X



曜「千歌ちゃんが記憶喪失になった……」

■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
0001名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2018/12/28(金) 23:38:54.50ID:zcirwKWx
千歌「ええっと……」


千歌「……あなたは、誰ですか?」


千歌「ごめんなさい。私、記憶喪失みたいで……あ、もう知ってますか? えへへ」


千歌「だから、あなたが誰かわからないけど……でも、いい人なんじゃないかって思います」


千歌「どうしてそう思うかって? それは直感です、ふふん……って、あ、あれ?」


千歌「あ、あの……どうして、そんな悲しそうな顔を……私、何かマズいことを……!?」


千歌「よ、よくわからないけど……その、落ち着いてほしいな。あなたがうつむいてるのを見ると、私――どうしたら、いいのか……」
0364名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:09:42.92ID:U+ixAFtP
曜「ここまでの道は大丈夫だった?」

千歌「大丈夫ですよ。曜さんに言われた道を、何度も確認したので」

曜「そっか」クスッ

ザーッ…ザザーン…

千歌「――……いい場所、ですね」

曜「うん、私もそう思う」

「……」

パシャッ…

曜「……隣、いい?」

千歌「もちろんっ」

曜「ありがと。よいしょ……っと」ザッ

ザーッ…
0365名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:10:48.77ID:U+ixAFtP
曜「――……寂しかった、かな?」

千歌「……へっ!? ど、どうして、突然……?」

曜「ううん、なんとなく」

千歌「……」

ザザーン…

曜「千歌ちゃんが、そんな表情だったから」

千歌「そう、なんですか?」

曜「そうだよ」

千歌「そう、ですか……」

曜「それと――もし、私もここに一人で座ってたら……ちょっと寂しかったかも、って」クスッ

千歌「……」

ザーッ…ザザーン…
0366名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:11:16.17ID:U+ixAFtP
曜「……待たせちゃってごめんね」

千歌「いえ、そんなっ。私が早く来ただけですよっ」

「……」

ザザーン…パシャッ…

千歌「……この場所、私の家の前なんですね」

曜「そうだね」

千歌「病院からだと、少し遠いですけど……」

曜「うん。入院が終わって家に戻ったら、すぐ来られるようになるよっ」

千歌「……そうですね」ニコ

ザザーン…

曜「……そうだ。ここ、千歌ちゃんと梨子ちゃんが初めて会った場所なんだよ?」

千歌「えっ、そうなんですか!?」

曜「そ。千歌ちゃんが話してくれたの、よく覚えてる」クスッ
0367名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:11:53.77ID:U+ixAFtP
曜「あと、梨子ちゃんが海に飛び込もうとした話も……」

千歌「ええっ!? 危ないですよ、それ!」

曜「だから、それを千歌ちゃんが止めたんだよ」

曜「……その後、二人とも海に落っこちたって聞いたけど」

千歌「む、無茶苦茶ですね……」

曜「あははっ、そうだね」

ザザーン…

曜「……私ね」

千歌「えっ?」

曜「ここに来る前……千歌ちゃんと会うって決意した時から、今まで……」

千歌「……」
0368名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:12:43.33ID:U+ixAFtP
ザーッ…パシャッ…

曜「『何を話そうか』『会話に詰まったらどうしよう』『変なこと言わないようにしないと』とかとか……」

曜「ずっと、ず〜っと……頭の中で考えてた」

千歌「……っ」

曜「――でもね」

千歌「……でも?」

曜「こうして横に並んで、座ってみたら……」


曜「――……不思議と、話したいことが次々思い浮かんできた」クスッ


曜「もしかすると、夜までずっとここ話してるかもね?」

千歌「ええっ!? それじゃあ先生に怒られちゃいますっ、今日は検査にリハビリに……」

曜「あはは、冗談だよ。ごめんごめん」

千歌「でも……そう言ってくれるのは、嬉しいです」
0369名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:13:24.81ID:U+ixAFtP
ザザーン…

千歌「……いつか、ここで……」

千歌「――……曜さんと、夜まで……星が見えるまで。ずっと、話せたらいいな……って」ニコ

曜「……ふふっ、私もそう思うっ」

曜「そうだっ! どうせなら、Aqoursのみんなを誘ってドンチャンやってもいいかもっ」

千歌「あっ、それも楽しそうですねっ! 9人みんなで、夜まで……」

ザーッ…ザザーン…

千歌「今までのこととか、これからのこととか」

曜「……」

千歌「ずっと、話してるのも……」

曜「……千歌ちゃん」

千歌「きっと、楽しいですよっ」

曜「千歌ちゃんっ」

千歌「だから絶対、みんなで集まっ……」

曜「千歌ちゃんっ!」

千歌「ひうっ!?」
0370名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:15:08.88ID:U+ixAFtP
パシャッ…

千歌「……えっ? ど、どうしたんですか? 突然……って、わわっ!?」

ガバッ…ドサッ!

ギュウッ…

千歌「よ、曜さん? そんな、抱きしめられると……」


曜「――千歌ちゃん……お願い……っ」グスッ


千歌「お、お願いって〜……一体、何を……」

曜「千歌ちゃん、気付いて……」

千歌「気付いてって……」


曜「――……気付いてよっ!」ポタッ


千歌「……っ」


曜「千歌ちゃんは……」


曜「……千歌ちゃんは、今……」


曜「――……泣いてるんだよ?」ギュウ…
0371名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:15:45.54ID:U+ixAFtP
千歌「――……ほぇ……?」ゴシゴシ


千歌「――……あれ、ホント……だ……」ポタッ

千歌「私……なんで、だろ……なんで、泣いて……」グスッ

ギュッ

曜「お願い。自分の涙に……心に」

曜「――……気付いて、あげて……っ」ポロポロ

ギュウッ…


千歌「……っ」

千歌「……うぅ……」グスッ

千歌「――……わぁぁぁぁん! ひっぐ……うぅ……うわぁぁぁぁん!!」ポロポロ

ギュッ

曜「……千歌、ちゃん……っ」ギュウッ

千歌「……ぐすっ……わぁぁぁぁん……」ポタ、ポタッ…
0372名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:16:21.96ID:U+ixAFtP
ザーッ…

「……」

ザザーン…ピシャッ…

曜「……落ち着いた?」

千歌「……はい」グスッ

ザザーン…

千歌「……恥ずかしいところ、見せちゃいましたね」エヘヘ

曜「いいの、もう何度も見てきたし♪」

千歌「そ、そんなぁ〜……」

曜「そして、私も見せてきたっ! なんたって、小さい頃から今の今まで……ずっと一緒だったんだもん」

千歌「……っ」

千歌「……そう、ですよね」

曜「……」
0373名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:17:25.49ID:U+ixAFtP
ザザーン…

千歌「私……」

曜「ん?」

千歌「……『記憶を失っている』って聞かされた時のこと、今でも覚えてます」

千歌「真っ白な、全く知らない場所で目覚めて……知らない人が何人もいて」

千歌「……その時は、酷く暴れてましたっけ」

ザーッ…ザザーン

千歌「でも……」

曜「……うん」

千歌「梨子さんが、学校に連れて行ってくれて……善子さんと曜さんでゲームをして」

千歌「ダイヤさんにルビィさんと神社にお参りして、鞠莉さんとソフトボールをして」

千歌「花丸さんと本を読んで、果南さんと星を見……られな……えっと、ハグして」

曜(ハグしたんだ果南ちゃん……)

千歌「そして、今ここに居られて……曜さんと話せて」

千歌「――……本当に、とっても、と〜っても……楽しかったっ!」ニコッ
0374名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:18:16.26ID:U+ixAFtP
曜「……そっか」クスッ

ザザーン…

千歌「それで、みんな……まだまだ、たくさん遊んでくれるって」

千歌「そう言ってくれたのも、嬉しくて……今から、わくわくしてますっ」

千歌「だから、私……」


千歌「――……記憶を失った今でも……今が、楽しいです。未来が、楽しみです」

ザザーン…パシャッ…

千歌「……もちろん、心配事も不安もあるけど……」

曜「……」

千歌「勉強も、歌もダンスも……遊びも。そして……スクールアイドルとしての活動も」

千歌「Aqoursのみんなが、近くにいて……色々なことを教えてくれる」

千歌「――……そうですよね、曜さん?」

曜「ヨーソロー! もちろんでありますっ!」ビシッ

千歌「ふふっ……良かった」ニコ
0375名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:18:42.53ID:U+ixAFtP
千歌「そう思うと、たくさんある心配事も不安なことも……怖くないんです」

ザザーン…

曜「……」

千歌「……曜さん?」

曜「……ううん。千歌ちゃんがそう思ってくれていることが、私も嬉しくて」

千歌「……えへへ」

ザーッ…ザザーン…

千歌「まあ、卒業した後のこととかは何にも考えてませんけどっ」

曜「あははっ」

千歌「笑えません」

曜「はい……」

ザザーン…
0376名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:19:25.55ID:U+ixAFtP
千歌「……そうだ」

曜「どうしたの?」

千歌「私たちの学校の夏休みって……今日で終わり、なんですよね」

曜「……そうだね」

千歌「夏休みが終わったら、新学期が始まって……」

千歌「秋が来て、冬が来て……春が来て」

千歌「……そして、卒業式の日も」

ザザーン…

千歌「3年生のみんなとは、離れ離れになって……その次は、私たちも……」

千歌「――……時間は、止められない……」

パシャッ…

曜「……っ」
0377名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:20:25.66ID:U+ixAFtP
「……」


千歌「――……一つだけ、心残りがあるんです」


曜「……心、残り……?」

千歌「はい。記憶を失って、何にも残ってない私が言うのもなんですけど……」エヘヘ

千歌「今が楽しくて、未来が楽しみで……怖いものも何もない。それは、本当です」

千歌「でも……一つだけ」


千歌「――……『記憶を失ってしまったこと』……」

千歌「それだけが、私の……心残り。辛くて悲しくて……悔しくて」

千歌「そして、きっと……一生忘れられないこと」


曜「――……ちか、ちゃ……ん……」


ザザーン…
0378名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:21:33.09ID:U+ixAFtP
千歌「みんなと会って、色々なところに行って……」

千歌「楽しいって思ったり、悲しいって思ったり、嬉しいって思う……そのたびに」

千歌「失った今までの時間が、記憶が……思い出が。どれほど大切なものだったか」

千歌「そんな思いが、どんどん強くなっていって……」

ザーッ…

千歌「……さっき……」ポタッ

曜「……っ」

千歌「――さっきは……それを思い出しちゃったから」ゴシゴシ

千歌「ちょっと……感極まった?というか……」エヘヘ

曜「……そっか」
0379名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:22:05.24ID:U+ixAFtP
曜「……私はね、それでいいと思うっ」

千歌「……へ?」

曜「自分の中にあるもの、それがどんなに辛いものでも……楽しいものでも」

曜「……抱え込んでいいと思う」

千歌「……」

曜「ただ……」

千歌「……ただ?」

曜「もし、それを抱えることに……耐えきれなくなったら」

曜「その時は――さっきみたいに」


曜「――さっきみたいに、我慢しないで……思いっきり泣いてほしい」


千歌「……っ」
0380名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:22:42.38ID:U+ixAFtP
曜「千歌ちゃんはね、いっつも周りのことをよく見てた」

曜「――でも……その分、自分の事には……あんまり、目を向けてなかったというか」

千歌「……」

曜「小さい頃からずっと一緒に居る私が思うんだから、間違いないっ!」

曜「……だから、きっと抑え込んじゃう部分もあると思うんだ」

千歌「むぅ……人のこと言えるんですか?」ジトー

曜「ううん、言えないっ!」ガバッ

千歌「え……わあっ!?」

ドサッ、ギュッ

曜「っ……だか、ら……」グスッ


曜「――私も、そうする……よ……」ポタ…


千歌「……曜、さん……」

ギュウッ…
0381名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:23:23.80ID:U+ixAFtP
曜「……私……」

曜「千歌ちゃんが、記憶を失ってから……ずっ、と……」ポタ

曜「ぐすっ……幼馴染の私がしっかりしなきゃ、とか……みんなを動揺させたくない、とか……」

曜「余計なこと、ばっかり……考えてて……っ」ギュウッ

千歌「……っ」

曜「千歌ちゃんと、会うこと……も……うぅ……いっつも、遠ざけてて……」グスッ


曜「……本当は……会って、話をして……」

曜「――……こうやって、抱きしめたかったのに……っ」


千歌「……」

曜「そうしない方が辛い、って……わかってた、のに……」ポタポタ

千歌「……曜、さん……」

…ギュッ

曜「っ……うぅ……わぁぁぁぁん!!」ポロポロ

ギュウッ…
0382名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:23:51.33ID:U+ixAFtP
曜「ぐすっ……」

千歌「……落ち着き、ましたか?」

曜「んっ……」コシゴシ

曜「……うん、なんとか」ニコ

曜「よっ……と」

ザッ

千歌「よ、曜さん……? どこへ……」

曜「そろそろ、帰ろうかなって思って……私も、すっきりしたし」エヘヘ

ザッ、ザッ…

曜「千歌ちゃん、病院まで一緒に帰ろう?」

千歌「……すみません」

千歌「――……私は……もう少し、ここに残りたいです」

曜「……そっか。じゃあ、病院には私が連絡しておくねっ」

千歌「……はい、ありがとうございます」
0383名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:24:40.48ID:U+ixAFtP
曜「じゃ……」

ザッ、クルッ

曜「またね、千歌ちゃんっ!」ビシッ

千歌「……はい、また今度」ニコッ

クルッ、ザッザッ…

キラッ…ポタッ

千歌(……っ)

千歌(……今、の……)

…ザザーン…
0384名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/02(水) 22:25:45.00ID:U+ixAFtP
千歌「……」

ザッ…ドサッ

千歌「空……」

千歌(……一面の雲、かぁ……)

千歌「私が記憶を失って、ここまできて……」

千歌「今が楽しくて、未来が楽しみで」

千歌「……」

千歌「……私は、これでいいんだよね」
0386名無しで叶える物語(庭)
垢版 |
2019/01/02(水) 23:11:27.58ID:NO+x5BFA
0389名無しで叶える物語(なっとう)
垢版 |
2019/01/03(木) 14:31:52.83ID:L3hbqFYx
0390名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:33:22.16ID:mKDAuNGP
千歌(……)

千歌(……本当に……?)


千歌(――本当に、これでいいのかな……?)


千歌(――……何か、大切なことを……忘れてる、ような……)


千歌「でも……」


千歌「何を忘れてるのか、わからないよ……」


千歌「――……なんでだろ……」


千歌「なんで、なんで――わからないんだろ……」
0391名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:33:47.92ID:mKDAuNGP
千歌(……私……)

千歌「やっぱり、バカだ……」ギュッ


千歌「――……バカ……ち……」ツー…

ポタッ…


……
0392名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:34:19.76ID:mKDAuNGP
〜〜

千歌「……んぅ」パチッ

千歌「――……あれ? 私……寝てた?」

千歌「……えーっと……」キョロキョロ

千歌「……ええっ!? こ、ここどこ!?」


??「ここは、私の部屋だよ!」


千歌「……ほぇ?」

千歌「こ、声? どこから? 私の声と似てる……いや、同じだよね!?」

??「いいからいいからっ! さ、こっちに来てっ!」

千歌「こっちって……わっ!? これ……」

キラキラ

千歌「青い……羽根? なんだか、綺麗……って、わあっ!?」

フワッ…

千歌「は、羽根が飛んで……ま、待って〜っ!」ダッ

??「あははっ。最近練習してなかったし、ちょうどいいよっ」

千歌「えっ……むぅ、余計なお世話だよっ」
0393名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:34:50.03ID:mKDAuNGP
ガタンッ!

「いってらっしゃい」

「バカチカ、また遅刻〜?」

「気を付けてね、千歌ちゃん」

千歌「へ? えっと……い、いってきまーすっ!」

タッタッタッ…

千歌「……はぁ、はぁ……」タッ

千歌「……こ、ここって……」

??「うん。私が通ってる学校、浦の星女学院だよ。じゃ、次はこっちっ」フワッ

千歌「え〜っ!? まだ走るの!?」

タッタッ…

??「はい、ここまでっ」

千歌「はぁ、はぁ……おんがく、しつ?」

??「ふふっ。羽根は、その中にあるよ」

千歌「え、えぇ……じゃあ、失礼しまー……す……」ガララッ
0394名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:35:35.02ID:mKDAuNGP
「……」

…タン♪

千歌「……っ」

「Aqoursは、千歌ちゃんから始まったものだった」

「曜ちゃんが入って、私が入って……1年生のみんなに、3年生のみんなも」

「学校で初めてのライブをやって、東京に行って……地方予選に出て」

「体育館、屋上、花火大会に……色々な場所で、色々な曲を披露してきた」

「地方予選では、負けちゃったけど……『めげずに、残された夏休みも練習頑張ろうっ』って」

「そう言った千歌ちゃんに、みんながうなずいて……笑ってた」

「『想いは一つ』……その時に改めて感じたこと。私も、笑っちゃった」

「……でも」
0395名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:36:08.53ID:mKDAuNGP
??「さ、次はこっち」フワッ

千歌「……うん」タッ

タッタッ…

??「ここだよ、図書室!」

ガララッ

「そのすぐ後に、千歌ちゃんが……」

「――事故で、記憶を失った」

「オラと一緒に勉強して、本を読んだことも……」

「私と、たくさんゲームで遊んだことも……」

「何もかもの思い出が、千歌ちゃんの中から消えちゃった……まるで、本の中の出来事みたいに」

「私は、どうすればいいのかわからなかったわ」

「マルは、ここでルビィちゃんと……たくさんの本を開いて、閉じて……」

「何か手掛かりがないかって、ずっと探してた」
0396名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:37:57.53ID:mKDAuNGP
「みんなが集まって、別れて……9人が、一人ひとりになったその日ね」

「梨子ちゃんから『千歌ちゃんを学校に連れていきたい』っていうメールがあった」

「その時は、私もみんなもショックで動揺してて……梨子だって、そうだった」

「それでも、梨子ちゃんはそう提案した……梨子ちゃんなら」

「梨子なら、大丈夫。私もずら丸も、みんなが思ってたこと」

「そして……次の日、梨子ちゃんと千歌ちゃんは……この学校に来た」
0397名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:38:32.51ID:mKDAuNGP
??「さ、次はここ。生徒会室!」フワフワ

千歌「……っ」

ガララッ

「梨子さんが千歌さんと会ったこと。様子はどうだったか、記憶はどうだったか……」

「梨子ちゃんは、全部ルビィたちに教えてくれた」

「千歌さんらしさ、千歌さんの個性……それが失われていないように見える。そう聞いたときは、安心して」

「千歌ちゃんの中に、記憶はない――思い出がない。そう聞いた時は……やっぱり、悲しかった」

「でも……その日の夜、善子さんが千歌さんに会うと話していて」

「ルビィも、お姉ちゃんも……おんなじことを思ってたっ」

「どこに連れ出せばいいか、どこで遊べばいいか……」

「それは、正解なんてないこと」

「だから……わたくしは、行きたいところに行こうと決めました」
0398名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:38:57.89ID:mKDAuNGP
「梨子さんがピアノを弾いて……」

「善子ちゃんが、ゲームで遊んだように」

「結局……わたくしたちも、自分らしい場所で自分らしく……そうありたかった」

「そして、千歌ちゃんと一緒に……楽しみたかったっ」

「もちろん、不安もありましたけど……」

「帰る時は……会えてよかった、遊べてよかった。そんな気持ちで、いっぱいだったよっ」

「……でも、わたくしは……」

「ルビィも……」
0399名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:40:42.84ID:mKDAuNGP
??「どう? まだ走れるよねっ」フワフワ

タッタッ

千歌(……理事長、室……)

ガチャッ…

「私も、梨子ちゃんも、善子ちゃんも」

「マルも、私も……ね♪」

「みんなが、千歌に会ったその日、千歌の前で泣いていて……」

「……ちかっちも、同じように泣いていた」

「――……けどね、それは悲しいからってだけじゃない」

「私は、ちかっちが変わってなくて良かった……そう思って、安心して」

「私は、星を見れなかった悔しさと……千歌を叩いたこと。でも……千歌を抱きしめられたことも」

「私たちだけじゃないわよ?♪」

「千歌に会ったみんなは……みんなが、それぞれの涙を流してた」

「それはね? みんなが、自分を……自分の感情を……」
0400名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:41:34.90ID:mKDAuNGP
「――心を……千歌にぶつけてるから」

「そして、それにちかっちが応えてくれたからよ♪」

「記憶を失っていても、なんであっても……千歌は千歌、変わらないことだった」

「それでね、思ったの。ちかっちが変わらない様に……私たちだって変わってない、って」

「ルビィちゃんが、大好きなスクールアイドルを始められた時」

「マルがためらいを振り切って、やりたいって決めた時」

「善子ちゃんが、堕天使キャラを捨てず……そのままでいいって、思い直した時。そして……」

「私に果南にダイヤ、3人が仲直り出来た時だってそうよ♪」

「いつだって、私たちは……千歌に、他のみんなに、自分をぶつけてきた」

「ちかっちが、みんながいて……やりたいようにやってきたのよ♪」
0401名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:42:51.55ID:mKDAuNGP
タッタッ…

??「最後は……部室、だね」フワフワ

千歌「……ぐすっ……うぅ……」ポタッ

ガララッ

千歌「……っ」ゴシゴシ


「……ねえ、千歌ちゃん」


「私ね、『今が楽しい、未来が楽しみ』……千歌ちゃんが、そう言ってくれたこと」


「本当に、ほんとうに……ほんっとうに、嬉しかったっ」


「私は、この言葉……絶対忘れないよ。忘れたくないっ!」


「みんなが言ってくれたように……千歌ちゃんがいたから、みんながいたから」


「私たちは、自分であり続けて……ぶつかり合って。今まで……過ごしてきた」


「だから……ありがとう」
0402名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:43:21.89ID:mKDAuNGP
ビュウッ、ゴオッ!

千歌(っ!? か、風……!?)


「――……ありがとう、千歌ちゃん」ニコッ


千歌「い、いかないでっ!」グッ

ゴオオッ!

千歌「――いかないでよっ!」ザッ


ゴオオォッ!


千歌「――……かない、で……っ!」


千歌「――……よう、ちゃ……っ……」

ビュウッ!!

千歌「ぐうっ……! 待っ……わあっ!?」
0403名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:44:00.29ID:mKDAuNGP
??「……大丈夫?」ポン

千歌「……んっ」パチッ

千歌「……あれ? ……ここ、は……」

千歌(……一面、真っ白……)

??「ほら、起きてっ」ギュッ

千歌「あ、ありがと……よいしょ、っと」タッ

千歌「あなた、は……」

??「私は、記憶を失う前のあなた」タッ…

クルッ

??「――……チカ、だよ?」ニコッ

千歌「……っ」
0404名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:44:35.66ID:mKDAuNGP
千歌「なんで、あなたが……」

??「そんなの決まってるよ。あなたが……チカが、忘れたくないから」

千歌「……じゃあ、ここは……」

??「あなたが見てる、夢の世界?……っていうか……」

千歌「Aqoursのみんなが出てきたのは……」

??「もちろん、あなたが会いたいって思ってるからっ」

??「……ねえ」

千歌「……」


??「――……あなたは、記憶を取り戻したい?」


千歌「っ!?」

千歌「――そんなの、決まってる。もちろん、取り戻したいよ……」

千歌「取り戻したいよっ! でも……私は、事故で……」
0405名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:45:34.79ID:mKDAuNGP
??「……ううん」

千歌「えっ?」

??「あなたが記憶を取り戻せなかったのは、思い出せなかったのは……事故のせいじゃない」

千歌「っ……違う! 頭に負った傷で、私は……」

??「記憶は頭の中にだけあるわけじゃない、心にだってあるよ」

千歌「……どうして」

??「……」

千歌「どうして、そんなことが言えるの!? 根拠なんて、どこにも……」

??「え〜……そう言われると、そうだけど。でも、私は――あなたなんだよ?」

千歌「……っ」

??「……今までは、心にある記憶を取り戻すなんて……」

??「誰とも話さず、誰とも同じ時間を過ごしてない」

??「手がかりもない状態では……出来ないことだった」

??「でも……今のチカなら。みんなと会って、話して……ぶつかって」

??「心を通わせて、応えて……共鳴させた。今のチカなら、思い出せるはず」ニコッ

??「頭で、じゃない……心で!」
0406名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:46:02.46ID:mKDAuNGP
千歌「……」

??「大丈夫」

千歌「……」

??「あなたが、みんなの心に応えてくれたように……」

千歌「……」

??「みんなが、あなたの心に応えてくれた」

千歌「……」

??「8人、みんなが」

千歌「……」
0407名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:46:28.66ID:mKDAuNGP
??「思い出して」

千歌「……」


??「――みんなが流した、あなたが流した涙を……その意味を」


千歌「……」

??「……怖がらないでいい。あなたなら……」

??「――今のチカなら、絶対に思い出せる!」

パァッ…!

千歌「っ!?」グッ
0408名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:47:19.27ID:mKDAuNGP
パッ

千歌(……ここ……は……)タッ

千歌(……どこ、だろ……?)

??「私……ダメだ。何をやっても変われないよ」

千歌(……この、声……)

千歌(だれ、だっ……け……)

??「前の学校でも、千歌ちゃんの前でも……ミスをして」ポタッ…

??「コンクールに来てくれた人も、千歌ちゃんも……きっと、失望させた……」

千歌「……いや……」

千歌「――……いや……違うっ!」

??「……っ」

千歌「――梨子ちゃんの涙は、そんなのじゃない!」

千歌「梨子ちゃんはちゃんとミスを受け入れて、謝って……」

千歌「ピアノに、聴きに来てくれた人に……私に! 真面目に向き合ってた!」

千歌「私の心を動かしてくれたのも、コンクールで入賞できたのも……そうだったからでしょ!?」

千歌「梨子ちゃんは、変われたんだよ! そして、私も変えてくれた!」

??「……ふふっ。ホント、変な人」

ポタッ…

梨子「……大好きだよ」ニコ
0409名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:48:03.86ID:mKDAuNGP
パッ

千歌(……ここ、は……)タッ

??「ダメね、私。千歌の気も知らないで、好きなことを一方的に喋って……」

千歌(……もしかして……)

千歌(ここには、前にも……)

??「堕天使とか、黒魔術とか……そんなもの、あるわけないじゃない」ポタッ…

??「さっ、片づけはこれで終わりね。これを捨てたら……今度こそ、明日から普通の高校生に……」

千歌「――……ううん、ダメだよっ!」

??「……っ」

千歌「――私は、善子ちゃんと話すのも、ゲームで遊ぶのも楽しかった!」

千歌「それは、善子ちゃんが好きなものを好きでいてくれたから! それを私に見せて、話してくれたから!」

千歌「好きなものを捨てて、自分の中にしまい込む……善子ちゃんが流したのは、そんな涙じゃなかった!」

千歌「だから……そんな大事なもの、捨てちゃダメだよ!」

??「……じゃあ、リトルデーモンになれとか言うかもよ?」

千歌「ええっ、それはちょっと……でも、嫌だったら嫌って言うよ! だから、そのままで……っ!?」パッ…ギュッ

ポタッ…

善子「ふふっ……ありがと」ニコ
0410名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:48:46.64ID:mKDAuNGP
パッ

千歌(……ここは、神社……? でも、私が住んでる場所には、こんな神社……)タッ

??「わたくし、後輩の前で弱いところを……泣いてしまう、なんて。これじゃあ、先輩失格ですわね」

千歌(……ううん、きっと……ここも、前に……!)

??「運動でも同じ。後輩の背中を追いかけるくらいなら、足手まといになるくらいなら……」ポタッ

??「大丈夫ですわ。わたくしがいなくても、千歌さんならちゃんとリーダーを……」

千歌「――……そんなわけない!」

??「……っ」

千歌「ダイヤさんは、すっごく頼りになる……大事な大事な先輩で、友達で、仲間だよ!」

千歌「どんなに弱いところを見せても、どんなに泣いても変わらないこと!」

千歌「内浦から、ここまできて……私が全く知らないこの街を案内して、楽しませてくれたことも!」

千歌「……この階段をのぼるのは、今は私のほうが速いかもしれない。でも!」

千歌「ダイヤさんは、私に負けないくらい頑張るって言ってくれた! いくら遠くに背中があったって、追いつこうとしてくれた!」

千歌「あの涙は……『足手まといになるならやめる』なんて、そんな意味じゃない!」

千歌「ダイヤさんがいてくれないと、ダメなんだよ!」

??「……まったく」

ポタッ…

ダイヤ「それなら、離れるわけにはいきませんわね」クスッ
0411名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:49:38.27ID:mKDAuNGP
パッ

千歌(ここもだ……私たちが住んでる場所じゃない。こんな場所、来た事あったっけ……)タッ

??「ルビィ……お姉ちゃんが泣いてて、千歌ちゃんが泣いてて……でも、慰めることもできなかった」

千歌(あれは……窓? 景色が流れて……動いてる、のかな)

千歌(……それだけじゃない、この景色……どこかで見たはず!)

??「それどころか、ルビィも泣いちゃうなんて……いっつも泣き虫で、臆病で……」ポタッ

??「泣いてばっかりじゃ、人を避けてばっかりじゃ……何も進まない、わかりあえないって。わかってるのに……」

千歌「――違うよっ!」

??「……っ」

千歌「ルビィちゃんが泣いたのは……涙を流したのは、泣き虫だからとかじゃない! 気持ちを受け止めてくれたからでしょ!?」

千歌「涙を流す人に寄り添って、一緒に泣くのは……ルビィちゃんがその気持ちを、感情を」

千歌「自分の事のように感じて、汲み取って……その人の心にも寄り添ってるから。わかってるからだよ!」

千歌「慰めようって思うことも大事かもしれない。でも、私はルビィちゃんが泣いてくれただけで……」

千歌「自分と同じ気持ちだって、それが伝わってるって思えた!」

千歌「そうじゃなきゃ、絵馬に込められた気持ちに気付けるわけない! その気持ちを、大切に思うことなんてできないよ!」

??「……うん、ありがとっ」

ポタッ…

ルビィ「また、泣いちゃったけど……それでいいんだよねっ」エヘヘ
0412名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:50:26.88ID:mKDAuNGP
パッ

千歌(ここ……)タッ

??「勝負に夢中になって、自分で言ったことを自分で破るなんて……」

千歌(そうだ、ここは……学校のグラウンドだ!)

??「負けるってわかってる勝負……そんなもの、いくら引っ張ったって意味ないのに」ポタッ

??「こんなことで体力を使うなら、初めからやらなければ良かった。自分を大切にしないと……」

千歌「――そんなの、間違ってる!」

??「……っ」

千歌「自分を大切にすることが大事なのはわかる。鞠莉ちゃんが私にそう言ってくれたことだって、嬉しかった」

千歌「でも……譲れない部分を、曲げられないところを曲げちゃダメだよっ!」

千歌「私が、私であるように……鞠莉ちゃんも鞠莉ちゃんであってほしい!」

千歌「二人でやったソフトボールは、鞠莉ちゃんが負ける勝負……私が勝てるってわかってる勝負なんかじゃなかった!」

千歌「鞠莉ちゃんが自分を曲げなかったから……引っ張ったから、私は負けた。鞠莉ちゃんが勝ったんだよ!」

千歌「鞠莉ちゃんは、勝つために挑んでた! 自分が負けるって決めつけたり、やらなきゃ良かったって挑んだことを否定して」

千歌「簡単に自分を曲げるような……鞠莉ちゃんの涙は、そんなのじゃない!」

??「……じゃあ、今から50打席勝負ね♪」

千歌「うえぇっ!?」

ポタッ…

鞠莉「イッツジョーク♪ でも、次の勝負も負ける気はないわよ?♪」フフッ
0413名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:51:14.12ID:mKDAuNGP
パッ

千歌(ここだって……私は、あんまり来たことはないけど……)タッ

??「……ここで千歌ちゃんに勉強を教えて、一緒に本を読んでた。でも、千歌ちゃんは図書室なんて……」

千歌(図書室だよ! そして、カウンターにいるのは……はな、ま……)

??「千歌ちゃんに好きな本を押し付けても……一緒に本を読んでも、意味ないよ」ポタッ

??「マルは、ここで……一人で本を読めれば、それでいい。ずっと、自分の世界に居られれば……」

千歌「――違う……違うっ!」

??「……っ」

千歌「私は、図書室に居て楽しかった! 確かに、あまり来ない場所だけど……嫌いなんかじゃない!」

千歌「花丸ちゃんが勉強を教えてくれたことも、一緒に本を読んだのも……隣に座って、話すことだって!」

千歌「……一人で本を読むことも、自分の世界にいることだって大事だと思う」

千歌「でも! あの時、この場所で一緒に居なきゃ……楽しいって気持ちだって、本の感想だって伝わらなかった!」

千歌「二人だけの、大事な一冊の本ができた時。花丸ちゃんが手を握ってくれた時」

千歌「あの時の花丸ちゃんの涙に、意味がないわけないっ!」

千歌「本を読むことの楽しさを……本の世界を教えてくれたのは、花丸ちゃんだよ!」

千歌「……さあ」サッ

??「……ありがとう、千歌ちゃん」パッ…ギュッ

ポタッ…

花丸「この手を握れて……図書委員でいられて、良かったずら」ニコッ
0414名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:52:02.72ID:mKDAuNGP
パッ

千歌(この場所は……確か、ロープウェイで登った山)タッ

??「はあ……また雨、かぁ。まただ……こうやって、雲や雨に邪魔されてばかり」

千歌(ここには、星を見に来て……あの場所にいるのは、きっと果南ちゃんだ!)

??「そうだよね。もう、何度ここにきても……絶対、雨が降って雲がかかる」ポタッ

??「千歌を……大事な人を連れて行ってダメだった。千歌を傷つけて諦めさせるくらいなら、私が諦める方が……」

千歌「そんなんじゃないっ!」

??「……っ」

千歌「私が知ってる果南ちゃんは、そんなんじゃない! 一度の失敗で、諦めるような……やめるような性格じゃない!」

千歌「『絶対』なんて……『絶対ダメだ』なんて言わない! 果南ちゃんなら『絶対できるから』、そうでしょ!?」

千歌「私を叩いたことだって……私の知ってる果南ちゃんなら、絶対そうしてた!」

千歌「雨からかばったり、また行こうって約束してくれたり……ハグしてくれたり」

千歌「あの涙は、私を大事に思ってくれてるからだって……私には、わかってるっ!」

??「……ふふっ」

ポタッ…

果南「やっぱり、千歌は鋭いね」ニコッ
0415名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:52:49.58ID:mKDAuNGP
パッ

千歌(ここは……私の家の前にある海岸だ!)ザッ

??「私、みんなみたいにはできない。千歌ちゃんから逃げて、避けて、離れることしか……」

千歌(あそこに立ってるのは曜ちゃん、間違いないよ!)

??「千歌ちゃんやみんなを動揺させちゃったら、会話に詰まっちゃったら……私と二人でいることが、嫌だったら」ポタッ

??「小さい頃からずっと一緒に居たんだもん、私がしっかりしないと。会いたいって思ってても、我慢しなきゃ……」

千歌「違う、ちがうっ――ちが〜〜うっ!!」

??「……っ」

千歌「ずっと一緒に居て、ず〜っと遊んできた! それなのに、二人でいるのが嫌なんて……そんなわけないっ!」

千歌「自分を抑え込まないでって……我慢しないでって言ってくれたのは、曜ちゃんだよ!」

千歌「これだけ一緒に居れば……すれ違ったり、お互いが本音を言えなかったり。それは、確かにあるかも知れないけど……」

千歌「でも……でも! 何度すれ違っても、何度息が合わなくても、何度ぶつかっても!」

千歌「私は、曜ちゃんといる時間が大好きだよ! 曜ちゃんだって、その気持ちは一緒でしょ!?」

??「……うんっ」

ポタッ…

曜「ヨーソロー! もちろんだよ、千歌ちゃんっ!」ビシッ
0416名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:53:42.00ID:mKDAuNGP


パッ

千歌(……)

千歌「……んぅ」

千歌(……ここ……)

千歌(――……真っ白な、世界……)

??「――おかえりっ」タッ

千歌「……っ」

??「どうだった?」ニコッ

千歌「……」

千歌「……うん」


千歌「――……私……思い出した……」グスッ


千歌「――……思い出せた、よ……」ポタッ
0417名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:54:27.77ID:mKDAuNGP
千歌「なんで……気づけなかったんだろ……」

千歌「こんな……大切な、ものに……」

千歌「自分の中に……ぐすっ……心に、最初から……っ」

千歌「――……持ってたもの……だった、のにっ……!」ポロポロ

??「……ううん」

千歌「……えっ?」

??「Aqoursの8人、みんなと……今まで過ごした時間」

??「抱いた感情に、流した涙……心が共鳴し、感応したこと」

??「記憶を失ったあなたが、辿ってきた過去……」


??「――……今までに描いた、軌跡の力」


千歌「……っ」ゴシゴシ

??「心にある記憶を取り戻すのは……この力がないと、出来なかった事なんだよ?」
0418名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:55:04.42ID:mKDAuNGP
千歌「ぐすっ……で、も……」ポタッ

ギュッ

??「……泣き止んで」

千歌「……っ」

??「あなたには、待っててくれる人が……」

??「会うべき人が、たくさんいるっ。そうでしょ?」

千歌「……」

??「あなたが大切なものを取り戻した。私は、それが嬉しいっ」

千歌「……でも」

??「私は……チカは、それでいい」

千歌「でもっ!」

??「この夢は、これで終わり」パッ

??「……さあ、行って」

千歌「……っ」

??「さあ」ニコッ
0419名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:55:39.05ID:mKDAuNGP
千歌「……」クルッ

タッ、タッ…

??「……」

タッ、タッ…

千歌「……」

タッ、タッ…


??「――……バイバイっ!」ニコッ


千歌「……っ」グッ


ポタッ…


タッ、タッ…

タッ…

……
0420名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:56:33.04ID:mKDAuNGP
千歌「……んっ」パチッ

ザザーン…

千歌(……青い空に……太陽……)

ザーッ…ザザーン…

千歌(波の、音……)

ザザーン…

千歌「そっか、私……」

千歌「海岸で、寝ちゃったんだっけ。よっ、と」ザッ

千歌「うぇ〜、砂がベッタリ……」パッパッ

「……」

千歌「……さっ、家にかえ……」クルッ
0421名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:57:58.92ID:mKDAuNGP
千歌「……い、え……?」

ザザーン…

千歌(……)

千歌「――……違う……」

千歌「……私、夢を……」

「……」

千歌「……記憶……?」

千歌「……そうだ」
0422名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:58:31.07ID:mKDAuNGP
千歌「――……そうだ、私……!」


千歌「――……記憶、を……っ!」


千歌「っ!」ザッ…ダッ!

タッタッタッ…

千歌「――そうだ、そうだよっ!」

千歌「私は……私はっ!」


千歌「大切な、記憶を……」


千歌「――思い出、を……!」

タッタッタッ…

千歌(家にだって……家にだって、今すぐに帰りたいっ)

千歌(今すぐに、美渡ねえや志満ねえに……お母さんにも……!)グスッ

千歌「……でもっ……!」

千歌「――……私、にはっ……!」ダッ!

タッタッタッ…
0423名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 19:59:27.40ID:mKDAuNGP
タッタッ…

千歌「はぁ、はぁ……ここだ、私の……!」

千歌「――私が通ってた、浦の星女学院……忘れるわけ、ないっ!」ダッ!

タッタッ…


梨子「〜♪」

梨子「お〜な〜じ〜あし〜たを〜……♪」タン♪

梨子「……しんじてる〜♪」タン…♪

…タッタッ、ダン!

ガララッ! ガタンッ!

梨子「ひゃあっ!? だ、誰……」


梨子「――……え……?」


千歌「……はぁ、はぁ……!」


梨子「――……ちか、ちゃん……?」ガタッ
0424名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:00:00.29ID:mKDAuNGP
梨子「ど、どうしたの? そんなに息を切らして……」タタッ

梨子「ダメだよ、病院に……」


千歌「――梨子ちゃんっ!」


梨子「……っ」

梨子(……りこ『ちゃん』……?)

ダッ、ガバッ!

梨子「きゃあっ!?」ドタッ

千歌「梨子ちゃんっ! 私……わたし……っ!」ギュッ


千歌「――……思い出した、思い出したよっ!」グスッ

千歌「あの海岸で初めて会ったことも……この音楽室で、ピアノを聴かせてくれたことも……!」ポタッ…

千歌「オレンジ色のシュシュを、私にくれたこともっ!」

千歌「――……大切な……大切な、記憶が……全部っ!」ポタポタ


梨子「……っ」

梨子「――……ち、か……ちゃん……」グスッ

梨子「本当、に……ぐすっ……記憶、を……っ! うぅ……」ポタッ

ギュウッ…
0425名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:00:29.60ID:mKDAuNGP
千歌「――……うぅ……うわぁぁぁぁん!」ポロポロ

梨子「よかった……私のことも、みんなのことも……」ギュッ

梨子「私が案内した……ぐすっ……この学校のことも……思い出して、くれたんだね」ポタポタ

千歌「うん……うんっ! 私も……」ギュウッ

千歌「――梨子ちゃんのこと、絶対に……忘れたくなんか、なかった……っ!」

千歌「こんなに、大切だったのに――……梨子ちゃんのこと、大切に想ってたのに……私っ……!」

梨子「もうっ……いいのよ。私は、今……千歌ちゃんが、私を想ってくれてるのが嬉しい」

梨子「私が、ここで弾いた曲も……歌った歌も……」

梨子「記憶を失った千歌ちゃんに、学校を案内したことも」

梨子「少しでも、千歌ちゃんの力になれたなら……」グスッ

千歌「ううん……少しじゃ、少しなんかじゃないよっ! ぐすっ、えぐっ……」ギュウッ

梨子(……っ)

梨子「……ありがとう」ポタッ

ギュウッ…
0426名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:00:58.90ID:mKDAuNGP
梨子「……でも……」パッ

千歌「……ほぇ?」

梨子「――……千歌ちゃんには、まだ会わなきゃいけない人がいる」

千歌「……っ」

梨子「そうでしょ?」ニコッ

千歌「……」

梨子「もう……私が知ってる千歌ちゃんは、そんなに悲しそうな顔はしなかったよ?」

千歌「え、ええっ!?」

梨子「……なんて、ね♪ ほら、これ……水分補給もしっかりしないと」タッ…サッ

千歌「……うん、ありがとっ!」パッ ゴクゴク

千歌「……ぷは〜っ! 美味しいっ!」

梨子「ふふっ、良かった」
0427名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:01:25.79ID:mKDAuNGP
千歌「……じゃあ、私……」

梨子「うん」

千歌「……」

梨子「……大丈夫。また、すぐ会えるよ」ニコッ

千歌「……そうだねっ! ありがとう、梨子ちゃんっ」

タッ!

千歌「いってくるっ!」

梨子「いってらっしゃい、千歌ちゃん」フリフリ

ガララッ…ガタン

梨子「……ぐすっ……」ポタッ

梨子「……っと」ゴシゴシ
0428名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:02:25.88ID:mKDAuNGP
梨子「ふふっ。私も、いつまでも泣いてないで……」

梨子「千歌ちゃんの病院に、連絡を……」ポツ…

梨子「……あれ?」

ポツポツ…ザーッ

梨子「外は……雨? 雲一つないのに、なんで……」

梨子「こんなこと、あるんだ……千歌ちゃん、大丈夫かな……」

梨子「――ううん。大丈夫、だよね」フフッ

ポチポチ…ピッ

梨子「……もしもし? そちらの病院に入院されてる、高海さんの友人の……」

梨子「はい……高海さんが、記憶を……」

ザーッ…
0429名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:02:56.97ID:mKDAuNGP
タッタッタッ…

千歌(雨……こんなに、晴れてるのに……)

千歌「でもっ……そんなの、今の私には……!」


千歌「――……私には、関係ないっ!」ダッ!


パシャッ、ピシャッ!

タッタッタッ…
0430名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:03:59.13ID:mKDAuNGP
「わかったわ、報告ありがとう。高海さんの脳や身体の状態、精密検査を行えるようすぐ準備して」

「いや、どうせすぐ帰っては来ないだろうしゆっくりでも……こほん、早急にお願い」

「すぐ病院に戻るよう、携帯に連絡も。下がっていいわよ」

ガララッ…ガタン

(……『高海さんの記憶が戻った』……桜内さんが言うなら、間違いないことだろうけど)

(……記憶喪失を起こした人間が記憶を取り戻す症例は、少なくはない)

(『代償機能』……損傷を受けた脳から失われた機能を、脳の別の部分が補うことがある)

(でも、高海さんが受けた脳の損傷はかなり大きなものだった。『思い出』の記憶を司る部分は、特に……)

(それに、代償機能は長い時間をかけて働く場合がほとんど。この短期間で、記憶が戻るなんて……)

(……頭ではない……『心』が記憶を補ったとでも言うの?)

「……まさか、ね」

(なんにせよ……)

「――月並みな言い方だけど……これが奇跡でなくて、なんなのよ」フフッ
0431名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:04:41.27ID:mKDAuNGP
ザーッ…

善子「こんなに晴れてるのに、雨なんて……」ポチポチ

善子「フッ、これこそが我が黒魔術! 天候そ……わあっ!?」

デデーン

善子「ま、また負けた……なんでこんな強い敵を終盤に……って、当たり前か」

善子「くっ……こうなったら、千歌に……」

「……」

善子「……いや、私だけでもいけるはずよっ!」ポチポチ

…ピンポーン♪

善子「げっ、ゲームやってるのに誰か来た……」

善子「ママは外に出てるし……待たせるのは悪いけど、キリが良いところまで進めてから……」

ピンポーン♪

善子「……」

ピンポーン♪ ピンポーン♪ ピンポーン♪

善子「なんなのよコイツっ!?」
0432名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:05:36.45ID:mKDAuNGP
善子「あ〜っ、もう!」タッ、スタスタ

ピンポーン♪ ピンポーン♪ ピンポーン♪

善子「何よ、さっきから! うるさ……」ガチャ

ガバッ!


千歌「――善子ちゃんっ!」ギュッ


善子「……っ」


善子「――……千歌……?」

善子「こんな……びしょ濡れじゃない。ほら、上がって。今すぐ拭くものを……」

ギュウッ

善子「……あの、離してくれないと……」

千歌「私……」


千歌「――記憶が……記憶が、戻ったんだよっ!」グスッ


善子「っ!?」

善子(そ、そんな……でも……嘘をついてるようには、全く……)

善子(……違う! 千歌がそんな嘘つくわけ……)
0433名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:06:18.40ID:mKDAuNGP
千歌「本当だよっ!」

善子「……っ」


千歌「本当に、本当に――……ほんっとうに、思い出した!」

千歌「黒い羽根を持つ私の手を、握ってくれたことも!」

千歌「部室でゲームの話をしたことも……ぐすっ……ひっぐ……善子ちゃんの家で、ゲームをやったことも!」

千歌「善子ちゃんが……対戦で、私をボッコボコにしたのも……時間を忘れて熱中したこと……もっ!」ポタッ

千歌「――……善子ちゃんが、堕天使ヨハネであることもっ!」ポロポロ


善子「――……ち、か……」ポタッ


善子「……っ」

善子「……ぐすっ、うぅ……」ゴシゴシ


善子「フッ――さすが、我がリトルデーモンね……」ポタッ

善子「――人の身でありながら……ぐすっ……刹那のうちに、記憶を……ひっぐ、えぐっ……蘇らせる、とは……」ポロポロ


千歌「善子、ちゃん……」


善子「本当……千歌には……敵わない、わ……」ギュウッ…
0434名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:06:45.74ID:mKDAuNGP
千歌「でも……私、ゲームでは……」

善子「……ぐすっ……それは、私の方が上手いわね」

千歌「……記憶喪失の時は、勝ててた……けど」ギュッ

善子「っ……うるさいっ!」ギュウッ

「……」

善子「……っと、ちょうどいいところに来てくれたわ」パッ

千歌「えっ?」

善子「ちょっとゲームで詰まってるところがあるの。今から手伝いなさいっ!」

千歌「……私、は」

善子「……ふふっ、冗談よ」

千歌「……っ」

善子「貴女には、まだ行かなければならない約束の地が……」

千歌「じゃあ、いってくるっ!」

善子「軽く流すなっ!」
0435名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:07:12.18ID:mKDAuNGP
善子「それに、今の千歌をそのまま行かせるわけにもいかないの。ちょっと待ってなさい」

タタッ…タッ

善子「ほら、このタオル。夏とはいえ、体を冷やすと良くないわよ」サッ

千歌「善子ちゃん……うん、ありがとっ」パッ…フキフキ

善子「……雨」

千歌「えっ?」

ポツ、ポツ…

善子「……もう、ほとんどやんでるのね」

千歌「ホント、だ……」

善子「……さっ、次に行って」

千歌「……っ」
0436名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:07:54.01ID:mKDAuNGP
「……」

善子「……じゃあ、私と契約しない?」

千歌「えっ?」

善子「千歌がこの時この場所を去り、新たなる地へ向かうかわりに……」

善子「――今度、堕天使ヨハネとこの場所で会うことを約束する」サッ

千歌「……っ」

善子「……それでどう?」ニコッ

パッ…ギュッ

千歌「――契約は絶対、だからね」


善子「ふふっ、破るわけないじゃない」
0437名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:08:23.65ID:mKDAuNGP
千歌「……じゃあ、行くね」クルッ

善子「……いってきなさい」

…タッ!

タッタッタッ…

善子「……慌てて出てきちゃったけど、放置したゲームの方は今頃……」

「……」

善子「……また挑めばいい話。そうよね」クスッ
0438名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:08:52.63ID:mKDAuNGP
タッタッタッ…

千歌「……はぁ、はぁ……」

ピシャッ、パシャッ

千歌(さすがに、この距離は……)ハァハァ

千歌「……いや」

ダッ!

千歌「――……こんなところで、止まってなんか……っ!」

パシャッ!

タッタッタッ…
0439名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:10:15.94ID:mKDAuNGP
ルビィ「……お姉ちゃん、濡れちゃったかなぁ……」

ルビィ(さっきまでは雨だったのに……今は、すっかり晴れてる)

ルビィ「変な天気……」

ルビィ「……でも、ちょっと面白いかも」ニコ

ルビィ(きっと、この場所でしか見られなかったもの)

ルビィ(東京では……アキバでは、違う空が広がって……)

「……」

タッタッ…ガチャン! バタンッ!

ルビィ「ピギィッ!?」ビクッ

ルビィ「お、お姉ちゃあ……帰ってきたの、かなぁ? ……で、でも……こんな扉の開け方しないような……」

ルビィ「か、鍵開いてたみたいだし……変な人、だったらどうしよう……」

ダン! タッタッ…

ルビィ「ピギャアッ!? こ、こっちにっ……うぅ……」グスッ

タッタッ…ダンッ


千歌「ルビィちゃ〜〜んっ!」ガバッ!


ルビィ「――え……ち、千歌……ちゃあ……ピギャアァッ!?」ドタッ
0440名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:11:28.71ID:mKDAuNGP
ルビィ「……千歌、ちゃん……」

ルビィ「汗、びっしょり……」ギュッ

ルビィ「ダメ、だよ……こんな、無理しちゃ……っ!」グスッ

ルビィ「だって……千歌ちゃあは、今っ……」ギュウッ


千歌「――……私……私、思い出したよ!」


ルビィ「……っ」


千歌「ルビィちゃんと入学式の時に初めて会って、今みたいに大声で叫んだ時……」ギュッ

千歌「長い階段を登り切って……ぐすっ……私と同じ景色を、眺めてっ……スクールアイドルを始めるって決めてくれた時っ!」ポタッ

千歌「そして、アキバでも! 一緒に……ひっぐ……階段を、登ったっ! 記憶を失った後だけじゃない……記憶を失う前、も……っ!」ポロポロ

千歌「――……お姉ちゃんを、ダイヤさんを……大事に大事に思ってることもっ!」


ルビィ「――……ちか、ちゃ……」
0441名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:12:03.07ID:mKDAuNGP
ルビィ「本当に……」グスッ


千歌「うんっ」

ルビィ「ホントの、ホントに……」ポタッ

千歌「うん……うんっ」ギュッ

ルビィ「ホントのホントの、ホントに……」ポロポロ

千歌「ホントの、ホントの――ホントにっ!」グスッ


ルビィ「うぅ……ちか、ちゃあ……」


ルビィ「――……うわぁぁぁぁん!! ちか、ちゃんっ……わぁぁぁぁん!!」ギュッ


千歌「ぐすっ、ひっぐ……ルビィ、ちゃん……うぅ……」

ギュウッ…
0442名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:12:51.14ID:mKDAuNGP
ルビィ「ルビィ……ルビィ、千歌ちゃんの記憶が戻ったらって……」グスッ

ルビィ「千歌ちゃんの中で、思い出が消えちゃったって思うと……ずっと、ずっと……悲しくてっ」ギュウッ

千歌「ごめんね……こんな、こんな大切な事っ……!」ポタポタ

ルビィ「ううん、ルビィは……ぐすっ……私は、嬉しいよっ……安心した、よ……っ!」ポタッ

ギュウッ…


…ガチャッ

「ただいま……ルビィ? アイスを買ってきたから、一緒に……」

「……なっ!? この足跡はなんですの!? 土足で入り込むなんて、まさか……強盗、じゃ……」

ルビィ「……あ、お姉ちゃんの声」

千歌「ダイヤさんだ……」

「……」

千歌「……ふふっ」

ルビィ「あははっ」

ルビィ「さっ、早く行かないと……お姉ちゃあが通報しちゃうかもっ!」パッ

千歌「……うん、いってくるっ」タッ
0443名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:13:31.43ID:mKDAuNGP
ダッ!

ダイヤ「ピギャッ!?」ドサッ

タッタッ…

ダイヤ(や、やっぱり家の中にルビィ以外の誰かが!? この際、アイスはどうでも……)

タタッ

ダイヤ(こ、こっちに……もう、こうなったらっ!)

ダイヤ「……」スゥ…

ダイヤ「――……こそこそ隠れてないで、出て来なさ……」


千歌「――……隠れないよっ!」ダンッ!


ダイヤ「なっ……!? ちか、さ……」


千歌「隠れない……隠れるわけないっ! 私は、ダイヤさんに会いに来たんだもんっ!」グスッ

ダッ…ガバッ!

ダイヤ「……っ」

千歌「――……ダイヤ、さん……私……記憶、が……っ!」ギュウッ…
0444名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:14:16.63ID:mKDAuNGP
タッ、タッ…タッ

ルビィ「……おかえり、お姉ちゃん」ニコ

ダイヤ「ルビィ……」


ダイヤ「……そう」


ダイヤ「――……本当の事、なのね……」ギュッ


千歌「本当のことだよっ。ダイヤさんが、昔はスクールアイドルに反対していたことも……」

ダイヤ「……ふふっ」

千歌「あと、私たちを砂利扱いしてたこととか」

ダイヤ「えっ」

千歌「明らかに無理な特訓のスケジュール組んでたこととか」

ダイヤ「……」

千歌「記憶喪失後だと、病院でこけそうになってたこととかっ」ギュッ

ダイヤ「……ひっぱたきますわよ」ギュウッ

ルビィ「あはは……」
0445名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:14:50.12ID:mKDAuNGP
ダイヤ「だいたい、なんでわたくしの思い出がそんなものばかり……」


千歌「……ダイヤさん、いっつもしっかりしてるから……こういうのばっかり思い浮かんで……」

千歌「――……でも……それだけ、頼りになるから……だよっ……」グスッ


ダイヤ「……っ」

ダイヤ「――……いえ、千歌さんも……頼りになるリーダー、ですわ」ギュッ

ダイヤ「事故に遭っても……こうやって、すぐ……記憶を取り戻してしまう、なんて……」ポタッ

ダイヤ「――……本当に……ぐすっ……良かった……」


千歌「……そうだっ。ダイヤさんがルビィちゃんを大事に大事に思ってたことも、ちゃんと思い出したよ」

ダイヤ「ふふっ、わたくしの大事な大事な妹ですから」

ダイヤ「……同じ、ですわ」

千歌「……おな、じ?」

ダイヤ「……いつだって、姉は妹を大事に思うものだと……わたくしは、そう考えてます」

ダイヤ「――……千歌さんのお姉さんと同じように」

千歌「……っ」

ダイヤ「今の千歌さんなら、きっと思い出している事ですわ」クスッ

千歌「ダイヤさん……」
0446名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:15:26.73ID:mKDAuNGP
ダイヤ「だから、家に戻った時は……羞恥心があっても、お姉さんに今までの感謝を伝えて」

ダイヤ「色々なことを……たくさん話してあげてください」

千歌「……」

ダイヤ「――……姉妹であっても、いつまでも一緒に居られるとは限りませんから」

ルビィ「……お姉、ちゃあ……っ」グスッ

千歌「……うん、絶対にそうする! 約束するよ」

ダイヤ「ふふっ、良かった。さあ、ルビィ?」

ルビィ「……うんっ」タッ

ギュッ

ルビィ「お姉ちゃあ……千歌、ちゃん……っ」グスッ

千歌「ダイヤさん……ルビィ、ちゃん……」ギュッ

ダイヤ「――……こうやって、3人で……あの時以来、ですわね」


ダイヤ(……でも……)

ダイヤ(――あの時より、もっと近くにいるみたい……)ポタッ

ギュウッ…
0447名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:15:56.48ID:mKDAuNGP
ダイヤ「……千歌さん、そろそろ……」パッ

千歌「……ほぇ?」

ダイヤ「千歌さんには、まだまだ先があるのでしょう?」クスッ

千歌「……っ」

ルビィ「ふふっ、ルビィもそう思ったっ」

千歌「……うん」

ダイヤ「それなら、早く行った方が良いですわ」

千歌「そう、だよね……」

「……」

ダイヤ「……ルビィ?」

ルビィ「……千歌ちゃんっ」ポンッ

千歌「えっ?」


ルビィ「――がんばルビィ!」エヘヘ
0448名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:16:53.64ID:mKDAuNGP
千歌「ルビィ、ちゃん……」

千歌「……うん、ありがとっ」ギュッ

ルビィ「ピギッ!?」

ダイヤ「……いつまで経っても離れられませんわよ」

ダイヤ「さ、玄関まで一緒に……」

千歌「うんっ」

タッタッ…ガチャッ

ルビィ「……わあっ! しゅごい……」

パァッ キラキラ

ダイヤ「に、虹……? でも、こんな綺麗なものは、初めて……」

千歌「わあ……」

ダイヤ「……見とれてる場合ではありませんわ」

千歌「……あ、そうだった」エヘヘ

ルビィ「まだ地面が濡れてるみたい。気を付けてねっ」

ダイヤ「滑って怪我しないでよ?」

千歌「……うん」タッ…
0449名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:17:27.19ID:mKDAuNGP
千歌「――……いってくるっ!」ダッ!

ダイヤ「ええ」

ルビィ「いってらっしゃいっ!」フリフリ

タッタッタッ…

ダイヤ「……さて、派手に汚れた床の掃除を……」

ダイヤ「……はっ!?」

ルビィ「ど、どうしたの? お姉ちゃん」

ダイヤ「これ……」パッ

ダイヤ「買ってきたアイス……完全に溶けてますわね……」

ルビィ「あ、ホントだ……」

「……」

ダイヤ「……ふふっ」

ルビィ「……あははっ」

「ふふっ、あはははっ……!」
0450名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:17:53.68ID:mKDAuNGP
タッタッタッ…

千歌「はぁ、はぁ……」

千歌(私も、だ……)

千歌(こんな綺麗な虹、初めて見た……)

パシャッ

千歌「でも……そろそろ、日が傾いて……」

千歌「……ううん」


千歌「――まだまだいけるっ!」ダッ!

タッタッタッ…
0451名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:18:49.69ID:mKDAuNGP
鞠莉「……はぁ、はぁ……」

鞠莉「……ふっ!」グルッ、ビュンッ!

ダンッ! ポテッ、コロコロ…

鞠莉「よしっ! 球速もコントロールも、だいぶ良くなってきたわね♪」

鞠莉(これなら、ちかっちに一泡も二泡も……)

鞠莉「……ううん。ちかっちは、そう簡単じゃない……か」フフッ

鞠莉「もう少しだけやってから帰ろっと♪」


「……鞠莉ちゃ〜ん!」


鞠莉(……っ!? こ、この声……)

鞠莉(間違いない、ちかっちだよ……でも、呼び方が……)クルッ

ガバッ

鞠莉「きゃっ!?」
0452名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:19:28.92ID:mKDAuNGP
千歌「――鞠莉、ちゃん……っ!」グスッ


鞠莉「ち、ちかっち……!? なんで、このグラウンドに……」

鞠莉「そんなに息を切らして、だいじょ……」

千歌「鞠莉ちゃんっ!」ギュッ

鞠莉「……っ」


千歌「――……私、思い出したよ……記憶が、戻って……っ」ポタッ


鞠莉「――……ちか、っち……」


千歌「鞠莉ちゃんが理事長としてこの学校に来たことも、部員が足りないのにスクールアイドル部を承認してくれたことも!」ギュッ

千歌「6人でここ内浦のPVを作った時、『努力の量と結果は比例しない』って奮い立たせてくれたのも鞠莉ちゃんだった!」

千歌「ぐすっ……それに、みんなでソフトボールをやった時……」ポタポタ

ギュウッ

千歌「……っ」


鞠莉「――……そっか……思い出した、んだね……」ポタッ

鞠莉「……よかった……ぐすっ、うぅ……」ポロポロ


千歌「――……うん……全部、思い出したよっ……ぐすっ……大切な事、全部……!」ポタッ

ギュウッ…
0453名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:19:59.74ID:mKDAuNGP
「……」

鞠莉「……ちかっちって、そこそこ大きいよね」ギュウッ

千歌「……やめてください」グスッ

鞠莉「……ふふっ、名残惜しいわ♪」パッ

タッタッ…ポタッ

千歌「……鞠莉ちゃん?」

鞠莉「――……ちかっち、次は?」グスッ

千歌「……っ」

鞠莉「……『ちかっちのことはよく見てる』、前に言ったことだから」

千歌「……」

鞠莉「早くしないと、日が暮れちゃうわよ?」

千歌「……うん」
0454名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:20:32.76ID:mKDAuNGP
鞠莉「……大丈夫」グスッ

千歌「えっ?」

鞠莉「これから私が卒業するまでの時間なんて、まだまだたくさんあるでしょ?」ゴシゴシ

千歌「……」

鞠莉「また、何度だって勝負できる。9人で集まってやるのも、きっと楽しいわよ♪」タッ…

千歌「……でも」

…クルッ

鞠莉「――……ここにず〜っといたら、次の勝負ができませんよ?」クスッ


千歌「……うん! そうだよねっ」

鞠莉「レッツゴー!」

千歌「いってくるっ!」ダッ!

鞠莉「チャオ〜♪」
0455名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:21:07.92ID:mKDAuNGP
タッタッ…

鞠莉「……ふふっ」

鞠莉「……じゃあ、私もそろそろ……」

「……鞠莉ちゃ〜ん!」クルッ

鞠莉「……ちかっち? どうしたんだろ……」


「――……あの52球目、次は無しだよ〜!」

「じゃあね〜っ!」フリフリ

クルッ、タッタッタッ…


鞠莉「……ちかっち……」フフッ


鞠莉「――……本当、よく覚えてるのね」ポタッ


鞠莉「さ、今度こそ……私も行かないと。ボールを拾って……」タッ…

鞠莉(……あっ)フッ

鞠莉「……そっか。もう夕焼けが……」


鞠莉「――……夕焼けって、こんなに綺麗だったんだね……」
0456名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:21:55.49ID:mKDAuNGP
花丸(――……真っ赤な、夕焼け……)

花丸「今まで見たどんな夕焼けよりも……真っ赤で、綺麗……」

花丸(マルがいるこの場所は、現実なのに……空想の世界にいるみたい)

花丸(今まで、色々な本を読んで……色々な空想を巡らせてきた。でも……)

花丸「……ううん。そろそろ、本を読むのも……図書室も、おしま……」パタ…


「――待ってっ!」


花丸「ひゃあっ!?」ビクッ

タッタッ…ガララ、ガタンッ!


千歌「……はぁ、はぁ……!」


花丸「え……」


花丸「……千歌、ちゃん……?」
0457名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:24:41.97ID:mKDAuNGP
花丸「……来てくれたのは、嬉しいけど……」

花丸「……でも、ダメだよ。連絡もせずに会いに来ちゃ……」

花丸「それに、学校も図書室も……もう、終わり……」

ガバッ! ギュッ

花丸「……っ」


千歌「……もう少し……もう少しだけでいいからっ!」ポタッ


千歌「――……ここに……いさせ、て……っ」グスッ
0458名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:26:13.05ID:mKDAuNGP
花丸「……わかった」ギュッ

花丸「千歌ちゃんがそう言うなら、マルはそれで……」

千歌「――……私……わたしっ……!」


花丸「……千歌、ちゃん?」


千歌「――……記憶が……記憶が、戻ったんだよ……っ!」ギュウッ


花丸「……え?」


千歌「私が部室の本を返しにここへ来たこと、私が伸ばした手を握ってくれたこと!」

千歌「――……テストの点数が酷かったから、ここで花丸ちゃんと勉強したことも!」ポタッ

千歌「途中から脇道に逸れちゃって……ぐすっ、うぅ……二人で読んだ、植物図鑑のことだって……っ!」


花丸「……本当、に……」


千歌「――……入学式の時に見た桜が、どんなに綺麗だったかもっ!」


花丸「……っ」
0459名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:26:54.66ID:mKDAuNGP
花丸「……そっ、か……」

花丸「――……うぅ……ぐすっ……ちか、ちゃ……」ギュウッ


千歌「私、あの時の景色……今でも、はっきり覚えてる……」ポタッ

千歌「――……花丸ちゃんと、初めて会ったんだよ? 大事な、大事な……思い出……」

千歌「でも……それを、忘れちゃって……ぐすっ……忘れたく、なかったのに……」ポロポロ

ギュウッ…

千歌「……っ」


花丸「――……ううん。オラは、今思い出してくれたことが……千歌ちゃんの記憶が戻ったことが」

花丸「桜の美しさ、綺麗な景色。今までに千歌ちゃんが見てきた、色々なものが……千歌ちゃんの中にあることも」

花丸「……『マルを忘れないでいたかった』っていう気持ちも」ポタッ

花丸「その全部が、何より嬉しい」

花丸「――……それ以上は……ぐすっ……マルには、思いつかないよ……」ポロポロ


千歌「――……花丸、ちゃん……」


花丸「ふふっ……よかった」ニコ

ギュウッ…
0460名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:27:32.18ID:mKDAuNGP
花丸「……でも、これ以上図書室にいるのはちょっとマズいずら」パッ

千歌「……花丸、ちゃん」

花丸「図書委員の仕事も、そろそろ終わり」

花丸「……まあ、こうやってずっとカウンターで本読んでただけだけど……」

千歌「あ、あはは……」

花丸「この本も、元の場所にしまってくるね」スタッ、タッタッ…

花丸「……それに」

千歌「それに?」

花丸「――……千歌ちゃんも、そろそろここを出ないと」ニコッ

千歌「……っ」

タッタッ…

花丸「えーっと……この棚、だね。よいしょ……っと」ガサゴソ
0461名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:28:10.21ID:mKDAuNGP
千歌「……」

花丸「……千歌ちゃん?」タタッ

千歌「……ううん、なんでも……」

…ポンッ

千歌「わっ!? ……花丸、ちゃん……?」


花丸「――ふふっ。こういう時って、背中を押すものなのかなって」ニコッ


千歌「……ありがとっ! いってくるねっ!」

花丸「……うん、気をつけてね」

ダッ! タッタッタッ…

花丸「……記憶が戻った、かぁ」

花丸「『事実は小説よりも奇なり』って……こういうことなのかな」

「……」

花丸「……なんて♪ そろそろ暗くなってきたし、オラも早く……」

…キラッ

花丸(……えっ? 今、外に見えたのって……)

花丸(――……流れ、星……?)
0462名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:28:45.24ID:mKDAuNGP
キラッ

果南(……また、流れ星……)

ヒュー…キラッ

果南(一つじゃない……さっきから、何回も……)

果南(――……こんな、ことって……)

ザザーン…

果南「……まあ、たまにはこんな夜もあるか」フフッ

キラッ

果南「結局、一人で流れ星を見ることになるなんてね」

果南「これはこれで、いいのかな」
0463名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:30:16.60ID:mKDAuNGP
果南(……ううん)

果南(私は……ダイヤや鞠莉と山に登った時みたいに、3人で)

果南(昔みたいに、このテラスで……千歌と一緒に、二人で)

果南(――……Aqoursの9人、みんなで)

「……」ザザーン…

果南「……でも、それは今度に取っておけばいいよね」アハハ

果南「そろそろ、部屋に戻ろ……」

…タッタッタッ…

果南(……足、おと……? こんな時間に、誰が……)

タッタッタッ
0464名無しで叶える物語(家)
垢版 |
2019/01/03(木) 20:31:02.02ID:mKDAuNGP
果南(……まさ、か……)クルッ


「――……果南ちゃ〜んっ!」タッタッ…ダンッ!


果南「……ち、か……」

千歌「……はぁ、はぁ……ふ〜っ……疲れた……」

果南「疲れた、って……どうして、ここまで……」


千歌「――……私、思い出した……この場所に何度も来てたってこと!」


果南「……っ」


千歌「小さい頃から一緒に居て、何度もここに遊びに来て……こうやって星を見てたことも覚えてる!」グスッ

千歌「ここでみかんと干物を押し付け合ってたことも、何度も何度もあったし……」

千歌「……はぁ、はぁ……前、海に飛びこ……わあっ!?」フラッ…

果南「千歌っ!?」タッ!

千歌「……っとと、大丈夫大丈夫……あはは……」

果南「千歌……どうして、そこまで……」グスッ
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています

ニューススポーツなんでも実況