郎さまのお衣装、どんなのだろう…)
ことり「ふふっ、楽しみだなぁ…♡」
店の奥で海未衛門が着替え終えて出てくるのを、着いてきたことり姫は今か今かと待っていました…
海未「…お待たせしました」スッ
海未「あまりこんな上等な服は着ないので、少し変な感じです…///」
ことり「…!!」
海未衛門は、鮮やかな青と白の装束に身を包んで店の奥から出てきました…
「変な感じ」と言いつつも、海未衛門はその装束をよく着こなしていたのです…
ことり「わぁ〜♡」
ことり「すっごく素敵だよ、羅武亜郎さま♡」クネクネ
ことり「さっきまでの地味な服の羅武亜郎さまも武骨さがあってかっこよかったけど、今の綺麗な衣装もすごく似合ってて…♡」グルグル
海未「ちょ…ちょっと!?」
海未「そんなに見られると…そんなに褒められると…その……///」
ことり「羅武亜郎さま、もしかして照れてる?」
ことり「かわいい〜♡」クネクネ
海未「み、美奈燐っ!!」カァァ
出会った時の怯えた顔も、見合いについて話していた時の曇った表情も、まるで嘘だったみたいにこの時のことり姫は笑っていました…
そんなことり姫を見て、海未衛門も安心で頬が緩みます…
海未(美奈燐…)
海未(どうやら悩みも何とかなったようですね…)
海未(良かったです…)
海未「ふふ……」 買い物を済ませ、呉服屋を後にした海未衛門とことり姫は、日の傾き始めた秋葉の街を散策していました…
海未「む…あれは…」
ことり「?」
海未衛門は、よく見知った二人組が前方から歩いてくるのに気付きます…
その二人組は、目の前に海未衛門がいるのにも気づかず、楽しげに街を闊歩していました…
穂乃果「いや〜!遊んだ遊んだ!」
凛「なんか一皮剥けた気分にゃあ!」
海未「穂乃介!凛!今まで一体どこに行ってたんです!!」
穂乃果「うわぁ!?海未衛門!!?」
海未「全く…貴方たちが勝手に行くものですから…!」
この時、これでもかと小言を言う海未衛門はそっちのけで、穂乃介と凛は海未衛門の後ろのことり姫をじっと見ていました…
ことり姫「…?」
そして、穂乃介と凛の考えは一致しました…
二人して顔を見合わせて一つ頷くと、今度は海未衛門を見てニヤニヤするのでした…
穂乃果「フフ…w」ニヤニヤ
凛「プププ…w」ニヤニヤ
海未「二人とも!何がおかしいんです!?」
穂乃果「海未衛門、後ろの女の子とは随分仲良さそうだねぇw」ニヤニヤ
凛「もしかして、凛たちの知らない間に二人は愛し合っていたのかにゃ…?」ニヤニヤ
ことり「ぴぃ!?///」
海未「なっ…!?///」
穂乃果「見合いが控えてるってのに…海未衛門は罪な奴だなぁw」ニヤニヤ
海未「ち、違います!!」
海未「私はこの方が困ってたのを助けただけで…!」
海未「すみません美奈燐…うちの幼馴染と居候がとんだご迷惑を…」
ことり「…///」 こうして合流した海未衛門たち一行は、音ノ木へと帰る前にまずことり姫を神田まで送る事になりました…
凛「…いってぇにゃ」ヒリヒリ
穂乃果「海未衛門…ごめん…」ズキズキ
穂乃果「でも、あんな殴らなくても…」ズキズキ
海未「貴方たちがあんな不埒な事を言うからです!!」
海未「本当に申し訳ありません…」
ことり「う、ううん!気にしてないよ!」
海未衛門とすっかり打ち解けたことり姫は、出会った頃の敬語も抜け、親しい友と話す時のような心境と口調になっていました…
ことり「でも…本当に良かったの?」
ことり「神田まで送ってくれるなんて…」
海未「気にしないでください」
海未「貴女のような可憐な人を、こんな日暮れに神田まで一人で帰らせるのは心配ですから」フフ…
ことり「…!」カァァ
ことり「…っ///」プイ
海未「…?」
海未(何か気に障るような事でも言ってしまったのでしょうか…?) こうして、特に何も起こる事なく一行は神田に着きました…
屋敷の近くの道でことり姫は一行を止め、ここでお別れとなりました…
海未「これでお別れですか…少々名残惜しいですね…」
ことり「うん…」
海未「それでは、お気をつけて」
ことり「羅武亜郎さま!」
海未「はい、なんでしょ…!?」グイッ
ことり「羅武亜郎さま、お達者で…!」ギュ…
別れぎわの突然の抱擁と、伝わる柔らかな感触、ふわりと香る甘やかな芳香に、海未衛門はただただ赤面するばかりでした…
海未「あ…///」
海未「は…はい…///」
ことり「それじゃ…」タタタ…
海未「…」
海未「お達者で、美奈燐…」
去り行くことり姫の背中を、海未衛門はただ静かに見つめていました…
今日の日の出来事を、ゆっくりと噛みしめるように…
穂乃果「やっぱり、海未衛門はあの女の人が好きなんだ…w」ニヤニヤ
凛「ぷぷぷ…海未衛門にも春が来たにゃ…w」ニシシ
海未「なぁ!?///」
海未「穂乃介!!凛!!」ダッ
凛「海未衛門が噴火したにゃー!!」ダッ
穂乃果「逃げろ逃げろぉーー!!」ダッ
海未「くぉらぁーーーー!!!」ダダダ…
音ノ木に向かって駆ける愉快な三人を、山に沈む夕日が鮮やかに照らしていました… そして次の日、ことり姫の見合いの日がやって来ました…
ことり「…よし!」
盛装したことり姫は、控え室で支度をしながらある決意を固めていました…
ことり(どんな人が来たって、絶対「はい」なんて言ってあげないんだから!)
ことり(だって、あのお方には絶対敵いっこないもん…!)
ついに見合い相手との顔合わせの時となり、ことり姫は少しばかりの緊張の中で襖が開くのを待っていました…
ことり「…」
そして襖が開くと、そこで待っていた見合いの相手を見てことり姫は心底驚きました…
海未「貴女は…!」
ことり「!!」
なんと、ことり姫の見合い相手というのは海未衛門だったのです… 「あとは若いお二人で…」と変に気を利かせて周りの人間が出て行ったおかげで、見合いの席は海未衛門とことり姫の二人だけになりました…
ずっと部屋の中で向き合っているのもアレなので、二人は見合い会場の庭を散策することにしました…
海未「まさか、貴女が見合いの相手だったとは…」
ことり「ことりもびっくりだよ…」
海未「…」
ことり「…///」チラッチラッ
二人の間に沈黙が流れる中、海未衛門はある決断をしていました…
海未(ことり姫はとても魅力的な方です…)
海未(私には勿体ないほどに…!)
海未(ですが、私はまだ妻をめとるつもりはありません…)
海未(せっかくの縁談ですが、今回は断りましょう)
海未(元はといえば、家老たちが勝手に取り付けた縁談ですし、そちらの方がことり姫の為にもなるでしょう…)
海未「ことり姫…」
海未衛門は、この「面談を破断にする」という決断をことり姫に面と向かって言おうとしました…
しかし…
ことり「海未衛門さま…♡」グイ…
海未「わぁ!?ことり姫、少々近くはありませんか!?」
ことり「お嫌でしたか…?」ウル…
海未「ぐっ…そ、そんな事は…」
海未「う…うぅ…///」
ことり「ふふふっ…♡」ギュムギュム
海未「〜っ///」カーッ
ことり(海未衛門さま…♡)
ことり(いつも凛々しい海未衛門さまの照れるお姿、かわいいっ…♡♡♡)
ことり(ことりは海未衛門様のことが…もう…♡♡♡)
最初はこの面談を断る気満々で見合いに来ていたことり姫でしたが、面談の相手が海未衛門であったと知るとその考えは一転しました…
ことり姫は、海未衛門の事を好いていたのです… ことり「ねぇ、海未衛門さま…♡」
海未「は…はひぃ…!?」
ことり「ことりは、海未衛門さまの事をお慕いしております…♡♡」
海未「えっ!?」
海未「うぅ…ぁうぅ……!!」オロオロ
海未衛門は生まれてから今まで武芸一筋に生きてきた、筋金入りの武士(もののふ)でした…
故に、色恋沙汰にはめっぽう弱かったのです…
海未「駄目ですッ!!」バッ
ことり「えっ!?」
海未「そういうのは…!」
海未「そういうのはもっと段階を踏んでからでなければ…!」
そう言うと、海未衛門は一目散にその場を逃げ出してしまいました…
海未「あああああッーーー!!!」ダダダ
ことり「う、海未衛門さまーーー!?」
ことり「…」
ことり「えぇ…?」ポツーン
ガサガサ…
穂乃果「茂みに隠れて様子を見てたけど…」
穂乃果「やっぱり海未衛門はウブだねぇ」
凛「こういうことに関してはいくじなしにゃ」
ことり「えっ!?」
ことり「さっきの、見られてたんだ…」
ことり「ミラレテタンダ…///」 しずく「って感じで璃奈さんに頼まれてた海未衛門の続編書いてみたけど、どうかな?」
かすみ「え゛ぇ!?アレの続き書いちゃったの!?」
璃奈「生きてる…!」
璃奈「海未衛門さんが生きてる…!!」
かすみ「なんでりな子もそんなもん頼んじゃったの!?」
栞子「正直言って蛇足感すごいです」
璃奈「ハッピーエンドの海未衛門さんが見たかったから」
しずく「璃奈さんがこの脚本を気に入ってくれて私は嬉しいよ!」
璃奈「でも、ひとつ物申したい事がある」
璃奈「ことり姫は海未衛門さんには相応しくないと思う」
璃奈「海未衛門さんには、もっとこう…物静かで顔にはあんまり表情出ないけど心は感情豊かな、ちょっと理系入ってる感じの人の方が相応しいと思う」
かすみ「ん…?んんん〜?」
栞子「アレって、璃奈さん自身のこと言ってるんでしょうか…?」ヒソヒソ
かすみ「りな子、まさかガチ恋…!?」ヒソヒソ
しずく「かすみさん、バレンタインデーにやる出し物の脚本を考えてきたよ!」
かすみ「はいもう却下」
かすみ「しず子の脚本は発表できるようなもんじゃないってクリスマスの時によく分かってるから」
しずく「かすみさん演じる受刑囚が…」
かすみ「受刑囚!?かすみんそんなんやらされるの!?」
かすみ「却下却下!!」
璃奈に脚本を認められて自信をつけたしずくは、その後もたびたび脚本を書いてきてはかすみたちに披露するようになったとか…
かすみ「もうやだ!!」 もう書ける気がしないのでこれでやめにします
おやすみなさい… なんやかんやことり姫に押し切られて結婚することになるところまでは見たかったな
まあ無理強いはできないから仕方ない ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています