暗号通貨で儲けるための投資戦略は、非常にシンプルだった。買うことである。
そして、売らないことだ。もっと上手くやりたいなら、何かの弾みで価格が下がったときに、
買い増すのである。これが必勝法だ。

まるで出来の悪い人工知能のように、多くの個人投資家――彼らの金融に関する知識は驚くほど貧しい――
はこのパターンを学習し、そして、繰り返すことになった。

こうした彼らの学習パターンを鑑みれば、先日の中国のICO規制という、
かなりネガティブなニュースでも、すぐに価格が回復したことが理解できるだろう。
とにかく、下がったら、買い増す、そして、売らない。

日本では、暗号通貨を円に替えて、利益を確定させなければ税金がかからないので、
暗号通貨は売ってはいけない、と教えられ、その税金を回避する方法が広く信じられている。
すこし考えれば、この方法は間違っていることがわかる。

なぜならば、どこかの時点で円に替えて使わなければ、そもそも暗号通貨投資を行う必要はないわけで、
将来どこかの時点で使うならば、いずれ必ず課税される。

一度で全てを課税されるほうが、累進性から所得税率が高くなるので、毎年、利益を確定させて、
税金を毎年払ったほうが得なのだが、とにかく、日本の個人投資家の多くが、
この間違った節税テクニックを信じている。

これで、ますます、彼らは暗号通貨を一方的に買うだけのマシーンとなっているのだ。
そして、買うから上がる、上がるから買う、という典型的なバブルを形成した。

そして、いま日本で暗号通貨をトレードしている大半の人たちは、パチンコから流れてきたような人たちであり、
携帯ゲームに無尽蔵に課金してきたような人たちである。
彼らが、SNSのインフルエンサーに煽られて、ビットコインをひたすら買っているのだ。

そして、冒頭で述べたように中国政府は、このICOを突如禁止したのだ。
また、アメリカのSECもたびたび警告を発しており、早晩に規制されていく。

近い将来に、この1、2年で行われたICOが、ほとんど何も生み出さず、ただ発行者だけが儲けた構図が、
徐々に明らかになっていくだろう。

この狂ったバブル価格で、新たに暗号通貨を買うのは馬鹿げている。
みなに気づかれないうちに、そっと円に替えておくことだ。
バブルは崩壊する前に抜け出せた人だけが儲けることができるのだ。