俺とお前とBTC

起:
物質と情報(データ)が有機的に結びついて直接的な作用を及ぼす、現実の日本に似た架空の国。
主人公のスガが通う大学では最近になって、BTCと呼ばれる情報ドラッグが流行しつつあった。

BTCには「持ち主の快楽の記憶(感覚)をコピーして保持できる」、
「(クラウドあるいはユングの集合無意識のように)BTC同士が繋がって大きな快楽記憶の集合体を作る」、
つまり使用者が多いほど得られる快楽が大きくなる性質があった。
ジャンキーたちは、さらなる多幸感を求めて自ら周囲にBTCを勧めるのだ。

BTCはその威力と値段を上げながらとうとう講師陣にまで浸透していく。

スガはある日、親友のナガセから「この学校にBTCを広げたのはサクマだ」と告げられる。
ナガセは奇妙な男で、予知で先を見通したかのように物事の結論だけを言い当てることが度々あった。
そうして、正しさを証明することを楽しむように後から根拠や証拠を揃えていくのだった。

そのナガセからサクマの名を告げられスガは動揺する。
サクマはスガと同じ高校から進学した唯一の仲間で、彼が想いを寄せている相手でもある。
同時に、サクマのほうはナガセに惹かれていることもスガは気づいていた。