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坂道小説スレ
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0001走り出す名無し(東京都) (ワッチョイ 3f7c-/+Oc)
垢版 |
2020/06/26(金) 21:13:09.24ID:gDRDDfhU0
乃木坂・欅坂・日向坂のメンバーを登場人物とする物語を執筆するスレです。
現在籍メンバーだけでなく、卒業したメンバーを対象としてもかまいません。
誰でも自由に書いてください。
0019走り出す名無し(宮崎県) (ワッチョイ ff8f-c0lz)
垢版 |
2020/06/30(火) 15:00:55.50ID:/ZNjME+V0
「菜緒。ねえ菜緒」
その声に小坂菜緒が目を覚ます。
「ーーえ?」
虚を突かれた菜緒がはっと顔をあげると、机の前に金村美玖が立っていた。
菜緒があたりを見回すと、席について授業を受けていたはずのクラスメイトたちはいつの間にか自由に動き出している。授業中の静寂はすでに消え、おしゃべり声が混ざり合う騒がしさが教室を満たしていた。
「もう、また寝てたでしょ」
形の良い眉を僅かに寄せ、切れ長な目を困ったように細めて、金村が咎めるような口調で言う。
「ご、ごめん・・・」
机の上に授業のノートーそれも授業の板書がなかばで途切れてしまっているーを広げているのは今や菜緒ひとりだけである。
当惑した顔をしている小坂に金村が微笑みかける。
「ノートならあとで見せてあげるから。ごはん食べよ?」
0020走り出す名無し(宮崎県) (ワッチョイ ff8f-c0lz)
垢版 |
2020/06/30(火) 15:05:19.61ID:/ZNjME+V0
「菜緒〜美玖〜」
小坂の机でふたり一緒に昼食をとる菜緒と美玖のもとに、よそのクラスから宮田愛萌がやってきた。
「どうしたの愛萌?」
弾む足取りに髪をふわりと波打たせ、宮田愛萌は二人に愛らしい笑みを向ける。
。そして、他の生徒に聞こえないか、周囲にちらりと目をやってから、
「あのさ、またお願いしたいんだけど?」
と、二人に顔を近づけて小声で言った。
「お客さん?」菜緒も小さな声で返す。こくりと愛萌が頷く。
「いつ?」と金村。抽象的な言い方であったが、ふたりとも意を得ている様子だ。
「二人の都合のいい時でいいよ」
「じゃあ、あしたは?」美玖が菜緒に顔を向ける。
「うん大丈夫」菜緒が頷き、愛萌を見上げる。「いい?愛萌」
愛萌も頷き返す。
「わかった。伝えとく。じゃあ、明日の放課後、うちに来てね」
0021走り出す名無し(宮崎県) (ワッチョイ ff8f-c0lz)
垢版 |
2020/06/30(火) 15:08:48.96ID:/ZNjME+V0
菜緒たちが暮らす町は、日向の国の中心地から離れた結構離れた場所にある。
地方都市のさらに郊外なので、いわば田舎のさらに田舎ーーあるのはほとんど住宅ばかりで、商業施設といえば大きめのスーパーマーケットとドラッグストア、あとはホームセンターぐらい。
地域のなかにはぽつんぽつんと小山が点在し、昔の名残かーーわずかばかりの面積の田んぼが、ところどころに残っている。計画的な開発が行われるでもなく、古い木造の民家と新しく建てられた小ぎれいな住宅が混在し、
人間の手がつかなかった小規模な自然が半端にちりばめたようにあとの余白を埋めている。
 そのなかにある地域の氏神を祀る宮田神社は、宮田家が代々神職を務める神社である。
神社の周囲を囲む立派な木々が、まわりの住宅と神社を隔て、しっかりとおおきな石で作られた基礎の上、周辺より一段高いところに神社は建っている。
0022走り出す名無し(宮崎県) (ワッチョイ ff8f-c0lz)
垢版 |
2020/06/30(火) 15:22:07.68ID:/ZNjME+V0
神社の敷地内、参道の脇に建つ社務所の一室で、紅白の巫女装束に身を包んだ宮田愛萌が今回の依頼者の応対をしていた。
「では今回の占いの内容は、なくした指輪の場所を教えてほしい、ということでいいですね」
「本当に、わかるんですか」と依頼者ーー30代の女性は言った。
 依頼者の女性は、数日前、神社の表にある掲示板に張られた紙を見て愛萌に問い合わせをしていた。その張り紙には、宮田神社ではお祓いのほかにも占いもしており、仕事や恋愛、困りごとや悩み事のほか、失くした物の場所まで占えるとあった。
 愛萌は、不安と怪しむ気持ちが半々といった表情を浮かべる女性を安心させるように、柔らかく微笑む。
「絶対、とまでは申し上げられないんですけど、でもお力になれると思います。では、占い師をお呼びしますね」
そういって、愛萌は部屋の戸を開ける。
0023走り出す名無し(宮崎県) (ワッチョイ ff8f-c0lz)
垢版 |
2020/06/30(火) 15:31:11.62ID:/ZNjME+V0
入ってきたのは宮田と同じ巫女装束に着替えた小坂と金村であった。
学校の制服を脱ぎ、巫女の赤い袴を履き、純白の衣に袖を通した二人が、おなかの前で手を重ね、しずしずとお辞儀をした。
「この子たちが・・・?」
依頼者の女性が、二人の姿ー占い師というが、来たのは愛萌と同じぐらいの年齢の少女たちだーを見て驚いた顔をした。
「ですよね。皆さん驚かれます」愛萌が少し苦笑する。
「でも大丈夫です。どうぞこちらに」依頼者の当惑をそのままに、女性を部屋の奥に置かれた木台へと案内する。
「どうぞお座りになってください」円卓状の木台の周りには三つの円座が敷かれている。その三つに菜緒と美玖そして依頼者が座る。
「『こっくりさん』をご存じですか?」
そういいながら、横から愛萌が木台の上に大きな紙を広げた。
上質な和紙で、そこには格子状に線が引かれ、その枠の中に筆で50音のひらがなが書き込まれている。上のほうには別に二つの枠があり、そこには『はい』と『いいえ』が書かれている。
0024走り出す名無し(宮崎県) (ワッチョイ ff8f-c0lz)
垢版 |
2020/06/30(火) 15:35:11.89ID:/ZNjME+V0
「『こっくりさん』・・・五円玉に指をあてて動かす、あれですか?」
木台の上に広げられた文字盤から連想した女性が答える。
「そうです。この神社では、『こっくりさん』の力を借りて、占いをするんです」宮田が説明しながら、文字盤の上に一つの5円玉硬貨を置いた。窓から差し込む夕べの斜光を受けて、五円玉がオレンジ交じりの黄金色に輝く。
「こどものころに遊びでやったことがある人もいるかもしれませんね。ただまあ、誰かが5円玉を動かしてるとか、あまり信ぴょう性がないように思われてますけど。」
愛萌がそう前置きしてから「しかし、私たちの占いは違います」とはっきりした口調で女性に説明する。
「いまからこの二人が、神の使いである狐様をここに下ろします。そのお力を借りて占いを行います」そして愛萌は美玖と菜緒に目をやった。
二人が頷き、木台の上に右手を出す。そしてその人差し指を五円玉に当てた。
「さあ、こちらに人差し指を当ててください」
「はい・・・」愛萌に言われて女性は、恐る恐るという感じで、菜緒たちが指を置く五円玉に自分の指をあてた。
それを待って、菜緒と美玖が二人視線を交わし、口を開く。
「こっくりさんこっくりさん。いらっしゃったら返事をしてください」
ぴたりとそろったふたりの言葉の後、しばらく無音の時間が流れる。
依頼者の女性が、緊張した面持ちで指の先にある五円玉を見つめる。
すると静寂の中で、五円玉がす、と動き始めた。
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