常敏にワンダーオブUが見えなかった理由の適当な推測
ツァラトゥストラの中では宗教を縁とする弱い人間に対して
大地の主としての強い人間像を提示しているが、大地は8部のテーマでもある
フロイトは自然の驚異に直面した人間のストレスが文明を生み出した要因とし
人力ではどうにもならない世界に対処するために宗教と倫理が生まれたと考える
ニーチェは宗教を捨て自然を支配する大地の主となれと力説した訳だが
合法違法を意に介さず強さと弱さだけがあると力説する常敏には
ニーチェの超人的な匂いがあるが、そんな彼が避けられなかった道が父殺しだった
この父殺しは自然の驚異と並んでフロイトが重要視した概念であり道徳の起源である
善悪を無視する常敏の人生観は、宗教を錯覚だと断じたフロイトにも通じる境地だが
フロイトの説によれば、あくまで宗教を脱した本当の現実に目覚めるためには
エディプスから始まる試練を乗り越え昇華しなければならない
脱線するがすべてが必然に帰結する永劫回帰の世界において
偶然を生み出す主体たらんとすることがフロイトが理想とする超人像。ジョジョで言うとプッチがそう
常敏には毎日が夏休みに象徴される未熟な精神の弱さがあり
現実が見えているようで見えていないが故に、ワンダーオブUという現実もまた見えない
道徳を信じようが信じまいが、ジョジョにはワンダーオブUに表象される条理が存在している
現代的に強い人間であろうとすることに対して荒木はわりと皮肉るのが好き