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>>87続き


ある愛誤厨の告白

たぬきちへ
僕が君と出会ったのは、ボクシングジムの前で行き倒れてたのを助けた時だったね
異常なまでに強さに憧れていた君は、ヒョロヒョロの体でジムに侵入してはトレーナーに蹴り出されてたっけ
そんな君を家に連れ帰り食事を与えてたった一週間で!
あの枯枝のようだった細腕は、縛られたハムそこのけの太腕に生まれ変わり……
我が家の壁よりも薄ッペラだった胸は、圧縮したラードを蓄えたようにブクブクと肥え太り……
キリギリスのように頼りなかった脚は、ミジンコ並のパワーと亀以下の機動性を持ち、その形ときたら豚足そっくりだった
君の食費の為に毎日カップラーメンを食い続けた僕は、すっかり体を壊してしまったよ

そして君が最も得意としてた噛みつき…
僕の手に噛みついた傷が元で、唯一の収入だった同人誌が書けなくなった時、
君は使えない養分やんと吐き捨てて出ていったね
確かに矢澤とかいうあの三流アイドルに噛みついた瞬間は、最高にスカッとしたよ
でも君は、次第に僕の言うことを聞かず他の人にも噛みつくようになった
それも老人や子供などの弱い人達を狙って…
お陰で僕は噛みつき害獣の飼い主として、玄関一面に変なシールを貼られたりポストにピラフを入れられるようになってしまったんだ

今、君は僕がつけてあげた名前を捨ててジャックたぬと名乗ってるそうだね
「危険な害獣に注意」と配られたチラシで久々に君の顔を見た
名前と明日を捨てた君はそう長くは生きられないだろう…一足先に地獄で待ってるよ
最後に一つだけおわびしよう
強くなる薬として君に飲ませてあげてたアレ、ただのラムネ菓子なんだ

もうこれ以上ご近所さんと喧嘩はできない
ジャックたぬよ、君は悪くなり過ぎた


そう遺書に綴り終わった愛誤同人ゴロは、ロープの輪っかに首を通すと足元の椅子を蹴った。