『I AM THAT 私は在る』
【3 今を生きる】(つづき)

 質問者 「真実のしるし」を現在に与えているものは何なのでし
 ょう?
 マハラジ
 現在のなかに、過去や未来から区別するような、特別な何かがあ
 るわけではない。
 ほんの一瞬前、過去は未来であったし、未来もまたそうなる。
 何が現在をそれほど特別にするのだろう?
 明らかに、それは私の存在だ。
 つねに今ここに在るからこそ私は現実なのだ。
 そして私とともに在るものに私の実在は分かちあわれる。
 過去は記憶のなかに、未来は想像のなかにある。
 今現在の出来事のなかに、それを真実として際立たせる何か特別
 なものがあるわけではない。
 それは何かただ過ぎゆく一瞬のなかに起こる、時計の刻む音のよ
 うなものかもしれない。
 連続して刻まれる音が等しいということを私たちは知っているに
 もかかわらず、現在を刻む音は、以前記憶された、あるいは次に
 予期されるものとはまったく異なっているのだ。
 今現在に焦点を置かれたものは、私がつねに今に在るからこそ、
 私とともに在る。
 私が私自身の実在性を現在の出来事に与えるのだ。
 質問者 しかし私たちは思い起こされたことがらも、現実のよう
 に扱います。
 マハラジ
 それが現在のなかに入りこんだときだけ、私たちは思い出につい
 て考える。
 今にもちこまれないと忘れ去られたことを思い出すことはない。
 質問者 そのとおりです。現在のなかには一過性の事実に一瞬の
 真実を与える、何か未知なる要因があることがわかりま
 す。
 マハラジ
 未知と言うまでもない。
 なぜなら、あなたはそれがつねに作用しているのを見ているから
 だ。
 生まれて以来、かつてそれが変わっただろうか?
 ものごとや思考はつねに変わりつづけてきた。
 だが、この現在が真実だという感覚は、夢のなかでさえもけっし
 て変わらなかったのだ。
(つづく)
(´・(ェ)・`)つ