むかしむかし

貧しいけれど、心の優しい千歌ちゃんという女の子がいました。
 
ある寒い冬の日、千歌ちゃんは町へミカンを売りに出かけました。
 
すると途中の田んぼの中で、一羽のツルがワナにかかってもがいていたのです。

「可愛そう…今助けてあげるからねっ!」
 
そう言って、千歌ちゃんはツルを逃がしてやりました。
 
するとツルは、千歌ちゃんの頭の上を三ベん回って

「びーち、すけっち、さくらうち〜!」

と、さもうれしそうに鳴いて、飛んで行きました──────