曜(25)「千歌ちゃんの結婚式」
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曜の部屋
梨子(24)「曜ちゃん起きて」ユサユサ
曜(25)「ん……んん……」
曜「……なんで梨子ちゃんが私の家に?」
梨子「もう、自分が呼んだんでしょ」
曜「え?」
梨子「引き摺ってでも連れて行ってって」
曜「あ……」
梨子「朝ご飯もうすぐできるから」
曜(そうだ……今日は……)
曜(千歌ちゃんの結婚式だ) 果南「ん? どうかした曜?」
曜「……果南ちゃん」
曜「フォーメーションなんだけど」
果南「うん」
曜「私が千歌ちゃんの隣じゃダメかな?」
果南「え?」
千歌「曜ちゃん……」
梨子「……」 曜「ほら……私と千歌ちゃんのが身長同じで見栄えいいと思うんだよね」
曜「大事な予選だから細かい所まで突き詰めた方がいいと思う」
果南「んー」
果南「まぁ、私も最初はそのつもりだったんだけど」
曜「それじゃあ」
梨子「イヤです」
曜「っ」
梨子「千歌ちゃんの隣は私がやります」
曜「梨子ちゃん……これは予選のために」
梨子「曜ちゃん。違うでしょ?」
曜「…………」 梨子「曜ちゃんは千歌ちゃんが好きだから」
梨子「諦めきれないから隣がいいんでしょ?」
曜(梨子ちゃんに言ったんだ……)
曜「…………違うよ」
曜「諦めるために隣がいいんだ」
曜「最後に……この曲だけでいいから」
曜(最後の思い出を)
曜「私と変わってください。梨子ちゃん」
梨子「…………」
梨子「ごめんなさい。曜ちゃんには変わってあげられない」
梨子「あの日から、どれだけ千歌ちゃんが苦しんだか」
梨子「曜ちゃんは自分のしたことをわかってないよ」
曜(はは……私、何してたのかな……)
曜(何もしてなかったのかな……) 果南「はいはい、おしまい!」
果南「曜と千歌は今朝、仲直りしたんでしょ?」
千歌「……うん」
曜「……」
果南「なら、もう大丈夫でしょ」
果南「ただポジションは一度決めたことで、曜も納得してたんだから」
果南「梨子ちゃんの意思を尊重してね」
曜(梨子ちゃんの意思……)
曜(そんなのわかってる)
曜(梨子ちゃんの優しさを。私が一番知ってる)
曜(梨子ちゃんは千歌ちゃんのことを想ってるだけで)
曜(私のことが嫌いとかそういうんじゃなくて)
曜(ただ、彼女の味方で……彼女のために傍にいる……)
曜(私にもそうしてくれたから……)
曜「それでも」 曜「千歌ちゃん。私が隣じゃダメかな?」
千歌「えっ……」
曜「千歌ちゃんはAqoursのリーダーでしょ?」
曜「だからさ、お願い。これが最後」
曜「最後にあなたの隣で踊らせてほしい」
曜「もう二度とわがまま言わないから」
千歌「最後なんて言わないでよ……なんでそんな悲しいこと言うの……」
梨子「ちょっと曜ちゃ――」
果南「曜!!」
七人「」ビクッ 果南「いい加減にして。私達はチームなんだよ?」
曜「…………」
果南「いくら千歌のことが好きだからってこれ以上は――」
曜「そうだよ」
曜「私は千歌ちゃんのことが好きなの。誰よりも。何よりも……」
曜「本当はスクールアイドルも廃校も私はどうだっていいんだ……」ポロポロ
八人「……」
感情をコントロール出来なかった
想いが溢れ出して
これが最後だと
彼女の傍にいられる最後なんだって思うと
言葉が止まらなくなったんだ 曜「私は!!」
曜「私はただ! 千歌ちゃんの隣にいたいだけなの!!」
曜「おばさんになってもおばあちゃんになってもずっと。ずっと!」
曜「どんなに反対されたって、どんなに周りに受け入れられなくたって……離れたくない」
曜「千歌ちゃんとずっと一緒にいたい……私には千歌ちゃんしかいないって……」
曜「千歌ちゃんがいないとダメなんだって痛いほどわかったから……」
曜「千歌ちゃんは私の……ひぐっ……」
大陽だから
あまりにも情けない光景だった
二十五歳にもなって
大泣きして、鼻水を垂らしながら
わがままを言って周りを困らせる子供
それが本当の私
輝いていたのは私じゃない
私はただ、あなたに
照らされていたんだ 上の太陽あってるのになんでこっちミスってんだ
また修正 曜「私は!!」
曜「私はただ! 千歌ちゃんの隣にいたいだけなの!!」
曜「おばさんになってもおばあちゃんになってもずっと。ずっと!」
曜「どんなに反対されたって、どんなに周りに受け入れられなくたって……離れたくない」
曜「千歌ちゃんとずっと一緒にいたい……私には千歌ちゃんしかいないって……」
曜「千歌ちゃんがいないとダメなんだって痛いほどわかったから……」
曜「千歌ちゃんは私の……ひぐっ……」
太陽だから 曜「はぁーっ……ふぅーっ……」
曜「ぐすっ……ひぐっ……」グシグシ
曜「…………ごめんね。みんな」
曜「私、今日帰るから」
曜「頭冷やしてくるね」
果南「曜……」
梨子「曜ちゃん待って!」
曜「大丈夫、予備予選には出るよ」
曜「ダンスとかはもうバッチシだし」
曜「心配しないで」
曜「泣いたらスッキリした!」
曜「それじゃ! また明日!」
タッタッタ…… このSSに心揺さぶられすぎて授業に一切集中できなかった ダイヤ「曜さん……」
鞠莉「まさかあそこまでとはね……」
果南「私……間違えちゃったかな……」
梨子「果南さんは悪くありません」
梨子「私が……私が悪いんです……」
梨子「私があんなこと言うから……」
善子「誰も悪くなんかないわよ」
花丸「そうずら。誰も間違ってなくてもすれ違うことだってあるよ」
ルビィ「曜ちゃんなら絶対戻ってくる。ルビィは信じるよ」
ダイヤ「そうね……」
ダイヤ「ファーストライブの時、誰よりもAqoursの未来を考えていた方ですもの」
ダイヤ「彼女なら平気ですわ。そうでしょ、千歌さん?」
千歌「…………うん」
『だって今日は私達の始まりの日だもん』
『ここから始まるんだよ。全部』
千歌(曜ちゃん)
千歌(私――――) 夜・曜の部屋
コンコン
曜ママ「曜? ご飯どうする?」
曜「……今日はいいや」
曜ママ「そう……」
曜ママ「……」
曜ママ「ママは待ってるからね」
曜「うん……ありがとう……ママ……」
曜(ごめんね……ママ……)
もう、今となっては消えてしまった過去を思い出していた
みんなでラブライブに出たこと。冬では念願の優勝を果たしたこと
廃校は覆せなかったけど、私達の輝きは確かにそこにあった
それから三人で上京して
学校はバラバラだけど相変わらず一緒にいて
ある日、彼女に彼氏が出来た。と、告げられた日
私は泣いて。梨子ちゃんに慰められて
彼女を奪い返す作戦を二人で考えたりした
まぁ、作戦は失敗続きだったけど
楽しくて、笑えて……最高とは言えないけど
幸せだった過去を 来週
写真に写って未来に戻っても
そこは私の知らない世界で
私は孤独で
そこにはもう太陽のない世界が待っている
そんな未来に戻る意味はあるのだろうか
そんな現実に私は耐えられるだろうか
もういっそ
このまま……
「よーちゃん!」
声が聴こえた
優しい声が
私の心を暖かく、包んでくれる声
あの日も確か
こんな風に――
「よーちゃーん!!」 曜「ち、か、ちゃん……?」
ガラッ
千歌「あっ! 曜ちゃん!」
曜「千歌ちゃん……どうして……」
千歌「曜ちゃんに謝りたくて!」
千歌「それと」
千歌「来週の予選、私の隣で踊ってくれませんか!?」
曜「謝るって……予選は……」
千歌「みんなにはもう許可貰ったよ!」
千歌「リーダー権限で今回限りだけど!」
千歌「だからね、私の隣にいてください!」
曜「……っ」ダッ
千歌「曜ちゃん!?」 ガチャ
曜「…………」
千歌「曜ちゃん?」
曜「どうして来てくれたの……」
千歌「謝りたくて。返事がしたくて」
曜「千歌ちゃんが謝ることなんて何もないよ……返事って……」
千歌「あるよ」
千歌「私ね。曜ちゃんに私のことなーんにもわかってないなんて怒ったけど」
千歌「私も同じだったの」
曜「……え?」
千歌「私も曜ちゃんのことなーんにもわかってなかった」 千歌「曜ちゃんって昔から器用で、みんなから頼りにされて、輝いてて……」
千歌「私と違う特別な子なんだーってずっと思ってた」
曜「私は……そんなんじゃ……」
千歌「きっと私なんかじゃ、曜ちゃんの隣に相応しくないんだって思ってた」
曜「そんなことない……」
千歌「だからね。いつか必ず曜ちゃんに追いついて、曜ちゃんと一緒に輝きたいって思ったの」
千歌「曜ちゃんみたいな輝く星になりたいって本気で思ってたんだよ」
曜「わたしは……」
千歌「でもね、違ったの」
千歌「曜ちゃんも私とおんなじ。普通の子だった」
千歌「普通の女の子だってわかった」
曜「普通……」
千歌「私とおんなじ、子供じみた我儘を本気で言っちゃう女の子」
千歌「あははは、本当笑っちゃうよね」
千歌「私達ってお互いのことぜーんぜんわかってなかったけど……」
千歌「気持ちはずっと一緒だった」
曜「一緒……」
千歌「私の返事……私の子供じみた我儘聞いてくれる?」
曜「…………うん」
千歌「曜ちゃん……私と……」 曜「へっ……?」
千歌「あーあー、言っちゃったー」
千歌「重いよねー。まだ高校生なのになー」
曜「けっ、結婚って……」
千歌「重い告白だよねー」
千歌「でもきっとね」
千歌「それくらいの覚悟がなきゃ、伝えちゃいけない想いだから」
曜「ずっと……私と結婚したいって……思ってたの……?」
千歌「そうだよ? 曜ちゃんはもう忘れちゃったと思うけど」
千歌「私の将来の夢はね」
千歌「曜ちゃんのお嫁さんになること!」
曜「あっ……」 千歌「本当はね」
千歌「忘れないようにずっと言い続けるつもりだったんだよ?」
千歌「でもさ、段々わかってくるじゃん?」
千歌「それがどんなに大変か。夢みたいな話なんだって」
千歌「私達は女同士だから」
千歌「曜ちゃんは……一人っ子だから」
曜「千歌ちゃん……」
千歌「だから仕舞ってたの。この想いを。私の心の奥に」
千歌「開けられちゃったけどね」テヘッ
曜「ぐすっ……ぅぅ……ぁぁぁぁぁ」ポロポロ
千歌「返事……聞いてもいいかな?」 曜「ぢがぢゃぁぁぁああん!」ダキッ
千歌「わぁっ!」
ドサッ
千歌「もー危ないよー?」
曜「ひぐっ……二十五年間ずっと大好きだった……」
千歌「曜ちゃんはまだ十七歳でしょー?」
曜「何度も何度も諦めようと思った」
曜「彼氏が出来た日も、プロポーズされたって聞いた日も」
曜「スピーチをした後も、振られた後も、何度も何度も」
曜「でも結局諦められなくて、諦めることすら私には出来なくて……」
千歌「曜ちゃんさっきから何言ってるのー?」
曜「いいの!」
千歌「後、私振ってないからね?」
曜「いいの!」
千歌「いいのかな……」
曜「うん……」
千歌「それじゃ……返事、聞かせて?」
曜「千歌ちゃんっ……」
曜「私がぁ……私が絶対に……絶対に千歌ちゃんのこと――――」
☆――☆
『奇跡の扉を開ける鍵は誰の手にも握られている』
『ただ、それに気付く者は、ほんの僅かしかいない』
『運命を変えるほどの大きな奇跡は、そうそう訪れない』
『どんなに辛く、険しい道のりでも、変えたいと思う小さな一歩を積み重ねる事で』
『いつの日か。奇跡の扉は開く』
『あの男と』
『この女の様に』
☆――☆ 頼むぅぅぅこのままウェディング着た二人を見せてくれえぇぇ 脳内で『太陽』をBGMに後日談のモノローグが流れてる(早漏) 俺も小さな恋のうた
てか懐かしすぎて普通に聴いてるわ 明日最終回か...
ハッピーエンドでお願いします!! 小さな恋の歌ってこれのだったのかー
知らなかった(若者感) ここのスレゲロだったり漏らしたり大変な人達が多いな…
最終回楽しみで心臓止まりそう 久々にちゃんと読んだわ
パロディ物はあんまり好きじゃなかったけど懐かしさからつい夜更かししてまで読んでしまったぜ
作者独自の元時間軸の物語も良い
からの未来(今)が変わるとこもTHEタイムリープって感じで思わず時間と一瞬の選択がどれだけ人生を変えるものなのかを痛感する
絶望の中千歌の「よーちゃん!」って聞こえたとこで曇りが晴れた
ただここからどうなるのか
完結したら是非梨子視点のアナザーストーリーも見てみたい あぁぁぁぁ
梨子も花婿も含めみんな幸せになって欲しいのは俺だけだろうか 45450721巡目
「なぜ..なぜ結局オタクになるんだ!」
「曜。出来たわよ」キュッ
「曜?」
曜「……っ!」
曜「あ……あぁ。うん」
曜ママ「もう。シャキッとしなさい」
曜パパ「曜。よく似合ってるぞ」
曜ママ「ほんと。若い頃のあなたに似て格好いいわ」
曜「…………ありがとう。パパ、ママ」ウルウル
曜ママ「なに泣きそうになってるのよ」
曜(私は戻ってきた。八年前から)
曜「だって……」
曜(この格好。この場所。この日に)
曜「本当にこの日が来たんだって……」
曜(奇跡は……)
曜「私と……」
曜(起きたんだ……!)
曜「千歌ちゃんの結婚式――――」 広場
善子「お、来たわね」
花丸「こっちこっちー」フリフリ
ダイヤ「お二人ともお久しぶりです」
ルビィ「久しぶりヨハネちゃん、花丸ちゃん」
善子「ちょっと! その名前で呼ぶなっていつも言ってるでしょ!」
ルビィ「え〜? 昔はいつもそう呼べって言ってたじゃん」
善子「昔は昔! この歳になってヨハネなんて痛すぎるわよ!」
花丸「昔も十分痛かったけどね」
善子「は〜な〜ま〜る〜?」
善子「アンタなんて未だに――」
鞠莉「ハロー♪」
ダイヤ「あら、鞠莉さん」
ダイヤ「あなた仕事で遅くなるかもって」
鞠莉「そんなもんほっぽり出して来たわよ」
鞠莉「あの二人の結婚式」
鞠莉「見逃したら一生後悔するもの」
ダイヤ「ふふっ。それもそうですわね」 善子「これで全員揃ったわね」
ダイヤ「果南さんと梨子さんは?」
善子「先に中入ってるわ」
ダイヤ「そうですか」
ルビィ「Aqoursが揃うなんていつぶりだろうね」
ダイヤ「そうね……。この歳にもなると九人で会うのはこういう機会でもないと」
善子「ほんとよ。あの二人が結婚するせいで私達が集まれる回数が一回減っちゃったわ」
花丸「善子ちゃん、そんなにみんなと会いたいずらか〜?」
善子「会いたいに決まってるでしょ」
花丸「およ」
善子「みんなには……感謝してるんだからっ」
ダイヤ「この素直さが、あの頃にほしかったですわね」
鞠莉「生意気な後輩だったものね〜」
善子「何よ! 人がせっかく感謝してあげてるのに!」
ルビィ「善子ちゃんは昔から素直で良い子だよ!」
善子「だからヨハネよ!」
善子「あっ」
プッ
アハハハハハハ
モーワラウナー!
――――
―― 曜ママ「ふふ、やっと実感湧いてきたの?」
曜「うん……本当に私……結婚するんだなって……」
曜パパ「……そうだな」
曜「…………ねぇパパ」
曜パパ「なんだ」
曜「私、千歌ちゃんと結婚します」
曜(八年前では言えなかったから)
曜(私は直接言えてないから)
曜パパ「何を今更……」
曜パパ「まさか……まだ気にしてるのか?」
曜「気にしてないって言ったら嘘になると思う……」
曜パパ「そうか……」
曜パパ「一つ。話をしよう」 曜パパ「結婚相手は世界で一番好きな人ではなく、二番目に好きな人を選んだ方がいい」
曜パパ「よく、そんなことが言われている。曜も聞いたことがあるだろ?」
曜「うん……」
曜パパ「だが、父さんはそうは思わない」
曜パパ「なぜだか、わかるか?」
曜「…………ママと結婚したから?」
曜パパ「そうだ」
曜パパ「父さんと母さんは、世界で一番好きな人と結婚した」
曜パパ「だから曜も」
曜パパ「世界で一番好きな人と結婚していいんだぞ」
曜「うんっ……」ポロポロ 曜(やっぱりパパはすごい……)
曜(私の……世界で一番かっこいい人)
曜ママ「ちょっとあなた、泣かせないでよ」スッ
曜ママ「ほら、曜。下向いて。涙拭くから」
曜「うんっ……」
曜(ママは私の……世界で一番優しい人)
曜パパ「泣くにはまだ早いぞ、曜」
曜「そうだよね……」
曜パパ「式にはまだ時間がある」
曜パパ「行ってきなさい」
曜ママ「はいっ。これでヨシ」
曜「ありがとう……パパ、ママ」
曜「行ってくる!」
曜(私の。世界で一番大好きな人の元へ) バタン
曜「……」
「素敵なご両親だな」
曜「!」
曜「妖精さん!」
妖精「よっ」
曜「かるっ!」ズコー
妖精「感動の再会。というわけでもなかろう」
曜「いやでも……あんな別れ方したのに……」
妖精「俺は信じていたからな」
妖精「お前と再び出会うのを」
曜「妖精さん……」 妖精「それにしても」
妖精「プロポーズするために戻った人間が」
妖精「逆にプロポーズされるとはな……ククッ」
曜「うっ……」
妖精「最後まで情けない奴だ」
妖精「だが……」
妖精「だからこそ。扉が開いたのかもしれんな」
妖精「お前が鍵を開け、彼女が扉を開く」
妖精「そんなところまで『あの二人』と同じとは」
妖精「つくづく運命とは不思議なものだ」
曜「あの二人って……私が似てるっていう?」
妖精「ああ。お前によく似た『あの男』のことだ」
曜「私、会ってみたいです。私と同じ旅をした……その人に」
妖精「会えるさ」
妖精「会いたいと願っていれば……いつか」
妖精「俺とお前が。また出会えたように」
曜「……はい!」 妖精「引き止めて悪かったな」
曜「いえ……」
曜「会えて……またこうやって話せて、本当に、嬉しいです……」
曜「妖精さん……」
曜「本当に。ありがとうございました!」スッ
曜「このご恩は……一生忘れません!!」
妖精「……礼を言うのは俺の方だ」
妖精「久々に良いモノが見れた」
妖精「さぁ行け」
妖精「彼女の元へ。お前の手で幸せにしてやれ」
曜「はい! 行ってきます!」
タッタッタ……
妖精「……」
『二人の未来に』
『幸あれ』
パチン!
曜「はぁ……はぁ……」
曜(やばい。かっこつけて飛び出したけど……)
曜(千歌ちゃんどこにいるんだ!?)
曜(新婦の部屋ってどこだ!?)
曜(『日記』は……鞄の中だろうし……)
曜(うぅ……こういうことのない様に日記付けてたのに……)
曜(かっこ悪いけど……一度取りに戻るか……)
曜「はぁ……」
トボトボ
男「何かお困りですか?」
曜「あっ」 曜「その……お恥ずかしながら……迷っちゃいまして」
男「ここで、ですか?」
曜「はい……新婦の部屋を……ド忘れしちゃって」
男「それなら、ここをこう行って――――」
曜「あ、ありがとうございます!」
曜(すぐ近くだったじゃん!)
曜(妖精さんが『さぁ行け!』なんて言うから駆け出しちゃったよ!)
曜(恥ずかし……)
曜「えっと……あのぉ……」
男「ん? あ、僕ですか?」
曜「はい……」
男「岩瀬です」
岩瀬「高海さんの上司をしてます。岩瀬と申します」 曜「そ、そうでしたか……これは失礼しました」
曜「いつも千歌ちゃんが……いえ、嫁がお世話になっております……」
岩瀬「いえいえ。職場ではいつもみんな、高海さんに元気を貰っていますよ」
岩瀬「呼び方、最初は慣れませんよね(笑)」
曜(千歌ちゃんの……上司……)
『この式場ね、会社の先輩が教えてくれたんだー。いいとこでしょ?』
曜「!」
曜「あの!」
岩瀬「はい?」
曜「もしかして、千歌ちゃんにこの式場を紹介してくれたのって……」
岩瀬「あぁ。僕ですよ」
岩瀬「ちょっと曰く付きなんですけど、その分安いんで、若いお二人に丁度いいかと思って――」
曜「ありがとうございます!!」
岩瀬「へっ?」 曜「千歌ちゃんにここを紹介してくれて」
曜「本当に……本当に……ありがとうございます……」
曜(あなたのおかげで……私は……)
岩瀬「…………」
岩瀬「気に入っていただけて、なによりです」
曜「また……改めて嫁とお礼に参ります」
岩瀬「はい。楽しみにしてますね」
曜「それでは失礼します」スッ
岩瀬「ええ。また」
タッタッタ……
岩瀬「…………」
岩瀬(まさかね) 教会の一室
果南「本当に二人が結婚するとはね〜」
千歌「私も」
千歌「本当にこんな日が来るなんて思ってもみなかった」
果南「何? 千歌は信じてなかったの?」
千歌「そういうわけじゃないけど……」
千歌「なんだか夢みたいで……」
果南「まぁね〜」
果南「でも、夢じゃない」
千歌「うん……」
千歌「夢じゃないんだ」 千歌「私ね。ずっと思ってたの」
千歌「曜ちゃんは私の運命の人なんだって」
千歌「もし、結婚は出来なくても……」
千歌「ずっと傍にいる。そんな運命の人」
果南「千歌って結構ロマンチストだよね〜」
果南「奇跡とか輝きとか大好きでさ。スクールアイドルやってる時なんか――」
千歌「やめてよ。恥ずかしいから!」
果南「ふふっ。でも、あると思うよ。運命」
千歌「果南ちゃんはどうなの?」
果南「え?」
千歌「ブーケ……いる?」
果南「一応……貰っておくかな」 コンコン
果南「お、噂をすれば」
果南「来たみたいよ。運命の人」
千歌「それ。曜ちゃんには言わないで」
果南「なんで?」
千歌「重い女だと思われるから」
果南「あははっ。お似合いだと思うけどね〜」
ガチャ
果南「お待たせ」
曜「ありがとう。果南ちゃん」
果南「それじゃ。お邪魔虫はこれで」ポンッ
曜「ん。また後でね――」 バタン
曜「…………」
千歌「わぁ。曜ちゃん格好いい」
曜「……ありがとう」
曜「千歌ちゃんも……すごく綺麗だよ」
曜「眩しいくらいに……」
千歌「――ありがとっ。目、逸らさないでね?」
曜「うん。もう逸らさない」
曜「千歌ちゃん」
千歌「なあに?」
曜「私が、絶対に。幸せにします」
曜「私と」
曜「結婚してください」 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています