今月号読んだ。主に蜂についての感想
透龍が最後に見た蜂の想い出は母親の代理だね
常敏のクワガタ勝負でも登場していたが荒木的には気に入っているモチーフなんだろう
由来は何となく分かるが、あんな風にセンチメンタルに演出するとは思わなかった
プッチと透龍の往生際の悪さに挟まれた事でヴァレンタインの黒い高潔さが際立っている
成功の見込みのない命乞いに頼らず清廉な取引に見せかけた罠で切り抜けようとした
それだけでも中々だが敗北した場合に備えてDioという保険まで準備していた
父親の思い出が大統領の信念を支えていたからこその強さがあったのだろう
一方で、透龍の想い出はただの蜂。虫だから大統領のそれに劣っている訳ではない
透龍にとって現実の蜂か区別がつかないほど特徴がない事が問題だ
例えば大統領にとって父親の代理であるハンカチには他と明確に区別できる固有性があり
この世に一人しかいない存在に由来する個人的な思い出と結びついているが
透龍のそれは無数に存在する一匹の没個性な蜂で表象される貧弱なイメージに過ぎない
本人ですらそれが自分の想い出である事にすぐには気づけない程に儚い
岩人間が固有の対象を持たない訳ではない事は愛唱やドロミテが証明している
思い出が勇気を与えてくれると力を振り絞ったのはFFだが
透龍があんなちっぽけなイメージに支えられていたと思うと哀しいね
夢と想い出ほど彼にとって空虚なものは無かったのだろう
それぐらいでなければワンダーオブUのスタンドユーザーにはなれないにしても