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善子「ダイヤがお見合い!?」

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0001名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/07(日) 18:25:34.81ID:+tSKFXLA
ルビィ「善子ちゃんあんまり大きな声出さないでっ」

善子「っ……ご、ごめん」

花丸「こう聞くとあれだけど……本当なの?」

ルビィ「うん……お母さんとお姉ちゃんが話してるのを聞いちゃったんだ」

ルビィ「お姉ちゃんに縁談が来てるって」

善子「でもダイヤは東京の大学に行くんでしょ? 縁談なんて無駄なんじゃないの?」

ルビィ「お姉ちゃんもそういってたけど」

ルビィ「今のうちに顔合わせをさせておきたいって、お母さんが……」

ルビィ「東京の大学に行くからこそ、今なんだって」

善子「………」

花丸「大学なら、女子大だったとしても男の人と接する機会は増えていく」

花丸「だから先に引き合わせておいて、ほかに靡かないようにって算段」

花丸「ダイヤさんが尽くしてくれる人だって理解しているからこそ、ずらね」

善子「それにダイヤはなんて? まさか、するとか言ったの?」

ルビィ「会うだけは会うって言ってた」

ルビィ「断るつもりですが。ってお母さんには念押ししてたけど……どうだろう」

善子「……場所は? 時間は?」

花丸「善子ちゃん……まさか」

善子「見に行くわよ。ソレ」

ルビィ「えぇっ!?」

善子「親から来た縁談なら親は頼りにならない。私達でぶち壊しにしてやるのよ!」
0183名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/13(土) 11:30:18.47ID:zZgwhqDs
ルビィ「……そっか」

ルビィ「ねぇ、善子ちゃん」

善子「なに?」

ルビィ「善子ちゃんはお姉ちゃんがどうなってても好き?」

善子「なにそれ、どういう意味よ」

ルビィ「よくある話だよ」

ルビィ「事故で足が無くなっちゃうとか」

ルビィ「病気で話せなくなったり、目が見えなくなったり」

ルビィ「障害者になった瞬間、隣からいなくなっちゃうような人」

ルビィ「……黒澤家は、ルビィが知ってるよりも大変で」

ルビィ「障害者を養うより大変かもしれない」

ルビィ「善子ちゃんはそれでも諦めないのかなって」
0184名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/13(土) 11:41:03.91ID:zZgwhqDs
善子「……諦めない」

善子「諦めるしかないことを諦めてない私が」

善子「親の反対を押し切ってでも東京についていこうとしてる私が」

善子「その程度で諦めると思う?」

ルビィ「……そうだね」

ルビィ「そうだよね」ニコッ

ルビィ「善子ちゃんの好きは……」

ルビィ「それなら」ボソッ

ガラッ

花丸「おはよう、善子ちゃん、ルビィちゃん」

善子「ん」

ルビィ「おはよー」ニコッ

ルビィ「今日は遅かったね」

花丸「図書室に寄ってたずら」

花丸「貰う本の選別しておこうかなって思って」
0185名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/13(土) 11:51:42.51ID:zZgwhqDs
善子「あぁ……例の」

善子「なんなら放課後にでも手伝うわよ?」

花丸「えっ?」

善子「なによ……」イラッ

花丸「よ、善子ちゃんがおかしい……!」

ルビィ「……えへへ」ニコニコ

善子「あんたに文句言われたくないだけよ!」

善子「ダイヤのことで手を借りてると言えば借りてるし」

善子「自分は手伝うのに善子ちゃんは手伝ってくれないんだ。とか」

善子「善子ちゃんのせいで終わらないとか」

善子「難癖つけられたくないだけよ」

善子「それに、ダイヤの方もしばらく動きはなさそうだし」

善子「どうするのよ」

善子「要る? 要らない?」

花丸「うーん」

花丸「要るずら」ニコッ

ルビィ「うんうん」

ルビィ「これだよ……えへへっ」
0186名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/13(土) 12:24:34.62ID:zZgwhqDs
ーーーーー
ーーー
ーー

ルビィ(善子ちゃん達は図書室)

ルビィ(ルビィは邪魔にならないように……)

ルビィ(善子ちゃん、お姉ちゃんが関わらなければ優しいんだよね)

ルビィ(普通、だったんだよね)

ルビィ(鞠莉ちゃんが言ってたことも冗談じゃ無いかもしれない)

ルビィ(お姉ちゃんがここにいてくれれば)

ルビィ(善子ちゃんもここにいてくれる)

ルビィ(黒澤家のしがらみがなくなれば、お姉ちゃんは自由になる)

ルビィ(そうしたら)

ルビィ(もしかしたら元に戻るかもしれない)

ルビィ(そのためなら)

ルビィ(取り戻す為なら……ルビィは)

ルビィ「……」チラッ

ルビィ(放課後は、生徒会室だったよね?)

コンコン
    ガラッ

ルビィ「しつ……あっ、居た」

ダイヤ「ルビィ?」

ルビィ「お姉ちゃん、ちょっと……良いかな?」

ルビィ「お話がしたいから、ちょっと来て」
0187名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/13(土) 12:56:29.54ID:zZgwhqDs
タンッタンッタン…
  タッタッタッ…

ダイヤ「………」

ルビィ「………」

ダイヤ「……ルビィ」

ダイヤ「ルビィ、いい加減良いのでは?」

ダイヤ「屋上は締まってーー」

ガチャガチャ
    カチッ

ダイヤ「なっ」

ルビィ「廃校しちゃうから記念にって言ったら借りれたよ?」ニコッ

ダイヤ「貴女……」

ルビィ「大事な話があるから」

ルビィ「屋上なら、誰にも聞かれないでしょ?」

ダイヤ「家でも良いのに」

ルビィ「家じゃ、ダメだよ」

ルビィ「……大事な話だから邪魔されたくない」
0188名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
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2019/04/13(土) 15:55:20.47ID:8IJ+Oh1u
これは……
0189名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2019/04/13(土) 16:36:05.86ID:700JrSNE
>>182
言い返せなくて草
0191名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/13(土) 18:23:54.94ID:1rdo3HqP
ルビィ「大事なことだから、率直に言うね?」

ルビィ「お姉ちゃん、東京にいくの止めて欲しいんだ」

ダイヤ「花丸さんのことですか?」

ダイヤ「花丸さんが、そうしなければ何かすると?」

ルビィ「ううん、花丸ちゃんはなにも言ってないよ」

ルビィ「ルビィが自分で考えて」

ルビィ「お姉ちゃんが東京にいかなければ良いんだって思った」

ダイヤ「わたくしの所在で何がどうなると?」

ルビィ「うん」ニコッ

ルビィ「みんなの関係が壊れるんだ」

ダイヤ「え?」

ダイヤ「……壊れる? みんなが?」

ダイヤ「わたくしが居るか居ないかで?」

ダイヤ「何をバカなことを……あり得ませんわ」
0192名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/13(土) 18:29:49.72ID:1rdo3HqP
ルビィ「お姉ちゃんは何も分かってない」

ルビィ「なんにも知らない」

ルビィ「お姉ちゃんのことが好きな人がいること」

ルビィ「その人は凄く凄く好きで、お姉ちゃんの為ならなんでもできるってこと」

ルビィ「友達だろうと家族だろうと切り捨てられるってこと」

ルビィ「……お姉ちゃん、黒澤を止めてよ」

ルビィ「ルビィが頑張るから」

ルビィ「全部全部、お姉ちゃんと同じくらい」

ルビィ「ううん、お姉ちゃんよりもできるように頑張るから」

ルビィ「だからもう、女の子がダメなんて言わないでよ」

ルビィ「東京に行くなんて、言わないでよ」

ルビィ「じゃないと……ルビィ達がバラバラになっちゃうよ!」
0193名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/13(土) 18:36:33.04ID:1rdo3HqP
ルビィ「……お願い」

ダイヤ「………」

ダイヤ「嘘や冗談というわけでは、ありませんわね」

ダイヤ「貴女の目は本気、声も本気」

ダイヤ「わたくしを好いてくれている人がいることも……真実」

ダイヤ「ルビィが何をどこまで知っているのか」

ダイヤ「それはわかりません」

ダイヤ「ですが」

ダイヤ「わたくしが東京に行くのはわたくしの望み、わたくしの意志」

ダイヤ「黒澤を背負うのもわたくしの意志」

ダイヤ「易々と、身を引くわけにはいきません!」

ダイヤ「貴女たちに問題が起きていることは承知しています」

ダイヤ「花丸さんとも、お話ししました」

ルビィ「!」

ダイヤ「……大丈夫です。わたくしがなんとか致しますわ」
0194名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/13(土) 18:54:24.26ID:1rdo3HqP
ルビィ「……ダメだよ」

ルビィ「それじゃもう、ダメなんだよお姉ちゃん」

ルビィ「お姉ちゃんは正しいと思う」

ルビィ「決めたことをしっかり守っていくのはルビィも好き」

ルビィ「格好よくて……憧れだった」

ルビィ「でも、でもね?」

ルビィ「それじゃもう、ダメなんだよ」

ルビィ「花丸ちゃんも、善子ちゃんも」

ルビィ「正論だけではどうにもできない」

ダイヤ「……解ってるわ」

ダイヤ「言ったでしょう? 花丸さんとお話をしたって」

ダイヤ「花丸さんの闇は深い」

ダイヤ「それでも、なんとかできるはず」
ダイヤ「まだ間に合うはず」

ダイヤ「わたくしは……そう信じています」

ダイヤ「貴女の気持ちと考えは解りますが」

ダイヤ「どうか、任せて頂戴」

ダイヤ「貴女の姉である黒澤ダイヤを、信じて頂戴」
0195名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/13(土) 19:02:52.62ID:1rdo3HqP
ルビィ「………」

ルビィ「……解った」

ルビィ「お姉ちゃんがそこまで言うなら、ルビィも覚悟を決めるよ」ニコッ

ダイヤ「ルビィ…」

グッ

ダイヤ「ありがとう」ニコッ

ルビィ「ううん、気にしないで」

ルビィ「きっとお姉ちゃんならそう言うだろうなって覚悟はしてた」

ルビィ「それでも、ルビィの本気のお願いなら受け入れてくれると思ってた」

ルビィ「でも、ルビィの負けだね」

ダイヤ「ふふっ、そんなことありませんわ」

ダイヤ「十分、強さを感じましたから」

ダイヤ「さぁ、戻りましょう」

ダイヤ「屋上は少し、冷えますわ」
0196名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/13(土) 19:09:42.29ID:1rdo3HqP
ガチャガチャ
    カチャンッ

ダイヤ「ちゃんと締まってますの?」

ルビィ「うん、大丈夫」

ダイヤ「まったく、驚きましたわ」

ダイヤ「まさか屋上の鍵を借りてきているなんて……」

スタスタ

ダイヤ「廃校を利用したとはいえ、貸して貰えるなんて」

ルビィ「えへへ……」

タンッタンッタ……

ルビィ「………」

ルビィ「お姉ちゃん」

ダイヤ「なに?」

ルビィ「ごめんね?」

ダイヤ「ぇーー」

ドンッ

ダイヤ「ル……ビィ……?」

ルビィ「これがルビィの……覚悟だよ」
0198名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
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2019/04/13(土) 19:16:11.81ID:8IJ+Oh1u
やっぱりだぁ……
0201名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/13(土) 20:57:31.60ID:qFZ1K1Ex
ーーーーー
ーーー
ーー

図書準備室


花丸「ここずら」

善子「ここって……」チラッ

善子「図書準備室?」

善子「こんなところあったのね」

ガチャッ……
     ガラッ

花丸「名前だけだよ」

花丸「普段は全く使ってないずら」

花丸「古くなっちゃった本とか」

花丸「ちょっとした小道具とかが置いてあるんだ」

善子「小道具?」

善子「………」キョロキョロ

善子「これ?」ガタガタッ

ガタンッ
     ボフッ

善子「っ! げほけほっ……」パタパタ

善子「けほっけほっ……なにこれ、ほこりっぽい……」
0202名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2019/04/13(土) 21:20:07.50ID:5SJNigru
>>190
アホくさいのに態々レスするとか結局構ってもらいたいんじゃんw
素直じゃないねえ〜w
0203名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/13(土) 21:33:15.54ID:qFZ1K1Ex
花丸「言ったずらよ。あんまり使ってないって」

花丸「多少掃除はしてあるけど、小道具にまでは手が回ってなかったずら」

花丸「なにせ、図書室のボランティアはマルだけだからね」

花丸「実質、ここはマルの私室みたいな感じなんだ」

善子「汚すぎるでしょ……押し入れでももう少し綺麗だわ」

善子「で? なんなのこの小道具」

花丸「あぁ……それは音読会で使ったパペットずら」

花丸「ほかには紙芝居とか、演劇の衣装なんかもあるらしいよ」

善子「演劇……? なんでまた」

花丸「昔は、ちゃんと図書委員があってね」

花丸「公民館や、幼稚園とか」

花丸「ちょっとした地域ボランティア活動でやってたんだって」

花丸「この部屋も、その時代に使われたた場所」

花丸「……今はもう、ただの物置だけど」

善子「…………」

善子「へぇ、知らなかった」

花丸「Aqoursがなければ、善子ちゃんとルビィちゃんと一緒にこれをやってたかもしれない」

善子「ないない」

善子「私、そういうの興味ないから」
0204名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/13(土) 22:11:37.46ID:qFZ1K1Ex
花丸「残念」ニコッ

善子「……全然そう見えないんだけど」

パサッ
   パサッ

善子「ここって裏口もあるのね」

花丸「ふふっ、善子ちゃん興味深々ずらね」

善子「良いじゃない別に」

善子「本をまとめるだけじゃ、暇なのよ」

花丸「暇ではないと思うけど……」

花丸「その裏口は、昔の図書委員の人が使ってたんだって」

花丸「確か……忍法タイムトラベル」

善子「せめて日本語にしなさいよ、忍法」

花丸「あはは……適当だったんだよ」

花丸「タイムトラベルって言いながら、実際は遅刻しかけた生徒が校門を避けて学校に入る裏口ってだけ」

花丸「遅刻するはずだったのに、遅刻しない未来を作りだす」

花丸「だから、タイムトラベル」

花丸「先輩は面白いよね」

善子「面白いというか、曜とか、鞠莉みたいね」

善子「その場の勢いで生きてる感じがするわ」
0205名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2019/04/13(土) 22:15:59.15ID:5SJNigru
>>203
見えないけどガガイくんかな?
言動と行動が一貫していないよw
ぼきゅに構ってください、お願いしますってちゃんと言おう?ね?
0206名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/13(土) 22:26:52.02ID:qFZ1K1Ex
花丸「アルバムあるけど、見てみる?」

花丸「善子ちゃんがあぁ。って納得するような人の写真が載ってるよ?」

善子「……やめとく」

花丸「そっか」

花丸「……あ、その本は持っていきたいからこっちにおいて」

善子「はいはい」

善子「こっちは?」

花丸「うーん……それも」

善子「……」チラッ

善子「これは?」

花丸「それは……いいや」

花丸「でも、面白いから善子ちゃん呼んでもいいずらよ?」

善子「読書とか無理」

善子「どんな話なの?」パラパラパラ

花丸「えぇ……ネタバレだけ聞くずら?」

花丸「読まないのに?」

善子「読まないから聞くのよ」
0207名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/13(土) 22:42:48.57ID:qFZ1K1Ex
花丸「簡潔に言うと、推理小説ずら」

花丸「ある村で殺人事件があってね、探偵が来る」

花丸「その探偵が事件の謎を解き、犯人を追い詰めて捕まえる」

花丸「という物語」

善子「普通の推理小説じゃない」

花丸「これの面白いところは、偶然を利用したトリックを使ってるというところ」

花丸「偶然を用いることで、真犯人が実行犯では本来ありえないような現象を引き起こし」

花丸「探偵の推理を湾曲させ、別の人を犯人にしちゃうんだ」

善子「何それ、狡くない?」

花丸「そう、狡い」

花丸「小説では、いくつものトリックを用いられているけれど」

花丸「偶然を……しかも、描写の裏に隠しているのは斬新だった」

花丸「はっきり言って邪道で、作品の評価はボロボロだったけど」

花丸「最後の一瞬まで真犯人を突き止めさせなかった物語は面白かった」

善子「でも結局捕まるんでしょ?」

花丸「うん」

花丸「最後に犯人はこう言うずら」

花丸「お前の立派な推理で、人が一人死んだんだ。おめでとう、人殺し。って」

善子「え……?」

花丸「言葉の通り、最初の冤罪でつるし上げられた人は」

花丸「村ゆえの冷酷さに……自殺しちゃったんだ」

花丸「推理小説において正義である探偵、それを一つの悪として描いた作品」

花丸「だから、マルは少し気に入ってる」
0208名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/13(土) 23:55:00.58ID:qFZ1K1Ex
善子「そんなの気にいるとか……ずら丸」

善子「あんたも少し、ひねくれてるんじゃない?」

花丸「あははっ」

花丸「そうずらね」

花丸「そうかもしれない……でも、善子ちゃんもでしょ?」

花丸「ダイヤさんのためなら、なんだってできるんだから」

善子「………」

善子「否定は、しないわ」

花丸「頑張ろうね」

善子「?」

花丸「ダイヤさんのこと」

花丸「もう少しで、縁談は完全に終わるでしょ?」

善子「親は諦めないわよ、どうせ」

善子「ダイヤが大学に行ったことなんて関係なしに縁談を持ち込もうとする」

花丸「でも、関係ない」

善子「ええ」

善子「ダイヤは誰にも渡さないわ……」

善子(そう、誰にも)
0209名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 11:10:29.98ID:ZXl/zdZA
ーーーーー
ーーー
ーー

ルビィ「これがルビィの……覚悟だよ」

ダイヤ「どうして……」 

ダイヤ(地に足のついていない、浮遊感)

ダイヤ(無意識に伸びた手はなにも掴めない)

ダイヤ(ルビィの悲しそうな顔が見えた)

ダイヤ(お姉ちゃんがいけないんだよ。と語る瞳が見えた)

ダイヤ(わたくしのなにがいけなかったのか)

ダイヤ(ルビィを取り戻したい、花丸さんを救いたい)

ダイヤ(黒澤を背負うこと、東京に行くこと)

ダイヤ(わたくしのそれらはルビィにとって……不都合だと?)

ダイヤ(わたくしを壊してでも、黒澤を背負わなければならない理由があると?)

ダイヤ(なぜ……)

ダイヤ(なぜ……どうして……)

ガンッ

ダイヤ「っ!」

ダイヤ(だめ……死……)ギュッ

  ……ボフッ

ルビィ「ぁっ」

ダイヤ「……?」

果南「あっぶないなぁ」

果南「だから言ったでしょ、歩きスマホは危ないよって」
0211名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 11:52:20.85ID:ZXl/zdZA
ダイヤ「か、果南さん……?」

ダイヤ「どうして、こんなところに?」

果南「いやー生徒会室行ったら荷物はあるのにダイヤがいなくてさ」

果南「ちょっと待っても戻ってこないからトイ――」

ダイヤ「そういうことは言わなくていいですわ」

ダイヤ「とにかく……ありがとう、助かりましたわ」

果南「ん」

果南「……で、何があったの?」チラッ

果南「ルビィちゃん、ダイヤが自分で落ちたわけじゃないでしょ?」

果南「まさか」

ダイヤ「あ、足を滑らせてしまったんです」

ダイヤ「屋上のカギを絞められたか気になって振り返ったときに、ずるっと」

ルビィ「………」

果南「へぇ……」ジロッ

果南「いくら私でもさ……そういう嘘を見逃す気にはならないよ」

果南「おかしいでしょ、目の前でダイヤが堕ちて、助かって」

果南「まったく心配もしてないなんてさ」

果南「理由を教えてよ、ね? ルビィちゃん」
0212名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 12:01:44.07ID:ZXl/zdZA
ダイヤ「ま、待ってください」

ダイヤ「わたくしは――」

ルビィ「良いよ、嘘なんかつかないで」

ルビィ「そうだよ。ルビィがお姉ちゃんを突き飛ばしました」

果南「やけに、堂々としてるね」

果南「ねぇ、それでダイヤが大怪我するって分からないわけじゃないよね?」

果南「最悪死んじゃうことになるって分からないわけじゃないよね?」

果南「それでさ……突き飛ばしたわけじゃ、ないよね?」

ルビィ「知ってるよ」

ルビィ「全部知ってて、全部分かってて、それでもお姉ちゃんを突き飛ばした」

ルビィ「邪魔だったから」

果南「邪魔? 邪魔って、ルビィ―ー」

ルビィ「何も知らない部外者が!」

果南「!」

ルビィ「ルビィたちの邪魔をしないで!」

果南「な……え……」

果南「ダイヤ? ねぇ、あれ……ルビィちゃん?」

ダイヤ「ええ、正真正銘わたくしの妹ですわ……」フイッ
0213名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 12:11:05.20ID:ZXl/zdZA
ルビィ「ルビィはちゃんとお願いしたんだよ?」

ルビィ「東京に行くの止めてって、黒澤を背負うのはやめてって」

ルビィ「ルビィが代わりに頑張るから、ちゃんと背負って見せるから、努力するからって」

ルビィ「なのに、お姉ちゃんは嫌だって言った」

ルビィ「自分で決めたことだから、為すべきことだからって」

ルビィ「ルビィたちのことも、何とかしてみせるから信じてって」

果南「それの何がいけなかったの?」

果南「ダイヤを殺すようなことをする理由なんてないでしょ?」

ルビィ「正しいからだよ」

ルビィ「正しくて、まっすぐで、綺麗だったからだよ」

ルビィ「正しいからこそ、間違ってる」

ルビィ「正しいだけじゃ、どうしようもないことだってある」

果南「意味わかんないんだけど……あのさ」

果南「それがどうしてダイヤを傷つける理由になるのかって、聞いてんの!」

ダンッ

ダイヤ「か、果南さっ」ビクッ

果南「私は今、怒ってるんだよ」

ルビィ「……怒ってる?」

ルビィ「きっと、それが正しいんだよね」

果南「!」

ルビィ「でも、今のルビィにとってそれは間違いだよ。果南ちゃん」

ルビィ「言わなかったかな……部外者だって」ニコッ
0214名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 12:21:22.36ID:ZXl/zdZA
ルビィ「何も知らないで、ただそれが普通じゃないからとか、間違ってるからとか」

ルビィ「その程度の理由で批判して、怒鳴ってくるのは、迷惑だよ」

ルビィ「……ルビィとお姉ちゃんが喧嘩してて、ルビィがお姉ちゃんを殴っていたとする」

ルビィ「果南ちゃんはどうする?」

ルビィ「今の感じだと、ルビィを責めるよね」

ルビィ「やめろ、おかしい、間違ってる」

ルビィ「うん、果南ちゃんは正しいね」

ルビィ「だって、暴力は悪いことなんだもん」

ルビィ「でも、お姉ちゃんがルビィの大切な何かを壊しちゃったかもしれない それを捨てちゃっているかもしれないよ」

ルビィ「そのせいでルビィが怒って、殴ってるのかもしれないよ」

ルビィ「ねぇ、果南ちゃん」

ルビィ「怒ってるっていうけど」

ルビィ「ルビィとお姉ちゃんに何があって、どうしてこんなことになってるのか、知ってるの?」

果南「そんなこと、聞いてないんだから知ってるわけがない」

ルビィ「じゃぁ、部外者だね」
0215名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 12:27:51.88ID:ZXl/zdZA
果南「な……」

ルビィ「果南ちゃん」

タンッ
    タンッ
         タンッ
 タッ……
     キュッ

ルビィ「……関係ないなら、黙ってて」

ルビィ「知りもしない善悪で、無意味な偽善を振り撒かないで」

果南「くっ」

ガシッ

ルビィ「……いいよ。殴っても」

ルビィ「それが果南ちゃんの正しさなら」

ルビィ「でも、良いのかな?」

果南「なにが……!」イラッ

ルビィ「それは果南ちゃんの正しさの中で、間違ってることのはずだよ」

ルビィ「……ルビィにとっては正しいことだけど」

果南「っ……くっ」ギリッ

ヒュッ

ダイヤ「やめて!」

果南「!」

ルビィ「…………」

ダイヤ「お願いだから……やめてください……」ポロポロ

ダイヤ「わたくしのせいで争う二人なんて見たくない!」

ダイヤ「ルビィを傷つける果南さんも、果南さんを傷つけるルビィも……見たくありません!」

ダイヤ「お願い、お願いします……果南さん……」
0216名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 12:42:15.43ID:ZXl/zdZA
果南「………っ」

パッ

ルビィ「………」

ルビィ「……果南ちゃんも、お姉ちゃんも正しいよ」

ルビィ「でも、その正しさじゃもう駄目なんだ」

ルビィ「お姉ちゃん」

ダイヤ「なに……」

ルビィ「もう少し考えて欲しいな」

ルビィ「ルビィに全部譲るか、お姉ちゃんが続けるか」

ルビィ「……でも、忘れないで」

ルビィ「ルビィの覚悟は、お姉ちゃんを階段から突き落とせるって」

ルビィ「じゃぁね」ニコッ

タンッタンッタンッ
        タタッ
  タンッタンタッ……

果南「なにあれ……あれが、ルビィちゃんなの?」

ダイヤ「ええ」

ダイヤ「そのはず……なんです」グシグシ

果南「……ダイヤ」

ダイヤ「今回は本当に助かりましたわ」

ダイヤ「ですが、ごめんなさい」

果南「え?」

ダイヤ「しばらく、わたくし達には関わらないでください」

ダイヤ「わたくしを殺す覚悟のあるルビィが、果南さん達を殺せないわけがありません」

ダイヤ「ですから、ごめんなさい。この一件からは手を引いてください」
0217名無しで叶える物語(禿)
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2019/04/14(日) 12:51:36.90ID:oZxxnk6a
階段やったのか。
てっきり外へかと……
0219名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 14:45:55.88ID:ZXl/zdZA
―――――
―――
――
・淡島


果南「……っていうことが、あってさ」

果南「関わらないでとは言われたんだけど」

果南「無理だよ……」

鞠莉「さすがに、果南も引いたのね」

果南「あんなにルビィを怖いと思ったのは初めてだった」

果南「ううん、あんなことが平気でできるとは思わなかった」

鞠莉「私もそんなルビィは初めて聞いたわ」

鞠莉「…………」

果南「やっぱり、鞠莉も分からない?」

鞠莉「残念だけど、分からないわ」

鞠莉「ダイヤは事情を知ってそうだけど」

鞠莉「きっと、聞いても答えてくれないわよねぇ」

果南「うん……何にもしてあげられないのかな?」

果南「ルビィちゃんが言ってたように、部外者の私たちが何をしても」

果南「それはただの偽善でしかなくて、無意味で」

果南「今回みたいにただ、かき回しちゃうだけなのかな……?」
0220名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 15:30:36.47ID:ZXl/zdZA
鞠莉「果南らしくないんじゃない?」

果南「え?」

鞠莉「いつものストロングな果南はどこ行っちゃったの?」

果南「……私だって、悩むことはあるよ」

果南「私だって、強いわけじゃない」

果南「鞠莉はあのルビィを見てないからそう簡単に言えるんだよ」フィッ

鞠莉「ええ、そう」

鞠莉「私はそのルビィを見たわけじゃない」

鞠莉「その場にいたわけじゃないから何も分からない」

鞠莉「だから、勝手なことを言うことが出来る」

鞠莉「果南がルビィにしたように……ね」

鞠莉「少しは、ルビィの気持ちが分かった?」

果南「え……?」

鞠莉「ふふっ」

鞠莉「果南にとって、私はその件の部外者」

鞠莉「何かできると思っていないから、突き放す」

鞠莉「自分の力になって貰えると思っていたら、助けてって……言うもの」

果南「ちがっ」

鞠莉「少なくとも、ルビィはそうだったのよ」
0221名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 16:12:23.85ID:ZXl/zdZA
鞠莉「だから、無理をしないほうが良い」

鞠莉「それこそ、状況を掴めるまではね」ニコッ

果南「そんな悠長なこと言ってて平気なの?」

鞠莉「ルビィがそうなっちゃった理由は分からないけど」

鞠莉「きっと、原因はダイヤの縁談よ」

果南「ダイヤの……? そんなことで……」

鞠莉「そんなこと……ね」

果南(鞠莉は笑う)

果南(ルビィちゃんのことで臆病になっているのか)

果南(どうにも、不気味に感じてしまう嫌な笑み)

鞠莉「実は、今週末にダイヤがデートするの」

果南「デート!?」

鞠莉「それが終われば、丸く収まる」

鞠莉「その日で、すべてが終わるわ」

鞠莉「だから、しばらく様子を見ましょ」

果南「……本当に、それで終わるの?」

果南「そう言い切れる自信はどこから来てるの?」
0222名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 16:36:14.87ID:ZXl/zdZA
鞠莉「今回の一件は、ダイヤのことを好きな気持ちが暴走してしまったもの」

鞠莉「縁談という足が、踏んではいけない虎の尾を踏んでしまった」

鞠莉「幸い、ダイヤは断るつもりだって話は聞いてるでしょ?」

鞠莉「ダイヤが断れば晴れて、東京のカレッジへゴー」ニコッ

果南「でも、ルビィちゃんはそれだけじゃなかった」

果南「さっき話したでしょ?」

果南「ルビィちゃんは黒澤家の――」

鞠莉「今は、いろんなものが絡みすぎているのよ」

鞠莉「少しでも問題をシンプルにしたい」

鞠莉「じゃないと、絡まったひもを余計に固くしてしまうだけ」

鞠莉「そして、力だけでは引きちぎれてしまう」

果南「…………」

鞠莉「大丈夫、ルビィたちには私がついてるわ」

鞠莉「果南は……待ってて」

果南「待っててって……そんな」

果南「私じゃ何にもできないってこと?」

果南「何の役にも立てないってこと?」
0223名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 16:57:14.08ID:ZXl/zdZA
鞠莉「……違うわ。果南」

鞠莉「果南には客観的な立場にいて欲しい」

鞠莉「正しい側でいて欲しい」

鞠莉「果南だけでも、そっち側でいて欲しい」

果南「鞠莉……?」

鞠莉「千歌達も巻き込むわけにはいかないからね」

鞠莉「せめて、関わっちゃった中でも変わらないでいて欲しいの」

鞠莉「今週末までだから。ね?」

果南「………」

果南「……わかった」

果南「分かったよ」

果南「でも、無理はしないで」

果南「今のルビィちゃんは普通じゃない」

果南「……お願い」ギュッ

鞠莉「ええ……ノープロブレムよ。果南」

鞠莉「……大丈夫」ニコッ
0224名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 18:03:45.53ID:ZXl/zdZA
―――――
―――
――
。翌日


千歌「えーっ!?」

ダイヤ「すみません、私用が立て込んでおりまして」

曜「土曜日じゃなくて、それまで全休なんて……何かあったんですか?」

千歌「そうだよダイヤさん!」

千歌「何か力になれるようなことがあるなら言ってよ!」

梨子「千歌ちゃん、ダメだよ」

千歌「でも〜っ」

ダイヤ「本当に申し訳ありません」

ダイヤ「家庭の事情ですので、千歌さん達には……」

鞠莉「そういうことなら、お休みにしましょ」

千歌「そんなぁ」

善子「それでも全休なんて、ちょっと穏やかじゃないんじゃない?」

善子「土曜日の予定。そんな厄介なわけ?」

ダイヤ「いえ、土曜日のこととはまた別件です」

ダイヤ「とにかく、ごめんなさい」

花丸「ふぅん……」チラッ

ルビィ「………」

花丸「なるほどね」ボソッ
0225名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 19:45:45.83ID:ZXl/zdZA
果南「仕方がないね」

果南「それじゃ、しばらく休みにしよっか」

果南「各自個人練習はともかく」

果南「基礎体力のための運動や、柔軟は欠かさずやるようにね」

千歌「はーい」

曜「何があったんだろう?」

果南「こーら」

ポンッ

曜「わわっ」

果南「無用な詮索はしないの」

曜「か、果南ちゃんっ」

果南「家の事情っていえば、私にもあるんだけど……」

果南「手伝って貰っちゃおうかな〜?」ニコニコ

曜「げっ」

曜「あんなの手伝いじゃないっ、筋トレだよ! 筋トレ!」

果南「なにをぅ!」グリグリ

曜「わーっ! 助けてー!」

曜「助けて千歌ちゃーん!」

千歌「……南無」

曜「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ」
0226名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 20:17:58.08ID:ZXl/zdZA
善子「なにを馬鹿やってんだか……」

善子「……ったく」チラッ

善子「あんた、何か知ってるの?」

花丸「マルは知らないよ」

花丸「ルビィちゃんなら、知ってそうだけど」

花丸「でも今は、余計な詮索は控えたほうが良いんじゃないかな」

善子「アンタには言われたくないわね」

花丸「やだなぁ……マルはそんなアグレッシブじゃないずらよ」

花丸「善子ちゃんが、連れまわさなければね」ニコッ

善子「……気に食わないわね。その顔」

花丸「そっか」

善子(ダイヤが、苦しんでる)

善子(誰がやったの……誰のせいで……)

善子(縁談のことじゃないとしたら、やっぱり……ずら丸の言う通りルビィが何か知ってる?)

善子(昨日は何も言わなかったのに?)

善子(もしかして、昨日何かやった?)

善子「ルビィ……」ギリッ
0227名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 21:22:13.09ID:ZXl/zdZA
―――――
―――
――

ドンッ

善子「………」

ルビィ「………」

善子「……驚かないのね。あんた」

ルビィ「お姉ちゃんがみんなの前であんなことしたとき」

ルビィ「善子ちゃんが怒鳴りに来るんじゃないかなーって、覚悟はしてたよ」クスッ

ルビィ「思ってた通り」

善子「何笑ってんのよルビィ……」

善子「ずいぶん余裕じゃない」

ルビィ「怒鳴られること、叩かれること」

ルビィ「そうされる理由があって、そうされることが分かっていたら」

ルビィ「ルビィが驚く理由はないよ」ニコッ

善子「ならやっぱり、アンタが何かしたのね?」

グイッ
    ダンッ!!

ルビィ「カハッ……けほっけほっ」

善子「私が容赦しないっていうのは、あんた、知ってるはずじゃなかった?」

ルビィ「それでも、ルビィにはやるべきことがあったんだよ」

ルビィ「善子ちゃんがルビィにこうするように」

ルビィ「ルビィにはお姉ちゃんを苦しめなくちゃいけない理由があったんだ」

ドンッ

善子「ぐっ」

ルビィ「ルビィにだって、大切なものがあるんだよ。善子ちゃん」

ルビィ「たとえ、善子ちゃんと殴り合うことになってでも守りたいものがあるんだ」
0228名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 21:33:01.98ID:ZXl/zdZA
善子「あんた……」

ルビィ「良いよ、善子ちゃん」

ルビィ「ルビィはもう、覚悟は出来てるよ」ニコッ

善子「ダイヤに何をしたのよ」

善子「どうして、ダイヤの目があんなにも……」

ルビィ「昨日ね、階段から突き飛ばしたんだ」

善子「は?」

ルビィ「殺しちゃう可能性もあったから」

善子「待って」

ルビィ「多少、階段を下りてからにしたんだけどね?」

善子「待ちなさい」

ルビィ「もちろん、そうなったらそうなったで覚悟は――」

善子「黒澤ルビィ!」

ルビィ「わっ」

ルビィ「急に大声出されると、さすがにびっくりするよ」

善子「あんた一体何言ってんのよ」

善子「突き飛ばしたって何?」

善子「殺すことになるかもしれなかったって、あんた。本気で言ってんの?」

善子「アンタの大事な姉じゃなかったの……?」
0229名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 22:28:45.76ID:ZXl/zdZA
ルビィ「大事だよ」

ルビィ「……でもね?」

ルビィ「左と右に分かれてしまったら、どちらかしか選ぶことはできないんだよ」

ルビィ「現実はゲームじゃない」

ルビィ「片方のアイテムを取ったら、戻ってもう一つなんてことは出来ない」

ルビィ「……だから、お姉ちゃんを突き飛ばした」

ルビィ「善子ちゃん言ったよね?」

善子「私が?」

善子「私があんたにそんなこと言った覚えなんかないけど」

ルビィ「ううん、昨日の話だよ」

ルビィ「たとえお姉ちゃんがどうなっていても好きでいてくれるって話」

ルビィ「あれを聞いて、あぁ……大丈夫だ。そう思った」

ルビィ「お姉ちゃんが壊れていても、善子ちゃんは好きなままだ」

ルビィ「お姉ちゃんを見ていてくれる、好きでいてくれる、大切にしてくれる」

ルビィ「それなら、お姉ちゃんを壊してしまおう」

ルビィ「黒澤を背負わなくていいように、縁談なんて持ち込まれないように、東京になんて行かなくて済むように」

ルビィ「怪我をさせちゃおうって、考えたんだ」

善子「何言ってんの……?」

善子「頭、おかしいんじゃないの?」

善子「それで、そんなことで……」

善子「そんなことで、ダイヤを!」

グイッ

ルビィ「……うん、そんなことだよ。善子ちゃんにとってはね」

ルビィ「でも、ルビィにとってはとっても大切なことだよ」

ルビィ「善子ちゃんは、知らないみたいだけどね」クスッ
0230名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/14(日) 22:55:09.07ID:ZXl/zdZA
善子「そんなことして、なにがあるのよ」

善子「なにが守れるって言うのよ」

ルビィ「ルビィ達のこと……かな?」

善子「ふざけないでよ……」

善子「あんたのせいで滅茶苦茶よ!」

ルビィ「……あはは」

ルビィ「………」

ルビィ「まぁいいや」

ルビィ「善子ちゃんはお姉ちゃんが重要なんでしょ?」

ルビィ「お姉ちゃんが縁談も、黒澤も、東京も」

ルビィ「全部なくなれば善子ちゃんのものになるはずだよ」

ルビィ「なにも出来なくなったお姉ちゃんを縁談には出せない」

ルビィ「なにも出来なくなったお姉ちゃんは黒澤を背負うことはできない」

ルビィ「なにも出来なくなったお姉ちゃんは東京になんて行かない」

ルビィ「そんな自分を好きでいてくれる人を、断れない」

ルビィ「……簡単に言えば」

ルビィ「善子ちゃんがお姉ちゃんを手に入れられるようにするためだよ」

ルビィ「つまり善子ちゃんのためだね」ニコッ
0231名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
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2019/04/14(日) 22:57:50.59ID:6DsKIadG
こりゃつれえでしょ……
0232名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/15(月) 05:56:16.88ID:ui/t3MC4
善子「私のため……?」

善子「何言ってんの……ふざけんじゃないわよ」

善子「ふざけるのは、やめて……」

ルビィ「だって、善子ちゃんはお姉ちゃんが欲しいんだよね?」

ルビィ「誰にも渡したくないんだよね?」

ルビィ「そのためなら、誰かを傷つけることもできるし」

ルビィ「誰かを殺すことだってできるんだよね?」

ルビィ「お姉ちゃんが行くところなら、どこへだってついていくんだよね?」

ルビィ「ルビィはね? それだと困るんだ」

ルビィ「どこへだっていかれる事、人を殺されちゃうこと、お姉ちゃんが誰の物にもならないようにされること」

ルビィ「全部、困るんだ」

ルビィ「……だって、ルビィはみんなで一緒に居たい」

ルビィ「善子ちゃんと、花丸ちゃんと」

ルビィ「……一緒に居たいよ」

ルビィ「だから」

ルビィ「だからね?」

ルビィ「お姉ちゃんを壊して、善子ちゃんのものにできるようにしたらいいと思ったんだ」

ルビィ「そうしたら善子ちゃんはお姉ちゃんを手に入れられる」

ルビィ「もう、誰も傷つけない、誰にも迷惑をかけない」

ルビィ「お姉ちゃんがどこにもいかないから、善子ちゃんもここにいてくれる」

ルビィ「お姉ちゃんが死ななければ、ルビィのお姉ちゃんもそのままいてくれる」

ルビィ「ね? いい考えでしょ?」
0233名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/15(月) 06:05:07.75ID:ui/t3MC4
善子「死ぬかもしれないやり方が良い考えなわけないでしょ!」

ドンッ
   ゴンッ
ガタッ
    ガタタッ
        ガタンッ

ルビィ「いたた……」

善子「いい加減にしなさいよ……あんた」

善子「階段から蹴落としてあげたほうが良い?」

善子「ダイヤがどれだけ怖かったか、あんたに裏切られてどれだけ嫌な思いをしたか……」

善子「ダイヤを見て何も思わなかったわけ!?」

善子「あんな……あんなに、傷ついた目をしてた……」

ルビィ「……何言ってるのか、ぜーんぜん、わかんないよ」

ガタッ
    パッパッ

ルビィ「あ、血が出てる」

ルビィ「えっとね……何言ってるの? 善子ちゃん」

善子「は?」

ルビィ「どっちが先に裏切ったの?」

ルビィ「どっちが先に怖い思いをさせられたか、どれか傷ついたか……」

ルビィ「ふざけないでよ」

ガンッ

善子「!」

ルビィ「ふざけたこと言わないでよッ!」

ガンッ!!
     ガタンッ!!

ルビィ「はぁっ……はぁ……ふぅ」

ルビィ「こうしないといけなくなったのは善子ちゃんのせいなんだよ?」
0234名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/15(月) 06:15:17.85ID:ui/t3MC4
ルビィ「全部善子ちゃんが悪いんだよ」

ルビィ「お姉ちゃんが好き? 分かるよ」

ルビィ「お姉ちゃんを自分のものにしたい? 分かるよ」

ルビィ「お姉ちゃんをだれにも渡したくない? 分かるよ」

ルビィ「でも、お姉ちゃんが受け入れてくれないだろうから」

ルビィ「自分の物にはしないけど、誰の物にもしないよ」

ルビィ「そのためならなんだって犠牲にするよ」

ルビィ「……え? なにそれ」

タッ
   タッ

タンッ……

ルビィ「ねぇ、善子ちゃん」

グィッ

善子「っ」

ルビィ「そんなの良いわけないよ。分かるわけないよ」

ルビィ「お姉ちゃんだけじゃない、たくさんのものが粉々に壊れちゃうよね?」

ルビィ「善子ちゃんは良いかもしれないけど、ルビィはダメだよ」

ルビィ「……あ、でもルビィのしてることは善子ちゃんにはダメなんだよね? えへへっ」

パッ

ルビィ「言われた通りだ……やっぱりすごいや」

ルビィ「……でも、ルビィは善子ちゃんの為に頑張ってるんだって分かってほしいな」

ルビィ「お姉ちゃんを手に入れることが出来ない善子ちゃんの為に、手に入れられるお姉ちゃんにしてあげるんだ」

ルビィ「……ね?」ニコッ
0235名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 06:25:56.04ID:ui/t3MC4
善子(……不気味だった)

善子(本当にルビィなのかと不安になるくらいに、意味不明だった)

善子(訳の分からないことを話している間も)

善子(ダイヤを苦しめる話をしている間も)

善子(ほとんどの場面で笑顔のままだったのが、異常で)

善子(でも、そのルビィは私が異常だという)

善子(ダイヤのためなら何でもで切るという、私が)

善子(……なにそれ)

善子(一緒にしないでよ)

善子「……私のため?」

善子(馬鹿にしないでよ)

善子「私のこの気持ちは!」

善子「あんたの異常さなんかと同じじゃない!」

ルビィ「………」

ルビィ「……そうかもしれないね」

ルビィ「でも、それではお姉ちゃんを手に入れることはできない」

ルビィ「ずっと、お姉ちゃんの為に無意味な努力をする?」

ルビィ「それとも、ルビィが壊したお姉ちゃんを自分のものにする?」

ルビィ「デートが終わってから答えをもらう予定なんだ」

ルビィ「善子ちゃんも、考えておいてね」

善子(それは、堕天使なんて中途半端なんかではない)

善子(悪魔のような、笑みだった)
0236名無しで叶える物語(らっかせい)
垢版 |
2019/04/15(月) 07:30:57.66ID:ui/t3MC4
―――――
―――
――

善子(一生手に入れられないダイヤか)

善子(手に入れることはできるけど、壊れたダイヤか)

善子(そんなの……)

フラフラ
   ガクッ

善子「!」ダンッ

善子「っ……あぶな……」

善子(膝から崩れ落ちるところだった……)チラッ

善子「……運が悪ければ階段から落ちてたわね」

善子(まぁ、その方が悩まなくて済むのかもしれないけど)

善子(なんて)

善子(私は、ダイヤが好き、ダイヤが欲しい)

善子(でも、ダイヤは女の子との恋愛はしないと断言していた)

善子(それが普通だし、黒澤家のこともあってか断固たる意志だったそれは)

善子(私がいくら言っても無駄なのは明らかだった)

善子(つまり、手に入れることは不可能)

善子(ルビィが言うように、無駄なのは事実)

善子(でも……)

トンッ

善子「?」

ダイヤ「っ……ぁ、ご、ごめんなさい」

善子「ダイヤ?」

ダイヤ「善子さん、だったんですのね」
0238名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/15(月) 07:49:38.39ID:zmSodFb0
善子「こんなところで踞ってどうしたのよ」

ダイヤ「いえ、その……」フィッ

ダイヤ「体調が優れなくて」

善子「優れないって……そんなレベルじゃなくない?」

善子(顔は青いし、震えてるし……)

善子(階段から……)

善子(あ……まさか)

善子「立てる? 保健室まで連れていくわよ」

ダイヤ「いえ、そんな迷惑は」

善子「いいから、ほら」スッ

善子「そんな状態のダイヤを放っておけるほど」

善子「私はできてないのよ」

ダイヤ「………」

ダイヤ「……すみません」ギュッ

ダイヤ「ありがとう」ニコッ

善子「……っ」
0239名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/15(月) 08:06:19.78ID:zmSodFb0
善子(ダイヤは階段を怖がってた)

善子(いや、多分……私が強く踏み込んだあの音にビビったのね)

善子(ルビィに突き飛ばされたから)

善子(……)

善子(強くても、弱くてもダイヤはダイヤ)

善子(壊れていても、いなくても)

善子(黒澤ダイヤであることに変わりはない)

善子(私が好きじゃなくなる理由はない)

善子(でも、でもそれで……ダイヤは幸せになれる?)

善子(幸せにする意志はある)

善子(なにがあっても幸せにする覚悟がある)

善子(でも、壊れたダイヤは幸せよりも罪悪感が先にくるんじゃないか)

善子(そんな……不安がある)

善子「……家庭の事情、だっけ?」

ダイヤ「は、はい?」

善子「それが、そんなに辛いわけ?」

善子「Aqoursの活動を全休するほど」

善子「体調を崩すほど」

善子「ダイヤの負担になってるの?」
0240名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/15(月) 08:40:14.35ID:zmSodFb0
ダイヤ「それは……」

善子「私は部外者だから関わらせたくない?」

善子「じゃぁ、妹のルビィなら関われる?」

ダイヤ「!」ビクッ

善子「……何があったのか知らないけどさ」

善子「あんまり、そういうダイヤ見たくないのよ」

善子(今なら、聞けるかもしれない)

善子(ダイヤが、幸せになれるのか)

善子(……傷ついたダイヤが)

善子(寄り添う光で輝けるのか)

善子「……そんなことで幸せになれるの?」

善子「縁談の話。聞いたわ」

善子「大変だっていうのも……その顔を見てれば解る」

善子「でも、そういう苦労を助け合うのが夫婦でしょ?」

善子「そういうときに、ダイヤは救ってくれる人がいることを幸せに思うより」

善子「今みたいに巻き込むことへの恐れを抱くわけ?」

善子「巻き込んじゃった罪悪感が勝るわけ?」

ダイヤ「……嬉しい、ですわ」

ダイヤ「そこまで想ってくれている人がいること」

ダイヤ「力になってくださる方がいること」

ダイヤ「罪悪感は拭えませんが、きっと……」

ダイヤ「幸せなんだと実感すると思います」
0241名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/15(月) 08:52:19.84ID:zmSodFb0
善子(……そっか)

善子「だったら相談しなさいよ」

善子「何かあったんでしょ?」

善子(ダメじゃない……そんなこと言ったら)

ダイヤ「……縁談のことを聞いているのなら」

ダイヤ「今は話せることはありませんわ」ニコッ

ダイヤ「ですが、善子さんのお気持ちはとてもありがたいわ」

ダイヤ「決して一人ではないと安心できる」

ダイヤ「………」

ダイヤ「……ありがとう。縁談が落ち着いたら」

ダイヤ「ぜひ、よろしくお願いいたします」

善子「ええ、任せて」

善子「でも、あんまり無理すんじゃないわよ?」

ダイヤ「承知しています」

善子(壊さない理由が……無くなっちゃうじゃない)
0242名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/15(月) 09:10:10.03ID:zmSodFb0
―――――
―――
――

国木田家


花丸「そしたら、日曜日にお願いして良いずら?」

花丸「えへへ、よろしくずら〜」ニコッ

花丸(これで、図書室の本が持ってこれる)

花丸(お祖父ちゃんはあれだけど)

花丸(トラックに乗せるくらいは問題ないし)

花丸(家まで来たら、あとはマルだけの図書室に持っていくだけ)

花丸(……さすがに土曜日は無理だったけど)

花丸(……)

花丸「……ふぅ」トサッ

花丸「土曜日と言えば、デートもあるんだよね」

花丸「……どうなるかなぁ」

花丸(善子ちゃんは元々だったけど)

花丸(ちょっとつついただけでルビィちゃんも簡単に壊れた)

花丸(まさか、あそこまでダイヤさんを追い詰めるとは思わなかったけど)

花丸(善子ちゃんには、良い刺激になったかな?)クスッ

花丸「デート、デート、デートかぁ」

花丸「……大丈夫、ダイヤさんは絶対善子ちゃんのものになる」

花丸「マルはそのためなら……ルビィちゃんも、鞠莉ちゃんもお見合い相手も」

花丸「なんだって、利用するよ」

花丸「……ふふっ」

花丸「あと、少し」
0243名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/15(月) 12:23:15.57ID:1pO9XCtA
花丸(でも、ダイヤさんは弱ってるずら)

花丸(そこにあの男の人が付け入る可能性は否定できない)

花丸(あの様子なら、ルビィちゃんも善子ちゃんに加担するだろうから)

花丸(最悪、死体が一つ出来る)

花丸(そうなると……ちょっと面倒かな)

花丸(その為の鞠莉ちゃんだけど)

花丸(鞠莉ちゃんは掴みにくい)

花丸(果南ちゃんも片足踏み込んできてるし……)

カタンッ

花丸「……運かな?」

花丸(……でも、あの男の人はつけ込めるような性格ではなさそうだったし)

花丸(分は、悪くない)

花丸「……んーっ」グーッ

花丸「ふぅ」

花丸「なにも、無いと良いね」
0245名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/15(月) 12:44:01.85ID:1pO9XCtA
―――――
―――
――
・デート当日


善子「なにあんた、来たのね」

ルビィ「えへへ」

ルビィ「気になるから、善子ちゃんもお姉ちゃんも」

ルビィ「でも安心してよ、邪魔はしないから」ニコッ

善子「……あっそ」

善子「あんたも本気なのね」

ルビィ「ルビィは本気だよ」

ルビィ「……善子ちゃんは? 三日前は悩んでたよね?」

ルビィ「それでお姉ちゃんは幸せになれるのかって」

善子「……意地が悪いわね、ルビィ」

善子「私は絶対にダイヤを見捨てない」

善子「あんたはそれを知ってた」

善子「なのに、わざわざ考えておいて。なんて言うじゃない」

善子「ダイヤは与えられることへの罪悪感を感じる」

善子「つまり、壊れたダイヤは簡単には幸せに出来ない」

ルビィ「………」

善子「それを考えた上で答えるかどうか」

善子「ルビィ、私を試したわね?」
0246名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/15(月) 12:54:03.60ID:1pO9XCtA
ルビィ「花丸ちゃんならともかく、ルビィはそこまで考えてないよ」ニコッ

ルビィ「ルビィはそんなに頭良くないもん」

ルビィ「ただ、口先だけなのはダメだよって思ってはいた」

ルビィ「善子ちゃんはなんだかんだ優しいから」

ルビィ「壊れたお姉ちゃんを見て、罪悪感を感じるんじゃないか」

ルビィ「それに耐えかねて消えてしまうんじゃないか」

ルビィ「幸せはどこにもなくて」

ルビィ「ただただ悲しいだけじゃないのかな……って」

ルビィ「……でも、善子ちゃんは本気なんだね?」

ルビィ「そんなことにはならない」

ルビィ「例え壊れていても、お姉ちゃんはお姉ちゃん」

ルビィ「自分のものにできた幸せに浸れるんだね?」ニコニコ

善子「……その顔やめて」

善子「気持ち悪いのよ、今のルビィの笑顔は」

ルビィ「うーん……頑張ルビィ」ニコッ
0247名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/15(月) 17:47:34.16ID:1pO9XCtA
鞠莉「ハァーイ!」

鞠莉「グッモーニン、エブリワン!」

善子「……」

ルビィ「………」

鞠莉「oh……どげんしたと?」

善子「煩いのよ、いちいち」

善子「今日は尾行、隠密……わかってんの?」

鞠莉「イェァ!」

善子「は?」イラッ

鞠莉「ジョーク! イッツジョーク!」

鞠莉「あんまりにも暗いものだからつい」ニコッ

鞠莉「いつも通りね」

善子「ダイヤに色々ある中でデートする……」

善子「ダイヤが弱ってることに気づかないかもしれないけど」

善子「気付いたら好機と見て攻めていくかもしれない」

善子「そうじゃなくても、ダイヤのことを思えば明るくなんていられないわよ」
0248名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/15(月) 19:24:55.91ID:ui/t3MC4
鞠莉「あら……善子はダイヤ事情を知ってるの?」

善子「知らないわよ」

善子「全休連絡の日、保健室まで連れて行ったんだけど」

善子「何も教えてくれなかったわ」

善子「色々大変だから、話すのも難しいって」

善子「でも、この見合いの一件が落ち着いたらお願いしますって、言われたわ」

鞠莉「そう……やっぱり話しにくいことなのね」チラッ

鞠莉「ねぇルビィ」

ルビィ「なに?」

鞠莉「ルビィは何か聞いてないの?」

鞠莉「ルビィなら一番近くにいるわけだし」

鞠莉「ダイヤが話せない、ダイヤの事情も話せるんじゃない?」

ルビィ「お姉ちゃんからは何も聞いてないんだよね?」

ルビィ「だったら、ルビィから勝手に言えないよ」

鞠莉「……ルビィ」

ルビィ「ルビィだって、ただ黙ってたわけじゃないよ?」

ルビィ「でも、お姉ちゃんはね? 自分で選んだことだからって、自分の意志ですることだからって言って」

ルビィ「信じて任せて欲しいって言ったんだ」

ルビィ「だから、ルビィが勝手に関係者を増やすわけにはいかない」

ルビィ「ルビィは、信じてるからね」ニコッ
0249名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/15(月) 19:38:04.93ID:ui/t3MC4
鞠莉「っ……」ゾクッ

鞠莉「そ、そう……そう、なのね……」

善子「どうしたの?」

鞠莉「なんでも、ないわ」

鞠莉「そろそろ出発しない?」

鞠莉「1時間前でしょ? ダイヤならそろそろ来てるわ」

善子「確かに」

ルビィ「お姉ちゃんならそのくらいの時間には行ってるよね、多分」

善子「あんたが家を出るときはどうだったのよ」

善子「準備はしてた?」

ルビィ「お姉ちゃんは部屋にいたから、どうだろ」

ルビィ「でも、寝てるわけじゃなかったよ」

善子「それはそうでしょ……ハァ」

善子「まぁいいわ」

善子「鞠莉、車出して貰っていい?」

鞠莉「オーケー!」

善子「くれぐれも、安全運転で頼むわよ」

鞠莉「んっふっふっふっふ〜」ニコニコ
0250名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/15(月) 20:01:30.23ID:ui/t3MC4
―――――
―――
――

善子「二度と運転するなっ!」

ルビィ「うっぷ……」

鞠莉「あははっ、ソーリーソーリー」

鞠莉「空いてから、つい」

鞠莉「許してちょーだい」

ルビィ「鞠莉ちゃん、車に戻って吐いてきて良い?」

鞠莉「ノーっ! レンタカーなの! ストーップ!」

善子「レンタカーで事故起こしそうな運転止めなさいよ」

鞠莉「……ソーリー」

ルビィ「あ、お姉ちゃん来たよ」

善子「切り替え早いわね、あんた」

ルビィ「なんか、大人っぽい服装だね」

鞠莉「相手は大学生なんでしょ?」

鞠莉「それに見合うようにしっかりと服を選んだって感じね」

ルビィ「…………」

善子「……なによ、やる気じゃない」

善子(ちゃんとした服なんか着て、一時間近く前から待ち合わせ場所に来て)

善子(まるで、断る前提っていうのが嘘だったみたいに……気合入ってるじゃない)
0251名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/15(月) 20:21:28.29ID:ui/t3MC4
「―――」

ダイヤ「―――? ―――」

「――――」

善子「……またナンパされてるんだけど」

善子「そろそろ私が行っていい?」

ルビィ「ダメだよ」

善子「3回目よ? 3回目!」

善子「30分で3回!」

善子「何を話してるのかまでは分からないけど」

善子「毎回毎回申し訳なさそうに断って……」

鞠莉「でも少し、嬉しそうじゃない?」

善子「……………」イライラ

善子(言われなくても分かってる)

善子(ナンパされるくらいには、魅力的にみられていること)

善子(弱った心に、自信が持てるようになるそんな要素はきっと、心地良いんだと思う)

善子(でも、だったら……それなら……)

善子「……あ」

「―――!」タッタッタッ

ダイヤ「―――」ニコッ

善子「……笑った」

鞠莉「…………」

鞠莉「移動するみたいよ」

善子「……追いかけましょ」
0252名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/15(月) 20:40:11.97ID:ui/t3MC4
鞠莉「まずは映画……ねぇ」

善子「定番で攻めてきたわね……」

善子「まぁ、地元の人間と地元でデートするっていうなら」

善子「そりゃ、映画館は外せないわよね」

ルビィ「この感じだと、映画館の後は食事して」

ルビィ「マリンパークか深海水族館に行くのかな」

鞠莉「ん〜そうねぇ」

鞠莉「ルビィの予想通りかも……で、どうする?」

善子「どうするってなに?」

善子「行くに決まってるでしょ」

善子「映画館だろうが水族館だろうが……というか、よくあるシチュエーションじゃない」

善子「暗い映画館、重なる手、近づく距離……」

善子「絶対に阻止するわ」

ルビィ「あの人にそんな度胸はないと思うけどなぁ……」

善子「わかんないでしょ!」

ルビィ「えーっ」

ルビィ「まぁ、良いけど……善子ちゃんと鞠莉ちゃんが両端じゃないと嫌だからね?」

ルビィ「男の人が隣になったら、ルビィはお姉ちゃんにバレる自信がある」ドヤッ

鞠莉「自信を持つところじゃないわよ〜?」

ルビィ「えへへ〜」
0253名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/15(月) 21:12:03.19ID:ui/t3MC4
善子(不気味なほどに、今まで通りを演じるルビィ)

善子(どこか警戒している、鞠莉)

善子(きっと、鞠莉はルビィがしたことを知ってる)

善子(知っててあえて追及してない)

善子(蛇……いや、蜂がいると分かっている藪を突くほど、鞠莉は馬鹿じゃない)

善子(そんな私達が数席後ろにいるって、ダイヤは知らないのよね)ジッ

善子(……恋愛映画は楽しい?)

善子(隣の視線が前ではなく自分に向いていることに気付いてる?)

善子(……ねぇダイヤ)

善子(あんたを突き飛ばしたルビィが平然としてるのをどう思ってる?)

善子(縁談相手の運転する、あんたには似合わない軽自動車の中で)

善子(ダイヤは何を考えてるの?)

善子(知りたい)

善子(ダイヤのことを知りたい……でもそれ以上にダイヤのことが、欲しい)

善子(ナンパをされてるアンタを見て思った)

善子(それで喜んでるアンタを見て、思ったわ)

善子(やっぱり、ダイヤは壊してしまうべきだって)

善子(ほかの誰もが敬遠するほどに、粉々に)

善子(けれどちゃんと、幸せになれる程度に)

善子(……あんたを、壊す必要がある)
0255名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/15(月) 21:47:00.72ID:ui/t3MC4
ルビィ「……ここ?」

善子「そうみたいだけど」チラッ

鞠莉「んー?」

ルビィ「えへへっ、まーりちゃん」ニコッ

鞠莉「oh……魂胆が透けて見える……」

善子(雑音でしかない無駄な時間を過ごした後、向かったレストラン)

善子(軽自動車二台が行くべきではなさそうなちょっとお高いそのお店は)

善子(私たちのお小遣いをごっそりと持っていきそうで)

鞠莉「おーけー、おーけー、先輩に任せなさーい」

善子(私たちの集りを、鞠莉は受け入れてくれた)

善子(正直、うざったい先輩ではあるけど)

善子(一応、優しいから……嫌いではない)

善子(だからやっぱり、私の中ではずら丸と似たようなものなんだと思う)

鞠莉「でも、あまり高いのはノーよ?」

ルビィ「……一番安いのでも十分高いよ」

善子「ほんと。この程度って言えるのが羨ましいわね」

鞠莉「ふふんっ」

鞠莉「どう? 私と縁談でもしてみる?」

善子「あ、それはいいや」

ルビィ「中にはいろ〜」

鞠莉「ちょっとーっ!」

鞠莉「それは酷いわよ!」
0256名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/15(月) 22:11:39.55ID:ui/t3MC4
ダイヤ「ふふっ、そうですのね」

「あ、ああ、それでね――」

善子「………」

ルビィ「……」

鞠莉「意外と、盛り上がってるじゃない」

善子「盛り上がってはないわよ、ダイヤは心から笑ってない」

鞠莉「辛辣ねぇ」

ルビィ「映画の後なのに、映画の話だけじゃないのは良いんじゃないかな」

ルビィ「きっと、何を話そうかとか、たくさん考えてきたんだと思う」

ルビィ「照れ笑いになってるけど、嬉しそうにしてる」

ルビィ「……分かるよ。ルビィは」

鞠莉「男の人なのに?」

ルビィ「それはそれ、これはこれだよ」

善子「へぇ……」

善子「ま、私には関係ないわよ」チラッ

善子「ダイヤが楽しそうでも、あの二人がくっつくことはない」

善子「断るって話だったんだから、それはない」

鞠莉「……心変わり、してたりして」

ピキッ

ルビィ「わわっ、よ、善子ちゃんっ」

ルビィ「食器は割っちゃだめだよー? 割るなら鞠莉ちゃんの額だけにしておこうね」

鞠莉「そ、それはジョーク? ジョーク……よね?」

ルビィ「えへへ」

鞠莉「あ、あはは……ははっ」ゾクッ
0257名無しで叶える物語(アメリカ合衆国)
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2019/04/16(火) 02:57:09.82ID:+YUUlxAz
ほほ
0258名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/16(火) 06:14:39.38ID:QGw0HLcF
―――――
―――
――

善子「なんで深海水族館?」

善子「この時間なら、まだマリンパークも行けるでしょうに」

鞠莉「ダイヤがお願いしたんじゃない?」

鞠莉「マリンパークだと、たまに曜がうちっちーになってるし、バイトしてるからね」

ルビィ「確かに」

ルビィ「お見合いのこととか秘密にしてるから」

ルビィ「見られるのは困るもんね」

善子「特に曜になんか見つかったら面倒なことになりそうだし」

善子「できる限り見つからないように行動したいわよね」

善子(でも、深海水族館って薄暗いから嫌なのよね……)

善子(どさくさに紛れて手を繋ぎそう)

善子(映画館でできなかったみたいだし)

善子(大丈夫……だとは、思うけど)

善子「………」

ルビィ「どうかしたの? 善子ちゃん」

善子「なんでもない」

ルビィ「鞠莉ちゃんが心変わりしたかも。なんて言ってたのが気になってるの?」

善子「……あんた、ほんと怖いわ」

ルビィ「ルビィは怖くないよ」ニコッ

善子「変態が変態じゃないっていうレベルの言い訳ね、それ」

ルビィ「えーっ」
0259名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/16(火) 06:20:50.04ID:QGw0HLcF
鞠莉「子供のころ以来だわ、ここ」

善子「まだ子供でしょ」

鞠莉「もう大学生よ」

善子「まだ高校生でしょ」

鞠莉「…………」

鞠莉「……ねぇ、善子って私のこと――」

善子「しっ!」

鞠莉「移動するわよ」

鞠莉「……嫌いでしょ」ボソッ

ルビィ「お姉ちゃんに関わってるときはルビィも花丸ちゃんも似たようなものだよ」

ルビィ「気にしないほうが良いと思う」

鞠莉「そう?」

ルビィ「うん」

ルビィ「それに、鞠莉ちゃんの声って大きいし目立つし、特徴的だから」

ルビィ「静かにしてたほうが良いとはルビィも思ってるよ」

鞠莉「……ルビィ、変ったわね」

ルビィ「えへへっそうかな?」

ルビィ「ルビィも大人っぽくなった?」

鞠莉「ある意味では、ね」
0260名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/16(火) 06:31:38.13ID:QGw0HLcF
善子(周りにもデートしてるっぽい感じの人がいる)

善子(……どういう趣味してんだか)

善子(いや、アクセントと言うか、奇をてらうなら無しじゃない?)

善子(ダイヤ……距離、近いわね)

善子(気づいてる?)

善子(すぐ隣に男がいること)

善子(私たちが見守ってること)

善子(歩くたびに動く綺麗な手を、隣にいる男がチラチラ見てること)

善子(……ダイヤ、手を握るのはやめて)

善子(その手を汚すのはやめて)

善子(そんなことされたら、私は……その手を切り落とさなくちゃいけなくなる)

善子(……ぁ)

ダイヤ「見て、このお魚。自力で発光するんですって」

「深海なんて光が届かないのに、凄いですよね」

「自力で光ることが出来るような進化をするなんて」

トンッ

「あっ」

ダイヤ「?」

「ご、ごめん……くっつきすぎたね」

ダイヤ「……ふふっ、気にしないで」ニコッ

善子(なんで……そんな嬉しそうに笑ってるのよ)

善子(ねぇ、ダイヤ……どうして?)
0261名無しで叶える物語(禿)
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2019/04/16(火) 06:51:52.96ID:t0D4izCW
ああ……このまま幸せになって欲しい自分がいる
0262名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/16(火) 07:20:10.43ID:QGw0HLcF
善子(断るんじゃなかったの?)

善子(恋愛になんてうつつを抜かしていられないんじゃなかったの?)

善子(なのに、なのに……なのになのになのに……っ!)ギリッ

善子「なんでそんなに、笑ってるのよ」

善子「おかしいじゃない、狡いじゃない」

善子「そんなに近づいて、そんなに幸せそうに……」グッ

ガシッ

善子「っ!」

ルビィ「……落ち着いて」

善子「ルビィ……あんたは落ち着いてられるの?」

善子「ダイヤが男なんかにあんなに……」

ルビィ「お姉ちゃんが嫌がってないなら、仕方がないよ」

ルビィ「最後にどうなるのかは分からないけど……でも」

ルビィ「……ううん、結果次第だね」

ルビィ「もちろん、途中でキスしようだとか、抱きしめようだとか」

ルビィ「そういうことがあったら、その時はね」ニコッ

鞠莉「そ、その時はって……ルビィ?」

ルビィ「ん〜?」ニコニコ

ルビィ「その時はその時だよ」
0263名無しで叶える物語(らっかせい)
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2019/04/16(火) 07:33:55.96ID:QGw0HLcF
――――
―――
――

ダイヤ「……今日はありがとうございました」

「いえ……その、私も楽しかったです」

「あ、いや、そうじゃないですね」

「えっと、楽しんでいただけたようで……」

ダイヤ「ふふっ」

「っ」

ダイヤ「落ち着いてください」

ダイヤ「私は十分、楽しかったんです。短い時間ではありましたが、温かみを感じる時間でした」

ダイヤ「大丈夫、自信を持ってください」ニコッ

「……」グッ

「黒澤さん!」

ダイヤ「……はい」

「その、まだ……二日しか知り合っていませんし」

「まだ、お互いのことは全然わかりません」

「ですが、でも……だからこそ」

「もう少し、知り合いたいと思っています」

「これからも、時々……会うことは出来ませんか?」

ダイヤ「………」

ダイヤ「……わたくしから促しておいて、申し訳ございません」

ダイヤ「今は、そういうことを考えられなくて」

「………」

ダイヤ「貴方は良い人ですわ。優しくて、一途で、一生懸命で」

ダイヤ「だからこそ、わたくしのような人間には勿体ない」

ダイヤ「……申し訳ありません」
0264名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 07:58:29.82ID:C2Xfw8Qm
鞠莉「ダイヤ……」チラッ

ルビィ「よかったね、善子ちゃん」

善子「良くはないわよ……全然」

善子「まだ食い下がる感じがする」

ルビィ「大丈夫だよ」

ルビィ(お姉ちゃんが気に入ったのは事実)

ルビィ(でもだからこそ、お姉ちゃんは断る)

ルビィ(だって、ルビィのことがあるもんね)

ルビィ(……えへへ、優しいお姉ちゃん)

ルビィ「ほら、お姉ちゃんがごめんなさいしてる」

鞠莉「嬉しそうねぇ」

鞠莉「お姉ちゃんの恋が終わったのに」

鞠莉「普通、祝福するものじゃない?」

鞠莉「本当は嫌いなの?」

ルビィ「お姉ちゃんのことは好きだよ」

ルビィ「でも、だからってお姉ちゃんと男の人が一緒になるのは喜べないよ」

鞠莉「男の人が苦手だから?」

ルビィ「……壊れちゃうからだよ」
0265名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 08:14:49.19ID:sXoyMVjm
ルビィ「壊れちゃいけないものが」

ルビィ「壊したらだめなものが」

ルビィ「……壊れちゃうからだよ」

鞠莉「それって、なに?」

ルビィ「秘密」ニコッ

善子「……この後ダイヤは用事あるって」

ルビィ「えっ? そうなんだ」

善子「送っていくとか言ってるんだけど」

鞠莉「追いかける? って言いたいけど、私もそろそろお暇させて貰うわね〜」

善子「は?」

鞠莉「ソーリー!」

鞠莉「ちょっと用事が、ね?」

鞠莉「交際はお断りしたし、もう良いでしょ?」
0266名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 08:27:07.88ID:sXoyMVjm
ルビィ「……もしかして、お姉ちゃん?」

鞠莉「ノンノン」

鞠莉「違うわよ、個人的な用事」

鞠莉「どうする? ここからならすぐそこにバス来るけど」

鞠莉「送っていく?」

ルビィ「……」チラッ

善子「用事あるんでしょ? バスがあるし良いわ」

善子「色々助かったわ、ありがと」

善子「お昼もご馳走になったし、感謝してるわ」

ルビィ「ありがとね、鞠莉ちゃん」

鞠莉「ええ」ニコッ

鞠莉「グッバイ」

鞠莉「……帰り道、ちゃんと気を付けてね」
0267名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 08:44:50.20ID:sXoyMVjm
ルビィ「本当に追いかけなくて良いの?」

善子「鞠莉の車が無い以上無理でしょ」

善子「それに、ダイヤは断った」

善子「それならもう、大丈夫よ」

ルビィ「……そっか」

ルビィ「それにしても、鞠莉ちゃんは知ってるはずなのにあんまり聞いてこなかったね」

善子「なにあんた、鞠莉が様子見してるって気づいてたの?」

ルビィ「わかるよ〜」

ルビィ「ルビィのことは果南ちゃんが知ってるからね」

ルビィ「話してるに決まってるもん」

ルビィ「警戒してるのに聞き出そうとしてきて」

ルビィ「知ってるのになぁ……って思ってた」

善子「あんた、性格悪くなったわね……」

ルビィ「え〜? 変わってないよ?」

善子「それはそれでどうなのよ」

善子「むしろ、そっちの方が怖いわよ」

ルビィ「えへへ」ニコッ
0268名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 08:51:03.39ID:sXoyMVjm
ルビィ「それじゃ、ここで解散しよっか」

善子「ん? 途中までは一緒でしょ?」

ルビィ「ルビィはもう少しゆっくりしていくよ」

ルビィ「ちょっと、疲れちゃったから」

善子「……そう」

善子「あんたは大丈夫だとは思うけど」

善子「帰りに気を付けなさいよ?」

ルビィ「それなら、一緒にいてくれても良いんじゃないかな」

善子「あんたねぇ……」

ルビィ「えへへ、うそうそ」

ルビィ「ちょっと寄り道したいんだ」

ルビィ「だから解散……心配してくれてありがとね」

善子「別に心配なんか……」

ルビィ「大丈夫だよ」

ルビィ「大丈夫、お姉ちゃんは男の人となんて付き合わないよ」

善子「……ええ、そうじゃなきゃ困るわ」
0269名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 08:58:50.30ID:sXoyMVjm
ルビィ「……」

善子「……もし」

ルビィ「ん?」

善子「もし、あそこでダイヤがこれからも続けようとしてたら」

善子「あんたはどうしてた?」

ルビィ「……どうだろ」

ルビィ「あんまり考えてなかったよ」

ルビィ「断ってくれるって信頼があったからね」

ルビィ「でももし断らなければ」

ルビィ「男の人の車に乗り込んで」

ルビィ「……嘘つき」

善子「っ」ビクッ

ルビィ「とか、やってたかな」ニコッ

善子「そ、そう……」

善子(ダイヤ含めて後ろから刺し殺しかねないわね、ルビィは)

善子(……でも)

善子(大丈夫……断ってくれたんだから)

ルビィ「あ、バス来ちゃうよ」

善子「え、あ……」

ルビィ「また、明後日? かな」

ルビィ「ばいばい」

善子「ん、また月曜日」タタタッ
0270名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 09:04:56.15ID:sXoyMVjm
―津島家・夜―


善子「っはぁ……」ボスッ

善子「良かった……ほんと」

善子(結局手を繋ぐこともなかったし)

善子(ダイヤは綺麗なまま)

善子(あとは、うまく相談に乗って頼って貰って)

善子(そこで距離を詰めて、気持ちを伝えて……)

善子「それで駄目なら……壊そう」ギュッ

善子(私のものになってくれないなら)

善子(私のものになってくれるように)

善子(でも、出来るなら……普通に付き合いたい)

善子(だって、良い顔してた)

善子(男に向けたものだったけど)

善子(でも、あれを隣で向けられたいと心から思った)

善子「だから、お願い」

善子(私に、あんたを壊させないで)
0271名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 09:13:09.67ID:sXoyMVjm
ヴィー  
   ヴィー

善子「ん……電話?」

善子「誰よこんな時間に……」チラッ

善子「……ルビィ?」

ピッ

善子「もしもし、あんた何か――」

ルビィ『善子ちゃん!』

善子「っ……」

ルビィ『お姉ちゃんが……』

善子「は? 何? ダイヤがなんなのよ」

ルビィ『お姉ちゃんが帰ってこないの!』

善子「……え?」

ルビィ『善子ちゃんじゃないの? 善子ちゃんが……』

善子「ま、待って……ごめん、意味解んないわよ」

善子「ダイヤが……え?」

ルビィ『お姉ちゃんが、いなくなっちゃったの!』

善子(あまりにも突然で、信じられなくて)

善子(受け入れるわけにはいかなくて)

善子(ルビィの言ってることが、理解できなかった)
0272名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2019/04/16(火) 10:08:16.08ID:WjFR7nkT
ここまでドロドロで内部から崩壊させてきたのに
暴走した男を成敗してハッピーエンドなんてありきたりな展開になるとは思えんがどうなるか
0273名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 12:23:05.34ID:sXoyMVjm
善子「意味解らない……」

善子「なに言ってんのよ……は?」

善子「っ……」

善子「いつもの場所!」

ルビィ『わ、わかった!』

ルビィ『花丸ちゃんにも連絡しておく!』ブツッ

善子「ダイヤ……!」

ガタンッ
    ガタッ
  ドンッ

ガチャッ

善子母「ちょっと! こんな時間に何――」

善子「邪魔!」

善子母「痛っ……こら!」

善子母「待ちなさい! 今何時だと思ってるの!」

ガチャッ
   タッタッタッタ…

善子母「なんなの一体……」

善子母「追いかけ――」

プルルルルッ
   プルルルルッ

善子母「次から次へと、なんなの?」

善子母「……国木田さん?」
0274名無しで叶える物語(茸)
垢版 |
2019/04/16(火) 12:42:37.51ID:sXoyMVjm
―――――
―――
――

ルビィ「善子ちゃん!」

善子「ルビィ……花丸も先に来てたのね」

花丸「うん、電話が来てすぐに来たから……でも、善子ちゃんほどじゃない」ジッ

花丸「パジャマで出てくるなんて、焦りすぎずら」

善子「形振り構ってられないでしょ……」

善子「ルビィ、状況を詳しく教えて」

ルビィ「えっと、お母さんから聞いた話だけど」

ルビィ「お姉ちゃんが帰ってくる予定だったのは、19時」

ルビィ「今は22時」

ルビィ「20時の時点で何かあったんじゃないかって」

ルビィ「警察に連絡はしてたんだ」

ルビィ「でも、たった一時間だからってことで」

ルビィ「連絡を忘れているだけでは? 少し落ち着きましょうって」

善子「……はぁ!?」

善子「そいつなに考えてんのよ!」

花丸「善子ちゃん黙って、話が進まないよ」

善子「っ」

ルビィ「で、警察が役に立たないから21時までお姉ちゃんに電話したりしながら待ってたんだけど」

ルビィ「そこから30分経っても音信不通」

ルビィ「だから、もしかしたらって……」

善子「私に電話してきたわけね」

ルビィ「うん」

ルビィ「一応、21時の時点で鞠莉ちゃんたちにもお母さんが電話済み」

花丸「でも、そこにはいない」

花丸「……確かに、行方不明ずら」

善子「最初からそう言ってるでしょ!」
0275名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 12:51:15.54ID:sXoyMVjm
花丸「善子ちゃん、まずは落ち着くずら」

善子「落ち着いてられるわけ――」

スッ...
    パンッ

善子「っ……」

花丸「慌ててもどうにもなら無い」

花丸「そんなことも解らないずらか?」

ルビィ「花丸ちゃん……」

花丸「二人は鞠莉ちゃんと尾行してたはず」

花丸「最後に見たのはどこ?」

ルビィ「えっと……海が見えるあの旧展望台のベンチのところ」

ルビィ「でもそのあと、お姉ちゃんは用事があるからって」

善子「……縁談相手に送ってもらってたわ」

善子「私達が見たのはそこまで」

花丸「追いかけなかったの?」

善子「鞠莉が用事があるって帰ったのよ」

善子「だから……」

花丸「そう、つまり縁談相手」

花丸「まずはその人に話を聞くずら」
0276名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 12:58:09.16ID:sXoyMVjm
ルビィ「それならお母さんに聞いてみる!」

善子「……でも平気なの?」

善子「あいつが犯人だったら……」

花丸「それはそうだけど」

花丸「ダイヤさんを探すなら使えるカードは使うずら」

花丸「大丈夫、マルがどこにいくかはお祖父ちゃんたちに連絡しておく」

花丸「例え途切れても、マル達を見つけてくれるずら」

キキィー...

花丸「……?」チラッ

花丸「あ、あの信号のところの車!」

善子「え?」

善子「あ……ルビィ!」

ルビィ「へ?」

善子「あの車……間違いない」

善子「あの男のやつよ!」ダッ

ルビィ「えぇっ!?」

花丸「連絡が来て探しに出てるのか、なんなのか……」

花丸「会えばわかるずらよ」ダッ

ルビィ「っ……ルビィも行く!」
0277名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 14:52:48.99ID:sXoyMVjm
ガンッ

「っ!?」ビクッ

花丸「善子ちゃんストップ!」

ガチャッ

「え、ちょっ」

花丸「開いてるずら」

花丸「こんばんは」ニコッ

「な、なんなんだ一体……」

「君たちは誰なんだ」

善子「誰? 黒澤ダイヤの知り合いって言えばわかるでしょ?」

「!」

グイッ

善子「ちょっと出てきなさい!」

「ま、待ってくれ!」

「危ない! 」

「停めるから、停めるから待ってくれ!」

ルビィ「善子ちゃん、一旦下がろ」

ルビィ「動いたら危ないよ」

善子「……」

善子「逃げたら殺すわよ」ジロッ

「わ、分かってる……逃げないから安心してくれ」

善子「さっさとしなさい」バンッ
0278名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 18:31:51.96ID:sXoyMVjm
「……君達が黒澤さんの知り合いなら、詰め寄って来たのも察しがつくよ」

「黒澤さんがまだ帰宅していない件だろう?」

善子「なにその言い方、白々しい」

善子「あんたがダイヤを誘拐したんでしょ!」グィッ

「っ」

善子「返して……返しなさいよ!」

善子「ダイヤはあんたみたいなやつが一緒にいて良い存在じゃない!」

「待ってくれ!」

「私じゃない、私は彼女を誘拐なんてしていない!」

ルビィ「……フラれたから、とかじゃないんですか?」

「そ、そんなことしない……」

「確かに彼女にはフラれたよ」

「でも、そんなことは絶対にしない、していない」

善子「……ダイヤにフラれた後、あんた車でどこかに連れていってたわよね?」

「なっ……」

善子「どこに連れていったのよ」

「み、見てたのか?」

善子「どこに連れていったのかって聞いてるのよ!」
0279名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 18:45:28.78ID:sXoyMVjm
花丸「善子ちゃん、感情的になってても話は進まないずらよ」

善子「うるさい!」

善子「あんたは居なかったからそんなこと言えるのよ!」

ドンッ

花丸「っ」ドサッ

善子「私は――」

花丸「だとしても!」

善子「!」

花丸「……だとしても、頭に上った血が答えを出してくれるわけじゃない」

花丸「冷静になるずら、善子ちゃん」

花丸「怒鳴っても、ダイヤさんは帰ってこないよ」

善子「………」

善子「くっ……」ジャリッ

ガンッ
   ガンッ
      ガンッ!

善子「はぁ……はっ……はぁ……」フルフル

ガンッ

善子「……どこに連れていったのか、教えて」

「う、浦の星女学院手前のバス停だよ」

「そこで降ろして欲しいって言われたんだ」

花丸「証拠は? 目撃者はいるずらか?」

「いや、時間も時間だったから……ない」

ルビィ「………」

「でも信じてくれ! 私はなにもやってない!」

善子「とかいって、車で逃げてたんじゃないの?」

「違う……これから黒澤さんを降ろした場所に行くんだ」

「警察にも伝えてある」
0280名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 18:56:37.06ID:sXoyMVjm
花丸「この時間であの場所だと捜索は明日になる」

花丸「……それを狙った、とか」

花丸「色々言いたいことはあるけど、わかった」

花丸「今はそれを信じておくずら」

善子「花丸!」

花丸「いずれにしても、明日になれば何かが分かる」

花丸「それに、今からマル達に出来ることは何もないよ」

善子「なに言って――」

キキィー……バタンッ

善子母「善子!」

善子「なっ……」

花丸「どうせ連絡行くと思ってた」ハァ

善子「花丸……!」ジロッ

善子「私もいること伝えたわね!?」

花丸「それはそうだよ」

花丸「誰がいるのか確実につたえないと二次被害まっしぐらずらよ」
0281名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 19:04:41.54ID:sXoyMVjm
善子「このっ――」

グィッ

善子「!」

善子母「いい加減にしなさい!」

善子「放して! ダイヤが……だって!」

善子母「話は聞いてるわ……残念だけど貴女達に出来ることはないのよ」

善子「っ……こいつが!」

善子「こいつがダイヤを誘拐したのよ!」

善子「私いたんだから……見てたんだからっ!」ジタバタ

善子「私がっ……私は……」ポロポロ...

善子「私……が……」

善子「私……っ」

ガクンッ

善子母「!」

善子「うぅ……」

善子「いたのに……!」

善子「ちゃんと、ちゃんと追いかけてれば……」

善子「追いかけてればダイヤは……」

善子「ぁぁぁぁあああぁぁぁああっ!!」ダンッ
0282名無しで叶える物語(茸)
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2019/04/16(火) 19:14:56.56ID:sXoyMVjm
―――――
―――
―国木田家・翌朝―


花丸「……」

花丸(結局あの後、糸が切れた人形のようになってしまった善子ちゃんとマル達は)

花丸(善子ちゃんのお母さんにそれぞれの家に送り届けられた)

花丸(お見合いの男の人は言ってた通りに向かったらしく)

花丸(善子ちゃんの騒ぎもあってか)

花丸(自分から任意聴取を申し出て警察署にいると言う話)

花丸(マルが思っていた通り、ダイヤさんの捜索はつい一時間ほど前から始まっているみたいだけど)

花丸(めぼしい手がかりはまだ見つかってない)

花丸「善子ちゃん、大丈夫かな……」

花丸(マル達子供はとりあえず普段通りに。と言われたけれど)

花丸(何者かによる誘拐が濃厚で)

花丸(当然ながら1人や子供だけの外出は厳禁となってる)

花丸(……まぁ、マルはこれからお祖父ちゃんと一緒に学校の本を取りに行くけど)

花丸(お祖父ちゃんの予定もあるし、早い方がいいからね。仕方がない)
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