璃奈「彼方さんを雇いたい」 彼方「ええっ!?」
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璃奈「場所は、彼方さんの家に私を住まわせてくれること」
璃奈「家事は基本お任せ」
璃奈「彼方さんの働いてるスーパーの時給を参考に、時給1,200円を3hとして日当は3,600円」
璃奈「月平均30日かつ、土日が月約8日としてそれを引いた月22日が総勤務日数になる」
璃奈「予定労働時間としては3h×22日で66時間」
璃奈「だから月収は79,200円。年収としては950,400円になると思う」
璃奈「家事があるから固定休はないし、実際には365日勤務になっちゃうけど……」
璃奈「月最低8日分の休みは、彼方さんの方で上手くとって欲しい」
璃奈「実勤務が365日になっちゃうから」
璃奈「その分、上手く調節して月10日以上の休みとか、予定労働時間を下回っても」
璃奈「明細上は勤務日数22日の勤務時間66時間になる」
璃奈「休みが取れなかった分は誕生日とか、年始のボーナスに非課税で計上するけど、ちゃんと休んでくれないと解雇する」
璃奈「食事に関してはお昼……はお休みの日とかだけでもいいけど、朝と夜は必ず」
璃奈「作り置き可、外食・出前も可。ただし、後者は極力避けて健康的な食事が望ましい」
璃奈「追加条件として、週に二日は私の家に行って掃除とかをすること」
璃奈「彼方さんの家の光熱費等含む家賃の4分の1は経費として計上するので後納になっちゃうけど……そこは許して欲しい」
璃奈「あと、扶養から外れる可能性があるから、給与は据え置きで昇給無し、さっき言っちゃったけど賞与は年2回」
璃奈「……これでダメなら諦める」
璃奈「璃奈ちゃんボード[(>人<;)]」 >>91
似たようなものだな
ガチで身近な人間関係が変わらない方法って言ったら最近のSNSで普段縁が無い人から寄付してもらうパターン
それか彼方ちゃんがyoutubeで生配信やってたら匿名複数垢でスパチャ投げまくり
身近な友達だとバレたら気まずいけど 果林「これを見て、私が一番に感じたのは璃奈ちゃんが本当に彼方を助けたいって思ってるんだって気持ち」
果林「勤務日数こそ年中だし、それを踏まえた上でのこの給与額は通常であれば考えられないほどの低賃金よ」
璃奈「でも……」
果林「そう。彼方は学生だから、扶養控除を外れるわけにはいかない」
果林「これに関しては……私もモデル活動をするうえで注意されたから覚えてるわ」
果林「でもその分、璃奈ちゃんは福利厚生……だったかしら?」
果林「そこで補おうとしてる」
璃奈「……だけど、彼方さんはやりすぎだって」
果林「そうね」
果林「パッと見ただけの私でさえ"璃奈ちゃんの気遣い"が感じられるこの契約内容は」
果林「当人である彼方にとっては、罪悪感を擽られるものだったのでしょうね」
璃奈「私の気遣い……?」
果林「彼方を楽させたい、彼方を助けたい、彼方を気遣わせたくない」
果林「そんな、璃奈ちゃんの想いが籠った、ある意味……」フルフル
果林「この契約は、彼方は嬉しい反面複雑だったと思うわ」 現状を大きく変えない&ちょっとリアル視点になってもいいって条件だったらこの時点では何も出来ず放置でいいかも
スクールアイドルとして成功する頃には全員動画の再生数がすごい事になってて彼方ちゃんのバイト代くらいはすぐに超える 果林「どうして罪悪感が上に来てしまったか、分かる?」
璃奈「え……」
璃奈「………」
璃奈「……彼方さんが、優しいから?」
果林「ふふっ、半分正解」ナデナデ
璃奈「璃奈ちゃんボード[(〃ω〃) ]」
果林「それもあるけど、一番はメリットとデメリットが釣り合っていないから」
果林「璃奈ちゃん、この契約内容のどの部分が彼方のデメリットになっていると思う?」
璃奈「デメリット……」
璃奈「休日日数の少なさ」
果林「ほかには?」
璃奈「ほか……給与の低さ」
果林「ほかには?」
璃奈「えっと……他は……」
果林「すぐには思いつかないでしょう?」
果林「それだけ、この契約内容は"雇用主のためではなく、彼方のための契約”になっているってこと」 果林「もし赤の他人がこんな契約を持ち出されたら」
果林「これは何か裏があるに違いないって思っちゃうんじゃないかしら?」
璃奈「そんな……」
果林「もちろん、彼方はそうは思わないでしょうけど……」
果林「その分、気を使わせちゃってるな……申し訳ないな……って気持ちになっちゃうと思うの」
果林「それにね? 労働時間を加味すれば給与の低さが露呈するけれど」
果林「扶養控除から外れないことを踏まえてみれば、この月収・年収は破格の条件よ」
璃奈「デメリットに、なってない……?」
果林「そう。そしてもう一つの勤務時間」
果林「一見、これってすごいデメリットに思えるけれど……」
果林「彼方って元々給与無しに家事を行ったうえで、週5日のアルバイトをしていたって、覚えてるかしら?」
璃奈「あ……」
果林「そう。現状との比較をしてみると一目瞭然」
果林「無給だったはずの家事で十分な収入が得られるうえで、負担になっていた掛け持ちのアルバイトを止めることができる」
果林「はたして……それはデメリットと呼べるのかしら?」
璃奈「……言えない」
果林「だから、彼方は"申し訳なくて受けられない"って思ったんだと、私は思うわ」 璃奈「……でも私、彼方さんに辛い思いして欲しくない」
璃奈「無理して欲しくない」
璃奈「だから……」
果林「そうねぇ……だからこそ、この想いの籠った契約書が出来上がってしまった」
璃奈「じゃぁ、私は彼方さんを雇えない?」
果林「デメリットはつけたくない?」
璃奈「出来たら避けたい」
璃奈「嫌な思いはさせたくない」
果林「だったら、これだけの条件を付けてでも雇いたい理由を提示しましょ」
璃奈「雇いたい理由……」
璃奈「あたたかい食事がしたい……!」
果林「……そうね。それは重要ね」 果林「あとは健康的な食生活による、璃奈ちゃん自身の健康保全」
果林「あとは……やっぱり、人肌の恋しさを埋めて欲しいってこと」
璃奈「なるほど……」
果林「ありふれているものかもしれない。でも、璃奈ちゃんにとってそれは破格の条件を出してでも得たいものでしょう?」
璃奈「うん……」
果林「それを提示したうえで、要望を満たせるのは"彼方しかいない"っていう需要に対しての供給の少なさをアピールする」
果林「料理だけでなく家事全般がスマートかつ完璧にこなせて、人肌の温もりを与えてくれるのって中々いないから」
璃奈「色々ありがとう……これは、良いかもしれない」
果林「愛は愛で、雇用に重きを置いて考えてくれたはずだから」
果林「あとでちゃんと、フォローしてあげるのよ?」
璃奈「うん……分かった」
璃奈「璃奈ちゃんボード[(*゚▽゚*)]」
璃奈「さっそく、契約内容書き直してくる」ダッ
タッタッタッタ.....
果林「ふふっ、忙しないんだから」
果林「……璃奈ちゃん、相当羨ましかったのね……あの二人が」
果林「………」
果林「久しぶりに、家に電話でもしようかしら……」 こういうのでいいんだよ
変に誰かを落としたりしなくても成立させられる素晴らしさ ――――――
―――
[翌日]
璃奈「彼方さんに罪悪感抱かせたいわけじゃなかった」
璃奈「ただ、彼方さんが無理してるのが嫌で」
璃奈「倒れるように寝るのが、本当に倒れちゃうんじゃないかって怖くて」
璃奈「そればっかり考えていたら、彼方さんの気持ちなんて考えずにメリットしか並べてなかった」
璃奈「だから今度は果林さんに相談して、雇用条件を見直してきた」
彼方「え……っ」
璃奈「……でも、ごめんなさい」
璃奈「勤務日数的に考えて、給料下げるのは無理だった」
璃奈「だから、家事の分担をより明確化して、業務数自体を減らすという方向性に切り替えることにした」
璃奈「遥さんも手伝ってくれるなら、三等分」
璃奈「大まかに分けて料理、洗濯、掃除の分担をやるというので一つ」
璃奈「……私、どうしても彼方さん達と一緒に暮らしたい」
彼方「璃奈ちゃん……」
璃奈「彼方さんと遥さんを見た後に、一人ぼっちの家にいるのが辛かった」
璃奈「出来合いのお弁当温めるだけの夕食が美味しくなかった」
璃奈「……家事が得意で、そんな寂しいのを無くしてくれるのは彼方さんしかいないって、私は思ってる」
璃奈「だから、もう一度考えて欲しい」
璃奈「璃奈ちゃんボード[(>x<)]」 彼方「……弱ったなぁ……」
彼方「そんなこと言われちゃうと……断れないよ……」
璃奈「違う、考えてくれればいい……彼方さんが前回断ったときに言ったように」
璃奈「私は、彼方さんと一緒にならなくてもやっていけてた」
璃奈「今までが続くだけで、何にも変わらない」
璃奈「だから、同情とか無しで……彼方さんが自分にとってそれでいいのかを考えて決めて欲しい」
彼方「う〜ん……正直、自分と遥ちゃんのことだけを考えるなら」
彼方「これは全然ありな条件なんだよね……」
彼方「むしろ、知り合いからの誘いだから信用もあって断っていいのかなぁ……って、話だよ〜」
彼方「………」
彼方「う〜ん……」
璃奈「……っ」フイッ
彼方「……分かった。考えさせて貰うねぇ」
彼方「いずれにしても、すぐに今してるバイトを抜けるわけにはいかないから」
璃奈「ほんと?」
彼方「うん。ちゃんと考える……それでいいかな……?」
璃奈「いい!」
璃奈「璃奈ちゃんボード[(o^−^o)]」 ――――――
―――
せつ菜「……?」
璃奈「……」テクテクテク
璃奈「………」テクテクテク.....
せつ菜「璃奈さーん!」
璃奈「?」
璃奈「あ……」
せつ菜「璃奈さん、今日は何やら機嫌が良さそうですね!」
璃奈「……そう見える?」
せつ菜「それはもう、昨日の落ち込み具合が嘘のようです」
せつ菜「何かいいことあったんですか?」
璃奈「………」
璃奈「まだ……良いことがあったわけじゃない」
璃奈「けど、果林さんのおかげで一歩前進できた。と、思う」 ちゃんと璃奈の機嫌を把握できるようになってきている同好会諸君がいいね せつ菜「一歩前進……?」
せつ菜「愛さんと喧嘩してしまったと言う件ですか?」
璃奈「ううん、それはもう仲直りした」
璃奈「前進したのは、喧嘩の原因」
璃奈「………」
璃奈「実は……彼方さんと一緒に暮らしたいって思ってる」
せつ菜「彼方さんと!?」
璃奈「声が大きい」
せつ菜「す、すみませんつい……ですが、別に悪い意味ではありませんよ?」
せつ菜「確かに、遥さんとのやり取りを見ていると……少し羨ましくなりますよね」
せつ菜「遥さんが彼方さんに大切にされている、愛されているという……温かみがこれでもかというほど感じられて」
せつ菜「喧嘩には少し驚きましたが、互いを想い合うが故のものともなれば」
せつ菜「また、とても……優しいものだったと思います」
せつ菜「私にもあんな姉がいたら……なんて、羨望を抱いてしまいます」
璃奈「……うん」
せつ菜「なるほど、それに関しての進展があったから。というわけですね」
璃奈「そう……一緒に暮らすにあたって」
璃奈「彼方さんを雇うつもりでいて、その話を……考えてくれるってところにまで戻せた」 せつ菜「雇う……?」
せつ菜「それは、璃奈さんがと言うことですか?」
璃奈「ううん、私の親」
璃奈「私の家には普段誰もいなくて、一人だから……それなら家政婦をって話になって」
璃奈「だったら、彼方さんの家に住みたいって、交渉して……許可をもらった」
せつ菜「良く、許可を頂けましたね」
璃奈「普段家にいないから、多少の我儘を許してくれたんだと思う」
璃奈「赤の他人に任せるくらいなら、私が信頼している人に……って」
せつ菜「……そうですね」
せつ菜「彼方さんのお母様からの許可もいただいているのですか?」
璃奈「うん」
せつ菜「ふふっ、見事な手腕……外堀を埋めるのが上手ですね」
せつ菜「その調子なら、彼方さん次第ですか……」
璃奈「そう」
璃奈「でも一度断られて……昨日、果林さんと相談した内容でもう一度声をかけたら」
璃奈「考えてくれるって、なった」
せつ菜「なるほど……」
璃奈「ちなみに、これが雇用契約書」スッ
せつ菜「準備も万全ですね」 せつ菜「……ふむ」
璃奈「なにか、おかしい?」
せつ菜「いえ、これは何と言いますか……」
せつ菜「璃奈さんの彼方さんへの想いが詰まった契約書ですね」
璃奈「……同じこと、果林さんにも言われた」
璃奈「せつ菜さんも、そう感じるんだね」
せつ菜「これを見てそう感じられない人なんて、事情を何一つ知らない人だけだと思いますよ」
せつ菜「……条件は彼方さんにとってはこれ以上ないほどに良い」
せつ菜「その完全なメリットオンリーゆえの躊躇いを、璃奈さんが受けるメリットを記述することによって」
せつ菜「破格の条件を出すだけの価値があると示して、緩和する」
せつ菜「これは璃奈さんが?」
璃奈「ううん、果林さんが教えてくれた」
せつ菜「さすがです。天秤を傾けないとすべきという考えは見事ですね……」
せつ菜「デメリットがない違和感から躊躇いそうになるのを、なるほどそう言うことなら……と、考える方向に持って行くことができます」
せつ菜「……ところで、この実印とサインはご両親が?」
璃奈「うん」
璃奈「お願いして、許可貰った」
せつ菜「……では、彼方さんは璃奈さんのご両親にお会いになられていないのですか?」
璃奈「うん……会ってない」 璃奈「なにか、不味い?」
せつ菜「いえ、しっかりと許可をもらっている以上」
せつ菜「これを預かった璃奈さんに代理人として決定権が委ねられていると考えて問題ありません」
せつ菜「彼方さんのお母様の了承を得ているのであれば、後は当人がどうするか。という段階でしょう」
せつ菜「ですが……」
璃奈「何かあるなら、言って欲しい」
せつ菜「……そうですね。一点だけ」
せつ菜「この円滑な承認の取り方はとても見事です」
せつ菜「成し遂げたいという思いがあってこそのスムーズなやり取りかと思います」
せつ菜「ですが、彼方さんにとって重要な……」
せつ菜「いえ、労働者にとって最も重要なことが欠けてます」
璃奈「え……?」
せつ菜「分かりませんか?」
せつ菜「この契約書を見る限り、雇用主は璃奈さんではなく、璃奈さんのご両親です」
せつ菜「しかし、この契約書にあるのは”彼方さんを雇う条件”だけで、"彼方さんが背負う責任"が記されていません」
せつ菜「璃奈さんのご両親が璃奈さんを委ねるにあたって何を思い、何を求めているのか」
せつ菜「それがここからは読み取ることが出来ません」
せつ菜「……これを担う場合どのような責任を負わなければならないのか。それを明確にし、彼方さんに教えてあげるべきです」
せつ菜「でないと、彼方さんは自分でどんな責任が生じるのかを考えるところから始めなければならなくなりますよ」 璃奈「責任……」
せつ菜「そうです」
せつ菜「その責任を背負い、従事するからこそ賃金が支払われるんです」
せつ菜「ご両親と彼方さんにお願いして、顔合わせ……面接のお時間を作られるのがベストかと思いますよ」
せつ菜「彼方さんは自分で考えたことを、ご両親に問うでしょう」
せつ菜「ご両親は、どうして欲しいか、それが出来るのかなどを彼方さんに問うでしょう」
せつ菜「そうして意識のすり合わせを行い、互いに納得しあう契約こそが最良だと、勝手ながら思います」
せつ菜「もちろん、すでに許可は得ているのでそれがなくても問題はないかもしれませんが」
せつ菜「ご両親も、彼方さんも」
せつ菜「そうするのが最も安心できると思います」
璃奈「……なるほど」
璃奈「雇うことばかり考えて、そういうこと全然考えてなかった……」 せつ菜「偉そうに言いましたけど、私は生徒会長を任されるにあたって感じたことを口にしただけです」
せつ菜「誰だって初めは考えが足りていなかったりするものです」
せつ菜「だからこそ、ちゃんとしたお話合いは必須ですよ」
璃奈「うん……お休み、調節できないか聞いてみる」
せつ菜「もう一押しです。頑張ってくださいね」
璃奈「ありがとう」タッ
タッタッタッタ.....
せつ菜「あんなに張り切っているなんて……ふふっ」
せつ菜「果林さんがあんな狡い一手を教えてしまう気持ちもわかります」
せつ菜「彼方さんも璃奈さんも互いに幸せになれる契約になることを願っておきましょう」
せつ菜「………」
せつ菜「……さて!」
せつ菜「璃奈さんに負けず、私も今日を頑張らなければ!」 ――――――
―――
彼方「め、面接!?」
璃奈「そう」
璃奈「彼方さんさえよければだけど……面接の時間をつくって欲しい」
彼方「彼方ちゃんは別に問題ないと言うか……」
彼方「むしろして貰った方が助かるけど……しないものとばかり思ってたよ……」
璃奈「せつ菜さんが、彼方さんが知るべき"背負う責任"がこれじゃわからないって教えてくれた」
彼方「せつ菜ちゃんが?」
彼方「みんな、凄いねぇ……」
璃奈「うん……ちゃんと丁寧に考えたつもりだったのに」
璃奈「私、全然ちゃんとしてなかった」
璃奈「ごめんなさい」
彼方「そんな、謝らなくていいよ〜」
彼方「むしろ、一番初めの契約だけでもすっごく考えてて、彼方ちゃん驚かされたぜ〜」
璃奈「……彼方さん、好き」
彼方「へ……ぇっ、ぁ、ありがと……」
彼方「………」
璃奈「………あ」
璃奈「えっと、それで、早ければ今週の日曜日……時間とれるみたいだけど、どうかな?」 彼方「じゃ、じゃぁ日曜日……午前? 午後?」
璃奈「午前中は辛い?」
彼方「ううん、大丈夫」
璃奈「そしたら午前中……10時くらいに、私の家」
璃奈「8時くらいに迎えに行く」
彼方「うん、それで……あ、でもみんなに練習お休みって連絡しないとねぇ……」
――ピロンッ
璃奈「………」キョロキョロ
彼方「噂をすればなんとやら」
彼方「どっかで聞き耳立ててるのかなぁ〜?」
璃奈「でもちょうどいい」
璃奈「愛さん達には相談してるから、知られても問題ない」 彼方「それとこれとは……まぁ……いいかぁ」
璃奈「それじゃぁ、日曜日宜しくお願いします」
彼方「こちらこそ、宜しくお願いします」
璃奈「………」
彼方「………」
彼方「……なんか、ちょっと変な感じがするねぇ」
璃奈「一緒に住むようになったら……」
璃奈「………」
璃奈「ううん、なんでもない」
彼方「えっ、気になるなぁ〜……」
璃奈「なんでもないよ」
璃奈「璃奈ちゃんボード[(´∀`)]」
彼方「ふふっ、そっかぁ……」
彼方「宜しくねぇ……璃奈ちゃん」
璃奈「うん」 ――――――
―――
[日曜日]
「璃奈ちゃんから聞いているわ、近江彼方さん」
彼方「……宜しくお願いします」
「ふふっ、そんな硬くならなくていいからね?」
「璃奈ちゃんが初めて、どうしてもって強くお願いしてきた人だから」
「信頼しているというのは、よくよく伝わってきていたから……採用面接って思わなくてもいいの」
彼方「ありがとうございます」
「えぇと……雇用条件は聞いているのよね?」
彼方「はい、窺っています」
「正直な話ね? 可能なら、誰かを雇うなんてことはせずに一緒にいてあげたいって私達は思っているの」
「でも、今だって仕事が……」
ヴィーッヴィーッ
「……コホン」
「というわけだから、どうしてもあまり一緒にいてあげられないの」
「酷い話よね……ほとんど放任することになっちゃって……」
「だから、誰か少しでも傍にと思って家政婦を雇おうとしたのがきっかけなの」
「璃奈ちゃんは洗濯や掃除は出来るし、料理だってやろうと思えば出来ないわけじゃないのだけど……」
「自分だけの為に……なんて気は無いと思うのね」
「だから……私達が一緒にいてあげられない分、一緒にいてあげて貰いたいと思っています」 「週二日のこの家の掃除なんてほんのおまけ、別にしなくていいの」
「雇用条件の家事だって、璃奈ちゃんと分担したりなんだりしてくれていいです」
「むしろ、仲良くやっていってもらいたいと思っています」
彼方「それだけで……良いんですか?」
「それだけでいいの。そうして欲しいの」
「だって、私達はそんなことですらしてあげらないのだもの」
「その親としての義務を貴女に委ねる以上、賃金を含めてある程度の補助は私達がすべきことだと思っています」
「だから、雇用主と労働者にありがちな上下関係は意識しないで頂戴」
「互いに支えっている……家族のようなものだと思って欲しいわ」
彼方「家族……」
「そう。璃奈ちゃんのことは妹だとでも思って可愛がってあげて」
「ふふふっ……あの子があんなに、必死にお願いしてきたのは初めてだった」
「だから、もしかしたら……そうすることで、私達のせいで笑えなくなってしまったあの子がまた笑えるようになるかもしれない」
彼方「………」
「……本当は、お給金は少なすぎるって思ってるほどだし、週3日くらい相手してくれればいいと思ってるのだけど」
「あの子がずっと一緒が良いっていうものだから、こんなひどい契約になってしまって、申し訳ないと思っています」
彼方「い、いえそんな……扶養控除から外れないように調整までして貰って……」
彼方「それに、家事は苦じゃありませんから」
「……そう。良かったわ」 「一応改めるわね」
「契約条件にある通り、時給は1200円、これに非課税で光熱費・食費等含む家賃を経費として加算します」
「賞与は年二回という話なのだけど、これは賞与というよりはお礼みたいなものだからこれも給与所得には含みません」
彼方「え、含まないんですか……?」
「加算するとすぐ、扶養から外れちゃうからね」
「時給は1200円スタートだけど、毎月の璃奈ちゃんの様子を見て昇給することも考えています」
「初期基本年給は950,400円だから問題ないのだけど、昇給によって103万円を超過する場合は」
「これも記載がある通り、扶養から外れないために一定以上の給与は差し引いたうえで璃奈ちゃんの口座に送金します」
「これは、交遊費とでも思って部活動でもなんにでも自由に使って問題ないわ」
「あと、璃奈ちゃんがいるときといない時で請求される光熱費等に人数+1以上の大きな差額が生じている場合は」
「原因が璃奈ちゃんにあるはずだから、差額分はこちらが負担します」
「また、近江家にある家具家電等を、璃奈ちゃんが使用して破損・故障させた場合もこちらが弁済します」
彼方「え……」
「この辺りは、シェアハウス……だったかしら?」
「その割り振りを参考にした特例でも何でもないから安心して頂戴。考慮して当然の項目よ」
「お休みは……申し訳ないのだけど不定休ね」
「ここは、璃奈ちゃんと相談して決めて頂戴」
「ただ、明らかに近江さんに負担がいっている様子が見られた場合、こちら側で調整も検討しますので、そのつもりでお願いね」 「それと、大事なことなのだけど……月一回契約更新をしましょう」
彼方「面談しますか?」
「時間が取れなければ電話かメールでやり取りして、来月も璃奈ちゃんを預かって貰えるのかどうか」
「預けても問題ないかをしっかりと検討して、更新します」
「昇給については、この時にどうなるかを合わせて伝えるという形になります」
「以上、ここまでで確認しておきたいことはあるかしら?」
彼方「え、えっと……これはいつごろまでですか?」
「契約は特例を除き最短一ヶ月……これは更新の関係ね?」
「以降は、璃奈ちゃんと近江さんに継続の意思が無くなった段階で終了とします」
「1つ、遠い大学に通うことで面倒が見られなくなった場合、終了となります」
「1つ、大学に通い一人暮らしをするが、共同で部屋を借りたほうがいい場合は、二人の意思次第で継続とします」
「ほかにもいろいろあるけれど、二人がそのまま継続していける環境にあって」
「継続を望むのであれば、多少の雇用形態等に変化はあっても、継続は可能よ」
「もちろん、その逆に契約解除も一か月単位で行えるという想定ね」
彼方「……凄い、有難い話ですけど、本当に私で良いんですか?」
「ええ。璃奈ちゃんが選んだ子だもの」
「なにより下世話な話、正規のサービスで頼むと近江さんを雇う以上にお金がかかる場合もあるから」
「それを考えれば、私たちにとっても十分メリットのある契約……ふふっ、なんて」
「私達はただ、璃奈ちゃんが幸せになれるようにしたいだけ」
「……情けない話、今の私達にはお金しか出してあげられない。だから、惜しむ理由なんてないのよ」 「……どうかしら?」
彼方「……私にはメリットしかありません」
彼方「正直、凄くありがたい話で……申し訳ないです」
彼方「すみません……本当は私の家のことを気遣ってくれただけなのかもしれないって疑っていました」
彼方「週5日のバイト、奨学金のための勉強、家の家事全般……それの半分以上が解消されるので」
彼方「……なりふり構わず飛びついてもおかしくない契約です」
彼方「でも……だからこそ一度は断ったんです」
彼方「あまりにもありがたくて、申し訳なくて」
彼方「でも……天王寺さんには天王寺さんの理由があって、信じてくれて、任せてくれようとしていて」
彼方「璃奈ちゃんがそんな大事なことを任せてくれたんだって話を聞いて……」
彼方「……一ヶ月、まずは一ヶ月の試用期間を設けて貰っていいでしょうか」
彼方「それで、ちゃんと信頼に応えられると思えたら……改めて契約させてほしいです」
「何の問題もないわ」
「一ヶ月更新。言ったでしょう?」
「ただ、契約しない場合も考えて、この試用期間はまだバイトを継続し、週のバイト日数を減らすって対応して頂戴ね」
「それで空いた週1、2日だけ璃奈ちゃんに付き合ってあげて」
「試用期間の給与は、近江さんの前月分の給与と試用期間中の給与の差額を支払うこととします」
「問題はないかしら?」
彼方「じゅ、十分です……ありがとうございます」
「それじゃぁ――」
ヴィーッヴィーッ
「あぁもう……ごめんなさい。本当はお昼でもって思ったのだけど……よろしくね?」
彼方「い、いえこちらこそよろしくお願いします」 ――――――
―――
[翌月]
遥「ふぁ……ぁふ……」
遥「お姉ちゃんおはよ〜……」
璃奈「おはよう、遥さん」
遥「おは……っあっ、あぁっ! ……今日、璃奈さんいる日だったぁ!」
ダッ
彼方「遥ちゃん、そんな気にしなくていいのに〜」
璃奈「もう何回か見た」
彼方「朝からかわいい遥ちゃんが見られて、彼方ちゃんは幸せだ〜」
璃奈「………」チラッ
彼方「〜♪」
璃奈「………」
璃奈「……彼方お姉ちゃん、食パンはカリカリともふもふどっち派?」
彼方「彼方ちゃんはカリモフはだねぇ」
璃奈「わかった」
カチカチカチ.....
彼方「〜♪」
彼方「…………?」
彼方「……ん?」
彼方「……んんっ!?」ガタッ
璃奈「どうしかした?」
彼方「い、今なんて?」
璃奈「…………」チラッ
璃奈「璃奈ちゃんボード……」
璃奈「……」フルフル
璃奈「彼方お姉ちゃん、好き」ギュッ
彼方「……彼方ちゃんも、璃奈ちゃんのことは大好きだよ〜」ギュッ もっと続けられるよなぁ?続けてどうぞ
ところで日付移動と半カナの使い方が一緒だけどもしかして↓の人か?
ランジュ「アタシ、あなたは要らないの」 ためになるうえに面白いし尊いとか誇らしくないの?
めっちゃ楽しませていただきました 近江家三姉妹の 平凡な日常を淡々と描いてくれてもいいんだぞ? 外濠埋められすぎて彼方ちゃんもうりなりーから逃げられないねぇ…… 尊い
これは大学生になっても同棲するだろうな
でも一回衝突して別れて それでもあのとき楽しかったなあとか思い出してまたひっつくの かなりなって実は最高の組み合わせかも
って思わせるSSだった りなあいが2人でいる時の見方が変わった
絶対理系の賢い会話してるわ ありがとう…ありがとう
しっかりした神ssにひたすらの感謝しかないです
本編もよろしくお願いいたします🙏 >>184
大学はいかなくて就職組でしょ
多分そのためにニジガク入ったってのもあるだろうし >>59
面白かったぞ
こういう尖ってる方がパンチあって好きやで
難しいけど身近なことを改めて考えれるし 同好会一人一人がアドバイスに来なくてよかったわ
こういうのは人選を選んでコンパクトにする方がいい
良いSSでした 何故非公式のSSがこのクオリティで、公式のスクスタはあのクオリティ何だろうかw >>196
ssだから自由に書けるってのはあると思う
公式ははっちゃけられないから無難なクオリティが多い いやどんなはっちゃけよりも栞子やランジュの暴挙の方が上だろ さすがに公式でここまで細かいことやられてもアレだろうよ
これは二次創作の良い所が出てるSS ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています