常磐線のとある駅のガード下でひっそりスナックを営むママは
あの地下アイドルとして活躍した絵恋ちゃんだ。

取材をおこなった日は夕方の開店前
散らかった店内を掃除する絵恋ちゃんに私は質問してみた。

「もう一度、ステージに上がり、
アイドルとして返り咲く気持ちはあったのですか?」

私の踏み込んだ質問に絵恋ちゃんは一瞬手を止めた
それは3秒ほどだっただろうか

再び、掃除を始めた絵恋ちゃんは少し自虐的に
笑いこう答えた。「あのときは若かったから・・・」

そりゃ野心がなかったわけじゃないし、ファンが喜ぶことを考えて
一生懸命絵恋ちゃんを演じたのです。

でもね、絵恋の歌は地上では全く通用しなかったそれがすべてです。
それだけ絞り出すと再び開店の準備に集中する

開店時間になったため、私は少しセンチメンタルな
笑みを浮かべ取材を切り上げた。

店を出てあかりが灯った「スナックえったんこ」
その看板に目をやったとき、注文を受ける声が聞こえた。
 
 
 
「おつまみ入りま〜す」