穂乃果「百年経ったらまたおいでッッ」千歌「ライタイ祭?」 2回戦
レス数が950を超えています。1000を超えると書き込みができなくなります。
観客の皆様におかれましては保守をお願い致しますッッッ 普通にエタった可能性もあるしこういうのは作者以外やらん方がいいんじゃねーの? https://i.imgur.com/29kO13p.jpg
四十宮直樹(20)
住所 千葉県船橋市前貝塚町
昭和大学医学部2年 >>1さん、皆さん、ありがとうございます
このスレを有難く使用わせて頂きます ライタイ祭トーナメント、二回戦組み合わせ。
Aブロック
果南――花丸
凛――聖良
Bブロック
梨子――曜
ツバサ――花陽
Cブロック
希――にこ
千歌――せつ菜
Dブロック
海未――真姫
絵里――穂乃果 『二回戦第一試合!!内浦最強に文学少女が牙を向くッッ』
『松浦果南 対 国木田花丸ッッ』
花丸「よろしくね、果南ちゃん」
果南「うむ、よきにはからえ」
審判「開始めいッッッッ」ゴワアアアアンンン
果南「………」バッ
『!!これは………ッ』
『果南が棒立ちで両腕を大きく広げているッッ』
『バレバレですッッ花丸の攻撃をハグで迎え入れようという魂胆が見え見えだッッ』
果南「おいで、マル」ニコニコ
善子「こ…この………」グ…
ルビィ「ナメてる………ッ」ムッ ダイヤ「ナメてはいませんよ、果南さんは」
ダイヤ「いや……………正確にいうなら、花丸さんはナメてすらもらえない」
善子「それをナメてるっていうんでしょッ」
ダッ
『花丸行った――――ッッ』
ダイヤ「二人ともまだ十分にワカっていませんわね、果南さんの実力が」
ダイヤ「果南さんと花丸さん……いえ花丸さんに限らず―――――」
ダイヤ「果南さんとその他大勢の力関係は例えるなら」
ダイヤ「獅子と餌」
ハグウッ
花丸「ッッ」ピタッ…
果南「うん、良い体当たりだったよ」ニカッ ダイヤ「ナメられるというのも一つの権利です」
ダイヤ「果南さんはナメてはいません」
ダイヤ「私達が食卓に並ぶ肉や魚をナメてはいないのと同じように」
善子ルビィ「――――――」
『渾身のタックルもアッサリ受け止められてしまったッッ』
『国木田花丸、早くも大ピンチだ――――ッッ』
果南「強くなったね、マル」
果南「でも、私の前に立つのはまだ早い」
ルビィ「―――――違う」
ダイヤ「え?」
ルビィ「ワカってないのはお姉ちゃんだよ」 果南「終わらせるね」ギュ……
花丸「―――」キラ…
ルビィ「もう一回言うよ」
ルビィ「そーゆーのをナメてるって言うんだよ」
ズキィッ
果南「ッッ!!?」
ブッシャアアアッッッ
『!!!』
ダイヤ「なっ」
『鮮血再び――――ッッ』
『果南の首元から謎の大出血だ――――ッッ』 花丸「フンッッ」ゲシッ
果南「ッッ」ガッ…
ザザッ
『脱出!!花丸は恐怖のハグからなんとか逃れ出ましたッッ』
果南「……………ッ」ボタボタボタッ
花丸「………」ペロリ
『しかし不可解なのはこの出血ですッッ』
『花丸は一回戦でもルビィを相手に同様の深手を与えていますが…………』
審判「止めッ」
審判「ボディチェックをさせてもらう」 『っとここで審判から中断の合図が入りました!身体検査ですッッ』
『花丸にとってはしつこく疑われる形になりますが、これはしょうがないッッ』
『この出血は鋭利な刃物でもなければ説明がつきませんッッ』
ヒデコ「両手を見せて」
花丸「………」パ-
フミコ「ちょっと触るよ………」サワ…
花丸「………」
『スタッフが念入りに調べていますが……まだ何も出てこないかッ』
ミカ「口を開けて」
花丸「………」アーン
花丸「虫歯はないずらよ」ニイッ ヒフミ「…………」コクリ
ササッ
『………………どうやらなにごともなかったようですッ』
審判「続行ッ」
果南「……………」
『既に筋肉で出血を止めている果南ッ流石にこの辺りルビィとはワケが違います』
『しかし謎は謎のままですッッ』
海未「鈍いのですね……」クスリ
『果南の表情も先程とうってかわって険しいものになっていますッッ』
花丸「そう、その目でいいずら」 花丸「今、マルと果南ちゃんは、生き残りを懸けて闘ってるんだよ?」
花丸「あんまり嘗めないでほしいずら」フフン
果南「………」
果南「………」バッ
『おおーっと―――ッッ!?』
ツバサ「フフフフフフ」
ツバサ「なかなか面白い二人ね」
鞠莉「頑固オヤジ………」ハァ
『松浦果南、再び両手を広げたァッッ』
花丸「………」ムッ
『あくまでハグッッ』
『あくまで後輩に胸を貸すという態度だ――――ッッ』 花丸「もういいずら」ダッ
『これは怒ったか花丸ッッ』
『さあまた突っ込むッッ』
ハグウッ
『そしてまた捕まった―――ッッ』
果南「よし………」
果南「!」
花丸「―――――」アーン…
花丸(食べちゃうずら………)
ガブウッッッ 『かッ』
『かッ』
『噛みつきイイイッ』
曜「……………ッッ」
千歌「チョット……」
梨子「花丸ちゃん…」
『前代未聞の必殺技ッ』
『イヤッ』
『これを技と呼ぶべきでしょうかッッ』
果南「〜〜〜〜〜〜ッッ」
凛「痛いよ〜〜〜〜〜ッッ」
花陽「スゴイ………ッッ」ゴクリ
にこ「…………」ニイ… ガバッ
ゾブリッ
『はッ離れたッッ』
『今度は自ら花丸を離しました果南ッッ』
『しかしその右の肩口ッッ文字通り一口大に抉れてッッ………』
ブシャアアアアアッ………
果南「…………ッッ」
果南「マル………」キッ
花丸「モルトボーノずら〜〜〜」モグモグ
花陽「食べちゃったのォッッ!!?」
真姫「冗談でしょ……ッッ」
凛「もうやだ〜〜〜〜ッッ」ウワーン 『これは全く予想だにしていなかった展開となりました………ッッ』
『身体のごくごく一部とはいえ――――』
『内浦最強の生物が、文学少女に食われたのですッッッッ』
『比喩でなく食われたのですッッッ』
ダイヤ「ナルホド………」
ダイヤ「確かに私が間違っていましたわね……ッッ」ゴクリ
シャアアアア……
果南「ハアッッッ」ミシッ
ピタッ
果南「………」ブンブンッ
聖良「筋肉で止血して、機能の確認………落ち着いてみせていますが」
聖良「ダメージは確かに大きいはずです」クス 花丸「フフフ……」ペロリ
ズチャ…
『花丸が不気味に歩み寄りますッッ』
『この女に限って舌なめずりはハッタリではありませんッッ』
花丸「ん〜〜〜………」ジロジロ
果南「くッ………」
『果南の全身を舐め回すように見る花丸ッ』
『もはや気分は精肉店で品定めをしているに等しいかッッ』
花丸「脊髄ッ」ピタッ
花丸「いただきずらァッ」バッ
『とびかかった―――――ッッ』 ダンッ
花丸「!!」
花丸「え………ッ」ブシャアアッ
『なッ』
果南「………」モグ…
果南「ペッ」
ベチャッ
果南「噛みつき(バイティング)なんて海中格闘技では基本の一つにすぎないよ」
花丸「………………………」ボタ…
果南「尚さかなを噛む際には鱗を吟味すべし――」
果南「急激に引き抜かれ前歯を根こそぎもってかれる例は珍しくない」 『今度は果南が花丸の首元を噛みちぎったァ―――』
『この後輩にしてこの先輩ありッッッなんという意趣返しだッッ』
花丸「…………ッッ」クラ…
ダイヤ「決着ですね」
ダイヤ「それほど深くはありませんが、あのまま戦闘を続けるというのは花丸さんには……」
花丸「……」ドシャアッ
審判「勝負あ…………」
審判「!」
花丸(………マルは…)モゾ…
花丸(まるっと………)モゾモゾ…
『なななんだ!!?』
『倒れた花丸が――――――』 花丸(丸くなるずらッッ)マルンッ
『球体……………!!!』
『背中を丸めてボール状にッアルマジロのようにまるまってしまったァァッッ』
ダイヤ「考えましたわね花丸さんッ」
善子「何よ、アレ……」
ダイヤ「丸まったアルマジロは拳銃の弾を跳ね返すほどの防御力を持ちます」
ダイヤ「花丸さんはまさにソレを再現しようとしているのですわ」
梨子「でも、アルマジロは固い鎧があるから身を守れるんであって………」
ダイヤ「柔よく剛を制す―――ということもあります」
ダイヤ「まあ、百聞は一見に如かずですわ」ピッ 果南「……マル…」グ…
『!!』
『果南がッついに鋼鉄の拳を握ったッッ』
ことり「ええ〜〜ッッ」フフフ
海未「後輩を殺す気ですか?」
果南「ゲンコツだよッ」ブンッ
『裁きが下される――――ッッ』
ボムッ
果南「ッ!」 ゴロゴロゴロゴロゴロゴロッ
ドンッ
しん…
花丸「………」モゾ…
果南「!」
花丸「べー」
果南「〜〜〜〜〜ッッ」ムカーッ
花丸「ずらッ」スッ…
花丸「………」マルンッ 『効いていないッッ!?』
『内浦最強の鉄拳が、あの花丸ボールには通じないのかッッ!?』
ダイヤ「あれが球体の力です」
ダイヤ「花丸さんの柔軟性との合わせ技で、ああやって派手に転がることで、衝撃を分散して受け流す」
ダイヤ「形は全く異なりますが、彼方さんの消力に近いものがありますわね」
ダイヤ「さらに具合の悪いことに、背中の耐久力(タフさ)は正面の約七倍ですわ」
花丸(普通にくらってたら今ので倒されていたずら)
護身開眼!!!
千歌「果南ちゃんは本気で殴ったのかな…」
ダイヤ「本気………限界…ポテンシャルという意味では、まだ上はあるでしょう」
ダイヤ「しかしAqoursの仲間―――後輩に向ける拳としては、アレ以上は無理というものですわ」 『間の抜けた見た目に惑わされることなかれッまさに絶対防御ですッッ』
『どうする果南、無い知恵絞って打つ手はあるかッッ』
善子「…っていうか防御はいいんだけど………」
ルビィ「あれじゃ花丸ちゃんも何もできないんじゃ………」
ダイヤ「理想の世界ですわね」
ダイヤ「何もしてこない相手には何もする必要はなく――――」
ダイヤ「そこには争いが生まれようもなく―――」
ダイヤ「勝ちもなければ負けもない」
鞠莉「ただしこれは試合デース」
鞠莉「花丸の技と自分の力――――――」
鞠莉「どっちが上でも構わないというにはあの果南――――」
果南「ウンッッ」ダッ
ダイ鞠莉「若すぎる!!!」 果南「フンッッ」ガッ
ググ…
善子「こじ開ける気だッッ」
鞠莉「良いんじゃない?」
鞠莉「一番単純だけど、一番効果的でしょ」
バッ
善子「ぬあッッ」
ルビィ「開いちゃったぁッッ」
果南「さあ、マル………」ニヤリ
ダイヤ「…………………」
ダイヤ(ブッブー………ッッ) 花丸「………」スッ…
花丸の上半身と下半身が巨大な上あごと下あごのようにゆっくりと動く。
果南「………………え…?」
ばくんっ
『な』
果南「〜〜〜〜〜〜」バタバタバタ
果南「〜〜〜〜」バタバタ…
果南「〜〜」バタ…
花丸「………」マルンッ
しん…
千歌「……………」
千歌「…………パックマン…………?」 『まッ丸飲みだ――――ッッ』
『果南が花丸ボールに丸飲みにされてしまったアアッッ』
花丸果南「………」モゾモゾ
『中には果南が詰まってッッ外は花丸でコーティングッッ』
『あの一回り大きくなった肉団子の中で、一体何が行われているのかッッ』
『これは格闘(たたかい)なのか〜〜〜〜ッッ!?』
ダイヤ「閉じ込めるという行為がもたらす」
ダイヤ「生体へのストレス、生命への影響力は計り知れません」
梨子(ノクターンもケージから出してあげると、すごくはしゃいでたっけ………)
ダイヤ「まして全身を締め付けられながら」
ダイヤ「ろくに息もできずッ肌で感じる体温ッッ不快感ここに極まれりッッッ」
ダイヤ「これが攻撃でなくてなんでしょうッ!?これが格闘でなくてなんでしょうッ!?」 花丸果南「………」モゾモゾ
『不気味に蠢く花丸ボールッいやかなまるボールッッ』
『さながら大型動物を腹の中で消化するアナコンダのようですッッ』
ダイヤ「ことによると、本当に中で食べているかもしれませんわね」
善子(ないとも言い切れないのが本気で怖いんだけど……)
ピタッ
『!!』
『止まったッッ動きが止まったぞッッ』
バッ
『ボールが開いて―――――』 花丸「ぎいぃいいぃいやぁ〜〜!!何するずらァー!!!
やめてずら!!!
マルが何したって言うんずらぁー!!!!!!
痛いずらよぉー!!!!!!!
読書が出来なくなっちゃうずら・・・
ペンも握れなくなっちゃうずらよぉー!!
千歌ちゃーん!!!!助けるずらぁー!!!!!!!!」ジタバタ
千歌「え…」
鞠莉「ワオ」
審判「勝負ありッッ」 『恐るべし松浦果南、手足を動かすことすら困難なあの体勢から』
『な…なんと生爪をむしり取る荒業ッッ』
果南「惜しかったねマル」フウ
果南「全身で丸まって抱きしめる………なかなかいい技だったけど」
果南「深海の水圧とストレスはこんなもんじゃない」
花丸「…………無念ずら…」シュン…
果南「それと………」スッ…
花丸「!」
ハグウッ
果南「マルのハグは、ちょっと愛が足りないよ」ニカッ
花丸「果南ちゃん………」 グウ~~~ッッ
花丸「!」
果南「…アハハ………ちょっと疲れて、お腹すいちゃった………」カア…
花丸「マルもずら!」
花丸「いっしょにお昼食べにいこッ」
果南「私は、今はお肉の気分だね」
花丸「マルもずら!!それも焼いてるのじゃなくて、生のがいいずら!」
ワッハッハッハッハッハッハッハッハッハ
善子「いや笑えない笑えない」
二回戦Aブロック第一試合 果南〇 花丸× ・青竜側入り口前。
聖良「見ましたか理亞」
聖良「あれが松浦果南です」
理亞「…ウン…………」
聖良「後輩の首元を噛みちぎり、生爪をむしり取る」
聖良「ひどい闘い……ひどい先輩です」
理亞「……………」
聖良「『強ければなんでもいいのか!』」キリッ
聖良「アホですか」
聖良「強ければいいんですよ」 ・白虎側入り口前。
花陽「スゴかったね、花丸ちゃんの闘いぶり……」
真姫「そうね、色々言いたいことはあるケド………」
真姫「花丸のあの必死さは、凛も見習った方が良いんじゃない?」
凛「………凛はあんな闘いいやだよ………」
凛「アルマジロはいいよ?アルマジロはいいけど……」
凛「噛みつきとか……ああいうのは凛は………」
にこ「ま〜た、何甘いこと言ってんのよ………」ハア
凛「だって…………凛は…………」
にこ「化け物揃いのこの大会、ヨゴれずに勝ち抜こうっていうのが………」
凛「凛はムリーーーーーッッッ」
真姫「…………」
花陽「凛ちゃん………」 凛「凛は凛の闘い方で勝負するもんッッ」
凛「勝てばいいんでしょッッ」プイッ
にこ「凛ッッ!!」
凛「な……何………?」
にこ「…………………」
にこ「……………」
にこ「そう」ニイッ
にこ「分かってりゃいいのよ」
にこ「勝てばいいのよ勝てばッッ」
にこ「あんなメロン女に、死んでも負けるんじゃないわよッッ」セナカバチーンッ
凛「痛いにゃ〜〜〜〜〜ッッ」 わざわざ立てて頂いたのに恐縮ですが、ちょっとリアルが忙しいので向こう一週間ぐらい二日に一試合または半試合の更新になります
また落ちてしまったらその時はある程度書き溜めてから自分でスレ立てて投下します >>59
これ独歩の台詞だったのか
宿禰編見てなかったから知らんかったわ 『二回戦第二試合!!ここに異色の対決が実現しましたッ』
『白虎の方角ッ、μ'sが誇るデンジャラス・ライオン、星空凛ッッ』
『一回戦では健脚を生かした超タックルで桜坂しずくを打ち破っています』
『対しますは青竜の方角ッッ鹿角聖良!!』
『妹の理亞を無慈悲に下して勝ち上がってきました』
『相撲の技をいくつか使用いましたが、強さの底はまだ見せていないかッッ』
善子「っていうか、なんであの人は相撲なのよ………」
理亞「………」
―
――
―――
「あのsaint snow が負けるなんてね〜〜〜」ヒソヒソ…
「優勝候補だったのにね〜〜〜〜」ヒソヒソ…
「肝心なトコでずっこけるんだもんなァ〜〜〜〜」ヒソヒソ…
理亞「姉様………」ギュッ…
理亞「!」
聖良「…う……ッ……うう……ッッ」ツー… ・夜。理亞の部屋。
善丸ビィ「ZZZ」グーグー
理亞「…………」
理亞(眠れない………)
「―――イッッ」ズシンッ
理亞(なんか…さっきから………)
「―――ォイッッ」ズシンッ
理亞(姉様の部屋がうるさい………)
「――コオォイッッ」ズシンッ
理亞(…もう我慢できない………)スクッ 理亞「姉様ッッさっきから何を………」ガララッ
理亞「なッッッ」
聖良「………」スッ…
聖良「ドスコオォイッッ」ズシィンッ
理亞(これって……………相撲の………)
理亞(四股ッッッ!!?)
聖良「…………」スッ………
聖良「ドスコオ」
理亞「姉様ッッッ」
聖良「!」
聖良「理亞」ピタッ
聖良「どうしました?」カタアシアゲー
理亞(そこで止まるんかいッッ) 理亞「…うるさい………さっきから…………」
聖良「それは失礼しました」ピターン
理亞「………っていうか、何やってんの?」
理亞(足ッ早く下ろしてッッ)
聖良「見てわかりませんか」
聖良「四股ですよ」
理亞「それはワカるけど……なんで……………」
理亞(足ッッ)
聖良「なぜ………?」
聖良「理解らないのですか?」
理亞「え?」
理亞(足ッッッ) 聖良「私たちはどうしてラブライブ!に負けたのです?」
聖良「転倒(こ)けたからです」
理亞「………ッッ」
聖良「だったら私たちがすべきことは何か」
聖良「子供でも理解りますよね?」
聖良「二度と転倒けないようにすること―――――すなわち足腰を鍛えること」
聖良「そのためには、相撲の四股は持ってこいというわけです」
理亞「……………」
聖良「理亞、敗けることは恥ずかしいことではありません」
聖良「大事なのは敗北から何を得るか、です」
理亞「………姉様……ッ」プルプル…
聖良「あなたもあのルビィさん達と一緒に切磋琢磨して、いずれは私を…」ウンヌンカンヌン
理亞(足を下ろせ〜〜〜〜〜〜〜ッッッ) ―――
――
―
理亞「善子………………」スッ…
善子「わっ」
ルビィ「理亞ちゃんッ」
理亞「姉様が札幌でなんて呼ばれてるか教えてあげる」
理亞「“スク”ールアイドルの“姉”様……………」
理亞「スク姉…………すくねえ……………」
宿禰(スクネ)だよ…………………
※野見宿禰…相撲(角力)の祖とされる人物。
審判「両者下がってッッ」
聖良「………」スッ……
ダイヤ「!」
『っとこれはッッ』 『両手を着いてッッ仕切りの構えです鹿角聖良!!』
『開始の合図から一気にカタをつける気か―――ッッ!?』
聖良「…………」フウーッ
凛「よーしッそれなら…」スッ…
『!!』
凛「凛もこれでいくにゃーッッ」
『凛も手を着いたァァッッ』
『四足歩行!!しずくを吹っ飛ばしたあの構えです!!!』
『はからずもお互い立ち合いの形になった―――ッッ』
にこ「どう見ても乗せられてるじゃないッッ」
花陽「………凛ちゃん……」ギュッ
真姫「…色々と心配ね………」 ダイヤ「ルビィ、善子さん」
ダイヤ「聖良さんの意図がわかりますか」
ルビィ「えッ?ええっと………」
善子「フンッ見え透いてるじゃない」
善子「自分の得意な相撲勝負に誘ったってだけの話よ」
審判「はっけよいッッ」
『っと審判も空気を読んだッッ』
『さあ時間いっぱいッッ待ったなしの大一番だ――――ッッ』
聖良「……………」クス
審判「残ったッッ」
『試合開始―――ッッ』 凛「―――」バシュッ
聖良「――――」ダァンッ
ぱそ…
凛「!」
ガチイッッ
『組み合った両雄ッッがっぷり四つだアアッッ』
しずく「組み合った、って――――ッッ」
善子「凛さんの超タックルを受け止めたッッ!?」
善子「トリケラトプス拳を真正面から吹っ飛ばしたアレを、どうやってッッ」
ダイヤ「腰です」
善子「腰ッ?」 ダイヤ「見えませんでしたか。今の聖良さんの動き」
ダイヤ「ぶつかる瞬間――このように………」クイッ
ダイヤ「瞬間的に腰を引いた」クイックイッ
ルビィ「その動き………どこかで………」
ルビィ「!」ハッ
『Believe again』の腰振りダンス!!
鞠莉「ぶつかる衝撃を吸収した、ってことかしら」
鞠莉「あの腰の使い方――乗馬の動きにも通じるものがあるわね」
ダイヤ「立ち合いというものは速ければいいという単純なものではありません」
ダイヤ「相手の勢いを殺すテクニックも重要な要素の一つ」
ダイヤ「聖良さん………底知れぬ “技量”ですわ……」 聖良「さて……ここからどうしましょうか……」フフ
聖良「投げてもよし……倒してもよし……吊っても………」
『これは凛にとっては厳しい体勢になりました』
『捕まってしまっては自慢のスピードも生かしようがありません』
海未「ワカっていませんねあのアナウンサーも……」
ググ…
聖良「ん?」
ズサ……
聖良「ん?お?」
『こッこれはッッ』
『寄っている!?凛が聖良を押しているぞッッ』 凛「凛に相撲がとれないとでも思ったの………ッッ!?」グググ…
海未「スピード自慢は捕まえてしまえばいい…………」
海未「そんなふうに考えていた時期が私にもありました」
グググググ………
聖良「…………ッ」ズサササ…
聖良「ッッ」シュザッ
『巻き替えた!!左を差しました聖良ッ』
『これで聖良はもろ差しッッ凛の上体がますます起きますッ』
凛「フヌヌヌヌ………」グ…ッグググ…
聖良「く」
聖良(こ…この猫………ッッ)ズササ… 善子「ありえない……ッッ凛さんは完全に腰が高いのに……ッッ」
聖良(ちッ…脚力(ちから)……ッッ)ブルブル
聖良(脚力だけで………ッッ)
海未「足が速いということは、大地を蹴る力が強い―――前に出る力が強いということです」
海未「組んだところでそれは変わりません」
ガッ
ルビィ「足が揃ったッッ」
凛「それーーーーッッ」ダアンッ
聖良「――――ッ」
ドシャアアッ 『倒した〜〜〜ッッ凛が聖良を寄り……イヤ全身で押し倒しましたッッ』
凛「やった……」ムク…
理亞「………ッッ」
聖良『だったら私たちがすべきことは何か』
聖良『二度と転倒けないようにすること―――――』
理亞(ありえないッッ星空凛の脚力がいくら強くたってッ)
理亞(姉様に限ってッ真正面から “倒される”なんてこと……)
聖良「………」モゾ…
理亞「!」ハッ
理亞「…フン」クスッ 凛「やったアアアアア」
凛「勝ったにゃァッ」ピョンピョンッ
『これは予想外ッッこの大相撲を制したのは――――』
花陽「凛ちゃん………ッ」
にこ「あのバッカ………」
真姫「やっぱり……」ハア
ブワンッ
凛「え――――」フリカエ…
グワシィッ
『あ〜〜〜〜〜っと!!』
凛「〜〜〜〜〜〜〜ッッ」
ドッシャアアアアッ 絵里「跳び起きざまに、胴廻し回転蹴り……」
希「お姉ちゃんの方も出来たんやね………」
『予期せぬ大技を決めました聖良ッッ』
『今のバク転蹴りは言うまでもなく相撲にはない技ですッッ』
凛「……………ッッ」ガクガク
聖良「不本意ながら、 “相撲”の勝ちは譲りましょう………」
聖良「しかしこの“勝負”の勝ちは頂きます」
ダイヤ「このライタイ祭究極ルールの決着はどちらかが戦闘不能に陥った時のみ」
ダイヤ「いかに“相撲対決”を煽ってもそれは変わりませんわ」
聖良「フフフ……“デンジャラス・ガール”星空凛さんともあろうお方が、甘いものですね」
理亞(姉様、ガールじゃない、ライオン)
聖良「ここは最強のスクールアイドルを決める場所ですよ……」ザッ… ルビィ「じゃあ、聖良さんが相撲対決に持ち込んだのは……」
善子「最初からこれを狙って………」
ダイヤ「というより、二段構えでしょうね」
ダイヤ「得意の相撲で勝てればそれでよし、負けてもスキを作れればよし」
ダイヤ「凛さんが予想外に相撲に強かったのでさっさと負ける方に切り替えたと………」
ダイヤ「見上げた“人間力”………抜け目のない人ですわ」
ガシッ…
凛「………ッッ」
『凛を立たせました聖良』
『その凛は今の蹴りのダメージがかなり尾を引いているように見えますッッ眼が虚ろだぞッッ』
希「同じバク転蹴りでも理亞ちゃんとは体格も体重も違う」
希「ケタ違いの威力やろうね」 聖良「最後は大技でカッコ良く決めさせていただきますね」
凛「…………」ボーッ…
聖良「っと」ガッ
『足を掛けた聖良ッッ』
聖良「おっしょいッッ!!」
ガッ…
聖良が足をハネ上げるとともに、凛の身体が半回転する。
聖良は凛のアゴを抑えて、頭から地面に叩きつけようとする―――― 花陽「凛ちゃんッッッ!!」
凛「!!」ハッ
ブワンッ…
凛(あれれ?何これ―――――)
凛(凛、投げられてる?―――――)
凛(このまま地面に思いっきりぶつけられて――――――)
凛(敗けちゃう―――――)
ガシッ………
凛(あ――――指――――)
凛(誰の?―――――敵のだよね―――――)
凛(―――届きそう―――――――) カッ…
『花丸ちゃんは貴女に憧れて――――』
『本家も負けてられないってことだよね―――』
『凛はムリーーーーーッッッ――――――』
『死んでも負けるんじゃないわよッッ―――』
『ここは最強のスクールアイドルを決める場所ですよ―――』
凛(―――――たくない――――)
聖良「―――――!」
凛(敗けたくない!!!)
ガブウウッ
聖良「ッ」ピタッ…
にこ真姫花陽「!!!」 めき…
『かッッッ』
『噛みついた〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ』
花陽「凛ちゃん……」
にこ「やりゃできんじゃないのッッ」ガッツポ
凛「〜〜〜〜〜〜」ギリ…
『噛んでいるッッ』
『噛んでいる〜〜〜〜〜ッッ』
ペキ…
『闘いに牙を取り戻しましたデンジャラス・ライオンッッ』
『前の試合に続いて、この試合も凄惨な試合と―――――』 聖良「フンッ」バッ
にこ真姫花陽「えッ!!?」
にこ(噛みつきがッ)
真姫(効いてないッッ!?)
花陽(なんでッッ!?)
凛(――硬―――――――)
ドシャアッッ
凛「」
審判「勝負ありッッ」 ダイヤ「考えてみれば相撲は廻しをとるのも小指からなんですよね」
ダイヤ「小指が命綱なんですよね、力士って」
ダイヤ「横綱クラスならその小指で4分の1トンもある力士も転がせるんですよね…………」
梨子「……………………」
善子「……………………」
ルビィ「……………………」
にこ(にしても………にしてもでしょッッ)
真姫(いくらなんでも、歯が立たないワケ……………)
花陽(フツーの噛む力があれば………………・)
にこ真姫花陽「!!」ハッ
にこ真姫花陽「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ」グッ…
ラーメンばっか………食べてるから……………ッッ
二回戦Aブロック第二試合 聖良〇 凛× ・玄武側入り口前。
梨子「あら」
梨子「曜ちゃんとの闘いでも、私の方に来てくれたんだ」ウフフ
善子「…別に、私はどっちでも良かったんだけど」
善子「なんか、千歌が血相変えて曜の方に行ったから、一応………」
梨子「千歌ちゃんが?」
善子「そ」
善子「ちょっと前までは、『どっち応援しよ〜〜〜』って頭抱えてたんだけどね」
梨子「…そうなんだ………」
梨子(何かあったのかな…?) 梨子(………でも、対戦者(あいて)の曜ちゃんがどうであれ)
梨子(私のやることは変わらない)ピシャンッ
梨子(完成されたレズ格闘技を見せるだけのことよ)フフフ
・トイレ。曜と千歌。
千歌「どうすんの……………?」
千歌「ねぇ…」
千歌「こんなんなっちゃってェェッッ」
曜「…………………」
千歌の目の前の曜はいよいよ毒が回ってきたのか急激にやせ細っている………。
千歌「病院だよゥッッ!!!」 真姫「待って」
千歌「!」
曜「…真姫ちゃん……」
真姫「病院で解決する問題じゃないわ」
真姫「死ぬまでたらい回しにされるのが関の山よ」
千歌「どうすんの」
千歌「だったらどうすんの」
真姫「方法は一つしかないわ」
真姫「生還するための闘い――――」
真姫「このまま試合に出てもらって」
真姫「渡辺曜の、目覚めに賭ける」 千歌「……ぅ……いて………ゃ…ぇよ……」
真姫「え?」
千歌「ちょうしこいてんじゃねエよッッッ!!!」
千歌「目覚めに賭ける…ッて……………」
バチッ
千歌「させるかそんなことッッッ!!」
棒立ちで佇む真姫に、千歌は涙ながらに殴りかかる。
千歌「おまえらの好きになんか」
ベチッ ボスッ バチッ ガスッ
千歌「させるかッ」 パシッ
千歌「!」
曜「もういい」
曜「もう……じゅうぶんだよ」
ハグウッ
千歌「ッ」
勇気を……もらった!!!
千歌「…バカ曜……ッ」ポロポロ
曜「未来の事に臆病にならなくて………いいんだよ……………」ギュッ 『二回戦Bブロック第二試合ッッ』
ざわ ざわ ざわ
『桜内梨子vs渡辺曜ッッAqours二年生同士が雌雄を決そうという好カード―――』
『で・す・がッッ』
曜「よろしくね……梨子ちゃん………」ゲッソリ
梨子「…曜ちゃんッ………」
『何があったのでしょうかッッ渡辺選手は闘う前から既にグロッキーですッッ』
かすみ(私の毒手だ………ッッ)
かすみ(効いてたんだ!!)フクザツ
『これは試合になるのでしょうかッッというか試合をしていいのでしょうかッッ』 善子「いいワケないでしょッ」
善子「こんなの早く中止―――――」ガタッ
ガシッ
善子「!」
ルビィ「お……お姉ちゃん………」
ダイヤ「この会場で最も医学・人体に聡い真姫さんが許可し―――」
ダイヤ「そして曜さん本人が出場を希望しているのです」
ダイヤ「誰にも止めることはできませんわ」
曜「……………」フラフラ…
千歌(見届ける…ッッ)
千歌(しか……ない…………!!?) 今度からBelieve againを見る目が変わってしまった!どうしてくれるッ!! 曜「ケホッケホッ」ヨロ…
梨子(なるほど………あれじゃ千歌ちゃんが心配するのも無理はないわね)
梨子(だけど真姫さんが静観してるってことは曜ちゃんは試合に出てもいい、いや出た方が良いって判断したってこと)
梨子(正直素人の私には真姫さんの判断が正しいとは到底思えないけど)
梨子(ここはその判断を信じて全力で行かせてもらうわ)
審判「開始めいッッ」ゴワアアアアンン
梨子(悪く思わないでね曜ちゃ………)
ダシュッ
梨子「!?」
梨子「!!!」ミガマエッ 『なんだ――――!!!』
グワシャッ
梨子「ッッ」ドッシャアア
ワアアアアアア
かすみ「――――」
千歌「―――ッ」
善子「…………ッッ」
千歌「あの身体で……胴廻し回転蹴りかァ〜〜〜〜〜〜」 『どッどッ胴廻し回転蹴りです!!!』
『枯れ木のような渡辺がッ全体重を乗せて』
『胴廻し回転蹴りをやってのけたのです!!!』
絵里「田舎では流行ってるのかしら?」フフフ
真姫「…つくづく天才ね………」ハア
海未「…………」
『恐るべし天才!!!』
『恐るべし渡辺曜!!!』
梨子「っく………」ムク…
梨子(化け物ね……ッッ) 梨子(あの衰弱状態で飛び技はあり得ないとたかをくくった自分に腹が立つ………ッッッ)
梨子(とにかく曜ちゃんの格闘センスは計り知れない)
梨子(飛び込み界の最終兵器という肩書き…………)
伊達ではない!!!
曜「ごめんね梨子ちゃん…」
曜「私にも………」ダッ
梨子「ッ!」
曜「余裕がないからッッ」グルッッ
ドドッ
梨子「〜〜〜〜〜ッッ」ドッシャアアッ ダイヤ「飛び後ろ廻し蹴りッッ」
ダイヤ「通常、蹴り技ではあれが最強ですわ」
梨子「…ッハアッ…」ムズ…
梨子「…ッッ」カクンッ
梨子「……」フーッ…フーッ…
『強い!強すぎるぞ渡辺ェ〜〜〜〜ッッ』
『開幕早々梨子はもう虫の息だァ―――』
月「いや〜〜〜〜」アハハ
海未「………」
曜「そらッッ」ダッ
『トドメを加えんと天才が走ったッッ』 梨子「……フーッ」スクッ
英玲奈「蹴った方向が悪かったな」
英玲奈「今の梨子の後ろにはアレがある」
壁!
英玲奈「もう奴はさっきまでの梨子ではない」
ドガッッ
『勢いそのまま顔面に上段蹴り―――ッッ』
『これは勝負あ……』
曜「!」
ダイヤ「梨子さんのあの立ち方はッ」 三戦(サンチン)!!!
梨子「呼(こ)ッ」
善子「三戦?」
ダイヤ「空手道に古くから伝わる守りの型ですわ」
ダイヤ「呼吸のコントロールによって完成されたこの型は完全になされた時にはあらゆる打撃に耐えると言われています」
梨子「三戦は船の上で考えられた技術なんだよ………って」
梨子「曜ちゃんが教えてくれたんだよね」フフ
曜「………ッッ」ズサ…
梨子「私ね曜ちゃん」
梨子「あれから空手に興味持って、ちょっと調べてみたの」
梨子「そしたら思いのほか私に合ってるみたいでね……………」スッ…
梨子が両手を大きく上下に開いて構える。 『桜内梨子、天地上下の構えだァ〜〜〜〜〜〜ッッ』
にこ「へえ……良い立ち姿じゃない」
花陽「隙がないです……」
曜「………ッッ」タジ…
『止まったッ曜が踏み込むのを躊躇していますッッ』
『それほどまでに梨子の構えは完璧すぎるッッ堂々たるものですッッ』
ルビィ「梨子ちゃんすごい……」
善子「いつの間に、あんな……」
ダイヤ「………!」
絵里(当然ね)
絵里(あの天地上下の構え………相手の後頭部を抑えて接吻を強要しつつ股を弄ることができる、レズバトルにおける基本の構えでもある)
絵里(空手のキャリアは浅くても、レズにかけては既にエキスパートというワケよ) ダイヤ(空手の歴史はその原型となる中国拳法が琉球に伝来した時代から数えて約500年)
ダイヤ(一方百合は中国史黎明期に既にその記録があるとされます。つまりは4000年)
ダイヤ(梨子さんレベルになれば4000年分の百合の技術をほぼ全て習得しているハズ)
ダイヤ(それを空手に組み込んでいたとしたら………曜さんをしても十二分に脅威となり得ますわ)
梨子(4001年目のレズとの合流、これが空手の501年目よ)フフフ
曜「くッ」ダッ
『曜が行ったァ―――』
真姫(闘いが長引けば長引くほど曜は加速度的に体力を奪われる)
真姫(多少無理があっても攻め込むしかないわ)
絵里「曜が心配そうね」チラッ
真姫「!」
真姫「べ、別に……」
絵里「残念だけど、この試合は早くキマるわよ…………」 梨子「……」ニヤリ
ぐる…
ガッ
曜「!」
せつ菜「マ・ワ・シ・受け…………………」
せつ菜「見事な……」
ダイヤ(あの肘の回転は………)
ダイヤ(相手のシャツを裾からめくり剥がして胸をまさぐる時の動きに酷似しているッッ)
梨子「攻守交替よ……♡」
梨子「フンッ」フッ…
カッ 曜「ッッ!」
善子「目潰しッッ」
ダイヤ「いや、虎口拳ですわ」
ダイヤ「親指と人指し指のつけ根で眉間を強打する」
ダイヤ「数秒ですが視力と思考力が失われ次の攻撃をまともに受けることになります」
曜「〜〜〜〜〜」フラ…
梨子「フッッ」
ザシュッ
ダイヤ「掌先突き」
ダイヤ「鍛え抜かれた指先で腹を貫いています」
ダイヤ(梨子さんの指先は電マと同じ効果を持ちます)
ダイヤ(すなわち突かれた場所は全て急所と化します)
曜「あッ……」ビクンッ 梨子(曜ちゃんカワイイ…)ジワア
梨子「フフフ♡」
ガッ
梨子は右の掌で曜の顎の付け根を叩く。
曜「えッ………」ダラン
ダイヤ「風摩殺」
ダイヤ「顎が外されましたわ」
善子「スゴい……ッ」
曜「…………ッッ」
ダイヤ「空手最大の強みはあのような手首から先の造りと使用法にあります」
ダイヤ「ピアニストでもある梨子さんとの相性は抜群ですわ」
ダイヤ(そしてそれは百合にも通じるッッ) 梨子「フフフフ…♡」クッ…
ゴッッ
曜「!!」
梨子は乳首を摘まむように指先を五本集めて、曜の頭頂を突き――――
グ…
ガッッ
次に乳房を鷲掴む形に変えて、再び曜の頭の上に振り下ろした。
ダイヤ「六波返し」
ダイヤ「頭の縫合が外されました――終わりですね」 曜「あッ……あッ……」ガクガク…
善子「膝が震えてる……ッ」
ルビィ「曜ちゃん、もう……」
曜「……ッッ」ダッ…
間合いをとった梨子に向って曜が走り出す。が―――
曜(もう…ッッ)ヨロッ…
梨子「………」ス……
梨子「もう……」
ドッシャアアアッ
曜はよろけながら梨子を素通りして壁際に倒れこんだ。 曜「あへぇ……………」ガクビク
ダイヤ(当然ですわ………)グッ…
ダイヤ(いかに曜さんが天才といえども、毒に犯された今の状態で、あの梨子さんの相手は……ッッ)
梨子「………………」フウ…
梨子(ごめんね曜ちゃん……)
曜「…………」グッタリ
スッ…
曜「…!」
曜の目に、今にも泣き出しそうな千歌の顔が映った。
千歌は観客席から身を乗り出し、仰向けで倒れる曜を見下ろしている。
千歌「曜ちゃん……」
千歌「変わっちゃったね」 千歌「あんなに張っていた胸も…………」
千歌「あんなに逞しかった脚も…………」
千歌「鋼鉄(はがね)の身体も……………」
千歌「ぜんぶ……」
千歌「変わっちゃったね………………」ポロポロ
ポタッ ポタンッ
曜の顔に、一滴二滴と千歌の涙が落ちる。
曜「……………」
曜(千歌ちゃん………)
……………ドクン…………… 千歌「でも……」
真姫「曜…」
………ドクン………
ちっとも変わってない
千歌「曜ちゃんは、なにひとつ変わってない」ポロポロ
絵里「………」ニィ…
絵里「あの童貞………………」
絵里「い〜〜〜〜〜〜い女モノにしたわね」
曜「―――」…ドクン…
真姫「毒が…」
真姫「裏返るッッ」 曜「ッッ」ドクンッ
梨子「…?」フリカエリ
ガバッ
梨子「な」
ダイヤ「これは…ッ」
曜「……………」スクッ…
真姫「復ッ活ッ」
真姫「渡辺曜復活ッッ」 真姫「渡辺曜復活ッッ」
真姫「渡辺曜復活ッッ」
真姫「渡辺曜復活ッッ」
真姫「渡辺曜復活ッッ」
曜「ふう…」
真姫「渡辺曜復活ッッ」
千歌「え……何…………?」
真姫「千歌さん」クルッ
真姫「曜は蘇るわッッッ」
真姫「よくやったッッ」
真姫「よくやったわ千歌さんッッ」
千歌「……………」ポカーン 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:1341adc37120578f18dba9451e6c8c3b) 絵里「あのレズ空手が……」
絵里「治してしまった」
絵里「レズ技を格闘技に落とし込むハズが、格闘技がレズ技に喰われた」
にこ「どういうことよ?」
絵里「そもそも相手に苦痛(ダメージ)を与えんとする格闘技と相手に快楽を与えんとするレズ技は水と油」
絵里「レズ要素を取り込んだ梨子の空手技は本能的、無意識的に曜の快楽のツボを求め、刺激してしまっていたのよ」
絵里「それを受ける曜が童貞とくれば、いきつく先は火を見るより明らか」
絵里「すなわち、絶頂(オーガズム)―――――」
ダイヤ(そこに曜さんの闘志によって脳から分泌された脳内麻薬か……)
ダイヤ(あるいは千歌さんが流した涙によってもたらされた多幸感)
ダイヤ(そしてその昂ぶりから…………形造られてしまった化学物質か)
真姫「あるいはそれ等全てが曜の内部で出会ってしまい―――」
真姫「ポジティブが溢れ出しスパーク………」
解毒に転じた! 千歌「要するに―――曜ちゃんの毒はすっかり回復した―――――」
梨子「もちろん“友達”の私としてもメデタシとしめたいところだけど」
梨子「“対戦者”のわたしにとっては…あまりありがたくないことが曜ちゃんに起こったみたいね」
せつ菜「こんな事があるんですね…」
かすみ「わたしにとっても初めての現象です」ゴクリ
曜「私自身…言葉による説明はさっぱりできないけど」
曜「身体がね…」
曜「梨子ちゃんをヤッちゃえって………」
梨子「――――」
真姫「全く………」クス
絵里「言ったでしょう」
絵里「決着は早いって」フフフ 梨子「おもしろいわね。やってみたらどう?」
曜「言ったねッッ」ダシュッッ
梨子(え―――――)
千歌(はっや………………)
海未「…」ニヤリ
ブンッ…
曜の右足が目にもとまらぬ速さで梨子の顔面めがけて振り上がる。
善子「ッッ」メソラシッ
ピタッ ダイヤ「!?」
曜「………」ス…
『どッどうしたッ!?曜が当たる寸前で蹴りを………』
曜「審判さん」
審判「……………?」
審判「!」ハッ
審判「しょ、勝負ありッッ」ゴワアアアアアンンン
『こッ……これは桜内梨子…………』
梨子「」
『立ったまま気絶している〜〜〜〜〜ッッ』 ダイヤ「なんという……ッ」
善子「どういうことよ!?」
ダイヤ「どうもこうもありません。見たままですわ」
ダイヤ「曜さんの上段蹴りの風圧で、梨子さんは気を失ってしまった………と」
『これが天才の天才たる所以か、渡辺曜ッッ』
『元気満タン、フルパワーの蹴りを当てずして寸止めで決着だ〜〜〜〜ッッ』
曜「りーこーちゃん」ホッペムニー
梨子「!」パチクリ
梨子「あれ………私………」
曜「もう終了ったよ」ニッコリ
梨子「………負けちゃったか」ハア 曜「梨子ちゃん、とっても強かったよッッ」
曜「私もだいぶ危なかったし…」エヘヘ
曜「それに、ありがとうねッ」
曜「梨子ちゃんのおかげで、次から全速前進ヨーソローできるのありますッッ」ケイレイッ
梨子「………」
梨子「全く………」ハア
梨子「曜ちゃんには敵わないわ」
千歌「やっぱり………」
千歌「ちっとも変わってない」ニッコリ
にこ「あん……ま(甘)くて辟易しそうね……」
海未「救えない天才ですね」ニガニガシ
二回戦第三試合 曜〇 梨子× 今日は更新なしです
すまぬッッ
次から地域表示がたぶんあゆになります マダデスノー? |c||^.-^||っ/凵⌒☆チンチン ・観客席上段
ザッ…
果南「あ〜…もう曜と梨子ちゃんの試合終わっちゃったかー」
花丸「勝ったのは曜ちゃんずら!」
果南「まあ、順当な結果かなん?」
果南「えーっと、次の試合は………」チラッ
果南「!」
ピリッ…
花丸(果南ちゃんの空気が変わったずら)
果南「…これは要注目だね」 ・青竜側入り口前。念入りにウォームアップをするツバサ。
ツバサ「―――」ビュバッバッボッバババッ
あんじゅ「しっかしまァ……………」
あんじゅ「これが闘う動きというんだから……………」
ツバサ「―――」シュラララッシュラッ
英玲奈「まるで……」
舞踊…………Dancing,dancing!……
『絶対王者A-RISE唯一の勝ち残り』
『綺羅ツバサッッ』
ツバサ「―――フゥ……」ザッ…
舞踏…………Non-stop my dancing…… 『二回戦、第四試合ッッ』
『青竜の方角ッ』
『元祖マホメド・A-RISE流拳法ッッ綺羅ツバサ!!』
ワアアアアアアアア
花陽「…………ッッ!!!」フルフル…
ツバサ「………」シャラン
花陽(この人が…ッ)
花陽(今世紀――――最大最高の)
スクールアイドル……………!!!
花陽(ダレカタスケテ~~~~~ッッッ)
真姫「花陽………」
にこ「………」 『対するは玄武の方角ッッ』
『左手をギプスで覆って闘技場の土を踏むのは小泉花陽でありますッッ』
花陽「……………」フルフル…
鞠莉「花陽さんとしては、あの怪我のハンデは辛すぎるね…」
ダイヤ「ええ…加えてかなり緊張していらっしゃるのも………」
ツバサ「花陽さん」
花陽「ヒャイッ!!?」
ツバサ「この試合で、私達の運命が決まる―――――」
ツバサ「互いにベストを尽くしましょう」ニッコリ
花陽「………」
花陽「……………」
花陽「…………………!」ギュッ…
花陽「ハイッッ」プスーッ 真姫(震えが止まった)
にこ「全く…」ハア
審判「両者下がってッッ」
クルッ…
ツバサ「!」
両者踵を返す。青竜側の入口付近で、その人物に気づいたツバサの動きが一瞬止まる。
ツバサ「マネージャー………」
マネージャー「………」キッ…
あんじゅ「あらぁ」
英玲奈「いつの間にッ」
マネージャー「こんなShocking Partyに参加するのはこれっきりにしてほしいものね」
マネージャー「あなたは1試合(ライブ)1000万ドルを稼げる女なのよ」 ツバサ「………」
ツバサ「黙っていたことは謝るわ………」
ツバサ「でもこのイベントは私達にとってもアナタが考えるよりずっと大事なものだと思うの」
マネージャー「気は確かなのツバサ」
マネージャー「あなたはこれからプロのアイドルとして―――」
ツバサ「だから重要なのよ」
ツバサ「最後のラブライブで、私たちはμ'sに負けた……………」
ツバサ「この大会は、きっとその理由を教えてくれるわ。それに――――――」
マネージャー「……………」
マネージャー「それに…?」
ツバサ「負けっぱなしじゃ終われない」クルッ
審判「開始いッッ」ゴワアアンンンン 花陽「ッッ」サッ
『さあ幕は切って落とされましたッッ』
『小泉花陽は一回戦と同じようにガードを固めています』
ダイヤ「ピーカーブースタイルですわね」
善子「ピーカーブー?」
ダイヤ「直訳して“いないないいばあ”」
ダイヤ「拳をアゴ付近で構え、徹底的に頭部を守護る構えですわ」
ツバサ「………」ザッ…
『花陽の固い守りにもツバサは全く躊躇しませんッ』
『淀みなく間合いを縮めていきますッッ』 ツバサ「……フウ―」
ツバサ「――」シュララララッ
曜(潜り込んだッッ)
ダイヤ(う…上手いッッ)
花陽「ッッ!」グッ
ツバサ「―――」ボシュッ
ボグアアッッ
愛(空いたボディ………)
花陽「―――――」ドッシャアアアッッ
しん… 『ダ…』
花陽「――――――ハアッ」ガバッ
花陽「ハッ………ハアッ………」
『ダ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ウンッ』
『小泉花陽ダ〜〜〜〜〜ウンッ』
ワアアアアアアアアアアア
千歌「何今の………」
千歌(振りぬいてるのに私のジャブより速いじゃんッッ)
花陽「ハア……ハア………」ガクガク…
英玲奈「ツバサのストレートは750tのバイクで正面から轢かれる衝撃に相当する」
英玲奈「頭を守ればすむようなシロモノではない」 ツバサ「…………」フウ
聖良「追い打ちはしない……立ち上がる限りは倒し続ける…………」
聖良「あくまでA-RISEの…王者の闘い方ですね」クス
『さあ花陽立てるかッッ立てなければ試合が終わってしまうッッ』
『立てるか〜〜〜〜〜〜ッッ』
ピタッ
ツバサ「!」
花陽「――――」スクッッッ
オオオオオオオオオ
『立った――――ッッ』 パチパチパチパチパチパチパチパチ…
観客「エラいぞ〜〜〜ッッ」
観客「花陽ちゃんがんばれ〜〜〜ッッ」
花陽「………」
ツバサ「…」クスリ
ツバサ「どうやら…………」ザッ…
穂乃果「!」
ツバサ「ここからが本番ね」ザッザッザッザ…
花陽「なんだァ?てめェ…」 凛「かよちんが覚醒(めざ)めたッ」
ことり「ウン………だけど視点を変えるならツバサさんは」
ことり「たった1発(ワンパンチ)で花陽ちゃんを全力へと導いた」
ツバサ「…………」ザッザ…
ルビィ「ツバサさんのあの動きは………」
ダイヤ「マホメド・A-RISE流、本来のステップッッ」
ダイヤ「“蝶のように舞い、蜂のように刺す”と評された、あのッッ」
善子「でも、なんでこのタイミングで………」
ダイヤ「見抜いたのですわ」
ダイヤ「あの小泉花陽さんの中に潜む」
ダイヤ「とびきりの脅威を」 クルッ
ツバサ「ん?」
『っとォ――!?小泉花陽がツバサに背中を向けましたッッ』
ザッ…
『玄武側の入り口で見守ることりと凛のところへ向かっていますッッ』
理事長「試合放棄かしら………………」
ことり「花陽ちゃん………」
凛「かよちん、こっち来ちゃっていいの?」
花陽「質問ですッ」
花陽「タイマンてなァなんですか??」ビシッ 凛「度胸と根性だにゃーッ」ピョンッ
花陽「お〜〜〜〜〜〜」
花陽「その通りです」
花陽「度胸と根性なんてカンタンだよね」
花陽「度胸と根性出せばいいんだからね」
ツバサ「………」
花陽「オラァッ」ブンッ
『なんだァ――――!!?』
ドガッ ベキッ バキッ
『花陽が左腕を』
花陽「ダッシャイッッ」
ガッ ドドッ バキッ
『壁に叩きつけている〜〜〜〜〜ッッ』
バキッ………
花陽「ふう………」ボロ…
『ギプスをブチ壊した――――ッッ』
『何を考える小泉花陽――――――ッッ』 花陽「スクールアイドルの喧嘩です……………」
花陽「こんなもんに頼ってちゃしょうがないよね」
千歌「…………ッッ」ゴクリ
『小泉花陽恐るべし!!!』
『複雑骨折した左腕を保護するギプスを自ら叩き割ったのですッッ』
ことり「スゴい……」ハハハ
凛「やっぱかよちんハンパじゃないよ……」
花陽「ッラアッッ」ダッ
『花陽つっかけた―――ッッ』
ツバサ「…」ザッザッ…
花陽「ていッッ」ブンッ ツバサ「――」バッ
スカッ
『ものすごい空振り〜〜〜〜ッッ』
あんじゅ(振りが大きすぎるもの)
あんじゅ(ツバサに当たるわけないわ)
ツバサ「―――」ボシュッ…
英玲奈(完璧なカウンターだ)
英玲奈(終わったな)
ドギャッ
ツバサ「!!?」
『そしてカウンターが花陽の顔面に命中――――ッッ』 海未(いや…)
ダイヤ(違うッッ)
花陽「〜〜〜〜〜〜」ニヤリ…
あんじゅ(ツバサの攻撃が完全に形になる前に)
英玲奈(自分から顔面を拳に叩きつけたッッ!?)
ポキッ…
ツバサ「ッッ」クラ…
にこ(ここしかないッッ)
にこ「左いけェッッッッ」ガタッ
花陽「――」ブン…
ツバサ「ッ!!」
あんじゅ(カウンターの…)
英玲奈(カウンター……ッッ)
海未(殺(と)った!!!)ガッツポ !
ザバッ…
海未(なッ)
にこ(なッ…)
ダイヤ(なッ……)
曜(ありえない………)
聖良(あの距離―――――)
果南(あのタイミングで―――――)
ツバサ「――」シュララッ
躱しやがった!
真姫(しかも――――)
希(あの距離―――――)
絵里(あのタイミングで――――) ツバサ「――」ボシュッ…
カウンターまで……………………
愛(カウンターの…)
彼方(カウンターの……)
せつ菜(カウンター………ッッッ)
ゴチャッッ
ツバサ「!」
花陽「――」グラ…
花陽「―――」ニィ…
ツバサ「―――――ッッ」ゾクッ… ツバサ(嘘――――)
ボディを撃ち抜かれ、ゆっくりと倒れながらも花陽の目はツバサをしっかりと捉え―――
その右腕は二度目の攻撃を加えようと動き出して――――――
ツバサ(耐えられるワケがないッ絶対に不可能なハズッッ)
ツバサ(だって打たれる覚悟がなければ根性も何も――――――)
花陽(信じてました……………)
花陽(必ず躱してくれると)ブンッ…
ツバサ「!!」
ツバサ(この拳の形は――――)
ゴシャアアアッッ ツバサ「〜〜〜〜〜〜ッッ」ドッシャアアアアッッ
花陽「……………ッッ」ドチャッッッ
『ダ…』
『ダブルKO(ノックアウト)〜〜〜〜〜〜ッッ!!?』
ざわ ざわ ざわ
ツバサ「………ッ」ムズ…
花陽「………」モゾ…
『顔をあげました両者ッッともにまだ意識はあるようですッッ』
『試合はまだ終わりません!!』
ワアアアアアアアッッ
真姫「…………ッッ」
マネージャー「〜〜〜〜〜〜〜」ゴクリ 『それにしても今の一瞬ッッ何が起こったのか!?どんな攻防があったのか!?』
『不肖ながら私には全く理解できませんでしたッッッ』
ダイヤ「カウンターのカウンターのカウンターのカウンター…………ッッッッ」
ダイヤ「人間の領域を超えていますわ………ッッ」ダラダラ
曜「どっちも…ッ」
ツバサ「ハア………ハア………」
ツバサ(敵に攻撃を“当てられた”のは生まれて初めてね…………)
ツバサ(…最後の拳の形……………)
ツバサ(あれは………一体………)
花陽「……ハッ…………ハアッ……」
花陽(とうとう使用っちゃった……コイツをよおッッッ)
―
――
――― 花陽「えいッやあッ」シュッシュッ
自宅で正拳突きに励む花陽。
花陽「………フウ…」アセフキ
ス…
花陽「………」ジーッ
花陽(もう幾千万回繰り返してきたんだろう………………)
花陽(正拳突きの……………この拳………………)
花陽(な〜〜〜〜〜んか………………………………………)
花陽(………………違うんだよなァ…………………)シュン…
花陽「………」ハア…
花陽(ご飯炊こう………) ガサ…
花陽「あ〜〜〜〜〜〜ッッッ!!!」
虫「プ~ン」
花陽「せっかくのお米に………虫さんがたかって………」
花陽「酷いです…」グス…
虫「プ~ン」
花陽「やッ、やあッ」パタパタッ
花陽「どっかッ、行ってッ、くださいッッ」パッパッパッ
虫「プ~ン」
花陽「なんだァ?てめェ…」
花陽「ちぇりあッッ」ブンッ パチイッ
花陽「!」ハッ
花陽(な…………………)
花陽(なんて音………………)チラ…
虫「」
花陽(ナムアミダブツ…)
花陽(…でも………今の音が虫さんを叩き潰しちゃった音だっていうの…?)
花陽(いったいどんな拳で……………)ス…
!!
花陽(この形……) おにぎり………
花陽(愛と空気をいっぱいこめておにぎりを握る時の拳の形……!)
花陽(これです!!)ハッ
―――
――
―
花陽「………」スクッ…
『おっと先に立ち上がったのは花陽だァ――――』
花陽「いきますッッ」ダッ
ツバサ「……フフフ…」スク… ヘタッ
ツバサ「!!」
ツバサ「あれ………」
愛「バッサーが立てないッ!?」
彼方「花陽ちゃんのパンチは………本当に効くからね〜〜〜………」
花陽「えいやあッッ」
ゴチャッ
ツバサ「ッッ」
千歌「スゴい……………」
千歌「顔面を脳天に叩きつけたよ」 花陽「とりゃッとりゃあッッ」
グシャッ
ガガッ
ガチィッ
……Dancing,dancing! Non-stop my dancing…………
ツバサ(もう………………)
観客「おいおいッ」
観客「花陽が勝つぜェッ」
……Dancing,dancing! Non-stop my dancing…………
ツバサ(もう違う………)
花陽「ッ!」サアッ
ツバサ(もう踊り(ダンシング)じゃない)ギロッ プーアルじゃねえかッッッ
めちゃ遅くなってすみません
今後は多少ペース上がるはず… ザザッ
『おっとッッ!?』
花陽「……ハア……ハア…」
ツバサ「………」
『どうした!?花陽が突然後ろに下がって距離をとりましたッッ』
善子「なんか……ツバサさんの……」
ルビィ「空気が変わったような………ッ」
善ルビ「どういう…」チラッ…
善ルビ「!?」
ダイヤ「…………………」ガクガクブルブル 海未「………ッ」ゾワア
絵里「…………」プルプル…
穂乃果「ひゃあ〜〜〜………」
聖良「流石……ッッ」
果南「ハッハッハッハッハ」
曜「スゴすぎる………」
ツバサ「……………」スクッ…
グニャア…
ラブライブ!チャンピオンこそ、武器を持たぬ、もっとも恐るべき、生きた殺し屋なのです。
その両手が、くたびれはてて動かぬようになるまで、優に五十人は殺すことができるでしょう。
いや、百人近く片づけることができるかもしれませんよ。
矢澤こころ 著 『ザ・ダンス』より 『どう解釈したらいいのでしょうかッッ突然、ツバサの雰囲気が変化わって―――――』
『殺気!!とんでもない殺気を発していますッッッ』
ダイヤ「真剣を抜いたのですわ」
善子「真剣?」
ダイヤ「さっきまでツバサさんが抜いていたのは竹刀で…今は真剣を抜いているということです」
ツバサ「――」シュララッ
『踏み込んだツバサ――ッッ』
ガッ
!!
スパアッッ 花陽「………ッ」タラ…
善子「なッ…」
ルビィ「当たったァ所が切られてるッッ」
海未「拳(ボックス)であの斬れ味ですか……ッッ」
ツバサ「――」ガッ
シャアッ
花陽「〜〜〜〜〜〜〜〜」ボタタッ
あんじゅ「もう手がつけられないわねぇ………」
英玲奈「花陽が壊されるぞ」
花陽「………ケッ」ダラダラ…
花陽「真剣だ〜〜〜〜〜殺す気だ〜〜〜〜〜って大騒ぎしやがって」グルッ
ツバサ「!」 花陽「喧嘩なんてものはもともと相手ぶっ殺す気で」
花陽「やるもんだろうがッッ」ズチャ…
『なんだなんだなんだァ〜〜〜ッ』
『花陽がまた踵を返して………………』
凛「かよちん………」
花陽「質問ですッッッ」
花陽「タイマンてなァなんです??」
凛「…………ッ」
花陽「なんですッッ!!?」
凛「ど………ど……」
ことり「度胸と根性………かな…………」 花陽「その通りですッッッ」カッ
花陽「度胸と根性なんてカンタンだよね」
花陽「度胸と根性出せばいいんだからね」
花陽「雄雄雄雄雄雄雄(オオオオオオオ)ッ」ブンッ
『またも花陽が左腕を壁に――――――ッッ』
ベキッ バキッ ボキボキィッ
『本当に何を考える小泉花陽ォ―――――ッッッ』
『もうギプスはないぞ!!自分の腕が壊れるだけだァ―――――』
花陽「っと………」クルッ
花陽「手間ァ省いてあげましたよ」ニタア
花陽「こんなもんでどうです」ブシャアアアア 曜「…………ッッ」ゴクリ…
善子「おかしい…ッ」
善子「あの人頭おかしいよ……」ガタガタ
ツバサ「………ッ」
花陽「やっぱり甘ェな」ズチャ
花陽「ヒいてんじゃねェッ」バッ
ツバサ「!!」ギュッ
ビシャッ
ダイヤ(流血を飛ばして目をッッ)
花陽「オラアッ」ブンッ…
ダイヤ(拳は例のおにぎりの拳――――) ツバサ「――」ボッ
ガチイッ
ルビィ「嘘ッッ」
ダイヤ(あの盲目の状態から……)
ダイヤ(拳に拳を合わせたッッ!?)
ダイヤ(しかも……ッ)
ボキッ…
花陽「ッッ!」
愛「小指がブチ折られてる…ッ」
彼方「あのとんでもない花陽ちゃんの拳が〜〜〜!?」
英玲奈「いかに花陽の拳が強くても」
あんじゅ「指一本なら、当然ツバサの拳が勝つ」 ダイヤ(襲い掛かる鉄拳の小指だけを狙い打ったというのですか……)
ダイヤ(なんという技術(テクニック)……!!!)
ダイヤ(これで拳での決着はなくなりましたわッッッ)
花陽「……………ッッ」
海未(今、花陽の右手を襲っている激痛(いたみ)たるや…………)
ツバサ「…………ッ」パチクリ
ダイヤ「惜しいですね…花陽さん」
ダイヤ「いい闘士ですが…………流石にもう……」
にこ「ダイヤ」スッ…
ダイヤ「!」
にこ「どっちが勝つか賭けましょうか」
ダイヤ「ハハ」
ダイヤ「まさか」 花陽「………………」
カプッ
ダイヤ「!!」
ギウウウウウウ…
善子「折れた小指を……ッッ」
ルビィ「口で…ッ無理やり折り畳んで…ッ」
にこ「たしかに戦闘能力ではツバサでしょうね」
にこ「でも“海皇”に…アイドルにかける思いの強さとくれば」
にこ「この大会の出場者で花陽に勝る者なんて、私以外いるかどうか」
ギュチッ…ギュチッ…
ダイヤ「拳を作った……ッッ!?」 花陽「……………」グッ…
ダイヤ「ど………」
ダイヤ「どうしようというのですか…………あんな拳で……………」
花陽「でいやあッッ」ブンッ
ツバサ「………」ボシュッ…
あんじゅ(二回目…)
英玲奈(容赦ないな)
ガシイッ
花陽「〜〜〜〜〜〜」ベキバキッ 果南「今度は薬指がイッたね…」
にこ「花陽………」
花陽「………ッッ」
花陽「…………」
カプッ
ギュチッ…ギュチッ…
善ルビ「……………ッッ」ガチガチガチガチ
ダイヤ「こっこの……………」
ダイヤ「この小泉花陽という少女……………」ダラダラ
真の闘士(アイドル)!!! 花陽「ッッ」ブンッ…
ツバサ「――」ボッ
グワシイッ
花陽「!!」
バキボキィッッ
観客「親指がイカれた―――ッ」
観客「もうやめてくれ〜〜〜〜〜〜」
観客「たかがケンカじゃねえかッッ」
花陽「…………」カプッ
ギュチッ…ギュチッ… 花陽(まだ………)グ…
完全骨折 右小指1薬指1親指1左前腕4左上腕3左肋骨2下顎骨
不完全骨折 右中指1右前腕1上腕1左右大腿部各1
脳内出血及び両鼓膜破損 裂傷8打撲26
花陽(まだ………ッッ)ブンッ…
ツバサ(もう良い………)
ツバサ(もう良いわ花陽さん………)シュララッ
スカッ…
花陽「ッッ」ヨロ…
ツバサ(終わりに………)ボッ… ダイヤ(三度目のボディ)
ダイヤ(終わ―――)
グワキインッ
ツバサ「ッッ!!?」バキボキッ…
『なんだァ――――ッ!!?』
『今度はツバサの鉄拳が粉砕されたァ――――ッ!!』
花陽「――――」ドシャアッ
花陽(始まった………ばっかり………………)
ヒラッ
『!!!』 こと凛「えッ…」
英玲奈あんじゅ「ちょっと…」
真姫「………」グ…
マネージャー「……………」ダラダラ
『タオル投入〜〜〜〜〜〜ッッッ』
『両陣営から同時にタオルが投入されたァ――――!!』
花陽「…………………」ウツブセー
ツバサ「……ッ」スクッ
『これはどういうことになるのでしょうかッッ』
『この勝負の決着は………』
理事長「待ちなさいッッ」ザッ…
観客「理事長ッッ」
観客「理事長がでてきたぞッッ」 理事長「まずツバサさんに尋きます」
理事長「あなたのマネージャーはタオルを投入しましたが……………」
理事長「どうします……………?続行(つづ)けますか」
ツバサ「フフ、許してあげてください理事長。うちのマネージャーはちょっと天然だから………」
ツバサ「この試合をダンシングか何かと勘違いしてしまっているんです………………」
マネージャー「ツバサ………」
理事長「二度とステージに立てなくなるかもしれませんよ」
ツバサ「花陽さんは明日を捨てて向かってきているんです」
ツバサ「だったら私もそうするまで、それに…………」
ツバサ「花陽さんがμ's代表なら、私だってA-RISEを代表するNo brand girl(全身全霊少女)ですよ」ニコッ
理事長「…理解りました」コクリ 理事長「では次に花陽さん………」クルッ…
真姫「待ってッッ」ダッ
理事長「!」
ダイヤ「真姫さんが………」チラッ
ダイヤ「!」
真姫「花陽に聞くまでもありませんッッ」
真姫「私が判定しますッッ」
真姫「ドクターストップですッッ」
ざわ ざわ ざわ
真姫「……………」グ…
にこ「真姫ッ」ザッ… 真姫「にこちゃん………」
花陽「…………………」ジーッ…
にこ「アンタ……」
真姫「撤回はしないわよッッ」
真姫「このまま続行けたら花陽は確実に 死 ぬ!!!」
真姫「今生きていることが奇跡なのよッッ」
ムク…
真姫「もう勝負ありでしょッッ」
真姫「花陽は今ので完全に意識も飛んでるし………」
真姫「闘えるとか闘えないとかそういう次元の……」
にこ「………」カタポン
真姫「!」 にこ「ちょっと道開けてもらえる?」
ズチャ…
にこ「意識のない患者(クランケ)が通るわよ」
花陽「………………」ボォ〜…
真姫「〜〜〜〜〜〜ッッ」
理事長「………」コクリ
理事長「続行ッッ」
ことり「…真姫ちゃん、自分は平気で明日を捨ててるのにね」
凛「優しいんだよ……」
凛「……………」ギュッ し…ん…
ダイヤ「フフフ…見なさいな」
ダイヤ「凄いもの好きの観客の皆さんが声も出ませんわ……」
ツバサ「……………」ギュチッ…ギュチッ…
ルビィ「ツバサさんも…折れちゃった指を無理やり…………」
善子「もう……全然ついてけないわよ………ッッ」ハンナキ
曜「…………………………」
穂乃果「それにしても…」ウ~ン
穂乃果「なんで花陽ちゃんにボディを打ったらツバサさんの拳が…………」
海未「……………」 ―
――
―――
穂乃果と花陽のダイエットを指導した時……………
私は花陽にまず普段の食習慣を表にして提出して頂きましたが……………
海未「ヌアッッ!!?」
海未「これ、本当に一日の食事量なのですかッッ!?」
花陽「うう………ゴメンナサイ…………」
海未「いや、ごめんなさいというか………」
おにぎり………500個〜〜〜〜〜〜〜!!?
海未(これはカロリーにして……ええと………)デンタクタタタン
海未(10万キロカロリー……)ゾワア 海未(オリンピッククラスのアスリートすら、日に1万キロカロリー以上を摂ることは容易ではないといいます)
100000キロカロリー……
海未(もはやスポーツのレベルなどでは到底燃焼できるものではありませんッッ)
海未(というかこれではダイエットしなければというより……)
海未(寧ろ現状どうやってあの体型を維持できているのか……………)
海未「…………」ジトーッ
花陽「あの、海未ちゃん………?」
海未「!」ハッ
海未(まさかッッしかしそれしか考えられませんッッ)
海未(燃焼(もや)しているッ!?こうしている間にもッッ)
海未(全身の筋肉をフル稼働して、巨大化しようとする奥底なるものを)
海未(抑え、封じ、押し込め、圧し、締めつけているッッ!?) 海未(あのスペースシャトルが本体より遥かに巨大なタンクの燃料を、大気圏を越えるまでに全て燃焼しきるように)
海未(一瞬だって気を抜かず閉じ込め続けているのですッッッ)
―――
――
―
海未「あの花陽が仮に今…」
海未「筋肉を閉じ込めている扉を開いたなら……………」
海未「その大きさ(サイズ)はおそらく―――」
海未「立ちどころに皮膚をつき破り」
海未「私達を押し潰し――――」
海未「建物を破壊し――――」
海未「地上を突き破って天にまで達するでしょう」
穂乃果「イヤ…」
穂乃果「ないないそれはない」 絵里「それはともかくとして、要するに」
絵里「花陽はあの柔肌の下に鋼鉄(はがね)の筋肉を隠し持っているというわけね」
海未「そういうことです」
海未「花陽の内なる筋肉量は規格外中の規格外!」
海未「この大会参加者中、筋肉で花陽に匹敵する方がいるとすれば」
海未「おそらくは唯(ただ)一人………………」
果南「……………………」
海未「特に肉のつきやすいお腹回りとなればそれはもう………」
希「不死身みたいなタフネスも、ド根性だけのスピリチュアルじゃないってことかな?」
海未「…………」
海未「…だけではないですね………だけではないのですが……………」
海未「いかに筋肉があってもあれはあまりにも………」 花陽「………………………」
花陽「!」ハッ
ツバサ「お目覚めかしら?」
花陽「待ってて………くれたんですか…………」
ツバサ「別に待っていたワケじゃないわ」
ツバサ「ただ…ちょっと拳(ボックス)を造るのに手間取っちゃってね………」フフ…
あんじゅ「ツバサったら……」ウフフ
英玲奈「気持ちは痛いほど理解るがな」フッ
花陽「ありがとう、ございますッッ」グッ
ツバサ「じゃあ、早速始めましょうか」
ツバサ「おそらくは―――この惑星誕生以来の」
最強のブン殴り合い!! カッ
曜「――――――ッ」
ズガガガガガガガガガガ
ドドドドドドドドドドド
花陽「〜〜〜〜〜〜〜〜」ドドッ
ツバサ「――――――」ガキッ
観客「すッげェ〜〜〜〜〜〜〜」ガタッ
『これはどえらいことだッッッ』
『打ち合っていますッッ』
穂乃果「すっご〜〜〜い………ッッ」キラキラ
『綺羅ツバサの神の拳と』
『小泉花陽のおにぎりの拳が』
『真っ向から殴り合っている―――――ッッ』
ワアアアアアアアアアアアアアア ベキッ ガキッ ガコッ ゴッ ガガッ ガキッ
曜「なんで?」
曜「なんであんなことできるの………………?」
ダイヤ「………………」
ルビィ「………………」
曜「ワカるわけないよね…」
ドッ
ことり「ああッ」
『花陽がフッ飛んだ―――ッ』
ドッシャアアッッ
凛「かよちんッッ!!」 花陽「――ッ」スクッ
凛「もうやめてよッッ」
凛「かよちんッッもう終わろうッッッ」
グルンッ
ことり「オワッ」
花陽「凛ちゃん………」ダラダラ
凛「………………ッ」グスン
花陽「泣かないで…」 花陽「あんなヘナチョコさんに…………私が負けると思ってるの…………………」ニコッ…
凛「〜〜〜〜〜〜」エグヒグ
ことり(花陽ちゃん……………)
ことり(もう……………)
ツバサ「―――」ダッ…
花陽(ブッ倒すことは――――無理かもしれないッッ)
花陽(無理かもしれないけど)
花陽(私の大好きな―――尊敬する―――憧れの―――)
花陽(あのA-RISEのツバサさんを)
花陽(一回くらいッッ) 花陽(一回くらいはッッッ)ズ…
ツバサ「――」ブンッ…
花陽(ビックリさせたい!!)ゴチャッッッ
花陽「〜〜〜〜〜〜ッッ」
ツバサ「………ッッ」バキボキボキッ…
ダイヤ(また顔面で――ッ)
にこ「ツバサの左拳が砕けたッッ」
バッ
ツバサ「!!」
『アアッッ』 マネージャー「〜〜〜〜〜〜」ギュウッ
ツバサ「…………ッッ」
『A-RISEのマネージャーがツバサに抱きついたアアアッッ』
『これは深刻な反則だァ―――――ッッ』
審判「勝負ありッッ」
花陽「――ッ」クラ…
花陽「――――――」ドシャアアッ
『勝負あった〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ』
『生き残ったのはッッ』
凛「かよちんッッ」ビュバッ
『小泉花陽だアッ』 ワアッ
『こッ』
『これは奇跡だッッッ』
『なんということでしょうッッッ』
『小泉花陽がッッ』
『今世紀最高のスクールアイドル、綺羅ツバサを打ち破ったのですッッ』
オオオオオオオオオオオ
ツバサ「なぜ…………」
ツバサ「なぜ止め…………」
マネージャー「何度だって止めてやるッッ」
マネージャー「10回だってッ20回だってッ」
マネージャー「30回だって100回だってよッ」
ツバサ「………ッ」 マネージャー「ツバサッッッ」ガシッ
マネージャー「神はなんのためにこの拳をアナタに与えたのよッッ」
マネージャー「殺し合いに勝つためにかしらッッッ」
マネージャー「思い出すのよツバサッッ」
マネージャー「単なる力比べをアナタたちはスクールアイドルという芸術に昇華させたッッ」
マネージャー「アナタはその偉大なスポーツの史上No.1の女なのよ……ッッ」
ツバサ「……………」
Dancing,dancing! Non-stop my dancing…………
ツバサ「……………………………」
観客「ツバサもヤキが回ったな〜」ヒソヒソ
観客「相手が悪すぎたんだよッ」ヒソヒソ
ツバサ「…………」 観客「花陽優勝w」
観客「優勝w」
観客「優勝…w」
マネージャー「お前らッうるさいよッッッ」カッ
マネージャー「仕事してんだよこっちはッッッッ」
観客「〜〜〜〜〜〜ッッ」
英玲奈「フフ…」
あんじゅ「黙っちゃった」
マネージャー「ヘッ」
マネージャー「口ほどにもねェ………………」
ツバサ「………………」
ツバサ「……」クスリ
ツバサ「ファンにそんなこと言っちゃダメでしょ………」ヤレヤレ 『オメデトウ小泉花陽ッッッ』
『偉大なるアイドル小泉花陽!!!』
花陽「」キゼツチュウ
凛「かよちん、勝ったよッッ、かよちんが勝ったんだよッッ」
真姫「無茶するんだから……」
ザッ…
『仲間の肩を借りながら退場していく小泉花陽ッ』
『私の目から見るその姿は―――――』
『まるでキリストのように崇高ですッッ』
ズチャ…
真姫「!」
にこ「花陽………ッッ」 ハグウッ
凛「にこちゃん………」
にこ「いいステージだった……」
にこ「アイドルの鑑よ……」ギュッ…
・青龍側通路。
英玲奈「えッ」
英玲奈「帰るのかッ?」
あんじゅ「そうねぇ………名残り惜しくはあるんだけど……」
ツバサ「人生勝負を投げたら、撤退でしょう?」フフ…
ザッザッザ…
A-RISE、闘技場を去る………。 ・医務室。花陽が人工呼吸器をつけて寝かされている。隣で真姫が診察。周りでμ'sが固唾を飲んで見守っている。
真姫「……………」ス…
凛「真姫ちゃんッッ」
穂乃果「花陽ちゃんは………」
真姫「大丈夫…命に別状はないわ」
凛「良かった〜〜〜〜」ヘタッ…
真姫「ただ………」
真姫「あと三日は起きないわね」
にこ「三日!?」
真姫「さっきも言ったでしょ、今生きていることが奇跡なのよ」
真姫「数えきれない負傷に加えて、全身が疲労しきっている………」 絵里「…となると次の三回戦…」
希「花陽ちゃんは間に合わないかもしれんね」
真姫「かもしれないじゃなくて、絶対に間に合わないわ」
海未「そんな………」
穂乃果「せっかくあのツバサさんに勝ったのに………」
真姫「言ってもしかたがないでしょ」ハア
真姫「本当に明日を捨てて掴んだ勝利なんだから………」
理事長「事情はわかりました」スッ…
ことり「お母さんッッ」
理事長「リザーバーの出番ね……………」 ・静真高校の一室。一人の生徒と教師が生徒会長について話している。二人の目の前には部活動の優勝旗やトロフィーがズラリ。
教師「一体………誰が信じる?」
教師「全国1位、国体優勝………本校が誇る輝かしい部活動の実績のほぼ全てが」
教師「たった一人の天才によってなされたものなんて………………」
生徒「要領が良い―――なんて次元じゃないですよね」ハハ…
生徒「だって会長、どの競技もトレーニングをしたことがないんですよ?」
生徒「ただルールを知っているだけ」
生徒「早いハナシが己の持つ潜在能力だけで全競技の全試合を勝ち続けているんですから」
教師「つまり月さんはもしボクシングのルールを覚えたならボクシングの」
教師「ジュードーならジュードーのスモウレスリングならスモウレスリングの」
教師「どのジャンルで戦ってもこと戦いとなれば明日にでもグランド・チャンプになれるということね」
生徒「加うるに先生――――」
生徒「スクールアイドルなら今日にでもです」 ・闘技場。二回戦も前半戦が終わって休憩時間。一室で月が理事長と話している。
理事長「わかりました」
理事長「なんとか、用意をしておきますね」
月「すみません、ワガママを言って」
理事長「いえいえ、もっともな意見だと思います」
理事長「お客さんも、その方が納得するでしょうしね」
月「ありがとうございますッッ」ニコッ
月「ではまたッ」ガチャッ…
理事長(これからあの渡辺曜さんを相手にしようかというのに、この提案………)
理事長(なんという余裕………というより圧倒的な自信…………)
理事長(天才・渡辺の血筋……………)
理事長(血は争えない、ということですか………)
二回戦第四試合 花陽〇 ツバサ×
※花陽は昏睡状態でリタイア濃厚。三回戦進出はリザーバー・渡辺月か、あるいは…… ・玄武側入り口前。
希「えりちはウチの方に来てくれたんやね」
絵里「モチロン」
絵里「応援してるわよ、希」
希「嬉しいけど……にこっちは一人で寂しがってるんやない?」
希「凛ちゃんも真姫ちゃんも、今は花陽ちゃんについてるから………」
絵里「かもね、でもしょうがないわ」
絵里「にこには悪いけど、この戦いなら………」
ボイン
絵里「私は断然こっち側だもんね」ウインク 『二回戦も後半戦に突入ッ第五試合!!』
『東條希vs矢澤にこ!!!』
『この対戦にこめられた期待は実に想像を絶するものがあります!!!』
東條希 身長159cm B90cm
矢澤にこ 身長154cm B74cm
観客「矢澤ァ〜ッ貧乳根性見せたれ〜」
観客「希ィ〜〜ッ巨乳は勝つ!!!」
『両選手ともに一回戦、瞬く間に相手選手を秒殺ッ』
『無傷のまま二回戦進出したのであります』
『技量は互角でしょうかッッだとすればそこにあるのはもう』
『おっぱいの差だけだッッ』
審判「開始めいッッ」ゴワアアアンンン
『始まった―――ッッ』 ビュンッ
善子「!」
ルビィ「おっぱいターボだぁッ」
『さあ希はロケットスタートだァ―――ッッ』
希「――」スッ
善子(わしわしの破壊力はまさに一撃必殺ッッ)
善子(捕まったら終わるッッ)
にこ「………」
『にこは一歩も動けな―――いッッ』
『貧乳危うし――ッッ』
希「決めちゃうよッッ」バッ… ドロンッ
希「!?」
スカッ…
希(躱されたッいやそれより…)
希(消え………)
ガチイッ
希「ッッ!?」
にこ「………」
希(下………ッッ) ルビィ「顎をかちあげたッッ」
ダイヤ(上手い………)
ドシャアッッ
『希ダウ〜〜〜〜ンッッ』
希「………ッッ」ガバッ
花丸「復帰が早いずらッ」
希「って!」キョロキョロッ
希(またッ消え…………)
ガッ
希「!」 千歌「足をかけたッ」
希「ッ」グラ…
ドシャアッ
にこ「ていッッ」ガッ
希「―――ッ」バッ
カスッ
ダアンッ
希「〜〜〜〜〜」ヒヤ…
海未「倒れた喉元へかかと」
海未「ギリギリで希が躱したから良いものの……やはりにこは容赦ないですね」 希「フンッ」ガバッ
花丸「またずらッ」
ルビィ「仰向けの状態から手を使わず跳び起きたッ」
ダイヤ「おっぱいで勢いをつけているのですわ」
ダイヤ「腹筋(上体起こし)で腕を振るのと同じように」
希「にこっち……」
希「やるやんッ」ビュンッ
善子(やっぱり速いッッ)
にこ「当然でしょッ」バッ
希「!」
絵里(横っ飛び………) 希「ッッ」グル…
にこ「フンッ」グルンッ
梨子「背中に回り込んだッッ」
ダイヤ「直線のスピードでは希さんですが」
ダイヤ「敏捷性……小回りという意味ではにこさんが上ですわね」
善子「マリオカートでいえば希さんはクッパでにこさんがキノピオってことね………」
ダイヤ「その例えは良くわかりませんが………」ジトー
ダイヤ「おっぱいの有無がそのままお二人の特性を分けていると言えますね」
希「この……ッ」ブルンブルン
ダイヤ「おっぱいは前についています」
ダイヤ「すなわち前進方向に対しては推進力となりえますが」
ダイヤ「横の動きに対しては、文字通り重りにしかなりませんわ」 にこ「ハッ」ガッ
希「――――ッ」
『背中に強烈な肘(エルボー)〜〜〜〜〜ッッ』
希「ッッ」グルッ
『向き直った希ッッ』
希「!!」
希(また消え〜〜〜〜ッッ)
ダイヤ「希さんほどの巨乳は、見下ろす自分の足元の視界を遮ります」
ダイヤ「つまり死角ができる」 にこ「よっと」
ガッ
希「!」
ダイヤ「にこさんは隙あらば自分の身体をその死角に置いています」
ダイヤ「希さんからすれば一瞬でにこさんが消えたように見えるわけです」
希(くッ………)
ドシャアッ
ダイヤ「そして足元をすくえば乳の重みがあるぶん簡単に転がせ―――」
にこ「ハイいッ」ゲシッ
希「カハアッッ」
ダイヤ「背中を攻めればおっぱいの鎧も無力、と」
ダイヤ「大したものです」
ダイヤ「巨乳の弱点をしりつくしていますわあの無乳」 海未「おっぱいへの造詣の深さでは、にこに軍配が上がるようですね」
海未「風邪をひいて初めて健康のありがたさを知るように」
海未「得てして、持つ者より持たざる者の方が物を知っているものです」
穂乃果「なんか、涙ぐましいというか………」
絵里「ここまではにこが優勢ね」
絵里「でも、希の恐ろしい所はここからよ」
希「フンッッ」ガバッ
穂乃果「おお〜〜全然こたえてないッッ」
ことり「すごいスタミナだね」
海未(焼き肉、ですか) にこ「ま、流石にそう簡単には勝たせちゃくれないわよね」
にこ「想定内よ、想定内」
希「余裕やね、にこっち」
希「でも、そういう台詞はまだ早すぎるんと違う?」スッ…
にこ「!」
希は間合いを測るように開手のまま両手を前に出す。
ダイヤ「前羽の構えですわ」
善子「前羽の構え?」
梨子「空手道における型の一つね」
梨子「見た通り、鉄壁の防御態勢よ」 ザッ…
希が前羽の構えを維持したままゆっくりと歩みを進める。
ダイヤ「希さんの狙いは明らかですわね」
ダイヤ「あの鉄壁の構えに対して、下手に先に仕掛けるのは圧倒的に不利といえます」
ダイヤ「しかしあのまま間合いが詰まって互いの制空圏が触れれば、にこさんの野獣性は無意識に反応せざるを得ない――――」
梨子「誘い受けの形ですね」
希「フフフ…」ズチャ…
にこ「………」
にこ「全く」
希「!」
にこ「ノンビリしたものね……」ダラリ せつ菜「すごい……あんなに近寄られているのに………」
彼方「良い脱力っぷりだね〜〜〜」
『矢澤にこ、余裕の棒立ちッッ』
『希の前羽の構えにも全く弱みを見せない――――ッッ』
ダイヤ「見上げた度胸ですわね」
ダイヤ「頭で分かっていてもそうできることじゃありませんよ」
にこ「馬鹿にするんじゃないわよ」
にこ「白米を前にした花陽じゃあるまいし……そんな安い手に…………」
希「にこっち…それは……」
絵里「………」ニヤリ 希「悪手やん?」ビュンッ
にこ「!!」
ガシッ
『つ、捕まった――――ッッ』
ダイヤ(誘い受けじゃないッッ)
ダイヤ(前羽の構えの真の狙いは出来る限り近づいてそのまま即わしわしに移行するためでしたか…ッ)
希「わしわ………」グ…
ニギッ
希「!」 にこ「この瞬間だけは腕が止まるのよね………」
ダイヤ(手首を………)
にこ「とりゃあッッ」バッ
希「―――ッッ」
ドシャアッ
『わ…』
『わしわし敗れる――――ッッ』
『にこの薄っぺらい胸を確かに捉えた東條希ッッ』
『しかしにこはその状態からわしわしを許さず、手首を掴んで投げて希を転がしてしまいましたッッ』
ダイヤ「わしわしの一瞬の隙を突きましたね」
善子「そんなッあの技のどこに隙が………」 ダイヤ「こねる瞬間ですわ」
善子「こねる?」
ダイヤ「………善子さんアナタ…」ハア
ダイヤ「わしわしを喰らって敗れておきながら、何も理解っていませんのね」
善子「悪かったわねッ」
ダイヤ「希さんのわしわしはただ闇雲に乳を揉む技ではありませんのよ」
ダイヤ「だからこそ一撃必殺の破壊力を持つわけですが―――」
ダイヤ「順を追って説明しましょうか」
ダイヤ「まず両手を胸に被せる、ここまでは良いですね?」
梨子「実演してみるわね」ガシッ
善子「えッちょ…」 ダイヤ「重要なのは次です」
ダイヤ「掌のつけ根……掌底を使って、こう、胸を寄せるようにして挟み込む」
梨子「こういうことね……♡」わし…
善子「ッッ」トロ…
ダイヤ「そこから胸の反発と指を駆使して揉みしだくわけですが………まあそれは今は良いとして」
梨子「…………」わしわしわし
善子「あッあッあッ」ビクン
ダイヤ「掌底で挟み込むその一瞬」
ダイヤ「両端から胸を寄せるために力を入れる―――入れようとする一瞬」
ダイヤ「両手が完全に停止する」
ダイヤ「にこさんはそこを突いたのですわ」
梨子「善子ちゃん分かった?」
善子「あへぇ」グッタリ 希「……」ガバッ
希「にこっち………」
にこ「フンッ」
にこ「アンタのわしわしを一番喰らったのは誰だと………」
にこ「!?」
希「なんで……」ポロポロ…
千歌「えッ?」
ダイヤ「ほほう…」ニヤリ
希「なんでわしわしを………………克服してしまったんや………………」ポロポロ
にこ「は…ハア?」 絵里「なんだかんだで、にこは優しいのよね……」クスリ
ビュンッ
にこ「ッ!」
希「残念やん♡」ガシッ
にこ(タヌキがッッ)チッ
にこ(けど、何度やっても、わしわしは――――)パシッ
希「―――」ニイ…
にこ(違うッッ!わしわしじゃないッ)
希(今のウチの言葉――ちゃんと本音なんよ?)
希(この技の威力はわしわしMAXの更に上)
希(できれば使用いたくなかった――――――)ボッ 希はにこの乳をつかんだ自分の右手の上から、間髪入れずに左拳を強烈に叩きつける―――。
ゴッ…
にこ「――――――」
ダイヤ「古流殺法『乳底砕き』……………」
ダイヤ「おっぱいというものは童貞の殿方が考えられているよりはるかに固いもの………」
ダイヤ「その固さを利しておっぱいを強烈に打撃することによりおっぱいの底、すなわち乳底を破壊し――――――心肺を直接損傷たらしめる」
ダイヤ「普通、友人には使用えぬ技ですわ」
希「許してな、にこっち………」
にこ「…惜しかったわね………………」ガシッ
希「!」 ダイヤ(乳をつかみ返したッッ)
にこ「希ッ」ドッ
希「―――――ッッ」
ダイヤ(胸底砕き……返しッッ…………)
ドシャアアッ
希「」
にこ「とっくの昔に偽乳なのよ」ポロッ
審判「勝負ありッッッ」 ワアアアアアアアア
『矢澤にこ、なんとパッドを仕込んでいたアァァッッ!!』
ダイヤ「なるほど……ッッ」
ダイヤ「必殺の乳底砕きもあれでは威力半減ですわ」
『手元の資料にはバスト74cmとありますがッ………これは3cm程盛られているかッッ』
『しかし盛ってなお絶壁という奇跡!!!』
『完璧な擬態ですッッ神でも騙されますッッ』
にこ「やかましいわよッッ」
絵里「流石にこね」
二回戦第五試合―――にこ〇 希× ・白虎側入り口前。
ダイヤ「Aqoursは今年のラブライブの王者ですわ」
ダイヤ「そのリーダーたる貴方が新世代の代表と立ち合う」
ダイヤ「その意味を知りなさい」
千歌「………」
ダイヤ「一回戦………鞠莉さんが敗れた相手でもあります」
ダイヤ「Aqoursのメンバーが、一度ならず二度までも、キャリアの浅い、同じ相手に仮に遅れをとったなら」
ダイヤ「ラブライブ優勝の歴史などなんの意味も持たないということです」
ダイヤ「その時は―――――――」
善丸ビィ「………」ゴクリ
ダイヤ「Aqoursは解散しましょう」
梨子「…………ッッ」
曜「………………」 千歌「同感ですダイヤさん」クルッ
ザッ…
果南「へぇ………」
鞠莉「いい背中見せるね〜〜〜ッッ」
『白虎の方向』
『高海千歌!!!』
千歌「みんな」
8人「!」
千歌「任せといて」 ・青竜側入り口前。
かすみ「この試合、もしせつ菜先輩が負けたら、その時は………」
果林「私達、虹ヶ咲スクールアイドル同好会は………」
歩夢「全滅……………」
愛「お客さんに“ゲンメツ”されちゃうね〜〜〜」
ズーン…
愛「今のは愛さん的にもイマイチッ」ビシッ
彼方(タフだな〜〜〜愛ちゃんは……………)ファアア
せつ菜「皆さん……私は自分の未熟を恥じます」
『青竜の方角ッッ』
『優木せつ菜!!!』
せつ菜「そんな局面に立ってしまった自分に」
せつ菜「幸福を感じているのですから」 『二回戦第六試合!!高海千歌vs優木せつ菜ッッ』
『第五試合に続いて、これも大きな意味を持つ試合です!!』
『高海千歌!押しも押されもしないAqoursのリーダーですッッ』
『一回戦は訳あって激情の気がありましたが、今はほのかに闘志を纏った極めて穏やかな表情です』
『相手のせつ菜はグループの先輩、小原鞠莉の仇でもありますッ』
『リーダーとして、是が非でも仇を討ちたいッッ否ッ討たなければならないッッッ』
『その優木せつ菜!!一回戦は鬼のような強さをみせましたッッ』
『虹ヶ咲の生き残りは早くも自分ただ一人!!!ここで消えるわけにはいきません!!』
審判「両者下がってッッ」
千歌「っしゃあッッ」ザッザッ
せつ菜「…………………」スタスタ
審判「開始めいッッ」ゴワアアンンン
『さあ負けられない闘いだ――――ッッ』 千歌「ッッ」ダッ
グルングルングルンッ
海未「いきなりですか…」
穂乃果「ロンダートッッ」
果南(あの遊び好きが遊ばない気だね)
ダイヤ(せつ菜さんにしてみれば最悪の展開でしょうね)
ダイヤ(あのロンダートバク転は普通格闘技が想定していない真上からの攻撃になります)
ダイヤ(回転のエネルギーと合わせて、受けもカウンターもとれない無敵の攻撃技ですわ)
千歌(最速最短で――――)
千歌(決着だッッ) せつ菜「……」
せつ菜「…………」クスリ…
ダイヤ「!!」
クルッ…
穂乃果「あれってッッ」
せつ菜「――――」ギュルルンッ
海未「スピンッいや――――」
ダイヤ(回転式の消力―――――ッッ)
カッ 果南「!」
ふわ…
千歌「ってッッ」ズシンッ
梨子(千歌ちゃんのバク転が――――)
曜(相殺されたッッ)
せつ菜「…………」ザッ…
果南「千歌ッ背後ろォッッ!!」
千歌「ッッ!」サア…
千歌「だおッッ」ブンッ… せつ菜「フンッ」
ドンッ
千歌「―――――」
『!!!』
ドシャアアッ
『たッ』
『高海千歌敗れたりイイイイ』
千歌「」
『Aqours敗れたりイイイイ』
審判「勝負ありッッ」 『Aqoursが敗れたァァァァァァァァ』
『恐るべきは中国拳法ォォォォ』
絵里(こ……ッ)
真姫(これほどの……ッ)
海未(これほどのものですか中国拳法ォッ!!!)
千歌「ガハッ」
『Aqoursのリーダーが喫したよもやの返り討ちッッ』
『これほどの差を誰が予測し得ましょうッッ』
千歌「………」ヨロッ…
ヒデコ「勝負ありです高海選手ッッ」
ミカ「高海選手ッッ」 せつ菜「ラブライブ優勝ッアキバドームでの演武成功ッッ」
せつ菜「数えあげればキリがない―――スクールアイドルAqoursの残した偉大な実績と努力は尊敬します」
せつ菜「しかしながら高海千歌さん」
せつ菜「アナタ方の要る場所は必ず―――――」
せつ菜「我々が二千日以内に通過する場所ですッッッ!!!」
果南「………………」
曜「……………ッッ」
ダイヤ「〜〜〜〜〜〜ッッッ」
にこ「大きく出たわね」ボソ…
千歌「―――――――――――」
千歌「……………」ザウッ
千歌「」
『完全決ッちゃ〜〜〜〜〜く!!!』
二回戦第六試合 せつ菜〇 千歌× 花丸「ち……千歌ちゃんが…………」
ルビィ「負けちゃったぁ…………」
善子「………ってことは………」
Aqoursは………解散ンンン!?!?!?
ルビィ「そんなぁ……」
善子「…………ッ」ブルブルブルブル…
花丸「よ…善子ちゃん、震えす…」
善子「ヨハネッッッ!!!」
ルビ丸「!!!」 善子「ヨハネ、ヨハネ、ヨハネ、ヨハネ……ッッ」ブルブル…
ルビィ「これって………」
花丸「まずいずら…………」
善子「―――――」ピタッ
ルビィ「ヨハネの……ッッ」
花丸「ご帰還ずら」
ヨハネ「気をつけい!!!」ビリビリビリビリ
ルビ丸「」ビシィッ
ヨハネ「ここは…………もしかして地上?」
ヨハネ「ということは、貴方達は下劣で下等な人間ということですか?」 花丸(堕天使ヨハネ……善子ちゃんの中にいるもう一つの人格)
ルビィ(ヨハネちゃんはとっても好戦的な性格で……しかもその戦力は…)
ヨハネ「!」
ヨハネ「ライタイ祭トーナメント………」
“内浦最強の生物”に匹敵する!!!
ヨハネ「なんです?これは」
ヨハネ「この堕天使ヨハネを抜きで地上最強のスクールアイドルを決めようというのですか?」
ルビィ「いや……えっと…………」
ヨハネ「堕天使を欺こうとする不心得者……」バオッ
『!!』
タンッ
『な、なんだッッ!?津島善子選手が突然闘技場に降り立ちましたッッ』
ヨハネ「土へ還りなさいッッッ」 ざわ ざわ ざわ
ヨハネ「愚かなる人間の皆さんに告げます」
ヨハネ「現在勝ち残っている十人、雁首揃えてここへ集めなさい」
ヨハネ「本当の聖戦(たたかい)というものを見せて差し上げましょう」
『こッこれは……津島善子、いや、堕天使ヨハネからとんでもない提案ですッッ』
『生き残りの猛者たちを、たった一人で相手にしようというのですッッ』
『なんという身の程知らずでしょうかッッ』
ダイヤ(そうとも言い切れませんわ)
ダイヤ(ヨハネさんは我が黒澤流の環境利用闘法を免許皆伝した“ミス戦争”と呼ばれる女……核をもってしても殺せはしません)
花丸(十人に勝てるかはともかく、実際やったら一人二人は殺されてもおかしくないずら)
ルビィ(どうしよう……このままじゃ大会がめちゃくちゃになっちゃう………)
ダイヤ「…………」スッ… ザッザッザッ…
梨子「勝利者の皆さんを出すまでもないわ」
歩夢「ここは我々にお任せください」
無法者のヨハネを抑えようと一部の敗退者が闘技場に集う。
果林、エマ、歩夢、愛、しずく、璃奈、梨子、ダイヤの8人。
希「9人や、ウチも入れて」ザッ…
ヨハネ「これはこれは負けライラプスの皆さん…ハネッ返ったものですね」
ヨハネ「良いでしょう。皆さんまとめて……」
ヨハネ「十秒で倒してのけましょうッッ」ギランッ オーガとガイアの合わせ技か
ハハッファンタスティックな…… これ相当刃牙とラブライブ好きじゃないと書けんぞ
期待 ヨハネ「――」ダシュッ
歩夢(速―――――)
ボゴォ 1秒00
歩夢「」ドシャアアアッ 1秒80
愛「ッッ」ブンッ 2秒50
ヨハネ「フンッ」バッ
愛のパンチにヨハネが頭突きで合わせる。 2秒70
グシャッ
愛「いだだ〜〜〜〜ッッ」
宮下愛、自称世界一の拳、破壊す―――― 3秒50 フッ…
グシャンッ
ヨハネが愛の股下を蹴り上げる。 3秒60
愛「〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ」
地球一のタフギャル舞う――― 4秒10
ヨハネ「―――」ドドドド
クチュッ
ヨハネが梨子の股下に手を突っ込む。 5秒10
ヨハネ「ほら」 5秒30
ヨハネ「あなたの大好きなレズバトルよ」 6秒10 梨子「ッッ」
観客「梨子とレズバトルやる気だッッッ」
梨子「いりゃアアァアッ」モミ…
梨子、ヨハネの胸を揉む。 8秒00
梨子「!!」ビクンッ 8秒10
プシャアアアッ
観客「梨子がッもうイッてるッッッ」 9秒50
梨子「あへ…」
パシッ
梨子「!?」 ヨハネ「し〜〜〜〜〜……」
ヨハネ、下から梨子の膝を抱えて恥ずかし固め。 11秒30
観客「プ〜〜〜〜〜〜」
観客「オシッコポーズッッ」
観客「ヒッデェ」
ヨハネ「精進しなさい」 16秒00
グワンッ
ヨハネ、梨子を壁に向かって超速で投げつける。 16秒10
ダァァアンッ
梨子「ッッ」
梨子(これ、最高…♡)
梨子(クセになっちゃいそ………)ガクンッ 16秒13 しずく「ッッ」ザッ
観客「しずくがいったァァッ」 18秒30
ドシイッ 18秒50
しずく「!!!」
ピタッ… 19秒50
観客「止まったッッ」
観客「トリケラトプスのブチかましを止めたッッッ」21秒00
ヨハネ「巨獣ベヒモスに比較べれば」グイッ 23秒00
しずく「〜〜〜〜ッッ」
ヨハネ「軽いッッ」ザザザザザー・・・ 23秒80
観客「真っ向から押し返したァ―――ッ」 メキッ
しずく「」ドシャアアッ 26秒00
エマ「くッ」ビュンッ 26秒80
ヨハネ「――」タンッ
ふわ…
エマ(跳んで……ッ)
ヨハネ「堕天ッッ」グワシイッ
ヨハネ、エマの頭上に着地。 28秒00
エマ「」ドシャアアアッ 30秒00 ヨハネ「――」ガシッ 31秒00
ビリビリィッ
璃奈「〜〜〜〜〜〜ッッ」
天王寺璃奈、日に二度目の顔晒し。 31秒60
璃奈「………」ガクンッ 31秒80
バッ
果林「ッッ!」プルンッ
朝香果林、日に二度目の乳晒し。 33秒00
果林「」ドシャアアッ 33秒20 35秒経過。ヨハネの他に立っているのはもう一人だけ。
ヨハネ「待たせましたね希さん」
ヨハネ「アナタとヤリたかった………………」ズチャ…
希「………ッッ」ダラダラ
ヨハネ「こんな食い残しみたいな連中を何人喰らっても腹の足しにもなりませんがアナタは別です」
ヨハネ「我がもう一つの人格、善子の仇――――――」
希「〜〜〜〜〜ッッ」ズサ…
ヨハネ「窮鼠猫を噛む……か」
ズチャッ…
ヨハネ「!」
ヨハネ「だッ」ドヒュッ
カスッ
背後に気配を感じ、ヨハネは強烈な裏拳を放つ。が、ギリギリで躱された。 ぬ…
月「良い子のはずの善子ちゃんがどうかしちゃったのかは知らないけど」
月「とにかく君の身体は試合で傷ついている」
月「この場は僕に任せてもらいたい」
ヨハネ「〜〜〜〜〜ッッ」イララァ
???「こらこら僕っ娘さん」
月「!」
今度はその月の後ろに人影。
海未「抜けがけはいけませんね」 ズラッ…
見ると、先程のヨハネの希望どうりに現時点での生き残り達がそろい踏み。
海未「新参の貴方にはワカらないでしょうが」
海未「およそスクールアイドルに生きる者にとって堕天使ヨハネの名は最大級のブランドなんですよ」
曜「ここにいる全員が―――対ヨハネちゃん用スペシャル・ヨーソローを使う日を夢見ていたんだよ」
曜「月ちゃんだけにオイシイ思いはさせられないよ」
ヨハネ「…………ッッ」ギリッ
ヨハネ「この堕天使ヨハネを前によくもそこまでほざけたもの……」
ヨハネ「愚か者どもがッ皆殺しにしてあげましょうッッッ」ダッ…
ドォンッ
! ヨハネ「ッッッ」クラ…
聖良「じ……ッッ銃ゥ…!?」
にこ「撃ったッッ」
突然の銃声。よろめくヨハネ。全員が銃声の方を振り返るとそこには――――
ダイヤ「………」ジュウカマエー
果南(ダイヤッッ)
海未(いつの間に消えたかと思えば………)
ヨハネ(予測もしなかったわ―――――!!!)
ヨハネ(こんな場所で銃とは……………………ッッッッ)バシュッ…
ダイヤ「……」スッ… ドォンッ
ヨハネ「カハ……ッ」ヨロ…
ダイヤ「ヨハネさんンンンッッ」バッ
ちゅどッ
真姫「ちょッ…」
絵里(煙幕ッッ!!)ブルッ
パシイッ
ギュッ ギュ…
ヨハネ「なッやめ……ッ」
煙幕の中、ヨハネの呻き声が響く。数十秒後、煙幕が晴れると―――― ヨハネ「……………ッッ」ギュウウウウッ
ダイヤ「武芸百般」
ダイヤ「縛法ですわ」
ダイヤがベルトで、ヨハネを後ろ手で縛りあげている。
ヨハネ「…くッ…………」
ヨハネ「」ガクンッ
曜「ヨハネちゃんッ」
ダイヤ「心配無用、ただ眠っているだけですわ」
ダイヤ「麻酔銃を使用わせて頂きました」
真姫「…なんで、そんな物を……」 ダイヤ「このライタイ祭中に、目の前の闘争に呼応して、ヨハネさんが堕天することは十分に予見できました」
ダイヤ「彼女の制圧は私達Aqoursの責任です」
ダイヤ「万全の対策―――たとえシロナガス鯨が乱入しても仕留められるだけの準備をしておりました」
ダイヤ「私の他にも腕っこきの狩人(ハンター)を何人か手配しておりましたが」
ダイヤ「幸い、私一人でこと足りましたわね」
ヨハネ「」グー…
ダイヤ「それにしても見事な暴れっぷりでしたが――――――」
ダイヤ「皆さん、私の“弟子”がご迷惑をおかけしましたわ」ペコリ 聖良(……これが黒澤ダイヤの本領…………)
絵里「フフフフフ」
海未「流石ですね……」
にこ(なんでもありなら本当に最強――――)
ズル…
ダイヤ「!」
ベルトを使用ってしまったことで、ダイヤのスカートが下にずり落ちた。
黒澤ダイヤ、日に一度目のパンツ晒し。
ダイヤ「えほ―――!」カアア…
にこ(……でもないか……) ・数分後、選手控室
善子「申し訳なァいッッ」ペコリ
ダイヤ「善子さんに責任はありません、が―――」
ダイヤ「虹ヶ咲の皆さんには後で謝っておくのですよ」
善子「はぁい………」ショボーン
ルビィ「……それで、あの、………」
ルビィ「Aqours、解散っていうのは…………」
千歌「!」
九人「………………」
ズーン… ダイヤ「………先程は」
ダイヤ「つい出すぎたことを言ってしまいましたが」
ダイヤ「それを決定めるのはリーダーの千歌さんですわ」チラッ…
千歌「……………」
梨子「千歌ちゃん………」
曜「やめる?」
千歌「………」
千歌「……………」
千歌「…………………じゃん」
果南「!」
千歌「決まってんじゃん決まってんじゃん決まってんじゃんッッ」ジダンダ ダイヤ「そうですわね」
ダイヤ「例えばリーダーの敗北がすなわちAqoursの敗北になるのか……………」
ダイヤ「虹ヶ咲に敗北すればAqoursはラブライブ王者の資格を失うのか………………」
鞠莉「…………」ニヤリ
ダイヤ「などと問う以前に――――――」
千歌「フツー取っとくでしょ♡」
千歌「こんなキチョーなもん!」ニカアッ
善子「――――」る…
千歌「Aqoursは残るッッ!!!」
ルビィ「…………そうだよね……」
ルビィ「それがみんなの答えなんだもんッッ」ニッコリ 『堕天使ヨハネという超ウルトラど級のハリケーンが去り』
『二回戦も最終Dブロックに突入、第七試合ですッッ』
『玄武の方角ッッ』
『μ's一の武闘派!!武道の達人ッッ園田海未!!!』
『青竜の方角ッッ』
『μ's一の知性に、ステロイドによる筋肉増強で鬼に金棒ッッ』
『明日を捨てた怪物、西木野真姫!!!』
ワアアアアアアアアアア
『真姫は一回戦で、あのダイヤを一方的に蹂躙していますッッ』
ダイヤ「これは………ッ」
ダイヤ「二回戦で当たるのがもったいないぐらいの組み合わせですわね」 千歌「でも確かこの二人は、こないだ内浦でも闘り合ってるんだよね?」
曜「うん、その時は海未ちゃんが勝ってるはず」
曜「ついでに言うと、私はこないだ真姫ちゃんにはギリギリ勝てたけど、海未ちゃんにはボロ負けだったんだよね」
ダイヤ「しかし、だからと言って一概に海未さんが有利とは言えませんわ」
ダイヤ「なんでもありの実戦と素手の試合形式ではまるで勝手が違います」
鞠莉「ダイヤが言うと説得力あるゥ」
ダイヤ「とりわけあの二人の場合、海未さんが武器術にも明るいのに対して」
ダイヤ「真姫さんはほぼ素手専門で、事前のステロイドの服用を前提としています」
ダイヤ「すなわち、いつ始まるか分からない日常の中の実戦より、このような試合形式の方が高いパフォーマンスを発揮できるタイプでしょう」
果南「前回は海未さんの、今回は真姫さんの得意分野ってことだね」 審判「両者下がってッッ」
海未「………」シャランッ
真姫「………」クルクル
穂乃果絵里「私の相手はどっちにな……」
穂乃果絵里「!」
穂乃果絵里「………………」カオミアワセ
穂乃果絵里「プッ」
審判「開始めいッッ」ゴワアアアアンンンン
海未「……」ササッ
『園田海未は護身(まも)りに徹した待ちの構え』
真姫「……」ズチャ…
『一方、西木野真姫――――意に介さず悠々と間合いを詰めます』 真姫「フンッッ」バオッ…
『いった――ッ』
海未「――」カッ
チャチャチャチャチャチャチャ
『オオオオッ』
ダイヤ「1秒間に12連攻と言われる飛燕の連撃ッ」
ダイヤ「武神・園田海未さん…………正統少林寺拳法まで修めておられましたか……ッ」
真姫「………ッ」 海未「ハッ」ダァンッ
『跳んだッッ』
ザシュッ
ダイヤ「跳び足刀ッ」
ダイヤ「首の後ろを正確に薙いでいますね」
タンッ
真姫「………」クラ…
海未「ハイッッ」ドドドドッ
『四段蹴りィ―――――』
ダイヤ「下から脛、腿、腹、顏へ四連発」
ダイヤ「凄まじい早業…」 海未「まだですッ」
ボスッ
真姫「――――――」
ダイヤ「秘伝・仏骨――」
ダイヤ「鍛えようのない喉仏を親指で直撃」
ダイヤ「これは効きますわよ………」
真姫「――――ハアッ」ガクッ…
ドシャアアッ
ダイヤ「フゥ…」
ダイヤ「もっと長引くかと思いましたが案外早かったですわね………」 審判「勝負あ…」
海未「立ちなさい真姫」
ダイヤ「!」
海未「貴方がダメージを受けていないことは技をかけた私がよくわかっています…………」
真姫「………」ニヤリ
バッ
ダイヤ「!!!」
千歌「なッ………なんともないの、あの人…ッッッッ」
真姫「流石に鋭いわね………」スクッ 真姫「穂乃果だったら、今ので一杯食わせられると思ったんだけど」
海未「穂乃果と一緒にされるとは……馬鹿にされたものですね」
絵里「だって♡」
穂乃果「ム〜〜〜〜〜ッ」プクーッ
真姫「確かにそれもそう…………」
真姫「ねッッ」ビュンッ
『再び真姫がしかける――ッ』
千歌「さっきより速いッッ」
果南「尻上がりに運動能力を上げてる」
果南「ステロイドの効果―――ピークはまだ先ってことだね」 真姫「フンッ…」バオッ
真姫は左で打ち下ろし気味にパンチを繰り出す。が―――
ガキィッ
真姫「!」ピタッ…
善子「あれは……ッッ」
曜「蹴り足鋏殺しッッ」
ダイヤ「蹴り足の膝と振り下ろす肘で相手の腕を挟み止める超高等技術―――」
ダイヤ「あの真姫さん相手にキマりますかフツー………ッ」アセタラ…
真姫(いいわッ)スッ
海未「!」 真姫(本命はこっちッッ)
真姫「しィッッ」シュッ…
曜「脳天に手刀ッ」
曜(入るッッ)
穂乃果「真姫ちゃんの得意技だッッ」
絵里「凛によくやってる奴ね…」
ピタアッ
曜「えッ…」
『なッ』
『なにが起こったァ―――ッ』
『真姫が繰り出した起死回生の手刀が直撃直前でストップッッッ』 ダイヤ「じッ実戦でアレを………ッ」サア…
千歌「チョット、なにを使ってるのッ」
『いったい何が起こったのか』
『達人・園田の闘いは難しすぎる――――ッッ』
めき…
!!
『あ……ッ』
『足です』
海未は左足の親指で真姫の右足を上から押さえつけている。
『足の指一本で』
『真姫の動きを封じているゥ』 真姫「……………ッッ」ダラダラ
海未「ほいッ」パッ
海未が自ら足を上げて真姫を解放する。
真姫「ッッ」ガッ
ドヒュッ
千歌(ものすごいローキックだッッ)
海未「いけませんね真姫―――」パシッ
千歌「嘘」
海未「戦闘中に片足になるのは愚策だとあの時も言ったはずですよ」ヒョイッ
真姫「〜〜〜〜」ドシャアアッ 『強い強い強〜〜〜〜い!!!』
『底が見えませんッッ園田海未ィ〜〜〜〜〜〜〜ッッ』
曜「古流武術対策……」
曜「本気で考えなきゃ」
ダイヤ「完全な武ですわ」
ダイヤ「あの園田海未さん、優勝持っていってしまいますわよ」
海未「まあ、こんなところでしょうかね」フフフ
海未「いかに『素手の試合』でも、“今の状態”の真姫に遅れはとりません」
真姫「…………」ムク…
海未「とはいえ、真姫にもまだ十分勝機はありますよ」ニコッ
海未「そろそろですか?例の“アレ”は………」 ドクン…
真姫「……余裕ね……でもその余裕が命取りよ」
真姫「あと1分もすれば必ず後悔する」
真姫「私が“今の状態”のうちに終わらせなかったことを………」
海未「………」
海未「あと1分もかかるのですか………少し長…」
真姫「イヤ」
真姫「もう手遅れ」
ドクンッッッッ
海未「!」
真姫「“1分”は貴女が敗北するまでの時間…………」
真姫「一応、長めに見積もらせてもらったケドね………………」 海未「来ましたか……」フ…
ぐ…
海未「ん?」
ぐぐ……
海未「は?え?」
善子「なッ………」
曜「何コレ………ッ」
『なんだァ――――ッッ!!?』
ぐぐぐ………
海未「ちょ…ッちょっと………ッッ」 真姫「1分も待たずに……既に後悔してるのかしら………?」ぐぐ…
真姫「でももう遅い………」
真姫「時はまきもどせないわよ……………」ニヤリ
海未「こんなの知らないですよッッ」
『真姫の身長が――――――』
真姫「海未が内浦で敗北を知ってから無弓を習得したように」
真姫「私もあの敗北から新たな武器を手に入れたのよ」
真姫「ま、わたしの場合は新技じゃなくて新薬なんだけど………」
千歌「でっかァ〜〜〜〜〜ッッ!」
『大きくなってしまったァ――――――ッッ』
真姫「2メートル43センチ201キロ」
真姫「運動能力をキープできるギリギリのサイズよ」 ダイヤ「こ………骨延長ドラッグッッ!?」
善子「骨延長?」
ダイヤ「骨延長手術というものは聞いたことがあるでしょう」
ダイヤ「体内に手術でボルトを仕込み、ボルトの回転によって半強制的に骨ごと身長を伸ばすアレです」
花丸「同じことが、薬でできるずらか?」
ダイヤ「いえ………そもそも骨延長による伸長は速くても1日1ミリが限界」
ダイヤ「この速度での成長はケタ違いもケタ違いですわ」
ダイヤ「世界でも空前でしょう」
ダイヤ「奇跡としか言いようがありません」
ルビィ「でも、急にあんなに大きくなると、スピードは落ちちゃうんじゃ………」 海未「そんな…ッ馬鹿な………ッ」
真姫「フフフ…さっきまでの余裕はどこにいったのかしら?」
真姫「想定外の事態に化けの皮のクールが剥がれて大慌て………絵里みたいね」
海未「なッ絵里と一緒にしないでくださいッッ心外ですッッ」
穂乃果「絵里ちゃん言われてるよ〜」ニヤニヤ
絵里「認められないわァ」
真姫「確かにそれもそう…………」
真姫「ねッッ」ビュバオッ
海未「はッ!?」
ルビィ(速い…ッ)
真姫「フンッ」ブンッ
カッ ブワッッッ
真姫「!」
超速で放たれた真姫の鉄拳―――しかし吹っ飛ばされたのは真姫の方だった。
ドシャアアアッ
『あ……合気ですッッッ』
『古流柔術の奥義合気がこのライタイ祭究極ルールで炸裂したァァッ』
海未「………ッ」アセタラ…
海未(運動能力をキープどころではありません……ッ)
海未(身長に正比例するかのように伸ばしてさえいるではないですかッッ)
真姫(合気……とうとう使用ったわね………)ムクッ…
海未(マズい…ッマズいです………ッッ)
海未(この上真姫に“あの状態”になられるのは非常にマズい………ッッッ) 海未「……フウー…………ッッ」
海未「…」ギロッ
スッ…
ことり「わ〜…」
ダイヤ「無弓ッッ」
ダイヤ「アラミドのリボンを切断するあれを人間に使用うつもりですかッ!!?」
曜「いや…でも…………ッ」ゴクリ
ピシイッ
海未「!」
真姫「来た」ニヤリ
マッキシング!!! >>311
勇次郎がまだスナイパーでなんとかなった時代懐かしい 今日と明日も更新無理なので明後日から再開したいと思います
申し訳ない 『こッこれは………一体ッ…………!?』
『真姫の身体………増強された筋肉が……ッ急激に引き絞られて………………ッッ』
穂乃果「な………ッ」
絵里「何よアレ………ッッ」
にこ「マッキシング」
ことり「マッキシング………?」
にこ「薬物と肉体とのせめぎ合いの果て、滅びゆく肉体―――」
にこ「でも、幾千幾万、夥しい犠牲の向こうに―――」
にこ「例外が存在する!!!」
にこ「日に30時間の鍛錬という矛盾!!」
にこ「この矛盾をひたすら鍛錬の密度を高めることで補い続ける――――」
にこ「オーバーワークの弊害が常識化した近代スポーツには暴挙とも言えるこの信仰」
にこ「信仰が―――暴挙を生み―――暴挙のみが――――」
にこ「奇跡を生む!!!」 ピシイッ…
にこ「丹念に造り上げられた巨大な筋肉は、贅肉と断ぜられ淘汰され―――切り捨てられ―――」
にこ「筋と見紛うほどに細く引き絞られた高密度な肉体はまさに――――」
Diamond princess style!!!
ダイヤ「………ッッ」
希「詳しいね、にこっち」
希「それになんか熱くなっちゃって…」ジトー
にこ「…………フンッ」
にこ「悪い?」 真姫「………」ピシイッ
千歌(ムリだ……ッ)
千歌(いくら海未さんでも……あんな化け物………ッッ)
海未「フフフ…」
海未(尼さんでもやっていれば……………ここで引き返しもできるんですがね)
海未(これがスクールアイドルの辛いところです)ザッ…
ダイヤ(いきますか海未さん…)
真姫「――」ビュバオッ
海未「!!」 曜(は…迅いッ)
千歌(接近(ちか)づくのが見えないッッ)
真姫「ハアッッ」グワンッ
海未「――」キラ…
ダイヤ「!」
ダイヤ(無弓――本当に――――)
海未「御免ッッ」
真姫「!」
斬ッ… 海未「ぬう!!?」
海未の手刀――いや、無弓は確かに真姫の肩口に振り下ろされた。が―――
ピタ…
ダイヤ「斬れ…ッない………ッッ!?」
真姫「…………ッ」ギリ…
果南「筋肉で止めてる………」
果南「ダイヤモンドの肉体(からだ)―――ダイヤと違ってホンモノみたいだね……」
海未「天晴れです肉の宮……ッ」
真姫「フンッッ」ブンッ 海未の右手を筋肉で受け止めたまま、真姫が右腕を大振りする。
ブワアァッッッ
真姫「!」
真姫の身体が真後ろに吹っ飛ぶ。
果南(合気!!)
ダイヤ(つくづく…………達人…………)
真姫「ッッ」ぐるんっ
グワシッ
海未「ッッッ」
梨子「えッ…」
善子「真後ろに飛ばされながら…」
花丸「顔面に廻し蹴りッッ」
曜「当てたね…」
千歌「人間じゃない……ッッ」 海未「カハッ」ズサアッッッ
『海未ダウ〜〜〜〜ンッッ』
真姫「――」ドシャアアアッッ
『そして真姫も――――』
真姫「――ッ」ビュバオッッ
『!!!』
『イヤッ…』
希(復帰が早すぎるッッ)
にこ(海未はまだ座ったままね) 真姫「ハアッッ」バオッ
『飛びかかった――――ッッ』
海未「ハイイッッ」パッ…
バオッ
真姫「――ッ」ドシャアッ
『!?』
『何が起こったァ』
真姫「――」ガバッ
グルッ…
『矢継ぎ早に飛びかかる真姫が』
真姫「ッッ」ドシャアッ
『座っている海未に翻弄されているゥッッ』 『まるで遠山の金さんだ〜〜〜〜〜ッッ』
ダイヤ「座った状態でも合気のキレ味は変わりませんか……ッ」
海未(女子供でも大の男にケンカで勝ち得る――――それがそもそもの武道です)
海未(人間離れした能力を持つ真姫は絶好の相手――――)
海未「!」
真姫「………」ノソ…
『!!!』
『ゆっくり……ッ』
『真姫がまるでスローモーションのようにゆっくり手を出……………』
海未(なるほど考えましたね真姫ッ)
海未(そうされては相手の力を利用する合気はまともに使用えません)
海未(しかし―――) 海未(合気は封じても、それ以外全てがおざなりですッッ)グッ
海未(私は武神と呼ばれる女ですよ…………)ボッ…
ゆっくり動く真姫に海未が正拳を撃ちこむ。
ブワアアアッ
海未「ッッ!!」
ダイヤ「なッ…」
今まで真姫がされたのと全く同じように、海未の身体が宙にハネ上がった。
ドシャアアアッ
真姫「このタイミングね……………」 善子「これって………」
ダイヤ「真姫さんが合気を覚えた…!?」
ダイヤ「イヤ、あるいは既に―――」
真姫「貴女の合気には以前も手を焼いたわ」
真姫「あれから、パパに頼んで世界中の合気の達人と組手させてもらったの」
海未「………ッッ」
果南「これだから金持ちは…」
真姫「流石に実戦は勝手が違ったけど」
真姫「もうバッチリ」ビュバオッ
『真姫が迫る―――ッ』
真姫「フンッ」ブワンッ 海未「くッ」ピョンッ
スカッ
真姫「!」
鞠莉「オオッ」
ルビィ「ラリアットを跳び躱したッッ」
ボゴオッ
千歌「そのまま顔面に膝ッ」
真姫「―――」
海未「うりアアアア」ドッドッドッドッドッ
観客「ごッ5段突きだッッッ」
ダイヤ「フツウなら肋骨がメチャクチャですが……………」 真姫「…………」ズチャ…
千歌「たッ倒れもしないッッ」
梨子「タフネスが過ぎる………ッ」
海未(くッッ)ドッ
『下段蹴り―――ッ』
真姫「………ッ」カクン…
海未「ひィ」
ドドドドッ
千歌「正中線四連突きッあんなもん写真でしか見たことないよッッ」
真姫「〜〜〜〜〜」グラ…
海未(勝ったァァァァッッ) ガッ
海未「!!!」
真姫「まだよ………」ニヤリ…
海未(嘘………ッッ)
ドウンッ
海未「――――――――ッ」プシャアアアッ
真姫が掌で海未の胸を打撃すると海未の目鼻口から血が噴き出す―――。
『だッ打震だァ――――――ッッ』
海未「あ………」グラ… 善子「打震って……」
ダイヤ「人間の身体の大部分は水分で占められています」
ダイヤ「本来はこの水が外からのショックを吸収してくれるのですが――――」
ダイヤ「中国拳法……北拳では水分を逆利用しより強いショックを内部へ伝えようと工夫しています」
せつ菜「………」
ダイヤ「それは永い永い時をかけてやっとものにするものですが」
ダイヤ「真姫さんならそんな技も一晩で身に着けられるでしょう……」
ダイヤ「医者の娘として………いくらでも他人の腹ァ裂いて内臓(ハラワタ)こねくりまわし人体の弱点など知りつくしているのですからッッッ」
海未「……………ッッ」ドシャアアアッ
『海未ダウ〜〜〜〜〜ンッッ』
真姫「…………ッ」ザウッ
『ああッしかし真姫のダメージも深刻だッ』
『そうですッッ園田流秘技正中線四連突をまともに喰らったのだから当然と言えましょう』 海未(思い上がってんじゃないですよ、この…)
海未(ニセモノが…………ッッ)
海未「……………ッ」ムク…
海未(後輩相手に苦戦する能なしが、おだてられ………)
海未(その気になり、武神だ達人だと……)
真姫「…………」スクッ…
海未(海未、フフ貴方のいったいどこがスクールアイドルの模範なんです!?)
海未(貴方なんかどこにでもいるただの16歳の少女なんですよ)
海未(その通り、ワカっています)
海未「いいですよ私のほうは」
真姫「そう……」ニィ 海未(認めましょう……)
海未(私はただの……)スッ…
観客「技術(わざ)抜きで殴り合う気かッ」
絵里(あの真姫と正面からッ)
希(勝負ありや)
果南「…………」
海未「ィヤッッ」ザクッ
真姫「―――ッ」クラ…
曜「オオッ」
ダイヤ「跳び足刀……」 海未「なめないでくださいッ!!」ガッ
海未「私は園田流の跡取り娘ですよォッ」ゴッ
海未「貴方達とは……」ガキッ
海未「貴方達とは……」
海未「武道に費やした時間が……ッッ」ブンッ…
真姫「…………」ブワンッ
ガコォッ
海未「―――――」
ドシャアアアッ
海未(死ぬか、死にますか海未!?)ツー… 『万策尽き果てました園田海未ッッ』
『なす術なし!!!』
『スクールアイドルと武術の融合した最高傑作が』
『この神に喧嘩を売って誕生したようなステロイド・モンスターに通用しない!!!』
『海未の胸中いかばかりかッッ』
真姫「―――」ダッ
『オオッッッ真姫が走った―――ッ』
海未(ワカってきました……)
ガッ
真姫が海未の髪をつかんで引き起こす。
『決着を狙ってるゾ!!!』
真姫「フンッッ」ブンッ グバッ
海未「〜〜〜〜〜〜〜」
海未(勝てないワケです………………)
ドシャアアッ
真姫(決めるッッ)ダダダッ
海未(真姫は…………命かけてますもの…………)
海未(明日を見てませんもの………………)
ボゴォッッ
海未「ガハアッッ」
海未(明日を捨ててますもの………………)
ドシャアアアッ
海未(それに比較べて……私は…………)
穂乃果「ことりちゃんッッ」 海未「!」
タンッ タタタンッ
穂乃果「こんなことやったって強くなんかなれないだろうけどさ」タタンッ
ことり「うん」タタンッ
海未「穂乃果…ことり……」
穂乃果「とりあえずステップの練習ッ」タンタンッ
ことり「うんッ」タタンッ
穂乃果とことりが客席で立ち上がってダンスのステップを踏んでいる。海未がスクールアイドルを始めたあの日のように。
希「ひゃ〜〜〜」
絵里「いつのまに」
穂乃果「私、やるったらやる!」
穂乃果「スクールアイドルやるよッ」タンッ タンタンッ 海未(そうでした………私がスクールアイドルを始めたのは……………)
穂乃果「1ッ、2ッ、3ッ、4ッ」タンタンッ
ことり「1ッ、2ッ、3ッ、4ッ」タンタンッ
海未「強くなれますよ…………絶対に強くなる…………」
真姫「―――」ブワンッ
海未(スクールアイドルをやって来たのは―――)ダッ
地面を蹴ると、海未の身体は弧を描き、その右足は真姫の顔面へ――――
グワシイッ
海未(強くなりたかったからですッッッ)
真姫「―――――」ドシャアアアッ 海未「負けられませんッッ」
海未「10年以上も思い続けてきたんです」
海未「より明日強くなるために――――今日をもっと―――――」
海未「願いを叶えると明日に羽ばたく――――」
海未「そして――――辿り着いた今日ですッッ」
海未「ここは一歩も譲りませんッッ」
真姫「……………ッッ」
海未(ただ…思い知りましたよ…………)
海未(西木野真姫を相手に戦力を隠す愚をッッ)ス…
ダイヤ「海未さん………ッッまさかアレをやるつもりですかッッ」 海未は自分の口を右手で押さえている。
海未(この技は安くないですよ………ッッ)
海未(絶対に使用いたくなかった………奥の手中の奥の手ですッッ)
海未「プッ」チュパッ
真姫「ッッ!!」
『!!?』
海未は真姫の顔面に向かって勢い良く投げキッスを放った――――。 ざわ ざわ ざわ
観客「投げキスしたぞッ」
観客「なんでこんな時に…」
観客「ファンサービス!?」
曜「ただの投げキッスじゃない」
曜「唾を飛ばしたんだ」
ルビィ「目潰しッ」
ダイヤ「そんな甘っちょろいものではありません」
ルビィ「え……」 ダイヤ「今海未さんが唾を撃ち込んだ場所……………」
ダイヤ「顔面に点在する急所の一つ涙穴!ここを水滴でもって高速で鋭打されると……………」
真姫「―――――」ピタ…
ダイヤ「微量ではあるが目と鼻同時に水が叩きこまれるのです」
ダイヤ「するとどうなると思います…………」
ダイヤ「溺れるンですわ」
真姫「〜〜〜〜〜」ゴボォ
ジタバタバタバタ
海未「フッフッフ……カナヅチですか?真姫………」
海未「曜や果南の前でソレは……………恥ずかしいですよ…………」 真姫「〜〜〜〜〜〜」ジタバタ
海未(真姫は怪物………ですからダメ押し…………)
海未(投げキッスとは全くベクトルの違う封印を解きます………)ス…
ルビィ「無弓だぁッッ」
花丸「でもアレは真姫さんには………」
ダイヤ「イヤ………」
ダイヤ「”矢”の本分は“斬る”ことではありません」
ダイヤ「“射る”ことです」
海未「フンッッ」ザシュッ
真姫「――――ッッ」
千歌「肋骨の下に貫手をキメたッ」 ズ…
真姫「ッッ!!」
ベキベキバキッ…
海未が突き刺した無弓の指を押し上げると、真姫の肋骨が心臓へと食い込む――――。
ダイヤ「いけませんッ勝負ありですわッッ」
真姫「―――」ス…
海未「!!」
真姫「………………」チッチッチ 海未「真姫………やはり貴方は…」バッ
海未「貴方は最高ですッッ」ス…
海未は無弓を引きぬくと拳に変えて、弓を引くように振りかぶる。
曜「ナックルアロー………ッッ」
曜「まさか狙いはッッッッ」
海未(これが本当の………)グッ
心臓(ラブ)アローシュート!!!
ドキュッ
真姫「―――――――」 真姫「―――――ハアッ」ビシャアッ
ドシャアアアアアッ
海未「二度目の敗北ですね……イヤ……三度目ですか」
真姫「」
審判「し………勝負ありッッ」
ダイヤ「無弓でヘシ折った肋骨を心臓へ叩きこむなんて………ッッ」
ヒデコ「ドクターッッ」
フミコ「ドクター早くッッ」 しん…
闘技場内に聞こえる声はヒフミのものだけ。客席は圧倒的な静寂。
理事長(勝者とは…)
理事長(讃えられ、熱狂され)
理事長(人々が押し寄せ、離れようとしないもの)
理事長(なのにどうでしょう…………)
海未「…………」ズチャ…
理事長(迷いなし躊躇いなし)
理事長(そして支持はなし……)
理事長(それでも尚)
天下無双也 園田海未 ヒデコ「どうですか、ドクターッッ」
フミコ「真姫ちゃんは……」
医者「凄いものですね、西木野先生のお嬢さんは………」フウ
医者「拳を撃ち込まれる瞬間に心臓を僅かに定位置から外し―――致命傷を免れています」
ミカ「大丈夫なのですかッッ」
医者「命に別状はありません」
医者「とにかく――――スバラシイファイトだったということです」パチパチ…
パチパチパチパチパチパチパチ
観客「ナイスファイト」
観客「素晴らしかったぞッッ」
観客「真姫ちゃんすごいなさしすせそッ」
真姫「……………………」ニヤ… ・通路。闘い終えた海未とことりが話している。
ことり「海未ちゃんもエゲツないことするね」
ことり「真姫ちゃんじゃなかったら確実に死んでたよ」
海未「ことりまでそんな………真姫だから使用ったのですよ」
亜里沙「海未さん、お疲れ様でしたッッ」ザッ
亜里沙「とってもカッコよかったですッッ」
海未「亜里沙……」
海未「ありがとうございます」ニコッ
亜里沙「ただ………」モジ…
海未「?」
亜里沙「チョットやりすぎじゃないでしょうか…………」
海未「………………」
海未「やっぱりそうですか?」
二回戦第七試合 海未〇 真姫× 万策つきた海未ちゃんがグルグルパンチするのかと思ったわ 次は穂乃果対えりちか
前作でも言われてたけど穂乃果がμ's相手に本気で殴ったり殴られたりって想像出来ないんだがどうなるかな ・青竜側入り口前。
穂乃果「ひどいよッ海未ちゃんもことりちゃんもッッ」
穂乃果「私が言うまでここに応援に来てくれないなんてッッ」ウルウル
ことり「ごめんね穂乃果ちゃん…………」アハハ…
海未「仕方がないでしょう」ヤレヤレ
海未「相手は絵里なんですから、μ'sの仲間として、どちらか片方の肩を持つようなことは…」
穂乃果「絵里ちゃんは三年生じゃんッッ私たちは同じ二年生ッ」
ことり「希ちゃんもにこちゃんも、絵里ちゃんの方行ってなかったよ?」
穂乃果「絵里ちゃんは大人だから良いんだよ〜〜〜〜ッ」クネクネ 海未「全く………これからあの絵里と闘うというのに、よくそんな下らないことを気にしていられるものです」ハア
穂乃果「!」
穂乃果「そうだッッ!」
穂乃果「この怒りのパワーを絵里ちゃんにぶつけて………」
海未「…八つ当たりですか………」
穂乃果「んダメかァ〜絵里ちゃんは悪くないもんね……」
海未(心底どうでもいいです……)
ことり(スクールアイドル最強を決めるこの大会でも、穂乃果ちゃんはいつも通りだね)
ことり(何にも縛られない………繋ぎ止められない…………)
ことり(最強というよりは寧ろ……………)
最自由…………… 『激闘に次ぐ激闘の二回戦もいよいよファイナル!!!』
『トリを務めますのはあの……ッ完全復活した“KKE”絢瀬絵里とッッ』
『押しも押されもせぬμ'sのセンターにしてリーダー、高坂穂乃果だッッ』
穂乃果「よろしく、絵里ちゃん」ニィ
絵里「こちらこそね、穂乃果」フフフ
亜里沙「………お姉ちゃん……」
―
――
―――
絵里「……………」カキカキ
雪穂「………………ッ」 絵里の部屋。絵里は背後の雪穂と亜里沙に構いもせず、死んだ魚のような眼で絵筆を動かしている。
亜里沙「もう何枚目になるんだろう」
亜里沙「ジュースしか描かないの」
雪穂「上手いね…」
雪穂「どのくらいやってるの?」
亜里沙「あれだよ」ピッ
雪穂「!」
雪穂「山盛りのジュース」
絵里「………」ス…
絵里「……………」チュルル…
亜里沙「あれを全部飲み終えるまで止めないの」 内浦で敗北を知ってから、お姉ちゃんは変わってしまった。
毎日毎日ジュースの絵を描いて、他には何もしない、退屈な生活。
たまに口を開けば小さい頃に戻ったようなことばかり言って……………
絵里「…………」カキカキ
亜里沙「お姉ちゃん…」
絵里「………………」カキカキ
亜里沙「お姉ちゃんって………」
絵里「負けた人、ジュース奢りッ!」カキカキッ
亜里沙「お姉ちゃんッッッ!!!」 絵里「…………」ピタッ
亜里沙「なんでお姉ちゃん、こんなことしているの?」
絵里「…………」
亜里沙「これがお姉ちゃんのやりたいこと?」
絵里「…………………」
亜里沙「お姉ちゃんの…本当にやりたいことは…ッッ!?」
絵里「………………何よ…」
亜里沙「!」
絵里「敗北を知っちゃったんだからしょうがないじゃないッッ!!!!」 絵里「私だって、いつまでも幼児退行なんてしてないで、またスクールアイドルとしてお客さんの目の前で闘いたいわよッッ」
亜里沙「…………ッ」
亜里沙「!」
絵里「自分が不器用なのは分かってる………」ポロ…
絵里「でもッッ」
絵里「今さらスクールアイドルをやりたいなんて、私が言えると思う?」ポロポロ
絵里「『敗北を知りたい』って脱獄して、『全員食べちゃうのもいい』なんてイキがって、それなのにッッ」
環境利用闘法師範―――― |c||^.-^|| ダイヤ 見参!!
絵里『私の負けよ〜〜〜〜〜ッッ許してチカ〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ』 絵里「よりによってあのダイヤにボコボコに負けて………ッッ」ポロポロ
絵里「それで何もなかったかのようにまたスクールアイドルをしようなんて……………」
亜里沙「…………」
二人きりの部屋に、気まずい沈黙。絵里の視線は自分の現状から目を逸らすようにゆっくりと下がる。
絵里「………ごめんなさい……私なんてこと………」
ギュッ…
絵里「!」
亜里沙「………」ニコーッ
絵里「…………ッ!?」
亜里沙「お姉ちゃん」
亜里沙「倒されることなんて本当の敗北じゃないでしょ………………?」 絵里「え………」
亜里沙「本当の敗北っていうのはね、お姉ちゃん……………………」
―――
――
―
絵里(亜里沙のあの言葉で、私は“本当の敗北”を知り、ありふれた悲しみの果てから蘇った)
雪穂「ああ〜〜〜どうかお姉ちゃん、ハズカシイ負け方だけはしませんように…………」スリスリ
月「妹の君たちからすれば緊張するトコロだね………」
亜里沙「私は心配してませんよッ」
亜里沙「お姉ちゃんは、もう誰にも……………」ニッコリ…
絵里(亜里沙のためにも………私は二度と、誰にも…………)キッ
ぜったいに敗けない!!
審判「開始めいッッ」ゴワアアンンン 絵里「穂乃果ッッ」ダッッ
穂乃果「!」
絵里「あなたにもよッッ」ボッ
ドッ
『先制攻撃は絵里だッッ』
穂乃果「…………ッ」ブワ…
『穂乃果の身体が宙を舞う〜〜〜〜』
ダイヤ(ただの順突きでこの威力………!?) ゴロゴロゴロ
ザッ
穂乃果「痛〜〜〜い」スクッ
絵里「気と拳…」
絵里「この2つの融合が中国武術を特別なものにした」
せつ菜「…………」
絵里「しかし…それでは不十分」
絵里「気と拳…」
絵里「さらに加えることもう一つ」
絵里「地」
絵里「黒澤流風に言うなら、環境利用というとワカリやすいかしら」 亜里沙「『ピンチ力』を生かしているんですよね」
雪穂「『挟む力』ね」
雪穂「挟む、摘まむ、つねる…指の力だね」
亜里沙「お姉ちゃんの場合は足の指の力」
亜里沙「地面を―――床を掴むっていうのはバレエではとても大切な技術だけど」
亜里沙「お姉ちゃんのその力は特別中の特別です」
月「100メートルもの垂直な壁―――ミサイルの発射口をよじ登って脱獄したっていうあの化け物じみた逸話………」
月「まさか………本当なの?」
亜里沙「本当どころじゃないですよッ」
亜里沙「今のお姉ちゃんのピンチ力はあの時よりさらに進化していますから」
―
――
――― ・絢瀬家。絵里が亜里沙に叱咤激励され、幼児退行から復活して数日後。早朝。
亜里沙「あッ…」チャリン…
亜里沙(500円玉が……)
コロコロコロ…
亜里沙「待って待ってッ」
コロコロコロ…
亜里沙「あ〜〜〜」
亜里沙(お姉ちゃんの部屋に入っちゃったッッ)
亜里沙(お姉ちゃん、もう起きてるかな?)
亜里沙「もしもし……?」コンコン
亜里沙「亜里沙の500円が……」 スッ…
亜里沙「!」
亜里沙(ドアの下から何か出てきた…)
亜里沙(なんだろコレ…)ヒョイッ
亜里沙「!!」
亜里沙「〜〜〜〜〜〜〜ッッッ」サアアア…
亜里沙(500円玉が折り曲げられ……イヤッ)
亜里沙(それどころじゃないッッ紙クズみたいに丸まってるッッ)
亜里沙(一体どれだけのピンチ力があればこんな………)
亜里沙「って!」
亜里沙「お姉ちゃんッ酷いよッッ」
亜里沙「亜里沙の五百円返してッッ」ガチャッ !!!
絵里「………」グーグー
亜里沙(ね…………寝てる!!?)
絵里「お婆様………」ムニャムニャ
亜里沙(それはいいけど…………)
亜里沙(寝る場所………ッ)
絵里はヤモリのように壁に張り付いて寝息を立てていた。
亜里沙(壁………掴んで………ッッ)
亜里沙(まさか昨日の夜から………ずっとこうして………ッッ)
亜里沙「ハラショー………ッッッ」 ―――
――
―
穂乃果「なるほど」
穂乃果「スゴく強力なパンチだと思ったけど」
穂乃果「しっかり地面を掴んで踏み込んで―――地の利を加えたってワケだね」
絵里「ご名答よ」
絵里「穂乃果……あなたは頭は良くないけれど、流石にこういうことは………」
絵里「理解が早いッッ」ダッ
ゴッ
穂乃果「〜〜〜〜」ブワッ… 『追撃〜〜〜〜』
ゴロゴロゴロッ
ザッ
穂乃果「頭が悪いは余計だよッッ」スクッ
絵里「そこまでは言ってないわッ」ダッッ
穂乃果「!」
ガッ
『今度はタックルだッッ』
穂乃果「………ッ」ザザザザザッ 穂乃果の腰を掴んだまま、絵里は右ひざを何度も蹴り上げる。
絵里「――――」ガッガッガッガッ
『続いて膝地獄〜〜〜〜ッッ』
善子「強い……ッ」
穂乃果「……………」クラ…
絵里「フンッ」ダアンッ
曜「!!」
『跳んだァ―――ッ』
穂乃果「!」ハッ
穂乃果の顔面に絵里の靴底が迫って来る――――。 ゴシュッ
『ドロップキックだァ〜〜〜〜〜〜〜ッッ』
穂乃果「〜〜〜〜〜ッッ」ドッシャアアアッ
千歌「高さ、角度、タイミング」
千歌「全部完璧………ッ」
曜(スピードは私ほどじゃないけど、キックの重さは私以上だ…)
ダイヤ「元々の恵まれた体格と身体能力に加え」
ダイヤ「大地を捉える力―――踏み込みの力が更に強化されたことで、全ての技の威力が飛躍的に高まっていますわね」
『つッ強いッ……あまりに強いエリーチカッッ』
『高坂穂乃果を圧倒していますッッ早くも勝負あったか!?』 海未「フ……」
穂乃果「よっとッ」スクッ
『オオッ』
『立ちました穂乃果ッッこちらもまだまだ余裕がありそうですッッ』
亜里沙「穂乃果さんの耐久力(タフネス)もスゴい……」
月「受け身の取り方がとっても上手いね」
雪穂「お姉ちゃん、いつもそこらじゅうで転んでますから………」アハハ…
絵里「流石…そうでなくちゃ」フフ
絵里「ラウンド2ゥ〜〜」スッ…
穂乃果「!」
ポイッ 『裸足ですッッ絵里が靴を脱ぎ去ったッッ』
『これは何かあるぞッッ』
絵里「バレリーナが靴を脱ぐという行為」
絵里「ボクサーがグローブを外し、拳をムキ出しにする行為と似ているわ」
穂乃果「…………」
絵里「私が素足になるということはそれほど危険ということよ」
バッ
『!』
真姫(ハイキックッ) 穂乃果「――」ヒョイッ
カスッ
千歌「頭の上ッ躱した!」
梨子「よくあそこまで足が上がるわね……」
ダイヤ「バレエでもやっていなければ到底無理な芸当ですわ」
ガシッ
穂乃果「ワッ!?」
『なんだ――!!!』
グイイッ
穂乃果「痛〜〜ッッ」
『足で髪の毛を掴んでる〜〜〜〜』 ガコッ
『そのまま逆の足でヒザ〜〜〜〜ッッ』
穂乃果「〜〜〜〜〜〜」
絵里「―――」タンッ
『驚愕の足技だ――ッ』
絵里(フフ………日本人とは面白いものね)
絵里(取るに足らない技で大騒ぎをする)ダッ
観客「また行ったッ」
観客「終わらせる気だぞッッ」
絵里(驚愕の足技と言うものはね)ダンッッ
絵里(こういう技を言うのよ!!!)グッ…
ダイヤ「!!」 グポッ
『強〜〜〜〜〜〜〜〜烈ノド蹴りィィィッッ』
穂乃果「――――――」グラッ…
『ダ…ッ』
穂乃果「カハアッッ」ドシャアアアッ
『ダ〜〜〜〜〜〜〜ウンッッ』
ダイヤ「足で……拳を作った…」ダラダラ
ルビィ「人間じゃない………ッッ」
せつ菜「………」 『靴を脱ぎ捨てた絢瀬絵里、その蹴り技は多彩にして鋭利ッッッ』
『まるで手技のような多様性を秘めているゥッッ』
絵里「………」ザッ…
『怪物が動きだしたァ―――』
穂乃果「――」ガバッ
絵里「!」
ガシッ
雪穂「いよしッ組みついたッッ」
穂乃果「ラウンド3ィ」ニイッ 亜里沙「お姉ちゃんッなんとか引き離してッッ」
月「……?」
雪穂「世界中のスクールアイドルがお姉ちゃんに組み付かれるとギブアップを選択ぶ…………何故だと思います」
雪穂「お姉ちゃんの投げを喰らいたくないからですよ」
穂乃果「そぉれッッ」ゴォッ
『反り投げェ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ』
絵里「―――――ッ」
『飛んだ飛んだ―――――ッッ人間が飛ぶ〜〜〜〜ッッ』
ダァァァァンッ
『落下――――ッッ』
絵里「ッハアッッッ」 『これは危険だッ』
『きッ強烈すぎるゥ――』
『全世界が畏怖れる穂乃果スペシャルゥ―――――ッ』
千歌「知らなかった……ッ」
千歌「穂乃果さんにあんな技があったなんて…………」
ダイヤ「全く……勉強不足ですわよッ」
千歌「だってあんな技、どこでも………」
ダイヤ「良く思い返してみてごらんなさい」
ダイヤ「穂乃果さん………投げる………心当たりはあるでしょう」
千歌「……………………」
千歌「!」ハッ
『もぎゅっと“love”で接近中!』のマイク投げ!!! 鞠莉「地上から視認できなくなるほど天高くマイクを放り投げたあの名曲のPV…………」
善子「編集じゃなかったのッ!?」
絵里「容赦……ないわね…………ッッ」
絵里「私は上級生なのに……」ムクッ…
穂乃果「絵里ちゃんこそ………ッ」
穂乃果「アイドルにノド蹴りなんて、どうかしてるよ………」ケホ…
『たった一発でダメージは五分かッ振り出しだッッ』
『強烈すぎるぞ怪物対決ッッ』
『一体どうなってしまうんだァ〜〜〜〜ッッ』
果南「フンッ」
果南(私だけ仲間外れかあ………………) Dancing,dancing! Non-stop my dancing…………
・A—RISE。例の車でライタイ祭のTV中継を見ながらドライブ中。
ピピ…
マネージャー「アレ…」
マネージャー「おかしいわね……カーナビの調子が……………」
ツバサ「当然ね」クスリ
ツバサ「特定監視スクールアイドル3人のうち2人が、こんな闘いをしているんだもの…」
マネージャー「特定…監視……?」
あんじゅ「あらぁ、知らないの?」
英玲奈「スクールアイドル界では常識だぞ」 ツバサ「少し前、μ'sが彼の国で行ったライブは知ってる?」
マネージャー「あのAngelic Angelの………」
あんじゅ「鈍い自由の国もアレでやっと気づいた」
英玲奈「素手の専門家―――スクールアイドルの危険性に」
マネージャー「スクールアイドルの………危険性………」
ツバサ「素手の時代よ」
ツバサ「わかるでしょ?」
ツバサ「機関銃より強い女でも――――」
ツバサ「武器を持たぬ限りあらゆる機関への潜入が可能なのよッッ」
ツバサ「とことんまで強くした肉体に反応するセンサーはどこにもないのだから」 ツバサ「そして監視すべき3名のスクールアイドルが選出された………」
“内浦最強の生物―――鬼神(オーガ)”こと松浦果南
“繋ぎ止められぬ者(アンチェイン)”こと高坂穂乃果
“極北最強の 怪物 エリーチカ(KKE)”こと絢瀬絵里
ツバサ「あろうことかこの3名は衛星偵察の対象になっている」
ツバサ「本来は軍事用に使用されるはずの衛星が3名の動向を見張っているの」
英玲奈「この3名のうち1人でも」
英玲奈「乗り物による移動を除き―――時速4km以上で動いた時」
あんじゅ「半数以上の衛星が緊急作動を強いられるため――――」
あんじゅ「軍事衛星を使用する世界中のカーナビゲーションが70メートルずれる」 マネージャー「ッはァ〜〜〜〜〜………」
ツバサ「はた迷惑な話よね」フフ…
マネージャー「…………ソレ…」
ツバサ「?」
マネージャー「衛星監視の対象………」
マネージャー「なんでアナタはならなかったの………?」
ツバサ「……」クス
ツバサ「監視の条件…滅茶苦茶に強いってことは大前提だけど」
ツバサ「彼女たちは自由の国が“危険視”した三名よ」
ツバサ「私は優等生だもの」ニッコリ 『さあ空前の怪物対決ッッここまで両者一歩も譲らないッッ』
『次にしかけるのは………』
絵里「――――」ダッッッ
『絵里だァ―――ッ』
絵里「ハッッ」ガガガッ
『連蹴りッ』
ガガガガッ
『連蹴りッッッ』
穂乃果「〜〜〜〜〜〜」
『足技だけで仕留めにかかっている―――――ッ』 絵里(さあトドメッ)ビュオッ
『またノド〜〜〜ッ』
ガシイッ
絵里「!」
穂乃果「絵里ちゃんは悪い子だね…………」ニギッ…
『とッ止めたッッ絵里の足首を掴んで止めているッッ』
穂乃果「そんな子はこうだッッ」ブワンッ
絵里「――――ッ」
グルグルンッ
『かッ片手投げェ〜〜〜〜〜ッッ』 グルングルングルンッ
『絵里が車輪のように回りながら地面と平行に飛んでいく〜〜〜〜ッッ』
ダイヤ「………………ッッッッ」ニヤ…
ダアアンッ
絵里「〜〜〜〜〜〜〜ッッ」
『そのまま壁に激突だァ――――』
花丸「人間じゃないずら……」
絵里「……………ッッ」ザウ…
希「効いてる」
にこ「傾き始めたわね…」
穂乃果「そりゃッ」ダッ ガシッ
穂乃果「えいッッ」ゴワッ
『今度は上〜〜〜〜ッッ』
『高いぞ!高いぞ!強烈な投げだ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ』
絵里「ッッ」ダアアンッッ
ダイヤ「……………!」
ダイヤ(ありえない………ッッ)
ガシイッ
『さらに組み付くッ』 ダイヤ(穂乃果さんの投げ…………)
穂乃果「そらッッ」
『ン投げェ――ッ』
絵里「―――――ッッ」
『飛んだ飛んだ〜〜ッゆうに10メートルは飛んでいるゥ―――』
ダイヤ(どんどん………強くなっている!!?)
ダアアアアンッッッ
絵里「……………………ッ………」ピクピク 『後頭部をしたたかに打ったァ』
『これは深刻なダメージだ〜〜〜〜ッッ』
ダイヤ(ありえないッッあれほどの大技ッッ)
ダイヤ(“変わらない”ならまだわかります……果南さんのような体力馬鹿ならッ)
ダイヤ(しかし、こう目に見えてどんどん強くなるというのは……ッ)
穂乃果「勝負あり、かな…」ザッ…
ダイヤ(手加減していた?なんのために!?)
ダイヤ(真姫さんのようなドーピングッ!?それとも果南さんのように…)
ダイヤ(否ッッどちらも違うッッ穂乃果さんの見た目には何の変化もないのですからッッ)
海未(……ダイヤが困惑していますね………)チラッ
海未(単純な話なんですが……頭の固さも硬度10なのでしょうか) 海未(Aqoursにも、梨子というワカりやすい例があるじゃないですか)
海未(壁が近くにあることで劇的に身体能力が向上するアレ)
海未(極度の興奮状態にあると、人間の身体能力は自己(おのれ)の限界を超える)
海未(脳内麻薬(エンドルフィン)………あるいはアドレナリンの放出によって…………)
穂乃果「〜♪」
海未(興奮の条件――梨子にとっての壁は、穂乃果の場合………)
海未(“観客の前で闘うこと”………その行為自体)
海未(毎日同じことで感動できて羨ましい………なんていつだか凛は言ってましたっけね)フフ
努力する者が、楽しむ者に勝てるワケがない
海未(………かどうかは、次の三回戦、私にかかっていますね…………)
絵里「…………………ッ」 審判「…………………」コクリ
審判「勝負あ………」
絵里「まだ………ッ」
審判「!」
ダイヤ(エリーチカ………)
絵里「まだよ…………」モゾ…
―
――
―――
亜里沙「お姉ちゃん」
亜里沙「倒されることなんて本当の敗北じゃないでしょ………………?」
絵里「え………」 亜里沙「本当の敗北っていうのはねお姉ちゃん」
亜里沙「心が折れることを言うんだよ」
絵里(折れるッッ)
亜里沙「ワカるよねお姉ちゃん」
亜里沙「心の折れる音さえ聞かないなら……………」
たとえチンギス・ハーンでもお姉ちゃんから勝利を奪うことはできない!
―――
――
―
絵里(心は…!!)
スクッ…
絵里(折れぬ!!!)カッ ことり「た……………立ち上がった………」
ことり「穂乃果ちゃんスペシャルを4回もまともに喰らって…」
海未「…………ッッ」
海未「しかしあのダメージでは………もはや逆転は…………」
絵里「……………」フウーッ
にこ(いや、絵里のあの目は…)
希(まだ何か持ってる)
絵里「我ながら…………」
絵里「学習能力がないわね………」フ…
絵里「切り札を温存しようとした海未がズタボロにされるのを目の前で見ながら」
絵里「同じ愚を犯してしまったわ………」
海未「…………」 絵里「闘いの歴史―――武術史は、人類史にそのままリンクする」
絵里「筋肉への信仰と否定を繰り返しつつ」
絵里「やがては脱力による速度の獲得に至る」
絵里「筋力・脱力・重心――――」
果南「………」
彼方「……」
聖良「…………」
絵里「速度・角度・急所――――」
曜「…」
千歌「…………ッ」
にこ「…………」 絵里「気や呼吸力、そしてレズにまで及ぶ様々な技術革新―――創意工夫」
梨子「…………………」
絵里「しかるに近代格闘技」
絵里「未だ棍棒・石斧の有史上以来―――たったの一歩も進んでいない決定的死角が存在する」
穂乃果「なんだろ?」
絵里「さっきも少し言ったのだけれど………まあ良いわ」
絵里「教えましょう」
支えよ! 千歌(ささ………え……?)
絵里「四千年の歴史を自負する中国拳法に於いてすらが―――」
絵里「支えとなる大地を―――“面”としてしかとらえていない」
絵里「大地を“斜め”の面でとらえることに何の疑問も持たないッッ」
せつ菜「………………ッ」
地球という―――――偉大な支えを認識していない!!
絵里「ただ突っ立っているだけ……」フフフ…
絵里「穂乃果……今からあなたは実感する」
地上から6378000メートル地下に存在する 核の硬さを!!!
絵里「―――」ダッ ガッ
穂乃果「!」ブワッ…
亜里沙「足をかけてハネ上げたッッ」
絵里は屈み、穂乃果の身体が絵里の”真上”に浮く――――
絵里(とらえてッッ)
絵里(私の脚――――――)ダアンッッ
絵里の”真下”から支えがかかる―――
絵里(地底の遥か底――――――この惑星(ほし)の真中心(まんなか)にある確かな物体)
絵里(核の硬さを!!!)
雪穂「お姉ちゃんッッ」ガタッ
カッ…
絵里の地球拳が穂乃果に炸裂する――――――……… ワッ
『決着ゥ〜〜〜〜』
オオオオオオオオオオ
『二回戦最終試合ッッベスト8最後の切符を掴んだのは絢瀬絵里だ―――――ッッ』
絵里「やった………」ハア…ハア…
絵里「やったわ………ッ」
希「おめでと、えりち」
ことり「まさか穂乃果ちゃんに勝っちゃうなんて……」
にこ「流石絵里ね」
真姫「敵わないわ…」
凛「絵里ちゃんは強すぎるにゃー」
花陽「改めて、尊敬しちゃいますッッ」
絵里「!」 絵里「花陽……もう目が覚めたの!?」
花陽「うんッ絵里ちゃんのすッッッごい闘いのおかげで、怪我も全快だよッッ」
花陽「スゴいね、人体♡」ニイッ
絵里「そう…それは良かったわ」
海未「絵里…」
絵里「!」
絵里「海未………」
海未「次の三回戦……私は棄権します」
絵里「えッ………」
海未「あなたにはかないませんッッ」
海未「許してくださいッッ」ドゲザッ 絵里「ちょ、ちょっと……」
海未「それと…この人がなんか…」
海未「アイサツしたいらしくて……」
果南「いや〜〜〜〜」
絵里(え〜〜〜〜〜〜ッ)
果南「私も内浦最強とかなんとか言われてるけど……………」
果南「それは私じゃない…」
果南「絵里さん、あなただよ」
海未「そんなんアタリまえじゃんッ」
果南「やっぱり?」ニタァ
絵里「………………………」 曜「私、渡辺曜はエリーチカちゃんのことが、全速前進、ヨーソローッッ」
月「僕たちなんかが絵里ちゃんと闘うなんて、そんなの、もったいないよッッ」
せつ菜「絵里さんの大好きには私達、だれも勝てませんッッ」
せつ菜「もう争いはやめましょうッッ絵里さんの優勝ですッッ」
『決まったァ〜〜〜ッッあまりの強さに全選手が棄権!!』
『絢瀬絵里の優勝だァ〜〜〜』
絵里(おかしい………………?)
聖良「ラブライブ!ですからね、こういうこともあります」
絵里「………………」
絵里「確かに」
雪穂「絵里さんの闘いぶり、面白かったですッ後半すごい引き込まれましたァッッ」
亜里沙「流石お姉ちゃあッ」 みんな「K・K・E!!K・K・E!!かしこい!かわいい!エリーチカ!!!」
絵里「ハラショー………ッッ」ウルウル…
『ライタイ祭、これにて終了!それではみなさんまた百年後ッッ』
『最強で最高なエリーチカ海皇にバンザ〜〜〜〜〜イッッ』
絵里「ハラショー〜〜〜〜〜ッッッッ」バンザーイ
―――
――
―
絵里「」
穂乃果「………――――――っていう夢を見てるんだよッ」
みんな「夢なんか―――――いッッ!!」
審判「勝負ありッッ」 『ついに決着〜〜〜二回戦最終試合ッッ』
『勝ったのは高坂穂乃果だァッッ』
穂乃果「ぃやったーッッ」
『絵里が放った最強の奥義・地球拳ッッしかし穂乃果を捉えること叶わずッッ』
『五度目の穂乃果スペシャルで怪物KKEもあえなく撃沈となったのですッッ』
亜里沙「お姉ちゃんッッ」ダッ
穂乃果「!」
海未「亜里沙……」
絵里「………」グー 亜里沙「お姉ちゃん……ッ」ヨシヨシ
亜里沙(最後まで勝負を諦めなかったお姉ちゃん、とってもカッコよかったよッ)
絵里「お婆様………」ムニャムニャ
亜里沙(それに、とってもカワイイ………ッ)
亜里沙(賢くはないケド……)
穂乃果「………」ニコッ
月「強いね…お姉さん」
月「どうやったらあんな風になれるのかな…?」
雪穂「愚問ですね…」ニヤリ
愛以外に人を強くするものなんてありますか
二回戦第八試合 穂乃果〇 絵里× 『ごらん下さい!!!』
『地上最強の二回戦を勝ち上がった地上最強の戦士達です!!!』
ワアアアアアアア
果南「…よろしく」
聖良「ええ、よろしくお願いしますね」ニヤリ
曜「曜ソロ………」ジトー
にこ「にっこにっこにーッッ」ニコッ
せつ菜「みんなありがとうッッ」フリフリ
海未「手加減はしませんよ、穂乃果」
穂乃果「海未ちゃんが相手かァ……」
『いずれも劣らぬ曲者揃いッ』
『誰が優勝しても納得の顔ぶれです』 『ここで皆様にお知らせがあります』
『二回戦第四試合を勝ち上がった小泉花陽選手』
『負傷に次ぐ負傷、これ以上は心身に重篤な不具合が残る恐れがあるということで……』
『残念ながらドクターストップ』
観客「エエ〜〜〜ッ」
『小泉選手に替わり“暫定で”入るのは…史上最強の助っ人ッッッ』
『渡辺月選手ですッ』
月「……」ザッ…
ざわ ざわ ざわ
観客「あの子、アマレスの大会で見たわッ優勝してた」
観客「私は空手で見たッッ強すぎて試合になってなかったよッッ」
観客「野球にもいたぞッエースで四番ッ」
観客「サッカーにもッッ」 観客「いやでもさ、強いのは間違いないとしても………」
観客「あの子スクールアイドルじゃないでしょ?アリなの?」
…………………………ッ
月「……」
にこ「あれれ〜〜〜何言ってるにこ〜〜〜〜?」スッ…
月「!」
にこが月の右手を掴んで高々と掲げる。
にこ「やりたいって思った瞬間から、みんなスクールアイドルにこ♡」
『グレートはグレートを知るッッ』
『宇宙No.1アイドル矢澤にこは月の途中参加を讃えていますッッ』 観客「確かに」
観客「違いないッッ」
月「……」フウ
にこ「にこッ♡」
絵里「あざといというか如才ないというか……」フッフッフ
絵里「やっぱりうまいわよねェにこは……」
絵里「ああいうことをやらせると」
せつ菜「本当にその通りですねッッッ」キラキラ
せつ菜「優勝が決まるまで残り七試合、この八人で最高の闘いをしましょうッッ」
穂乃果「オオ〜〜言われちゃった〜〜〜」パチパチパチパチ
海未「………」ジトー
希「せつ菜ちゃんの方は真性やね……」 『新たに加わった武士(もののふ)一名ッッ』
『地上最強の揃い踏みだァ――――ッッ』
ワアアアアアアアアア
にこ「ねェせつ菜ちゃん…」ボソ…
せつ菜「!」
せつ菜「ハイ………」
せつ菜(あれ……どこか様子が………)
にこ「勝ちを譲ってはもらえないかしら」ショボン…
せつ菜「え?」
にこ「アナタとの勝負、私に勝たせてはもらえないかと言っているのよ」 せつ菜「………………」
せつ菜「…………」
せつ菜「何を…」
『選手退場ォ』
ザッザッザッ…
せつ菜「…………」
せつ菜「何を言って……」
にこ「また後で話すわ……」クルッ
せつ菜「…………ッ」
にこ「…………」ショボン…
ザッザッ… 観客「お、にこにー、頑張れよッッ」
観客「応援してるぞッッ」
にこ「……」
にこ「にこッ♡」
せつ菜「!」
にこ「ありがとうにこ〜〜〜」ニコォッ
せつ菜「…………ッッ」
『さあ、いよいよ激闘のステージは三回戦へ……………』
『っとその前にッッ』
『ここで更に会場の皆様にお知らせがありますッ』
『三回戦に残った全選手が激戦を勝ち上がってきたにも関わらず』
『先程ご紹介した渡辺月選手はまだ無傷ッッ』
『そのハンデに対して本人よりクレームが入りましたッッ』 『そこで急遽三回戦進出を懸けたスペシャル・マッチを行います!!!』
オオオオオオッ
『白虎の方角、渡辺月』
月「…」
『vs(バーサス)!!!』
観客「誰とやるんだッ」
観客「うちっちーはもういねェぞ―――――ッッ」
『青竜の方角!!!』
ザッ ザッ ザッ 観客「三人!?」
観客「三人いるぞォッッ」
梨子「あれは………」
千歌「いいッ!?」
よしみ「いいのかな私たちで」
いつき「しかも3人揃っちゃって」
むつ「ワカっていて呼んだのなら―――――」
『3対1のスペシャルマッチだァ―――ッッ』
『どこまでやる気だライタイ祭トーナメント〜〜〜〜〜〜ッッ』
よいつむ「い・ず・れ・に・し・ろ・緊・急・事・態・だッッ」 観客「マジかよシャレになってねェ―よッ」
観客「3人って………」
月「………」ニコニコ
『渡辺月は微動だにしていないッッッ』
『やる気ですッ3人を相手に月はやる気ですッッ』
審判「両者前へッ」
ザッ…
よいつむ「あ・な・た・と・戦・い・た・かっ・た」
月「……ん…………?」ピクッ
千歌「………なんかむっちゃんたちの喋り方………」
審判「開始いッッ」ゴワアアアアアンンン よいつむ「よ・ろ・し・く・お・願・い・し・ま・す」
月「ちょッちょっとタンマッッ」
月「その喋り方はなにッッ!?」
よしみ「こ」
いつき「れ」
むつ「の」
よしみ「こ」
いつき「と」
むつ「?」
穂乃果「変なしゃべり方………聞いてるとなんか頭が混乱して………」
ヒデコ「一人一字ずつ喋って流暢な文になる」
フミコ「卓越したコンビネーション技術の証しだね」
ミカ「だけどまぁ……」
ヒフミ「やっ・て・や・れ・な・い・こ・と・じゃ・な・い」
穂乃果「張り合わなくっていいよ〜〜〜ッッ」ミミフサギッ よしみ「まあ喋り方(こんなの)はどうだっていいんだけど………」
ザザッ
『これはッッ』
『よいつむの織りなす正三角形ッッその中心に月!!』
月「!」ハッ
いつき「もう遅い」
むつ「私たちにこの陣形をとらせた以上………」
よいつむ「も・う・あ・な・た・に・チャ・ン・ス・は・な・い」
ヒフミ「こ・れ・は・決・まっ・ちゃっ・た・か・な?」
穂乃果「………………」プクーッ よいつむ「せーのッッ」ダッ
『三角形が小さくなる――――』
よしみ「そらッ」ブンッ
月「っと」ヒョイッ…
月「―――ッ!」
ボゴ… ガシュ…
月「………ッッ」ズサ…
いつき「フフン」
むつ「手応えありッ」
ヒデコ「どんなに素早く動いても1つの動作でかわせる攻撃はたった1つ」
フミコ「同時に3つの攻撃を繰り出せば2つは当たる」
ミカ「格闘技素人の攻撃でもクリーンヒットすればダメージは十分」 月「―――ッ」ブンッ…
むつ「来た〜〜〜」
ガッ ベキッ
月「うッ…」
いつき「ヘヘンッ」
よしみ「背中がガラ空きだよッッ」
月「…………ッ」ヨロ…
むつ「ホラ隙ありッ」ガコッ
月「〜〜〜ッッ」ドシャッ
ドドッ ガシュッ ゴッ
ルビィ「ひッひどい……」
千歌「ボッコボコだ………」 『これは試合と呼べるのかッッ!?』
『三人で徒党を組んで一人を袋叩きッッ』
『当たり前の光景が当たり前に展開されている―――ッッ』
ダイヤ「当たり前ではありませんわ」
ダイヤ「腕自慢が街でからまれて不良数人を返り討ち――――」
ダイヤ「そんな武勇伝は珍しくもありません」
ダイヤ「ヨハネさんなどは先程、7人を一分もかからずKOしましたね」
善子「その節はご迷惑を………」ペコリ
梨子「いいのよ」
ダイヤ「とはいえ、例えばヨハネさんの戦力を数値化した時、あの7人の合計値を圧倒的に上回っているかというと―――」
ダイヤ「恐らくはそうではない」
ダイヤ「私は、寧ろ下回っているとさえ思います」 鞠莉「ハア?」
千歌「ダイヤさん、頭どうかしちゃったんですか?」
ルビィ「ヨハネちゃんは核でも殺せないんだよッ」
花丸「ヨハネちゃんと殺り合ったなら果南ちゃんだって命の保証はないずら」
果南「…………」
ダイヤ「ヨハネさんの実力を過小評価しているわけではありません」
ダイヤ「貴方達が数の力を過小評価し過ぎているのですわ」
善子「でも、じゃあどうして………」
ダイヤ「何故7人はけちょんけちょんにされてしまったのか」
ダイヤ「一対多………数値の足し算では勝てるハズの戦力が何故勝てないのか」
ダイヤ「カンタンなことです」
ダイヤ「複数で闘うことに慣れていないからですわ」 ダイヤ「逆に言えば、ソレが克服されれば―――本当の意味で戦力を足し算にすることができるなら」
ダイヤ「個人は集団に決して敵わない」
よしみ「よくも私たちの仕事をとってくれたな〜〜〜」ベシッ
いつき「生徒会長の仕事はしないくせにッ」バキッ
むつ「あんなボロ校舎に隔離しようだなんてッッ」ゴッ
よいつむ「キ・サ・マ・は・浦・の・星・を・嘗・め・た・ッッッ」ゲシゲシゲシゲシッ
月「〜〜〜〜」
千歌「うわ〜〜〜」
梨子「攻撃に力が入ってるわね…」ジトー
ダイヤ「しかし連携は完璧です……流石ですわね」
ダイヤ「たった三人でも、ああされちゃあ人間のレベルではどうしようもありませんわ」
ダイヤ「月さんがあの状況を打破するには、ソレを超えていなければ……」 善子「人間のレベルを………?」
ダイヤ「具体的に言えば二つに一つ」
ダイヤ「不死身紛いの超タフネスで耐え続けて三人の体力が尽きるのを待つか…………
月「………………」
ベキッ ガキッ ガッ ゴッ
ダイヤ「あるいは一瞬の―――本当に文字通り一瞬のスキをつき」
ダイヤ「一人でも即KOできるような異次元のスピードの攻撃でもできれば………」
千歌「そんな技…」
パアンッ
海未「!!」
ドッシャアアアアアアッ いつき「」
よしみむつ「……………ッッ」ボーゼン
曜「………ッ」
曜「………………ッッッ」
善子「い……ッ今の破裂音は………ッッ」ガチガチガチガチ…
月「いい音でしょ?」
曜「それ………私のやつ……ッッ」
月「達人が鞭を振るときにする強烈な破裂音、あれは…」
月「物質が音速を超えたことを知らせる音……音の壁を破る音なんだって………」 月「足の親指から始まる関節の連動を足首へ」
月「足首から膝へ膝から股関節へ股関節から腰へ」
月「腰から肩へ、肩から肘へ、肘から手首へ」
月「同時8ヶ所の加速の成功がこの奇跡を生む」
月「曜ちゃんは知ってるよね」チラッ
曜「マッハ突き…………ッッ」
月「そう」ニッコリ
よしみ「くッ……」ブンッ
曜「前ッ前ッ」
よしみ(よし当たるッッ) ふわ…
せつ菜「!!」
彼方「あれェ〜〜〜………」
よしみ(えッ……)
よしみ(殴った感触が無……羽毛!?)
月「おお…コレは良いね〜〜………」
タンッ
月「人が喋ってる時に殴っちゃダメだよ」アハハ
月「一人欠けちゃったケド……まだやるんだね?」
むつ「も…もちろんッッ」
月「OK!」スポッ よしみむつ「ッ!!」
『渡辺月、勝ち誇ったかのように上着のポケットに手を突っ込んだァッッ』
『いくらなんでもソレはナメ過ぎではないのかァ〜〜〜?』
よしみむつ「このッッ」ブンッ
『殴り掛かった―――ッ』
月「―――」
パパァンッ
果南「!」
ドッシャアアアア
よしみむつ「」 審判「勝負ありッッ」
『強い…ッ三人がかりでも全く問題になりませんでしたッッ』
『渡辺月、文句なしの三回戦進出だァッッ』
花丸「ポケットに手を入れた状態から相手より早く正拳を当てるなんて……」
ルビィ「速すぎるよぉ……」
善子「当然でしょッマッハよマッハッッ」
ダイヤ(イヤ……恐らくそれだけでは………)
梨子「流石…」
千歌「曜ちゃんのいとこ……ッ」
曜「……………ッッ」
月「みんな、応援よーろしくーッッ」ニコッ
特別試合 月〇 よいつむトリオ× ・医務室
ガチャ…
真姫「!」
凛「にこちゃん!」
にこ「花陽の様子はどう?」
花陽「……………」スヤスヤ
真姫「そうね………意識不明の患者にこんなことを言うのも変だけど」
真姫「状態は悪くないわ………もしかしたらもっと早く目が覚めるかも」
凛「ホント!?」
真姫「もっとも、万が一曜の試合前に眼が覚めても、闘わせるなんてことは絶対に許さないけど…」ジロッ
にこ「…ワカってるわよ」チェッ にこ「……ところで、そろそろ例の準備をお願いして良い?」
凛「例の?」
真姫「………」
真姫「本気なのね……」
にこ「モチロン」
にこ「小原鞠莉、そして高海千歌にさえ何もさせず秒殺――――」
にこ「あの優木せつ菜の実力はアンタらも理解るでしょう?」
にこ「ハンパじゃないわあの超肉体カンフー」
凛「にこちゃんじゃ逆立ちしたって勝てないんじゃないかにゃ?」
にこ「フンッ」 にこ「逆立ちで勝てないなら、逆立ちして飛び跳ねるだけよ」
凛「オオ〜〜〜」
真姫(イミワカンナイ)
にこ「何でもやってやるわ」
にこ「勝つためなら」キッ
凛「にこちゃん……」
真姫「………」クルクル
にこ「…私の試合までには、起きなさいよね………」
花陽「……………」スヤスヤ
にこ「この大銀河宇宙宇宙No.1アイドルが必ず優勝するんだからッッッ」 烈vs猪狩だと思うとあまりにも絶望的だがどうなるかな ・白虎側入り口前。
ズシンッ
聖良「―――」ス…
理亞「…………」
ズシンッッ
昂ぶりを収めるように四股を踏み続ける聖良。
理亞「いよいよ………」
聖良「そう」
聖良「いよいよですね………」スッ…
ズシンッッ 聖良「松浦果南………この私にとっても手に余る強敵です……」ス…
理亞「……姉様…」
ズシンッッ
聖良「しかし必ず勝ちます」
理亞「――ッ」
聖良「まずは海皇になるために」
聖良「そして…………」ス…
聖良「“その後”のためにッッ」ズシンッッッ
最強だと思いこんで 頂点へと We gotta go! 『三回戦第一試合!!!』
『“内浦最強の生物”、“鬼(オーガ)”こと松浦果南 VS』
『“スク姉”転じて “二代目スクネ”、鹿角聖良!!』
聖良「今回こそ、見せつけさせて頂きますよ、私の実力を」
果南「…………」
海未「ダイヤ」スッ…
海未「少しお話を伺っても良いですか?」
ダイヤ「唐突ですね」
海未「唐突は百も承知のうえで――」
海未「黒澤流柔術十段黒澤ダイヤ、稀代の柔術家が持つ“相撲”観」
海未「ぜひお訊きしたく……」ジッ
ダイヤ「………どうやら」
ダイヤ「きちんとお答えしなくてはならないようですわね」 ダイヤ「実はですね…」
ダイヤ「『相撲』という領域は見ないようにしてきたのですわ」
海未「ふむ」
ダイヤ「ぶっちゃけてしまえば、私ども武道家の『本番』は試合じゃありません」
ダイヤ「路上や酒場、日常生活で出し抜けに起こる闘争」
ダイヤ「これが武道家にとっての『ホンバン』というワケです」
海未「ハイ」クスリ
ダイヤ「一方相撲です」
ダイヤ「『世界(ジャンル)』が見事に完成している」
ダイヤ「路上の喧嘩を想定して汗を流す力士はいません」
ダイヤ「私ども武道家のように他ジャンル相手に立ち合い強さを証明する必要が無い」
ダイヤ「土俵という空間で全てが完結しています」 ダイヤ「それと……」
海未「…………」
千歌「なんか―――言いにくそうですね」
ダイヤ「まァ……強いってことですわ」
審判「両者下がってッ」
聖良「果南さん」スッ…
『!』
聖良「やはりここは一つ………」
聖良「一丁やりましょうよ」
聖良「スモウ」 『鹿角聖良、仕切りの構えだ―――ッッ』
『内浦最強の生物を相撲に誘っています聖良ッッしかし二回戦で既に使い古したこの作戦は…』
『柳の下のドジョウというものです!!!』
ダイヤ「いや…」
果南「……」ス…
聖良「はは…」
鞠莉「あの頑固オヤジは…」
『乗った〜〜〜〜ッ!?腰を落としました松浦果南ッッ』
『やるつもりですッ相撲対決、果南はやるつもりですッ』 審判「…………」
審判「はっけよい……」
聖良「いえ…」スッ
聖良が審判を制止する。
聖良「誤解されがちですが、相撲には『開始』の合図はありません……」
聖良「互いに呼吸を合わせて――」ダッッ
果南「!」
こんな感じですよ……?
ボゴォッ
果南「――――ッ」ズンッ…
ボタボタッ
聖良「アレ?」
聖良「今のは『待った』でしたね…?」ニヤア 『また不意打ち〜〜〜〜ッッ』
『果南の顔面を一発ブン殴りました聖良ッ』
ざわ ざわ ざわ
ルビィ「不意打ちって言っても…今の攻撃は正面からだよね………」
ルビィ「果南ちゃんなら避けられないパンチじゃなかったんじゃ……」
曜「姿勢だよ」
曜「立ち合いのためにしゃがみ込んだあの姿勢が果南ちゃんの動きを遅らせた」
ダイヤ「流石です曜さん」
ダイヤ「腰を落として膝をほとんど180度まで大きく開き、踵を浮かせるあの体勢―――」ダイヤ「正式な名称を蹲踞」
善子「ソンキョ…」
ダイヤ「慣れない果南さんにとっては中々辛い姿勢ですわ」
ダイヤ「先制攻撃成功………聖良さんとしては計画通りでしょうが………ただ………」
ダイヤ「二回戦に続いてのこの不意打ちは……」 観客「汚ねェぞ聖良」
観客「恥を知れ」
観客「卑怯者ッッ」
『客席から怒りの声が聞こえていますッッ無理からぬことでしょうッッ』
『自分が“相撲”対決に持ち込みながら……不意打ちに次ぐ不意打ちッッ裏切りに次ぐ裏切りッッ』
『相手を………そして相撲を冒涜しています鹿角聖良ッッ』
聖良「フフフ…酷い言われようですね………」
聖良「あなたもそう思いますか?」
果南「いや…」ムク…
果南「悪いのは合わせられなかった私の方だよ」ダラダラ
聖良「“最強”の自負故の余裕というやつですか…」フッ
聖良「あるいは“サバサバした性格”という嘘くさいキャラクターを守護ろうと必死なのか………」クスクス
果南「……………」
聖良「鼻血で血だらけのくせに――――爽やかさが消えてません」 果南「見苦しく命乞いでもすれば良かったかな…?」ヌグッ
聖良「バカを言わないでください」
聖良「『命乞い』とは気を利かせていただくものではありません」
聖良「追い詰めて追い詰めて、欲しくもないのに『お願』われる」
聖良「――――そういうものですよ」スッ…
『なッ』
聖良「さて、取り直しといきましょうか」
『聖良が再び仕切りの構えを取ったァ――』
果南「…………」
聖良「さァ」 聖良「お相撲しましょう」
聖良「私とッッ」
観客「フザケルなッッ」
観客「果南拒否しろォ」
果南「…………」
千歌「………どっちも………」ヤレヤレ
果南「……」ズン…
『果南が再び蹲踞を――――』
聖良「信じていました」ダッッ
ルビィ「ああッ」
花丸「また…」
聖良「必ず座ってくれると」ブンッ… 果南「……」ビュンッ
聖良「!」
スカッ
鞠莉「もう慣れたわね」
ダイヤ「果南さんに二度同じ手は通じませんわ」
聖良「……ッッ」クルッ
果南「…………………」
『攻撃を加えるでもなく、無言で仁王立ちの果南ッッ』
『その姿は姑息な戦法に頼る聖良と実に対照的でありますッッ』
聖良「スバラシイ……………」 聖良「果南さん…」
聖良「私と函館へ渡りませんか」
『!』
果南「――」
聖良「共にユニットを組みませんか」
善子「ハァ?」
『なんとッ』
『なんとここにきてヘッドハンティング!!』
『大会終了前にして異例の青田刈りだァッッッッ』
聖良「私は、卒業後もステージの上で闘いたい―――」
聖良「アイドルを続けたいと思っています」 聖良「そのために必要なんですッ」
聖良「高め合う仲間―――競い合うライバルが」
果南「………」
果南「悪いけど私は…」
聖良「あなたの意思は関係ありません」
果南「――ッッ」
聖良「敗者は勝者に従う―――」
聖良「原始の時代から変わらない唯一絶対の掟(ルール)ですよ」スッ…
『!!!』 『……ッッッ』
千歌「しつこ…ッ」
『もはや言葉もありません』
『2度にわたる立ち合いに隠されただまし打ち』
『よもや3度目の試みがあろうとはッッ』
聖良「果南さん」
聖良「座れますか」
観客「喰らわせろ果南ッッ」
観客「そのままブン殴れェェッッ」
聖良「座れる勇気はありますか」フフフ 『悪意に満ちた笑顔です』
『だまされるな松浦果南』
果南「…………」
ズン…
『オオオオオ〜〜〜ッと』
『座ってしまったぞ松浦果南』
『応じてしまったぞ松浦果南』
果南「……」ギロッ
『不意打ちなにものぞ』
『やれるものならやってみるがいいとでも………』
果南「――」ダンッ
『!!』 『果南から先に立った―――ッッ』
ブンッ…
『怒りの鉄拳だ〜〜〜〜』
聖良(信じていた――)タンッ
スカッ
果南「!」
聖良「再信(ビリーブアゲイン)していましたよ――」ぐるんっ
果南(上かッ…)バッ…
グワシイッ
果南「〜〜〜〜ッッ」ドシャアアッ
聖良「必ず座ってくれると」スタッ 『でッ出たァ〜〜〜〜〜ッッ』
『Saint Snow伝家の宝刀、バク転式胴廻し回転蹴りだァ〜〜〜〜ッッ』
聖良「残念でしたね……」
聖良「あなたの考えるようなレベルのことは私も想定済みですよ…」フフフ
果南「……………」
聖良「さァ」
聖良「起きてください」
果南「――」
聖良「起きてお相撲しましょう」
観客「ふ…」 観客「ふざけるなァッッッ!!」
観客「このインチキメロンがッッ!!」
ダンッ ザッ スタァッ
聖良の相次ぐ挑発にブチギレた客たちが闘技場になだれこむ。
観客「ブッ殺せッッ」
観客「それよりブロッコリーだァッ」
観客「ブロッコリー祭りにしろォッ」
ミシイ…
観客「!!?」ピタッ
果南「……………」
観客「なッなんだ!?」ビク…
観客「果南の背中が………ッ」オロオロ 果南「……………………」
果南「フウー……ッ」ス…
観客「…………ッッ?」
観客「なんとも………ない…………?」
果南「弱者が勝つために策を練るのは当たり前のことだよ」
聖良「………………」
果南「席に戻ってください」
観客「……ハイ…………」
ザッザッザッザ… 観客が去り、闘技場内は二人に戻る。
聖良「礼は言いませんよ」
聖良「『弱者』という言葉が気にかかっています」
果南「ああ」
果南「まあ私と比較べれば誰でも………」
聖良「………」スッ…
聖良が四度目の仕切りの構えをとる。しかしその眼には今までにないギラつきが。
聖良「いいですよ」
聖良「フリースタイルで来てください」
果南「………!」
聖良「遠慮なく」 にこ「人を煽る奴ほど、逆に煽られるとノセられやすかったりするのよね〜〜……」
真姫「まさににこちゃんね」
にこ「ハア!?」
凛「真姫ちゃんもそうだにゃ〜」
真姫「ヴェエ!?私のどこが…」
真姫「凛こそそのまんまじゃないッッ」
凛「凛は全然そんなことないし―――ッッ」
凛「シャ――ッッ」
ワーワーワー
花陽「………………」スヤスヤ 聖良「さァ」
果南「………散々好き勝手やっておいて……」
果南「今更『どうぞ遠慮なく』もないもんだよ………」スッ
ギチイ…
ダイヤ(なんと……)
ダイヤ(知ってか知らずか――いや知るワケないでしょうが――――)
ダイヤ(無知無学な果南さんが「金剛力士像」の構え!!!)
聖良(必然です)
聖良(全力(アウェイクンザパワー)での激突を決意するとき)
聖良(闘争いは――――――)ダンッッ
ダイヤ(立ったッッ) 聖良「―――」ビュンッ
果南「――――」ブンッ
必然角力(すもう)になる!!!
カッ
果南「ッッ!!」
ボキ…ッ
海未「!!」
ダイヤ「果南さんの鉄拳が額で砕かれたッッ」
聖良「ハッ」ドッ
ダイヤ「掌底打ちッ」 聖良「――――」ドドドッドッ
千歌「す…スゴイ突っ張りだッッ」
果南「………ッッ」
果南「―――」キッ
ガッ
聖良「!」
『ハグに成功――――』
ルビィ「やったッ」
花丸「これで果南ちゃんの……」 聖良「フンッ」クイッッッ
果南「ッ!」
善子「腰を引いたッ」
梨子「!」
千歌「あの体勢は……」
果南ちゃんがもろ差し!四つの体勢だ!!
『こッこれは気づかなかった……ッッ』
『相撲にもハグがあったのです!!』
果南「…………ッ」 ダイヤ「両腕が相手の脇の下に入ったもろ差し………基本的に差している側が優位とされますが…………」
聖良「ちょっと…深すぎましたね?」ニヤ
海未(あれでは腕が使えず力が出せません)
海未(それどころか……)
ギュチッ…
果南「ッッ」
聖良が抱えるように果南の腕を極めて締め上げる。
ダイヤ「閂(かんぬき)……ッ」
ダイヤ「立派な関節技ですわ」
聖良「おっしょいッッ」ガッ… 『こッ小手投げェ〜〜〜〜〜ッッ』
果南「……………ッ」
ザザザザザ
『なんとか残しているッ聖良の投げを果南がやっとしのいでいるッッ』
『内浦最強が防戦一方!!鬼のような強さだ鹿角聖良ッ』
海未「…………」
ダイヤ「倒れてしまいなさい果南さんッッ折れますわよッッ」
聖良「その通り―――」ギュチイッ…
善子「なんで無理にこらえてるのよ果南はッッ」
千歌「負けるのが嫌なんだよ……」
ルビィ「負けるって…これはお相撲じゃないのに………」
鞠莉「そう割り切れるほど、果南の頭はソフトじゃない………」 聖良「どうしたんですか果南さん」
聖良「汗が冷たいですよッ」
果南「…………ッッ」ギリ…
海未(試合開始から延々続けている聖良の煽りがここに来て効いていますね)
海未(少しずつ、しかし確実に溜まるストレスが知らず知らずのうちに果南を激昂 (クラッシュマインド)させ、自制(セルフコントロール)できなくさせている)
海未(鹿角聖良………本当に大した策士です)
聖良「このザマじゃ優勝は諦めた方がいいかもしれませんねッ」ググ…
聖良「ラブライブ決勝の果南さんの戦力を100とすると」
聖良「今の果南さんは30、いや20ぐらいと言って……」
果南「――――」ビリビリィッ
千歌「あッ!!!」
聖良「!?」ピタッ
聖良(なんですこれは!?) メキイッ…
『なんだァ―――――!!?』
『突然果南の服が背中から破れ、ダイビングスーツが露出しましたァッッ』
曜「!!」
善子「あ………」
ルビィ「出たぁ………ッ」
海未「“本物”のお出ましですか……ッ」
海未「しかし予定よりダイブ早いんじゃないですか……?」クス…
聖良「……………」ボーゼン
ガッ
聖良「あ……」 『脱出ッ果南は肘破壊から辛くも逃れ……………』
『!!!』
果南「……………」ミシイッ…
『なッ』
『なんだこの背中はァ〜〜〜〜〜〜〜〜!!?』
月「スゴいね」アハハ
にこ「人間じゃないわ……ッ」
せつ菜「――」カッ
穂乃果「おぉ〜〜〜〜」
観客「おッ」
観客「鬼の貌だァ〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ」
果南「………」
聖良「…………………」
聖良「ナルホド……」 聖良「背面を構成する筋肉が鬼の貌を造り出す」
聖良「一度は見たいと思っていましたが」
聖良「ナルホド…………」
聖良「そういうことでしたか……」
せつ菜「違う…」
せつ菜「筋肉の形態(かたち)が私達と明らかに違います……ッッ」
果南「…………」ミシイ…
聖良「…………………ッ」
希「聖良ちゃんもついに黙っちゃった」
絵里「さぞかし………絶望を味わっていることでしょうね」ニヤリ
聖良(す……ッッ)
聖良(スバラシイッッ) 聖良(なんと感動的で豊潤な筋肉の持ち主なのですか!!!)
果南「もう十分でしょ………」
聖良(欲しいッッ)
聖良(なんとしても欲しいですッッ)
果南「終わらせるよ」ズチャ…
聖良(組みたいッッ)
聖良(この怪物を函館へッッ)
果南「――――」グニャア…
聖良「―――ッ」ヒヤ… 果南(全身――――)カッ
聖良「こッ」
果南(全霊で!)
聖良(怯(こ)わ〜〜)
果南(叩き潰す!!!)
ダッッッ
聖良「ッッ!!」
メリッ 『つッ掴んだッッ!?』
『果南が聖良の………どこか腰のあたりを………』
果南が両手で聖良の背中側のどこかしらを掴んで持ち上げ、ハグのような状態になっている。
千歌「ど…ッッ」
千歌「どこを掴んでるの!!?」
ダイヤ「骨……」
善子「ホネ…?」
善子「…………」
善子「えぇ!!?」
肋骨かい!!!
聖良「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」 真姫「間違いないわ………」
真姫「皮膚の上から肋骨を掴んでる………ッッ」
にこ「あり得ないでしょ…ッッ」
にこ「どんな握力があればそんな………」
真姫「例えばそう………」
真姫「石炭を超高圧でダイヤモンドに変えてしまうぐらいの……………」
凛「100トンぐらいかにゃ…」
真姫「こんな芸当…花陽でもできるかどうか………」
聖良「……………………」ダラダラ
聖良「『力』が…………入らないですね…」ゼーハー
果南「あなたの『命』を掴んでる」 果南「降参(ドロップアウト)してよ」
聖良「………………」
果南「ねぇ…」
聖良「………………」
にこ「…………」
にこ「スゴイわ、あっちも」
凛「え?」
にこ「……鹿角聖良、ね」
にこ「一筋縄じゃない……」 聖良「…………………オヤ…?」
果南「!」
聖良「攻撃が来ませんね…………」
聖良「試合放棄かなん?」
果南「――――――」
聖良「やったアアアアア」
聖良「勝ちましたァッ」バンザイ…
果南「――――ッ」ブチンッ…
聖良「―――」ニヤ…
ゴシャアッ 海未「がッ顔面に頭突きッッ」
ダイヤ「あの状態から………ッ」
果南「〜〜〜〜〜」ボタッ…
聖良「――――――――」バキボキボキッ…
ドシャアッ
果南「!」
聖良「」
海未ダイヤ「あ………」
理亞「姉様ァッッ」
審判「しょ…勝負ありッッ」 真姫「当然だわ………」
真姫「動ける状態じゃ……動かしていい状態じゃなかった…………ッッ」
真姫「下の方の肋骨が相当数イッてるわよ…」
ヒデコ「担架ァッ」
フミコ「担架くださいッッ」
果南「……私が医務室まで運ぶよ」スッ…
ミカ「!」
ミカ「ではお願いしますッッ」
ザッ…
果南が肩を貸すように聖良を担いで退場していく。
パチパチパチパチ
観客「エラいぞ果南ッッ」
観客「内浦ナンバーワン」 観客「聖良も最後までよく闘った―――ッッ」
観客「最高〜〜〜〜ッ」
観客「最高だァ―――」
観客「Saint Snow最高ゥ〜〜〜〜」
理亞「……………」グッ…
果南「………」ザッ…
果南「!」
果南が青竜側入り口に戻る。Aqoursと他一名がいる。
果南「海未さんッ」
海未「危なかった……は言い過ぎかもしれませんが」
海未「手こずりましたね」ニヤリ
果南「真姫さんはどこにッッ」
果南「この英雄に早急に手当てを」 海未「私が預かりましょう」
果南「お願いします」
海未「ズルくて………」
海未「卑劣で……」
海未「この上なく…………」
海未「美しくて………」ス…
ガバッ
海未果南「!」
聖良「ねェ果南さんッ」ガシッ
聖良「頼みます」
聖良「私と函館に渡ってください」 果南「……………………」
聖良「一緒に組みましょうッ」
聖良「組んでくださいッッ」
果南「――」ポイッ
海未「っと……」キャッチ
聖良「ケガ人にナニするんですか」
果南(なんて奴ッッ)クルッ
海未「………………」ジトー
聖良「あきらめませんからねェッッ」
三回戦第一試合 果南 〇 聖良 × ・静真高校。トロフィーの並んだ一室。
生徒「それにしても先生―――」
生徒「一人の人間がいったい何を思い―――――何を己に言い聞かせるとこれほどの偉業を継続けられるのでしょう」
教師「愛校心よ」
生徒「愛校心………………」
教師「月さんにはとても仲の良い従姉妹が一人いるの」
生徒「初耳ですねそれは」
教師「月さんはその従姉妹と一緒にこの静真高校に通いたがっていたのだけど」
教師「従姉妹の子の方はどうしても浦の星の方に行きたがって」
生徒「浦の星?」 生徒「浦の星って………あの浦の星ですか?」
教師「その浦の星よ」
生徒「なんでまた、あんな………」
教師「…そこまでは私も知らないけれど」
教師「とにかくそういうワケで従姉妹とは離れ離れになってしまった」
教師「……月さんは、本当は後悔してたんだと思うわ」
教師「2年前のことよ…………」
―
――
―――
月「これを私の手に……………」ジャラ…
月が抱えているのは巨大な手錠である………。 教師「理由を説明してください」
月「服従したいのです」
教師「……………………」
月「この静真に従いたいのです」
己が静真高校の支配下にあるという証が欲しいのです!!!
―――
――
―
教師「転校したい―――この静真を退学して浦の星に入学し直したいという切なる願いと」
教師「それを許さない周囲…………無慈悲な現実………」
生徒「まあ…あの浦の星になんて無理でしょうね………」
生徒「結局廃校になっちゃいましたし」 教師「理想と現実の狭間で生まれた歪んだ愛校心」
教師「それが彼女をこの大偉業に突き動かしているの」
生徒「なんか会長、カワイソウ…………」
生徒「!」ハッ
生徒「でも、良かったですねッ」
生徒「だって結局、四月から一緒に…………」
教師「そうね」
教師「そういえば、その従姉妹も“天才”と呼ばれているらしいわよ」
生徒「へえ、そうなんですか」
生徒「とはいえ、会長と比較べたら、全く………」
教師「そんなことは言うものじゃないわ」
教師「月さんと比較したら、この世の誰でも凡人になってしまうのだから」 果南(あれからもう12年も立つんだよね……)
―
――
―――
果南「怖くないって千歌!」
果南「ここで止めたら後悔するよ!」
千歌「う…うう……」
幼年時代。船乗り場から海に飛び込むのを躊躇する千歌とその千歌を元気づける果南。
果南「絶対できるからッ」
千歌「…………」
果南「さあッ」 千歌「…う……」キッ
千歌「たあッ」
ボチャーンッ
果南「ほら、気持ちいいでしょ?」
千歌「…ウン!」ニッコリ
千歌「次はよーちゃんだよッッ」
曜「……」スッ…
果南「曜ちゃんは運動できるから……」ニヤニヤ
果南「宙がえりで飛び込んでよ」
曜「え〜〜………」
千歌「果南ちゃん、それは流石に………」
果南「アハハ、冗談じょうだ………」 曜「――」ダッッ
果南「!」
果南(高………)
グルグルグルンッ
千歌「へ?」
ボッッチャーーーンッッッ
千歌果南「………………ッッ」
曜「本当だ」プハア
曜「とっても気持ちいいねッ」ニコニコ
天才渡辺曜 5歳 12年前の姿だよ 刃牙とラブライブネタが見事にシンクロしてる
スゴいね、作者♡ https://megalodon.jp/2019-0315-0032-39/https://www.jpnumber.com:443/numberinfo_0531_45_4900.html ・玄武側入り口前。
月(曜ちゃんが相手か………)
月(とっても楽しみではあるんだけど…ちょっと気がかりなのが………)
月「この組み合わせで僕を応援してくれる人っているんだろうか…」ウーン
亜里沙「ここにいますよッ」
月「!」
月(声に出てた……)カア…
雪穂「私たちのぶんまで、暴れまくっちゃってくださいッッ」
月「亜里沙ちゃん…雪穂ちゃん……」
よいつむ「私・達・も・忘・れ・て・も・らっ・ちゃ・こ・ま・る・な」
月「!」 よしみ「曜ちゃんは曜ちゃんで応援したいけど」
いつき「月さんにはまたしても出番を取られちゃったわけなので…」
むつ「いきなり負けたりしたら怒るぞ〜〜〜」ニシシ
よいつむ「応・援・し・て・ま・す・よ、生・徒・会・長ッ」
月「みんな………」
No.10「フーッ……フーッ………」グッ
月「うちっちー………君まで………!!」
月「……………でも…」
月「僕はまだスクールアイドルじゃないのに、本当に勝っちゃっていいのかな…?」
雪亜里「………」
雪亜里「………」ニイッ
雪亜里よいつむ10「ダイジョーブ!!」 『三回戦第二試合!!』
『Aqoursが誇る飛び込みの最高傑作、渡辺曜が!!!』
『静真の至宝、渡辺月と激突します!!!』
『空前の天才対決が今始まろうとしているッ』
月「…………」
曜「…………」
『静かな表情の両雄、しかしタダで済むハズもないッッ』
『天才並び立たず―――ッッ』
ワアアアアアア
審判「両者元の位置ッ」
ザッザッ… 千歌「曜ちゃん、頑張ってッ」グッ
梨子「落ち着いてね」
曜「ウン」
果南「この試合は…曜…」
果南「曜が私の後を継げるかどうかの試金石になるよ」
曜「………」
曜「バカを言ってもらっちゃ困るな」
果南「…………」
曜「私はね果南ちゃん」クルッ
曜「この試合で果南ちゃんを超えるんだよ」
審判「開始めいッッ」ゴワアアアンンンン 月「さて、と……」ス…
『両手を開いて低く構えました月』
『これはタックルを狙うアマレスの構えかッッ』
曜(月ちゃん……)
月「………」ズ…
『徐々に徐々に間合いを詰めていく』
曜(月ちゃんに究極の護身術というものを見せてあげるよ)
月「――」ザウッ
『一気に行ったァ―――ッッ』 曜「―――」シュタタタタタタタタ
『なんだ――――――!!?』
穂乃果「――」
果南「………」
海未「……」
月「………ッッ」ポカーン
『こッこれはいったいどうゆーことだァ!?』
『月のタックルに怖れをなすように背中を見せてしまいました』
『どうしたミス飛び込み道』
月「曜ちゃん…」
ダッ
『月がめげずに二度目のタックルッ』 曜「――」ピョンッ
月「!!!」
スウ…
曜は月のタックルをスルリと飛び躱す。
ダッ
『まさか!?』
『ミス飛び込み道の必殺技がッッ』
曜「アハハハハ」ダダダダダダダダ
『100mを10秒台で駆け抜ける脚力での逃走術だというのか―――!?』
月(同じ手が)
月(僕に二度通用すると―――)ダッ… 曜「――」ダンッッッ
月「!!!」
梨子「壁を蹴ったッッ」
ビュンッッ
『曜の体が月の元へ一直線―――ッッ』
千歌「地面と平行な飛び込みだッッ」
月「―――」
カッ ふわ…
『!!!』
曜「アレ………」
『こッ』
『これはッ!?』
せつ菜「間違いないですね…」
彼方「取られちゃった〜〜〜」
月「っと……」スタッ…
ダイヤ「あり得ないですわ…」ダラダラ
渡辺月がッ消力を駆使った!!! 月「オッケー……覚えた」ニコッ
真姫「“持っていた”じゃなく“覚えた”………」
真姫「あの一回戦―――花陽との試合で彼方が使用ったのを見ただけで真似たっていうの!!?」
にこ「……世の中には本当にいるのねェ………」
にこ「天才って奴が…………」
月「…………」スッ…
『オオッなんという振る舞いだァアアッッ』
鞠莉「ハハ…」
『渡辺月、ここで曜に向かって最上級の一礼だ―――ッ』
『まさしくこれぞ慇懃無礼ッッ』
曜「…………ッッ」 月「……」ズ…
『!?』
『月がそのまま前に倒れこ………』
月「――っと」ザンッ
グルングルングルンッ
『うッ腕立て前方転回ィィ連続ゥ〜〜〜〜〜〜〜ッッ』
千歌「…………………ッッッッ」ガーン
月「――」ザッ
ブブンブンッ
『げッ月面宙返りィィィィッ』
愛「月だけにィッッ!?」
かすみ「どうでもいいですよッッ」 月「――」スタッ
『そのまま曜の目の前に着地ッッ』
『僕っ娘の運動神経はハンパじゃな〜〜〜〜〜〜いッッ』
曜「くッ」ブンッ…
『曜が上段蹴りで迎撃………』
月「――」ブッ
ゴッ
曜「ッッ」グラ…
『いやッジャブだッッ月のジャブが先にヒットッッ』
ガガッ ガッ ガッ ガッ
『ジャブッジャブッジャブッ』 『連打ッ』
ドッ ガッ ガキッ
『連打連打〜〜ッ』
『ボクシングもできるのか渡辺月ッッ』
善子「つ…強い…ッッ」
ルビィ「曜ちゃんが何もできないッッ」
曜「………………ッッ」
月「―――」ブッ…
曜「――」パシイッ
月「!」 曜「てやああッッ」ガッ
鞠莉「オ〜!」
月「―――ッ」
『一本背負い―――ッッ』
ドォッ
鞠莉「シャイニーッッ」ビシッ
曜「―――」ダダダダ
『なッ』
曜「ハア………ハア………」 『また逃げたッッ』
『天才・曜が明らかに月に対して背中を見せましたッ』
観客「オイオイどこが飛び込みだよ」
観客「逃げてばっかじゃねーかッ」
曜「ハッ……ハア……」
果南(曜……)
果南「それでいい」
曜(そうとも、敗北けるぐらいなら逃げる)
曜(たとえどんなにみじめに見えようとも、私の行動の羅針盤は全て勝利に向けられているんだ)
月「………」スクッ…
曜(あと10秒) 月「――」ダッ
曜(あと10秒ダメージを負わなければ…………ッッ)
月「ていッッ」バッ
曜「――」ピョンッ
曜(私の体内に反撃の体勢が整うッ)ダダダッ
月「お…」クルッ
曜(8…ッ7…ッ)
月「――」ダッ… 曜「――ッ」ダダダッ
『曜が逃げるゥ―――』
月「………ッ」
曜(6…ッ5…ッ)クルッ
『向き直ったッ』
月「…………」ズチャ…
曜(4…ッ)ニヤ…
果南(3…ッ)ニィ…
ダイヤ(2……)ニタ… 月「―――」ダッッ
曜「タイムリミットだよッッ」ビュバッ
月「!」
バオッッ
せつ菜(起死回生の前蹴りッッ)
せつ菜(月さんの出足を狙って――上手いッ)
ガキインッ
曜「ッッ!?」
千歌「止められたッッ!?」 海未「馬鹿な……………ッッ」
ダイヤ「けッ……蹴り足鋏殺し………ッッ」ダラダラ
月「残念だったね、曜ちゃん………」ス…
ルビィ「ピギイッッ!?」
凛「月ちゃんのあの構えッッまさかッ」
真姫「冗談でしょ………」
ボウリュッ
曜「―――――」プツン…
曜(左の視界が………)
『緒に切りだァ―――――ッッ』
『小泉花陽の十八番を渡辺月が使用ってしまったァッッ』 曜「…………ッ」
月「まだまだ…」ザッ…
曜「!!」
にこ「四足歩行……ってッッ」
凛「凛の超タックルッッ!?」
月「レッツ、ヨーソローッッ」バシュッッッ
ドッ
『激突ゥ―――――ッッ』
曜「〜〜〜〜〜〜〜ッッ」
『曜が吹っ飛ばされるゥ〜〜〜〜〜ッッ』 曜「ッッ」グルグルンッ
『!!』
『空中で体勢を立て直したッ』
スタッ
『ン着地ッ』
梨子「流石…ッ」
善子「空中戦は曜の領域よッッ」
ダイヤ「いや、しかし………」
曜「!!」ハッ
月「…」ニッコリ 花丸「もう曜ちゃんの目の前にいるずらッッ」
ルビィ「先回りされてたのッッ!?」
月「こうして――」パッ
真姫「ヴェエ!?」
月「こうだッ」ドウンッ
曜「カハアッ」プシャアアアア
月の掌底で、曜の目鼻口から血しぶきが飛ぶ。
凛「〜〜〜〜〜〜ッッ」
にこ「開いた口が塞がらないわ…」 『スーパードクター、西木野真姫の打震までェ〜〜〜〜〜〜』
曜「……………ッッ」ドッシャアアッ
月「………………」
『そッ底なしに強いッッッ渡辺月ッッ』
『最終兵器(リーサルウェポン)なすすべな〜〜いッッ』
希「エラいのが出てきちゃったね」
絵里「天才だわあの生徒会長」
曜「………………ッ」
月「曜ちゃんッッ!」ワッ 月「曜ちゃんはAqoursで――――」
月「浦の星で輝けたんじゃないのか!!!」
曜「…………」
月「こんな勝利は僕が望むものじゃないッッッ」
月「立つんだ曜ちゃんッッ」
月「名誉ある戦いを……ッッ」
曜「風…」
月「!」
曜「い〜〜〜〜い風だ……………」
月「…………風……?」
ビウ…
! ビュウウウウウウウ
海未(風を…)
ことり(呼んだ…??)
穂乃果「………」ニイ…
曜「夢はいつも…♪」
月「!」
ハッキリしてるわけじゃないの
君を迷わせながら輝いてる
だったらさ まずは風が向いた方へと Sailing
月「………」
曜「行ってみようよ……気楽に Sailing〜♪」ムク… バッ
月「!」
曜「――――」ババババッ
曜が自分の顔を両手で覆って顔を洗うように勢いよく拭う。
曜「………」ス…
月「――ッ」ギョッ
善子「メイク!?」
花丸「南アメリカかどこかの部族みたいずら」
ダイヤ「闘いの血化粧………ッ」 曜「ヨーソローッッ!!」
ビリビリ…
梨子(曜ちゃんの雰囲気……)ゴクリ
梨子(まるで別人みたい………!!)
ダイヤ(甘さが……消えている………?)
曜「満ち潮だ」
千歌(これからだッッ)
千歌(曜ちゃんはここからだ!!!)
曜「出航(ふなで)の刻(とき)」ニヤア… 月「……………」
月「見事だね」
月「風、歌、血化粧………」
月「見事な“演出”だよ、曜ちゃん」
月「流石スクールアイドル………こういう“空気”の作り方は僕にはまだまだマネできない……」
曜「…………」
月「でも曜ちゃん………」
月「今の演出の中に一つでも実力と呼べるものがあったかな?」
月「言葉は悪いけど、しょせん、まやかし―――」ダッッ
曜(月ちゃん……………)
曜(その通りだよ) 曜(要領が良いなんて言われることの多い私だけど…………全然そんなことない………)
曜(月ちゃんとは比較にもならないよ…………)
曜(でも…………)スッ……
月「!」
月(この構えは……ッ)
曜(そんな『普通怪獣ヨーソロー』でも………この“二つ”だけは月ちゃんにだって負けない……負けられないッッ)
曜(スクールアイドルとしての経験と………)ダッッ
グワアッ
飛び込みだけは……………
『曜が月の足元に飛び込んだァ―――――ッッ』 曜「―――」ガッ
月「ッッ」
『月の身体が曜の真上にハネ上がる〜〜〜〜〜ッ』
絵里「!!」
絵里(まさかッッ)
曜(私は月ちゃんほど色々はできない)スクッ
月「―――」ゾクッ
曜(でもこれならッッ)ダアンッッッ
曜の足から真下に支えがかかる――― 善子「そうだったわ……」
千歌(そっかァ〜〜……飛び込みって……)
曜「―――」ブォン
ボワッッ
月「〜〜〜〜〜〜〜〜」ブワンブワンブワンブワン
絵里「ハラショ――――ッッッ」
千歌(大地を蹴る格闘技なんだ)
ドッシャアアアアア 『曜の地球拳がクリーンヒットオオオオォッッ』
ダイヤ(曜さん………)
ダイヤ「やはり貴方は天才ですわッッ」
ダイヤ(やはり貴方は天才ですわッッ)
穂乃果「絵里ちゃんの地球拳………あんなスゴイ技だったんだァ〜〜〜………」ブルッ
希「月っていうくらいなんだから、地球の硬さも知ってないとね」
『三回戦第二試合、勝者は………』
月「待って……」ピク…
『おッ』 『立つ気だッ』
月(もう…ミスれないッッ)ダラダラ
『立つ気だぞ渡辺月ッッ』
真姫「無理よ」
真姫「あんなのまともに喰らって復帰できるわけ……」
月「……」ムズ…
真姫(あれ……??)
真姫(月が……なんで………)
月「……」ス…
真姫(起き上が――――る……!!?)
月「――――――」スクッッッ
真姫(イミワカンナイ……) 『立った立った〜〜〜〜ッッ死闘再度(ふたたび)ィィィッッ』
歩夢「ええ…」
璃奈「ありえない…」
エマ「なんで……」
せつ菜「土壇場で……消力に成功しています」
せつ菜「流石に威力を殺しきれず、ド派手にぶっ飛びましたが、衝撃(インパクト)自体は見た目ほど伝わってはいません」
せつ菜「少なくともKOは免れた―――」
彼方「上下方向の攻撃への消力は特に難しいんだけどね〜〜〜」
彼方「つくづく天才だね……」
曜「…………」
月「ナルホドね……ッ」ヌグッ 月「曜ちゃんが浦の星で……遊んでたわけじゃないことは………よく理解った………」
スポッ
曜「!!」
『このタイミングで月がまた上着のポケットに手を突っ込んだッッ』
月「やっぱり人真似で曜ちゃんの相手はキビしい………」
月「ここからは僕のオリジナルでいかせてもらうよ」
観客「チャンスだぞ曜ッッ」
観客「マッハ蹴り叩きこめェッッ」
曜「……………ッ」 千歌「曜ちゃん何してるの!」
月「ハハ……」
曜「…………ッ」タジ…
『何に怖気づいている渡辺曜ッッ』
『ハンドポケットの月に対して何故踏み込めないッッ』
梨子「もう…曜ちゃんは肝心なとこでヘタレちゃうんだから……」
鞠莉「曜――ッッ根性出してアタックする時だよ――ッッ」
ダイヤ「いや………」
曜「―――」ダッ
『覚悟を決めたか曜――――』
ダイヤ「いけませんわッッッ」 パアンッ
『アア〜〜〜〜〜ッッ!?』
ドシャアアアッ
曜「……………ッッッ」ムズ…
『かッ返り討ちだ〜〜〜〜〜ッ』
『ハンドポケットの月に、曜が撃ち合いで競り負けたアアッッ』
月「………」スポッ
千歌「そんなッッ曜ちゃんに限って……」
ダイヤ「居合ですわ」 善子「居合?」
ダイヤ「ポケットに手を突っ込み、一見無造作に立つ月さんのあの無防備な姿」
ダイヤ「あの姿が既に構えなのですわ!」
花丸「どういう事ずら?」
ダイヤ「抜拳してから―――攻撃を加えるのではなく」
ダイヤ「手の位置をそのままに腰を切ることで抜拳を完成させる」
ダイヤ「体勢は十分」
ダイヤ「拳の加速は既にポケットの中で終了しているのです」
ダイヤ「故に敵が構えた状態からスタートしても決して出遅れはありません」
ダイヤ「少なくとも五分」
ダイヤ「そして月さんの正拳の最高速は音速以上………」
ダイヤ「同じマッハの攻撃が撃てる曜さんとて、万全の構えから攻撃しなければ勝てませんわッッ」 曜「―――」バオッ
『曜がハネ起きたッッ』
曜「…っう……ッ」ヨロ…
『しかしダメージが大きそうだッッチョットよろけているぞッッ』
ダイヤ「当然でしょう……音速の打拳をまともに受けたのですから」
ダイヤ「後がありませんわよ曜さん………」
果南「……………」
曜「…ナルホドね……」
曜「ポケットから手を抜いているんじゃなくて手からポケットを抜いている」
曜「敵わないわけだ………」ス…
スポッ 月「!」
観客「ハンドポケットッッ……」
曜「な〜〜んか………」
曜「こっちの方が調子いいかも」ニ…
オオオオオオオ
観客「曜もポケットに手を……ッッ」
観客「オモシロイッッ」
観客「月がオチョクられてるッッ」
ダイヤ「ど………どういうつもりですか曜さんッッッ」
果南「……」ハア
果南「曜らしいね」 『なんという皮肉だッッ』
『曜のマッハを始め、その天才性で数々の猛者の技をパクってきた渡辺月ッッ』
『その月が満を持して出したオリジナルのポケット居合を、今度は曜がパクろうというのでしょうかッッ』
梨子(曜ちゃんも寒がりだし、ハンドポケット自体はたまにしてる)
梨子(でもそれだけの理由で、同じ天才の月ちゃんが編み出し、極めたマッハ居合を即興でパクれるものなの!?)
ダイヤ(いくらなんでも無理ですッッ絶対にッッ)
ダイヤ(飛び込みと関係ありませんものッッ)
果南「競うな」
果南「持ち味をイカせッッ」
曜「……」チラッ
曜「フン……」ズボッ…
月「!」 『なッ』
『なんと曜がさらに深く手を突っ込むッッ』
ズル…
『これは相当力を込めて突っ込んでいるのではないかッッ』
『ポケットに引っ張られて上着が下に伸びているぞッッ』
果南「…………ッ」ビキッ…
観客「バカかあいつ!?」
観客「あれじゃ抜けるもんも抜けねえだろッッ」
月(曜ちゃんの狙いは理解らないけど………)
月(決して油断はしないよ…)ズチャ…
『オオッ』
『月が間合いを詰め始めたぞッッ』 月「…………」ズ…
『ゆっくり………ッッすり足でゆっくりと間合いを詰める月』
曜「………」ジー
『曜は動かないッッハンドポケットも頑としてやめないッッ』
『上着が伸びるのもお構いなし!!ショートパンツが完全に隠れているッッ』
月「………」ズ…
ダイヤ(あと30………25cmッ)
ダイヤ(制空圏が触れるッッ)
海未(それが決着の時!!)
月「………」ズ…
曜(ダメだよ月ちゃん)
曜(前に出ると決めたならいつだって………)ス… 月「!!」
善子(曜が片足を上げ……)
全速前進じゃなくちゃ!!
パアンッ
真姫「!!!」
凛(曜ちゃんが一気に踏み出―――)
月「――」カッ
瞬間、月のポケットから超音速で手が抜かれる―――
パパアンッ 月(えッッ)
スカッ…
月(消えた!?)
グル…
月「!」ハッ
曜(前逆さ宙返り―――)
月(上かッッ)バッ
曜(三回半抱え型ッッッ)グルンッ 千歌(曜ちゃんの切り札だッッ)
善子(ここで…)
海未(このタイミングは躱せませんね)
真姫(終わった………)
月「―――」バオッ
!
ふわ…
月「――ッ」ニヤ… 彼方(消力……………)
せつ菜(間に合わせますかッッ)
にこ(どういう反射神経よッッ)
絵里(天才―――)
月(惜しかったね曜ちゃん――――)
ガシッ
月「ッッ!?」
回転の最中―――空中にあって曜の腕が月の身体が掴む―――
グイッッ
月(なんでッ) 月(なんで腕が自由に!?)
せつ菜(消力が使えないッッッ)
月(世界で数人しかできない超難易度の大技――――膝の“抱え”なくしてはできないハズなのに――――)
曜「―――」グルルンッ
月「!!」ハッ
上着の中に膝をスッポリ入れて………抱え…………
月(だからハンドポケットで伸ばして…………)
グワシャアアアァァァッッ 月「」ドシャアアッ
曜「――――っと……」スタッ
審判「勝負ありッッッ」
『勝負あったァ〜〜〜〜〜!!天才同士の異次元の対決ッッ』
『制したのは曜だァッッ』
梨子「ハンドポケットで伸ばした上着の中に膝を折り曲げて収納するなんて…」
梨子「あの状況でよくあんな発想が………」
ルビィ「衣装係だからだよ」
ルビィ「曜ちゃんはAqoursの衣装のこと、服のこと、ずっと一生懸命考えきたから……ッッ」
果南「持ち味……イカしやがったなァ〜〜〜……」 観客「曜ちゃ〜〜〜んッッ」
観客「勝利の決めポーズお願いッッ」
曜「よーしッ」
曜「全速前し…」
曜「!」ハッ
月「」
曜(もうやってるよ…)
敬礼(ヨーソローポーズ)
曜(最後の最後まで)
曜(私の取られちゃったよ…)ス…
・補欠選手控室
月「ゴメンみんなッッダメだったよッ」スリスリ
雪亜里よいつむ10「…」グー!
三回戦第二試合 曜〇 月× 刃牙VSズールみたいなのやってほしかったけど、そんなバーサーカーうちっちーぐらいか 善子(ショートパンツが完全に隠れて穿いてないみたいじゃない…えっろ) かなんて、ストリートファイター5でいうところの
ネカリポジションだよね 医務室。四人。花陽と聖良は各ベッドの上。付き添いで凛と理亞。
花陽「………………」パチクリ
凛「!!」
花陽「凛ちゃん………?」
凛「かよちんッッ」ギュッ
凛「かよちんかよちんかよちーんッッ」スリスリ
凛「かよちんが目覚めたにゃーッッッ」
理亞「チョット、うるさい…姉様が……」
凛「どうして鹿角さんが凛とかよちんの話に入ってくるの――ッッ!?」
理亞「〜〜〜〜〜〜〜ッッ」 聖良「良いんですよ、理亞」
理亞「姉様ッ」
聖良「こういう部屋だからこそ、騒がしい方が気も晴れるというものです」
理亞「………」ムス…
花陽「えっと……私、どうして………」
凛「かよちん?」
聖良「記憶が飛んでいるのかもしれませんね。無理もありません」
凛「凛が説明してあげるにゃー!」
カクカクシカジカ 花陽「そっかァ………じゃあもう試合は………」ズーン…
花陽「う…うう………」
花陽が顔を両手で覆って肩を震わせる。
凛「かよちん……」
理亞「………」
理亞「もっと、胸張って良い、と思う」
理亞「綺羅ツバサvs小泉花陽、スゴい試合…」
花陽「もう6試合も終わっちゃったのォッッ!!?」バッ
理亞「!?」
花陽「私とツバサさんの試合が二回戦の第四試合で、これから始まるのが三回戦の第三試合ッッ」
花陽「つまり私がスヤスヤしてる間に二回戦の五六七八続いて三回戦の一二試合が終わっちゃったことになります!!」 花陽「この大会でしか見れない貴重な貴重な闘いを六試合も見逃しちゃった……」エーンエンエン
理亞「………」
理亞「ネットで見逃し配信、あるから……」
花陽「スクールアイドルの試合観戦は録画じゃなくて生ッッッ!!」
花陽「リアルタイムで観る熱と興奮は生でしか味わえないものッッ!!」
理亞「〜〜〜〜〜〜〜ッッ」
花陽「!」ハッ
花陽「凛ちゃんッッ次の試合の組み合わせは……」
凛「えっと…にこちゃんと、優木せつ菜ちゃんだね」
花陽「にこちゃんとせつ菜ちゃんッッ!?」
花陽「これはスゴイ……ッッ要注目のマッチアップですッッ」 凛「せつ菜ちゃんが強すぎて……にこちゃんに勝ち目あるかなあ?」
凛「なんか真姫ちゃんと作戦練る?みたいな感じでちょっと前に出てったけど……」
花陽「あっ、それで真姫ちゃんいないんだね」
花陽「帰ってきたらちゃんとお礼言わなくちゃ……」
聖良「にこさんですか………」フッフッフ…
理亞「姉様?」
聖良「私も勝利のためには手段は選択ばないタチなんですが……」
聖良「あの人はズルいですよね……魅せ方が上手いですから………」
凛「魅せ方?」キョトン
花陽「プロ意識が高いってことだよ、凛ちゃん」 ・通路。
海未(三回戦も二試合を終えて……四強の座を掴んだのは果南と曜……………)
海未(どちらにしても極上の相手です………決勝が楽しみですね……)
海未(しかしその為にはまず……)
ぼいんっ
海未「ッ!」ズテンッ
にこ「ったく、ちゃんと前見て歩きなさいよ〜…」
海未「すみません、少し考えごとをしていて………」スッ…
海未「ヌアッ!!?」
にこ「何よ」ボイン 海未「いや、何って……………」
海未(体格がまるで違うじゃないですかッッ)
海未(というよりおっぱいがッッ)
10センチ………イヤ20センチ……ですか!?
にこ「海未は穂乃果とだっけ?」
にこ「私としては、どっちが上がってきても迷惑極まりないんだけど…」
海未(別人!?)
海未(5人目の姉弟!?)
海未(しかし私を知っている…ッッ)
にこ「ま、先に待ってるって言っといてあげるわ」
海未「あ………ありがとうございます…………」 にこ「じゃ」
海未「ハイ…」
ザッザッザッザ…
海未(パッド………………無からここまで盛れますか…………?)
海未(バカなッ)
打撃格闘技においておっぱいは重要な要素(ファクター)を占める。
武術を極めた海未がよもやサイズを見誤ろうわけもなく――――――
高校三年生を迎えた者のおっぱいが大きくなるなどということが果たして…………
海未(まさかッッ)
大会中に豊胸手術(オペ)完了ゥ――ッ!? 通路。相対する身長154cm。他には誰もいない。
にこ「……………………」ショボン…
せつ菜「……………………」
せつ菜「あの」
せつ菜「お話って、さっきの……」
にこ「せつ菜ちゃん」
にこ「わたしはもう3年もこの栄冠を目指している」
にこ「その長さ…………密度……」
にこ「あなたに想像ができるかしら」
せつ菜「にこさん…………」
にこ「せつ菜ちゃん……わたしにはもう時間がない」
にこ「それに………」スッ…
せつ菜「ちょ……」
にこ「あなたに勝てる実力もないのよッッ」ドゲザッ せつ菜「だ……だからって…………」
ポタッ…
せつ菜「え………………」
にこ「せつ菜さんッッッ」ポロポロ
にこ「お願いしますせつ菜さんッッ」
にこ「わたしに勝たせてくださいッッッ」
せつ菜「じょ……」
せつ菜「冗談じゃないですよッッ」
せつ菜「『勝たせろ』……ってあなた………………」
せつ菜「にこさんにだって闘士としての誇りがあるハズです」
せつ菜「全力を尽くしますよ私は」ザッ… にこ「待って下さいッ」ガシッ
にこ「あなたは若い、これからだってチャンスは―――」
せつ菜「いい加減にしてくださいッ」ガッ
せつ菜「私だって勝ちたいですよッッッッ私だってアナタが怖いですよ!!!」
にこ「ひ……」
せつ菜「試合場で会いましょう」クルッ
にこ「ひィィ」
ザッザッ…
にこ「ひィィィィ〜〜〜〜〜」
せつ菜「…………ッ」ザッ… 『三回戦第三試合ッッ』
『青竜の方角ッッ』
『烈士・優木せつ菜!!!』
ワアアアアアアア
『偉大なる先輩・Aqoursのメンバーを瞬く間に一蹴すること二度ッッ』
『未だ相手にまともに自分の身体を触れさせてすらいませんッッ』
『蛮勇とも言える快進撃は一体どこまで続くのかッッ』
せつ菜「…………」
かすみ「……なんか、せつ菜先輩…」
果林「ちょっと雰囲気暗いわね……」
『続きまして白虎の方角……』
『!!!!!』 『こッこれはッッ一体……………ッッ!?!?!?』
にこ「…………」ボイン
穂乃果「ええ〜〜〜〜ッッ!?」
『我が家のドアより薄ッペラだったあの胸が』
『圧縮した生ゴムを閉じ込めたように高密度に発達を遂げている〜〜〜〜〜〜〜ッッ』
観客「胸があるにこちゃんなんて〜〜〜〜」イヤアアア
観客「バカヤロウッッおっぱいがあろうが無かろうがにこにーはにこにーだッッ」
ざわ ざわ やざわ
絵里「フフ……」
絵里「遊んでいるわ」 ルビィ「にこさん、巨乳なんて弱点しかないって言ってたのにぃ…」
善子「結局、ただのひがみだったってことね」
凛「抜け駆けはずるいにゃーッッ」
真姫「…どうなっても知らないわよ、私は………」クルクル
『風雲急の第三試合』
せつ菜「…………」
にこ「…………」
審判「開始めいッッ」
『スタートオオオオッッ』 にこ「ダッシャッ」ピョンッ…
せつ菜「!」
『矢澤にこ、いきなりの大技――――ッ』
『ノーモーションからの延髄斬り――ッッ』
せつ菜「―――」
ガコッ
『あ…ッッ』
『当たった……ッッ』
せつ菜「…………ッ」 『拳雄・優木せつ菜が我々の目の前で初めて………』
にこ「ダッ」ブンッ…
ガッ
『更にローキックッッッ』
せつ菜「………ッッ」
せつ菜(これが……ッ)
にこ「ダッダッダッ」
ガッ ガッ ガッ
『ローキック、ローキック、ローキック』
『優木せつ菜、全く防御できな〜〜〜〜い』
せつ菜(これが仮にも宇宙No.1アイドルと呼ばれる方の攻撃!?) かすみ「何ですゥ?あのトロいローは…」
果林「あんな攻撃、せつ菜にとっては避ける意味もないというものね」
愛「あれェ、おかしいなァ〜」
愛「にこにーの動き、二回戦まではすっごい良かったのに…」ウーン
エマ「おっぱいの重さに身体がついてけないんじゃないかなあ……」
にこ「ハア、ハア、ハア」ガッ…
ルビィ「やっぱりおっぱいをつけたのは失敗だったんじゃ………」
花丸「策士策に溺れるずら」
にこ「せつ菜さん」ピタッ
にこ「ハア、ハア」 にこ「ダメージはあったかしら」
せつ菜「―――」
にこ「今わたしが仕掛けた攻撃でアナタはダメージを受けたかと尋いているのよ」
せつ菜(ない…………)
にこ「アナタは今そうして立っているけど………」
にこ「わたしは今の攻撃で立っているのがやっとよ」
にこ「仕掛けたわたしのほうがよッッ」
観客「にこがなにか言ってるぞ」
観客「声が小さくて聞きとれねェッ」
にこ「わたしの言いたいことがワカるかしらせつ菜さん」
にこ「アナタは今そんな哀れな少女を痛めつけようとしているのよ」
にこ「まともな攻撃すらできない哀れな少女を」 せつ菜「………………………………」
せつ菜「にこさん」
にこ「………………」
せつ菜「フンッッッ」ビュバオッ
ガキャアアッ
ダイヤ「なッ!?」
『オオオッなんとせつ菜も延髄斬りィィッ』
にこ「〜〜」ドシャアッ
せつ菜「寝ボケないでくださいよ先パイ」グイッ
せつ菜「アナタそうやって決勝まで登るつもりですか」 せつ菜「ここがどこだかワカってるんですかッッッ」
せつ菜「ここはですね……………」
ガシイッ
『フロントネックロックだ――――ッ』
せつ菜「最強を決定る場所ですよ!」ミキイッ
『ひねりをくわえた―――ッ』
にこ「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
『これは強烈だ――ッ』
『人を絶命し得るとも評されるプロレス技がにこの首を締めあげている――』
ダイヤ(せつ菜さん……中国拳法専門ではなかったのですか………ッッ) 『矢澤にこ絶体絶命―――ッ』
にこ「………」スッ…
チョンチョン
せつ菜「!」
せつ菜の腕をにこが人差し指で二回小突く。
せつ菜(タップ!?)
にこ「ギバ………プ」ボソ…
せつ菜「〜〜〜〜〜〜ッッ」
にこ「ギ……ギブアップよ……………」
にこ「アナタの…勝ち…………」
せつ菜「………」 パッ
観客「せつ菜がにこを解放したッッ」
観客「決まったのか!?」
希「若い…なあ…」
せつ菜「ありがとうございましたッッ」ペコリ
観客「せつ菜の勝ちだッッ」
ヒデコ「え…」ガタッ
理事長「………………」
理事長「いつ終わったの……………??」 にこ「オラァッ」グシッ
せつ菜「ッッ!!」
『にこがせつ菜の股下を蹴り上げたアアッッ』
せつ菜「〜〜〜〜〜〜」グラ…
にこ「誰も聞いちゃいないのよ私のギブアップなんて」
せつ菜「…………………ッッ」ドシャッ
にこ「さあみんなッッもっと声出してぇ〜〜〜〜ッッッッ」ヒョイヒョイッ
オオオオオオオオ
にこ「ここからが超アイドル・にこにーのステージにこ♡」ニコッ せつ菜「〜〜〜〜ッ」ムズ…
にこ「ヘッ」
歩夢「今のは効いちゃったみたい……」
愛「そりゃ痛いよ〜アレは…」
にこ「ッシャア」ピョンッ
ドガッ
『ふッ踏みつけェ〜〜〜〜ッッ』
にこ「ッシャア、ッシャア」ドガッ ドガッ
ダイヤ「おっぱいで体重が増えた分、威力は以前より上昇(アップ)しているでしょう」
ダイヤ「その比率ッ実に30パーセント!!!」
ルビィ「さんじゅッぱあせんとォ?」
にこ「オラァッ」グイッ
『にこがせつ菜を引き起こすッ』 にこ「ホンモノのにこにーに会わせてやるわ」
かすみ「なにモタついてんですかせつ菜先輩」グヌヌ
かすみ「あんな可憐な美少女相手にィ」
希「可憐………?」スッ…
かすみ「!」
絵里「あのにこがかしら?」
にこ「ウラアッ」ゴキャッ
せつ菜「〜〜〜ッッ」
『オオッ力強い右ストレートだァ〜〜〜〜ッッ』
かすみ「なッ……」 にこ「ダッ」ベキィッ
せつ菜「ッッ!」
『またまたローキック〜〜〜ッッ!!』
にこ「――」ガキッガキッ
せつ菜「〜〜〜〜〜ッッ」
果林「なによちょっと」
果林「さっきまでと全然違うじゃない」
かすみ「曜さんばりのローキック打ちますねッ」
かすみ「あの小悪魔、ブラフかましてたんですか………腹黒いマネを……」
絵里「フフ」
絵里「今さらにこを卑怯者よばわりするなんてずいぶんとまたノンビリしたというか…………」 にこ「フンッ」ガッ
せつ菜「ッッ」
『脳天に手刀〜〜〜〜ッッ』
にこ「ヤッ」グルンッ
グワシャッ
しずく「後ろ廻し蹴りッッこれも速いッ」
愛「あちゃ〜〜もろ………」
せつ菜「――――」グラ…
歩夢「せつ菜ちゃんッッ」
エマ「あの揺れ方はマズイかも…」 にこ「――」バッ
果林「!!」
果林(あの構えはッッ)
ルビィ(おっぱいの先端を…)
ピインッ
せつ菜「――ッッ」カア…
ドシャアアアッ
『やッ矢澤にこ圧倒的ィ―――――』
『せつ菜に全く反撃のスキを与えない〜〜〜ッッ』 ダイヤ「思えばにこさんも、一、二回戦をほとんど無傷で勝ち上がって来ていたのですわね」
ダイヤ「それにしても胸を得たにこさんがこれ程のレベルだとは思いもしませんでしたが」
ルビィ「………」ムーッ
ダイヤ「踏みつけだけではありません、あらゆる打撃の威力が確実に上昇(アップ)しています」
ダイヤ「胸の体重増加をここまで生かせるのは、おっぱいを熟知しているにこさんならではでしょう」
歩夢「せつ菜ちゃん、頑張れッッ」
愛「せっつー!気合だよ気合ッッ!!」
せつ菜「…………」ピクピク
果林「キビシイわね…持つ者(私たち)にとってあの技は効きすぎる」
璃奈「私には理解らないセカイ…」 観客「スッゲェ〜〜〜〜〜〜〜あのせつ菜が問題にならないなんて」
観客「やっぱにこにー最強だッッ」
ニーコッ ニーコッ ニーコッ ニーコッ
にこ「にこッ♡」
絵里「たった数分で、豊胸の困惑もどこへやらね…」
希「敵わんなあにこっちには」
彼方「……」ファ…
海未「……………………」
白虎側入り口から一人見守る海未。
海未(何故です……………?)
海未(にこが勝つ姿が思い浮かびません) にこ「これで…」
せつ菜「………………」グッタリ
にこ「どうあがいても終わりだわ」
『まだやるのかにこッッ』
にこ「ダメ押しィイイイッッ」ドギャッ
せつ菜「ぁぐッッ」ビクンッ
『喉を踏みつけたァ――――――ッッ』
海未「にこッ逃げてくださいイィッ!!」 鞠莉「油断も手加減も一切なし…」
善子「えげつないわ…」
せつ菜「……」ガクンッ
にこ「悪かったわねせつ菜ちゃん」
にこ「大人気なくヒッサツしちゃったわ」
海未「もういいです」
海未「帰ってきてくださいにこ」
にこ「――」クルッ
ザッザッ
審判「勝負あ」
審判「…ッ………………」
にこ「あら」ザッ… にこ「海未、アンタわざわざこんなとこから見ててくれたのね」
海未「……………」
にこ「いい汗かいたわ………………タオル持ってる?」
海未「………」ジトッッッッ
にこ「なんてツラしてんのよ、タオルだって」
海未「にこォ……」
にこ「……………」
海未「まだ終わっていませんッッッッッ」
にこ「――――ッ」ハッ にこ「ッッ」バッ
にこが咄嗟に身を屈める。
ボスッッ
頭上ギリギリを拳が掠める。
にこ「……………ッ」ヒヤ…
観客「決着はまだだ――――ッ」
観客「元気だよせつ菜ッッッッッッ」
にこ(これ以上は本当に死ぬっつーの)
にこ「もうやめときなさ……」クルッ
にこ「!!?」 せつ菜「いいえ、まだまだですッッ」キラキラ
にこ「な…ッッ」
にこ(マジで元気じゃないッッ)
せつ菜「肉体的苦痛があるレベルを超えたとき――苦痛はむしろ陶酔感と変化し――――――」
せつ菜「肉体は爆発的な負担を跳ね返す耐久力を宿す」
せつ菜「人体にそのような能力(ちから)が存在することを近年西洋医学にて証明されたと聞きます」
真姫「………ッッ」
せつ菜「古代中国拳法で言うところの復元!!!」
せつ菜「私達の稽古は復元を日常化することを伝統としますッッ」
彼方「せつ菜ちゃんにとっては、これでやっとスタートラインってとこかな〜〜……」 せつ菜「それにしてもすばらしい攻撃でした」
せつ菜「アナタはやはりホンモノです!」
にこ「…………」
にこ「ぬかしてくれるじゃない、小娘が」ケッ
にこ(や…ヤバいッッ)
せつ菜「もし神様というものがこの世に存在(いた)のなら」
せつ菜「今宵矢澤にこさんという極めつけの武道家(もののふ)と引き合わせてくれた幸運を心から感謝したい!!」
にこ「大げさなのよアンタはいちいちねェ」ヘッ…
にこ(ヤバすぎるわコイツッッ)
果林「ああいう途方もない台詞を本当に“心から”言えるのがせつ菜の強いところよねえ…」
せつ菜「皆さ―――んッッッッ」バッ
『拳を天に突き上げたせつ菜ッ』 せつ菜「にこさんだけじゃなくッッ私の応援もよろしくお願いしますねッッッ」ピョンッ
ワアアアアアアアアア
にこ(ホンモノ………正真正銘の本物………)
にこ(実力(ちから)も…精神(こころ)も………スクールアイドルとして超一級…………ッッ)
せつ菜「にこさんッッ」
せつ菜「二人で最高の試合(ステージ)にしますよッッ」ビシッ
にこ(だからってッ………いや、だからこそ……………ッッ)
にこ「当然でしょ…………!」
にこ(絶対に敗けられない…………ッッ)
にこ(“ホンモノ”の先輩として、何が何でも上を行ってやるわッッッ)クワッ
花陽「ここで死ぬ気だねにこちゃん…」 親父逃げろぉぉ!(テンション高)からの親父、まだ終わっちゃいねぇ!(テンション低)が再現されてて吹いた >>打撃格闘技においておっぱいは重要な要素(ファクター)を占める。
参考になるなあ 詠春拳の開祖は貧乳だったらしい
突きに邪魔だとかで せつ菜「フウ………」ズチャ…
『復活したせつ菜が前に出る』
にこ「――」ビュンッッ
『遅れてにこもッ』
『しかし速いッッッ』
絵里「おっぱいターボ……」
希「いきなり使いこなしとるやん」
にこ「おぎゃッッ」バオッ
『勢いそのまま前蹴りイイィッッ』
愛「また股狙いだッッ」マタダケニッ パンッ
にこ「!」
『な』
せつ菜「――」シュウウ…
『なんと蹴りを掌で止め………』
せつ菜「ハイッ」パシッ
『さらに足首を掴んだ!!』
グリッ にこ「ッッ!」ズキン
ダイヤ「三陰光圧痛」※すねの内側、足首から約10cmにあるとされる急所。
にこ「………ッ」
にこ「この…」ブンッ…
せつ菜「――」グルンッ
千歌(回転!)
ピシャンッ
にこ「ッッ」
梨子「後ろ髪を目に叩きつけたッッ」 せつ菜「……」ピタッ
にこ「!」
せつ菜の拳がにこの腹にピッタリとくっつけられる。
ダイヤ「寸勁……ッッッ」
せつ菜「フンッ」ドウンッ
にこ「―――」ブワッ…
『吹っ飛んだ〜〜〜〜ッッ』
『ゆうに6mッイヤ7mッッ』
善子「スンケイって…」
ダイヤ「別名1インチパンチとも呼ばれる――相手に触れた状態での直突き」
ダイヤ「古代中国が生み出した超ベリーショートパンチですわァッ」 にこ「―――ッッ」ダアアンッッ
『壁に激と〜〜〜〜〜〜〜つッ』
かすみ「ぃヨッシャア」
かすみ「しょせんニセパイです」
かすみ「まっとうな戦力となりゃせつ菜先輩が圧倒的ですよ」
せつ菜「………」ズチャ…
絵里「まっとうにやれれば…ね」ニィ…
スッ…
せつ菜「……?」 観客「なんだァ?」
観客「にこが手を挙げて……」
にこ(今よ!!!)ビッ
???(さ…合図ですね)スッ…
向かいの客席、一人の客がおもむろに立ち上がってマスクを外す。
せつ菜「え???」
せつ菜の視界に入って来たその顔は―――――
???「…………」ニコッ
せつ菜(にこ………さん!!?) せつ菜「…………………………ッッッッ」
せつ菜(胸が無い)
せつ菜(本物ッッ)
せつ菜(今私が闘っているのは!?)
せつ菜(替え玉)
せつ菜(手術したのは顏の方!!?)
せつ菜「!」ハッ
こころ「にっこにっこにー♡」
せつ菜(小さ……ッッッ)
にこ「ダッシャアッ」ドキャッ せつ菜「――――――ッッ」ドシャアアッ
『逆転のドロップキックがせつ菜の後頭部にヒットオオオォッッ』
にこ「気付いたようね」
にこ「モチロンあの子は矢澤にこじゃない」
にこ「私の妹よ」
せつ菜「〜〜〜〜〜ッ」ムズ…
にこ「アンタは数瞬で見破ったワケだけど……」ガッ
せつ菜「!」
にこの左足がせつ菜の首の後ろにかかり、両腕も身体に巻き付く。
にこ「それで十分よ」ガチイッ 『卍ィ〜ッ!!』
ギチイッ…
愛「タコみたいだッッ」
しずく「手足を絡めて……完全にキマってますッッ」
希「あれやね」
希「あれが大人の実力(ちから)ってものやん」ニシシ
かすみ「目的のためにゃ手段は選ばないッて人ァずいぶん見てきましたけどォ」
かすみ「これほどエゲツない方は初めてですよッッ」
せつ菜「…………」
海未(あの卍は脱出不可能ですね)
海未「!」
海未(卍………………?) 『イッイヤッッ』
『これは卍固めではありませんッ』
海未(極め方が微妙に違う……)
『初めて見るシロモノですッ』
にこ「にこにー特製の〜新卍にこ♡」
オオオオオオオオオオオオオ
千歌「すごい盛り上がってる…」
ダイヤ「お客さんの欲しているものを理解っている、理解りすぎていますわ」
聖良「フィニッシュホールドに自分だけのオリジナルを持ってくる」
聖良「ニクいですね……」 ニーコッ ニーコッ ニーコッ ニーコッ
にこ「フフフ…」
せつ菜「………あ………」
にこ「!」
せつ菜「ア……リ…ガ…………ト…」
にこ「アァ?」
せつ菜「にこさん……………」
せつ菜「ありがとうございますッッ」
にこ「ア……アンタこの期に及んで……ッッ」 せつ菜「――」スルスルッ…
!
にこ「なッ……」
海未「馬鹿な……ッッ」
観客「卍が外れたッ」
観客「イヤッ…外したんだ……………簡単にッッ」
にこ「…………ッッ」
穂乃果「なんで……」
ことり「貧乳さんってけっこう硬いんだよね体が………」
ことり「おっぱいがある子と無い子では日頃肩や背中にかかる負担」
ことり「そしてその軽減のための柔軟運動に費やされる時間に雲泥の差がある」 ことり「バストサイズ80cmを超えると稽古以外でも一日30分以上もストレッチに時間を割くこともあるぐらいなんだよ」
穂乃果「………へー…」ジトー
ことり「ましてやせつ菜ちゃんレベルの低身長巨乳となるとその柔軟性たるや――――」
ことり「体操選手やヨガ選手が裸足で逃げ出そうってものだよ」
ことり「あの新卍にしてもにこちゃん自身の―――貧乳さんの関節を前提にして考案されたシロモノだよね」
ことり「通じるワケがないのですッ」
果林「持つ者(私達)の日常の苦悩までは想像できなかったようね」
果林「百聞は一見に如かず―――百見は一触に如かず」
果林「持たざる者の限界よッッ」 せつ菜「にこさん」
せつ菜「あなたに心から感謝したいです」
にこ「…………ッッ」
せつ菜「あなたからは本当に多くのことを学ばせてもらいました」
せつ菜「勝ちたいのなら何をすべきなのか」
せつ菜「どれほどのことをしなければならないのか」
せつ菜「だからこそ…」ザッ…
全力で…………
ドドドドドッ
『せつ菜の一転攻勢〜〜〜〜〜〜ッッ』
オオオオオオオ 観客「せつ菜もすげえぞッッ」
観客「負けるなにこにーッッ」
ニーコッ セ・ツ・ナッ ニーコッ セ・ツ・ナッ
『観客が総立ちだ〜〜〜〜〜〜〜』
千歌「スゴイ……ッ」ゴクリ
ダイヤ「…ですが……もう…………」
ドドッ ベキッ ガッ ガキィッ
にこ「〜〜〜〜〜〜」
聖良「万策尽きましたかにこさん……」
凛「もうダメだにゃーッッ」ワーン 真姫「…………」クルクル
シュウウ…
せつ菜「!」ピタッ
希絵里「あッ!!!」
にこ「…………」シュウウ…
観客「あああ………」
観客「にこの胸が……」
花丸「痩せて………小さくなって……………」
ダイヤ「というよりこれは……」
ルビィ「元に戻っちゃってるッッ!?」 希(やっぱり……)
絵里(やっぱりこうなってしまうのね………ッッ)
豊胸手術…………
絵里(近代美容整形における恐らくは最高にして最凶の悪魔――――――)
絵里(一体何人の悩める貧乳がこの高級コールガールの毒牙にかかったことか)
希(人口おっぱいは砂上の楼閣――――突然すべてが崩壊するリスクはごく平和な日常生活を送るのにさえつきまとうもの)
希(それは何十年後かも――何日後かも――何時間後かもしれない)
海未(やはり無謀だったのですッッこの激闘の合間に手術(オペ)執行なんて………)
海未(手術してすぐ闘おうなんて………)
希(神の配慮に背くッッ)
絵里(行きつく果ては!!!)
にこ「……………」ペッターン……
避けられぬ破滅 希(これ以上は―――)ダッッッ
絵里(認められないわッッッ)
絵里「理事長ッこれ以上は無理ですッ」
絵里「友人の立場からはもうこの試合は看過できませんッッ」
理事長「………………」
絵里「理事長ォッッッ」
理事長「決着をつけられるのは闘っている二人だけよ」
理事長「観客(私達)に決められるのは、それを見るのか見ないのか……」
絵里「そんな……」
理事長「一歩でも闘技場に入って見なさい」
理事長「音ノ木坂学院は、廃校にします」 希「にこっちッッッ」タタタッ
絵里理事長「!」
希「試合は終わり」
希「カードの指示に従うんやッッ」
にこ「邪魔すんじゃないわよ……」
希「にこっちッッ」
希「ウチは力ずくでも…」わしっ
希「!」
希(え…)
にこ「…………」ピシイ…
希(この弾力……!?) にこ「希」
希「!」
にこ「カードはなんて」
希「………!」
シャッシャッ
ピッ
希「!!」
希(『世界』……………ッッ)
希(意味するのは…………)
“完成”………………!! 希「にこっち…………」
にこ「悪い目じゃなさそうね」
にこ「続行けるわよ」ズチャ…
希「……………ッッ」
希(まさか………)
絵里(まさかッッ)
海未(まさかアレは…)
花陽「真姫ちゃん…………にこちゃんの胸……」
真姫「…そうね」ハア
マッキシング!!!! ―
――
―――
・試合前。一室。真姫とにこ。
真姫「用意はできてるわよ」
真姫「この通り……」
ズラァァ………
テーブルの上にはありったけの薬品、薬物。
真姫「私の自作(オリジナル)もあるわ」ス…
真姫「ただし猛毒かもしれない」ニヤリ
にこ「……………」 真姫「本当に飲め……」
バッ
真姫「!」
ゴクゴクゴクゴク
真姫「…………ッッ」
にこ「次」
真姫(胸部のみに特化した筋肉増強薬―――都合25種類)
真姫(狙いは巨乳化のその後―――おっぱいのマッキシング)
真姫(ケド………) 真姫「薬物を克服なんて………そう易々とできるもんじゃないわよ」
にこ「ワカってるわよ」
にこ「でもこれしかない」
真姫「………………」
にこ「全てをおっぱいに委ねる」
にこ「生まれ落ちてから今日この瞬間(とき)まで音をあげずに私についてきた」
貧乳(あなた)を信じる
ゴクゴクゴクゴクゴク…
ズブッ… グ……
ガリッ ガリッ ガリッ…
―――
――
― にこ「無知な巨乳どもにはたどりつけぬ境地がある……………」
にこ「薬物と滅びゆく乳とのせめぎ合いの果てッ」
にこ「薬物を凌駕する例外の存在!!!」
にこ「日に30時間の鍛錬という矛盾のみを条件に存在する肉体」
にこ「10数年その拷問に耐え、私は貧乳を超えた!!!」ピシィッ
真姫「丹念に造り上げられた巨大なおっぱいは、贅肉と断ぜられ淘汰され―――切り捨てられ―――」
真姫「筋と見紛うほどに細く引き絞られた高密度な胸はまさに――――」
Diamond princess style!!!
絵里「フンッ」
絵里「私だけ仲間はずれってわけね……」
ルビィ「にこさん、嘘ついてなかったぁッッ」パアッ
ルビィ「やっぱりおっぱいなんていらないんだよッッッッ」 千歌「で、でも………」
千歌「真姫さんみたいに全身ならワカるけど、おっぱいだけがダイヤモンドみたいになったところで………」
にこ「―――」ダシュッッッ
せつ菜「!!」
曜「速いッッ」
善子「おっぱいターボ以上だわッッ」
ダイヤ「文字通り身体が軽くなったのです」
ダイヤ「巨乳を経験してからの無乳化―――それが生むスピードの強化というメリットは、体重(ウェイト)の減少のデメリットを考えてもなお余りあるものですわ」
にこ「――ッッ」ブンッ せつ菜「――」カッ
パンッ パシッ パッ パンッ
『な…なんという攻防だッッ』
『迅いッ』
善子「このヨハネアイを持ってすれば……」グヌヌ
『みッ見えませんッッ』
『我々の目からは何も見えませんッッ』
千歌「曜ちゃんッッ」
梨子「何が起こってるの?」
曜「にこさんの猛ラッシュをせつ菜ちゃんが全部捌いてる……」 パシッ パシッ パッ パパパンッツ
『さらに加速ゥ――――!?』
にこ「―――」バババッ
せつ菜「―――」パンパンパンッ
『譲らないッッ両者一歩も譲らないッッ』
ダイヤ「二人とも人間じゃありませんわ………」
『全くの互角だァ――――ッッッ』
海未「…………いや…」
パパパンッ パシッ パシパシッ パパパパパッ にこ「――――ッ」
せつ菜「…………」
海未(互角とは言えません……あくまでにこの攻撃をせつ菜が捌いているだけ……)
海未(せつ菜を防御に専念させるほどにこが攻め込んでいるとも言えますが――――)
せつ菜「――」ボッ
にこ「!」
海未(左の崩拳ッッ)※中段突き
海未(命中(あた)りますッッ)
ポキッ
せつ菜「ッッ!?」ズキン
にこ「フンッッッ」ブッ… せつ菜「ッッ」ピョンッ
ガッ
にこ「チッ」
ブワッ…
穂乃果「おぉ〜…」
曜「足で受けた……」
タンッ
せつ菜「…………ッ」ポキッ…
愛「せっつーの左拳がッ」
エマ「中指がイッてるね……」 ダイヤ「ダイヤモンドを殴ったのです」
ダイヤ「当然の結果ですわ」
ルビィ「おっぱいの鎧よりすごい、絶壁の鎧だッッ」
にこ「あえて胸にスキを作ったのよ」
にこ「アンタが確実に“当ててくれる”ようにね」
せつ菜「………ッ」
『さあ再び間合いが開いたッッ』
『仕切り直しだッッ』
ダイヤ「せつ菜さんはキビしいですわね………」
ダイヤ「果たして中国拳法に片拳であの鎧を破れる引き出しが残っているか…」 せつ菜「……………………」スゥ~…
『せつ菜が動いたッッ』
せつ菜(あるもの………)
『こッこれはいったい……!?』
プクウ…
『優木せつ菜の上半身がッッ』
『まるで風船のような…………ッッッ』
せつ菜(全てを!!)プッ
『!!!』 ピシッ
にこ「ッッ!」ギュッ
『なッなにが起こったァ―――ッッ』
ダイヤ(空気を飛ばしたッッ)
ダイヤ(見えない目潰しッッ!?)
海未(似ている――――)
海未(あんじゅの毛飛ばしに―――あるいは私の破廉恥キッスにも―――――)
せつ菜「……」ずいっ
にこ「――ッ」
『せッせつ菜の間合いだァ―――』 せつ菜(あるもの全てを使用える――――)パッ
ダイヤ(掌……)
せつ菜(謝謝(アリガトウ)ッッ)ス…
ドワンッ
真姫「ッ!!!」
月「………!」
『これはッッ』
にこ「――――ッ」プシャアアアア
ドシャアッ 『打震ですッッなんと先程の渡辺月に続いて、せつ菜までも打震!!!』
『こうも続けざまにパクられては真姫の立つ瀬がな〜〜〜〜〜いッッ』
ダイヤ「いやッッ」
せつ菜「パクりとは心外ですね」ムッ
ダイヤ「掌の打ちつけ方が微妙に違いますッ」
ダイヤ「恐らくは打震の“源流”――――」
ダイヤ「中国拳法、北派の技法ですわッッ」
せつ菜「この際ですからハッキリ言っておきましょうか」
せつ菜「二回戦で宣言した『アナタ達のいる場所は2000日以内に通過する』の真意」
にこ「………………ッッ」ムズ…
せつ菜「あの言葉は千歌さん一人に対してのものでも、Aqoursの皆さんに対してのものでもありませんッッ」
せつ菜「本日この大会の参加者ッッ否ッ我々虹ヶ咲以外の全スクールアイドルに対してのものです!!」 曜「なッ…」
穂乃果「ひえ〜〜〜」
千歌「―――ッ」
せつ菜「そして、それはあくまで皆さんの“実績”についての話です」
せつ菜「こと実力―――格闘技術の話でいえば」
せつ菜「皆さんのいる場所は我々中国拳法家が三千年前に通過しています!!!」
鞠莉「〜〜〜〜〜〜〜ッッ」
海未「………ッ」
果南「……………………」
にこ「……………………ッッ」
せつ菜「格闘技者の――スクールアイドルの――皆さんの持つ技術」
せつ菜「空手も、医術も、プロレスも、あれも、これも、どれも全てッッッ」
せつ菜「全ての源流は我が中国拳法にあるということですッッッッ」ポイッ 『!!!』
絵里「靴を……」
亜里沙「まさかッッ」
せつ菜「ハイィッッ」ダシュッ
『これは絵里の―――』
せつ菜「“絵里さんの”ではなく、私の―――― “中国拳法の”領域ですッッ」
ガシイッ
『足でにこの髪を掴んで引き起こす〜〜〜〜〜』
せつ菜「フンッッ」バッ
曜(逆足の膝を――――)ゾクッ…
曜(顔面に……ッッ)
ゴシャアアアッッ にこ「〜〜〜〜〜〜〜ッッ」ブシャアッ
ズチャッ…
『に…』
にこ「……………」ウツブセー
『にこ撃沈〜〜〜〜〜〜ッッ』
せつ菜「やりましたッッ」ピョンッ
ダイヤ「中国四千年――――四千年という時間(とき)――――その重み」
ダイヤ「もう一度考え直さなければいけないようですわね」アセタラ… せつ菜「皆さんの声援のおかげですッッ」
ワアアアアアアアアアアアア
にこ「ちょ…」
せつ菜「!」
にこ「ちょうしこいてんじゃねェ小娘ェッ!!」スクッ
ダイヤ「あ…」
曜「あれで終了らないの……ッッ」
せつ菜「にこさん…」ニヤリ
ザッザッ…
にこ「おおお…ッッ」
せつ菜「ちょうしこかせてもらいます!!!」ザッザッザッザッサ ダイヤ「あ、あ、あれは………ッッ」ガタガタ
穂乃果「ツバサさんの…………ッ」
海未「マホメド・A-RISE流ステップ…………ッッ」
せつ菜「“舞”についても―――我が中国が最も永く、濃い時を刻んでいますッッ」
ダイヤ「歴史が………」
ダイヤ「違いすぎますわ……」
にこ「……………………ッッッ」
そういうことなのだ………
にこ「ッッ」キッ にこ「――ッ」ビュンッ…
優木せつ菜に勝つということは―――――先人達に全勝するということなのだ………ッ
にこ(神さま………………………………初めて貴方にお懇願いいたします)
にこ(どうか…………………………)
せつ菜「―――」シュララッ…
にこ(どうか私に勝―――――)
ピタッ
ダイヤ(顎に…) ゴッッッ
ダイヤ(寸勁………)
にこ「―――――――」ブワッ…
希(にこっち……)
絵里「……」グ…
ダアアァァンッッッ
にこ「……………………」
にこ「」ガクンッ
審判「勝負ありッッ」
せつ菜「ありがとうございましたッッ」パン 『決着……………!!』
『Cブロックからの勝ち上がりは優木せつ菜だッッ』
ざわ ざわ ざわ
観客「せつ菜強ェ〜〜〜」
観客「誰も勝てねェッ」
せつ菜「……」ニコッ
クルッ…
チチチチチチチ………
せつ菜「ッッ!?」バッ
にこ「………………………」グッタリ
チチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチチ せつ菜(これは…………ッッ)
せつ菜「まだ終わっていませんッッ」ダンッ
ミカ「優木選手?」
フミコ「勝負ありですよッ」
せつ菜「いえッッ」
せつ菜「まだ……」
果林「何?」
かすみ「せつ菜先輩が決着を……」
ヒデコ「にこ先輩……」ス…
せつ菜「アッダメですッッ」
ダラリと壁にもたれ座るにこに、ヒデコが近づくと―――― ガキイッッッ
ヒデコ「ッッ!!?」
にこの両腕がネズミ捕りのように―――ハグでもするように超高速で閉じた。
両手は三本指が立てられている。
ヒデコ「……………ッッ」ヒヤ…
ダイヤ「まさか、擬態!!?」
にこ「」
果南「イヤ…」
果南「本当に失神してるよ」
し………ッッ失神したまま………!!? 海未「なんという執念………」
穂乃果「…ヒデコだから良かったケド……」
ことり「もし……超肉体のせつ菜ちゃんがにこちゃんに近づいていたら」
真姫「にこちゃんの指はせつ菜の横乳を突いて――――」
心肺を強烈に圧迫していた可能性 大
花陽「そうなったら………結果は逆だったッッ」
自身に刻み込まれた細胞の記憶
意識失えど尚にこ… 地上最強のにっこにっこにー
三回戦第三試合 せつ菜〇 にこ× 穂乃果と果南って
技らしい技を使わずに勝ってるよな... 遅くなっててすまぬッッッ
今日中にほのうみ戦上げます 朝になったら書かれ終わってると思って寝たら
今日中ってそういう意味かい! ・白虎側入り口前。
凛「1ッ2ッ3ッ4ッ」パァンッ パンッ
穂乃果「凛ちゃん、ちょっとずれてるよ〜」タンタンタタタンッ
凛「やっぱりコレ難しいよ〜」パンッ パァンッ
穂乃果「ほら1ッ2ッ……」タンッタンッ
にこ「………」ザッ…
凛「あッ!」
穂乃果「にこちゃん!」 凛「にこちゃん、惜しかったねー…………」
穂乃果「ズルするからだよ…」
タンッタンッ
にこ「うるさいわね…ズルでもなんでもよかったのよ………海皇になれれば…………」フンッ
にこ「………………」
タタンッタンッタンッ
にこ「………アンタそれ何やってんの?」
穂乃果「何って…」
凛「見れば分かるにゃー」
タンタタタンッ
穂乃果「ウォーム・アップだよッ!!」ババンッ ・青竜側入り口前。
海未「ウォーム・アップですか………………」
花陽「うん、いつもやってるダンスのステップを…」
海未「ぶっ」
海未「武というよりは舞、舞踊ですね」
しょせんはスポーツ・マンですねえ!
花陽「…ぶ………?」パクパク
海未「しかし何故おにぎりを………?」
花陽「なんだァ?てめェ…」 『三回戦第四試合!!』
『ロマンをかきたてずにはおかない一戦がここに実現しましたッ』
『園田海未vs高坂穂乃果!!一回戦の海未vsことりに続く、μ'sの二年生対決ですッッ』
ワアアアアアアアアア
穂乃果「負けないよ、海未ちゃん!」
海未「こちらこそ」
『静かに笑みをたたえた両者の表情からは血生臭さは読み取れませんッ』
『しかし今からこの両雄が真剣勝負で立ち合うことはまぎれもない事実ですッ』
絵里「にこが負けてしまったから、この試合の勝者がμ's(私達)の最後の砦になるのね」
にこ「…………ま、どっちが勝っても」
希「不足はないやろうね」
審判「両者下がってッッ」
ザッザッ…
審判「開始めいッッ」ゴワアアアンンン 海未「………」スタスタ
穂乃果「………」テクテク
『間合を詰めます両雄ッ』
『しかしその歩みはまるで散歩に出掛けるかのようにさりげなく……』
穂乃果海未「――」バッ
『拳と開手ッ』
『剛と柔ッ』
海未「………」グー
穂乃果「………」パー
『奇しくも両者の取った構えは同じ構えだァッ』 ダイヤ「穂乃果さんは当然穂乃果スペシャル狙い」
ダイヤ「海未さんとしては打撃戦を展開したいといったところでしょうか」
穂乃果海未「…………」ジーッ
『仕掛けないッッッ』
『両者あと半歩の間合いで動きを止めたままです』
海未「……では」ス…
穂乃果「――」ダシュッ
海未「!」 ダイヤ(海未さんの出足をッッ)
海未(こ…このッッ)
ガシッ
穂乃果「そぉらッッ」ゴオッ
『いきなり炸裂穂乃果スペシャルゥ―――』
海未「―――――ッ」
『武神が地面と平行に飛んでいく〜〜〜〜ッッ』
にこ「ハア?」 ダアアンッ
海未「〜〜〜〜」
絵里「フフ、受け身とったわね」
にこ「イヤ、それは良いけど………」
海未「……………ッ」
海未「ナルホド」スクッ
穂乃果「………」ニィ
海未「追いつきましたよ」ニコッ
にこ「海未の奴、何フツーに投げられてんのよ」
にこ「合気はどうしたのよ合気は」 希「海未ちゃんの合気――――」
希「敵意殺意を持つ技ならどんなに速くてもものの数ではないやろうけど」
希「あ〜〜まで見事に意を消されるとなァ」
絵里「護身術の最高峰と言える合気も、あの穂乃果の前では形無しだわ」
にこ「どういうこと?」
絵里「相手の敵意を利用して力を返すのが合気――――」
絵里「けれど穂乃果の攻撃には敵意がない」
絵里「穂乃果の頭の中には、海未をブッ倒そうなんて気持ちはないのよ」
海未「これは…………………決闘じゃない……」
海未「私達二人が向き合う以上………どこまで行っても…」
親友喧嘩! 穂乃果「だから…………急所は狙わない…………!」
海未「親友喧嘩とは……ダメージを狙わない」
穂乃果海未「フフフフフフ」ニッコリ
ことり「…………………」ムス…
にこ「………ケッ、って感じだけど」
にこ「とにかく自慢の合気が使用えないとなると、海未は苦しいわね」
希「いや〜〜〜〜」
絵里「どうかしら」フフフ
海未「だったら……………これが良いですかね」ユラ…
穂乃果「!」
合気のない園田海未は強くない
そんな奇跡は期待しない方が良い…… ダイヤ「おッ」
ダイヤ「海未さん、あれをやる気ですかッッ」
海未「私の修めた技術(わざ)の中ではそう優れたものとは言えませんが………」
海未「こういう時には都合がいい」だら…
彼方「脱力〜〜……」
海未「殺傷力が低く……苦痛は絶大…」だら…
穂乃果「へ…………………やったらいいじゃん……………」
穂乃果「前みたいにさ………」ニヤ…
海未「………………」ジトッッッ
海未「……貴方は…………」ゆら…
貴方は最低ですッッッ
ベチイイイッッッ 穂乃果「…………………」
しん…
果南「コレは…」
鞠莉「ビンタ!?」
ダイヤ「鞭打(べんだ)ですわ」
善子「鞭打…」
ダイヤ「液体…」
ダイヤ「腕全体が水…重い液体と信じ」
ダイヤ「振るッ」
穂乃果「………………」ジーッ…
ダイヤ「この攻撃(わざ)は……………痛いですわよ」 神が与え給うた確かな猶予。
穂乃果「………………」ピタ…
ルビィ(善子ちゃんの堕天使の泪を食べた時もそうだった…………)
ルビィ(大きすぎる“痛み”はスグにはやってこない)
ルビィ(まず痛みっていうより“衝撃”みたいなものがやって来て……………)
穂乃果「………!」ビクッ
“衝撃”が教える、後に襲いくる痛度…………
海未「………」ニヤリ
数瞬…………そして約束通り訪れる
穂乃果「…………………――――――」
予測を下回ることのない本痛!!!
穂乃果「!!!!」 バオッ
観客「何だ!?」
観客「穂乃果が飛び跳ね…」
穂乃果「いだあぃ〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ」ズダンッッッ
穂乃果「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い」ゴロゴロゴロゴロ
穂乃果「いたいよぉ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ」ジタバタジタバタ
本痛の高は………予測を遥か裏切り…もはや闘うどころではなく…
海未「フフフ…」ニッコリ
どころではなく…
穂乃果「〜〜〜〜〜〜〜」ジタバタバタバタバタ
どころではなく… 穂乃果(痛い!!)
穂乃果(激痛い!!)
穂乃果(苦痛い!!)
穂乃果(辛苦い!!)
穂乃果(イタい!!)
穂乃果「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ」ジタバタバタバタ
善子「…………………」ポカーン
ダイヤ「鞭なんてものは皆さんせいぜい馬のお尻を叩くものくらいにしか思っていないかもしれませんが」
ダイヤ「あれは大変な武器ですわよ」
ダイヤ「中東あたりではまだ鞭打ちの刑が残っているのですが」
ダイヤ「決められた回数に達する前―――せいぜい十数回……悪くすれば数回で―――」
ダイヤ「ショック死に至ります」 ダイヤ「それほど激痛(いたい)のです」
ダイヤ「肉体が死を選択んでしまうほど」
今後の永い人生どれほどの幸福があろうとわずか数回で帳消しにしてしまう程の激痛(いたみ)!
穂乃果「〜〜〜〜〜〜〜〜〜」ジタバタバタ
海未「見ちゃいられませんね…」フフフ
ダイヤ「それを顔に受けたとなれば―――」
ダイヤ「穂乃果さんのあの反応も無理からぬことですわ」
穂乃果「〜〜〜〜〜………」ヘタ…
海未「ようやく止まりましたか………」ヤレヤレ
ポタ…
海未「!」 穂乃果「う……うう………」ポロポロ
鞠鞠「あ〜…」
花丸「泣−かしたー泣−かしたー」
穂乃果「いた……いだいよ……………」ポロポロ
『こッこれは前代未聞!!!』
『高坂穂乃果、試合中に寝転がったまま泣き出してしまったァ――――ッッ』
雪穂「ちょっと、お姉ちゃん………」カアア…
月「自由だね〜〜〜」アハハ…
穂乃果「うう……ううう………」エグヒグ
海未「全く……」ハア
海未「早く起きなさいッ恥ずかしいですよッッ」 海未「このままでは決着になってしまいますよ!!」
海未「私との試合ですよッもう終了りでいいのですかッッ!?」
穂乃果「海未ちゃんの悪代官………」エグヒグ
凛「穂乃果ちゃんかわいそう…」
真姫「相変わらず、海未は穂乃果に特別厳しいわね……」
ことり「…そんなことないよ…………」トオイメ
花陽「……?」
穂乃果「…………」ムクッ…
海未「そうです、やればできるではありませんか」
海未「しかし鞭打一発でこの騒ぎようでは、先が思いやられ………」
穂乃果「海未ちゃん…」ゆら…
海未「!」
ビタッッッッ 海未「……………………」ピタッ…
ダイヤ「穂乃果さんも鞭打をッッ!?」
穂乃果「“脱力”だったら、海未ちゃんより私の方が上手いッッ」フフンッ
雪穂「だらけるのが得意だからね……」
穂乃果「さあ海未ちゃん…………」ニヤリ
海未「………………………………」
海未「!」ピクッ
穂乃果(痛がっちゃえ!!!)
穂乃果(激痛がっちゃえ!!!)
穂乃果(苦痛がっちゃえ!!!)
穂乃果(辛苦がっちゃえ!!!)
穂乃果(イタがっちゃえ!!!) 海未「………――――――――――」
穂乃果(叫んで………………転がりまわって――――オイオイ泣いちゃえ……ッッ)ニヤ…
穂乃果「!」
海未「――――――………」
穂乃果「え……………」
穂乃果が驚愕くのも無理もなかった。
海未「……………………………」ミキ…
普段の様子からは想像もできないような――――突如の海未の豹変―――― : :: : :: : :: : :: / : :/ |: :: : :: : :: : :| \: ヽ: : :: : :: : :: ::,
:: ::.: : :: : ::.__i::_;厶イヘ:.:: : :: : :|: ::ト、__|:_:: ':: :: : :: : :: : ::,
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: :: : :: ::i:: /≫─宀ト ': : :: : : ァ宀‐≪. ∨: ::|: :: : :: :!
: :: : :: ::|〃 ,__)ハ 八: ::/|〃 ,__)ハ Vハ : i: : :: : ::|
: :: : :: ::|{{ 弋~ツ }/ 弋~ツ }} |:: : :: : :: : |
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∧:: ::.八 ´“ ′ ”` 八:: : /: /
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i: ::i:: : : ::.\ 、 リ .イ
i: ::i:: : :: : ∧>、 \ー‐‐ / イ::│
i: ::i:: : :: : /∧ ≧=-  ̄_,.. < :: :i: : | ことり「………………」
海未「……………………………」ピタアアアァァッ…
事態(こと)は――単純明確。
右手を叩いた痛みが左手を叩くことで軽減するように、鞭打による激痛みを分散!!
目力もいっぱいに――――
拳…………全力で握り、同等じ力で開き………
腕…………全力で伸ばし、同等じ力で縮め、脚…………全力で踏みしめ、全力で引き上げ
胸………絞り………、腰………反り………、尻………突き………
海未「………………」ミキ…
要するに、動かぬまま五体すべての筋繊維を一気に駆動!
全身運動の苦痛により、皮膚の痛みを分散………
海未「……………………」ピタアアアアア…
かろうじて無表情を保持(キープ)していた。 : :: : :: : :: : :: / : :/ |: :: : :: : :: : :| \: ヽ: : :: : :: : :: ::,
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i: ::i:: : :: : /∧ ≧=-  ̄_,.. < :: :i: : | 穂乃果(痛くないの…!!?)
穂乃果(あの痛みが………!!!)
海未「………………………」
海未「…………………」
海未「……………」スウ…
穂乃果「!」
海未「…フウ……」
穂乃果「戻った…」ポカーン
海未「どうです………」ドヤ
海未「スクールアイドルたるもの、鞭打程度で大騒ぎしてはいけません」フフン 穂乃果「くう〜〜〜〜〜〜ッッ」
穂乃果「海未ちゃんはやっぱり強いなァ〜〜〜」
にこ「何仲良さそうに話してんのよ………」フンッ
希「しょうがないなぁ……」
真姫「やっぱり、ことりの言った通りね…」
ことり「…………………………」プクーッ
花陽「こ……ことりちゃん………………?」
穂乃果「だったら………これならどうだッッ」緩…
海未「!」 どろろ…
穂乃果の足腰が鞭打の時以上の脱力を見せる。
曜「スゴい…………完全に……ッッ」
果南「水みたいだね……」
穂乃果(緩めて……緩めて………)
穂乃果(水よりも…)
穂乃果(大気よりも)
果てに訪れる……
せつ菜「ほう………彼方さん以外にアレをできる方がいるとは………………………」
彼方「びっくり〜〜〜………」
穂乃果(今!!!)バッ ―
――
―――
・穂乃果の部屋。
穂乃果「うわァ〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!」ドタバタ
雪穂「うるさいなァ…………」ガララ
穂乃果「助けて〜〜〜雪穂〜〜〜〜〜ッッッ」ウルウル
雪穂「何、どうしたの?」
穂乃果「ア、アレ……」プルプル
雪穂「!」 ゴキブリ「キッ」シュバババッ
雪穂「うわァ〜〜〜〜〜〜〜〜ッッ!!」ドタバタ
穂乃果「雪穂ッッなんで逃げるの!?」
雪穂「そりゃ逃げるよッッ」
穂乃果「助けてくれるって言ったじゃんッッッ」
雪穂「言ってないしッッ」
ワーキャーワーキャー ドッタンバッタン
ほのパパ「…」ガチャッ
穂乃果雪穂「お父さん!!」 バンッ
ゴキブリ「」チーン
穂乃果「あ、ありがとう……」ホッ…
ほのパパ「…」ガチャ…
雪穂「これで一件落着………」
ゴキブリ「」
雪穂「お父さんッッ!死体がそのままだよッッ」ドタドタ
ゴキブリ「」ドロドロ
穂乃果「うう〜……気持ち悪い………ゴキブリの中身ってあんな風に………」
穂乃果「!」
穂乃果「え…………」 穂乃果(あんなに速く動いてたゴキブリの中身が………)
穂乃果(筋肉じゃない……繊維じゃない……)
ゴキブリ「」ドロドロ
穂乃果(乳白色の液体……ッッ)
穂乃果「!!!」ビビビッ
穂乃果(これだァ〜〜〜〜〜〜〜ッッッ)
―――
――
―
穂乃果「―――」ビュインッッッ
海未「!」
カッ 穂乃果(どう海未ちゃん…あなたの親友が編み出した)
海未「――――」
穂乃果(ゴキブリタックル…だよッッ)
『穂乃果がとてつもない勢いで海未に突っ込んだァ――――――ッッ』
ダアアアンッッッ
海未「ガハッッ」
ダイヤ「あのゴキブリにだけ可能とされる―――最高速(マックス)を初速(スタート)に!!!」
ダイヤ「脱力と想像(イメージ)力で自身の体を液体化することで実現するとはッッッ」
海未「くッ……」ざう… 絵里「穂乃果らしいわね」
絵里「かつて私にダンスを教えてくださいと頭を下げたように…………」
絵里「自分が成長するためにはどんなものにも教えを乞う……ゴキブリすら師匠にしてしまう………」
にこ「イヤ…限度ってもんがあるでしょ…………」
海未「かはッッ」ビチャッ
観客「海未が吐血したッッ」
観客「ダメージが大きいぞッッ」
海未「………ッ」ヌグッ…
穂乃果「どう?海未ちゃん」
穂乃果「私のとっておきは………」
海未「フフフ……」ヨロ… 海未「素晴らしい………攻撃でしたよ穂乃果」
穂乃果「やったッッ」グッ
海未「でもまだまだです」
穂乃果「ええ〜〜〜ッッ!?」
海未「貴方の全力を私は確かに受け止めました」
海未「そして尚立っています」
穂乃果「ムムム………」
海未「そもそもですッッ」キッ
穂乃果「え?」 海未「スクールアイドルがゴキブリを師匠にするとは何事ですかッッ」
海未「汚いですッ汚らわしいですッッ」
穂乃果「海未ちゃんは頭が固いな〜〜〜」ブー
海未「私の問題ではありませんッッ」
ワーワーワーワー…
希「また始まっちゃった」
にこ「本当にあの二人は………」イライラ
???「いい加減にして」ズチャ…
穂乃果海未「え……?」クルッ
ことり「女同士イチャイチャと………」
ことり「見てらんないよ」 『っとこれはァ〜〜〜〜〜!?』
『残された親友、南ことりが闘技場に乱入だァ〜〜〜〜ッッ』
穂乃果「ことりちゃん…なんで……」
海未「試合中ですよ…」
ことり「試合?」
ことり「どこで試合してるのかな?」
穂乃果「え…………」
海未「………」
ことり「やるならやる」
ことり「止めるなら止める」
ことり「シャキッとしてよ二人とも」 ことり「一つ叩いてはペラペラ」
ことり「一つ叩いてはイチャイチャ」
ことり「見てらんないよッまどろっこしくてッッ」
穂乃果「――――――」
梨子「強いね………」チラッ
曜「アハハ…」
ことり「真剣勝負じゃないよこんなのッッ」
海未「……………………」
にこ「そうよッッッよく言ったわことりッッ」
希「ことりちゃんのは、にこっちとは違いそうやけどね……」
果南「どう思う?」
鞠莉「スメルプンプン嫉妬ファイア〜〜〜〜」 海未「……」
海未「おっしゃる通り」
海未「よく喋る、その通り」
海未「親友ですからね」
穂乃果「そりゃ喋るさ」
穂乃果「いちゃいちゃもするさ」
穂乃果「親友だもん」
親友だからこそ出来る“遊び”がある
ことり「〜〜〜〜〜〜〜〜」
海未「でも大丈夫………ことりが妬くのはここまでですよ」
穂乃果「え?」
海未「順番からいって………次は私の “全力”の番ですからね」 スッ…
ことり「!!」
ことり「海未ちゃん、それは流石に……」
海未「下がってくださいことり」
海未「怪我しますよ」キラリ
絵里「無弓………ッッ」
希「終了らせる気やね」
海未「穂乃果………」ニコ…
海未「生きてくださいね……」
真姫「無理よッッッ」ガタッ
真姫「どんな精神力でもッッ受け身が上手くてもッッそれで耐えられるシロモノじゃないッッ」 海未「さあ………いきますよ穂乃果……………」どろ…
彼方「脱力…」
せつ菜「ぬかりないですね………」
凛「本気だ………ッッ」
凛「海未ちゃん、本気の本気で無弓を穂乃果ちゃんに当てるつもりだよッッ」
穂乃果「来なよォ…親友…………」
果南(ここで決定まるッ)カッ
海未「御免ッッ」ビュオッッ 曜(速い!!)
海未「―――」ブンッ…
曜(これは避けられな………)
穂乃果(ごめんね海未ちゃん)
穂乃果(海未ちゃんの全力―――受け止めてあげることはできない)
穂乃果「…」ス…
海未「!」
海未(これは…)
穂乃果「――」タタタンッ にこ(ダンスのステップッッ!?)
希(毎日練習してる、あの……)
スカッ
海未「――」
凛(躱したッッ)
ガシッ
穂乃果「掴んだよ海未ちゃァん!!!」
真姫(海未の手首を―――)
花陽(無弓を止めたッッ) 海未「………」フッ…
穂乃果「!」
海未(その通りです穂乃果!!)
海未(貴方は―――否ッッッ)
海未(私達は掴んでいる!!!)スッ…
穂乃果「え…」
海未(剣(やいば)なきこの時代――――)
タタタンッ
舞こそが武!!! 絵里(海未もステップをッッ)
ぐるんっ
穂乃果「ッッ」ニギ…
海未(流石に離してはくれませんか)
海未(ですが構いませんッッ)スッ…
真姫「!」
ことり(左手を口元へ………)
海未(私の第二のとっておき)
海未(投げキッ……)
パシッ 海未「!」
穂乃果(ダメだよ海未ちゃん………)
希(左の手首もッッ)
にこ(捕まえた!!)
海未(それも構いませんッッッッ)
海未(手を添えなくてもこの距離ならただ唾を飛ばして………)
穂乃果(私と海未ちゃんの関係だもん…………)ス…
海未「…え………」
ダイヤ(………!) 穂乃果(キスって言ったらやっぱり―――)
千歌(まさか―――)
穂乃果(直接じゃなきゃ………)
ことり「ダメぇぇぇぇッッ!!」ガタッ
ズキュウウウウウウン
海未「〜〜〜〜〜〜」
雪穂亜里沙「や、やったッ!!」 『なッなッなんということだァ〜〜〜〜〜ッッ』
『なんと試合中に、キスッッッッしかも口づけ!!』
『親友だけに許された究極の愛情表現だァ――――ッッ』
穂乃果海未「〜〜〜〜〜〜」
にこ「何をバカなことやってんのよッッ」
ス…
にこ「さっさと闘いを……」
ドシャアアッ
にこ「は?」
海未「」 『こッこれはどういうことだッッ!?』
『このタイミングで海未がダウンしてしまいましたッッッ』
海未「」
『動かないッッ海未は動かないッッ』
ざわ ざわ ざわ
ミカ「ちょっと、園田さん!?」
『たまらずスタッフが駆け寄るッッ』
ヒデコ「海未ちゃ…」
ヒデコ「!」ハッ
ヒデコ「魂が………抜けている………」
審判「勝負ありッッ」 『勝負あってしまったァ〜〜〜〜〜ッッ』
『異例づくしの親友対決ッッフィニッシュはなんとディープキスだァァッッッ』
穂乃果「…………」ニッコリ
ルビィ「ええ………」
千歌「どういう………」
梨子「ワカるでしょ」
梨子「大好きな親友に、公衆の面前でくちづけされるなんて………」
梨子「レズであろうとなかろうと、魂が抜けるのも当然というものよ」
曜「確かにワカる」ウンウン
千歌「ワカるかなあ…」ウーン ことり「あわわわわわわわわ」
凛「みんな来てッッことりちゃんの様子がッ」
ことり「ほほほ穂乃果ちゃんとうう海未ちゃんが………」
ことり「るてしキスキしてる」ブクブク…
ことり「」
凛「ああッことりちゃんまで〜!!」
花陽「魂が抜けちゃったのォ!?」
にこ「ぬわんでよッッ」
ワーワーワーワー
善子「……とんだGuilty Kissね………」
三回戦第四試合 穂乃果〇 海未× 乙
ほのうみの死闘は想像つかなかったがひでえ決着だw(褒め言葉) 原作にキスで決着とかあったっけと思ったけど
自分の脳が黒歴史認定してるだけだった… >>821
ちゃんと誰のどのシーンかって分かるのが面白い 『ベスト4!!!』
『空前絶後の39名から勝ち上がった4名ッッッ』
『残り3試合と相成りました―――――ッッ』
オオオオオオオオオオ
『準決勝第一試合』
『松浦果南VSッッ渡辺曜!!!』
『準決勝第二試合』
『優木せつ菜VSッッ高坂穂乃果!!!』
『以上2試合の勝者が―――決勝戦にて雌雄を決することになるのですッ』
ワアアアアアアアアアア ・闘技場の一室。二人。
海未「…ナルホド」
海未「天才からのご指名………何かと思えば」
海未「要はこの私に練習台になれということですか」
曜「あ、いや、その………」
海未「気を遣うことはありませんよ」フフ
海未「打倒松浦果南は私の悲願でもあります」
海未「私に出来ることであれば、なんでも協力しましょう」
曜「……!」
曜「ありがとう海未ちゃんッ」
海未「ただし」
曜「!」
グニャア… 海未「やるからには真剣でいかせて頂きます」
ス…
海未の手は無弓の形になる。
曜「…………ッッ」アセタラ…
海未「もう後戻りできませんからね」ニッコリ
曜「よ…ヨーソローッッ」
海未「フフフ………」ジリ…
海未がすり足で間合いを詰め始める。 ジリ…
曜(お願いしてよかった……)ダラダラ
曜(海未ちゃんの威圧感は果南ちゃんに匹敵する…………)
海未「………」ジリ…
曜(開発中だった秘密兵器――――)
海未「――」カッ
曜(きっとこれで完成する!!)
海未「御免ッ!!」ビュインッ サク…
海未の無弓が曜の身体に触れる、その刹那――――
曜(ここッッ)ブワンッ
海未「!?」
パアンッ………
・同刻。闘技場の別の一室。
果南「何の用?」
果南「もうすぐ試合だって言うのに………わざわざこんな人気(ひとけ)のない部屋に呼び出して…………」
ダイヤ「単刀直入に言いますわね」
ダイヤ「次の曜さんとの試合を辞退してください」 果南「…………………」
果南「なんで?」
ダイヤ「曜さんは強すぎています」
ダイヤ「そして貴方はそれ以上に」
果南「…………」
ダイヤ「このまま試合を行えば、間違いなく貴方は―――」
曜さんを殺してしまいます
果南「…………」
果南「大丈夫だって」
果南「曜が相手なら、私も鬼を出すようなマネは……」
ダイヤ「それが無理だというのですわッッッッ」 ダイヤ「曜さんは貴方に鬼を出させるでしょう、必ずッッッ」
ダイヤ「そして鬼を出した貴方は曜さんを――――」
果南「………………」
果南「まさか…」ヘッ…
ダイヤ「冗談ではありませんわよ」ギロッ
果南「……………………」
沈黙。
果南「…イヤだと言ったら?」
果南「私が棄権しないって言ったら…………」
ダイヤ「…………」
果南「どうするつもり?」 海未「やれやれ……」
・曜と海未。先の場面から数分後。
海未「人生二度目の、日に二度の敗北、ですか…………」ハア
曜「……………」
曜「あの…」
海未「お腹が空きましたね」
海未「花陽におにぎりをもらいましょうか」ニコ…
曜「――――」
曜「はい…」
曜(やっぱりそう……)
敗者にかける言葉なんかあるハズがない… 海未「………………………」
海未「そういえば曜も無傷ではないハズですが」チラッ
海未「!」
曜「私は大丈夫だよ」ピンピン
海未「ハハハ……」
海未「貴方の無事を喜ぶべきなのでしょうか」
海未「無事にしか済ませられぬ己の未熟を恥じるべきなのでしょうか」
曜「……」座…
曜「……………………」ペコリ
海未「曜」
海未「打倒果南―――貴方に預けましたよ」
曜「うんッッ」ケイレイ
曜「特等席で見ててね」 ・果南とダイヤ。
ダイヤ「どうするもこうするも……」ス…
果南「!」
ダイヤが背中から日本刀を取り出す…………。
ダイヤ「私が曜さんを守護らねばなりませんわ」チャカ
果南「………………」
果南「“何でもアリ”なら私に勝てるとでも思ってるの」
果南「武器を使用えば、鬼無し(ナチュラル)な私に負けるハズはないとでも思ってるの」
グニャア…
ダイヤ「勝算なくしてケンカを売る武道家はいませんわ……」ニヤ… ・青竜側入り口前。
千歌「来たよ曜ちゃん」ザッ…
曜「こッ…こんなたくさん」
ズラアアアッ
梨子「落ち着いてね、曜ちゃん」
ルビィ「がんばルビィ!」
善子「天は貴方の勝利(かち)を予感しています」
花丸「果南ちゃんの鼻を明かしてやるずら」
鞠莉「新たなAqoursのウェーブだねッ」
曜「みんな………ありがとう」
千歌「よぉーし、じゃあいくよーッッ」スウ…
千歌「全速ぜ――――」
???「………」ヨロッ…
!!
七人の前に、息も絶え絶えで現れたのは―――― 鞠莉「ダッ………ダイヤッッッ」
ダイヤ「……」ボロボロ
曜「なっ…なんで…………」
ルビィ「…………ッッ」ダラダラ
―
――
―――
ダイヤ『先に行ってなさい。私はヤボ用をすませてから行きます』
曜(ダイヤさん……ッッ)グ… ダイヤ「曜さん……」
曜「!」
ダイヤ「逃げてくださいッッ」
ダイヤ「果南さんには誰も勝てません…ッッ」
ダイヤ「殺されてしまいますわッッ」
六人「……………………ッ」
曜「………………」
曜(ワカってるよダイヤさん………)
曜(果南ちゃんの強さはとっくにワカってる)
曜(でも………)ザッ
ダイヤ「曜さんッッ!!」 曜「大丈夫です」
曜「飛び込み選手は特攻隊とは違う」
曜「勝算のないケンカは売りませんよ」ニコッ
『青竜の方角ッッッ』
『渡辺曜!!!』
・玄武側入り口前。
果南「………………」
ガラーン………
果南「……………………」 ???「寂しそうですね」ザッ…
果南「!」
果南「あなたは…」
月「月です、よーろしくーッッ」ニコッ
果南「…なんで私のところに?」
月「ごめんね、果南さんの応援ってワケじゃないんだ」
月「一つ忠告をしたくて………」ニ…
天才・渡辺に流れる血………ッッ 嘗めてかからない事だよ!!!
果南「…フン」ザッ…
『玄武の方角ッッ』
『松浦果南!!!』 『準決勝第一試合ッッ』
『正真正銘、Aqours最強がここに決定しますッッ』
ワアアアアアアアアアア
『“内浦最強の生物”、“鬼(オーガ)”果南かッッ』
果南「……………」
『“飛び込み界の最終兵器”、“天才”曜かッッ』
曜「……………フウーッ」ピョンピョンッ
千歌「曜ちゃん、ダイヤさんの言うことなんか気にしないでねッッ」
千歌「絶対勝てるからッッ」
梨子「私が―――ッ保障するゥ――――ッッ」
千歌「保障されちった」
ダイヤ「……………」 絵里(残酷な図だわ………!!!今から死闘を演じようとするグループメンバー同士の……………)
絵里(片一方の側に全員が立つ……)
理亞「松浦果南、Aqoursから嫌われてる……?」
聖良「まさか」フッ
聖良「皆さん、それだけ信頼しているということですよ」
聖良「彼女の“最強”を」
果南「……………」
『さあ真のAqoursナンバー1はどっちだァ――――ッッ』
審判「開始めいッッッ」ゴワアアンンン ゴゴゴゴゴゴ
!
観客「地震だッッッッ」
観客「でかいぞッッ」
善子「ちェッッこッこんなときにッッッ」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
曜「っとっとっと……」グラ…
果南「…………」ス…
曜「!」
果南「ッチェリアアアァァッッ」ドゴォッ 海未(地面に正拳を…………)
曜「―――ッ」
ピタ…
観客「おさまったぞ」
観客「とまった…………」
千歌「果南ちゃんが……」
梨子「とめた………?」
グボッ…
果南「もう………………心配いらないね」ニカッ 絵里「な…」
にこ「ヘッ自分のパンチが地震を止めたって言うの」
ダイヤ(己の正拳をもってすれば地震をも止められるッッッ)
ダイヤ(果南さんは地震が止まったことも偶然と思っていないでしょう)
曜「〜〜ッッ」
ダイヤ(一点の翳(かげ)りすらない内浦最強への自負ッッ)
ダイヤ(曜さんッ貴方は己の強さにそこまで確信が持てますかッッ)
曜「そ…」
曜「それがッッッ」ダシュッ
花陽「速い!!」
真姫「やっぱりスピードでは曜だわッッ」
曜「どーしたアアッ」ガバッ 『くッ組みついたァ――』
ことり「裸絞め(チョーク)だッッ」
梨子「キマったッッ」
ギュウウウウウ…
『背中から果南の首を締め上げる―――ッッ』
ルビィ「おとしちゃえェ――ッッ」
果南「………………」スクッ…
ダイヤ(あの姿…まるで)
先輩が後輩を………おぶる姿のように………………… 果南「…………」パシッ
曜「ッ!!」
グ…
『えッ……』
グググ…
真姫「ま…真正面から………ッ」
花陽「チョークが切られる…………ッッ」
バッ
曜「〜〜〜〜〜ッッ」ズチャッ
凛「外しちゃったッッ」
にこ「デタラメなパワーだわ…………ッッッ」 果南「――」グ…
曜「!!」
曜(来るッッ正面から蹴り上げッッ)
曜(牽制(フェイント)を仕掛けるでもなくまともにッ)
果南「ハッッ」ボッ
ギャドッ
曜「――――――――――――――」
その瞬間(とき)場内は――――無音と化したという。
その場の……否、それを見ていた全てのスクールアイドルが息を呑んだ。 人間(ヒト)を蹴ることが日常と化している彼女等である。
蹴り技により人間が飛ぶ距離、限度、常識をスクールアイドルは知る。
ヒュオオオオオオオ
曜「………………ッッ」
璃奈「―――――」ゾクウッ
かすみ(どこまで………)
ヒュオオオオオオオオオオオオオオ
聖良(まだ――――)
理亞(まだ上昇して……………ッッッ)
曜の飛距離は彼女らの常識からあまりにも逸脱していた。 曜(フフ……)
曜(まるで戦艦…………)
果南「お〜……」
果南「飛んだね〜」
曜(防御は成功している……なのにこのダメージ…………)ズキン
ぴた…
ドッ
観客「やっと落ち始めたッッ」
観客「高すぎるッ」
観客「死んじまうぞコレッッ」 曜が逆さまになって落ちてくる――――
穂乃果「頭からはマズいよッッ」
絵里「助からないわ……………」
グル…
果南「!」
曜「前逆さ宙返り三回半抱え型ッッ」グルグルンッ
真姫(あの体勢から……)
果南「――」ヒョイッ
月(あれを躱せるのか……ッ) 曜「―――――」
千歌(地面にぶつかるッッ)
曜「―――ッ」バッ
ギュルルルルッ
!
ダイヤ(五点着地!!)
曜「―――っと」スクッ
ダイヤ(身体をひねりながら倒れこむことによって落下の衝撃を5か所に分散させたッッ) 曜「よしッ」ピョンピョンッ
ダイヤ(しかし五点着地で安全が保障されるのはふつう高さ7、8メートルまで)
ダイヤ(あの高度からの落下で、あのタイミングから完全に成功させるとはッッ)
聖良「これが世界トップクラスの飛び込み選手の技術…………」
花陽「二人ともスゴすぎます……ッッ」
果南「…………」サア…
このときを境に―――果南の表情から微笑みは消え失せ
曜「………………!」
曜は後輩から“敵”へと昇格を果たした。 ここからさらに回想のダイヤにゲスいこと言わせるコラが出来るわけだな ここだけ見ると果南が鬼に見えるけど、そもそもダイヤさんが日本刀で脅してます 果南「………………」サアア…
花丸「か…果南ちゃん………」ゴクリ
ルビィ「怖いぃ……」
鞠莉「真剣(シリアス)になったね………」
聖良「果南さんの本気―――」
聖良「ベストコンディションという意味では、今日初めてと言って良いでしょうね」
聖良「私の時は冷静さがありませんでしたから」
理亞(姉さまが失くさせたからでしょ)
ダイヤ(言わないことじゃありませんわッッ)
ダイヤ「下がってください曜さ―――――んッッ」 ダイヤ「曜さ〜〜〜んッ」
曜「…」クス
曜(もう…ダイヤさんったら………)
曜(果南ちゃんの真剣がどんなに危ないかはとっくに知ってるって…)
曜(でも下がったりしない……)
曜「―――」ダシュッッ
ダイヤ「馬鹿な…ッッ」ダラダラ
私の船は後退の舵を外してあるんだよ……
果南「フンッ」ブワンッ
曜「遅いッッ」パアンッ 果南「〜〜〜〜〜」グ…
『マッハの上段蹴りが果南の顔面を捉えたアアッッ』
曜(まだだよ―――)ザッ
月「!」
曜(もう一丁ッッ)ボッ
千歌「え……」
パアンッ
善子(正拳…ッッ?)
果南「――――ッ」グラ… ドシャアアッ
ダイヤ「…………………ッッ」
ワアアアアアアアアアア
観客「果南がダウンだァッッ」
観客「真っ正面からッッ」
梨子「曜ちゃん、パンチもマッハで撃てたの?」
千歌「確か、キックしかできなかったような気が……ッ」ウーン
ダイヤ「敵いませんわね………天才には………ッ」
月「僕のせいだね」
月「覚えられちゃったよ」カタスクメ 海未(これで曜はマッハの連発が可能になりました)
海未(攻撃の幅は無限大に広がります)
海未(いけますよ曜!!)
曜(思った通りだ………)
果南「…………ッ」ムズ…
曜(いかに果南ちゃんといえども…………マッハの速度を連続でまともに受けたなら倒れるしかない………)
曜(そしてもう一つ………)
海未「!」ハッ
曜(マッハの速度で正拳を打ち込んだなら……………)
バキボキッ…
拳も破壊される……ッッ ルビィ「曜ちゃんの拳がぁ……ッ」
自身、組手の中で過去一度もなしえなかった“内浦最強”の完全なるノックダウン
曜「…………ッッ」ズキン
衣装係の命とさえ言える手先と引き換えに手にした。
ダイヤ「必然です………ッッ」
ダイヤ「飛び込み台を蹴る―――水面を蹴る―――プールの壁を蹴る―――――」
ダイヤ「飛び込みや水泳は脚は徹底的に鍛えますッしかし拳については全くノータッチですわッッ」
ダイヤ(だからこそ今まで曜さんは蹴りでしかマッハを超えられなかったッッ)
なのに戦士は…………… 果南「…………」ムク…
果南「!」
曜「……」ニイッ
歓喜していた。
曜「――」ガッ
パンッ
果南「ッッ」グラッ
ダイヤ「なッッ」
ダイヤ(マッハ肘(エルボー)ッッ!!?) 五体に刻まれたマッハの感触……
曜「――」パンッ
真姫(マッハ手刀(チョップ)――ッッ)
今や繰り出す技の全てに最新の方程式は当てハマった。
曜「―――」パアンッ
千歌(マッハ頭突き――――)
飛び込み家 渡辺曜 17歳の春………
果南「〜〜〜〜〜〜」ドシャアアアッ
灼熱の時間(とき)――――― 観客「連続ダウンだッッ」
観客「曜が圧倒しているゥゥッッ」
果南「……………ッ」ジーッ…
鞠莉「ダイヤ」
鞠莉「これはひょっとして…………」
観客「曜の勝ち!!?」
ダイヤ「…………………………」
ダイヤ「いや…」
ザウ… 千歌「えッ…」
曜「ハア………ハア…………ッ」ザ…
『っとォ――曜も膝を着いてしまったッッ』
『両者ダウンだァ――ッッ』
タラ…
千歌「頭から………」
ルビィ「血……」
ダイヤ「頭だけではありません」
ボキッ バキッ…
梨子「右肘と左手……マッハの攻撃を撃ったところ全部………ッ」
花丸「反動でダメージを受けてるずら………」 ダイヤ「あれが果南さんですわ」
ダイヤ「あれ程の犠牲を払わなければ」
曜「……ッッッ」ポタッ…ポタッ…
ダウン一つ 奪えやしない
善子「曜をもってして…」ダラダラ
善子「鋼で出来てんのかいッッ果南の肉体(からだ)はッッ」
鞠莉「…………………ッッ」
鞠莉(己の身体を犠牲にやっと手に入れた確かな有利)
鞠莉(なのに―――――――)
果南「……」フウ…
果南はもう回復しつつある モゾ…
観客「果南が立ってくる………ッッ」
観客「まともに喰らって…」
ざわ ざわ ざわ
観客「効いてないのか…?」
なんという理不尽……
ムク…
曜「…………ッ」ザ…
打ち込んだ者が跪き―――――被弾した者が見下ろす。
果南「……………………」スクッ…
嗚呼………何故神はこのような者を現代に……… ダイヤ「確かに曜さんは強いッッッ」
ダイヤ「間違いなく天才です、そんなことは私とて重々承知しています」
ダイヤ「しかし今一度よく考えてください」
ダイヤ「“内浦最強の生物”―――その肩書きの示すものを」
ダイヤ「ダイバーの果南さんが相手にし、そして勝利してきた――――」
海生生物のサイズを!!
シャチ………体長7メートル 体重5トン
ジンベエザメ………体長15メートル 体重20トン
シロナガスクジラ………体長30メートル 体重150トン以上
ダイヤ「一体これを何級と呼ぶべきですか」
ダイヤ「あの曜さんの何倍になるのですか」
ダイヤ「150トン(150000kg)の攻撃は50kgの曜さん以下ではあり得ませんッッ」 まちがえてはいない
果南「……………」ズチャ…
曜(何一つまちがえてはいない)
ポタッ…
曜(フフ…………なんて顔だい……みんな……)
千歌「………ッッ」ダラダラ
梨子「…………」ウツムキ
善子「……ッッ」ウルウル
花丸「……」ゴクリ
ルビィ「〜〜〜〜〜〜〜ッ」ウユユユユ
ダイヤ「………………」プルプル
鞠莉「く……ッッ」グ… 曜(クス……)
曜(あの二人まで……)
理亞「………ッッ」ガチガチ
聖良「…………………ッ」アセタラ…
曜(みんな…………)
曜(心配しないで………ッッ)スクッ…
私はまだ使用っちゃいない!
曜(私だけが掴んだ―――私だけのマッハッ)ゆら…
月「まだあるっていうの!?」
月「この先がッッ」
海未「見せつけてやりなさい曜……」ニコ… 果南「曜…………」グッ…
曜(こい!!!果南ちゃん!!)
果南「ごめんね」ブンッ…
曜(私自身が驚愕いているんだ……)
曜(飛び込むことだけを考えてきた日々……………)
曜(そうして辿り着いた最終形態………があろうことか―――――)
曜「―――」ぐるんっ
“飛ばない”飛び込みだったなんて………
パアンッ 飛ぶことに全生涯を
そこには何一つ疑問の余地はなかったハズ
飛ぶという常識
飛ぶという大前提
飛ぶという全財産を手放した
そして手にした………………さらなる音速(マッハ)……さらなる前逆さ宙返り……
地上157cmの頭頂は157cmを超えぬまま超音速で前下方へ――――
地上0cmの足裏は超音速で真円の弧を描くと157cmを通過し果南の顔面へ―――
曜(名付けて――)
曜(マッハ前逆さ宙返り回転蹴り―――――) メキイッ…
曜「―――ッ」ゾクッ
天才の放った近代飛び込みの最終奥義が
カッ…
果南「――」ぐるんっ
曜(え――――)
グワシイッ
曜「〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッッッ」ズダーーッ
鬼の反射神経に凌駕された!!! 海未「あ……あの……」ダラダラ
海未「あの回転蹴りのカウンターを取りますかァッッ」
月「回転蹴りに………回転蹴りを合わせるなんて……………ッッ」
聖良「そうです………ッ」
聖良「バカげた体力と力に目を奪われがちですが……」
聖良「松浦果南の真に恐ろしいのはあの一瞬のリズム感ですッッッッ」
果南「…………」ズチャ…
千歌「!!」
千歌「か…果南ちゃんの背中…………ッ」
メキイッ… 善子「鬼……出して………ッ」
鞠莉「クレイジー」
果南「…………」
曜「…………………ッッ」プルプル
曜は仰向けで痙攣している。虫の息の天才を傍らで鬼が見下ろしている…………。
真姫「勝負ありね」
ダイヤ「だ…だから…」グ…
絵里「どうしようもないわ」
穂乃果「強い」 果南「……」ガシッ
!!
曜「……う…………ッッ」ヨロ…
『かッ……果南が曜を引き起こしたッッ』
観客「まだやるのかよッッッ」
観客「殺す気かァッッ」
果南(曜………)
ハグウッ
曜「……………」ウツロ…
果南(今…楽に……) カプッ
果南「!!」
曜「〜〜〜〜」ギチ…
千歌「よ……曜ちゃんが……」
梨子「噛みつき……」
花丸「………………ッ」
果南「なんていい闘士(スクールアイドル)なんだ………………」ギュッ…
ダイヤ「果南さんンンッッ!!!」
ベキイッ 曜「――――――――――――」ユラ…
ドシャアアアッ
曜「」
千歌「え……」
審判「し…しょ………勝負ありッッ」
ヒデコ「真姫ちゃんッッッ」
真姫「―――」バッ
真姫が曜を診察する。
闘技場は再び無音になる…………。 千歌(だ……大丈夫だよ………)プルプル
千歌(だって果南ちゃんだよ!?果南ちゃんが曜ちゃんに酷いことするわけ………)
真姫「……」ス…
ミカ「真姫ちゃんッッ」
フミコ「渡辺選手は……」
真姫「骨は確かに折れてるけど実に治りやすい角度だわ」
真姫「果南が加減したのか………曜が回避したのか………」
真姫「とにかく、命に別状はないわね」フウ
ルビィ「よ……」
ルビィ「良かったァ〜〜〜〜〜」ヘタ…
果南「……」クルッ
ズチャ… 果南「…………」ザッ…
ダイヤ「御覧なさい」
ダイヤ「果南さんの背中…………」
ルビィ「!!」
梨子「あれは……」
ミシィ…
千歌「鬼が………哭(な)いてる…………」
鞠莉「無傷に見える果南にとっても……」
鞠莉「それほどの闘いだったということね…………」
・医務室。
曜「そっか…………」
曜「負けちゃったんだね…………」 曜はベッドの上。周囲にはAqours一二年生五人。
曜「私が勝たなくちゃいけない試合だったのに…………」シュン…
千歌「曜ちゃん…………」
梨子「あんまり落ち込まないでね。相手は果南ちゃんなんだから……」
善子「そうよッあんな化け物相手によく……」
曜「…………だからこそ…………だよ…………」
ルビィ「え?」
曜「私が果南ちゃんに勝って……ちゃんとAqoursの世代交代をしなくちゃいけなかった…………」
曜「果南ちゃん……鞠莉ちゃんとダイヤさんにも………安心して卒業してもらうために…………」
曜「それなのに…………」ベソ…
千歌梨子善子ルビィ「……………………………ッ」 花丸「スクールアイドルが……ライタイ祭で負ける」
五人「!」
花丸「海皇という夢がおしまいになる」
花丸「大事件ずら」
花丸「なのに曜ちゃんはその悔しさより、他の人の……敵の果南ちゃんのことを思って苦しんでいる」
花丸「その苦しみ、どうか誇ってください」
曜「……………………」
花丸「渡辺曜という類稀なスクールアイドル」
花丸「Aqoursにとっての宝だよ」
曜「…………」 花丸「いつか本で調べたことがあるんだ」
花丸「曜という言葉の意味」
花丸「曜―――星、光り輝く、そして―― 」
花丸「道にはずれない」
花丸「曜ちゃんそのものずら」
花丸「あまりの高い技術に目を奪われ見落としてしまいそうだけど、曜ちゃんの真の価値は その精神性の高さにこそある」
曜「花丸ちゃん……」
曜「ありがとう」
準決勝第一試合 果南〇 曜× >>867
この……僥倖……ッッ
アリガトオオオオオオッッ
本当に絵にするとちょっとかわいそうね
すまねえダイヤさん 穂乃果は前作合わせてもまだ敗北を知らないんだよね
勝つか負けるか楽しみだわ そろそろ次スレの感じかなん?
このスレでは終わらなさそう 武蔵「米、パン」
武蔵「うどん、ラーメン、蕎麦」ユビクルクル
武蔵「結局の所、全部炭水化物では…?」
花陽「なんだァ?てめェ…」
ほ 花陽「お米もパンも同じ炭水化物。そんなふうに考えていた時期が私にもありました」 男女3人が大型犬に襲われけが 64歳女性に突然飛びかかり、助けようとした夫婦も襲う 香川・観音寺市(KSB瀬戸内海放送) - Yahoo!ニュース
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190411-00010003-ksbv-l37
11日午後0時20分ごろ、観音寺市池之尻町の市道で大型犬のダルメシアンが突然、近くにいた64歳の女性に飛び掛かり、さらに助けようとした夫婦に襲い掛かりました。
64歳の女性と78歳の男性が頭などをかまれ、72歳の女性が押し倒されてけがをしました。3人のけがの具合は分かっていませんが、命に別状はないということです。
男女3人が大型犬に襲われけが 64歳女性に突然飛びかかり、助けようとした夫婦も襲う 香川・観音寺市
110番通報で警察官が駆けつけたときには、ダルメシアンは捕獲されていたということです。
現場近くの住民が飼っていた犬で、体長は約1メートルです。警察が飼い主から話を聴いています。 『累々たる屍を踏み蹴ちらし――――――』
『並び立ちます怪物2頭!!!』
『片や中国拳法の権化――それ即ちスクールアイドルの権化ッッ』
『優木せつ菜ッッ』
『片や“伝説”のセンターにして愛とワガママを振りかざす地上最自由の女ッッ』
『高坂穂乃果ッッ』
『さあまもなく準決勝第二試合です!!』
オオオオオオオオオオ
・選手控室。
にこ「なんですってぇ〜〜〜ッッ」
八人「穂乃果がいないィィィッッ!!?」 ・青竜側入り口前。
せつ菜「………………」ピタアアアアア…
せつ菜の下には汗で水たまりができている。
かすみ「站椿(たんとう)……いったい何分間そうして…………」
歩夢「一年前――――」
歩夢「私たちがスクールアイドル同好会を結成したその日、せつ菜ちゃんから最初にならったのもこれだった」
せつ菜「…………」フウーッ
果林「スゴいわねせつ菜は」
果林「あの穂乃果ちゃんと拳を交えようというこんなときにも」
果林「基本を―――初心を―――――『大好き』の気持ちを忘れない」
果林「だから強い」
せつ菜「敗けません」
時代が私たちの勝利を必要としているから ・白虎側入り口前。穂乃果はまだ姿を現さない。
真姫「どこにもいないわッッ」
にこ「何してんのよあの馬鹿〜〜〜ッッ」
『準決勝第二試合を行います』
希「っていってる間にそろそろ時間やけど」
『出たぞ青竜の方角』
『優木せつ菜』
せつ菜「……」ズンッ
絵里「お客さんを待たせるわけにはいかないわ…」 『白虎の方角――――ッ』
海未「穂乃果……ッッ」
ことり「穂乃果ちゃ〜〜んッッッ」
ダダダダッ
八人「!」
穂乃果「うわあ〜〜〜〜〜」トットットッ
ズテンッ
穂乃果「いったぁ〜〜いッッ」
花陽「穂乃果ちゃんッ!?」
穂乃果「くぅ〜〜〜お待たせェ〜〜〜ッッ」サスサス 凛「全く、ハラハラしたにゃー」ニコニコ
海未「なにやっていたんですかッッッッ!!!」
穂乃果「ごめんごめん…」アハハ…
海未「今日という今日は許しませんッッッ!!貴方のその雑で大雑把でお気楽な性格がどれほどの迷惑と混乱を………」
ボタッ
海未「えっ……」
絵里「海未、お説教はあと」
絵里「今は早く……」チラッ
ボタボタッ
絵里「!?」 穂乃果「絵里ちゃんありがとうッッ」
穂乃果「行ってくるね〜〜〜ッッッ」ダッ
八人「……………………ッッ」
『高坂穂乃果選手…………』
ダッ
!!
穂乃果「お待たせ!」ダラダラ
せつ菜「……………」
『穂乃果が血だらけだ〜〜〜ッッ』 『いったいどういうことだ―――ッッッ』
『登場してきた穂乃果の全身は痣と流血に覆われているッッ』
『なにがあったんだ高坂穂乃果ァァッ』
鞠莉「な……」
ダイヤ「なんですか〜〜〜?」
千歌「……………」
ザッ…
穂乃果「強いね、せつ菜ちゃん」
せつ菜「…………」
穂乃果「決して過小評価してるつもりもないけれど………」
穂乃果「いやァ………」
穂乃果「強烈だったよ………………中国4000年…………」 穂乃果「せつ菜ちゃんのお陰で――――久し振りに本気の自分に逢えた」
せつ菜「………………」
穂乃果「この勝負」
穂乃果「勝ったのは私だッッ」ビシッ
『前代未聞の勝利宣言だァ――――ッ』
『“勝つ”ではない“勝った”と言い放った根拠はなんだ――ッ』
審判「両者下がってッッ」
『まるで試合を勝利で終えたかのような発言ッッ』
『身体中を覆う真新しいダメージッ』
『謎が多いぞこの一戦ッ』
審判「開始めいッ」ゴワアアンンン ズチャ…
せつ菜「!」
『オオオッとこれまた意外ッッ』
『穂乃果がせつ菜に向かい悠然と歩を進めるウウッ』
せつ菜「……………………ッッ」
穂乃果「〜♪」ズチャ…
しずく「な………ッ」
かすみ「ナメた真似を……」
愛「せっつーッッかましちゃえッッ」 せつ菜「フンッッ」ボシュッ
穂乃果「…」スウ…
スカッ
せつ菜「…………ッッ」
『な…なんと……ッッ』
『穂乃果がまるで知っていたかのようにせつ菜の攻撃を………』
穂乃果「よっと」ピョンッ
せつ菜「!」 ガバッ
鞠莉「あれはッッ」
ギュチッ
穂乃果がせつ菜の肩に飛び座り、脚で首を固める。
『てッ』
グル…
『転蓮華だァ――ッ』
せつ菜「――」カッ
せつ菜「哈(ハ)ッ!!」ダンッ 穂乃果が倒れるのに合わせてせつ菜も横っ飛びで側転する。
バッ
穂乃果の足が外れる。
ザッ
せつ菜「穂乃果さん、あなた…ッッ」
穂乃果「せつ菜ちゃんの手の内はぜ〜んぶ」ボッ
せつ菜「!」
穂乃果「体験済みだよッッ」ガキィッ 『ク…クリーンヒットオオオオオッッ』
『穂乃果のアッパーがせつ菜のアゴを撃ちぬいたァ――ッ』
海未「バカな…ッッ」
穂乃果「えいッッ」
ドッ
せつ菜「―――」
『またしてもヒットォォ』
『今度はボディだァ――』
絵里「………………」
絵里「夢………?」ツネ… 穂乃果「とりゃああッ」ブンッ
グワキイッ
『!!!』
せつ菜「〜〜〜〜ッッ」ブワン…
『飛ン……』
ドシャアアッ
『ダ〜〜〜〜〜〜〜〜〜ウン』
ワアッ
『中国4000年が倒れた〜〜』 穂乃果「リハーサル通りだね〜」ウンウン
愛「つ……つよ〜〜〜〜」
エマ「強い……」
しずく「あんなに強いんですか穂乃果さんはッ」
ダイヤ(つ…強すぎますわッッ)
ダイヤ(おかしい…………)
せつ菜「―――」ジャキッ
『すぐに立ち上がったッッ』
『向き直った両雄ッ』 せつ菜「確かに初めてではありませんねッッ中国拳法との立ち合いッッ」
穂乃果「だから言ってるでしょ」
穂乃果「今さっきせつ菜ちゃんと闘ったばっかりだって……」
せつ菜「実力的に私と並ぶ拳法家が今日この場にいるというのですかッッ」
穂乃果「一つ教えてあげるね」
穂乃果「せつ菜ちゃんは4000年の歴史にすごい信仰を持ってるみただけど」
4000年ぐらいじゃ辿り着けない境地がある
ワアアアアアアア
せつ菜「!」
穂乃果「―――」ドクンッ 穂乃果「しゃき――んッ」キラキラ
海未(早くもアドレナリンが全開ですね)
せつ菜(それがアナタの言う境地だというんですかッッ)
せつ菜「しかし…」
せつ菜「―――」ドクンッ
穂乃果「!」
せつ菜「それに類するものなら私も持っていますッッ」キラキラ
にこ(“復元”完了……ッッ) せつ菜「どう小細工を弄しても皆さんは決して勝てません」
せつ菜「古代ローマ時代、多くの人々の支持を得た総合格闘技パンクラチオン」
せつ菜「スクールアイドルの――ラブライブの原点でもあるソレがなぜ滅びたか」
鞠莉「………ッッ」
せつ菜「闘いが激化し殺し合いまで内容がエスカレートしたため―――」
ダイヤ「…………ッ」
せつ菜「人間対動物などの単なる見せ物化してしまったため――――」
果南「…………」
せつ菜「多くのもっともらしい理由が歴史書には語られていますが」
せつ菜「真実はたった一つ」
優勝者が地元ローマ人ではなく我々中国拳法家になってしまったからです 穂乃果「………………」
せつ菜「この意味がワカりますか」
せつ菜「中国拳法家こそが、最強・最古のスクールアイドルということ――――」ス…
希(この前傾姿勢は…!)
せつ菜「ラブライブの歴史は中国拳法の歴史ということですッッ」ビュンッッ
ルビィ「おっぱいターボッッ」
善子「何でもアリかァッこのバケモノッッ」
せつ菜(希さんやエマさんほどの大きさはありませんが、私の身長ならコレでも十分出力は出ますッッ)
穂乃果「……」スウ…
せつ菜「!」
せつ菜(ま…またッッ) ガシッ
穂乃果「そぉらッッ」ゴォッ
『穂乃果スペシャルゥ―――』
せつ菜「―――ッ」
せつ菜(なぜです!?)
せつ菜(何故だか私の動きは読まれて………)
『高〜〜〜く上がった〜〜〜〜ッッ』
『これは今日一番の投げだァ――――ッッ』
絵里「ハラショー」 ビュオッ…
『落下が始まった―――ッッ』
『耐えられるかせつ菜――ッ』
曜(あの高さは飛び込みをやってなきゃ無理だッ)
せつ菜(歩数にして)ス…
曜「!」
せつ菜(700〜800踏みッ)
ババババババババ
せつ菜(問題はありません!!15メートルまでなら!!!) 『エエ〜〜〜ッ!?』
『せつ菜が空中で超速で足踏みして…………』
タンッ
『ちゃッ着地ィ――』
『勢いを殺したァ―――』
千歌「ムチャクチャすぎるよッッッ」
鞠莉「予測不可能だね……」
ダイヤ「――のハズなのですが…ッ」
せつ菜「!」ハッ ザッ…
『穂乃果がせつ菜の背後を――』
せつ菜「フンッ」ピョンッ
聖良「!」
ぐるんっ
善子「アレは……」
ルビィ「saint snowのバク転式胴廻し回転蹴りッッ」
花丸「流石東京の女子高生ずら…ッ」
理亞「……ッッ」
穂乃果「――」ヒョイッ
スカッ 『これも難なく躱した穂乃果〜〜〜〜』
ダンッ
せつ菜「……ッ」
せつ菜「――」バッ
にこ「!」
せつ菜「プッ」
ピシャンッ
『見えない目潰しィ―――』
穂乃果「…………」ギュッ… 璃奈「当たった!?」
愛「イヤ、目を瞑って防がれちゃった」
かすみ「でも、視界を奪えれば同じことですよッ」
せつ菜「――」スウ…
にこ「!!」
にこ「チョットチョット……」
せつ菜の両手がデコピンの形で穂乃果の胸へと伸びる。
果林「ムッツリさんなんだから…」
せつ菜(パイ的は絶対です)ピ…
穂乃果「怖い怖いッ」タタタンッ せつ菜「なッッッ」スカッ
せつ菜(ダンスのステップ!!)
せつ菜(盲目の状態から躱されるなんて…ッッッ)
穂乃果「フウ……」パチクリ…
『どッどうなっている高坂穂乃果ッッ』
『せつ菜が矢継ぎ早に繰り出す先達達の技を――失礼、先達達の技の“源流”を』
『まるで受け付けな〜〜〜〜〜いッッ』
せつ菜「…………ッッ」
穂乃果「うーん……」
穂乃果「こうまでリハーサル通りだと―――――」
フェアじゃない
穂乃果「教えてあげよっか…」 穂乃果「ちょっと説明の時間いいかな?」
せつ菜「私はかまいません」
ダイヤ「ハッキリします」
ダイヤ「なぜ穂乃果さんは血だらけなのか、なぜせつ菜さんの動きをまるで知っていたように動けるのか」
ダイヤ「そして“リハーサル”、 “勝った”という言葉の真意がッッ」
ス…
穂乃果が掌を顔の高さまで上げる。
ツ……
!
観客「なんだ…?血が出た………………」
観客「掌に切れ目が………」
観客「カマイタチ…………?」 穂乃果「廃校を阻止する」
穂乃果「ラブライブで優勝する」
穂乃果「全部叶えてきた」
穂乃果「雨だって止ませたッッ」
千歌「…………………」
穂乃果「思い込みの威力(ちから)だよ」
穂乃果「人間(ひと)がリアルに…」
リアルに思い描くことは実現する
穂乃果「人間その気になればなんだって出来るんだよッッッ」
ざわ ざわ ざわ
穂乃果「鋭利な刃物で掌が切れたことを強烈にイメージしたんだ」ツ… 善子「バカな………」ヘッ
花丸「手品ずらよ」
ダイヤ「……………イヤ」
ダイヤ「ウェイトトレーニングを一例に取っても、目標とする体型をイメージするのとしないのでは」
ダイヤ「全く同じ種目をしても結果に圧倒的差が生じることは実験データで明らかになっています」
ダイヤ「また、幼児はある日を境に火バシが熱いことを知りますが」
ダイヤ「ふざけた大人が熱くない火バシを幼児に触れさせると、火傷したとカン違いした幼児はリアルに苦痛を感じるといいます」
ダイヤ「極端な例ではその幼児の手に火ぶくれが生じた記録すらあります」
ルビィ「…………」ジーッ…
ダイヤ「私達にアレができないのは当然ですわ」
ダイヤ「思いが実現することなど頭から否定し不可能であるという思いの方がはるかに強烈ですから」 穂乃果「この力を極限まで高めると――――」
穂乃果「こうなる」
ガクンッ
観客「なんだ!?」
観客「穂乃果の首がガクンと…………」
穂乃果「く〜…」ツ…
ダイヤ「新しい鼻血が………………………」
穂乃果「もう一回…………………」
ガクンッ
観客「一人でッ!?」
観客「穂乃果が一人で勝手にブッ飛んだぞッ」 穂乃果「…………ッ」タラ…
観客「傷が増えてる!!」
観客「出血だッッ」
ことり(ダメージが増えてる―――――)
穂乃果「これをさらに極めると」
こうなるッ
ワアッ
せつ菜「………ッッ」アセタラ… ベキッ ガッ ガキッ ボコッ
『闘っているッ』
『闘っているッ』
『穂乃果一人が闘っている』
穂乃果「〜〜〜〜〜」ガッ
『しかし一人のハズの穂乃果のその動き――その表情を見ていると』
『見えない対戦相手が――――』
『!!!』
観客「ウ……ッウッソだろう!?」
『こッこの対戦相手は〜〜〜〜〜〜ッッッ』 カマキリ「…………」スクッ…
希「か……カマキリ…………?」
絵里「とてつもなく大きいわ……」
真姫「気持ち悪いッ」
穂乃果「そう……」
穂乃果「“思い込み”の力―――“意志力”があれば―――」
カマキリ「………」ブンッ
穂乃果「――ッ」バッ
体重100kgのカマキリとの試合だって創造れるんだ!!! 『信じがたい光景が展開されているゥ〜〜〜〜ッッ』
『人間vs巨大カマキリのッッ実物vsイメージの異種格闘技戦!!』
カマキリ「……」ブンッ
穂乃果「くう〜〜〜ッッ」ヒョイッ
穂乃果「これが中々……」
『もはや対戦相手のせつ菜はほったらかしッッッ』
『どこまで自由なんだ高坂穂乃果ァ〜〜〜〜』
せつ菜「…………ッ」グ…
せつ菜「バカにしないでくださいッッ」ボッ
ドキャッ カマキリ「!」
『せつ菜の上段蹴りがカマキリの頭部にヒットオオッッ』
曜「スピード、タイミング、文句なしのジャストヒットだッッ」
梨子「この状況で………」
千歌「いろんな意味でスゴい……!」
せつ菜「茶番はおしまいですッッ」ザッ
せつ菜「穂乃果さん!あなたの相手は……」
せつ菜「!」
カマキリ「…………」スクッ…
せつ菜(き…効いていない………!?) ダイヤ「カマキリの頭部には脳が無いに等しい」
ダイヤ「故に人間には必ず起こる脳震盪がないのです」
穂乃果「これだから厄介なんだよね〜〜カマキリって」
穂乃果「ウーンどうしようか……」
穂乃果「やっぱり組み技かな?」ガバッ
『穂乃果がカマキリの背後を取ったッッ』
ガキッ…
穂乃果「!」ハッ
カマキリ「…………」ジローッ
穂乃果(見られてる……ッッ)
穂乃果(バック奪(と)ってもしかり見られてるじゃん………ッッ)
複眼!!! カマキリ「――」グルッ
せつ菜「!」
バッ
穂乃果「おわアァッ」
グキッッ
善子「穂乃果さんがカマキリに捕まったッッ」
グググ…
穂乃果「ひえっ…」ヒヤ…
花丸「喰われる!!」 せつ菜「…」ノソ…
『おッなんだ!?』
『せつ菜がゆ〜〜〜っくり動いて何か……』
カマキリ「…………?」
『仕掛け………』
カッ
カマキリ「〜〜〜〜〜〜ッッ」ドロン…
『!!』
穂乃果「わッッ」ズテンッ 『消えた!!カマキリが消えましたッッ』
『せつ菜がカマキリを倒したッッ』
絵里「あのカマキリを一撃でッ!?」
希「一体何をしたん?よく見えなかったけど……」
ダイヤ「……………………ッッッ」ダラダラ
穂乃果「助けられちゃったね……」アハハ…
せつ菜「私はかまいません、それより……」
せつ菜「独闘……」
せつ菜「ボクシングにおけるシャドーボクシングに代表される格闘技の独り稽古………」
せつ菜「およそ全ての格闘技に取り入れられている稽古法ではありますが」
せつ菜「これほど高いレベルで行われるのは初めて目撃しました」 せつ菜「現実にダメージまで感じ取りながら」
せつ菜「他者である私をも巻き込めるまでとは…………」
梨子(この前の内浦――千歌ちゃんとの闘いで穂乃果さんが見せた催眠術)
梨子(アレもこういう原理で……)
絵里(私の夢も………あるいは意図的に見せられ………ッッ)
絵里「まさかね」フッ…
穂乃果「一回戦から三回戦までのせつ菜ちゃんの闘いぶりをこの眼に焼きつけた」
穂乃果「そして創造ったせつ菜ちゃんと今みたいにリアルシャドー」
穂乃果「勝った………」
ざわ ざわ ざわ 果林「そんな……今のカマキリのように精密に再現したせつ菜に既に勝ってるって………」
かすみ「結果はもう決まってるってことですかァッッ!?」
せつ菜「………………」
歩夢「…せつ菜ちゃん…………この試合はもう………」ギュッ
ダアンッ
穂乃果「!」
せつ菜「私は一向に かまいませんッッ」
『優木せつ菜、試合続行を宣言!!』
『リアルシャドーの結果は変わるのか!?変わらないのか!?それとも…………』
にこ「やっぱホンモノだわアイツ……ッ」
オオオオオオオオオオオ ・東アフリカ タンザニア連合共和国 セレンゲティ国立公園。
???「you must remember this………♪」ザッ
ライオン「カロロ…」
日本との時差、実に―――
???「………As time goes by 〜♪」
ライオン「オオオオオオ」
ザワワ…
女性シンガー「!」クルッ
六時間! 14:00
☆加熱するスクールアイドルの闘い――――殺気、地球を半周すッッ!!
穂乃果「百年経ったらまたおいでッッ」千歌「ライタイ祭?」2回戦 完 このスレで綺麗に準決勝終わらせたかったけど無理でした
来週中に次スレ立ててそこから一週間ぐらいでニ、三回更新して終わりになると思います 準決勝まだまだ30レス以上続くんですね
楽しみに待ってます レス数が950を超えています。1000を超えると書き込みができなくなります。