ルビィ「片割れのジュエル」
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曜「そう、だね……鞠莉ちゃんの言ってることは合ってる、と思う」
曜「ただ、それを踏まえてもあの二人の間って入りづらいんだよね、やっぱり」
曜「というか梨子ちゃんに近付くことがハードル高いとでも言いますか」
鞠莉「梨子のことは嫌い?」
曜「そんなわけないよ、うん。何というか……それは鞠莉ちゃんだけが言った理由だけじゃなくてさ」
鞠莉「うん」
曜「なるべく一緒にいたくないんだよ、あの子。良い匂いがするから」 鞠莉「What's?」
曜「よく分からない、知らないものでも匂いにつられてフラフラーっていっちゃうことあるでしょ」
曜「そしてそういう目的で自分から足を運んだものは大抵好きになってる」
鞠莉「梨子がそうだっていうの?」
曜「うん、だから嫉妬っていうのも間違いじゃないけど、それだけで片づけるのはなんか違う気がする」
鞠莉「……」
曜「多分だけど……私は、あそこに足を踏み入れて慣れてしまうのが怖いのかもね」
曜「いつも隣にいる人が一人から二人に変わってしまうことや、それ以外の……もしもが」
曜「どうしたって頭の中に浮かんでくるから」 鞠莉(物分かりが良すぎるのも、大概困りもの…か)
鞠莉「……なるほどねーっと」グイッ
曜「え?」
鞠莉「千歌っちー! 梨子ー! 曜が二人に言いたいことがあるってー!!」
曜「ちょっと鞠莉ちゃん!?」
千歌「なになにー話したいことって!」ダダダッ
曜「えっと、それは」 千歌「あっ話したいことといえばね! 曜ちゃん、最近梨子ちゃんがまたルビィちゃんとさー!」
梨子「ちょっと千歌ちゃん、曜ちゃんまだ何も言ってないでしょ!」
千歌「あ、あはは…そうでした」
梨子「ね、何かあったの曜ちゃん?」
曜「! いや、まあ……ちょっとね」
ガヤガヤ
鞠莉「ははぁ〜ん、そういうこと」
鞠莉「複雑ねえ、あれはあれで」 果南「鞠莉ー何してるのー」
鞠莉「んー、また相関図がややこしいことになりますなあってね」
果南「またわけのわからないことを……」
鞠莉「So,Crazy でもいずれはそうも言ってられないくらい大変なことになるかもしれないわよ」
鞠莉「恋は人を狂わせるもの……ま、それも今のところは女の勘だけどね」
果南「はあ……?」 果南「ま、いいや。とりあえずダイヤから来週の予定を空けておくようにって」
鞠莉「それはそれは、なんでまた」
果南「PV作成とユニットも分けて作ってみようってことをさ、千歌と話してたみたいで」
果南「それをメンバー全員集めて決めようかって流れなわけ」
鞠莉「はいはい、そういうことね」
果南「随分軽い返事だけど、仕事のほうは大丈夫なの?」
鞠莉「問題ないわよ? 手伝ってくれる人がいれば」 果南「やればいいんでしょ。やれば」
鞠莉「流石果南! そう言ってくれると思ったわ!!」
果南「寧ろ分かってて振ったよね」
鞠莉「そんなこと言わないで、これは美徳よ! モテるわよそういう女の子は!」
果南「せめて実を結んでから聞きたいもんだね、その手の言葉は」
鞠莉「悩ましいわね一方通行って、しかも相手は唐変木ときたものだ」
鞠莉「私からすれば本当に勿体ないわ、本人はもうこんなに熟しているのに目もむけないなんて」ムギュ
果南「手伝う前に訴えるよ」 ワイノワイノ
善子「PVねえ…確かにそろそろ作ってもいい頃よね」
善子「先のイベントのためにも新曲上げて少しでも色んな人に認知させていかないと」
花丸「はえ〜、スクールアイドルってそんなこともやるんだね」
ルビィ「どうだろう、町の宣伝とかも含めたPRって他ではあんまりやらないと思うけど」
ルビィ「普通はグループやメンバーの特徴、魅力をアピールするわけだし」
花丸「ふむふむ、為になるずら」メモメモ
善子「ルビィ、戻ってきてたの」
ルビィ「ついさっき」 善子「ふーん、また梨子さんと話してたんでしょ」
ルビィ「うん」
善子「やけに気が合ってるものね、あなた達」
ルビィ「ルビィがくっついてるだけだよ、梨子さんの声落ち着くから」
善子「へえ、落ち着く」
ルビィ「どうかした?」
花丸「嫉妬だよ嫉妬」
善子「違うわよ!」 善子「ただ、ルビィも誰かと話すのにだいぶ慣れてきたなって」
ルビィ「それは善子ちゃんのおかげだけどね」
善子「私が?」
ルビィ「うん。だって好きな人が見てるといろいろ頑張りたくなるでしょ? だから」
善子「ああ、そう。お役に立てたようで何よりねそれは」メソラシ
花丸「安心したうえに満更でもなさそうだね」
善子「あんたの趣味は人間観察か!! ていうかいちいち横槍入れてくるんじゃないわよ!」 花丸「うーん仕方ない、邪魔ものはここらで退散するずら」
善子「どういう立ち位置で言ってんのよそれは」
花丸「あははっ、またね善子ちゃんルビィちゃん」
ルビィ「ばいばい花丸ちゃん」
善子「はいはいお疲れさま」
善子「全く、余計な気遣って」
ルビィ「余計だったの?」
善子「…いや、言うほどではないけど」 ルビィ「じゃあその厚意に甘えちゃおうよ、ね?」
ルビィ「二人きりで帰るのって久しぶりだもん」
ルビィ(それにきっと花丸ちゃんも、早く報告しに行きたかったんだと思うし)
善子「そうね、最近は三人でとか曜さんととかばかりだったし」
善子「たまにはいいかもね、うん」
善子「よし、アイスでも食べに行きましょうか!」
ルビィ「本当!? 行く行く!」パァッ
善子「目の色変えすぎ、どんだけ食い意地張ってるのよ」フフッ ルビィ「違うよ、善子ちゃんと一緒に食べられるのが嬉しいの」
善子「そうやって持ち上げて奢らせようとしてるんじゃないの? あんたのことだから」
ルビィ「いやー楽しみだねぇ善子ちゃん」
善子「はい確定、そゆとこあるわよねルビィね」
ルビィ「うん、そゆとこある」
善子「開き直るな」 ルビィ「ねえねえ善子ちゃん。ルビィね、バニラとイチゴがいい」
善子「……分けてくれるなら許す」
ルビィ「やった。食べるときはあーんしてあげるからね」
善子「それはいい、結構です」
ルビィ「〜〜♪」
善子「あーもういい、分かった。分かったわよ好きにしなさい」
ルビィ「えへへっ、ありがと善子ちゃん」
善子「どういたしまして……というかその鼻歌、聞いたことないわね。何の曲?」 ルビィ「これ? 次のPVに使う新曲だよ、さっきまで一緒に歌ってたんだぁ」
善子「ふーん、そうなの」
ルビィ「いい曲だよね、ルビィこれ好きなんだ…早く歌ってみたいなぁ」
善子「……」
ルビィ「善子ちゃん?」
善子「ん、そうね。私も好きよ」 善子(やっぱり仲良いわよね、そもそも話せるようになったっていっても私が来る前から梨子さんとはそれなりだったみたいだし)
ルビィ「フンフフーン♪」タンタタンッ
善子(やっぱり相性がいいとかそんな感じかしらね、まあ仲がいいのは悪いことじゃないし)
善子(それで私たちの関係が崩れるわけでもないから、そこまで気にすることでもないけど)
善子「そのときのあの子の笑顔を見てるとなんかねえ…」
ルビィ「笑顔がどうかしたの?」クスッ
善子「! ……ううん、勘違いみたいだから別に気にしなくていいわよ」 ルビィ「そう? ならいいけど」クルッ
善子「……はぁー、本当にもう…」
善子「ねえルビィ」
ルビィ「なにー?」
善子「貴女、ちょろい女って嫌いだったりする?」
ルビィ「いきなり何の話?」キョトン すみません、やっぱりもう少し待ってもらってもいいですか 大変お待たせしました、明日か明後日に更新いたします ─
花丸「……ふう」
黒澤母「最近はこの時間帯に来ることが多くなりましたね」
花丸「ごめんなさい、部活が結構大変で」
黒澤母「責めてなどいませんよ、寧ろ敬服しているんです」
黒澤母「どんなに忙しなくなってもこうして毎日お参りに来て下さる花丸さんのことを」
花丸「いやそんな、褒められるほどのことなんて…マルはしていないですよ」
花丸「ただ好きな子に会いたい、それだけの理由ですから」
黒澤母「あの子が聞いたら喜ぶでしょうね」
花丸「それはもう大喜びで抱きついてくると思いますよ」 黒澤母「そういえばアイドルのほうは順調ですか?」
花丸「えっと、ピーブイっていうのを作るみたいです。自分たちを紹介するための映像…みたいな」
花丸「どうしたんですかいきなり」
黒澤母「いえね、最近は家の方でも娘達がその手の話で言い合うものですから」
黒澤母「それに聞くところによると花丸さんも関わっているようなので、つい」
花丸「ああ、成るほど」
黒澤母「…サファイアの影響ですか?」
花丸「無いと言えば嘘になりますけど、やってて楽しいから」
花丸「っていうのも理由にありますよ」 黒澤母「……」
花丸「それに影響といっても、別に亡くなって叶えられなかった無念を晴らしたいわけじゃないんです」
花丸「ただ信じてみたくて、アオちゃんが言ってくれた言葉を」
黒澤母「あの子の?」
花丸「マルちゃんは可愛いから絶対アイドルになれる」
花丸「だから私と一緒に世界で一番のアイドルになろうって言われまして」
黒澤母「相変わらず大きく出ましたわね」
花丸「あはは、子供ならみんなそんなものじゃないですか?」 花丸「だけどね小母さん、最初に聞いたときは自信がなかったんです」
黒澤母「ええ」
花丸「だってマルは鈍間だし、いつも本ばかり読んでて人ともそんなに話したことなかったのに」
花丸「そんなマルが人前で歌って踊るアイドルになんてなれるわけない。そう思っていたんです」
花丸「いつも元気で明るくて可愛らしくて、そのうえ皆から愛されてるアオちゃんなら分かるけど、マルじゃ絶対無理だよって」
花丸「そう言ったんですけど、ね」 黒澤母「折れなかったと」
花丸「言っても聞かないところがあるから、アオちゃん」
花丸「でもマルの好きなアオちゃんがそこまで言うんだったら、信じてみたいなって思えて」
花丸「なにより、あの子と一緒にやりたいって気持ちの方が大きかったから」
花丸「だから結局、こっちが先に折れちゃいました」エヘヘ
黒澤母「……」 『ただいまー!』
『ただいま帰りました』
『あら二人ともおかえりなさい』
『聞いておかあさん! あのねあのね、きょうはマルちゃんとアイドルになろうってやくそくしてきたの!』
『アイドル?』
『うん! だってマルちゃんって本をたくさんよんでるから、色んなことしってて、なのにすっごくかわいいんだよ!!』
『だから私思ったの! マルちゃんがアイドルになればむてきになれるって!!』 『へえ、どうしてそう思ったの?』
『ものしりなひとってすごいでしょ? でもアイドルもすごいよね?』
『だったらどっちもできるマルちゃんはすっごくすごいってことになるでしょ!?』
『フフッ、そうですね』
『でしょ!』
『そんな単純な話かしら…?』
『わかってないなあお姉ちゃんは』
『はあ!?』
『ううんお姉ちゃんだけじゃない、みんなわかってない。マルちゃんがどんなにすごいのかってこと!』 『だから私がおしえてあげるの! マルちゃんのすごさを! マルちゃんといっしょにアイドルになってね!』
『私たちはとっぷアイドルになるんだから!!』
『それでテレビにもでて、もっとゆうめいになって!!』
『そしてマルちゃんとけっこんするの!!』
『サファイア! あなた、またそんなこと!』
『だってそれくらいすごくなったら、くろさわけにふさわしいってなるでしょ?』
『相応しい相応しくないのもんだいではありません!! まだ子供のうちからそんな…!』
『お母様もなんとか言ってください!』 『そうね、もし花丸ちゃんがサファイアに相応しい相手になったとしても』
『結婚は大人になるまではお預けでしょうね』
『お母様!?』
『おとなってどれくらい?』
『どれくらい……うーん、そう聞かれると難しいですね』
『見方によって変わるが、最低でも高校卒業くらいはしてからだろうよ』
『話はそれからだな』
『お、お父様まで!』 『こうこう?』
『ああ、もっと分かりやすく言うなら』
『結婚は18歳になるまで我慢しなさいということだよ』
『18さいね! うんわかった!!』
『……あの、私がおかしいのでしょうか』
『いいえ、私たちが変なの』
『はい?』
『知らなかったのダイヤ、私もお父さんも結構ぶっ飛んでいるんですよ? 特にお父さんはね』
『考えてもみてください、普通の親が子供に宝石の名前を付けたりしますか?』
『おい』
『えへへっ! はやくマルちゃんにもこのこと話さなくちゃ!』 黒澤母「……そう、そうですか」
花丸「はい、スクールアイドルをやろうって思ったのも…ただ、見て欲しかったから」
花丸「あの子が信じたマルの一番可愛くて綺麗なその姿を、見せたかっただけ」
花丸「自分で言うのは……ちょっと恥ずかしいけど」
黒澤母「……幸せ者ですね、サファイアは」
花丸「どうでしょう、今までみっともないところも見せちゃいましたけど」
黒澤母「みっともない?」 花丸「前にじっちゃん、ばっちゃんとルビィちゃんで一緒にお参りに行ったときに」
花丸「今まで耐えてきた糸がぷっつり切れたみたいに、自分を抑えきれなくなったときがあったんです」
花丸「疲れていたっていうのもあったのか、前から気にしていたことを思いっきり吐き出したくなる衝動に駆られて……」
花丸「どうしてマルは寺生まれなのに幽霊が見えないの、声が聞こえないの」
花丸「なんでアオちゃんと会えないの、会わせてよって、急に子供みたいに喚いて」
花丸「みんなに心配をかけさせた、そんな日もありましたから」 黒澤母「……」
花丸「小母さんが思ってるほどいい子じゃないんですよ、マルって」
黒澤母「…みたいですね」
黒澤母「花丸さん」
花丸「はい」
黒澤母「だからといってこの子の前で弱さを隠すのはやめてくださいね」
黒澤母「私や他の者に対してやるのは構いませんがね……PVの完成楽しみにしています、それでは」
スタスタ
花丸「うん…ありがとう、小母さん」 それから一週間後…
ダイヤ「──以上、ここまでがPV完成の大体の流れです」
千歌「基本的にはみんなにそれぞれ分けられた役割をやればいいんだけど」
千歌「手伝えるところがあったり時間に余裕のある人は、他の人に協力してくれると助かるな」
果南「おっけー」
曜「了解であります!」
千歌「というわけで頑張ってみんなでいいものを作ろーっ!!」
オー!! ダイヤ「さて次はユニット分けのことについてですが」
ダイヤ「まず初めに、一緒になるメンバーで何か要望のある方は……」
千歌「はいはいはいはい!!」バッ
ダイヤ「リーダーが真っ先に手を挙げるのですか…まあいいでしょう、では千歌さん」
千歌「私と曜ちゃんはルビィちゃんと一緒のユニットになりたいです!!」
ルビィ「え?」
曜「ん? 私も?」 ダイヤ「何か理由でもあるのでしょうか」
千歌「最近梨子ちゃんばっかりルビィちゃんと仲良くなっててズルいと思ったからです!」
梨子「えぇ……」
鞠莉「曜、貴女もあれくらいハッキリ言ったほうがいいわよ」
曜「いくらなんでもきっぱり言いすぎでしょ、あれは」
ダイヤ「ルビィはそれで構わないのですか?」
ルビィ「うん、いいけど」
千歌「やったー!」
ダイヤ「まだ決まっていませんわよ」 ダイヤ「他に要望のある方は?」
鞠莉「はーい、じゃあ私からも」
ダイヤ「どうぞ」
鞠莉「私はダイヤ、果南と一緒のユニットになりたくありませーん!」ブッブーデスワー!
ダイヤ「また貴女はそうやって、わざわざ人を煽るような言い方を……!」ピクピク
果南「どうどう、落ち着いて」
鞠莉「そうそう、ちゃんと理由があるから聞いてってば」
ダイヤ「…なら聞かせてもらいましょうか」 鞠莉「せっかくメンバーを分けて組み合わせるんだもの、それなら私はこの機会に普段は関わらないような子と一緒になりたいわね」
ダイヤ「ふむ、一理ありますわね」
果南「意外とまともな理由だった」
鞠莉「失礼ね、というわけで私は組む相手に梨子と善子の二名を希望するわ!」
梨子「私?」
善子「ふーん」ズズッ ダイヤ「なぜ梨子さんと善子さんを選んだのですか? 消去法で自然と?」
鞠莉「ううん、エロいから」
ダイヤ「貴女に少しでも感心した私が馬鹿でした」
鞠莉「ちが、違うわよ!? そういう路線も必要なのよ!」
果南「うん分かった、じゃあ残った花丸ちゃんはこっちが保護させてもらうから」
鞠莉「その認識は間違っているわ果南! セクシー! そうセクシー担当として相応しいと思ったから私は選んだわけで!」
梨子「……大丈夫なのかな本当に」
善子「別に貞操奪われるってわけでもないでしょ、私は別にいいと思うけど」パクッ
梨子「ずいぶんあっさりしてるのね善子ちゃん、というか貞操って…」 花丸「善子ちゃんはルビィちゃんと一緒になれなかったから、もう何でもいいんだよね」
善子「ちょっとそこ誤解を招く言い方やめてくれない!?」
鞠莉「あら振られてしまったのね」
善子「そっちも縁起でもないことを言うな! まだ始まったばかりだわ!」
梨子「え、ちなみにルビィちゃんとはどこまで…?」
善子「なんで急にそわそわし始めたの!? 今そういう話じゃないでしょ!」
果南「そろそろ止めたほうがいいんじゃない? アレ」
千歌「いやー姦しいとはまさにこのことですなー」アハハ
曜・ルビィ「……」
千歌「ん? どしたの二人とも」 ダイヤ「はい静かに! 話を戻しますわよ!」
「はーい」
ダイヤ「はあ……とにかく、ユニットの組み合わせは取りあえずですが決定しました」
ダイヤ「まだ仮ですが、一先ずはこの形で活動していく方針ですのでよろしくお願いします。以上で……」
千歌「以上で今回の部活動会議を終了とさせていただきます! みんなお疲れさま!!」
ダイヤ「……締めの部分だけリーダーらしくするのはやめてもらえます?」
千歌「いや、最後くらいはしっかりしないとほら、立場的に」
ダイヤ「……梨子さんの気持ちがよく分かりましたわ」 スタスタ
果南「でもさ思ったより早く決まって良かったじゃん、さくさく進んだというか」
花丸「ダイヤさんがまとめてくれたからね、昔からそういったのは得意だから」
果南「たしかに」
ダイヤ「…別に、そこまで言われるほどのものでもありませんわ」
鞠莉「照れてる照れてる」
ダイヤ「貴女はいちいち茶化さないでください!」
鞠莉「だってダイヤ可愛いんだもの♪」テヘペロ 善子「しかし、唐突に決まったけど大丈夫なのかしらね。PVはともかくユニットの方は」
鞠莉「あら、善子は私と一緒なのが不安?」
善子「いやそうじゃなくて、ルビィの」
鞠莉「いいわねえ青春、でもまあそこは特に問題ないでしょ」
ダイヤ「ええ、なにせ──」 曜「夢に僕らで帆を張ってー!」
千歌「来るべき日のたーめに夜を超え!」
ルビィ「いざ期待だけ満タンでー!」
三人「「「あとはどうにかなるさと肩を組んだ♪」」」
曜「怖くないわけない でも止まんない!」
千歌「ピンチの先回りしたって 僕らじゃしょうがない!」
ルビィ「僕らの恋が言う 声が言うーーー」
三人「「「行けと言う!!!」」」
ダイヤ「…あんな調子ですから」
善子「いやそれが私は心配なんだけどね」
梨子「勢い余ってライブで歌わなければいいけど…」 善子「ていうかね、もういいわよ映画の宣伝は」
鞠莉「Wait あれは仲が良くなった描写であって決して宣伝なんかじゃ」
善子「どう見てもねじ込んでるじゃないのよ!」
果南「まあまあ落ち着いて、ねえ善子ちゃん」
善子「なに」
果南「今から晴れるよ」ニコッ
善子「やめなさいっての!! 全くこんな調子で大丈夫なのかしらね本当に」
鞠莉「心配ねえよ、ここにいるやつでやるんだろ? なら絶対大丈夫じゃねえか!!」ドンッ!
花丸「いくぞ!!」ズラ!!
善子「いい加減にしろあんたら!!」 ワーワーギャーギャー
梨子「……向こうも向こうですけど、こっちはこっちで賑やかですね」クスッ
梨子「少し賑やかすぎる気もするけど……ダイヤさんはどう思います?」
ダイヤ「うーーん」
梨子「?」
ダイヤ「きみのそーつぉーどーりだよ?」
梨子(あっ、混ざりたかったんだ) それからの時間は楽しくもあっという間で
曜「どうかな? ちょっと盛りすぎ?」
ルビィ「下はもう少し軽くして、動きやすくしたほうがいいと思います」
曜「了解! ちゃちゃっと済ませてくるねー!」
果南「買い出し終わったよー! 他に足りないものとかある?」 いつも慌ただしくて、忙しい日々だったけれど
鞠莉「こことここ、あとそっちを修正しておいて、音量も調節しておいた方がいいわね」
善子「ちょっと待って、まずは今やってるのを終わらせて…っと。で、次が……」
ダイヤ「鞠莉さん、資料が出来ましたので申請お願いします」
鞠莉「オッケー、じゃあ二人で話しに行きましょうか」
善子「帰りに甘いものでも買ってきてもらえると助かるわね」
ダイヤ「では、その後少し休憩時間を取りましょうか」
鞠莉「それまでファイトよ善子!」
善子「はいはい、任せなさいって」 それでも、みんなと一緒に過ごす毎日はとても充実したもので
千歌「どうかな?」
梨子「うん、いいと思う。あとはこれにどうメロディを合わせるかってことだけど」
花丸「もう少し言いやすい言葉にしたほうがいいのかな?」
梨子「まずは一度通して歌ってみましょう」
千歌「歌詞にしても曲にしても、それを聞いてから変えていくってことね」
梨子「そういうこと、じゃあ花丸ちゃんよろしくね」
花丸「マルが!? うぅ、緊張するずら……」
私にとって、大切な……とても大切な思い出になっていったの そしてそれは、きっとこれからも続いていくんだろうなぁ
ずっと続いていけたらいいなあって
そんなことを思いながら、自分の愛する人と一緒に喜んだり、笑いあったり
あぁ、幸せってこういうことなのかなって
このときは、本当にそう思っていたの
…………
あの日がくるまでは ─部室
バンッ
千歌「みんなー! 大ニュースだよっ!!」
千歌「私たちのPVが急上昇ランク4位に入ってる!!」バッ
曜「本当だ凄い伸びてる!」
ルビィ「コメントも沢山来てるよ!」
善子「これはまた初っ端から大目立ちしてくれたわね、ちょっと上手くいきすぎじゃない?」
花丸「善子ちゃん、にやけながら言っても引き締まらないよ」
善子「うるさいわね、嬉しいんだから仕方ないでしょ」 果南「学校でも結構話題になってるみたいだよ、私とか声かけられちゃったし」
ダイヤ「それは果南さん自身の人気によるものも大きいと思いますけど」
果南「別にいいんだけどなあそういうのは」
ダイヤ「何を贅沢なことを言ってるんですか」
果南(いやだから他の人に好かれても意味ないんだって…って流石に今言うのはまずいよね)
鞠莉「内浦に興味を持ったって人もちょくちょくいるみたいよ、いい傾向ね」
梨子「関連でユニットの曲も聞いてもらえてるし、凄いわね」
千歌「うんうん! 頑張ったかいがあったってもんだよ!」 千歌「梨子ちゃんもこれでようやく決心がついたんじゃない?」
善子「何よ決心って」
曜「梨子ちゃんまだお母さんにPV見せていないんだよね、恥ずかしいからって」
善子「そんなのでよく今までステージに立てられたわね」
梨子「それはその、だって家族に見られるのはまた別の話でしょ」
ダイヤ「まあ気持ちは分かりますけど」
ダイヤ「それでも、娘の晴れ舞台なら親は喜んで見てくれると思いますわよ」ズズッ
花丸「同感ずら、きっと梨子さんのお母さんも楽しみにしてると思うよ」モグモグ
果南・鞠莉「……」 梨子「そう、なのかな。ルビィちゃんはどう思う?」
ルビィ「ルビィも見せたほうがいいなあって思います」
ルビィ「梨子さんなら大丈夫だよ、きっと」
千歌「ほら! みんなもこう言ってることだし!」
梨子「うん。じゃあ今日帰ったら、一緒に見ることにするね」 鞠莉「あっ、そうだわ!」
果南「どしたの突然」
鞠莉「ねえ折角だし近いうちに打ち上げパーティでもやらない?」
鞠莉「華々しいデビューの記念にってことで!」
千歌「おぉーいいね!」
善子「記念って……PV完成のときにも似たようなのやったじゃない」
鞠莉「心配しなくてもmoneyはあるから問題ないわ!」
ダイヤ「いやらしいうえに、善子さんはそういう意味で言ったのではないと思うのですけど」
鞠莉「固いこと言わないの! いいのよこんなこと今しか出来ないんだから!」
果南「まあ確かにそれはあるかも」 曜「はいはい! 私ハンバーグが食べたいであります!」
梨子「曜ちゃんまたハンバーグ?」フフッ
ルビィ「あの、お菓子がたくさんあるところがいいです!」
花丸「マルは久しぶりにたい焼きが食べたいずら」
善子「私はチョコレートパフェ、特盛で」
ルビィ「太るよ?」
善子「あんたに言われたくないわ」 果南「もうみんな乗る気満々みたいだね」
ダイヤ「……全く、仕方ありませんわね」ポリポリ
果南「クスッ、仕方ないのはどっちなんだか」
ダイヤ「何か?」
果南「いいや? 折角ならいいもの食べたいよねって話さ、ダイヤもそうでしょ?」
ダイヤ「……やるなら半端はいけませんし」 千歌「よーしそれじゃあ決まりということで!」
千歌「この調子のまま一気に今日の練習も頑張ろーっ!!!」
「おーーっ!!」
鞠莉「調子づかせるのは上手いのよねえ千歌っち」
善子「貴女も大概だと思うけどね私は」 ─その帰り道…
千歌「いやー今日は凄かったねー」
千歌「私たちの作ったPVが一気に伸びて、Aqoursの知名度も上がって!」
千歌「それに打ち上げパーティまでやるんだから良いことづくめだよ!」
梨子「そうね、嬉しいけど未だに少し信じられないというか」
曜「分かる、いきなりだったからね。今でもまだドキドキしてるもん」
千歌「私も!」
梨子「なんだ、みんな同じなのね」フフッ 曜「しっかしこの前のお祝いからまだそんなに経ってないのに、またパーティーを開くのは驚いたよ」
曜「前のときも結構豪華だったと思うんだけど」
千歌「うんうん流石は鞠莉ちゃんだよね、羽振りがいいというか、豪勢というか」
曜「鞠莉ちゃんが大胆っていうのもあると思うけど、やっぱりお金持ちのやることは違うなーって感じ」
梨子「まあ私たちとは金銭感覚が違うのは確かかもしれないわね」 千歌「んー、でもさ梨子ちゃんの家も結構なお金持ちだよね」
曜「え、そうなの?」
梨子「いやそれほどでも……あるかな?」
千歌「あるよ! だって東京にいたころは自分の部屋とは別にピアノを弾くための部屋があったんでしょ?」
梨子「うん、あったけど」
曜「へえー凄いねそれは、専用部屋ってことでしょ?」 梨子「まあ元は空き部屋で、取りあえずそこに置かせてもらってたってだけだから」
梨子「私のために特別に用意してもらったってわけじゃないの」
曜「ふーん、そうなんだ」
梨子「いつからだったかなあ、確か小学生になるちょっと前にお母さんが」
梨子「もうあそこは使わないからって」
曜「前は使ってたってこと?」
梨子「かも。でも片付けやら何やらは全部お母さんがやったから元々どんな部屋だったのかは私も分からないわ」
梨子「それがどうかしたの?」 曜「ううん別に。ただなんとなく気になっただけ……かな」
梨子「そっか」ニコッ
曜(だって新しいことくらい聞いておかないと納得いかないじゃん。千歌ちゃんに聞かされるまで私は何も知らなかったわけだし)ムスッ
曜(どうして千歌ちゃんばっかりにそういうこと話すかなあ…………ってあれ?)
曜(……いやいやおかしい、待ってこれおかしいよ、え? なんで千歌ちゃんに対抗意識を燃やしてるの私は)
曜(ん、いつの間にか相手すり替わってませんかこれ?だって私は元々梨子ちゃんにこう思うところがあったわけでなのに今は……あれ?ちょっと待て、待って待ってまっていやでもだからといって別にそれがどうってことでも)
梨子「曜ちゃん?」
曜「いやいやホントに何でもないから! なんでも!!」
梨子「そう? なんかボーっとしてたけど」
曜「気のせいだよ、うん」
曜(取りあえず深く考えないでおこう、多分そこまで考えるほどの意味はない……とそう思うことにしよう。うん) 千歌「でもいいなあ梨子ちゃん、私なんてちょっとうるさくしただけで美渡姉から怒られるんだもん」
梨子「千歌ちゃんはしょっちゅうだものね」
千歌「ホント何かあったらすぐガミガミ言うんだから」
千歌「あーあ、こういうのが妹のつらいところだよねえ」
梨子「その話、美渡さんが聞いたらまた怒るわよ」
千歌「うげー」
梨子(でも、妹……かあ) ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています