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【ss】ルビィ「消せない想いの行く末」
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0001名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2018/07/26(木) 21:31:27.89ID:Z04v0y6f
代行
0101ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 12:58:10.47ID:IxJC394/
果南「おーい、ルビィ。だいじょうぶ〜?」ノシ

ルビィ「………………ぅゅ…」パチ…

鞠莉「あっ! 目が! 目が開いたわ!」

ダイヤ「ルビィ…ああ、よかった…」ヨヨヨ…

果南「なんか大げさじゃない?」

ルビィ「うゆ…ルビィは…」

ダイヤ「練習の途中で力尽きたのよ。こんなになるまでよく頑張りましたわね」ナデ

ルビィ「…んん……ごめんね、やっぱりついていけなかった…」

ダイヤ「なにを言ってるの! あなたはまだ中学生なのだから、同じメニューを同じようにこなせるはずがありませんわ」

鞠莉「それにしてもすごいよ。元々メニューのほうがおかしいのに、あそこまで食らい付いてくるなんて!」

果南「ね。まさかダイヤと鞠莉もやり遂げると思ってなかったのに」

ダイヤ「そうよ。だから謝ることも恥ずかしいこともない…は?」

果南「ん?」

鞠莉「マリィたちもやり遂げると思ってなかったのに?」

果南「あ、やば」

ダイヤ「やっぱり無茶苦茶な内容だと自覚してらしたのですねーーーっ?!」

果南「淡島階段四十往復なんて、できると思わないよねー」アハハ

鞠莉「思わないよねーじゃ、アーーリマセーーン!! マリィもうちょっとで死ぬところだったのよ!」

果南「でもやり遂げたじゃん。見直したよ、鞠莉」

鞠莉「か、果南…んもうっ」// トゥンク…

ダイヤ「鞠莉さん?! チョロすぎやしませんか?!」


ワイワイ キャッキャ


ルビィ「…」

………………

………
0102ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 12:59:36.12ID:IxJC394/
かなまりダイルビ「「「「いただきまーす!」」」」

果南「お、やった小原家カラアゲだ! 私これ好きなんだよねー」ヒョイヒョイ

鞠莉「ちょっと果南! たくさん取っちゃイヤよ!」メッ

果南「えー。じゃあほら、カキあげるから」ヒョイ

鞠莉「ギャーーーッ!! この蒸し暑い時季になんてもの持ってきてるの! 死にたいの?!」

果南「だいじょうぶだよ、今朝獲れの新鮮なヤツだから」

鞠莉「保冷剤は?! 入れてきたのよね?!」

果南「海水に浸けてきたから冷えてると思うよ」チャプ

鞠莉「ぬるくなってるに決まってるでしょ!」ペシッ

果南「鞠莉は心配性だなー」モグ…

鞠莉「だーめ食べないで果南! stomachache 起こすわよ!」


ギャーギャー


ルビィ ポカン

ダイヤ「賑やかでしょう? いつもこんななんですのよ」クス

ダイヤ「それぞれのお弁当を広げて好きにつつき合うのがいつものスタイルだから、あなたも遠慮せずに果南さんたちのお弁当を貰いなさい」

ルビィ「う、うん…」

ダイヤ「と言っても果南さんはあんなですから、だいたい鞠莉さんとわたくしのお弁当がよく狙われるけれどね。食べたいものは早く確保しておかないとなくなってしまうわ」

ルビィ「わ、わかった…あ。タコさんだ」ヒョイ

ダイヤ「ふふ…さて、わたくしも」
0103ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 13:01:03.29ID:IxJC394/
ダイヤ ヒョイヒョイヒョイヒョイ

果南「私今まであたったことなんかないから平気…ってあー! ちょっと鞠莉ダイヤが! ダイヤが! たまごたまご!」

鞠莉「果南の基準で人間の身体を考えないでちょうだい…ってなによ………あー! ダイヤいくつ取ってるの?!」

ダイヤ「わたくしとルビィの分です」ヒョイヒョイ

鞠莉「それにしたって取りすぎよ! マリィも好きなのに!」

ダイヤ「果南さんのほうにも入ってますわよ、卵焼きなら」

鞠莉「果南の卵焼き海水ぶち込んでんじゃないかってくらい塩っぽいんだもの!」

果南「ちょっと。…え、うそ…そうなの?」モグ…

果南「…普通でしょ」

ダイヤ「果南さんは唾液が海水ですから、塩分の感じかたが人とは違うんですのよ」

果南「私、海難法師かなんかなの?」

鞠莉「海難法師より変よ」

ダイヤ「海難法師のほうが普通です」

果南「ちょっと! いくらなんでも!」

ダイヤ「果南さん。わたくし新鮮なナマコが食べたいのですが」

果南「え? ナマコはさすがに入れてないなー。この時季だしなー…」ウーン

果南「ま、北のほうまで行けばいるかな。ちょっと待ってて」

鞠莉「行かなくていいわよ! 高校生の発想じゃないでしょ!」

ダイヤ「やはり海難法師のほうがまだいくらか普通ですわね」モグモグ

果南「なんなのさこの仕打ちは」


ルビィ「ふふっ」モグ

ルビィ「…っ!」ハッ

ルビィ「…」モヤ…

………………

………
0104ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 13:02:04.81ID:IxJC394/
果南「さ、そろそろ再開しよっか」ノビー

鞠莉「ンーーー…」ノビー

鞠莉「やだあ…」ズゥン

ダイヤ「この時間が来てしまいましたか…」ハァ…

果南「はっはっはっは。そんなこと言っても練習量は減らないよー」

ダイヤ「誰ですかこの人を練習リーダーにしたのは」

鞠莉「私とダイヤだよ」

果南「ルビィ。私たち練習するけど、どうする?」

ルビィ「えっと…」

ダイヤ「無理はしない約束ですわ。午前の練習だけでも相当な量だったのだから、午後は休んでいなさいな」

果南「そうだね。浦の星に来たら、同じだけやろうね」

ルビィ「ぴっ…」ビク

ダイヤ「安心なさい、それまでには鬼退治を済ませておきますから」

果南「誰が鬼だよ」

ダイヤ「午後はダンスと歌のほうを多めにやるから、余裕があったらまたラジカセを手伝ったりしてくれればいいわ」

ルビィ「うん、わかった」

鞠莉「…」

果南「よし。じゃ始めよっか」

ダイヤ「はい」

鞠莉「…うん!」

………………

………
0109ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 19:41:05.66ID:qYFABX5l
お姉ちゃんたちの歌を聴いて、ダンスを眺めて、たまにラジカセを操作して。

言われた通りそうしているうちに、午後の練習はゆっくりと過ぎていきました。

疲れと、ぽかぽかした天気と、お姉ちゃんの歌声と…しだいに音も光も遠くなっていって、気が付いたらルビィは――


『うーん…ここイマイチかもね。ごめんルビィ、サビ前に戻して…って、ありゃ』

『どうかした? …wao.』

『あの子ってば。せっかくご一緒させてもらってるのに…』

『いいよいいよ、ダイヤ。疲れちゃったんでしょ。ゆっくりさせといてあげよ』

『そうですか? ありがとうございます』

『じゃ、いつもみたいに私ラジカセやるからさ。二人は、』

『ねえ』

『ん? どした、鞠莉』

『ルビィのこと。…今のうちに、少しだけ話をしてもいい?』

『ルビィのこと…ですか? 構いませんが…その、やはり練習にご一緒するのはご迷惑でしたか?』

『ウウン、そういうことじゃなくって…ルビィの変化のことよ』

『!』

『果南だって、なにも思わなかったわけじゃないでしょ』

『…そりゃ、まあね』
0110ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 19:43:01.83ID:qYFABX5l
『ダイヤ。あなた、この前私たちに言ったわね。「ルビィは心境の変化があったようですわ。雰囲気が少し変わりましたけれど、果南さんたちは変わらず接してくださると嬉しいです」って』

『…ええ』

『少し、かしらね。あれ』

『…』

『正直、この前そんな言いかたをされた時点で、私にはかなり不審だったよ。それでいざ蓋を開けてみたらあんなことになってる。ダイヤ…あなたルビィのなにを見てたの? 妹ってこんなにもぞんざいに扱っていいものなわけ?』

『鞠莉。言葉』

『…だって、そうじゃない。私はルビィとすっごく親しいわけじゃないけど、それでも変だってわかるもの! 果南なんかもっとよくわかるでしょ!』

『………まあね。よそのことに口出ししすぎるのはよくないってわかってるけどさ、ダイヤ、ルビィのあれはやっぱりいくらなんでも変わりすぎだよ。しかもよりによって…髪でしょ。どうしたのさ』

『…わかりませんの』

『わかりませんで済ませていいこと? 髪よ? 女の子があんなに長かった髪をばっさり切り落として、しかもあんな色に染めたのよ? 私がそうしたらどう? 果南だったら? 同じように、ダイヤなんにも気にせず黙ってるわけ?』

『…っ』

『…それだけじゃないんだ』

『それだけじゃない?』

『これが髪じゃなくて、例えば私服の系統ががらっと変わったんだとか、びっくりするほど積極的な性格に変わったとか、そういうことなら私だってここまで言うつもりはなかったよ』
0111ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 19:46:02.02ID:qYFABX5l
『…どういうことなの?』

『ルビィが髪をいじるのは、普通の女子がそうするのとは一つも二つも意味が違う――重みが違うんだよ。ねえ、ダイヤ。知らないわけないよね? 気付いてないわけないよね?』

『…』

『ルビィが、ダイヤの真似をして…ダイヤみたいになりたくて、黒髪のロングストレートを保ってきたってこと』

『………そんな…』

『…』

『小学校にも上がる前だっけ、私がルビィに初めて会ったの。それから何十回もルビィに会ってきたけど、一回だって見たことなかったよ。あの子が髪を結んでるの。
私も髪留めとかゴムとかあげたことあるけどさ、「ありがとう」って嬉しそうに言ってはくれるけど、それ使ってたこと一回もない。地味に傷付いてたから、はっきり覚えてるよ。それくらい、ルビィにとってあの黒くて長くてまっすぐ伸ばした髪は大切なものだったはずでしょ。
それが……なんであんなことになるのさ。それを、なんで理由もろくに聞かないで放ったらかしにしてるのさ! ねえ、ダイヤ!!』

『……っ』

『ダイヤ…どうしてなの? あなたらしくないわ。ルビィが困ってたら、不安だったら、なにもかもを放り出してだって駆け付ける…あなたはそうだったはずでしょ』

『そうだよ。ルビィのこの変化に理由があって、それをダイヤも納得してるんだったら、私はなにも言わないつもりだった。二人の選択だからね。でも、そうじゃないんなら…』

『ダイヤ…もう、ルビィのこと…好きじゃなくなっちゃったの?』

『っ!! そ、そんなはずがないでしょう! わたくしはいつだってルビィのことが好きよ! 愛していますわ! この気持ちが変わることは、万に一つだって有り得ません!!」

「…っ、だったら…だったらさ! ちゃんと向き合いなよ、ルビィに! なにがあったのって、どうしたのって、ちゃんと訊きなよ!!」

「そうよ! 向き合うこともしないで、ルビィ自身からも逃げ出して、それで愛してるだなんて言えるの?!」

「………………っ、………」
0112ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 19:48:18.48ID:qYFABX5l
「…ね、ダイヤ。どうしたの? 一人で整理つけらんないんならさ、私たちに話してよ。友達でしょ」

「ルビィが一人で抱え切れないものをダイヤが支えるように、ダイヤが一人で抱え切れないものは私たちが支えるの。支えたいのよ」

「…果南さん。鞠莉さん………ぅ、」

「おいで、ダイヤ。ハグしよ」

「………っ、うわあああああああんっ!」

「よしよし、よしよし…ダイヤは一人じゃないんだからさ」

「わああああ………うう、ぁぁぁぁん………………」

「大丈夫よ、ダイヤ。落ち着いてからで…ゆっくりでいいわ」

「ううっ……ぅ、ぐす………… ………………あのね、…こ、怖いのです」

「怖い? ルビィが?」

「いいえ…」

「じゃあ、なにが…?」

「…どうしたのと、髪を切った理由を訊いて……… …もうわたくしのことを好きでなくなったのだと言われるのではないかと思うと、それが……怖くて、怖くて………」

「「…………!!」」

「訊かなければと、そしてなにかがあったのなら力にならなければと思うのに、怖くて…怖くて、訊けずに今日まで来てしまいましたの………うう、不甲斐ない……不甲斐ない姉ですわ……」

「そんなことない、そんなことないよ…ダイヤ」

「そっか…そういうことだったのね。ごめんなさい、ダイヤの気持ちも考えずに、つらい言葉を投げてしまったわ…」

「よいのです…お二人はわたくしのことを、わたくしたちのことを想ってくださったのでしょう…」

「そうだけど、ごめん。ダイヤがルビィのことを考えてないわけないって、知ってたはずなのにさ。よく、今日まで一人で頑張ってきたね」

「うう…ぐす、はい…」
0113ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 19:49:35.53ID:qYFABX5l
果南「そんじゃ、どうしよっか」

鞠莉「どうするって?」

果南「ルビィにほんとのとこ聞かないと、どうしようもないじゃんってことだよ」

ダイヤ「…」グッ

果南「大丈夫だよ、ダイヤ。ルビィがダイヤのこと嫌いになるなんて、絶対にないから」ギュ…

鞠莉「そうよ。こんなにも自分のことを大切にしてくれるお姉ちゃんを、同じだけ愛さずになんかいられないよ」

ダイヤ「ありがとうございます…」

果南「とは言っても、突然私たちが髪のこと突っ込んでくるのもイヤかなあ…」ウーン

鞠莉「そうね。ダイヤに相談できないほど delicate なことって可能性があるんだもの…」ウーン

ダイヤ「…やはり、切り出すのはわたくしからしか有り得ませんわね」

鞠莉「ヘーキなの?」

ダイヤ「はい。怖さはありますが、これも姉の務め…それにこうして支えてくださるお二人がいるのですから」ニッ

果南「うん! じゃ、今のうちに私のハグでパワー充電だ〜っ」ギューッ

ダイヤ「もう、果南さんってば……ぃっ…いたたたただだだだだ痛い痛い痛い痛いですわ!」バシバシ

鞠莉「果南! ダイヤが死んじゃう!」

果南「あ、やりすぎた」テヘ

ルビィ「…………るの」ボソ

鞠莉「ん? あ、ルビィ」

ダイヤ「ルビィ…騒がしくして、起こしてしまったのね」

果南「ルビィもこっちにおいでよ、果南ちゃんが愛情たっぷりのハグを――」


ルビィ「なにしてるの」

………………

…………

……
0114ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 19:50:29.63ID:qYFABX5l
うつら、うつら。

寝ちゃ、いけないのにな…

ルビィのわがままで練習についてきて、しかも一人だけバテちゃって。

せめてサポートくらいはしっかりやらなくちゃって思うのに。

そよそよと風が吹いてきて、おひさまが優しい陽射しを落とす。

あったかい毛布にくるまれて、誰かのおひざの上で頭を撫でられているようなその感覚に、ゆっくりと意識はまどろみの中に溶けていきます…
0115ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 19:51:23.35ID:qYFABX5l
ふと、誰かのおっきな声が聞こえた気がしました。

何度かそれが繰り返されて、ふわふわした夢の中をさまようルビィの耳にはっきりと聞こえたのは、


――『わたくしはいつだってルビィのことが好きよ! 愛していますわ! この気持ちが変わることは、万に一つだって有り得ません!!』


誰かのそんな声。

ああ、おっきな声を出すなんて珍しいな。

でも、なんだかとっても嬉しいことを言われた気持ち。

ルビィも…ルビィも愛してるよ、お姉ちゃん…

それから続く誰かと誰かと誰かの会話をぼんやりと聞いていました。
0116ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 19:54:03.28ID:qYFABX5l
やがて、少しずつ意識がはっきりしてきて。

お姉ちゃんと、果南さんと、鞠莉さんの声。

ああ…そっか、ルビィ、お姉ちゃんたちの練習についてきてて…

いつの間にか寝ちゃってたんだ…

だめだめ、起きないとね。

起きて、お姉ちゃんに言わなくっちゃ。

ルビィも愛してるよ――って。

えっと、でも、なんでだっけ? …ま、いっか。

あくびを一つ。

目をひらいて、大好きなお姉ちゃんの姿が――


――果南さんに抱き締められた、お姉ちゃんの…姿、が………?
0117ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 19:54:40.54ID:qYFABX5l
なに…

どういうことなの…

なにして…

ルビィが寝ちゃってた間に、さあ…


ルビィ「…………るの」


果南さんたち、さあ……

お姉ちゃんに、さあ………


ルビィ「なにしてるの」


そこで、私の意識はもう一度、今度はぷっつりと、途切れました。

***
0118ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 19:57:40.35ID:qYFABX5l
***

ダイヤ「それでは、行ってきます」

ルビィ「いってきまーす」

黒澤母「はい、行ってらっしゃい」


ガラガラ… パタン


黒澤母「…」チラッ


『6:50』

………………

………
0119ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 19:58:22.37ID:qYFABX5l
ルビィ「みてー! 凛ちゃんかいたの」

ダイヤ「まあ、上手…ではなくって。教科書に落書きしてはだめでしょう」メッ

ルビィ「だって授業中なにかしてないと眠くなっちゃうもん」

ダイヤ「まじめに先生のお話を聞きなさい…」

ルビィ「おねいちゃんは授業中なにしてるの?」

ダイヤ「先生のお話を聞いてるに決まってるでしょう」

ルビィ「お友達とお喋りしたりしないの?」

ダイヤ「しません。…ああでもたまに鞠莉さんがちょっかいを……」ハッ

ルビィ「…ふうん。鞠莉さんがね…」

ダイヤ「…っ」

………………

………
0120ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 19:59:36.25ID:qYFABX5l
ー浦の星校門前ー


ルビィ「じゃあ、ここまで」

ダイヤ「ええ。気を付けて行くのよ」

ルビィ「うん!」

ダイヤ「…その、ルビィ。なにも毎日送ってくれなくても」

ルビィ ニコニコ

ダイヤ「…っ」

ダイヤ「…ううん、なんでもないわ」

ルビィ「じゃあ、いってくるね!」

ダイヤ「ええ…行ってらっしゃいな」


トコトコトコ…


『7:35』

***
0121ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:00:25.51ID:qYFABX5l
***

ダイヤ カリカリ…

ダイヤ チラッ


『00:25』


ダイヤ「ルビィ。お姉ちゃん、まだしばらくお勉強終わりそうにないから先に、」

ルビィ「うん。先に歯磨きしてくるね!」テテテ…

ダイヤ「…っ」

………………

………
0122ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:00:53.10ID:qYFABX5l
ルビィ「んゅ…」パチ…

ダイヤ スースー

ルビィ「んぇへへへ…」モゾ… スリ

ルビィ スピー

***
0123ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:01:49.05ID:qYFABX5l
***

友達「黒澤さんまたねー」ノシ

ダイヤ「ごきげんよう」

先生「あ、黒澤さん…ちょっとだけ手伝ってほしいことがあるんだけど」

ダイヤ「はい、わかりました…が、少しだけお待ちいただけますか?」

先生「? うん、職員室で待ってますね」スタスタ

ダイヤ『先生からお願い事をされたから、いつもより遅くなるわ。帰る時刻がわかったらまた連絡するわね』スマスマ

ダイヤ「…よし、職員室に」





ルビィ『ルビィ終わったから、学校までおむかえにいくね』

ダイヤ「…っ」

ダイヤ『そう? ありがとう、気を付けて来るのよ』スマスマ

***
0124ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:02:49.17ID:qYFABX5l
***

ガラ


花丸「ルビィちゃーん」


シン…


花丸「…やっぱりいないんだ」

花丸 トコトコ

花丸 ウーン…

花丸 ヒョイ

花丸『胡蝶の夢』

花丸 ペラ…

花丸「 」モクモク…

花丸「 」モクモク…

花丸「 」モクモク…

花丸「…ふう」パタ

花丸「そっか」

花丸「図書室って静かな場所で、読書って一人ですることだったな」

花丸「おら…忘れちゃってたよ…」

花丸「 」ペラ…

***
0126ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:03:29.99ID:qYFABX5l
***

黒澤母「あら…お醤油を切らしていましたね」

ダイヤ「でしたら、わたくしが買ってきましょうか?」トコ…

黒澤母「よいのですか?」

ダイヤ「ええ。ちょうどポストに行こうと思っていたところですので」

黒澤母「…」チラッ

ダイヤ「…大丈夫です、すぐに戻りますわ」サッ

黒澤母「それでは、お願いしますね…」ソワソワ

ダイヤ「はい。行ってきます」タタタ…

………………

………
0127ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:04:09.14ID:qYFABX5l
ガタ… パタパタパタ…


黒澤母「っ!」ビクッ


オネーチャー…


黒澤母「ぁ…だ、ダイヤさん…」


オネーチャー… ………
0128ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:05:22.39ID:qYFABX5l
ダダダダダダダダッッ


ルビィ「おねいちゃあ!!」

黒澤母「っ!」ビクッ

ルビィ「おかあさん! おねいちゃんが…おねいちゃんがいない!」ハァハァ

黒澤母「だ、ダイヤさんは私のお願いでお醤油を買いに」

ルビィ「…うそ」

ルビィ「ルビィを置いて出かけちゃったの…」

黒澤母「あっ、いえ、私が無理やりにお願いをして、」

ルビィ「おねいちゃあ! うそ! ルビィ置いてっちゃったなんてイヤだ! うそだ! おねいちゃあ!」

黒澤母「あああ……ああ…」カタカタ…

ルビィ「おかあさん! おねいちゃんは?! おねいちゃんはどこに行ったの?!」ガッ

黒澤母「きゃっ。お、おそらくオーモスまで…」ガタガタ

ルビィ バッ タタタ…


黒澤母「〜〜〜〜っ、………」ヘナ…

………………

………
0129ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:07:39.20ID:qYFABX5l
ダイヤ タッタッタッタッタッタッ


ルビィ「はあっ…はあっ…」タタタタタタ…


ダイヤ タッタッタッタッタッタッ


ルビィ「はあっはあっ…はっはっ…」タタタタタタ…


ダイヤ「…!」ルビィ「…!」 👀
Rock54: Caution(BBR-MD5:1341adc37120578f18dba9451e6c8c3b)
0130ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:08:20.03ID:qYFABX5l
ダイヤ「る、ルビィ!」

ルビィ タタタタタタ…

ダイヤ「ごめんね! 少しお醤油を買いにーー」ガサ


タタタ…


ペチン!


ダイヤ「…っ」フラ…


……ドテッ
0131ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:09:39.57ID:qYFABX5l
ダイヤ「…?」ボーゼン

ルビィ「はあっ……はあっ……」

ダイヤ「る、ルビィ…」ジン…

ルビィ「なんで置いてったの」

ダイヤ「ご、ごめんなさい…お母さまにお醤油を…」

ダイヤ「…いえ。ハガキを、出したくて…」

ルビィ「一人で?」

ダイヤ「その、ルビィ眠ってたから…」

ルビィ「起こしてくれたらいいのに」

ダイヤ「そ、そうよね。次からそうするから、」

ルビィ「うそなんでしょ」

ダイヤ「え?」

ルビィ「果南さんと鞠莉さんと会ってたんだ」

ダイヤ「ち、ちがっ――」

ルビィ「だったらなんでルビィのこと置いてくの?! おかしいじゃん!」

ダイヤ「ご、ごめんなさい…」

ルビィ「もうやだあっ! やっぱりおねいちゃんはルビィよりあの人たちのほうが好きなんだ!」ワァァァァァッ

ダイヤ「そ…そんなことないわ! お姉ちゃんはあなたのことが一番好きよ! 本当よ!」ガバッ ギュッ

ルビィ「うっ……うう…やだよぉおねいちゃあ……ルビィのこと一人にしないでぇ……ずっとルビィのそばにいてよぉ……」

ダイヤ「ごめんね……ごめんね、ルビィ…淋しい想いをさせてごめんね………」ギュウッ…

ルビィ「うわあああ………うわあああああああん………」

ダイヤ「…………っ」ギュ…

………………

…………

……
0132ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:13:16.44ID:qYFABX5l
ダイヤ『――解…散?』

果南 コク

ダイヤ『な、なぜですの?! やっと曲も三曲になったし、来月には東京のイベントも控えて…これからではありませんか!』

果南『…』

鞠莉『…』

ダイヤ『果南さん…鞠莉さん…』

果南『なぜって、言わなくたって…わかるでしょ』

ダイヤ『……っ』グ…

鞠莉『勘違いしないで、ダイヤ。私も果南もダイヤを責める気なんかないの…もちろん、ルビィのことも』

果南『そうだよ。ただ、きっと時期が悪かったんだ。まだ早かったんだよ』

ダイヤ『そ、んな…こと…』

ダイヤ『わたくしが、ルビィのことはわたくしがちゃんとどうにかしますから――』

果南『無理でしょ』

ダイヤ『っ!』

鞠莉『今日だって、この時間を作るのがどれだけ大変だったか…お母さまと二人で出掛けるように促すのだって、これから練習のたびに同じことを何回でも繰り返せるわけじゃないわ』

果南『ルビィはまだ中学生。ルビィには、まだダイヤが必要なんだ』

ダイヤ『そんな…そんな……』
0133ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:14:26.57ID:qYFABX5l
果南『きっと、いつかルビィも受け入れてくれる日が来る。また三人で、もしくは四人で…かな。スクールアイドルができるよ』

ダイヤ『でもっ、スクールアイドルができる時間には限りがあって――』

鞠莉『ダイヤ!』

ダイヤ ハッ

鞠莉『はっきり言わないと、だめ? 果南に、私でもいいけど…それを言わせれば納得してくれるの?』

ダイヤ『…………いいえ、ごめんなさい。わがままを…言いましたわ…』

果南『…』

鞠莉『…』

ダイヤ『…』


そのとき、たった一言、お二人が…いや、三人が呑み込んだ言葉。


果南『…じゃあ、私は行くね。ダイヤも早くルビィのとこに行ってあげたほうがいいだろうし』

鞠莉『またね、ダイヤ。学校で』

ダイヤ『はい………お二人とも、』


私の夢に付き合ってくださって、


ダイヤ『……ありがとうございました』ペコ…

………………

…………

……
0134ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:15:10.30ID:qYFABX5l
ルビィ「…」テクテク

ダイヤ「…」テクテク

ルビィ「…ごめんなさい」

ダイヤ「!」

ダイヤ「どうして謝るの?」

ルビィ「おねいちゃんのこと、たたいちゃった」

ダイヤ「…あんなの、叩かれたうちに入りませんわ」

ルビィ「それに、ひどいこともゆっちゃった」

ダイヤ「いいのよ。わたくしはお姉ちゃんなんだから。怒ったりしませんわ」

ルビィ「ルビィね、いけないってわかってるんだよ」

ルビィ「…ほんとだよ」
0135ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:15:59.17ID:qYFABX5l
ルビィ「いつまでもおねいちゃんに甘えっぱなしじゃいけないってこと。

ルビィ「おねいちゃんにはおねいちゃんの人生があって、ルビィはいつか絶対に一人で歩いていかなきゃいけないんだってこと。

ルビィ「でも、ね…

ルビィ「やっぱりイヤなの…おねいちゃんと離ればなれになりたくないし、いつだって一緒にいたいって思う。

ルビィ「おねいちゃんと一緒の時間が減っていくたびに、不安になっちゃうの。

ルビィ「おねいちゃんがルビィから離れていっちゃうって、

ルビィ「ルビィだけのおねいちゃんじゃなくなっちゃうって。

ルビィ「そう思ったら、さみしくって、悲しくって、どうしようもなくなっちゃうの。

ルビィ「だから、ごめんなさい、わがままなのはわかってるけど…

ルビィ「まだ、ルビィだけのおねいちゃんでいてほしい――」
0137ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:17:07.55ID:qYFABX5l
ダイヤ「…もちろんよ」


隣を歩く小さな頭を撫でる。

洗髪料とパーマで、わずかに硬さを帯びた髪。

変わらない頭の小ささ。


ダイヤ「言ったでしょう。わたくしはあなたのことが一番好きよ。その気持ちは、絶対に変わらないんだから」


俯いて、繋いだ手に弱く確かな力が込められる。

この小さな頭でどれだけのことを悩み、この小さな手をどれだけ必死に伸ばしていたのだろう。

この小さな足で、身体で、瞳で、肩で、口で、声で。

たとえ世界中の誰もが敵に回ったとしても、私だけは絶対にこの手を放さない。

だから、本当に…本当によかったと思っている。
0138ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/27(金) 20:18:33.80ID:qYFABX5l
あの日、絶望の鐘にも似た宣告を受けて、


――果南『解散、しよっか』


形になって見えそうなほどの想いを、果南さんが口にしないでいてくださって。

鞠莉さんが呑み込んでくださって。

そして誰より他でもない私自身が、


――『ルビィがいるから、私たちはスクールアイドルを辞める。』


残酷な音を吐き出してしまわなくて。


本当に、よかったと思っているのだ。

***
0144ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 12:57:16.15ID:TNJpj4r7
***

それから約二年半後…


コンコン ガチャ


「理事長、郵便が届いています」

鞠莉「thank you. 誰から?」

「ラブライブ!の主催団体からです」

鞠莉「wao.」


『浦の星女学院 理事長 小原 鞠莉 様』


「今回こそ、優勝できるといいですね」

鞠莉「そうね。みんな一生懸命頑張ってきたんですもの…努力と強い想いは報われるということを、きっと示してほしいわね」

「それでは、私は失礼いたします」ペコ


バタン


鞠莉「…これが、浦の星最後のラブライブ!なのね」

鞠莉「放課後が待ち遠しいわ」

………………

………
0145ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 12:58:15.86ID:TNJpj4r7
ー放課後ー

ダムダム キュッキュッ ワァワァ…


鞠莉「体育館はいつだって賑やかね。マリィも運動したいな〜」

「あ、理事長。こんにちは!」

「みんな! 理事長だよ! あいさつ!」

「「「こんにちは!」」」

鞠莉「hello. みんな元気かしら」ニコッ

「はい!」

鞠莉「いいわね、basket ball. 執務が落ち着いたら混ぜてほしいナ♪」

「ぜひ!」

「ところで、バスケ部にご用ですか?」

鞠莉「ううん、今日は違うのよ。奥の――そこの部に」


『スクールアイドル陪』
0146ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 12:59:15.07ID:TNJpj4r7
「あ…そうだ。予選、通ったんですよね!」

「わたし予選の動画ネットで観た! よかったな〜」

「確か本選って来月だよね?」

「ってことは…」

鞠莉「bingo. 本選の案内が来たから、スクールアイドル部のみんなに連絡に来たんだよ」

「「「おお〜っ!」」」

鞠莉「それじゃ、私は行くね。練習の横を失礼っと」ススス…

「「「お疲れさまでーす!」」」


鞠莉「ウチの生徒はみんな良いコたちね〜。やっぱり leader が良いからかしらね☆」ウンウン


…トコ


鞠莉「この部屋に来るのも久し振りね」
0147ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 13:00:13.93ID:TNJpj4r7
千歌「ここでチカと梨子ちゃんがばーって端っこに移動すればさ、」

梨子「待ってよ千歌ちゃん。そこほとんど音ないのよ? 間に合うの?」

善子「端まで行くならもともと外側にいる私と曜のほうがいいんじゃないの?」

曜「でも次のサビ前の動きを考えるとねー」

善子「そっか、クロスしなきゃいけないんだものね…う〜ん…」


ガラッ


鞠莉「チャオ〜☆」

梨子「理事長!」

曜「わわっ、こんにちは!」ゞ ビシッ

善子「その敬礼は正式なポージングなの?」

千歌「こんにちは、鞠莉ちゃん!」

鞠莉「熱心に打合せしてるとこ失礼するわね」

曜「なにかありましたか?」

鞠莉「うふふ…今日が何日か、お忘れかしら?」スッ

梨子「あ…その封筒…」

千歌「本選案内が来る日だーっ!!」

鞠莉「そのとーり! さ、開封しちゃいましょ♪」ニコッ
0148ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 13:01:13.14ID:TNJpj4r7
『浦の星女学院スクールアイドル部 Aqours の、第××回ラブライブ!本選への出場を通知いたします。』


千歌「おお〜…っ。チカたち、ほんとに予選を突破しちゃったんだね」

善子「これを見てやっと実感が湧くってどうなの?」

梨子「ヨハネちゃんだって、何回も『本当かしら』って言ってたくせに」クスクス

善子「んにゃあ! 言うなー!」

曜「通知の内容は、ほとんど事前にホームページに載ってた通りだね」

鞠莉「そうね。この通知の大きな主旨はパフォーマンス順序の連絡だからね」

千歌「ううう…っ、わくわくしてきた!」

梨子「千歌ちゃんってば。身体動かしたくて仕方ないーってカオしてる」

千歌「だって! こんなの一秒だってじっとしてられないよ! ね、みんな! 屋上行こうよ!」

曜「り、理事長に来てもらったばっかりだよ?! それに動きだってまだ決まってないし…」

鞠莉「マリィのことなら気にしないで。通知を持ってきただけだから。少しだって無駄にできる時間なんかないデショ?」

千歌「よーっし、それじゃ行くよ! 屋上に集合ーっ!」ガラッ タタタタタッ

梨子「あっ千歌ちゃん?! ちょっと…ラジカセ持っていってよー!」タタタ…

善子「相変わらず慌ただしい人ね」

曜「あはは…すみません、理事長」

鞠莉「ううん。あの power こそが、Aqoursを突き動かしてくれる源でしょ。私も含めた浦の星の全員が、願ってるよ」

曜「ありがとうございます。それじゃ、行こっか。善子ちゃん」

善子「ヨハネだってば!」


タタタ…
0149ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 13:02:13.47ID:TNJpj4r7
トコトコ…


鞠莉「さて、執務の続きねー」ンーッ

鞠莉「…あ」

ダイヤ「…」


――善子ちゃん、飲み物買ってこ!

――ちょっ突然方向転換しないで!

ワイワイ…


ダイヤ フゥ…

鞠莉「ダーイヤっ」ツン

ダイヤ「鞠莉さん…」ムニ

鞠莉「溜め息なんか吐いたら、綺麗なお顔が台無しよ」ツンツン

ダイヤ「…なぜ頬をつつくのですか」ムニムニ

鞠莉「ダイヤのほっぺた気持ちいーからね♡」

ダイヤ「肉付きがよいと言いたいのですか?」

鞠莉「ンー、マリィとしてはもうちょっと柔らかいほうが好きかも!」

ダイヤ「…ふふっ。なんですか、それは」

鞠莉「いひひ。やっと笑ったわね」

ダイヤ「ええ…いけませんわね、生徒会長たるわたくしがこんな風に表情をしかめていては」

鞠莉「あのコたちが、羨ましいのね」

ダイヤ「…はい」
0150ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 13:03:13.29ID:TNJpj4r7
ダイヤ「千歌さんが生徒会室に飛び込んできたのが、つい昨日のことのようです。

ダイヤ「瞳を爛々と輝かせて一体なにを伝えにきたのかと思ったら、『スクールアイドル部を作りたい』…とは。

ダイヤ「たまたま鞠莉さんが同席してくださっていなければ、つい激昂してしまっていたかもしれない。あるいは、泣き崩れてしまっていたかもしれませんわ。

ダイヤ「言い出しこそただの思い付きだったのかもしれない。それでも彼女は、彼女たちは、一つひとつハードルを乗り越えてみせましたね。

ダイヤ「鞠莉さんがわたくしのことを想って突き付けた『初めてのライブで体育館を満員にしてみせろ』という無理難題をはじめとして、一つひとつ…みんなで力を合わせて、乗り越えてみせてくれましたね。

ダイヤ「そして、今。

ダイヤ「廃校決定という、もう乗り越えることが絶対にできないと決まっている壁を前にして、なお、それでもできるだけのことをしてやろうと息巻いている。

ダイヤ「乗り越えられないなら乗り越えられないなりに、自分たちがやり切ったと誇れるよう、満足できるまで、精いっぱいに。

ダイヤ「それができる彼女たちが、羨ましい――」
0151ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 13:04:12.51ID:TNJpj4r7
――おねーちゃー…帰ろー…


鞠莉「この声…」

ダイヤ「ああ、待たせていたのでしたね…」

鞠莉「ダイヤ、」

ダイヤ「…ねえ、鞠莉さん」

ダイヤ「わたくしたちは、どうすればよかったのでしょう」

ダイヤ「大切な人を選び取るために、大切な想いを犠牲にしたのは、間違っていたのでしょうか」

鞠莉「…」

ダイヤ「わたくしにはね、もう…わからないの」


ダイヤ「さようなら、鞠莉さん。また明日」

鞠莉「…ウン。また明日ね」


黒髪がふわりと風になびいて、夕陽を返す。
0152ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 13:04:56.35ID:TNJpj4r7
廃校が決定したその年、浦の星女学院にはスクールアイドルが立ち上がった。

発起人は二年生の高海千歌ちゃん。

隣を駆けるのは、同じく二年生の渡辺曜ちゃんに、桜内梨子ちゃん。そして一年生の津島善子ちゃんの、計四名。

私の名前はなく、果南の名前も、ルビィの名前もなく。

当然に、黒澤ダイヤの名前もない。


浦の星女学院スクールアイドルAqoursはラブライブ!決勝本選に出場するも敗退、物語は無情にもあっさりと、その幕を閉じた――

***
0155名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2018/07/28(土) 16:42:30.03ID:uMTtLiWO
アニメ設定を改変したストーリーなのね
0156ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:21:17.71ID:TNJpj4r7
***

それから更に数年後…


コツ。

石畳を鳴らして、ふと立ち止まる。

都内に比べると手狭な駅…と感じたけれど、思い直す。

改札のすぐ隣にお土産屋さんやパン屋さんが設けられているのも、バスやタクシーが何台も乗り入れられるロータリーが広がっているのも、よく考えれば向こうではほとんど見ない光景。

車線数が少なく、ホームは狭く、改札機もどこか古っぽい。

それでも、案外こっちのほうが敷地を贅沢に使っていると言えるのかもしれない。


『伊豆長岡駅』


ルビィ「久し振りだなあ」


背高な駅舎を仰いで独り言つ。

と、程ない距離からクラクション。

助手席と運転席からそれぞれ覗く懐かしい顔に、思わず笑みをこぼした。
0157ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:22:47.42ID:TNJpj4r7
ブゥゥゥゥン…


黒澤母「長旅お疲れさまでした、ルビィさん」

ルビィ「うん。でもずっと座っていられたから、そんなに疲れてないよ」

黒澤母「でも三時間ほど掛かるのでしょう? 今夜はぐっすりでしょうね」

ルビィ「んー? ……うん、そうかも」クス

ダイヤ「お母さまはそんなに長い時間電車にお乗りになったことなどないでしょうからね。ぴんと来ないのでしょう」

黒澤母「まあ。ダイヤさん、今しがた母をおひゃらかしましたか?」

ダイヤ「そんなことありませんよ」

ルビィ「お姉ちゃんが運転してくれるなんて思わなかったな」

ダイヤ「電車での長旅の後に、またバスに乗るのも嫌でしょう」

ルビィ「いつ免許取ったの?」

ダイヤ「二十一歳になった頃よ」

黒澤母「助かるのですよ。沼津のほうに行くのもバスに乗らなくてよいものですから」

ダイヤ「はじめは反対なさいましたのにね。今ではすっかり運チャン扱いなんだから」

黒澤母「よいでしょう。持ち腐らせては仕方ありませんよ」

ダイヤ「ふふ…調子のよいことですわ」

ルビィ「…うふふ」クス


ブゥゥゥゥン…

………………

………
0158ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:24:57.15ID:TNJpj4r7
ルビィ「ただいまー」

ダイヤ「お帰りなさい。随分と久し振りなのではない?」

ルビィ「うん。どのくらいになるかな…」

ダイヤ「年末にもお盆にも帰ってこないで。お母さまも淋しがっていらしたのよ」

ルビィ「うん…忙しくて」

ダイヤ「…そうよね。社会人なんだものね」

ルビィ「…」

ダイヤ「…」

ダイヤ「あなたの部屋」

ルビィ「うん?」

ダイヤ「ほとんどそのままにしてるのよ。落ち着いてからでいいから、少し片付けなさいな。今回で終わらせなくてもいいから」

ルビィ「わかった」

ダイヤ「お夕飯まではどうするの?」

ルビィ「もう少ししたらちょっと出るよ。花丸ちゃんと会う約束してるから」

ダイヤ「そう。お夕飯に差し支えないようにね」

ルビィ「わかってるー。子どもじゃないんだから」

ダイヤ「ふふ。では、後でね」

ルビィ「うん」
0159ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:26:53.98ID:TNJpj4r7
カラリ…


ルビィ「ただいまー」

ルビィ「ふう」ドサ

ルビィ キョロ

ルビィ「…ほんとに。ほとんど変わってないな」


お母さんが干してくれたのだろう、布団はふわりとやわらかく、わずかにお陽さまの匂いを纏う。

机や棚のレイアウトも記憶のままで、埃も被っていない。


ルビィ「久し振り。わたしがいない間、なにもなかった? 淋しかったよねー」ムギュ


枕の周りを飾るぬいぐるみたち。

幼い頃から傍にいたコを持ち上げて、ぎゅっと抱き締めてみる。

これもほのかにお陽さまの匂い。


ルビィ「…お母さんは優しいなあ」
0160ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:28:49.86ID:TNJpj4r7
高校を卒業して、内浦を発った日の前日。

せっかく干してくれた布団をみんな放ったらかして、お姉ちゃんの部屋で一緒に眠ったっけ。

畳の匂い、お陽さまの匂い、お母さんの匂い。

好きな匂いはたくさんあるけれど、あったけれど、決意と旅立つ前に最後に包まれたい匂いは一つしかなかったから。


…ギュ


ぬいぐるみに顔をうずめていると、置きっ放していたスマートフォンが震えた。

………………

………
0161ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:30:06.05ID:TNJpj4r7
花丸「ルービィちゃんっ」

ルビィ「花丸ちゃん! 久し振り!」

花丸「久し振り。もう内浦では会えないかと思ってたよ」

ルビィ「あはは…そんなわけないじゃん。わたしの家はここにしかないんだから」

花丸「その割には何年ぶり? 年末もお盆も帰ってこないで」

ルビィ「それはもうお姉ちゃんに言われたから」

花丸「ダイヤさん…か」

花丸「こんなときにしか帰ってこないんだから」

ルビィ「帰ってきたんだから、もういいでしょ」

花丸「これを機に少しは帰省頻度を上げてほしいものだよ」

ルビィ「善処する善処する」

花丸「しないやつじゃん」

ルビィ「…これでも頑張ってるんだから」

花丸「…わかってるよ」
0162ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:31:32.47ID:TNJpj4r7
ー松月ー


ルビィ「ん〜、懐かしい匂い」スーッ

花丸「甘い匂いは落ち着くねえ」スーッ

ルビィ「みかんタルトと、みかんジュース下さい!」

花丸「もう夕方だよ。そんなに食べて平気なの?」

ルビィ「それも同じようなこと言われてきたから。もうオトナなんだからだいじょーぶだもん」

花丸「ルビィちゃんが大人かあ。…あ、私も同じので」

ルビィ「花丸ちゃん、もう『ずら』って出ることないの?」

花丸「ないよ。徹底的に治したもん。…でもお酒呑んだときは言ってるって言われる」

ルビィ「治ってないじゃん」フフ

花丸「お酒は仕方ないよ」

ルビィ「また最近もよく呑んでるの?」

花丸「そんなに呑んでないよ。別に好きじゃないからね」

ルビィ「でも強いよね」

花丸「周りが弱いだけだから」

ルビィ「うわ出た。酒豪の物言いだ」

花丸「酒豪とはひどい言いがかりだよ」

ルビィ「前のときだって花丸ちゃん以外みんな潰れちゃったし」

花丸「東京の人と比べたらいくらかはね」

ルビィ「わたしも内浦民なんですけどー」


アハハ… ………
0163ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:33:14.63ID:TNJpj4r7
…カラン


花丸「…ダイヤさん」

ルビィ「…うん」

花丸「こう言っちゃなんだけど、よく帰ってきたね」

ルビィ「姉だよ? さすがに帰ってこないわけないじゃん。でもだいぶ頑張ったから。頑張ってるから。これはほんとに」

花丸「疑ってないよ」

ルビィ「言ってもわたしだってもう昔ほどじゃないから」

花丸「それならいいんだけど」

ルビィ ズズ…

花丸 モグ

ルビィ「…いや嘘。やっぱりかなり無理」グテ

花丸「…」

ルビィ「えー…ねえ、もー……」

ルビィ「………やだあ」グス

花丸「…よしよし」
0164ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:34:33.66ID:TNJpj4r7
ルビィ「花丸ちゃんカレシいたことないの」

花丸「なに突然」

ルビィ「カレシじゃなくていいや。お姉ちゃんいたことないの」

花丸「ないよ」

ルビィ「味わってほしいよこの感覚…他人事じゃいられないんだからね…」

花丸「他人事でそんなことになるとは誰も思ってないよ」

ルビィ「えー………ねー………」

ルビィ「………もー…」

花丸「お姉さんがいる友達紹介しようか?」

ルビィ「いいよいらないよ。どうせ理解してもらえないもん」

花丸「身も蓋もないなあ」

花丸「でも、偉いよ」

ルビィ「なにが」

花丸「ちゃんと帰ってきたしさ。お祝いの場にも出るし。実のお姉さんだっていうのを差し引いても、ね」

ルビィ「…」

ルビィ「だって、そうするしかないじゃんか」

………………

………
0165ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:36:01.27ID:TNJpj4r7
花丸「いつまでこっちにいるの?」

ルビィ「月曜の午前に発つよ」

花丸「そっか。じゃああと一回くらい会えるといいな」

ルビィ「うん。どうせわたし自身は別になにやるわけでもないから。誘ってくれればいつでも付き合うよ」

花丸「ありがとう。でも久し振りの帰省なんだから、ダイヤさんとかお母さんと過ごす時間も大切にしなきゃ」

花丸「特にダイヤさんは…ね」

ルビィ「………うん。わかってる」

ルビィ「…」グッ…

花丸「…」

花丸「それじゃ、またね」

ルビィ「あ、うん。また」

花丸「私は直接言う機会ないから、ダイヤさんに伝えておいて」


花丸「ご結婚、おめでとうございます――って」

………………

………
0166ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:38:36.56ID:TNJpj4r7
ルビィ「めでたくないし」


夕飯とお風呂を済ませるや自室に引っ込んで、布団の上でふてくされてみせる。

なにが悲しくてお姉ちゃんの結婚に「おめでとう」なんて言わなくちゃいけないのか。

射し込む月明かり。

季節の音に紛れて、遠く聞こえるのはお姉ちゃんたちの談笑の声。


――花丸『久し振りの帰省なんだから、ダイヤさんとかお母さんと過ごす時間も大切にしなきゃ』


せっかく実家に帰ってきて、ただただぬいぐるみと添い寝してやり過ごすなんて、ばかみたいな時間もあったものだ。
0168ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:40:32.84ID:TNJpj4r7
>>166
このレスは表示されていますか?
「書込エラー」になったのですが
0171ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:44:12.79ID:TNJpj4r7
ありがとうございます
続けます
0172ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:45:15.52ID:TNJpj4r7
明後日には、親戚と地元の人たちを集めて結婚式が行われる。

内浦に限っているとはいえ、そこそこの歴史を持つ名家である黒澤家。

婿入りするという旦那さんの話も何度か聞かされたし画像を送られてきたこともあるけれど、全く記憶にない。画像は読み込みもせずに削除した。

明日の夕方にはこちらに到着するのだとか。

政策的な意味も含めて選ばれたのであろう相手といっても、お姉ちゃんが一緒になると決めた人だ。

きっといい人なのだろう。

笑顔であいさつをして、気さくに接してくれるだろう。

髪を短く整えた背が高めの人で、スーツか袴がよく似合うに違いない。

黒澤家のこと、お母さんのこと、内浦のこと、そしてお姉ちゃんのことを、なによりも大切にしてくれるのだろう。


だから、なんだというのだ。


ルビィ「…名前だって知りたくない」
0173ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:46:33.26ID:TNJpj4r7
顔も見たくないし、声も聞きたくない。

お姉ちゃんに名前を呼ばれて、お姉ちゃんの名前を呼んで、親しげに笑い合って、手を取り合って、寄り添い合って――そして――


ルビィ「…………っ」


唇を蝕む痛みが、じわじわとした感覚から、はっとするような鮮烈なものに変わる。

そのとき。

コンコン、と部屋の戸が叩かれた。

誰、と問おうとして、咄嗟にうまく声が出せなくて、


ダイヤ「ルビィ? いますか?」


お姉ちゃんであることくらい、聞かずともわかっていた。
0174ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:48:58.02ID:TNJpj4r7
カラリ


ルビィ「いるよ」

ダイヤ「もう、どうしたの。お風呂あがるなり部屋に引っ込んじゃって…って、電気も点けずに…」

ルビィ「ああ、えっと…ちょっと寝ちゃってた。やっぱり意外と疲れてたのかも…それとも帰ってきてほっとしたかな」

ダイヤ「…」

ダイヤ「あら? あなた、唇が…」

ルビィ「え?」

ダイヤ「血が出てるじゃない。手当てしましょうか」オロ

ルビィ「いいよ。リップ塗っとくから、平気だよ」

ダイヤ「…そう」

ルビィ「うん」

ダイヤ「…」

ルビィ「…」

ルビィ「なにか、用だった?」

ダイヤ「用だったって…お姉ちゃんに向かって随分な物言いをするじゃない」

ルビィ「えっ、ごめん…そんなつもりじゃ…」

ダイヤ「……ねえ、ルビィ。まだ寝ないでしょう?」

ルビィ「寝ないけど…」

ダイヤ「久し振りに、μ'sのライブでも観ましょうよ」

………………

………
0175ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:51:59.63ID:TNJpj4r7
ルビィ「…」


オーイェー オーイェー オーイェー イッシンイッチョウ!


ダイヤ「…」


オーイェー オーイェー オーイェー ホラ、マッケナイヨネ?


ダイヤ スゥ…

ダイヤ チラッ

ルビィ「…」

ダイヤ「……っ」


クヤシーナマーダノーブラン

シラレーテナイヨノーブラン

ナニモカモーコーレカラー アツイーキブン………
0176ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:54:04.29ID:TNJpj4r7
ダイヤ「ねえ、ルビィ」

ルビィ「うん」

ダイヤ「μ'sは、今も昔も輝いているわね」

ルビィ「うん」

ダイヤ「目の前の一瞬に全力で、大切な仲間を信頼していて、誰もが追い掛けたくなるような熱さを放ち続ける」

ダイヤ「とっても素敵な人たちね」

ダイヤ「とっても素敵な…スクールアイドルね」

ルビィ「…ねえ、お姉ちゃん」

ダイヤ「なあに?」

ルビィ「わたしのこと、恨んでる?」

ダイヤ「えっ…」

ダイヤ「どうして」

ダイヤ「どうして、わたくしがあなたを恨むことがあるの?」

ルビィ「…」

ダイヤ「何年も帰ってこなかったこと? あなたにはあなたの考えがあったはずなのだから、それで恨むなんてことは」

ルビィ「スクールアイドルを辞めさせたことだよ」

ダイヤ「っ!!」
0177ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:55:11.84ID:TNJpj4r7
ダイヤ「辞めさせた、なんて…そんな風には…」

ルビィ「事実そうだよ」

ルビィ「わたしがいたから、お姉ちゃんたちはスクールアイドルを続けられなかった」

ダイヤ「そんなこと、」

ルビィ「なくないでしょ」

ルビィ「今ではきちんと自覚してるよ。お姉ちゃんの大切な夢…ううん、わたしたちの大切な約束を奪ったのは、他でもないわたし自身だってこと」

ルビィ「…ほんとは、当時からわかってた。わかってたけど、感情をコントロールできなくって、どうすることもできなかった」

ルビィ「ただお姉ちゃんのことが好きで、好きで、大好きで」

ルビィ「それ以外のなにもかもを、少しも大事にすることなんか考えられなかったの」

ルビィ「ごめんね…」ポロ…

ルビィ「こんな妹で、ごめんね…」ポロ…ポロ…
0178ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:57:01.99ID:TNJpj4r7
ダイヤ「………………………………あなたが」

ルビィ「え?」グス…

ダイヤ「あなたが、家を出てから、これまで一度も帰ってこなかったのは…」

ダイヤ「それが理由なの?」

ダイヤ「わたくしに後ろめたさを感じていて、だから帰ってこなかったの?」

ルビィ「………………うん」

ダイヤ「…………か…」ズ

ダイヤ「ルビィの、ばか…っ」グスッ

ルビィ「お姉ちゃん…」ハッ

ダイヤ「ルビィのばかっ!」ガバッ

ルビィ「むぎゅ」


ギュウウウウウ…ッ


ルビィ「お、おねえちゃ…くるし…」ペシペシ

ダイヤ「昔から頭がキレる子ではなかったけれど、ここまでばかだとは思っていなかったわ…」ギュ

ルビィ「んな…」
0179ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:58:35.86ID:TNJpj4r7
ダイヤ「物心がついて、初めてスクールアイドルというものに触れてから、憧れを語らなかった日は一日もなかったわね…」ギュ

ルビィ「…うん」

ダイヤ「μ'sの真似をして、A-RISEの真似をして、歌って…踊って…お母さまにライブの真似事を披露したりもしたわね…」ギュ

ルビィ「……うん」

ダイヤ「年齢を重ねて高校生になる日が近付くにつれて、グループ名を考えては、衣装案を考えては、振付を考えては、ステージに並んで立つ瞬間を待ち詫びたわね…」ギュ

ルビィ「………うん」

ダイヤ「わたくしが高校生になって、果南さんたちとスクールアイドルを結成してからは、いよいよ現実になる可能性に手を伸ばして、毎日いてもたってもいられなかったのよ…」ギュ…

ルビィ「…………うん……それなのに、それ…っ、わたし…」ヒック…

ダイヤ「……果南さんに解散を提案されたときのことは、一日だって忘れたことはないわ。目の前で分厚い扉が閉まってしまったかのようだった――」

ルビィ「ごめ…っ、ごめんなさ……わたっ、ルビっ、うう…」ヒグ…グス…

ルビィ「だから…わたし、もう…お姉ちゃんの傍には、いら…いられないって……高校を卒業するまで、っく…めいっぱい甘えたら…罪を……っ、時間を奪っちゃった償いをっ………っ」

ダイヤ「――それでもっ!!!」
0180ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 21:59:12.87ID:TNJpj4r7
ダイヤ「確かにわたくしは、わたくしたちは夢を諦めた…諦めるしかなかった…」

ダイヤ「それは、もしかしたら…あなたが理由だったと、…言えるのかもしれない」

ルビィ「………っ」

ダイヤ「それでも…たとえそうだったとしても!」


ダイヤ ギュ… ギュウ…ッ


ダイヤ「わたくしがルビィのことを恨んだり、嫌いになったり、それが絶対に有り得ないってことくらい…あなた自身が誰よりもわかっていてよ!!」

ルビィ「――――っ!」
0181ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 22:00:35.39ID:TNJpj4r7
ダイヤ「ルビィ」スッ

ダイヤ「あなたはたった一人の大切な妹」

ダイヤ「長年の夢がだめになったって、友人との絆が淡くなったって、そんなことはどうでもいいと言ってしまえるほど…」

ダイヤ「わたくしにとっての、かけがえのない宝物なのよ」

ルビィ「おねいちゃん…」

ダイヤ「あなたが傍にいなかった数年間、どれだけ淋しかったと思っているの?」

ダイヤ「お姉ちゃんのことを、一人にしないでちょうだい」ニコ

ルビィ「――――〜〜〜〜……っっ!!」

ルビィ「おね…っ」

ルビィ「おねいちゃああああああああ……っ」ビエエエッ

ダイヤ「よしよし…やっぱり、あなたは変わらず泣き虫ねえ」ナデ…

………………

………
0182ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 22:02:38.98ID:TNJpj4r7
ルビィ「今日は一緒に寝る!」

ダイヤ「お母さまがルビィの布団を干していらしたわよ」

ルビィ「知ってる!」

ダイヤ「やれやれ…途端にこうなのですから…」クスクス

ルビィ「布団では明日でも明後日でも寝れるから」

ルビィ「でも、」ギュ

ルビィ「おねいちゃんとは…今夜までしか、一緒に寝れないでしょ」

ダイヤ ギュ…

ダイヤ「そうね」

ダイヤ「電気、消すわよ」

ルビィ「うん」


パチ
0183ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 22:04:23.69ID:TNJpj4r7
ルビィ ギュ…

ダイヤ ギュ…

ルビィ「おねいちゃんとこんな風にして寝られるの、嬉しいな」

ダイヤ「とても懐かしいわね」

ルビィ「やっぱり、こうして寝るのが一番落ち着くかも…」

ダイヤ「ふふ。わたくしも」

ルビィ「ねーえ、おねいちゃん」

ダイヤ「なあに、ルビィ」

ルビィ「ルビィのこと、好き?」

ダイヤ「当然でしょう。大好きよ」

ルビィ「ルビィもね、おねいちゃんのこと大好き」

ダイヤ「ありがとう。嬉しいわ」

ルビィ「…ねーえ、おねいちゃん」

ダイヤ「なあに、ルビィ」

ルビィ「ルビィのこと、旦那さんより好き?」

ダイヤ「ええ?」

ダイヤ「そんな答えづらいことを………」

ダイヤ「…ルビィ?」


ギシッ


ルビィ「ルビィはねえ」

ルビィ「おねいちゃんのこと、他のどんな誰よりも」


ルビィ「いっちばんに、好きだよ――――♡」

***
0184ぬし ◆z9ftktNqPQ (帝国中央都市)
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2018/07/28(土) 22:05:46.65ID:TNJpj4r7
再び外します
今夜のうちに完結まで投下できると思うのですが
0186名無しで叶える物語(茸)
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2018/07/28(土) 22:10:25.97ID:p7jkwo+Q
がってんがってんo(T□T)o
0187名無しで叶える物語(やわらか銀行)
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2018/07/29(日) 00:04:16.41ID:vobV/Npy
実家に帰った時の過ごし方がルビィちゃんと似たような感じでワロエナイ…
0188名無しで叶える物語(SB-iPhone)
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2018/07/29(日) 10:14:54.36ID:xkgXi8AW
0189ぬし ◆z9ftktNqPQ (有限の箱庭)
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2018/07/29(日) 14:06:10.98ID:8lAfFS3s
昨晩は投下できませんでした
二時間後くらいから、完結まで投下します
0190ぬし ◆z9ftktNqPQ (秋と紅葉の楼閣)
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2018/07/29(日) 15:30:31.44ID:ak0imI9p
***

――ルビィ『それじゃ、行ってきます』


東京へ行く。

ルビィがそう言い出したのは、彼女が高校最後の夏休みを終えようという頃だった。

母が言うには、はっきりしない言い方ながらも三者面談では進学するようなことを言っていたようで、てっきり大学へ進むものだと私も思っていた。

黒澤という家柄、沼津から――もっと言えば内浦から出る選択肢など頭になかった私は、とても面喰らったのを覚えている。

とはいえ、短大か、大学か…学びの場として一時的に東京へ身を置くというのであれば、それはありふれた選択肢の一つだから、さして驚きもしなかっただろう。

しかし。
0191ぬし ◆z9ftktNqPQ (秋と紅葉の楼閣)
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2018/07/29(日) 15:32:13.09ID:ak0imI9p
――ダイヤ『就職?!』

――ルビィ『うん』

――ルビィ『東京の会社にね、就職しようと思うの』

――ダイヤ『そんな簡単に…あのね、一度会社に入ったら、そうそう辞められるものではないのよ?』

――ルビィ『どうして入る前から辞める心配なんかしなきゃいけないの。変なおねいちゃん…』

――ダイヤ『だって、あなた!』

――ダイヤ『向こうで就職するってことは、生活の拠点が向こうになるってことで、だから…』

――ルビィ『うん。もちろんそのつもりだよ』

――ルビィ『なかなか帰ってこられなくなっちゃうかもなあ』
0192ぬし ◆z9ftktNqPQ (秋と紅葉の楼閣)
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2018/07/29(日) 15:33:57.26ID:ak0imI9p
母と、学校の先生と、何名かの親戚の方々と。

よもや思いもしなかったルビィの選択に、誰もが口々に真剣さを問い、また心変わりを説いた。

けれど、意志の根幹が一体なにに寄り添っているのか――彼女は決して首を縦には振らず、手際よく数社の採用試験をこなして、あっさりと内定を勝ち取ってしまった。

大企業というほどではないにせよ、それなりに聞こえた企業の内定通知書を囲んだのは、十月の半ばだった。

ここ一ヶ月ほど『楽しい団欒の場』から遠のいていた夕食の席でお披露目されたその報せに、母が覚悟を決めたのが伝わってきた。

もちろんルビィ自身の意志に揺らぐところなどない様子で、不服ながら、もはや私一人がいくらか喚いたところでなにも変わらないのだと――出せる言葉を失った。

私が高校を卒業した頃からじわじわと感じ始めていた彼女との距離の開きは、事ここに至ってかなり顕著になっており、それからの半年間ほどは夕飯の席以外で会話した記憶もほとんどなく、そして――


――ルビィ『それじゃ、行ってきます』


腕の中にわずかな匂いを残して、振り向くこともないまま、ルビィは私たちのもとを後にした。

………………

………
0193ぬし ◆z9ftktNqPQ (秋と紅葉の楼閣)
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2018/07/29(日) 15:39:32.28ID:ak0imI9p
――黒澤母『ルビィさんは元気にやっているようですよ。東京はどこへ行くにも電車に乗らなければならなくて、人が多いから大変だとのことです』

――ダイヤ『そうですか。元気そうなら、なによりですね』


――黒澤母『この連休には帰ってこられないそうです。繁忙期に掛かるので、入社したてのルビィさんの手でも借りたいほどだそうで』

――ダイヤ『残念ですね…時期をずらしてでも帰ってきてくれるとよいのですが…』


――黒澤母『向こうでご友人もできたようで、夏は東北へ旅行に行くのだそうですよ。お盆も難しいのでしょうか…』

――ダイヤ『わたくしからも聞いてみますね…』


――黒澤母『ダイヤさん。年末の寄り合いにルビィさんが出られないことを、吉村さんに連絡しておいてくださいますか?』

――ダイヤ『ええ…わかりました』


――黒澤母『二十三歳のお誕生日、おめでとうございます…ダイヤさん。大きくなりましたね』

――ダイヤ『…今年も、この席にルビィはいないのですね』

――黒澤母『…そうですね』

………………

………
0194ぬし ◆z9ftktNqPQ (秋と紅葉の楼閣)
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2018/07/29(日) 15:41:36.90ID:ak0imI9p
――ダイヤ『回覧板をお持ちしましたよー』

――『ああ、ダイヤちゃん…いつもありがとうねえ。お茶でも出そうかしら』

――ダイヤ『お気遣いなく。今日は用事が控えていますので、改めて伺いますわ』

――『そう。気を付けてね』

――ダイヤ『ええ。それでは』


トコトコ…


――ダイヤ『あら』

――花丸『ダイヤさん。こんにちは』ペコ

――ダイヤ『こんにちは。花丸さん…でしたね』

――花丸『はい。国木田花丸といいます』

――ダイヤ『昔に見かけたことがあると思いますが、いっそう綺麗になりましたわね』

――花丸『ええっ、そんな…ダイヤさんにそう言ってもらえるほどのものじゃありませんから…』

――ダイヤ『うふふ。それこそ嬉しいお言葉ですわ』

――花丸『………ルビィちゃん』

――ダイヤ『! ……』

――ダイヤ『そうでしたね、花丸さんは確かルビィと親しくしてくださっていると』

――花丸『…今って、少しお時間ありますか?』

――ダイヤ『え?』

――ダイヤ『…………ええ、少しなら。車を出しましょうか』
0195ぬし ◆z9ftktNqPQ (秋と紅葉の楼閣)
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2018/07/29(日) 15:45:57.86ID:ak0imI9p
ー松月ー


――花丸『ルビィちゃん、全然帰ってきてないんじゃありませんか?』

――ダイヤ『…ええ。お察しの通り。高校を卒業して以来、一度も』

――花丸『やっぱり…』

――花丸『実は、私、ルビィちゃんに何度か会ってるんです』

――ダイヤ『えっ?! そうなのですか?!』

――花丸『はい。と言ってもこっちでじゃなくて、向こうで…ですけど』

――ダイヤ『向こうとは、東京のことですか?』

――花丸『そうです。ルビィちゃん、私とは仲良くしてくれるから…遊びにいったり、泊まりにいったり、何度か』

――ダイヤ『ルビィはっ』

――ダイヤ『ルビィは、元気でやっていますか?!』

――花丸『…っ! 元気ですよ。頑なにこっちに帰ってこようとしないこと以外は、ルビィちゃんのままです』
0196ぬし ◆z9ftktNqPQ (秋と紅葉の楼閣)
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2018/07/29(日) 15:46:57.27ID:ak0imI9p
――ダイヤ『そう…ですか。やはり、意図的に帰らないようにしているのですね…』


薄々そうではないかと、…いや、わかりきっていた。

いくら多忙とはいっても、数年にわたって一度も帰省しないなど、意図的でなければ有り得ないことだ。

私も母もわかっていながら、ルビィが言う『忙しい』という言葉を呑み込んでいただけ。

きっと、あの子の中のなにかが不完全なままになっていて、それを消化するために必死に闘っているのだろう。

それならば、たかがこれしきの淋しさで、その決意を邪魔するわけにはいかない。


――ダイヤ『いえ、よいのです。あの子のことだから、なにか考えていることがあるのでしょう。そんなことより、元気でいるのならそれでいい…』

――ダイヤ『あの子は、もう…最近はろくに連絡も寄越さないで…昔から心配させてばっかりなんだから…』

――花丸『…ダイヤさん、』

――ダイヤ『花丸さん。不甲斐ない姉妹で申し訳ありませんが、あの子のことを…よろしくお願いいたします』

………………

………
0197ぬし ◆z9ftktNqPQ (秋と紅葉の楼閣)
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2018/07/29(日) 15:51:12.10ID:ak0imI9p
ルビィの中で不完全になっていること。

私に心当たりがあるとすれば、やはりスクールアイドルの件。

幼い頃から二人で憧れてきた夢を、いざこれからという段階に至って、諦めざるを得なくなったこと。

当時は感情の整理が追い付かず困惑するばかりだったけれど、今になってきちんと考えれば、答えははっきりと出ていた。

果南さんが察していらしたように、また本人の口からも聞こえたことがあるように、ルビィはただ淋しかっただけ。

長年最も近くで寄り添ってきた『姉』という存在が、離れ、誰かのものに――あるいはみんなのものになってしまうのではないかという恐怖が、足を竦ませてしまった。

それだけのこと。

確かにわずかな悔しさは残っているけれど。

あなたを縛り付けているものがそれだというのなら、どうか…どうか気付いてほしい。


――ダイヤ『あなたの笑顔を失ってまで貫きたい想いなど、わたくしにはないのだということに』

………………

…………

……
0198ぬし ◆z9ftktNqPQ (秋と紅葉の楼閣)
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2018/07/29(日) 15:52:48.07ID:ak0imI9p
やがてまた時は流れ、私の身の回りでもある変化が起こった。


――ダイヤ『結婚…ですか』

――黒澤母『もちろん、今すぐに相手を見定めどうこうなさいという話ではありません。ですが、当家の後継について、そろそろ考え始めても遅くはない頃合いでしょう』


短くない時間を掛けて母と私とで様々なことを考慮して相手の方を選び、交際を始め――そして。


――ダイヤ『入籍することに、決めました』


いくらかの距離を経ての交際ではあったものの、母へのあいさつも含めて足繁く内浦へ通ってくださったり、婿入りという形で黒澤家に入ることを真剣に考えてくださったり。

伴侶として充分に信頼できる相手だと、そう心得た。

それからは話の進みも速く、とんとんと両家の親交も深められ、式の日取りまであっという間に決まってしまった。

実妹でありながら、もはや『没交渉』と言ってしまってもよいほどに疎遠であったルビィに、恐る恐る招待状を送り――


誰よりも早く出席の返信が返ってきたときには、思わず小躍りしてしまうほどの喜びだった。


――と、いうのに…

***
0199ぬし ◆z9ftktNqPQ (秋と紅葉の楼閣)
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2018/07/29(日) 15:54:38.03ID:ak0imI9p
***

ダイヤ「――ルビィっ…」


ギシッ


どうして、私は、今、


ダイヤ「…っ、ぁぁ……るび、やめなさ…」


ギッ ギッ


結婚式を明後日に控えた今、あなたに、


ダイヤ「だめ、やめて……るびぃ…………」


ダイヤ「ぃやぁ……っ、それ…もうっ……」


ダイヤ「――――――――っぁぁあああ!!」


実の妹に、犯されているのだろう。

………………

…………

……
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