善子・ルビィ「誓いの指輪を貴女に」
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もし───
ルビィ「ねえよっちゃん」
善子「ん、なに?」
もしも、自分の大切なものが守れるとして─
ルビィ「ルビィとよっちゃんが会ってから、もう少しで十年になるんだよね」
善子「……ええ、そうね」
ルビィ「懐かしいなぁ…最初に会ったときはビックリしちゃったけど」
善子「そうかもね…あの時は、そう…私も驚いたわ」
たとえ、その代わりに…別の大切なものを失うことになったとしても
善子「……でもね、それでも私は貴女と一緒にいたいと思った」
善子「責任とかじゃなくて、ただ貴女のことが…何よりも大切だったから」
善子「それに……約束したしね」
ルビィ「……よっちゃん?」
善子「ねえ、ルビィ──」
善子「聞いてくれる? 貴女に応える…十年越しの私の告白を」
それでも、アナタは運命を変えたいですか? [ 私たちはやったんだ! ]
善子「私がスクールアイドルのAqoursとして、浦の星の生徒として…」
[ ラブライブで! ]
[ 優勝したんだ!! ]
善子「みんなと一緒に築き上げてきた、輝きだから」
ルビィ「!」
善子「ルビィ、見てよ…周りの人たちを」 善子「…この世界には何もなかった、自分にとって都合のいいものばかりで出来ていて」
善子「しかも誰もがそのことに対して何とも思っていない、それはそうよね、私が創った人形だもの」
善子「けど……今は違う」
善子「みんな、夢中になってる…今までの私たちを見て、何かを感じている」
善子「それは感激かもしれないし、もしかしたら同情かもしれない……だけど」
善子「全部、ここにはなかったものばかりよ」
善子「そしてもし…これを見てその感情が芽生えたっていうなら」
善子「それが……答えでしょ?」ポロポロ
ルビィ「……うん」 善子「本当…今更よね、最初から無くしてなんかいなかったのよ」
善子「大切なものはいつだって、私の中にあった」
善子「辛いことも、嬉しいことも、苦しいことも、楽しいことも……全部」
善子「私の大切な……もので…」
たとえ悲しい現実でも、それすら愛おしい思い出だから
善子「だから…やっぱり忘れることなんて、出来ないわよ」
善子「なかったことになんて、したくない……!」 善子「だから私は……」
善子「私は……っ…」
ルビィ「……善子ちゃん」ギュッ
善子「! …ルビィ」
ルビィ「ルビィは聞くよ、最後まで」
善子「……ええ」
善子「…私はこれからも…歩んでいきたい……作っていきたいの!」
善子「私の本当の居場所で! 大切な思い出を! みんなと!」 善子「もしまたこの先辛いことがあったとしても! 現実が立ちはだかっても!」
善子「それでも奇跡を、自分たちを信じて進んでいく! もう絶対に! 私は逃げない!」
善子「何かを失ったって、いつかは…いつかは1に変えてみせる!」
善子「だってそれが…私たちAqoursだから!!」
そうよね、ルビィ 善子「よく聞きなさい!これが私の最後の言葉よ!」
ほんの少しの間だけど、夢を見させてくれてありがとう。
善子「私は元の世界に帰るわ! だから…だからっ!!」
これからは私が、私たちが繋げていくから
善子「浦の星女学院は……っ…本日をもって!」
どうか見守っていてください。
善子「閉校する!!」
─さようなら。 今までありがとう。 第四話 ルビィからの手紙
─
善子「……消えた、全部」
善子「……そっか、ようやく終わったのね」
善子「やっと…」
ルビィ「…善子ちゃん」 善子「ルビィ、これでよかったのよね? …だって、私が選んだ答えは…」ダキッ
善子「間違ってない…もの……でも」
善子「ごめん、少しの間だけ……すぐに終わるから」
ルビィ「…うん、頑張ったね善子ちゃん…お疲れさま」ナデナデ
善子「…………ぅん……っ」 善子「─ルビィもういいわ、大丈夫……ありがと」
ルビィ「ん、わかった」パッ
善子「…それにしてもいつになったら帰れるのかしら」
善子「世界は全部消えて無くなったけどそれだけで、今いる場所は真っ白で何もないし」
ルビィ「うーん、帰るまで少し時間がかかってるだけじゃないかなぁ」
ルビィ「心配しなくてもちゃんと帰ることが出来るはずだよ」
ルビィ(だってルビィのお願いは……)
善子「そう? なら別にいいんだけど」 善子「…………じゃあ今のうちに言っておこうかしら」
ルビィ「?」
善子「ルビィ、ありがとう…今までずっと私の傍にいてくれて」
ルビィ「─!」
善子「貴女が来てくれなかったら、私は何も知らないまま自分の殻に閉じこもって一生を過ごしていた」
善子「貴女が支えてくれなかったら、きっと現実に耐えられずにまた逃げ出していた」
善子「この答えだって、自分一人だけじゃ出せなかったかもしれない」
善子「今私がここにいるのは…ルビィのおかげなの」
善子「だから、ありがとね」 ルビィ「そんな…ルビィは何もしてないよ、だって全部善子ちゃんが決めたことだもん」
善子「過程が大事なのよ、結果的にそうなったとしてもね…分かるでしょ?」
善子「ちゃんと素直に受け取っておきなさい」
ルビィ「…わかった、じゃあそうするね」
善子「フフッ…それでいいのよ」 善子「……あとね」
ルビィ「まだ何かあるの?」
善子「ええ、あともう一つだけいいかしら」
ルビィ「うん」
善子「ずっと言いたかったことがあるの、今まで言いたくても言えなかった言葉が…貴女に」
善子「ルビィ、私ね…あなたのことが好き」
ルビィ「っ!」 善子「どんくさくて、どこか抜けてて、泣き虫で、いつも自分に自信がなさそうで」
善子「でも、とても素直で真っ直ぐで…いつも誰かを想える強い人」
善子「そんな貴女が放っておけなくて、いつしか貴方のことをとても愛おしく感じていたの」
善子「ずっと傍にいたいって」
ルビィ「……」
善子「だからね、今ここにいるのがルビィで本当に良かったって思ってるの」
善子「もう自分が不幸だなんて言えないくらいにね」 善子「ねえルビィ、私は……って」
ルビィ「……」ポロポロ
善子「ちょ、ちょっと…どうして泣いてるのよ」
ルビィ「…ごめんね、うれしかったから…」グスッ
善子「え…? それって」
ルビィ「善子ちゃん、ルビィも善子ちゃんのことが好きだよ…だって」
ルビィ「好きな人じゃなかったら、ルビィはここまでしないもん」
善子「……あ…」 善子「…そう、そうよね」
ルビィ「クスッ、善子ちゃんってそういうところ鈍いよね」
善子「なっ…放っといてよもう」
ルビィ「えへへっ…ごめんなさい」
善子「でも…嬉しいわ」
ルビィ「うん、ルビィも」 善子「なら、さっきの続き…聞いてくれる?」ソッ
ルビィ「はい」ニコ
善子「ルビィ、私はこれからも貴女と一緒にいたい」
善子「ねえ、一緒にいてくれる? 私と」
ルビィ「もちろん、一緒だよずっと」
善子「……ありがとう」 サラサラ
ルビィ「! …そろそろ時間みたいだね」
善子「そっか、帰ったらまずは謝らなくちゃね」
善子「ママや、みんなに、ごめんなさいって」
ルビィ「そうだね、長い間待たせちゃったから」
善子「ええ……さあ帰りましょう」
善子「私たちの居場所へ」
ルビィ「うん、一緒にね」ギュッ ピカッ
善子「っ…! 眩しい……あの時と同じ…」
ルビィ「……」
スゥーッ…
ルビィ(! ……ああ、やっぱり)
ルビィ(そうなるよね…) ルビィ(でも…いいの、最初から分かってたことだから)
ルビィ(大丈夫、善子ちゃんの気持ちも聞けたし)
ルビィ(ルビィは何も後悔していないよ……それに)
ルビィ(信じているから…いつか……きっと……)
ルビィ(…ルビィを…………って……)
ルビィ(……だから…)
“またね”善子ちゃん。
善子「──ルビィ?」
フッ… ……
…
善子「………ん……」パチ
千歌「!! ………あ…」
善子「あれ…ここ……どこだっけ…」
曜「善子ちゃんっ…! 善子ちゃああああああん!!」ダキッ
千歌「よかった…善子ちゃん……本当に、よかったよ…っ…!」ポロポロ
善子「千歌さん…曜さん……それに…リリー?」
梨子「……おかえりなさい、心配したんだから」
善子(……そうか、私…帰ってこられたのね)
善子「……うん、ごめんなさい…」 ─
曜・千歌「……」スゥースゥー
善子「…二人とも寝ちゃったわね」
梨子「緊張の糸が切れたんでしょ、ここのところずっと睡眠不足だったもの…仕方ないわ」
善子「……そんなに」
梨子「言っておくけど私もだからね、善子ちゃん」フワァ
梨子「それに、貴女のお母さんだって……」
善子「……そう、よね」
「…全くずら、善子ちゃんは迷惑かけすぎだよ」
善子「! ……その声」 花丸「……」
善子「花丸…」
梨子「花丸ちゃん…」
花丸「ルビィちゃん、大丈夫そうだったから一回戻ってきたずら」
花丸「まだ眠ってるけど」
善子「! ルビィが…」
花丸「うん……だから今のうちに言っておくね」
善子「え…?」 花丸「……」フゥーッ
花丸「善子ちゃん、いい加減にしてよ」
善子「っ…!」
梨子「……」
花丸「勝手にマルたちの前からいなくなって、ずっと何の連絡もないし」
花丸「それにルビィちゃんまで巻き込んで、マルの心配増やしてばかりで……」
花丸「善子ちゃんは…みんなの気持ち……何も分かってない!」
花丸「……分かってないよ…っ…何も!!」グスッ 善子「花丸……ごめん」ダキッ
花丸「……うぅ……ずっ、と……心配して…たんだから…」
善子「……ええ、そうよね…」
善子「ありがとう、花丸」
花丸「善子ちゃん…っ…! うぅっ…わああああああああああん!!!」ポロポロ
……
… 花丸「……ぐすっ…それで、善子ちゃんこれからどうするの?」
善子「え?」
梨子「このまま千歌ちゃんのところで泊まるか、自分の家に帰るか…」
善子「あっ、ここって千歌さんの旅館だったのね」
梨子「皆で運んで連れてきたのよ、急に現れたからビックリしたけどね」
梨子「それで、ご両親はお仕事のこともあるし…目が覚めるまでは私たちに任せてくださいって千歌ちゃんが」
花丸「ルビィちゃんは黒澤家の人たちとマルが様子を見ていたんだ」
善子「…そうだったのね」 梨子「さてと、説明も終わったことだしさっきの話に戻るね」
梨子「もう結構いい時間だからここに泊まっていくのもありだとは思うけど……でもね」
梨子「私は帰った方がいいと思うわ、さっきも言ったけど善子ちゃんのご両親が一番心配してるはずだし」
花丸「マルも同じかな、早く帰って安心させてあげなきゃ駄目だと思う…」
善子「それは……そうかもしれないけど」 梨子「…何か気になることでもあるの?」
善子「ルビィ、まだ目が覚めていないんでしょ? 大丈夫かなって……」
花丸「それなら心配しなくても大丈夫ずら、マルがついてるから」
花丸「ルビィちゃんのお家の人にも許可はもらってるし」
梨子「善子ちゃんだって疲れてるでしょう? ルビィちゃんのことは私たちに任せて、ゆっくり休んだら?」
善子「……そこまで言うなら…分かったわ」
善子「ルビィのことお願いね、花丸」
花丸「もちろんずら」 善子「それじゃあ、また明日ね」
花丸「うん、また明日」
バタン
花丸「……行ったね」
梨子「そうね、お疲れ様花丸ちゃん」
花丸「ううん、そんなこと」 梨子「でも本当によかったわ…二人とも無事に帰ってくることが出来て」
花丸「……そうだね」
梨子「花丸ちゃん?」
花丸「……あっ、えっと…ルビィちゃん早く起きないかなあって」
梨子「そうね、目が覚めたのが善子ちゃんだけじゃ、まだ安心できないもの」
花丸「……うん」
花丸(ルビィちゃん…なんだろう、この不安……)
花丸(…………きっと気のせいだよね…?) ─そして翌日…
善子「……失礼します」バタン
善子「ふぅ、ようやく話が終わったわね」
善子「まあ一ヶ月ほど居なくなってたら、そりゃこうなりもするわよね」
善子「でも、今はそれよりも……早くあの子に会いに行かなくちゃ」
善子「待っててね、ルビィ…すぐ行くから」
……
… ─黒澤家、ルビィの部屋
バンッ!
千歌「花丸ちゃん! ルビィちゃんの目が覚めたって本当!?」
梨子「ちょっと千歌ちゃん落ち着いて、勢いつけ過ぎよ」
ルビィ「……あれ、梨子さんと曜さんと千歌さんだ」
ルビィ「こんにちは、学校から帰ってきたんですね」ニコッ
曜「よかった…! ルビィちゃんも無事だった…!!」
ルビィ「……無事? ああそっか、ルビィずっと眠っていたんだよね」
ルビィ「さっき花丸ちゃんに聞きました」
花丸「……」 梨子「そう、でも本当によかったわ…目が覚めて」
千歌「ルビィちゃん、具合とか悪くない? 大丈夫?」
ルビィ「うん平気だよ、ありがとう」
花丸「体調とかは特に問題ないって言われてたずら……ただ」
曜「花丸ちゃん?」
花丸「どうしてか分からないけど、ルビィちゃんはあの事件のこと…覚えていないみたいで」 梨子「事件って、二人が消えたときのこと?」
花丸「うん」
梨子「うーん…何かのショックで一時的に思い出せない、とかかしら?」
花丸「そこまでは分からないみたいだけど」
花丸(ただ、それよりも……なんだろう…どこも可笑しいところはないはずなのに)チラ 曜「そうだ! ルビィちゃん、これ差し入れで持ってきたんだ!」バッ
千歌「みかんだよ! たくさん食べて早く元気になってね!」
ルビィ「わぁ! ありがとうございます!」
梨子「ちょっと、どうして千歌ちゃんまで一緒に食べてるの!」
千歌「あはは…つい」
ルビィ「ルビィは気にしてないよ、みんなで食べよう?」
梨子「……まあルビィちゃんがそう言うなら」
花丸(どうして、今のルビィちゃんは変だって思っちゃうんだろう……) 曜「美味しいね!」
ルビィ「うん!」
花丸(……なんか、まるで……)
花丸(何かが一つだけすっぽりと抜け落ちてしまったような…そんな違和感が)
花丸「……」
梨子「花丸ちゃん、どうしたの? 昨日から何か考え込んでるみたいだけど」
花丸「梨子さん…」
花丸「……あの、実はマル…気になっていることが─」
バンッ 花丸「!」
善子「ごめん! 遅くなったわ!」ハァハァ
曜「善子ちゃん! やっと来た!」
善子「! ……あぁ……!」ジワ
ルビィ「?」
善子「ルビィ! よかった……っ! 目が覚めたのね! 私ずっと……」タッ
ルビィ「!?」ビク 善子「貴女のことが心配で…!」
ルビィ「……」サッ
善子「…………え?」
花丸「っ!?」
善子「ルビィ…? な、なんで……? ……なんで、避けるの…?」
ルビィ「……」ギュゥ
千歌「…ルビィちゃん? どうして花丸ちゃんの後ろに隠れたりなんか…」
ルビィ「…………あの」
ルビィ「あなた──誰ですか?」 ¶cリ ; ロ ;)| !!
まさかの…更新おつです! 善子「!」
曜「えっ……」
花丸「る、ルビィちゃん何言って……こんな時にそんな冗談笑えないよ…?」
ルビィ「?」キョトン
曜「ほ、本当に知らないの……? 嘘、だよね…ねえ?」
ルビィ「えっと……みんなはこの人のこと、知ってるの?」 梨子「……どうして」
千歌「そうだよ…こんなの可笑しいよ、だってルビィちゃん私たちのことは覚えてるのに!」
曜「なんで善子ちゃんのことだけ忘れて……」
ルビィ「……」チラ
善子「…っ……」
善子(その反応、知ってる……貴女が初対面の人にとるやつでしょ…)
善子(本当に…忘れたっていうの、ルビィ……どうして) ルビィ「……」キラッ
善子「! 貴女それ…その手に持ってるやつ」
ルビィ「え?」
花丸「善子ちゃん…?」
善子「……まさか…」 善子(その指輪のせいなの? ……そうよ、それ以外考えられない)
善子(けど、だとしても可笑しいわよ)
善子(だって、ルビィはあの時までちゃんと記憶が……)
善子(…………“まで”…?)
善子(……ちょっと…ちょっと待って) ─ただし、代償として
使用者は願いの対象となった事柄の記憶全てを失うことになる
善子(もし、記憶が消えるのが力を使った時点ではなく…願いが叶った瞬間だとしたら…?)
善子(…もし、そうだとしたら…)
善子(その願いが叶うまでの間は記憶を失わないでいられる……そして)
善子(ルビィは帰ってきてから…私のことを……忘れて……つまり)
善子(ルビィは…あの子が願ったことは……) 善子「……なんでよ」
善子(そんなの、もう分かりきってる…)
…だから、ルビィに出来ることなら力になってあげたくて……
お願いしたらね、何とかここに来ることが出来たんだぁ
善子(私を、助けたい…そう、願ったのよね? ………そうでしょ? ルビィ)
うーん、なんか大丈夫みたい…なんでだろうね?
善子(…大丈夫なわけないでしょ、これから自分の記憶がなくなるかもしれないってときに)
善子(…………意味、分かんないわよ)
貴女、どうしてそんなに笑ってられるの 善子(本当は、私なんかよりずっと…ずっと)
善子(帰りたくないって、そう思ってたはずなのに)
今はルビィのことよりも善子ちゃんのことだよ
善子(それでも、自分の気持ちを隠し続けたの?)
善子(私のために……)
あはは…善子ちゃんはなんでもお見通しなんだね
善子(…………馬鹿だ)
ルビィが分かりやすいだけでしょ
善子(……私、本当に…馬鹿じゃないの) 善子「……なんで、今まで気付かなかったのよ…」
善子「こんなこと、少し考えれば分かったはずなのに!!」
善子「なんで……っ……ルビィ…貴女も」
善子「どうして何も言わなかったのよ!! こんな…こんなことして…っ…!」ガシッ
善子「もっと自分を大切にしなさいよ!!」
ルビィ「…ひっ……」ビク
善子「!! ……ぁ…ちがっ……これは…」
善子「……ごめんなさい」パッ
梨子「善子ちゃん…」 千歌「…ルビィちゃん、こっちおいで」
ルビィ「え? はい」トテトテ
曜「千歌ちゃん?」
千歌「一回休もう? 花丸ちゃんは善子ちゃんをどこか落ち着ける場所に連れていって」
千歌「今は…そのほうがいいと思う」
曜「…そうだね、花丸ちゃんお願い出来る? ルビィちゃんは私たちが見ておくから」
花丸「……わかった、善子ちゃん…行こ?」
善子「…………ええ…」 バタン
「「…………」」
ルビィ「…あの」
梨子「…ねえルビィちゃん、Aqoursは何人?」
千歌「…梨子ちゃん?」
ルビィ「え? 9人…ですよね?」
曜・千歌「!!」
梨子「……全員の名前、言える?」
ルビィ「もちろん、千歌さん曜さん梨子さん、果南さんに鞠莉さんにお姉ちゃん、最後に花丸ちゃん」
梨子「…………」 ルビィ「あれ? 一人足りない……なんで?」
曜「梨子ちゃん、今はやめよう……私もう、この先を聞くのが怖いよ…」
千歌「……」フルフル
梨子「…そうね、ごめんなさい…少し軽率だったわ」
梨子「ルビィちゃんも、いきなり変なこと聞いてごめんね?」
梨子「さっきのことは……忘れて…っ」
ルビィ「…………はい」 大切なものを救うために大切なものを忘れる展開はホントキツイな… ─
善子「…………」
花丸「善子ちゃん…」
善子「……私、何も出来ないのね」
善子「ルビィにあれだけ救われていながら」
善子「あの子の記憶が無くなって、忘れられても……私にはどうすることも出来ない」
善子「…こんなの、最低よね」 花丸「……本当に方法はないのかな、もう一回指輪の力を使えば、もしかしたら…」
善子「…無理よ、まずもう一度この力を使うことが出来るかどうかも分からないし」
善子「それに、これは本来理想の世界を創るためのもの…現実の世界で起きていることは変えようがないわ」
善子「そして最後に……仮にルビィの記憶を取り戻したいと願って、それが叶ったとしても」
善子「その代償として、今度は願ったほうの記憶が無くなる…そうなれば完全にイタチごっこよ、キリがない」
善子「どうしようもないのよ……!」 花丸「…」
善子「だからもう、私には…」
花丸「……ねえ善子ちゃん、本当にそうかな」
善子「…どういうことよ」
花丸「それは……」ガサゴソ
花丸「…あった、善子ちゃんこれ見て」
善子「なに、手紙? …これがどうしたっていうのよ」
花丸「善子ちゃんを助けに行く前に、ルビィちゃんから預かったものだよ」
善子「!?」 花丸「善子ちゃんが戻ってきたら、読ませてほしいって」
花丸「さっきは驚いて、そのことに気付けなかったけど」
善子「……ルビィが…?」
花丸「…ルビィちゃん、その前にこうも言ってたよ」
花丸「善子ちゃんに伝えたいこと、たくさんあるけど全部言えるかどうか分からない」
花丸「だからもし、帰ってきたときに忘れてるようなことがあったら…読んでほしいって」
善子「!」
花丸「…ルビィちゃん、きっと最初から分かってたんじゃないかな」
花丸「こうなることも、全部……だから手紙をマルに預けた」 善子「……そんな」
善子「……ねえ、花丸……なんて、書いてあるの?」
花丸「いいの?」
善子「……お願い」
花丸「……じゃあ、読ませてもらうね」カサッ 花丸「……」
花丸「…………」
花丸「…………ぇ…?」
花丸「……! ……あ……そ…っか……ルビ……ちゃ…」ジワ
花丸「……うっ…ひぐっ……!」
善子「花丸…?」 花丸「なん……でも、ないっ……」ポロポロ
花丸「……うん…」ゴシゴシ
花丸「…………善子ちゃん、はい」スッ
善子「……私は」
花丸「善子ちゃん…これは善子ちゃんが読むべきだよ、この手紙には…ルビィちゃんの気持ち全部が詰まってる」 善子「ルビィの……気持ち…」
花丸「最後まで読んで、ちゃんとルビィちゃんの想いに応えてあげてほしいな……マルが言えるのはそれだけ」ニコ
花丸「行ってあげて善子ちゃん、ルビィちゃんのところに」
善子「……そうよね」
善子「分かったわ、ありがとう花丸」
花丸「ううん、どういたしまして」 バタン
花丸「……」
花丸「……ごめんね、善子ちゃん」
花丸「こんな時に言うのも不謹慎だけど……マルね」
花丸「ちょっとだけ、善子ちゃんが羨ましいと思っちゃった」 ─
「……」
ガチャ
「!」
善子「お邪魔するわよ」
曜「善子ちゃん…もう大丈夫なの?」
善子「ええ、少しだけ落ち着いたわ」
千歌「そっか、よかった」
ルビィ「……」
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