千歌「異世界転生したらLv999の>>5だった」
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曜?「形は歪でも……一つの信頼の在り方なのかな……。それは、私の知らない答えでしたよ」ニコッ
千歌「……!」
サアァァァァ……
千歌「霧が……」 千歌「……!!さっきまで見てた風景と違う……。吹き飛んだ山が元に戻ってる……。それに地面も抉れてない……。さっきまで戦ってたのが嘘みたいになにも起こってない……。これが……」
曜?「そう。私の幻術だよ」
千歌「!!」
サアァァァァ……
千歌「曜ちゃん……じゃなかった。身体が……」
曜?「目に見えたもの、聴こえたものも、触れたものも……全部がまやかし。五感は意味を成しません。そこに在るものが無い。無いものは在る。嘘と真実を曖昧にし、現実と虚構の境界を混濁させる」
サアァァ……
曜?「それが幻術使いである私……幻影妖精(ファントムフェアリー)のエクストラスキル、【女神の悪戯】」
千歌「……………………!!」
???「自己紹介が遅れましたね」
花陽「《μ's》……《緑の聖母》、花陽です。よろしくお願いしますね」ニコリ 千歌「《μ's》……あなたが……?」
花陽「ことりちゃんから話は聞いてるよ♪希ちゃんのことを訊きたいんだよね」
千歌「あ、はい……!希さんは今どこに……」
花陽「慌てないで♪色々と話したいこともあるし、ここじゃなんだからとりあえず私の家に行こっか。ご飯でも食べながらゆっくりお話しよ♪」
千歌「ご、ご飯?」
花陽「フフフ♪」
千歌(ことりさんもそうだけど……《μ's》の人たちってみんな、こんなにマイペースなのかな……。なんだかポワポワした雰囲気……お日さまみたい) 花陽「どうかした?」ニコッ
千歌「え?」
花陽「私みたいな人があんな幻術を使うなんて……かな?たしかにイメージは無いかもね」クスクス
千歌「うぇっ!?あ、いや……!」
花陽「イジワルだって思ったよね。大丈夫だよ。柄じゃないって言われるのは馴れてるから。けどね、これでも悪戯好きなんですよ?なんて言ったって、妖精族のエルフですから♡」
千歌「妖精族……」 千歌(巨人族に……魔族に……妖精族……。みんな人間っぽいのに種族は違うんだ。曜ちゃんも普通の人間みたいだけど小人族だし……)
千歌「って、あれ?そういえば曜ちゃんは……」
曜「おーい!!千歌ちゃーん!!」ノシ
千歌「曜ちゃ……んん!!?」
曜「おーい!!千歌ちゃ〜ん!!」ノシパンツ
千歌「パンツ振り回しながら大声で名前叫ばないで変態!!!」 曜「ひどいよ千歌ちゃん!!こっちは手強い果南ちゃんの幻影とやっとの思いで戦って勝ったっていうのに!!」
千歌「だからってパンツを戦利品にすることないでしょ!!」
曜「そこは小人族としての譲れない矜持がある」
千歌「本音は?」
曜「パンツ、大好き」
千歌「変態」
曜「ゾクゾクする」
千歌「もーパンツ泥棒とかやめてよー!!!」
曜「私がパンツ泥棒を辞めるとき……それは死ぬときだと思ってる」
千歌「やめろ!!」
曜「やめない!!!」
千歌「だよね!!うるさい!!!やめろ!!!!」 花陽「フフ、仲良しだね二人は♪」
曜「ん?誰?」
千歌「花陽さん。ことりさんと同じ《μ's》で、幻術使いだって。私たちが見てた果南ちゃんも、風景も全部幻だったんだよ」
曜「へえー」
花陽「ちなみに……♪」指パチンッ
パンt……
花陽「それも幻だったり♪」
曜「うわあああああ!!!パンツがぁ!!!果南ちゃんのTフロントがあああああ!!!!」
千歌「もう本当に……見苦しいから……やめてって……」
花陽「クスクス♪」 【米の村】
ワイワイ……
キャッキャッ……
千歌「ほぇー……山の中にこんなに人が……」
花陽「みんな私と同じ妖精族だよ」
曜「こんななんでもない山に、エルフの集落が……」
千歌「どうしたの?」
曜「エルフは他の種族と交わることを極端に嫌うって聞いたことがあるから、人里と離れてない場所に集落を作るのは珍しいなって」
千歌「あれ?それじゃあ私たち、ここに立ち入っちゃいけない?」
花陽「そういう意見もエルフの中にはあって、少なくとも今でもそういう悪習を慣わしにしている人たちもいるね。エルフは妖精族の中でも特に優れた魔力を持ってるから。昔からそれを他の種族に狙われてきたの。小さい頃から、妖精族以外の種族は敵だって教わってきた」
千歌「……………………」
花陽「クスクス……心配しなくても、ここに住む人たちはそんな偏見は持ってないよ。全ての種族はわかり合える……って、私は思ってる。だって私がそうだもん♪」
曜「《μ's》……ですか?」
花陽「そう。いろんな種族が集まって、手と手を取り、かつて《μ's》未曾有の危機に陥ったは世界を救った。そんな私の姿に感銘を受けてくれたのがここに住むみんな」
千歌「全ての種族はわかり合える……」
曜「……………………」
花陽「それと、なんでもない……っていうのは捉え方の違いだよ。悪意を振り撒く人はこの場所に近付けない。私の幻術が行く手を阻んじゃうから」クスッ
千歌「……………………」
花陽「さあ、こっちへどうぞ。家に案内します」
エルフA「あっ、お米のお姉ちゃんだ!」
エルフB「お帰りなさい、花陽さん」
花陽「ただいま、みんな」ニコッ
エルフC「花陽ちゃん、後でうちの田んぼの様子を見ておくれよ」
花陽「はい、また後で」
エルフA「お米のお姉ちゃん、その人たちはー?」
エルフD「おっぱいおっきー」
エルフE「花陽ちゃんよりおっきいー」
曜「でかみかんー」
千歌「曜ちゃん」
花陽「二人は私のお客様ですよ。私の友だちを探している……ね」 エルフAとエルフBがここあちゃんとこころちゃんに見えた ――――――――
――――
――
花陽「はい、どうぞ」つ
曜「……………………」
千歌「……………………」
花陽「外で食べるご飯はおいしいんですよー♡」
曜「ああ、はい……」
花陽「どうかしましたか?」
曜「なんていうか、家に招かれてお茶より先にご飯茶碗を出されたのは初めてなので……」
花陽「新米ですよー♪」
千歌「私の分まで……。お茶碗はことりさんが使ってたスキルと一緒だけど……」
花陽「エクストラスキル……【質量保存の法則崩壊】だね♪」
千歌「お茶碗に盛られたご飯は……」
花陽「丹精込めて炊きあげた純粋な山盛りご飯です」
千歌「何人前……」
曜「あ、おいしい」パクパク
花陽「フフっ♡」 曜「けふっ……」フゥー
花陽「おかわりは?」ニコニコ
曜「完全にお茶のおかわりの感覚で訊いてきますね……。二杯目に差し掛かった辺りでもう苦しいんですけど……」
千歌「ムググ……!」パクパク
曜「いくらでも食べられるからっておかわりし続ける普通?」
千歌「むおおおおおお!!」バクバクバクバク
花陽「いい食べっぷりだね♪」
曜「まあ……めちゃくちゃおいしかったけど……」
花陽「!」キラキラ
曜「いや、もうおかわりは……」ケッコウデス
花陽「……」ションボリ……パクパク…… 曜「このお米……植物に精通するエルフの知識で育てたんですか?」
花陽「ムグムグ……それもあるけど、やっぱりお米の育て方は人間の方が上だよ。農家の人に全部教わって、そのノウハウに私なりのアプローチをかけて、それをこの村のみんなに広めたの。パクパク……」
曜「へぇ……」
花陽「モグモグ……あ、そんなことないと思うけどね、もし白米だけに飽きたら味を変えるといいよ」
千歌「ムグムグ?」
花陽「はい。メノ海苔と、シカコンブ」
千歌「パクパク……。モグモグ……んん、おいひい」
花陽「よかったよかった♪」
曜(千歌ちゃんはさておき、花陽さん……千歌ちゃん以上に食べてるなぁ……) 千歌「パクパク……花陽さん」
花陽「モグモグモグモグ……はい?」
曜「あ、食べながら話進めるんだ」
千歌「ングング……ゴクン。花陽さんはさっき、全ての種族はわかり合える……そう言いましたよね?」
花陽「モグモグ……ゴクン。うん、言ったね」
千歌「それは魔族とも……ってことですか?」
曜「……………………」
花陽「うん。私は……ううん、ことりちゃんや他のみんなも……少なくとも《μ's》の全員はそう思ってる」
千歌「……!///」
花陽「でも」
千歌「!!」
花陽「わかり合える……それが叶うにはね、片方だけが理想を口にしてるだけじゃダメなんだよ」
千歌「……………………」
花陽「言うまでもなく、世界っていうのは連綿とした"個"の繋がりで、平和っていうのは"個"が争いを好まない……または求めないのを前提として成り立ってる。パクッ……」
モグモグ……
花陽「ゴクン。……だけど、生きていればお腹が空くように、世界のどこかで大小問わない争いは絶えず起きてる。それなのに世界は均衡を保ってる。どうしてだと思う?」
千歌「それは……」
曜「争いを起こす人たちがいれば、争いを鎮める人たちもいるから……ですか?」
花陽「そう。その通りだよ。簡単な話……ケンカをすれば誰かが仲裁に入る……世界はそんな些細なことで調停されて平和を成しているんだよ。そしてもう一つ……」
千歌「もう一つ……?」
花陽「"悪意"っていうのが永遠じゃないから」
曜「悪意……」 花陽「お腹が空いたらご飯を食べる。ご飯を食べたら……パク。モグモグ……ゴクン。お腹がいっぱいになる。それと同じで悪意は永遠には続かないものなの」
千歌「……?」
花陽「一口に悪意って言っても、不快感から殺意まで様々だよ。だけど、どの悪意にもいつかは終わりがくる。極論だけどね、仲違いのケンカは仲直りすることで終わりが来るし、殺意は抱いた相手……もしくは抱いた本人が死ぬことで解消されるでしょ?」
千歌「……………………」
曜「本当に極論ですね……」
花陽「引き合いに出した喩えの問題だから深くは考えないでほしいけど……そのいつかは終わるはずのそれが、永遠に続く種族がたった一つだけ存在する。それこそが魔族」
千歌「……………………」 真面目に話してるのにお茶碗片手だと思うとなんか和むわ 花陽「奪えど足りず、壊せど足りず……終わり無き悪意の始祖、千年続いたとも謂われるぜん」 花陽「奪えど足りず、壊せど足りず……終わり無き悪意の始祖、千年続いたとも謂われる戦全種族の戦争の発端……。私たちがどれだけ歩み寄ろうと、頑としてそれを拒み、侵略と強奪を繰り返してきた」
千歌「なんで……」
花陽「理由の無い悪意は存在する。強いて言うなら、そういう宿命を背負った種族だから……かな。魔族はね……全ての種族の敵なんだよ」
千歌「ッ!!梨子ちゃんはそんな子じゃない!!」ガタッ!
グラグラ……
千歌「梨子ちゃんは……梨子ちゃんは……ッ!!!」
花陽「ことりちゃんにも言われなかった?二人の知ってる梨子ちゃんがどんな子だっただろうと……魔族にはそういう血が流れてるって」 曜「……………………」
千歌「……ッ」
花陽「梨子ちゃん……その反応を見ると、相当仲の良い友だちだったんだよね。梨子ちゃんのことも、魔族のことも……否定する気は無いんだよ。それでも……魔族が争いを求め続ける限り、わかり合える……そういう理想論だけじゃなにも変わらない」
曜「重みが違いますね……。女神の言葉は……」
花陽「大人が知る世界と、子どもが夢見る世界は違う。それだけだよ……パクッ」 千歌「どうすれば……」
花陽「パクパク……」
千歌「どうすれば梨子ちゃんに……魔族にわかってもらえますか?」
花陽「争うのをやめましょう……私たちは友だちになれます……って?」
千歌「……………………」コクン
花陽「その答えは誰も知らない。きっとそれは……ご飯に一番合うおかずはなんですか?って訊くのと同じくらい、難しいものだから」
千歌「……………………」
花陽「私は白米一択ですけどね」クスッ 千歌「……………………」
花陽「納得出来ない……そんな顔ですね」クスッ
千歌「はい……」
曜「あの」
花陽「なに?」
曜「少し気になったんですけど、訊いてもいいですか?」
花陽「どうぞ」ニコリ
曜「魔族を含めた全種族の和解と和平を望んでるのはよくわかります。だけど、花陽さんの口振りだとそれが絶対に叶わないことだって諦めてる風にも聞こえます」
花陽「……………………」
千歌「……?」
曜「諦めてる……っていうのは違うのかな。ことりさんと話したときにも同じものを感じました。魔族のことを話すとき……憎しみでも嫌悪でもない、なにか魔族に対して特別なものを抱いてるみたいな……」
花陽「……………………」
曜「って……ただの勘違いかもしれませんけど……」ポリポリ…… 花陽「……クスッ」
曜「!」
花陽「泥棒の目……ですか?人より並外れた観察眼……お見事です」パチパチ
曜「……………………」
花陽「茶化してるんじゃありませんよ。……そうですね。曜ちゃんの言うとおり、私たちは……《μ's》は魔族に対して、特別な感情……思いを抱いています」
千歌「特別な……思い?」
花陽「正確には、魔族全体ではなく……たった一人の魔族を。あらゆる種族が憎むその魔族を、私たちはときに慮り、慈しみ……愛しました。友として、仲間として。そうしようと心に誓い、同じときを過ごし、かけがえのない絆を永遠のものにしました」
花陽「永遠のものに……したはずでした」 千歌「?」
曜「した……はず?」
花陽「……クスッ、私の話はここでおしまいです♪」
千歌「うえぇ!?スッゴい中途半端!!なんかモヤモヤする!!最後まで聞かせてくださいよー!!」
花陽「大した話じゃありませんからね。それでも聞きたいって言うなら、ここから先は有米ですよー♪」
千歌「有米!!?」
花陽「フフフ♡子どもは知らなくていいことですよ♡」
千歌「うぅ……」
花陽「それに、私一人の一存で話すわけにもいかないでしょうから」
曜「……………………」
花陽「さてと、前置きが長くなりましたね。本題に入りましょうか」 千歌「本題?」ポケー
曜「希さんのことでしょ?」
千歌「はっ!!そうだった!!そのためにここまで来たんだったよ!!」
花陽「クスクス♪単刀直入に言いますが、私も希ちゃんの居場所は知りません」
曜「そうなんだ……」
花陽「ゴメンね。思わせ振りな態度をとってしまって」
千歌「いいえ……」
花陽「ことりちゃんからも聞いたと思うけれど、希ちゃんは自由気ままな風と同じ。フラっと現れれば、またフラっとどこかへ消えちゃう」
パクッ
花陽「ングング……それに加えて、【隠者】、【秘匿】、【GALAXY HidE and Seek】……エクストラクラスとリミテッドクラスの隠密系スキルを同時に展開する希ちゃんは、そう簡単に私たちにも捕まえられない」 千歌「そんな……それじゃあどうしたら……」
花陽「……方法が無いわけじゃないよ」
曜「?」
花陽「隠れることに特化したスキルを使って存在を隠匿してるなら、それを見つけることに特化したスキルを使えばいい」
千歌「見つけることに特化したスキル?」
花陽「そう」
曜「ちょっと待ってください。希さんの使ってるスキルは、通常スキルの上位互換のエクストラクラス。さらにその上位互換で、百年単位の稀少性を有したリミテッドクラスなんですよね?そんなスキルを持った人を見つけるスキルなんて……」
花陽「その通りだよ。そんなスキル所有者がそうそういるわけない。でも、たしかにいる」
曜「……!」
花陽「それは……」
安価下1コンマ
奇数→世界を見渡す眼を持つ龍剣士
偶数→陸海空の三界を司る三賢人 花陽「陸海空……三界を司る三人の大いなる賢人。この世の叡智の全てを宿す者……烏滸がましくも私たち《μ's》と同格……いいえそれ以上の神聖な存在。通称、《A-RISE》」
千歌「《A-RISE》……」
花陽「あの人たちだけが持つリミテッドスキル、【世界を見通す眼】があれば、世界の隅々まで見渡せる。希ちゃんのこともすぐに見付けられるよ」
曜「その人たちはどこにいるんですか?」
花陽「海を渡った大陸にある、神を祀った聖域……【UTX大神殿】」 UTX大神殿でイタズラして逃走するもあっという間につかまる希ちゃん可愛い 千歌「UTX……そこにいるその、《A-RISE》って人たちなら希さんを見付けられるんですね!」
曜「……………………」
花陽「確実にね」
千歌「そうとわかったらじっとしてられない!!曜ちゃん、今すぐその人たちのところに行こう!!」
曜「ちょっ、ちょっと千歌ちゃん!!落ち着いて!!海の向こうだよ!?どうやって行くつもり!?」
千歌「曜ちゃんだけなら投げればなんとかいける……」
曜「考え方がでかみかんじゃん!!!海の向こうって何千キロ離れてると思ってるの!!?そんな距離投げ飛ばされたら着地と同時にハンバーグが出来上がるよ!!!」
花陽「まあ、着地以前に空気の壁にぶつかって爆散するかな」
千歌「じゃあ泳ぐ」
曜「なんでさっきから原始的な方法なの!?船とか飛行船とかあるじゃん!!いくら千歌ちゃんでも易々と泳ぎきれる距離じゃないよね!!?」
千歌「私でも船とか飛行船って乗れる?」
曜「あ……」
千歌「……………………」
曜「も……」
千歌「も?」
曜「ものすごい大きな船なら……」
千歌「それって簡単に乗れるの?」
曜「ものすごく高いです」
千歌「どのくらい?」
曜「金貨百枚……」
千歌「今の所持金って?」
曜「銅貨五十枚」
千歌「ほらぁ!!やっぱり投げた方が速いじゃん!!」
曜「だからそれだと死んじゃうんだって!!だいたい、投げるって自分はどうするのさ!!」
千歌「泳ぐよ!!」
曜「じゃあせめて私を乗せて泳いでくれませんか!!?ていうかちゃんと船乗ろうよ!!」
千歌「お金無いじゃん!!」 曜「稼ぐ!!私頑張って稼ぐから!!」
千歌「どうやって?」ジトー
曜「こうやって」つハナヨノオパンツ
花陽「きゃあ〜///…………なんて♪」ペロ
ハナヨノオパn……
曜「幻影だこれ!!!」
千歌「最ッ低!!!そんな稼ぎ方赦さないからね!!!」
曜「だからって原始的な方法なんて私がイヤだからね!!!」
ようちか「むむむむむむ……!!」
花陽「クスクス……♪じゃあ、私が紹介しましょうか?♪」
曜「?」
千歌「紹介?」
花陽「千歌ちゃんも乗れるほど、大きな船を貸してくれる人を」
曜「そんな気前のいい人が?」
花陽「世界経済の半分を担う資産家です。私たちとは顔馴染みなので、事情を話せばきっと力になってくれますよ」ニコリ
千歌「本当ですか!?じゃあ!!!」
花陽「ただし」
千歌「!?」
花陽「紹介する前に、一つ条件があります」
曜「条件?」
花陽「ただで教えるのは……なんだかもったいないでしょう?」ニコニコ
千歌「もったいないって……」
花陽「言いましたよね。エルフは……イタズラが好きなんです♡」
花陽が提示した条件とは……
安価下1コンマ
奇数→なわとび
偶数→稲刈り な、なわとびなんかで船に乗せたりしないんだからね! ・・・千歌がなわとびなんてしたら里が壊滅しないか? 千歌「まあでも……そうしなきゃ教えてくれないならなんでもやりますけど……」
花陽「いい子ですね♪では……」スッ
ズズッ……
曜「……?周りの稲が……」
花陽「♪」
ズォォォォォォォォ――――――――!
千歌「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!?」
花陽「えいっ♪」ヒュン
シュルシュルシュル……ギュッ!
花陽「っと。はい、千歌ちゃん♪」スッ
千歌「おとと……っ!」パシッ
曜「稲が森みたいに急成長して絡まった……。これって……ロープ……?」
花陽「そう♪今から千歌ちゃんには、このロープを使ってなわとびをしてもらいます♪」
千歌「なわとび?ていうか私だけ?」
花陽「今はちょうど夕暮れ……そうですね、明日の夜明けまで、その稲のロープでなわとびを続けてください」
千歌「明日の夜明けまで!!?」
花陽「一度でも引っ掛かったり、跳ぶことを止めたら失敗と見なし、船を貸してくれる人を紹介するという件は諦めてもらいます♪」ニコリ
千歌「そんなムチャクチャな!!」
曜「千歌ちゃんってなわとびは苦手だっけ?」
千歌「いや、普通だけど……」
曜「じゃあ大丈夫だよ。体力を節約するスキルも持ってるし、身体強化系のスキルも持ってる。千歌ちゃんなら何日だって跳び続けられるよ」
千歌「そうかもしれないけど……」
曜「それより、今の千歌ちゃんがなわとびなんかしたら、地響きとロープの風圧で村が壊滅しかねないっていうか……」
花陽「それについては大丈夫だよ♪」指パチンッ
ホカホカ……
ホカホカ……
千歌「た、炊いたお米が!!?花陽さんっ!!?」
ホカァァァァァァァ……
千歌「曜ちゃ――――――――」
ドーン…… 曜「お米が……千歌ちゃんを呑み込んじゃった……」
花陽「大きなおにぎりの完成だよぉ♪」
曜「完成だよぉ……って……」
花陽「私のお米はどんな衝撃にも耐えられる究極のお米♪あの中は絶対安全の防護結界だよ♪ただし……」
おにぎりの中
千歌「……………………」
ホカァァァァァァァ……
千歌「あづい……」 花陽「その中でなわとびをしてもらいますけど、サボっちゃダメですよー。私には中の様子がちゃーんと見えてますからねー」
千歌「見えてるって……。おにぎりの具になったのは初めてだよ……。なんだかよくわからないけど、やらなきゃいけないならやるしかないっ!よしっ!!」グッ!
千歌「頑張るぞぉー!!!」ピョンッ!
ズシン!
ズシィン! 花陽「始めたみたいですね」
曜「本当に衝撃を吸収してる……。お米ってスゴい……」
花陽「さてと、そろそろ夕飯にしましょうか」
曜「いや、さっきまでご飯食べてましたよね?」
花陽「おやつです♡」
曜「おやつの量じゃなかったけど……」
花陽「曜ちゃんはなにが食べたいですか?」
曜「お米以外ですか?」
花陽「炊きたてご飯、冷やご飯、ちょっと水気が多くてべっちゃりしたご飯です」
曜「お米以外を食べたら死ぬ種族かなにかなんですか?」
花陽「冗談ですよ♪」
曜「それより、なんで私にはなわとびをさせなかったんですか?」
花陽「一緒にしたかった?」
曜「千歌ちゃんのおっぱいがブルンブルン揺れる様ははっきり言って見たかったです」
花陽「曜ちゃんとは、もう少しお話したいなって♪それだけですよ♪」
曜「そうですか……」 曜「それならよかったです」
花陽「……………………」
曜「私も……訊きたいことがありましたから」
ソヨソヨ……
花陽「……………………」
曜「……………………」
花陽「……風が冷たくなってきました。家の中にどうぞ。話の続きは、あたたかいご飯を食べながらにしましょう」ニコッ ――――――――
――――
――
千歌「ほっ、ほっ……」
ズシン!
ドシン!
千歌「どれだけ時間が経ったんだろ……。この中だと外の様子がわかんないしなぁ……」
ホカホカ……
千歌「おにぎりの中ってこんな感じなんだ……。さっきいっぱい食べたのに、なんかお腹すいちゃいそう……」
ズシン!
ズシン!
ブルンブルン!
千歌「朝まで長いなあ……」 曜side
グツグツ……
コトコト……
花陽「トロットロに煮込んだクリームシチュー……」
トロリ……
花陽「甘味たっぷりのホロホロお野菜……」
トロッ……
花陽「旨味を閉じ込めたジューシーなお肉……」
ジュワッ……
花陽「それをお皿に盛ったホカホカご飯にかける!!!」ドバァー!
曜「……………………」 花陽「ふぅ……♪上手に出来ました♪」
曜「……………………」
花陽「本当に食べないんですか?」
曜「お腹はすいてないので……」
花陽「お米ならいくらでも食べられちゃうのになぁ……。いただきます」
パクッ
花陽「んぅ〜〜〜///♡ハフハフ……んっ///♡んんんん〜///♡♡」
曜「……………………」
花陽「はふぅ……♡おいひぃ……♡」 65 名無しで叶える物語(地震なし) sage 2018/03/22(木) 19:01:05.45 ID:VUlf9Epp
エロいな 曜「……………………」
花陽「いいですよ」ハフハフ
曜「!」
花陽「アツッ……エヘヘ///訊きたいこと……あるんでしょう?」
曜「……なにか訊こうかな」
花陽「なんでもどうぞ」ニコリ
曜「それじゃあ……まず、果南ちゃん……。花陽さんが私たちに見せた幻影……あれは私たちの友だちです。なんで、花陽さんが知ってるんですか?」
花陽「知ってるわけじゃないよ。何日か前に、あの子は私を捜してこの山に入った」
曜(……果南ちゃんも転生してたんだ)
曜「それで?話をしたんですか?」
花陽「うん。正確には、話をすることを強制してきた」
曜「強制してきた……?」
花陽「言ったとおり、私の幻影は悪意や敵意に反応する。それがある人は、誰であろうとこの村には立ち入れない。そして、その子……果南ちゃんも例外じゃなかった」
曜「それは……」
花陽「友だちだったんだよね……。なのに、酷なことを言うのは気が引けるけど……。あの子は間違いなく、魔族だった」
曜「……………………」 曜「そっか……。果南ちゃんも……」
花陽「あの子は幻影に阻まれた……けど、強引に私を引きずり出した。『姿を見せないなら、この一帯を吹き飛ばす』……って脅してね」
曜「そんなこと出来るはずない」
花陽「そう。出来るはずも、させるはずもなかった。でも私はそれに応じた。何故か……穏健派を謳っている私が、いくら防衛のためといえ暴力を振るえば、私に賛同してついてきてくれたみんなを裏切ることになるからです」
曜「それでも……煙に巻くくらいのことは……」
花陽「さっき、出来るはずがない……そう言いましたね。私も曜ちゃんも、意味合いは同じことを言ったはずです。私がいる以上、そんなことはありえない……と。けど……」
曜「一帯を吹き飛ばす……それだけの力が果南ちゃんには無い。だから出来るはずがない。……そういう意味ではなかった?」
花陽「シンプルに、あの子に強さを感じました。無論それでも私が負ける要素はありませんでしたが……少なからず村のみんなに懸念を抱かせるのを嫌いました」
曜「果南ちゃんと、どんな話を?」
花陽「ことりちゃんのところにも、魔族の梨子ちゃんが来たんですよね。なら、話した内容は概ね一緒なはずです」
曜「魔王復活の鍵……」
花陽「当然ながら話してわかってくれるはずもなく、あしらいながら隙を見て【強制転移】を使いました。どこに転移したのかはわかりませんが、世界のどこかには存在してるはずです」 曜「……そっか」
花陽「……………………」
曜「それじゃあ次の質問です。希さんの行方を掴める人たちの存在について……」
花陽「どうぞ」ニコリ
曜「花陽さんは《A-RISE》の存在を挙げましたね。《A-RISE》は《μ's》と肩を並べる存在で、希さんを捉えられるのはその人たちしかいないと」
花陽「そうだね」
曜「不可解なのは《A-RISE》の存在じゃなくて、何故ことりさんは《A-RISE》の存在を私たちに教えず、花陽さんを紹介したか……ってことです」
花陽「たしかに不自然だね。遠回しをさせてる感じがする。だけどそれは、私が希ちゃんの居場所を知らなかった……っていう結果論込みの話にならない?」ハムッ
曜「本当にことりさんは花陽さんが希さんの居場所に心当たりがあると思った……。違いますよね?ことりさんには、私たちを花陽さんに逢わせる理由があった」
花陽「……………………理由って?」パクリ
曜「あくまでも……いいえ、推測にもなりませんけど……。たぶん、千歌ちゃんのこと……」 千歌side
千歌「はあっ……はあっ……。おかしいな……はあはあ……。あれ……なんだろ……。暑いから……かな……。なんかちょっと……疲れてきた……」
ズシン……
ズシン…… 曜side
曜「山の中で私たちを襲った幻影……あれは千歌ちゃんを試すためのものだったんじゃないですか?」
花陽「なんのために?」
曜「千歌ちゃんに戦い方を教えるため……とか」
花陽「……………………」
曜「千歌ちゃんはLv999の完全な特異存在。力の使い方を知らないのに、誰よりも強大な力を持ってしまってる。言っちゃえば赤ちゃんが兵器を持ってるみたいな危うい存在です」
花陽「そうだね」パクッ
曜「それに今千歌ちゃんがやらされているなわとび……。正確にはあのおにぎりですけど……あの中は、いったいどうなってるんですか?」
花陽「炊きたてのお米に囲まれてる幸せの国だよ♡」
曜「本当は?」
花陽「……魔力を強制的に体外に排出させる空間。それだけ言えば通じるかな」
曜「千歌ちゃんに魔力のコントロールを覚えさせるため……ですか?」 花陽「なんのために?」
曜「一つは自衛……一つは、"そうなったとき"戦える下地を作っておくため」
花陽「"そうなったとき"……友だちと、どうしても戦わなければならないとき……だね」
曜「花陽さんを紹介したのは、ことりさんなりの私たちへの忠告ってことですか」
花陽「さあ……。でも、ことりちゃんはきっと……自分よりは私の方が二人を鍛えられるって、そう思ったんだろうね。なんせ、ことりちゃんは《μ's》でも一、二を争う広域殲滅タイプの魔法使いだから。微細な力のコントロールは苦手だったし」クスクス
曜「広域殲滅……」 花陽「曜ちゃんの考えのとおりだよ。戦うための下地と覚悟……いくら力があってもそれが無かったら何にもならない。だからことりちゃんは二人を私に預けた。べつに嫌がらせで《A-RISE》のことを説明しなかったわけじゃないと思うから、そこは安心して」クスッ
曜「はあ……」
花陽「幻影を相手にさせて、二人の実力を測った。幻影とはいえ魔力を込めただけのパンチで山を消し飛ばした……千歌ちゃんは魔力のコントロールを完ぺきに覚えなきゃ、いつか暴走して凄惨な事故を巻き起こす」
曜「そのための特訓ですか」
花陽「あの空間の中は、魔力容量に比例して魔力の強制消費量が加速度的に上がる。朝まで……なんて期限をつけたけど、千歌ちゃんの魔力量を考えたら、あと数時間で魔力が枯渇して倒れると思う」
曜「そうですか」
花陽「……意外だね。千歌ちゃんのことが好きな曜ちゃんなら、今の話を聞いたら、私を脅してでも千歌ちゃんを出せって言うかと思ったのに」
曜「万が一千歌ちゃんが倒れたとしても、倒れた無防備な千歌ちゃんのおっぱいを揉みしだけるので問題無いです」マガオ 花陽「あ、そうなんだ……」パクッ
曜「それに、千歌ちゃんなら大丈夫です」
花陽「信頼?」
曜「いえ、確信です」
千歌『出来るパターンだろぉこれェ!!!』ガー! 曜「何度倒れても、何度ケガしても立ち上がる。前を向いて跳ぶ。千歌ちゃんは……底無しの努力家です」
花陽「……………………」
曜「……なんて、本人は特訓をやらされてる自覚も無いんですけどね。ようは、ひたすらにまっすぐなんですよ。明るく素直で、自分が求めるものに手を伸ばす。何度も何度も……立ち上がれるかい?って……そしたら胸に手を当てて、笑ってYESって答えるんです」ニシシ
花陽「千歌ちゃんのこと、好きなんだね」
曜「大好きです」ニッコリ 曜「……………………」
花陽「……………………」
曜「……私に特訓をやらせなかった理由は、それですか?」
花陽「理由は二つ。曜ちゃんの戦いを見たけど、基礎はもちろん、スキルを応用した臨機応変さも十二分で、特訓をさせる必要性が無いと判断しました。レベルと実力が釣り合ってない……とも」
曜「……………………」
花陽「曜ちゃんは千歌のことを特異存在と称していたけど、曜ちゃんも充分特異だよ」
曜「……………………」
花陽「もう一つの理由はね、単純に曜ちゃんとお話したかったからなんだ。私の目には……曜ちゃんの全てが歪んで見える。戦いも……千歌ちゃんを思う様も。曜ちゃん……曜ちゃんはいったい、何者?」
曜「……………………」 千歌side
千歌「はあ……はあ…………」
ズシン……
ズシン……
千歌(腕が……上がんなくなってきた……。身体重い……頭……回んない……)
ズシン……
ズシン……
千歌(ボーっとしてきた……。今にも身体が動くのを止めそう……。ダメだ……しっかりしないと……。イメージ……しない、と――――――――)
曜『魔法なんて所詮イメージみたいなところがあるから』 千歌「……!」
ズシン……
ドシン……
千歌「イメージ……」
千歌(私の中に……魔力っていう力があって……イメージでそれを自由に使えるなら……)
ズシン……
ズシン……
千歌(果南ちゃんの幻と戦ったとき……掌に力を入れて殴ったら山が吹き飛んだ……。あそこまでじゃなくて……身体全体まで行き渡らせて……もっと力を抑える感じ……)
ズズッ……
ズズズ……
千歌「……!なんか……楽になった……かも……」
千歌(スゴい勢いで疲れてたのに……。力が吸われる感じだったのが治まった……。これって、魔力をコントロール出来るようになってる……?じゃあ……)
ズズッ……
千歌(魔力を脚に……)
ピョンッ!
千歌「……!」
ピョンッ!
ピョンッ!
千歌(軽い……!疲れとか一気に吹き飛んじゃったみたい……!これならイケる……!イケるよ……!!)
千歌「曜ちゃん……!!」 曜side
曜「……私は歪に見えますか?」
花陽「見えるよ。頭のてっぺんから爪先まで」
曜「……………………」
花陽「具体的なことを挙げるとね……。果南ちゃんの幻影を相手にしてるときも、どこか愉悦めいたものを感じました。クラス故に……スキル故にとも思ったけど、違うんだよね?曜ちゃんの戦闘の根源には、明らかな敵意と殺意が見えたよ」
曜「……………………はぁ」クシャ
花陽「……………………」
曜「ちゃんとごまかせてると思ったんですけど。千歌ちゃん以外に……隠し立てをする必要もありませんよね。花陽さんの言うとおりです」 曜『ねえ、千歌ちゃん』
千歌『……………………』
曜『……私は――――――――』
曜「私は……千歌ちゃんの敵になるなら、たとえ友だちだって殺します」 花陽「……………………」
曜「正義と悪がこの世にあるなら、私にとっての正義は千歌ちゃんで、私にとっての悪は千歌ちゃんに害成すもの……ってことになるんです。千歌ちゃんを悲しませるなら……傷付けるなら……」
梨子『微塵の興味も無いわ』 曜「たとえ誰だろうと殺してやる」
花陽「歪んだ愛情は身を滅ぼすよ」
曜「千歌ちゃんのためなら、それでもいいって思ってます」
花陽「自覚があるのがむしろ……だね。良くも悪くも」
曜「危険な思想だって……そう思いますか?」 花陽「……賛同はしない。けど、共感出来ないわけじゃないです」
曜「……意外な答えですね。救世の女神なんて大それた二つ名で呼ばれるような人が……。皮肉に捉えられるかもしれませんが、てっきり《μ's》というのは聖人君子の集まりなのかと思ってました」
花陽「私だけじゃなく、他のみんなも同じことを言うはずです。救世の女神……どれだけ人が敬い付けた字(あざな)でも、所詮ただの記号でしかありません。名前というのは、自らが覚悟を持って名乗ることで初めて意味を成すんです」
曜「エルフの教えですか」
花陽「私自身の気位です。けれど、言った通り共感こそすれ賛同はしません」
曜「……………………」
花陽「護るため……叶えるため……たとえどれだけ大義を掲げたとしても、命を奪う行為が赦されるはずがない。自分がどれだけ理由をつけて肯定したとしても、それこそが至上の正義だと信じても、殺意を以て我と成すことはあっちゃいけません」 曜「……………………」
花陽「こんなお説教も、きっと曜ちゃんには右から左なんだろうね」
曜「そうですね。なにも響きませんでした」
花陽「だと思うよ。それが正しい。私たちはただの他人なんだから。それでも、同じ釜のご飯を食べた仲の忠告……くらいには留めておいてもらえると嬉しいかな」
曜「ありがとうございます……。でも私は、私の意志を絶対に曲げない」ヴンッ
【後悔無き航海】
花陽「【後悔無き航海】……。折れず、曲がらず、腐らず……自分の意志を貫き通す誓いのスキル。なるほど……それがレベルに比例しない強さの秘密ですか」 曜ちゃん、膨大な借金返し終わったと思ったら
すぐになんやかんや理由付けて借金させられそう・・・ 曜「言わないでくださいね。千歌ちゃんには」シュン……
花陽「いずれはバレちゃいますよ。【後悔無き航海】……。自分にかけた誓約の大きさに相乗して力を増幅させるリミテッドスキル。そんなスキルをどうやって発現させたんですか?」
曜「千歌ちゃんのことを思ってたら自然に身に付きました」
花陽「そうなると……必然、誓いの内容も……」
曜「私が自分に課した誓約は、なにがあっても千歌ちゃんを好きでいること。千歌ちゃんと同じ傷を負うこと。千歌ちゃんのために生きて、千歌ちゃんのために死ぬこと。そして、千歌ちゃんが死んだとき私も一緒に死ぬこと」
花陽「……………………ムチャクチャだね。【過愛情】に【ダメージリンク】……?それに【ライフリンク】も付与してるなんて……」
曜「他にも色々付けてますよ。【過愛情】は元々こういう性格だったし、【ライフリンク】に関しても全然苦じゃないです。けど、【ダメージリンク】に関しては千歌ちゃんがLv999だったのを予定に入れてませんでしたね」ケラケラ これほどの誓約だと必然的に強くなるわな
後悔なき航海カッコいい… 曜ちゃん強キャラ感半端なくなったけど今のところパンツ盗むぐらいしかしてないの素直に草だ 花陽「Lv999なことは、無敵でもなければ不死身ってことでもない。巨人族だって、身体の構造は普通の人間と変わらない。余りにもリスクが大きすぎる。大切な友だちのためとはいえ、自分が課した誓約の重さを……曜ちゃんは理解出来てないように見えて仕方ないよ」
曜「そう見えるなら……よっぽど私が歪んでるんですよ」スクッ
花陽「……!」
曜「私が訊きたかったことは全部聞かせてもらいました。花陽さん、ありがとうございます」ペコッ
花陽「夜明けまでは、まだ時間があるよ」
曜「特訓が終わって汗で服に張り付いたおっぱい…………じゃなかった、ヘトヘトになった千歌ちゃんの疲れた顔をいの一番に見たいので。このまま朝まで外で待ってます」
花陽「そう……。最後に訊きたいことがあるんだけど、いいかな?」
曜「いいですよ。花陽さんが今履いてるパンツをくれるなら」ゞ
花陽「……クスッ。泥棒が獲物を欲しいと乞うのは、道理に反してはいませんか?」クスクス
曜「違いないです」ニッシシ
スタスタ……
スタスタ……
花陽「……………………」 花陽「……曜ちゃん。曜ちゃんは千歌ちゃんのために戦う……そう言ったよね。千歌ちゃんのためなら友だちだって殺すって。……でも、千歌ちゃんは友だちとの共存を望んでいるんじゃないの?」 曜「……………………」ピタッ
花陽「曜ちゃんが千歌ちゃんだけを愛するとしても、千歌ちゃんが曜ちゃんだけを愛するとは……けして限らないこと、ちゃんと覚えておかなきゃダメだよ」
曜「……………………」スタスタ……
花陽「でないと、それはいつか……取り返しのつかないことになるかもしれないんだから」
――――――――
――――
―― ――――――――夜明け
チュンチュン……
曜「……………………」
花陽「……そろそろだね」
ホカッ……
曜「!」
ホカァァァァ……
曜「おにぎり……じゃなかった……。閉鎖空間が解けてく……」 花陽「気を付けてね」スッ
曜「稲穂の杖……」
ビュン……
ビュン……
花陽「一瞬だけど……強引に止めちゃうから」
ホカァァァァ……
ズシン……!
ドシィン……!
千歌「はぁ……はぁ……はぁ……はぁっ……!!!」 曜「千歌ちゃん!」
千歌「はぁ……はぁ……!!」
ドシン!
ズシィン!
グラグラ……
曜「っと、聴こえてない……」
花陽「意識の深層まで到達するほど集中してる。いつ倒れてもおかしくない。……効率のいい魔力運用……ちゃんとコントロール出来てるけど、すっかり枯渇しきってる」
花陽(約半日……。あの空間の中で一時間以上保ったどころか耐えきった……。無限ってわけではなさそうだけど、それでも随分な魔力だね……。容量は私たちとほぼ同じくらいかな)
ビュン!
ビュウン!
花陽「おとと……これ以上は村が壊滅しちゃう」スッ
フワッ……
花陽「お疲れさま。少し眠るといいよ」シャン……
千歌「はぁ……はぁ…………っ」クラッ
花陽「♪」シャンシャン……
ホカホカ……
ドスゥン……
千歌「クカー……」
花陽「お米のベッドはよく眠れていいですよね♪」
曜(スッゴくベタベタしそう……) 千歌「クカー……クカー……」
曜「千歌ちゃんは……」
花陽「声は届かないみたいだったので、無理やり眠らせちゃいました。昼頃には目覚めますよ♪」
千歌「クカー……」
曜「……………………」スタスタ……
ポンッ……
曜「お疲れさま……千歌ちゃん」ナデナデ
千歌「ン……」スヤスヤ……
曜「それにしても……汗の匂いも、汗で服がぴっちり張り付いたおっぱいもたまりません」ムフー
花陽「あれ、さっきとは違った意味で怖い……」 ――――――――
――――
――
千歌「……………………ん」
曜「あ、起きた?」
ムクリ……
千歌「……………………」ポー
千歌「ふあぁぁぁぁぁ……」
曜「おはヨーソロー♪千歌ちゃんっ♪」ゞ
千歌「おはヨーソロー……ムニャムニャ……」ゴシゴシ……
曜「まだ眠い?」
千歌「んん……なんかお米のベッドで眠る夢見た……」
曜「夢じゃないけど」
千歌「ふあぁぁ……んゅ…………………………ああっ!!?」
曜「うわっ!?急にどうしたの!?」
千歌「特訓!!花陽さんに言われたなわとびしてたんだ!!どうしよう曜ちゃん!!私なわとび止めちゃってる!!花陽さんに船を貸してくれる人を紹介してもらえないよ!!!」
曜「落ち着いて千歌ちゃん。大丈夫だから」
千歌「へ?」
曜「千歌ちゃんはちゃーんと、朝までなわとびを跳んでたよ♪」
花陽「そうですね」スタスタ……
千歌「花陽さん!」
花陽「朝までなわとび……よく頑張りました♪」
千歌「ホント?ホントにちゃんと最後まで跳べたの?」
花陽「はい♪」
千歌「全然覚えてない……」
曜「ギリギリだったみたいだもんね。なにも覚えてないの?」
千歌「途中……跳びやすいやり方を見つけて……それから調子良くて……。それで……調子に乗ってそれまでよりはりきって跳んでたんだけど……」
花陽「!!」
千歌「そこから先は覚えない……」ウムム…… 花陽(体外に強制的に魔力を放出させるあの空間で、魔力を制御するどころか自分から魔力を放出させて能力を上げた……?ありえないです……。だとしたら、魔力容量は最高位に位置する魔法使いレベルを遥かに越えてる……)
曜「まあなんにせよ、ちゃんと最後まで跳べてよかったじゃん♪」
千歌「うんっ!♪」
花陽(Lv999……この魔力……。……まさか、ね) 曜「これで、花陽さんに船を貸してくれる人を紹介してもらえるね♪ちょっとだけ先が見えたよ♪」
千歌「うん!花陽さん、約束どおり……」
花陽「あ、うん。もちろん紹介するよ」
ようちか「ぃやったぁ!!」
花陽「ただし……」
ようちか「?」
花陽「紹介するだけで、その人が船を貸してくれるかどうかは……また別の話だけど」クスッ 千歌「その、船を貸してくれる人ってどんな人なんですか?」
曜「顔馴染みって話でしたよね?同じ《μ's》の人ですか?」
花陽「ううん。だけど、《μ's》に深く関わってる人だよ。一代で世界経済の半分を担う魔道具事業の発展を成し遂げた、オトノキザカ財閥の麗人」
曜「一代で世界の半分の経済を?」
千歌「それってかなりスゴいんじゃない?」
曜「いやめちゃくちゃスゴいよ。どれだけ【資金調達】や【お金儲け】のスキルがあっても、さすがにそこまでの長者にはなれないよ。よっぽど天運に恵まれてないと」
千歌「そんな人と知り合いなんて……《μ's》ってスゴい!!」
花陽「まあ、ことりちゃんのお母さんだから」クスクス 曜「ことりさんの……?」
千歌「お母さん!!?」
花陽「そう。世間での通り名は、本人のクラスを取って理事長って呼ばれてる」
曜「通り名って……本名は?」
花陽「曜ちゃん、知らなくていいことも世の中にはあるんだよ」
曜「はあ……」
千歌「あれ、それじゃことりさんって結構なお嬢様?」
花陽「一応ね。ことりちゃん自身は、好きなことを好きにやる奔放な性格だから、お母さんの跡を継ぐ気はないって言ってるけど。とにかく、理事長宛に紹介状を書くから、その後は二人でなんとかしてね」
曜「投げやり……」
花陽「エルフは?」ニコニコ
曜「イタズラ好き……」ハァ
千歌「まあまあ。とりあえず紹介してくれるだけありがたいってことで♪」
花陽「いい子ですね、千歌ちゃん♪」
千歌「エッヘヘ///」テレリテレリ
花陽「さて……それじゃあ少し待っててね。今すぐ紹介状を……」
バサッ……バサッ……
カー……カー…… 千歌「?」
曜「カラス……?」
花陽「……………………」
カー……カー……
バサッ……バサッ……
千歌「おとと……」
曜「千歌ちゃんの肩にカラスが留まった……」
千歌「私は木じゃないのに……。この子、眼が真っ赤だよ。それに……足が三本ある」
曜「足が三本……それって……」
花陽「八咫烏……」
千歌「やた……がらす……?」
花陽「幻獣に数えられるモンスターであるのと同時に……不幸と不吉を司る魔獣……」
曜「……………………」
花陽「八咫烏が現れるとき……それは凶報を運んできたという印なの……」
千歌「凶……報……?」
カー……カー……
カー……
オトノキザカ……カイメツ……
オトノキザカ……カイメツ…… 花陽「――――――――!!!!」
曜「オトノキザカ……!」
千歌「壊滅……!?」
曜「花陽さん……オトノキザカって……」
花陽「今話してた……理事長が、オトノキザカ財閥の拠点がある街……。それが……壊滅……!?そんなバカな……あの街には……いや、それより……理事長は……」
千歌「……!!」
曜「街が滅ぼされた……って、それじゃあ……」 花陽「ううん……確証は無いけど、たぶん無事……。あの街には……私たちの仲間がいるから……」
曜「《μ's》が……?」
花陽「けど……それでも街の破壊を防げなかったなんて……。相手はいったい……」
千歌「もしかして……梨子ちゃん……?」
曜「魔族が……?なんのために……」
千歌「わかんないよそんなの……」
花陽「ここで議論しても始まらない。とにかく私はオトノキザカに向かうよ。この報せはきっと《μ's》全員に届いてるはず……だとしたら、近くに住むことりちゃんも必ず向かう……二人はここに……」
千歌「私たちも行きます!!」 花陽「……危険だよ」
千歌「それでも!私たちが目指してる芭蕉でなにか大変なことが起きてるなら……見て見ないフリは出来ないです!」
曜「それに、どっちみち行かなきゃ先にも進めないわけだし、ここで大人しくしてる理由なんて無いです」
花陽「……………………」
千歌「お願いします!私たちも連れてってください!」
花陽「……なにがあっても自己責任だよ。誰か助けて〜……なんて言っても、ちょっと待ってて〜……っては言わないからね」スッ
シュルシュル……
ポンッ
ポンッ
ポンッ
曜「花畑が……」
花陽「【フラワーカーペット】……妖精族秘伝の魔法の絨毯だよ。千歌ちゃんを乗せると大した距離は飛べないけど」
千歌「お手数です」
花陽「さあ乗って」
曜「っと……」トンッ
千歌「ホントに乗っても大丈夫ですか……?」
花陽「信じて♪」
千歌「……えいっ!」ドシン!
花陽「行くよ……」スッ
フワリ……
ビュウンッ!
千歌「っあ!!」
曜「うわ!!」
花陽「振り落とされちゃダメだよ!」
――――――――
――――
―― ――――――――数日前
梨子「オトノキザカを?」
果南「滅ぼす?」
花丸「そう。あの街は人間共の世界の重要な拠点の一つ。魔王様の復活に捧げる灯には充分なものずら」
果南「なるほど……♪それじゃあ、その役目は私が……♪」
梨子「待ちなさい。力だけの能無しじゃあ、そんな大それた役に相応しくないわ。花丸様、その役目……どうかこの私に」
果南「黙ってなよ負け犬」
ピリ――――――――ッ
花丸「勅命を下す」
かなりこ「!!」バッ!
オトノキザカ襲撃を命じられたのは……
安価下2
梨子or果南 花丸「果南」
果南「♪」ニッ
梨子「チッ……」
花丸「お前の力……我らが王のために振るえ」
果南「仰せのままに。【安価下1】の名に懸けて」
果南のクラスは……
安価下1コンマ
奇数→狂戦士(ベルセルク)
偶数→災害人魚(ディープマーメイド) なんでそんなクラスで山にかよちん倒しに行ったんだろ? 果南「災害人魚(ディープマーメイド)の名に懸けて」
花丸「期待しているずら」
梨子「……………………」
花丸「梨子」
梨子「っ、はっ!」
花丸「不服か?」
梨子「……いえ」
花丸「梨子……」
梨子「はい」
花丸「魔族に自己は要らないずら」 梨子「……わかっています。魔王様に忠誠を誓い、敬服し、従属することこそが私たちの使命であり幸福であると。私たちはただの"駒"であればいい……と」
花丸「わかっているならいいずら。異論という牙があるならへし折ってやろうとも考えたけれど……ならば先のことももはや咎めまい。次なる命令を待て」
梨子「はっ」
ポンッ
果南「そうヘコまないでよ。梨子ちゃんの分まで……暴れてきてあげるからさ」ニヤッ
梨子「触るんじゃないわよ……磯臭い」
果南「〜♪さーてと、行ってきまーす♪」ヒラヒラ
花丸「……………………」スタスタ……
梨子「……………………」ポツン……
梨子「……………………ッ」ギリッ…… ――――――――現在
【オトノキザカ】
果南「……………………」ザッ……ザッ……
パラパラ……
ガラッ……
果南「なんだ……これ……」
ガシッ……
果南「!」
兵士「ハァ……ハァ……」
果南「…………?」
兵士「あな……たが……」
果南「……なに?」
兵士「こ、の……街を……」
果南「……………………」ポリポリ……
兵士「よく……も……」
果南「……………………」スッ
兵士「――――――――」
ベキバキ……グシャアッ!
ピチャッ……
果南「……………………」
???「ねえ」 果南「?」フイッ
???「なにやってるの?」
果南「は?」
???「言葉がわからないの?知性が欠けてる?」
果南「そっちは礼儀が欠けてるよ。なにって、足に絡まった海藻を振り払っただけだけど?それがなに?」
???「死にかけた兵士の頭を踏み潰した感想がそれ?」
果南「だったら?」
???「同じことをされても文句は言えないって……それだけ」
果南「おもしろいこと言うね。ていうかさ……そんな高いところから見下ろすなんて失礼じゃない?」
???「だったら?」
果南「誰だか知らないけど……頭が高いって言ってるんだよ」シュンッ!
ブンッ!!
ドガァァァァァァァァ! 果南「ハハッ♪」
???「なにこれ」
果南「ッ!?」
???「キックのつもり?」
果南「片腕で……!!」
???「キックっていうのは……」
安価下1コンマ
奇数→「こうするのよ」
豹の獣人ルートへ
偶数→「こうするにゃ」
ネコの獣人ルートへ ボオオッ!
果南(紅蓮の炎……ッ!!)
???「こうするのよ」ブンッッ!
果南「ッ!!?」ミシッ……
ヒュンッ……
ドガアアアアアアアアアン! ???「……………………」トンッ
ヒュウウ……スタッ
???「……………………」
パラッ……
ドガァン!
果南「アッハハハ!!♪痛い痛いっ……腕イカれた!!♪」ブラン……
ベキッ!
ゴギッ!
果南「っはは!!♪」スッ
???(前腕を粉々にしてやったのに……。【自己治癒】と【超速再生】のスキルね……)
果南「見かけのわりにやるね……♪豹の獣人のお姉さんっ♪」ニヤッ
???「あなたが口ほどにもないだけよ。たかが医者の蹴り一つで腕が砕けるなんて、見かけのわりにヤワじゃない」 果南「医者……ねえ。身に纏った白衣だけじゃあ、言われても納得しかねるよ」
???「ああ、ゴメンなさい。訂正するわ。医者じゃない……ただの天才名医よ」カミノケクルクル
果南「クラスは?」
???「神療現界医(アスクレピオス)」
果南「神療現界医(アスクレピオス)……?」
果南(医療系クラスの頂点に座するあの……?紅蓮の炎に……豹の獣人……。こいつ……)
???「ああ……自己紹介がまだだったわね」
真姫「《μ's》……《赤き女豹》こと、真姫よ。よろしくね、魔族さん」 ――――――――
ビュウウウン!
千歌「ねえ!街は大丈夫かな!?」
曜「このスピードならすぐに着くとは思うけど……やっぱり心配だね……。まだ原因もなにもわかってないわけだし……」
花陽「なにがあっても大丈夫なはず……。あの街には私たちの仲間がいるんだから」
曜「それってさっき言ってた?」
花陽「うん。《μ's》……《赤き女豹》の真姫ちゃん」
千歌「《赤き女豹》?」
花陽「豹の獣人……炎を操る名医だよ」
曜「お医者さん?それじゃあ……」
花陽「お医者さんて聞くと、回復専門で戦闘力に乏しいイメージがあるけど……真姫ちゃんは違う。自他共に認める天才医師なのと同時に、《μ's》でも一、二を争う武闘派でもある
獣人特有の野性的な本能に、荒々しさを十二分に含んだ爆炎の使い手……それに加えて理知的な頭脳を兼ね備えた、神療現界医(アスクレピオス)と呼ばれる天才」
千歌「そんなスゴい人がいて……どうして街が……」
花陽「わからない……。なにかイヤな予感がする……」
千歌「急ぎましょう!なにかが起こる前に!!」
ビュウウウ――――――――ン! ――――――――
果南「へえ……まさか《μ's》に出くわすなんてね。ツイてるなぁ♪」
真姫「なにを以てツイてるなんて言ったのかしらね」
果南「私の目的ってさ、この街を壊して人間たちを混乱させることだったんだよねー。ここって人間の経済を担う中心らしいじゃん。それがこの有り様。もう目的は果たしたも同然♪」
真姫「そうね。たしかにひどいものだわ」
果南「そんな中、私たちが狙ってる《μ's》がのこのこと現れた♪目の前に通りすがった生肉をさ……みすみす逃すなんてバカなマネ、誰もしないでしょ?」ニコニコ
真姫「そうね。正論だわ。同じ状況なら私も同じことをするわ。断言する。ただし……生肉はあなたよ。クスッ……いいえ、腐った魚の死骸が関の山ね」
果南「言うじゃん……。腐ったものを食べて食あたりなんて笑えないんじゃない?」スッ……
真姫「そうでもないわ。私は案外……悪食だったりするわよ」グググ……ダンッッ!
ビュンッ!
果南(迅い……)
ズガアアアアアアッ!
ベキバギッ!
真姫(ガードした腕が砕けた……)
果南「っらあ!!」ブンッ!
真姫「っ!」シュンッ!
ズザァッ!
果南「逃げ足だけはいいじゃん」プラプラ……
真姫「また再生……。ガードした直後に反撃してきた……」 果南「速くて重い……それでもって軽やかな体捌き。医者だって言うわりに動けるね、お姉さん」
真姫「体力仕事甘く見てるんじゃないわよ。評価してくれるなら……せめて力は込めなさいよ。脱力しきった相手の弁ほど薄っぺらいものはないわ」
果南「ああ、やっぱりわかる?」
真姫「触れるのが医者だもの」
果南「触診ってやつ?」
真姫「まあね」カミノケクルクル
果南(って、蹴って殴って……二回触れただけで、スキルの解析はおろか私の身体の状態にも気付いたんだ。知性が高いうえに、素の攻撃力も高い。
そのうえ炎をブーストさせて一撃一撃の威力を高めてる……。…………思ったよりめんどくさいな……) 果南「お姉さん、私の苦手なタイプだ」
真姫「あっそう。だからって見逃さないわよ。あなた、あいつの仲間なんでしょ?」
果南「あいつ?」
真姫「とぼけなくていいわよ。あいつの【空間転移】に飛ばされたおかげで、この街はものの見事に壊されちゃったんだから。まったく……不甲斐ないったらないわ」クシャ
パラパラ……
ガラッ……
真姫「救えたはずの街も……命も……なにも護れなかったんだもの」
果南「街はともかく、医者が命を救えなかったっていうのはいいね。無様すぎてお腹が捩れそうだよ」
真姫「そのときは私が治してあげるわよ。臓器全摘出して……ホルマリンに漬け込んで弄んであげる」
果南「恐い恐い♪そうなる前に……豹のステーキでもかぶりつこうかな」スッ
果南が出現させた武器は……
安価下1コンマ
奇数→両腕の手甲(ガントレット)
偶数→身の丈以上の大剣 果南「♪」ガシン!
真姫「魔神器……」
果南「デッドハグ……人魚の腕に抱かれて死になよ」
真姫「遠慮するわ……!!」ダンッッ!
ボオオオオッ! 果南「突っ込んできていいのっ?次は……少し力入れるよ!!」ダンッッ!
真姫「!!」
果南「うらぁっ!!!」ゴオオッ!
真姫「ちっ!!」ボオッ!
ヒュンッ!
真姫「ッ!!」ミシッ
果南「咄嗟に炎をブーストさせて方向転換したね……でも……」
ブラン……
真姫(掠めただけで左肩が外れた……!!)
真姫「ッ!!」ゴギン!
果南「アッハハ、無理やり嵌めたよ♪」
真姫「よく回る口ね!!」ブンッ!
ガギィン!
果南「嵌め直した腕ですぐに殴るんだ……」グググ……
果南(私と同じ【超速再生】……一瞬だけど【痛覚遮断】もしたのか。この人……戦闘力のバランスがいい。苦手だけど……)ニィッ!
真姫「!!」
果南「イカれ具合は好きになりそうだ!!」ザバァン! 真姫(大質量の水……いや、津波……ッ!!)
果南「まだ私のクラスを言ってなかったね!!私は災害人魚(ディープマーメイド)の果南!!固有スキル【深き海の氾濫】は……マーキングした相手を叩き潰す追尾型の津波だよ!!!」ザバァーン!
真姫「マーキング……」バッ
キラッ……
真姫「これは……鱗……?」
果南「よく気付いたね♪」
果南『うらぁっ!!!』ゴオオッ!
真姫『ちっ!!』ボオッ! ザバン!
ザバァン!
真姫「っ!!」ヒュンッ ヒュンッ!
果南「建物や瓦礫を足場に……よくそこまで縦横無尽な動きが出来るって褒めてあげるよ!」
真姫「べつに嬉しくないわよ」ダンッ!
果南「けど、私の波からは逃げられない!!」
ザバァン!
真姫「はああっ!!」メラッ……ボオオオオッ!
ジュアアアアアッ
ザバァーン!
果南「その程度の炎じゃ無理だよ!!」ニッ
真姫「あっそ……なら、このマーキングを剥がしちゃえばいいんでしょ」
果南「ムダだよ。その鱗は肉体じゃなく、魔力に喰らいついてる。魔力が尽きない限り、それが剥がれることはない!!」
真姫「魔力に……ね」
果南「ほぉら……波に呑まれて溺れ死ね!!」
真姫「ふん……本当によく回る口……。あなた頭はよくないでしょ」
果南「はあ?」
真姫「ペラペラといらない情報を喋ったのは、対処法が無いっていう無意味な確信のつもりだったのかしら。知らないなら教えてあげるけど……どんな対処も完璧にこなすのが名医なのよ!!」スチャ……
果南「赤い銃……?」
真姫「神器……ドリームトリガー。オペレーション、スタート」 キィン……
真姫「……………………」コオォ……
果南「なにを出したかと思えば……ただの機巧銃?そんなので私に立ち向かうつもり?無謀にもほどがあるよ」ケラケラ
真姫「愚策に見えるなら……その愚かしさは自分自身に投影しなさい」
果南「まだ言うんだ。ていうかさ……お姉さん、戦い方がチグハグだよ。臨機応変っていえばそれまでだけどさ、医者で、戦えて、銃を使うなんて……それぞれで欠点を抱いてるようにしか感じないんだよね!!」
ザバァン!
果南「少しはヤるかと思ったけど……これでおしまいだよ!!」
真姫「そうね。おしまいにしましょ」ジャキッ!
果南「この津波を前に……弾丸なんか――――――」
真姫「間違いだらけのあなたに教えてあげるわ。ドリームトリガー……その力を!!」クルッ
果南「ッ!?銃口を……自分に!?」
真姫「♪」ニッ
バシュウッ! 果南「自分を撃った……!!?なに……トチ狂ったの!?」
真姫「はあぁ……」シュウウウ……
果南「ッ、意味わかんない!!!」
ゴオオオオオッ!
真姫「追尾型の津波……だっけ?じゃあもう当たらないわよ」
果南「!?」
真姫「♪」ヒュンッ
ザパアアン!
果南「難なく避けた……!?バカな……魔力がある限り、鱗のマーキングは……」
真姫「魔力がある限り……なんでしょ?なら無理よ。今の私には魔力は無いから」
パラッ……
果南「鱗が剥がれて……いったいなにをしたの」
真姫「べつに。ただ"改造"しただけよ」
果南「改……造……!!?」
真姫「魔力の全てを他の機能に変換し、さらに魔力が無くても身体能力を維持するように。魔力が無ければマーキングは意味を成さないんでしょ」
果南「……………………!!!」
真姫「私の神器ドリームトリガーは、ただの機巧銃じゃない。私の意思でプログラミングされた目に見えない極小の機械生命体、ナノマシンを身体に撃ち込むことで肉体の組成を変異させる……医療器具なのよ」チャキ
果南「……………………っ」
真姫「あら、さっきまでの饒舌だったあなたはどこへ行ったの?」
果南「この……ババア……」ゴゴゴゴ……
真姫「いい顔をするじゃない。悔しさに歪んどその顔……見ていて愉快だわ」クスッ ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています