この服が私の手元にあるのは全くの偶然だ。

いや、この言い方は正確じゃない。通販サイトを通じて購入したのは、他ならぬ自分の意思に基づいているんだから。

私が言いたいのは、この服との『出会い』が偶然だったということだ。

それは数日前に遡る。ベッドに寝転がって通販サイトを眺めていた私は、画面に映し出された見覚えのある赤い服に釘付けになった。

曜「これ、鞠莉ちゃんが着てたのとそっくりだ…!」

そう。さっきも言ったけど、それは少し前に鞠莉ちゃんが着用していた私服ととてもよく似ていたんだ。

袖に白いラインが入っている以外は赤一色という、非常にシンプルなデザイン。

それ故にごまかしがきかない難しさがあるけれど、鞠莉ちゃんは品よく着こなしていて、それがまた凄く可愛かったから、強く印象に残っていた。