株乱高下はバブル崩壊の発端? 気鋭の経済学者の見方

92年東京大学経済学部卒業、大蔵省(現財務省)入省、99年退職。2001年米ハーバード大学で経済学博士号を取得。2003年から慶応義塾大学ビジネス・スクール(慶応義塾大学大学院経営管理研究科)准教授。専門は企業金融、行動ファイナンス、NPO(非営利組織)、政治経済学

慶応義塾大学ビジネス・スクールの小幡績准教授。人がときに非合理な行動を取る心の動きを解明する「行動経済学」の知見を応用して人間の投資に関わる行動を研究する「行動ファイナンス」が専門の経済学者だ。

「ほぼ全員が短期でのキャピタルゲイン(売却益)を狙って投資している。みんなが買っているから自分も買うという投資行動が広がってもいる。今の株式市場は明らかに完全なバブルだ。いつはじけてもおかしくない」

2020年9月には新著『アフターバブル 近代資本主義は延命できるか』(東洋経済新報社)を出版。同年に起きたコロナショックの本質はリーマン・ショック後の金融緩和で生じていたバブルの崩壊であり、その後のかつてない規模の財政出動・金融緩和が起こした「コロナショックバブル」もいずれ崩壊する。
だが、金融政策も財政出動も限界に達して次のバブルをつくる余力はなく、バブルでバブルを乗り越える循環は終焉(しゅうえん)すると警鐘を鳴らした。

小幡准教授は同書で、コロナショックバブル崩壊の引き金となるのは先進国の財政破綻だと予想した。だが、21年に入って新たな予想を出した。
それは、バブルで株だけでなく暗号資産(仮想通貨)のビットコインや不動産など様々なリスク資産の価格があまりにも割高になっていることに限界を感じて一定数以上の人が売り始め、それが暴落を引き起こして年内にバブルが崩壊するというシナリオだ。