静一の前にあまり人数の多くはない葬式の人の列が過ぎる。
中央に写真の置かれている粗末な柩がある。
写真の顔は男だ。
その写真にはありありとしげちゃんの面影が残っていた。
それは40過ぎになったしげちゃんの写真だった。
――僕は、人殺しではなかったのだ。
僕の殺人は幻影に過ぎなかった。僕の悪夢でしかなかったのだ。

でも結局その写真はしげちゃんのお父さんのものだとわかった。
なんという皮肉だろう。あれから僕はこの傷に触りたくない一心でこの町を避け続けてきたというのに。