理亞「冬の夜更けに?」聖良「はい。怪談話、です」
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聖良「……」カリカリ
聖良「……」カリカリ カリカリ
聖良「……」
カラン
聖良「……ふう。今日はこれくらいにしておきましょうか」
聖良「終わりがないのが勉強とはいえ……これだけ量をこなすのは流石に疲れますね」
聖良「まあ、今までスクールアイドルに専念していたツケと思えば」
聖良「たったこれだけで済んでいるのは有難いことでしょうか」 それきり。Yの声を聞くことはありませんでした。その日からYは学校を休んでいましたし……
彼女と次に顔を合わせることが出来たのは、葬儀場でしたから。
……ええ。自殺だったそうです。舌を噛み切ったことによる、窒息死。
多分、Yはあそこでやっと、もう一つの声に気付いたのでしょう。
それまで自分の声に重なっていて気付かなかった、二つ目の声に。
そして、それから逃れるために……自死を選んだのでしょう。 しかし、何故Yが。あんなに幸せそうだったのに。
通夜も粛々と終わり、そんなことをぼんやりと考えていたのですが。
不意に、誰かの喋り声が耳に飛び込んできました。
『……ショック死じゃないの? 窒息死って』
『ええ。どうにもそうらしいわ』
『でも親御さんは可哀想ねぇ、これで二人とも亡くしたことになるんでしょう?』
口ぶりから察するに、Yの親族の方々らしかったのですが。
彼女らの話す「二人とも」という部分が、不思議と引っかかったのです。 そのままこちらへ流れてくる話を聞くに。
Yはどうやら元々……二卵性の双生児だったようなのです。
ところが、生まれる直前というところでもう一人が亡くなってしまい。
それでYだけが生まれてきた、と。
……それならきっと、そのもう一人の仕業なのでしょう。
幸せに暮らすYに嫉妬したか、寵愛を貰えなかったことへの八つ当たりか。
そういった怨恨がYの中に根付き、そして絡みつく様にして……
このような結果を、引き起こしたのでしょう。 何故そう決めつけるか、ですか?
……彼女の死因は窒息死だって、言ったじゃないですか。
実はですね。彼女の舌、ちゃんと繋がって残っていたらしいんですよ。
これも親族の方々からの又聞きなので、信憑性は怪しいですけれど。
……ですが、これが本当なら。彼女は誰の舌で、窒息したのでしょうか。 ……二枚舌は、舌禍に通ず、といいます。
どういう形であれ、二枚舌は不幸を呼ぶのでしょうね。
それが……自身に起因するものでなくとも、きっと。これで話を、終わります。
第五夜 『二枚舌』 終 続きます
>>97
すみません、私の不徳によるものです……
次書く機会があれば直しますので…… ドラマCDの印象が強いかな
本編で妹相手に喋る場面数えるほどしかないし
(q|`˘ ᴗ˘)ʅʅ 大冒険なう . . .
. . \ っ \っ. . . ノJ(`σ_ σ´リノし 大冒険なう
. . . . )_) ̄)_) . . . . /っ /っ . . .
. . . . . . . . . . . . . . .)_)てノ . . . . . .
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ 第六話 『分霊』
今日はまた少し、毛色の違った話にしましょうか。
怪談というよりは……霊や怪奇現象、見知らぬものに対する知識。
そういった話に近いかもしれません。
今回は……人の魂。これに焦点を当てた話をしようと思います。 人の魂というのは、とかく分裂しやすい代物です。
他の依代に宿るものに比べて、どうも繊細なんでしょうね。
何か精神的に強い衝撃を受けると、簡単に二つ、三つと分かれてしまう。
ショッキングな出来事から精神を守るために、人格を複数産みだすような人がいますよね。
あれと仕組みは同じです。人の魂も消滅を防ぐために、分裂をするんですよ。
そして受ける衝撃が大きい程、魂も細かく散り散りになって、しかしその数は増えていく。 まあ、分裂しやすいとはいえ、ある程度の強度はありますから。
魂が割れる人、割れない人というのは結構な個人差があります。
生きている内から分裂する人もいれば、ずうっと魂が一つのまま過ごしていく人もいますしね。
……ただ、統計的な話にはなりますが。
人の魂が一番分かれやすいタイミング、というのもまた存在しているんです。
一体どんな時か、分かりますか? ……そうです。答えは、人が死ぬ時。
肉体から放れるという過程がある以上、何らかの要因で魂が分裂することは珍しくありません。
特に変死や怪死と言われるような死は、相当なショックを伴うらしく。
聞いたところによれば、非業の死を遂げた一人から十一人もの幽霊が生まれたこともあるそうでして。
とにかくそういった死に方をする人ほどに、魂は分裂しやすいんだとか。
ええ、そして。この様に分裂した人たちは、そのまま双子の幽霊になることが多いそうなんです。 双子の幽霊は、分裂の具合によって様々な形態が見られます。
どちらもほぼ同じ性質を備えた、単純に二人に増えたような者。
お互いに魂を分け合ったかのように、どちらも不完全な状態の者。
はたまた、お互いが真反対の性質になっている者……挙げればキリがありません。
……ですが、一個だけ。そんな彼らにも共通している部分はあるんですよ。
例えば双子の絆が、どんな状況で有ろうと断ち切れないのと同じように。
どのような双子の霊であれ、その間には強固な絆が結ばれているんです。 ……この縁の強さ。私たちにとっては厄介極まりません。
二人に増えているとは知らず、片割れのみに気をとられていたならば。
残った他方に、いとも簡単に襲われてしまうでしょう。
もちろんこれは、手練れであろうと関係はありません。
いくら有能な除霊師や霊能力者とはいえ。過去の経緯を調べ、入念に対策を練ったところで。
もし相手が増えている、そのことを失念していたならば。
片割れを祓ったところで、激昂した相方に呪われる、という危険もありますからね。 ……それにしても。一人分の魂が、二人に、三人にと裂かれて、増えていく。
その様子を想像するに……いえ。出来れば、体験したくはありませんね。
増えた自分に遭遇するのも、嫌な理由の一つではありますけれど。
文字通り、身を裂く想いを何度も経験するというのは……私も遠慮願いたいですから。
第六話 『分霊』 終 ラブライブファンにもおすすめのもうかるぶろぐ
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L1AQL ニフラムだと死んだまま成仏してしまって
それはそれで二度と姉様は生き返らないわ! 第七夜 『人二倍の愛』
そういえば、あと一ヶ月ほどでバレンタインですか。
とはいえ私は受験前ですから、何かできるわけでもないですけれど。
理亞は今年誰かにあげる予定は……いえ、そうでしたね。
友達に、お店の常連さん。あとはAqoursの一年生の皆さんにも渡すんでしょう?
……大丈夫ですよ。理亞のお菓子作りの上手さは私がよく知っています。
あとは人一倍の想いを込めれば、きっと喜んでもらえますから。 そう。想いというのは、不思議なものです。
薬にも毒にも……人を喜ばせることも出来れば、死に至らしめることだってある。
……いえ、すみません。一つ、嫌な話を思い出しました。
怪談といえば怪談なのでしょうけれど……聞きたいですか?
……そうですか。では、今日の話はこれにしましょうか。 昔々、私たちの学校に通う先輩たちが引き起こしたお話です。
私もかつて先輩から話を聞いたので、多分この話はそうやって口伝されてきたのでしょう。
……いつの事やら。我が校にはかつて、とある一組のカップルがいました。
この二人がまたですね、非常に仲睦まじかったようで。
授業時間すら、くっついて離れない。そうまことしやかに噂される程には互いを愛していたそうです。
多少の誇張はあるとは思いますが……それくらい幸せそうな二人だったんでしょうね。 そんなある日、カップルの片方――便宜上、KとMと言いましょうか。
Kの方が、最近誰かに後を付けられているのだと。Mに相談をしたのです。
Mと別れた後の帰り道、背後で誰かがじいっと、こちらを見ている気配がする。
それも一度ではなく何回も。そしてついに、学校でも同じ視線を感じるようになった。
自分ひとりなら我慢も出来たが、君を巻き込むとなったら話は別だ、と。
Mを愛するがため、Mを案じる内容の告白でした。 それを聞いたMもまた、Kを深く深く愛していました。
恋慕だけでなく、独占欲に近い何かもあったのかもしれません。
今まで以上にKにベッタリと寄り添い、視線の主を自ら探し。
その裏で、小さな噂に至るまで情報や手掛かりを精査し、整理していく。
そういった執念の甲斐あってか……すぐに犯人は見つかりました。
Kの家の近くに住む、一学年下の後輩。彼女もまたKを慕っていたのです。 うろたえるKと静かに彼女を見つめるMを前に、後輩は淡々と話し始めました。
別に二人の仲を邪魔だてしようとは思ってはいなかったのだと。
ただ、バレンタインも近いことだし、Kさんに感謝とプレゼントをしたかっただけ。
バレンタイン当日に渡すのはMさんに悪いから、その前に渡そうと機を伺っていたのだと。
うつむいた彼女の手にあったのは、丁寧にラッピングされた四角い小箱。
詳しくは私も知りませんが……きっと、中身はチョコレートだったのでしょう。 二人は後輩の言い分をじっと聞いていました。が、不意に。
Mは後輩に歩み寄り、彼女の手を取ってこう言ったのです。
『だったら、今度二人で一緒に作りましょう。チョコレート!』
出てきたのは、歓喜に近い誘いの声。
Mが優しい性格だったのか、それともKを慕う同胞の存在に心を許したのか。
ともかく、Mは後輩に対して好意的だった。それを見てKは、胸をなで下ろしたようです。
事件の方もそうですが……Mと後輩の間に軋轢が生まれるのでは、と心配していたのかもしれません。 ……そうして日は経ち、バレンタイン当日。
Mに呼ばれて、彼女の家にKは招かれました。
後輩と二人で、想いを込めてチョコレートを作ったから、と。
さぞかしKの心中は晴れやかだったことでしょう。
そんな落ち着かないKの元に、Mが持ってきたのは……ハート型のプレゼント。 苦戦したのか、少々歪になった包装の下からは、ピンク色の小箱が顔を覗かせており。
その中には、色々な形をあしらったチョコレートがいくつも入っていたのです。
お礼もそこそこに、少し大きめのチョコレートを一つ口に運ぶK。
その様子を笑顔で眺めながら、MはKへと語りかけます。 『愛情ってものは、込めれば込めるほど美味しくなるんだって。そうあの子が言ってたの』
チョコレートの中には、ぐにぐにとした何かが隠れているようで。
『あの子と私で、二人分。人二倍の愛が詰まっているんだからまずいわけがないって』
噛み砕こうとして。歯に触れる異物感。鼻の奥から広がる鉄の匂い。
『私はもちろんだけど。作るのは、あの子の方が頑張ったんだよ』
甘さを引きはがすように襲いくる、強い酸味。
『だからね。まだまだいっぱいあるけれど』
思わず、吐き出して。その先にあったのは。 .
『ちゃんと美味しくたべてあげてね』
……人の、耳。
私が聞いたのは、ここまでです。
……後輩「と」作ったから二人分、ではなく。
後輩「で」作ったから二人分。
そこに至るまでに、何が起きたかは私たちに知る由がない。
ですが。彼女の嫉妬か、後輩の情怨にあてられたか。
あるいはそれらの積み重ねが、異常な空気を作りだしたのか。
ともかくそういった屈折し歪んだ感情が、隠し味になってしまって……この有様を引き起こした。
おそらく、そうなんでしょう。 人の想いは、時に美しく。されど時に、人を狂わせる。
このことは、心に留めておく必要があると思います。
……ふう。長く話していると、どうにも疲れますね。こういう時には甘いものが一番です。
……ああ、理亞も食べます? チョコレート。
第七夜 『人二倍の愛』 終 あんまり怖いと理亞っちが姉様の布団に潜り込んで出てこなくなる攻撃 第八話 『成り代わり』
さて……都合、八話目ですか。意外と早いものですね。
それでは今夜もまた、話をするとしましょう。
「成り代わり」という単語に聞き覚えはありますか?
ふむ、ないですか。では、影法師。ダブル、もしくはドッペルゲンガー。
……ああ、こちらは聞いたことがある、と。
やはりこちらの方がメジャー、というか一般的なんですよね。 「成り代わり」……これは、影法師やドッペルゲンガーに似た怪異の一種です。
ただし、完全に同じものを指している訳ではない。
大まかな特徴に類似点こそあれ。その実体は似て非なるものなんですよ。
そして、これが成り代わりの恐ろしいところでもあるんです。
……順を追って、一つずつ説明しましょう。 まずはいわゆる、ドッペルゲンガーと呼ばれるものについて。
非常にざっくりした言い方をすれば、ドッペルゲンガーは「自身の分身体」とでも言えましょう。
同じ人物が同じ時間に、違う場所に存在する。こういう現象を引き起こすのが彼らの役割でして。
本人がいないところで目撃情報を与える、といった話は色々な所で聞きますね。
他に目立った特徴とすれば……周囲の人間と会話をしない、とか。
これに関しては、最近薄れてきているかもしれません。
体験談なんかでも、ドッペルゲンガーの声は本人と同じ声だった、そんな話が見受けられますし。
まあ、そういった体験談が真っ赤な嘘の作り話だったのか。
もしくは彼らが出会ったのが生き霊などの違う怪異か、はたまた時代の流れによる変化か。
このどれかだとは思いますけどね。 あとは、本人に縁ある所に出現すること。忽然と現れ、忽然と消えること。
それから……死や災難の前兆として、信じられていることくらいですか。
他人が出会った場合はまだましなようですが、自分が出会った場合は……どうにも。
自分のドッペルゲンガーにうっかり対面して、動揺し。
それを思わず殺そうとしたら自分が死ぬ羽目になった、なんて逸話もあるくらいで。
最終的に迎える結末は……あまり良いものではありません。 一応、対策らしい対策はあるようです。
通説では、「お前は誰だ」と問いかけることなどがありますね。
つまり、相手の存在……自分が何かという部分を揺らがせる。
こうして敵の正体を暴くことで相手を無効化する、という考え方です。
……そして、この対処法の確立。
これこそが、成り代わりをより厄介なものにしていると言えるでしょう。 成り代わりもまた自身の分身を作りだす怪異ですが、目的が違う。
彼らは不意に現れるドッペルゲンガーと違い、「誰かと成り代わる」ことを目的としているのです。
そのため、会話も普通に行いますし、性格や仕草、癖なども非常に本人と似通っている。
出現場所もより限定的なものになっており、現れる時間帯もまた規則的です。
あたかも本人に紐付くように……じわじわと、彼らの生活を塗り替えていくかのようにして。
少しずつ立場を奪っていき、憑いた本人の自己存在を揺らがせていく。
そうやって最後には本人と成り代わり……誰にも気付かれないようにして、社会へと溶け込んでいくんです。 そうしてこの成り代わる性質上、彼らにはドッペルゲンガーと同じ対策法は効きません。
いえ、むしろ逆効果。それこそ彼らの思う壺ですね。
「お前は誰だ」という問いかけに反論できてしまう以上、効果は相当薄い上に。
彼ら自身は、多少なりとも「自分は宿主本人である」という自我を有しています。
ですから、彼らの成り代わりを促進してしまう。
そしてこの自己確認の問いかけは、実は相手だけでなく自身の存在をも揺らがせる。
相手が黙するドッペルゲンガーだからこそ使える諸刃の剣だったわけで。
それが相手に効かない以上……ただの自殺行為に成り下がってしまうんです。 では、どうすれば良いか。答えは簡単です。
相手を貶めて弱らせることが出来ない以上、選択肢は一つ。
自我を強く持つこと。成り代わることの出来ない確固たる意志を持つことが対策になるんです。
「自分は自分だ」という意識が相手より強ければ、早々に成り代わられることはありません。
そうしているうちに、彼らは諦め……もっと成り代わりやすい相手へと移り変わっていく。
……現状こうやって、やり過ごすしかないのです。 ですから……無理に相手をCRASH MINDしようとはしないこと。
大切なのは、SELF CONTROL……少々、強引すぎましたか。すみません。
ですが、くれぐれも忘れないようにしてくださいね。
先にいった二つは、成り代わりを相手にする上で非常に大事なことです。
間違っても「お前は誰だ」なんて問いかけはしないこと……絶対ですよ? ……ふう。話し込んでいたら、すっかり遅くなってしまいましたね。
明日も早いですし、もう寝た方が良さそうです……ええ、それでは。
おやすみなさい、理亞。
第八話 『成り代わり』 終 (q|`˘ ᴗ˘)ʅʅ ホスなう . . .
. . \ っ \っ. . . ノJ(`σ_ σ´リノし ほすなう
. . . . )_) ̄)_) . . . . /っ /っ . . .
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