善子「死ぬほどついてないヨハネの話」
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〜通学路〜
ザアァーッ…
善子(最近、思うことがある)
トラック「ブッブー」
トラック「ブロロオオオオ」
バシャーン!
善子「・・・・・・・・・」ポタポタ ←ずぶ濡れ
善子(ヨハネの不幸体質に、磨きがかかってきた) 〜教室〜
善子「・・・・・・おはよう」ゲッソリ
ルビィ「あ、おはよう、善子ちゃ・・・・・・って、ずぶ濡れだよ!?」
花丸「大丈夫ずら!?」
善子「善子じゃなくてヨハネ!」
善子「あーもう、朝から最悪よ!」
ルビィ「何があったの?」
善子「ほんと、朝からついてないことばっかり!」
善子「目覚ましの電池が切れてて遅刻しかけるわ、傘は風で壊れるわ、トラックに水ぶっかけられるわ、犬のウンコ踏むわ!」
花丸「えんがちょ」
善子「もう、一体なんだっていうのよ〜!」 ルビィ「ところで善子ちゃん、1限は小テストだけど」
花丸「科目を間違えた、なんてベタなこと言わないずら?」
善子「大丈夫よ! 航空力学Tでしょ! そんなベタな間違いしないわよ!!」
キーンコーンカーンコーン
善子(テスト範囲間違えた・・・・・・) 〜放課後、体育館〜
善子(その後も、弁当食べたらお腹下したり、トイレ入ったら紙が無かったりしたけど、なんとか放課後を迎えた)
千歌「今日は雨だから屋内で練習だね」
曜「梅雨だからか、最近、雨多いねー」
善子(雨ばっかりなのもヨハネのせいかも・・・・・・)
ダイヤ「さあ、しゃべってばかりいないで練習しますわよー」 ダイヤ「はい、ワン、ツー、スリー、フォー」
プツッ
善子「・・・・・・!!?」
善子(まずい、今の感覚・・・・・・)
善子(もしかして、パンツのゴム、切れた・・・・・・!?)
ズルッ
善子(やばっ!! パンツずれて、落ち・・・・・・!!)
梨子「・・・・・・善子ちゃん? どうかした?」
曜「なんで体クネクネさせてるの?」
善子「ちょ、ちょっと、待・・・・・・!!」
ツルッ
善子「うえっ!?」
ズテーン 善子「いたた・・・・・・ん?」
善子「」←開脚
8人「」
善子「あぎゃああああああああ!?!?」
8人「きゃあああああああああ!!!!」 〜帰り道〜
善子(・・・・・・その後、必死に弁解して)
善子(なんとか、ノーパンでダンス練習をする痴女というレッテルは貼られずに済んだ)
曜「やー、いいもん見れたわ」
梨子「ご馳走様」
善子「ぶっとばすわよ」
千歌「善子ちゃんって堕天使だけど下の毛ってまだ、」
善子「ほんとぶっとばすわよ頭かんかんみかん!!!」 花丸「まあまあ、善子ちゃん」
ルビィ「元気出して。頑張ルビィ!」
善子「だけど、こんなんばっかりじゃ・・・・・・」
ベチョッ
ルビィ「あ、善子ちゃんの頭に鳥の糞が!」
グニュッ
ルビィ「犬のウンコも!」
善子「・・・・・・・・・」
花丸「えんがちょ」
善子「ああ〜、もう、やっぱり私は不幸の星の下に生まれた堕天使なのよ〜!!」 〜帰りのバスの中〜
ブロロロ…
曜「まあ、こんな日もあるって。気にしない方がいいよ」
善子「こうなったら天界堕天条例に従って運命を逆転させる儀式を・・・・・・」ブツブツ
キキーッ
ガツン!
曜「わあ!!」
善子「な、なに!? なんかぶつかった!?」
『えー、お客様にお知らせいたします』
『ただ今、当バスはイノシシと衝突したため、安全確認のためしばらく運転を見合わせます』
ようよし「」
曜「イノシシ!? マジで!?」
善子「イノシシまでヨハネに不幸をもたらそうと・・・・・・」 〜翌日、淡島に向かう連絡船〜
善子(次の日、気分を変えてトレーニングしようってことで、ヨハネたちは淡島に向かっていた)
ルビィ「昨日の帰りも災難だったみたいだね、善子ちゃん」
善子「ヨハネな」
善子「イノシシのお陰で家に帰るの2時間遅れるわ、バス降りた瞬間に土砂降りになるわ、近所の犬に吠えられて空き巣に間違えられそうになるわ」
善子「ママが急用でいなくてご飯は無いわ、仕方ないからペヤング食べようとしたらお湯捨てた拍子に中身までドバっとこぼすわ」
ルビィ(あまりの不幸愚痴っぷりに堕天使の設定忘れてる・・・・・・)
花丸「観自在菩薩 行深般若波羅蜜多時 照見五蘊皆空 度一切苦厄」
善子「・・・・・・なに唱えてるのよ」
花丸「般若心経ずら」
善子「そういうこと訊いてるんじゃなくて」
花丸「妖怪でも取り付いてるんじゃないかと思って」
善子「縁起でもねえな!!」 ヒュンッ
ドカッ!!
善子「!?」
千歌「な、なになに!?」
グラグラッ
鞠莉「何かが空から降ってきて、エンジンを直撃デース!!」
ダイヤ「一体、なんですの!?」
千歌「まさか、隕石とか!?」
梨子「嘘でしょ!?」 ボンッ!!
果南「エンジンが爆発炎上した!」
千歌「船が沈むー!!」
ブクブク
ゴボゴボ
ルビィ「ピギャアアアア!?」
花丸「舎利子 色不異空 空不異色 色即是空 空即是色 受想行識亦復如是」
善子「だから縁起でもないっての!!」
善子(まさか、これも・・・・・・ヨハネの、不幸体質のせいで・・・・・・!?) 果南「救助は任せろー」
バシャバシャ
SA-KA-NA SA-KA-NA SA-KA-NA
自由な未来は
SA-KA-NA SA-KA-NA SA-KA-NA
泳ぎやすいよ
善子(船が沈没してみんな海の藻屑と化してリアル恋アクになりかけたところを、)
善子(魚人・・・・・・もとい、果南が泳いで全員救助したので事なきをえた)
善子(果南は魚か河童だと思う)
善子(・・・・・・・・・)
善子(ヨハネのせいで、みんなが・・・・・・) 〜夜、浦の星女学院 理事長室〜
ダイヤ「なんですって・・・・・・!?」
果南「それ・・・・・・確かなの!?」
鞠莉「イエス。先程、NASAと、小原グループが統括する宇宙開発財団が観測したわ」
ググッ…
鞠莉「このままだと、世界は・・・・・・!!」 〜翌日、浦の星女学院 屋上〜
ヒュウウウ…
善子「・・・・・・・・・」
善子(ヨハネは、生まれついての不幸・・・・・・)
善子(それで、ヨハネだけじゃなく、周りのみんなまで不幸になるんじゃ・・・・・・いっそのこと・・・・・・)
ルビィ「よ、善子ちゃん!?」
花丸「そんなはじっこに立って、何してるずら!?」 善子「だからヨハネな」
ルビィ「よ、善子ちゃん、早まっちゃ駄目!!」
花丸「生きてればいいことあるずら!!」
善子「・・・・・・・・・」
善子「いいことなんて、なんにもないわよ」
善子「最近、思うの。これだけ立て続けに、不幸なことばっかり起こって。昨日なんて、隕石まで落ちてきたし」
善子「しかも、ヨハネだけじゃなく、周りの皆まで不幸にするくらいなら」
善子「だったら私なんて、いっそのこと・・・・・・」
ルビィ「なに言ってるのぉ!?」
花丸「死んだらなんにもならないずら!!」
善子「・・・・・・・・・」
スタッ
善子「・・・・・・自殺なんか、しないわよ」
善子「だって、死にたくても死ねないもの」
花丸「え・・・・・・?」
ルビィ「どうゆうこと?」 善子「私ね・・・・・・中学の時、今よりもっと堕天使に身も心も近づいていた時」
ルビィ(厨二病のこじらせ度がMAXだった頃だ)
善子「自分の不幸体質に心底嫌気がさして・・・・・・自ら、死の淵へ飛び込んで、真の堕天使になろうとしたことがあったの」
花丸「ええっ!?」
ルビィ「自殺未遂!? こじらせすぎだよ!!」
善子「だけど・・・・・・死ねなかった」
善子「屋上から飛び降りてみても、絶対木の枝に引っかかるし。海に入ってみても、絶対漁船とか通りかかって網に引っかかるし」
善子「その時、思ったの。“死にたい”って願いすら叶わないほど、私は不幸なんだって」
善子「不幸を抱えたまま生き続けなきゃいけないほど、ついてないんだって・・・・・・」 花丸「善子ちゃん・・・・・・! それは、不幸なんかじゃない」
花丸「きっとお釈迦様が、善子ちゃんのことを救ってくれたんずら!」ナムー
ルビィ「そ、そうだよ! お釈迦様か、神様かは、わからないけど・・・・・・!」
ルビィ「せっかくの命、大切にしなきゃ!」
善子「何言ってるのよ。神様なんて、私を不幸にするばかりで、全然守ってなんてくれない」
善子「生きてたって、いいことなんてひとつも・・・・・・!!」
ルビィ「――そんなことない!!」 ルビィ「そんなことないもん!!」
善子「る、ルビィ?」
ルビィ「だってルビィは、善子ちゃんとお友達になれて良かったって思ってるもん!」
ルビィ「善子ちゃんがいなくなっちゃったら、悲しいもん!!」
善子「・・・・・・!!」
花丸「ルビィちゃんの言うとおりずら」
花丸「少なくともマルたちは、善子ちゃんに会えて良かったって思ってる」
花丸「善子ちゃんにとって、マルたちとの出会いも・・・・・・Aqoursに入ったことも、不幸なの?」
善子「そ、それは・・・・・・」 花丸「ちょっとくらい不幸が続いたとしても、気にすることなんてない」
花丸「不幸がある分、幸福だってあるはずずら」
花丸「それに――不幸体質だって、善子ちゃんにとっての個性」
花丸「人間は、みんな意味があって生まれてくる」
花丸「もしかしたら、そんな不幸体質を持って生まれてきたことにも、意味があるかもしれないずら」
善子「―――」
善子「・・・・・・何よ、それ」クスッ
善子「それに私は、善子じゃなくてヨハネ――」
ヒュゴオオッ
カッ
ドコオオオオオン!! 花丸「!?!?」
ルビィ「ピギャアアアア!?」
善子「なっ・・・・・・!?」
ズズズズ…
善子(地響きが、校舎を揺らす)
善子(見ると、近くの山の山頂付近が削られて、大量の煙が・・・・・・)
善子(なに・・・・・・!? 空から、何かが、降ってきた・・・・・・!?)
ルビィ「な、なんなの・・・・・・!? まさか・・・・・・」
花丸「隕石・・・・・・!?」
ウウウウウーッ
バタバタ
ダイヤ「――ルビィ!! 花丸さん、善子さんも!! 無事ですの!?」
ダイヤ「至急――理事長室に、集まるのですわ!!」 〜理事長室〜
善子(理事長室の机で、見たことのないくらい真剣な面持ちの、鞠莉)
善子(それを取り囲むように集まった、私たち、Aqoursのメンバー・・・・・・)
千歌「い・・・・・・一体、何が起こってるの!?」
曜「さっきの、山に降ってきたアレは!?」
鞠莉「・・・・・・説明するより、まずは見た方が早いわ」
ポチッ
善子(そう言って鞠莉が、理事長室のTVの電源を入れると――) 『――引き続き、臨時ニュースをお伝えします!』
『先程、政府、アメリカのNASA、宇宙開発財団が連名で発表したところによると――』
『巨大隕石が、地球に落下することが確実とのことです!!』
『落下予測地点は、日本の静岡県付近!!』
『落下予測時間は、明日正午頃!!』
『落下予測地点周辺は、未曾有の被害となることが予想されます!!』
『関東甲信越地方、東海地方にお住まいの方は、なるべく遠くに避難を――』
『繰り返します。巨大隕石が、地球に――』
シ……ン
千歌「・・・・・・・・・」
梨子「・・・・・・・・・」
曜「・・・・・・・・・は?」 千歌「な・・・・・・に? これ・・・・・・」
曜「映画、だよね・・・・・・? こんな・・・・・・」
梨子「巨大隕石が、地球に、なんて・・・・・・!」
ダイヤ「・・・・・・残念ですが、事実ですわ」
果南「今や、日本中――いや、世界中がパニックだよ」
ルビィ「そんな・・・・・・!!」
鞠莉「・・・・・・・・・」
鞠莉「駿河湾が、今から約1億年前の隕石の衝突によって出来た地形、ということは知ってるわね?」
善子(いや、知らんけど) 鞠莉「かつてこの地に、隕石が落ちてきた」
鞠莉「そして、研究の結果、1億年周期で再び同じ場所に隕石が落ちる可能性が高いことがわかった」
花丸「それが、今回の、隕石・・・・・・!!」
果南「今から思えば、昨日の小さな隕石は、前触れだったんだろうね」
鞠莉「しかし、まさかこんなに早く来るなんて・・・・・・観測が遅れてしまったのが、悔やまれマース」
善子「ちょ、ちょっと待って。それじゃ、隕石が落ちてくる場所って・・・・・・!!」
鞠莉「――勿論」
鞠莉「ここ、内浦よ」 鞠莉「観測によると、ここに向かってくる隕石の大きさは、恐竜が絶滅した原因とされている小惑星を上回る、直径約30km」
千歌「ええっ!? じゃあ浦の星、廃校になっちゃうの!?」
曜「千歌ちゃん、廃校どころじゃないよ!!」
千歌「うちの旅館も壊れちゃう!?」
梨子「もっと大きなスケールで考えて!!」
鞠莉「・・・・・・日本列島は消滅――どころか」
鞠莉「世界が、終わるわ」
梨子「・・・・・・・・・」
曜「しかも・・・・・・落ちてくるのが、明日、って・・・・・・」
曜「・・・・・・終わった・・・・・・」 鞠莉「でも、私たちだって、何もしてこなかった訳じゃない」
鞠莉「いつかはやって来る隕石に備えて、我ら小原グループが中心になって結成した宇宙開発財団は、長年準備を進めてきたわ」
鞠莉「隕石災害を防ぐ――準備を」
ポチッ
ゴゴゴゴ…
善子「!?」
善子(鞠莉が、机に設置されたスイッチを押すと――どこからか、地響きが)
千歌「あ、みんな、あれ見て!!」
善子(見ると――窓の向こう、淡島が割れて、中からロケットの発射台みたいなものが・・・・・・!?)
善子「ななな、何よアレ!?」
千歌「すごーい、カッコイイ!! 地球防衛軍の秘密基地!?」
善子「なんであんたはそんな嬉しそうなのよ!!」 鞠莉「巨大隕石を防ぐ手段は、ただひとつ」
鞠莉「落下前に、至近距離まで近づいて攻撃、破壊するしかない」
曜「もしかしてあれが、その攻撃用ロケットの、発射基地・・・・・・!?」
果南「淡島の内部に、長年秘密裏に建設してきたの」
鞠莉「そして攻撃用ロケットの操縦は、限られた特殊な訓練を受けた人間にしか出来ない」
鞠莉「そこで、そのロケット操縦が出来る人間を養成するために、造られた学校が――」
梨子「ま・・・・・・まさか・・・・・・」
鞠莉「そう。浦の星女学院よ」
鞠莉「通常の授業カリキュラムと見せかけて、その実、ロケット操縦に必要な技術を身に付ける訓練を行っていたのよ」
千歌「だから、授業に『航空力学』やら『宇宙工学』やら『特殊機器操作』やら変なのがあったんだー!」
梨子「確かに、ちょっと変わってるなとは思ってたけど」
曜「全然気付かなかったよー」 鞠莉「生徒のみんなには秘密にしていて、申し訳ないと思ってるわ」
ダイヤ「この事実を知っているのは、鞠莉さんとわたくし、果南さんの3人のみ」
果南「そして、現状――ロケット操縦に十分な能力を持ってるのも、この3人だけ」
花丸「じゃあ、まさか――」
鞠莉「――イエス」
鞠莉「私、ダイヤ、果南の3名は――」
鞠莉「明朝、隕石を破壊するために、ロケットに乗って出撃するわ」 ルビィ「そんな・・・・・・お姉ちゃんたちが・・・・・・!!」ジワッ
ダキッ
ダイヤ「ルビィ・・・・・・!」
ルビィ「やだよ・・・・・・そんな、危ないこと・・・・・・! 行かないで、お姉ちゃん・・・・・・!」グスッ
ルビィ「だって・・・・・・もしかしたら、死んじゃうかも、しれないのに・・・・・・!!」
ダイヤ「」クスッ
ダイヤ「大丈夫ですわ、ルビィ。わたくしは、死にません」ナデ…
千歌「か、果南ちゃんに鞠莉ちゃん! みんな、大丈夫だよね!?」
千歌「死んじゃったり、しないよね!?」
鞠莉「オフコース! モッチロン♪」
果南「むざむざ、死ぬつもりなんてないよ。私が丈夫なの、知ってるでしょ?」
千歌「約束だよ! これからも、この9人でスクールアイドル、やるんだから!!」
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