穂乃果「海未ちゃんも昔は可愛かったんだよね〜」
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真姫「“昔は”って……海未が聞いたら怒るわよ」
絵里「今は可愛くないわけ?」
穂乃果「もちろん今も可愛いけどさぁー、ちっちゃい頃は、ほら、海未ちゃん人見知りで恥ずかしがり屋だから、『ほのかちゃぁん、ほのかちゃぁん』ってずーっと後ろからついてきて、ああ、あの頃の海未ちゃん返してえぇ」
絵里「高校の時はもうそんな感じではなかったわね」
真姫「時の流れは残酷ね」
絵里「真姫もどうしてこんなに捻くれちゃったのかしら」
真姫「うるさいわね、昔からこうだったわよ」
穂乃果「捻くれてる自覚はあったんだ」
真姫「捻くれてませんケド? 別に今も捻くれてないし」 絵里「それはないわ」
真姫「それこそないわ。もう2人はね、独特なのよ、高校のときから」
穂乃果「そんなに前から?」
真姫「そうね、普通の人とはあなた達違うの」
穂乃果「いやいやいや、そんなことないよ、私なんてその辺にいっぱい歩いてるもん」
絵里「穂乃果がいっぱい……?」
真姫「もしそうだったら日本が滅びるわよ」
穂乃果「ちょちょちょ、なんか意味おかしくない?」
真姫「別に変な意味じゃなくて」
穂乃果「そうなの? え、まあ、いや確かに絵里ちゃんはオンリーワンだったけど」
絵里「私こそその辺にいっぱいいるわよ」
穂乃果「な訳ないじゃん。絵里ちゃんなんか遠くにいてもわかるもん。あれ絵里ちゃんかな? と思ったらだいたい絵里ちゃんだよ」
絵里「髪色でしか判断してないでしょ、イギリス人の私とかフランス人の私とかよそれ。別人なのよ」
穂乃果「いやもう、絵里ちゃんすぐわかるよ。ハチ公前、109、絵里ちゃんとこ、みたいな括りだもん。わかりやすさが」
絵里「あなた適当なことしか言わないわね」 穂乃果「違う違う、私大真面目だよ」
真姫「待ち合わせ場所なら穂乃果前も十分使えるわよ」
穂乃果「私なんか一般人だよ、誰からも気づかれないよ」
絵里「一般じゃないのは一般人とは言わないのよ」
穂乃果「ひどくない? そんな言い方する?」
真姫「リーダーだから一般とは程遠いの」
絵里「そうよリーダー」
穂乃果「都合のいい時だけリーダー呼ばわりするよね?」
真姫「穂乃果は永遠に私達のリーダーよ」
絵里「そうよリーダー、私を導いて」 穂乃果「納得いかないなぁ」
真姫「少なくともね、普通を自称するならスクールアイドルで廃校を救おうなんて思いつかないのよ」
穂乃果「え……まあ、いや……そうなのかな」
真姫「二人とも異彩を放ちすぎてるのよね。マイノリティだって聞いても私別に驚かなかったもの」
絵里「真姫は私達を褒めたいの? 貶したいの?」
真姫「別にどっちでもないわ。ただ二人ともかなり特殊……っていうか独特なのよ。その他大勢の中には絶対に埋もれないわよ」
穂乃果「真姫ちゃんも大概だよねぇ」
絵里「そうよね」
真姫「断言するけどあなた達程ではないわ」
穂乃果「……」
絵里「……」 真姫「わかった?」
穂乃果「まあ……断言までされちゃったらね」
絵里「ええ……つまり、私が穂乃果に対して持ってるようなイメージを私自身にも持たれてるってことよね」
真姫「そういうことね」
穂乃果「え、何? 私のことどう思ってんのそれ」
絵里「いや、凄い人だなぁって。別に変な意味ではなくて」
穂乃果「なんかぼやかしてるよね? ね?」
絵里「違うわよ。私これ本気で思ってるから」
穂乃果「ほんと? 嘘ついてない?」
絵里「本当よ、本当。愛してるわ」
穂乃果「え? あ、私も。聞こうと思ったのに先言われちゃったよ」 真姫「なんなのよそれ」
絵里「やっぱり愛が地球を救うのよ」
穂乃果「かなぁ? あ、私次カシオレにしよ」
真姫「何かわい子ぶってるのよ」
穂乃果「ぶってないよ。そんなこと言う?」
絵里「焼酎にしなさい」
穂乃果「何で絵里ちゃん決めるの?」
絵里「2人して可愛いカクテルで私だけ日本酒なんて、一人だけ酒豪みたいに思われるじゃない」
穂乃果「思われなよ」
真姫「実際そうでしょ」
絵里「そんな事言わないでよほのか〜」 穂乃果「ええ〜? じゃあウーロンハイとか?」
絵里「それがいいわ」
穂乃果「真姫ちゃんは……残ってるね。絵里ちゃんはそれおかわりでいいの?」
絵里「私ハイボール」
穂乃果「はいはい」
絵里「濃いめでね」
穂乃果「自分で言いなよそれ」
絵里「ねえリ〜ダ〜」
穂乃果「ほんと、都合のいい時だけさぁ……まあ良いけど」
真姫「さすがよリーダー」
絵里「スパシーバ」
穂乃果「あいあい。すいませーん!」 絵里「じゃあさ真姫、同性じゃなくても、医学部って男子の方が多そうだけどそういうのないの?」
真姫「まあ実際医者って男社会よね」
穂乃果「もうお医者さん選び放題じゃーん」
真姫「でも私、本気でそんな暇ないのよ」
穂乃果「そんなに忙しい?」
絵里「なんだか聞いた感じ、常にテストの勉強してるわよね」
穂乃果「まとめてやればいいのに〜」
真姫「そうしてほしいわよ、私も」
穂乃果「あの分厚い教科書? 全部覚えるんでしょ?」
真姫「全部じゃないけど、まあだいたいね」
絵里「やっぱりお医者さんって凄いわね」
穂乃果「でも今は余裕がないからできないだけだよね。余裕ができればすぐできるってことだよね」
真姫「まあね。作れないんじゃなくて、作らないだけだから」
絵里「言うわね」 穂乃果「だって真姫ちゃんだし」
絵里「確かに」
真姫「そうね」
穂乃果「そうねって。真姫ちゃんってさ〜、恋したらどんな感じになるのかな」
絵里「私ね、極端だと思うのよ。『恋愛? やっぱり面倒ね』とか言って今と全然変わらないか、もうあり得ないくらいベッタベタに惚れるかどっちかよ」
真姫「私もそんな気がする……」
穂乃果「ぽいよね、真姫ちゃんに中途半端はないよ。もう貢ぐか貢がせるかの勢いだね」
真姫「何言ってるのよ、そこまでではないわよ」
絵里「いやそうよ、セックスもサッとやってサッと終わるかねっとり一晩中やるかのどっちかね」
真姫「そう?」
穂乃果「そうだねー! どっちかだよ、どっちだろうなぁ」
絵里「真姫どっちなの? 早く教えて?」
真姫「私だってわかんないわよ、実際そうなってみないと」
穂乃果「彼女でも彼氏でもいいけどできたら早く教えてね」
真姫「まあ近いうちにね」 真姫ちゃんは高嶺のフラワーだからね
>>116
読んできた、笑わせて貰ったわ 絵里「話変わるけど穂乃果は何て言ってるの?」
穂乃果「何を?」
絵里「海未との関係を」
穂乃果「あー、その話?」
真姫「っていうか穂乃果が最初に言い出したんじゃない?」
穂乃果「そっか、そうだっけ。いや、私もはっきりとは言ってないんだけど、付き合ってる人がいるとは言ってるんだよね」
絵里「それはバレてるわね」
穂乃果「バレてないよ」
真姫「皆気を使ってるのよ」
穂乃果「ええ? そうなの? まあ私下ネタとかわかんないときあるからね、おかげで凄い清純派みたいなキャラになってる」
真姫「女子校育ちの」
穂乃果「そうそう」 絵里「アイドルだからイメージは壊しちゃダメよ」
穂乃果「もう一般人だけどね。あ、私一般じゃないのか」
真姫「永遠のリーダーだもの」
絵里「穂乃果は濃いのよ、きっとアメリカとか向いてると思うわ」
穂乃果「向いてるの私?」
真姫「そもそもアメリカに向き不向きがあるの?」
絵里「あるのよ。希が言ってたんだけどね、向いてる人と向いてない人がいるんだって。向いてないのはほら、せっかく留学とか行っても日本人どうしでコミュニティー作っちゃって、現地であんまり友達作らない様な人」
穂乃果「え、それもったいないよ〜」
絵里「でしょ? 穂乃果はそう思うタイプでしょ? あと受け身な人もダメだってね」
真姫「穂乃果は主体性の塊よね」
穂乃果「え? え? そうかな」
絵里「主体性が服着て歩いてるようなものよ」 穂乃果「そう? そうなのかな? え、なんか私全然一般じゃないじゃん」
真姫「だからそうなのよ」
穂乃果「実はアメリカ人なのかもしれないね」
絵里「やっぱり向いてると思うわ」
穂乃果「そっかー、じゃあ私も留学行けばよかったかも。あ、それでさっきの話だけど海未ちゃんの家にはちょっと気づかれてるかもしれないんだよね」
真姫「付き合ってますってこと?」
穂乃果「それ」
絵里「そっちにも言ってないのね」
穂乃果「うちに言ってないのに先に海未ちゃんとこに言わないよ〜、海未ちゃんも言ってないと思う」
真姫「でもだいぶグレーだと思うわよ」
穂乃果「海未ちゃんしょっちゅううち来てるからね」
絵里「けど何も言われてないんでしょ?」
穂乃果「まだね、まだグレーだから。でもかなり怪しまれてるんじゃないかなぁ」
真姫「もう穂乃果と海未の今までの関係考えたら、言っても大丈夫じゃない?」
穂乃果「大丈夫? でも万が一、万が一ね、何かあったらさ……海未ちゃん家継ぐだろうし」
絵里「ん〜、難しいわね」 穂乃果「あ、それで今日の本題だよ」
真姫「今更本題?」
穂乃果「や、だってさ、さっきから二人して変な方向に話進めるんだもん」
真姫「穂乃果だって加担してたじゃないの」
穂乃果「私のせいにしないでよー」
絵里「それで、本題って?」
穂乃果「いや、まあさ……そろそろはっきりさせた方が良いのかなって思うんだよね。絵里ちゃんて希ちゃんとこれから先どうする?」
絵里「別にどうもしないけど」
穂乃果「けどもう3年とか4年付き合ってるわけじゃん? で、今一緒に住んでるわけだし」
真姫「まさか、結婚?」
穂乃果「まあ、そういうことだよね」
絵里「でも実際問題、私達結婚できないのよ」
穂乃果「そうだけどさ、私の周りでもそんくらい付き合ってね、大学卒業ってなって就職も決まったらその先の話が出てくるんだよね」
真姫「絵里なんかまさに4月から社会人よね」
穂乃果「だからさ、こう……いつまでもダラダラ付き合ってていいのかなって」 絵里「結婚……とは言わなくても将来のことを見据えたとき、これから先どうしたらいいかってことかしら」
穂乃果「そういうこと、かなぁ」
真姫「難しいこと考えてるのね……」
穂乃果「そりゃ私だって多少は考えるよ、就活もあるし。海未ちゃん子供欲しいって言ってるんだよね」
絵里「それ、希も言ってるのよ」
真姫「最近は人工受精とか体外受精とかあるし、大丈夫よ。日本でも何件か例があったと思う」
穂乃果「けどねぇ……」
絵里「ちょっとまだ想像できないわね、簡単なことじゃないし、まだ働いてもいないわけだし」
真姫「今すぐじゃなくてもそういう手段もあるってことよ、覚えておいて損はないと思うけど。同性婚自体もフランスとかならできるらしいし」
穂乃果「でもそのために海未ちゃん連れだす?」
絵里「永住権取らないとダメだものね。結局日本じゃ意味ないし」
穂乃果「そうなんだよ、海未ちゃんはやっぱり家がね、あるから」 絵里「でもね、私は別にしばらくこのままでもいいかなって思ってるのよ」
穂乃果「それはやっぱり良くないんじゃない?」
絵里「そう? 別に同棲したから特に何か変わったってわけじゃないし、仮に籍入れられたとしてもそうだと思うのよ」
真姫「婚期逃す女のセリフね」
絵里「お一人様に言われたくないわよ」
穂乃果「むしろ結婚引き伸ばすオトコのセリフだよね」
絵里「ええ……」
真姫「まあ海未が勘当されたらフランスでもアメリカでも愛の高飛びよ」
穂乃果「や、まずいってそれは。なるべく穏便に済ませないと」
絵里「でも将来的に考えたらいつかカミングアウトは必要で、それこそ子供ができたら両親の手を借りないわけにはいかないわよね」
真姫「そうしたら説得するしかないわね」
穂乃果「将来かぁ……」
絵里「将来ね」
真姫「難しいわね」 穂乃果「私最近思うんだけど」
真姫「何を?」
穂乃果「もしかしたら海未ちゃんの相手、私じゃない方がいいのかも」
絵里「ちょっと……! どうしたのリーダー」
穂乃果「だって、普通に子供なんてできないし、最近愛とか恋とかよくわかんなくなっちゃったんだよね……」
真姫「あんなにラブラブだったじゃない」
穂乃果「そうかな……絵里ちゃんとことはさ、好きの意味が違うのかもしれないなって……」
絵里「違わないわよ。好きだと思ったから告白して、付き合ってるんでしょう?」
穂乃果「そうだけど、あの時は好きっていうかね……なんだろう。離れたくなくて、ずっと一緒にいたいと思って」
絵里「それよ! そういうことよ!」
穂乃果「かなぁ……?」
絵里「難しいこと考えなくても、この人と一緒にいたいと思ったのならそれでいいじゃない」
穂乃果「うーん……でもさ、私も海未ちゃんも、別に男の人とかと付き合ったことないからわかんないよ。私が思ってるのは愛情とかじゃなくて、幼馴染とか友情の延長線上だったら……?」 絵里「じゃあ……ほら、ついさっき海未の誕生日だったじゃない?」
穂乃果「うん……まあ」
絵里「プレゼント渡したでしょ? 喜んでくれたでしょ?」
穂乃果「多分……」
絵里「喜んでくれたのよね? なら海未の笑顔見てどう思った? この人の笑顔の為ならまた明日も、いやもう1週間くらい、あーもう、いっそあと1年くらい頑張れる気がするでしょ?」
穂乃果「……多分」
真姫「まどろっこしいわね。じゃあもう海未が知らない男と手を繋いで歩いてたらどう思うのよ」
穂乃果「……」
絵里「ちょっと、それはまずいわよ」
真姫「愛なんてつまり独占欲よ。そうじゃないの?」
穂乃果「わかんない……」 真姫「いっそのこと『穂乃果。私、別に好きな人ができてしまいました』、なんて言われたら?」
穂乃果「そうなったら……それはそれで……別れた方が、グスッ、海未ちゃんのためかも……」
絵里「あぁ、ほら……泣かない泣かない」
穂乃果「泣いてないよ……グスッ……」
絵里「……真姫?」
真姫「いや……ごめんなさい。これ、ハンカチ」
穂乃果「泣いてないもん……ありがと」
絵里「……」
真姫「……」
絵里「あー……」
穂乃果「ごめん、ちょっとお手洗い」
真姫「…………」
絵里「…………」 これが本題が……酔っててもなかなか切り出せないのも納得 相談相手がえりまきなのが、本気で悩んでいるぽくて良いね >>136
もうちょっとというのは1000までという解釈でよろしいか 真姫「……ごめん」
絵里「私じゃなくて穂乃果に言いなさい。ね?」
真姫「ええ……デリカシーが足りなかったわ……」
絵里「そういうとこあるわよ、真姫」
真姫「反省してる……」
絵里「倦怠期ってやつかしらね」
真姫「酸いも甘いも乗り越えてると思ってたけど、外野にはわからないものね」
絵里「とりあえず穂乃果が帰ってきたらフォローいれなさい」
真姫「フリが雑過ぎるわよ……」
絵里「いいから」
真姫「まあ……最大限努力する」
絵里「何か楽しい話とかないの?」
真姫「突然言われてもね……」 絵里「いいからひねり出すのよ」
真姫「じゃあ私、最近ペット飼いたいの」
絵里「いいじゃない。ちなみに何飼いたいの?」
真姫「鳥」
絵里「鳥?」
真姫「そう」
絵里「犬とか猫じゃなくて?」
真姫「間を取って」
絵里「犬と猫の間を取ったら鳥になる?」
真姫「なるのよ」
絵里「そういうものかしら……?」
穂乃果「ごめん、お待たせ」
真姫「あー……穂乃果」
穂乃果「ん?」 真姫「さっきのは……ごめんなさい、例えが悪かったわ……先のことを考えたら不安にもなるわよね。私は想像しかできないけれど……」
穂乃果「いいよ、別に気にしてないから」
真姫「あれ?」
絵里「無理しないでもいいのよ、何でも聞くから」
穂乃果「無理なんてしてないよ〜」
絵里「本当に? カシオレも頼んでいいのよ?」
穂乃果「今更? あれは意味がわかんないよ、もうそういう気分じゃなくなっちゃったし」
真姫「深く謝罪申し上げるわ」
穂乃果「なんなの? カシオレ頼んだら、猫被ってるって言われてさ、こないだはカルーア頼んだらコーヒー牛乳でしょって引っ叩かれるしさぁ」
絵里「ごめん。ごめんなさいって、でも引っ叩いてはないから」
穂乃果「言葉の暴力がすごいんだよ、パツキンとお医者さんに囲まれて両サイドから虐められる私の気持ち考えてほしいよ。希ちゃんに言いつけてやるもん」
真姫「でも希と絵里が揃ったら余計質悪いわよ」
穂乃果「そうだった……私の周り敵しかいないじゃん」 絵里「そんなこと、そんなことないわよ。私も真姫もいつだってあなたの味方だから」
真姫「あと希も」
穂乃果「ほんと?」
絵里「本当」
穂乃果「愛してる?」
絵里「愛してる」
真姫「右に同じ」
穂乃果「いや……うんよくわかんないけど。まあまさか私もあれで涙が出るなんてね。……いや別に泣いてないけど」
絵里「私ずっと目瞑ってたから何も知らないわ」
真姫「私耳も塞いでたから、大丈夫」
穂乃果「それはどうなの? あ、でもさっきね、泣いたって言ったらあれ思い出したの、1年目の誕生日の時」
真姫「……何があったっけ?」 穂乃果「手紙貰ったんだよね、海未ちゃんから。あれは泣きそうになったね。っていうか泣いた。ギャン泣きしたもん」
絵里「ギャン泣きって」
穂乃果「私、危うくスルメになるとこだったんだよ」
絵里「元がイカじゃないからスルメにはならないわ」
穂乃果「あ、そう? まああの時のこと思い出したらまたトイレで泣きそうになってさ。……うん、やっぱり私、海未ちゃんのこと好きなんだね」
真姫「強いわ、リーダー」
穂乃果「伊達に何年もリーダー呼ばわりされてないよ。あ、でも真姫ちゃんの初体験の話は今度じっくり聞かせてもらうから」
真姫「ヴェェ……」
絵里「甘んじて受け入れましょう、真姫」
真姫「覚悟しておくわ……」
穂乃果「それでさ、絵里ちゃんのプロポーズ考えようよ」
絵里「え? 突然?」 穂乃果「よく考えたらさ、絵里ちゃん4月から社会人でしょ? でも希ちゃんまだ大学生じゃん? すれ違っちゃうよこれ」
絵里「まあ、確かに……研修でしばらく東京から離れるかもしれないのよね」
穂乃果「まずいじゃん! あれ? そしたら次いつ集まれる?」
絵里「少なくともお盆は帰って来られると思うけど」
穂乃果「じゃあまたそん時皆で集まろうよ。でも寂しくなるね〜」
真姫「絵里ももう社会人なのね、感慨深いわ」
穂乃果「なんだか似合わないよね」
絵里「何よ、家でゴロゴロしてる方が似合ってるって言いたいの?」
穂乃果「そういう意味じゃないよ、なんかこう、人の下で働いてるのが似合わないっていうかね」
真姫「顎で人をこき使ってるイメージなのよ」
絵里「私そんなイメージ?」
穂乃果「できる女社長みたいな。絵里ちゃん起業しよう、それがいいよ。ついでに私雇って」
絵里「穂乃果はまず就活して社会勉強してきなさい」 穂乃果「だってやりたいこととかよくわかんないし」
絵里「夢とかないの?」
穂乃果「夢ねえ……私ちっちゃい頃お花屋さんになりたいとか言ってたかな」
絵里「いいじゃないの。お花屋さん業界目指しましょ」
穂乃果「でもね、あの頃の女の子の夢ってだいたいお花屋さんかケーキ屋さんしかないんだよ」
真姫「確かに周りはそんな感じだったかもしれないわね」
穂乃果「でしょ? 花屋かパティシエの二択なの。あ、幼稚園の先生とかもあったね」
絵里「三択じゃない」
穂乃果「似たようなもんだよ、だいたい皆この辺になるんだって。なんか可愛くて女の子っぽいから。私にもあんな頃があったんだなぁ」
絵里「今だって充分可愛いわよ」
穂乃果「ごめん、私には海未ちゃんいるから」
絵里「私フラれたの?」
真姫「慰めてあげるわ」 穂乃果「真姫ちゃんはさ、夢ってなんだった?」
真姫「私? お医者さん」
穂乃果「そうだった……真姫ちゃんはそれだった……」
絵里「歌って踊れるお医者さんでしょ?」
真姫「踊りはしないわよ」
穂乃果「え、踊ろようよ、“ほ”T着てさ」
真姫「それだけはないわね」
穂乃果「ひっどい」
真姫「歌って弾けるお医者さんならまあね、弾きながら踊れはしないでしょ」
穂乃果「確かに……絵里ちゃんは今のとこで夢叶えられそうなの?」
絵里「子供の頃とは違うけどね、まあ一応」
穂乃果「そっかぁ……」
絵里「あ、でもね、これ誰にも言ってないんだけど、いつかカフェとか開いてみたいってちょっと思ってるの」
穂乃果「いいじゃん! 私そこで働く」 絵里「まだ思ってるだけよ」
穂乃果「大丈夫、それまで修行しておくから。ロシア料理も覚えておくよ、ほらアレとか、アレだよ」
真姫「全然わかんないわよ」
穂乃果「ダメだ私、記憶力がおばあちゃんだ……なんかさ、あるよね。ほら、ロシアン水餃子」
真姫「もしかして、ペリメニ?」
穂乃果「それだ! 真姫ちゃんよく覚えてるね」
絵里「あぁ……」
穂乃果「ロシア語難しいんだって。ペリの後にメニって続く感覚とか全然わかんない」
絵里「昔の人に言ってちょうだい」
穂乃果「私、二外でロシア語選ばなくてほんとよかった」
絵里「教えてあげたのに」
穂乃果「え、ハラショーしか教えてくれなさそう」
絵里「バカにしてるわよね」 穂乃果「してないしてない。むしろリスペクトしてるよ。絵里ちゃんあれだよね、何リンガルだっけ」
真姫「トリリンガルじゃない?」
穂乃果「それだ、トリだ」
絵里「英会話はちょっと怪しいけどね」
穂乃果「でもあれの点すっごい高いじゃん。そりゃ内定だってすぐ貰えるよねぇ……」
真姫「私もお医者さんになれなかったら絵里に雇ってもらおうかしら」
穂乃果「え、ダメだって、それは困るよ」
真姫「穂乃果は困らないでしょう」
穂乃果「困るんだって。私、友達がお医者さんになったんだよねって周りに言いたいんだから」
真姫「別に穂乃果のために医者になるわけじゃないのよ」
絵里「まあもし真姫を雇うならピアノ弾いてもらおうかしら」
穂乃果「いいねそれ、雰囲気いい感じ」
真姫「いや、私はレコード選ぶだけの係やるから」
穂乃果「社会を舐めてるね」 絵里「けれど大学生ってそんなものなのよ」
穂乃果「あー働きたくない……」
絵里「こらこら」
穂乃果「で、どうする絵里ちゃん東京いない間に希ちゃんに悪い虫がついたら」
絵里「ええ……?」
穂乃果「あり得ない話じゃないよね?」
真姫「まあ……」
絵里「それは……困るわ」
穂乃果「でしょ? 希ちゃんも可愛いんだからさ、今も誰かに言い寄られてるかもしれないよ?」
絵里「そんなのダメよ」
穂乃果「だからさ、指輪してればそういうのは寄ってこないと思うんだよね」
絵里「ゆ、指輪……」
真姫「頭抱え込んじゃったわよ?」
穂乃果「渡すしかないよもう」
絵里「でも一応ペアリングなら今もしてるし……」
穂乃果「足んないよ、両手両指全部つけるくらいじゃないと」
真姫「それはゴチャゴチャしすぎ」 穂乃果「あ、そっか。でも絵里ちゃんもこないだナンパされたんでしょ? 右手だったらファッションだと思う人いるんだって」
真姫「じゃあやっぱりこっちの指に?」
穂乃果「欲しくない?」
絵里「けどそれって婚約ってことでしょ……?」
穂乃果「絵里ちゃんとこが先やってくれないと私どうしたらいいかわかんないからさ」
絵里「焦らなくていいと思うけど……結婚自体は日本じゃあれなわけだし」
穂乃果「もしできるならそのつもりはあるってことで」
絵里「う〜ん……」
穂乃果「やっぱりね、どこかで区切りは必要なんじゃないかなぁ」
絵里「……まだ早いんじゃない?」
穂乃果「真姫ちゃん的にはどう? 早い?」
真姫「絵里って今22よね」
絵里「ええ」 真姫「私はあとそこから2年学生で、卒業したらしたで研修医なのよね。しばらく落ち着かないだろうから全然先の話に聞こえるわ」
穂乃果「真姫ちゃんは特殊だったかぁ……」
真姫「でも大事なのは希がどう考えてるかでしょ」
穂乃果「んー、まあ結局そこだよね」
絵里「そういう具体的な話はまだしてないわよ」
穂乃果「誰かにそれとなく聞いてもらおっか」
真姫「凛とか?」
穂乃果「また山登るって言ってたから丁度いいかもね」
真姫「じゃあ海未にも一緒にね」
穂乃果「うぇ、ちょっと怖いかも」
真姫「大丈夫よリーダー、弱気にならないで」
穂乃果「海未ちゃんもどう考えてるかわかんないからなぁ……その辺お互い避けてた気がする……」
真姫「私に付いてきなさいってズバッと言ってやりなさいよ」
絵里「隨分簡単に言ってくれるわね……」 真姫「もしかしてまだ遊びたいとか?」
絵里「人聞きの悪いこと言わないで」
穂乃果「段々遊べる歳じゃなくなってくるよ?」
絵里「歳の話もやめなさい。だいたいそれは穂乃果もでしょ」
穂乃果「私はこれでも一途だからいいんだよ」
絵里「そうだ、十何年越しの恋だったわね……」
穂乃果「そう聞くと私凄いね」
真姫「先に穂乃果がやったら?」
穂乃果「ええ?」
絵里「海未ならOKしてくれるわよ」
穂乃果「かな? 適当なこと言わないでよ?」
絵里「今まで散々自分が適当なこと言ってきたじゃないの」 穂乃果「お願いだからここは真面目にやってよ」
真姫「海未に断る理由がないと思うわよ」
穂乃果「ほんと? 本気で言ってる? 大丈夫?」
絵里「心配事と言ったら結局日本での結婚をどう定義するかじゃない? あとはそれこそ……こう、アレとか」
穂乃果「何? 言ってよ」
絵里「いいの? ……ほら、他に気になる人がいますとか……」
穂乃果「そうだったら首絞めようかなぁ」
真姫「嘘か本気かわからないからやめて」
穂乃果「冗談だよ。半分くらい」
真姫「半分……?」
絵里「半殺し?」
穂乃果「なんか許しちゃう気がするんだよねぇ……今更嫌いになんかなれないし。そうだ、こっちも浮気は死刑ってことにしようかな」
真姫「誰かが突然死んだらそういうことだと思っていいのね」 絵里「私は長生きするわよ?」
穂乃果「して欲しいよ」
真姫「まあ大丈夫よ、海未に限ってそれはないと思う」
穂乃果「だよね……? 実際そうなったら私ほんとなにもできない気がするし」
絵里「海未の浮気に対するスタンスってどうなの?」
穂乃果「海未ちゃん? 多分泣いたりはしないんだよね。しばらく実家に引きこもってそのうち別れましょうって文書で送られてくるよ」
絵里「一方通告なのね……」
穂乃果「あ、でもその前にことりちゃんに刺されるかもしんない」
真姫「ここでことり」
穂乃果「ここでことりちゃんだよ」
絵里「誰よりも応援してるものね」
穂乃果「けど勝手に結婚式と新婚旅行のプランまで建てるのはやり過ぎだと思うんだ私」
真姫「そこまで進んだの?」
穂乃果「行くなんてまだ一言も言ってないんだよ……」 絵里「いいじゃないの、そういう記念は大切よ。どこに行くの?」
穂乃果「いや、決めてないけど」
絵里「ことりの中では決まってるんでしょう?」
穂乃果「まあ……ことりちゃんの予定ではね? あくまでことりちゃんの頭の中ではね? エーゲ海かカスピ海か地中海ってことになってる」
真姫「海未だけに?」
穂乃果「多分そう……」
絵里「いいわねそれ」
穂乃果「良くないよ〜……」
絵里「だって浜辺で寄り添いながらこう、2人で語らうわけでしょ?」
真姫「ビーチを眺めながらね」
絵里「そうよ、『穂乃果、綺麗な海ですね』なんて言って。そしたら穂乃果はこう、『そうだね、でも海未ちゃんの方がもっと綺麗だよ』ってね」
穂乃果「い〜わないよそんなの!」
絵里「言いなさいよ、言わないと日本に帰ってこられないわ」
穂乃果「そりゃLOVE星人なら真顔で言えるかもしれないけどさ」 絵里「じゃあ言ってくれないと私が星に帰れないの」
穂乃果「いいよ、地球に骨うずめなよ……」
絵里「真姫はアリでしょ?」
真姫「ベタ過ぎない?」
絵里「そう? いいと思うけど……」
穂乃果「そういうので喜んでくれるのは希ちゃんの優しさだよ。プロポーズもその感じでいくの?」
絵里「そこに戻る?」
穂乃果「今思い出した。真姫ちゃん的にはどういうのがいい?」
真姫「私?」
穂乃果「一番希ちゃんに感覚近いから」
真姫「そうね、私回りくどいのは嫌」
穂乃果「ほら、真姫ちゃんもそう言ってる」 絵里「じゃあ真姫はどういうのならいいのよ」
穂乃果「もうシンプルにズバッと?」
真姫「結婚しようの一言でいいんじゃない?」
絵里「いいんじゃない? って」
穂乃果「シチュエーションは?」
真姫「シチュエーション?」
穂乃果「ほら、夜景の見えるレストランでー、とか」
真姫「私、そういうのはいい」
穂乃果「あ、そう? そこもシンプルかと思った」
真姫「普段からそういう所に行ってるならいいかもしれないけど、背伸びして突然そんなとこ行ってもね。何かあると思って身構えるわよ」
穂乃果「なるほどね〜、確かにそうかもしんない」 絵里「じゃあ日常の感じで?」
真姫「そうね、それでいて私の予想を超えてきてほしい」
穂乃果「うわ、これ真姫ちゃんと付き合う人大変だ」
絵里「お医者さんの予想はなかなか超えられないわよ。だいたい全部想定内でしょ」
真姫「そこは頑張って不意を突いてよ」
穂乃果「じゃあサプライズみたいなやつ?」
真姫「……周りを巻き込まないのならいいかも」
穂乃果「お、これだよ絵里ちゃん」
絵里「でも希ってそういうサプライズとかいらないって言ってるのよ」
穂乃果「真姫ちゃんダメじゃん」
真姫「私に言われてもね。希じゃないし」
穂乃果「あー、でも希ちゃんの言ってることわかるかも。私おんなじタイプだ」
絵里「予想外なのはいらない?」
穂乃果「だって人間完全にオフな時ってあるでしょ? そういう時にドーン! と来られても私何も言えない気がするんだよね」 4月ならあと1年あるじゃん
3人ともノリが良くて、でも真面目な話もして面白いわ 昨夜はお楽しみでしたね
してからの朝に朝食用意してプロポーズかな スクフェスに、可愛かった頃の海未ちゃん達が出てきて吹いた 絵里「それは、そういう素の反応が見たいからやるんじゃないの?」
穂乃果「やだよ〜、もしそれでさ、対してビックリできなかったり泣けなかったりしたらどうすんの? 私申し訳ないよ」
真姫「意外ね、穂乃果って派手なの好きそうなのに」
穂乃果「いやいやいや、私なんて地味に生きていければそれでいいんですよ」
真姫「ウソつきなさいよ」
絵里「結婚式はドーンと派手にやるんでしょ?」
穂乃果「やる予定ないよ」
真姫「海未としないの?」
穂乃果「もしね、海未ちゃんじゃなくても結婚するってなったら私、式とかいらないと思ってるんだよね」
絵里「一生に一度っきりなのに?」
真姫「理想はね」 穂乃果「だってお金かかるしさ」
絵里「堅実な考え方するわね……」
穂乃果「私これでも商売人の娘だよ?」
真姫「でもやるって言ってたわよね」
穂乃果「ことりちゃんの中ではね?」
絵里「やってよ、ご飯食べにいくから」
穂乃果「何しに来るの? ことりちゃんプランだとLove wing bellやってもらうことになるんだからね?」
絵里「穂乃果と海未のためならねぇ」
真姫「一肌脱ぐのもやむなしよ」
穂乃果「何でノリノリなの……? やんなくてもいいよ……ご祝儀だけちょうだい」 絵里「それはダメよ、2人のドレス姿見ないと」
真姫「死んでも死にきれないわ」
穂乃果「じゃあ二人ともうちで何か買ってくれればいいよ。回り回ってそれが私の仕送りになるから」
真姫「それがこうやってこの場で消費されるわけでしょ?」
絵里「つまり今日は穂乃果の奢りね」
穂乃果「ええ!?」
真姫「ありがとう穂乃果」
穂乃果「おかしいおかしいおかしい」
絵里「だって穂乃果のお小遣いは私達のお金ってことでしょ」
真姫「穂乃果が全部払えば私達も払ったことになるじゃない」
穂乃果「そんなわけ……お医者さんとパツキンで結託するのはズルいよ」
絵里「すみませーん、ジントニックください」
真姫「マンゴージュースください」
穂乃果「ええ……?」 絵里「穂乃果に奢りのお酒はおいしいな〜」
穂乃果「そこはさ、公平に決めようよ。2対1はズルいよ。私泣くよ?」
真姫「まあロシアンジョークよ」
穂乃果「質悪いよね、これは絵里ちゃんプロポーズして詫びてよ」
絵里「穂乃果に?」
穂乃果「え、ごめんなさい」
絵里「またフられちゃったわ……」
真姫「骨は拾ってあげる」
穂乃果「いやいや、希ちゃんに決まってるじゃん」
絵里「もうその話はいいじゃない」
真姫「私さっき思ったんだけど」
穂乃果「何を?」
真姫「希がサプライズだめって言ってるの、穂乃果とは違う理由な気がするのよ」
穂乃果「そうなの?」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています